JP5320117B2 - 電子部品用接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化物の高温での貯蔵弾性率が高く、ワイヤボンディング性に優れ、かつ、優れた塗布性及び耐リフロークラック性を有する電子部品用接着剤に関する。
近年、ますます半導体パッケージの小型化が要求されており、例えば、半導体チップの薄片化も進んでいる。更に、極めて薄い半導体チップを形成できることから、複数の半導体チップを積層して多層の半導体チップ積層体を作製し、このような半導体チップ積層体を搭載した半導体パッケージも急増している。
半導体パッケージを基板上に実装する際には、例えば、パッケージ全体を赤外線等で加熱するリフローソルダリングが用いられ、パッケージが200℃以上の高温に加熱される。このため、パッケージ内部の封止材や、半導体チップ等の電子部品を接合する接着剤の密着性が不充分であると、パッケージクラックが発生して半導体装置の信頼性が低下するという、リフロークラックの問題が生じる。また、封止材や接着剤に含まれる水分の急激な気化及び膨張もパッケージクラックを引き起こす原因となる。
そこで、例えば、特許文献1には、半導体パッケージ部材との密着性が高く、耐リフロークラック性を向上させた樹脂組成物として、エポキシ樹脂、硬化剤、充填材及びエピスルフィド樹脂を含有するエポキシ系樹脂組成物が開示されている。また、特許文献1には、エピスルフィド樹脂としてビスフェノールA型エピスルフィド樹脂が好ましく、エポキシ樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい旨も開示されている。
しかし、半導体チップ等の電子部品を接合するために用いられる接着剤には、耐リフロークラック性に加えて、例えば、硬化物の高温での貯蔵弾性率が高いことも必要とされる。即ち、半導体パッケージを製造する際、電子部品を接合した後には、例えば、175℃付近の高温においてワイヤボンディング処理が行われる。しかし、電子部品を接合している接着剤の硬化物が充分に高い貯蔵弾性率を有していないと、ワイヤボンディング処理により硬化物が撓んでしまい、ワイヤボンディング処理を行うことが困難である。この硬化物の撓みは、半導体チップ等の電子部品と基板とを接合している接着剤層よりも、半導体チップ等の電子部品同士を接合している接着剤層において、特に問題となる。そのため、特に電子部品同士を接合するための接着剤には、硬化物の高温における貯蔵弾性率が高く、優れたワイヤボンディング性を有することが求められている。
特開2003−268071号公報
本発明は、硬化物の高温での貯蔵弾性率が高く、ワイヤボンディング性に優れ、かつ、優れた塗布性及び耐リフロークラック性を有する電子部品用接着剤を提供することを目的とする。
本発明は、多官能エポキシ化合物と、エピスルフィド化合物と、下記一般式(1)、(2)若しくは(3)で表されるテトラキスフェノール系化合物又は下記式(4)若しくは(5)で表されるジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物と、下記一般式(6)、(7)若しくは(8)で表される酸無水物とを含有する電子部品用接着剤である。
Figure 0005320117
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一般式(1)及び(2)中、Xは、(CH(nは0〜3の整数を表す)又は置換されていてもよいフェニレン基を表し、R〜R及びR13〜R20は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R〜R12及びR21〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属を表す。
Figure 0005320117
一般式(3)中、Xは、(CH(nは0〜3の整数を表す)を表し、R25〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
Figure 0005320117
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一般式(6)、(7)及び(8)中、R33〜R44は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、多官能エポキシ化合物と、エピスルフィド化合物と、所定の構造を有する化合物により包接されたイミダゾール化合物と、所定の構造を有する酸無水物とを含有する電子部品用接着剤は、170℃以上の高温における硬化物の貯蔵弾性率が高く、ワイヤボンディング性に優れ、かつ、優れた塗布性及び耐リフロークラック性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の電子部品用接着剤は、多官能エポキシ化合物を含有する。
上記多官能エポキシ化合物は架橋点を多く有するため、本発明の電子部品用接着剤は、170℃以上の高温において高い貯蔵弾性率を有し、ワイヤボンディング性に優れる。
なお、本明細書において、多官能エポキシ化合物とは、分子中にエポキシ基を2つ以上有する化合物をいう。
上記多官能エポキシ化合物は特に限定されず、例えば、フェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が挙げられる。
また、上記多官能エポキシ化合物は、グリシジルアミン骨格、レゾルシノール骨格又はナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有することが好ましい。このような骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有することによって、得られる電子部品用接着剤の硬化性を向上させることができる。なかでも、上記多官能エポキシ化合物は、グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有することがより好ましく、グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有することが特に好ましい。
上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物は、多数の官能基を有するも、低分子量であるため、得られる電子部品用接着剤の粘度を比較的低い所望の範囲とすることができ、得られる電子部品用接着剤は、塗布性に優れる。
上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物は特に限定されないが、下記一般式(9)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005320117
上記一般式(9)中、R45は、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
上記一般式(9)で表される化合物は、上記多官能エポキシ化合物のなかでも低い粘度を有することから、得られる電子部品用接着剤は、塗布性に優れる。そのため、例えば、従来公知の電子部品用接着剤では粘度が高すぎ、塗布量のばらつきが生じて好適に塗布することが困難であったが、上記一般式(9)で表される化合物を用いることにより電子部品用接着剤を低粘度化し、塗布量のばらつきを低減して好適に塗布することができ、塗布方法の多様化に対応することができる。また、上記一般式(9)で表される化合物は硬化速度が速いため、得られる電子部品用接着剤を硬化する際、揮発する前に硬化が進行し、硬化物中のボイドの発生を大幅に抑制することができる。
上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物として、例えば、グリシジルオキシ−N,N−グリシジルアニリン等が挙げられる。
上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物の市販品は特に限定されず、例えば、EP−3900、EP−3950(いずれもアデカ社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物は特に限定されないが、下記一般式(10)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005320117
上記一般式(10)中、R46は、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
上記一般式(10)で表される化合物は、極めて結晶性が高く、25℃で結晶性固体であるとともに、25℃を超えて加熱することによって、結晶構造が壊れて粘度が急激に低下するという性質を有する。そのため、得られる電子部品用接着剤は、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法においても好適に塗布することができ、塗布方法の多様化に対応することができる。また、上記一般式(10)で表される化合物は硬化速度が速いため、得られる電子部品用接着剤を硬化する際、揮発する前に硬化が進行し、硬化物中のボイドの発生を大幅に抑制することができる。
上記レゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の市販品は特に限定されず、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記多官能エポキシ化合物が上記グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有する場合、上記グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量は特に限定されないが、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対する好ましい下限は40重量部である。上記グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量が40重量部未満であると、得られる電子部品用接着剤の粘度が高くなり、塗布性が低下して、例えば、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法において好適に塗布することができないことがある。また、上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量が40重量部未満であると、得られる電子部品用接着剤は、硬化物中にボイドが発生しやすくなることがある。
上記グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量は、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対するより好ましい下限は50重量部、更に好ましい下限は70重量部である。
上記多官能エポキシ化合物は、更に、エポキシ基を有する高分子量ポリマーを含有してもよい。エポキシ基を有する高分子量ポリマーを含有することにより、得られる電子部品用接着剤の硬化物の強靭性を向上させることができる。
上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーは特に限定されず、例えば、エポキシ変性ポリエチレングリコール、エポキシ変性ポリプロピレングリコール、エポキシ変性ポリブタジエン、エポキシ基含有アクリルゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ末端NBR樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ基を有する高分子量ポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多官能エポキシ化合物が上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーを含有する場合、上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーの含有量は特に限定されないが、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対する好ましい下限は1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーの含有量が1重量部未満であると、硬化物の強靱性を向上させる効果が充分に得られないことがある。上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーの含有量が20重量部を超えると、電子部品用接着剤の硬化物は、所望の範囲のガラス転移温度及び貯蔵弾性率を有することができないことがある。上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーの含有量は、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対するより好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は15重量部である。
上記多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は特に限定されないが、好ましい下限が50、好ましい上限が150である。上記多官能エポキシ化合物のエポキシ当量が50未満であると、電子部品用接着剤は、硬化反応性が低下することがある。上記多官能エポキシ化合物のエポキシ当量が150を超えると、電子部品用接着剤は、硬化物の高温における貯蔵弾性率が低くなり、ワイヤボンディング性が低下することがある。
なお、本明細書において、エポキシ当量とは、多官能エポキシ化合物の分子量を分子中のエポキシ基数で除した値、即ち、エポキシ基1個当たりの分子量をいう。従って、エポキシ当量が低いほど、分子中のエポキシ基濃度が高いことを示す。
上記多官能エポキシ化合物の分子量は特に限定はされないが、好ましい下限が150、好ましい上限が400である。上記多官能エポキシ化合物の分子量が150未満であると、電子部品用接着剤は、硬化する際に揮発することがある。上記多官能エポキシ化合物の分子量が400を超えると、電子部品用接着剤の粘度が必要以上に高くなり、塗布性に劣ることがある。上記多官能エポキシ化合物の分子量のより好ましい下限は200、より好ましい上限は360である。
本発明の電子部品用接着剤は、エピスルフィド化合物を含有する。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ化合物に比べて、半導体チップ等の電子部品や基板に対する接着力が大きいことから、本発明の電子部品用接着剤は、耐リフロークラック性に優れる。
上記エピスルフィド化合物は、エピスルフィド基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノール型エピスルフィド化合物、水添ビスフェノール型エピスルフィド化合物等が挙げられる。なかでも、液状であり、電子部品用接着剤の粘度を必要以上に上げないことから、水添ビスフェノール型エピスルフィド化合物が好ましい。
なお、本明細書において、例えば、ビスフェノール型エピスルフィド化合物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されたものを意味する。
上記水添ビスフェノール型エピスルフィド化合物の市販品として、例えば、YL−7007(ジャパンエポキシレジン社製、水添ビスフェノールA型エピスルフィド化合物)等が挙げられる。
本発明の電子部品用接着剤における上記エピスルフィド化合物の含有量は特に限定されないが、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が30重量部である。上記エピスルフィド化合物の含有量が5重量部未満であると、電子部品用接着剤は、優れた耐リフロークラック性を有することができないことがある。上記エピスルフィド化合物の含有量が30重量部を超えると、電子部品用接着剤の硬化物の常温における貯蔵弾性率が高くなりすぎて、電子部品にソリが発生しやすくなることがある。上記エピスルフィド化合物の含有量は、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対するより好ましい下限が10重量部、より好ましい上限が25重量部である。
本発明の電子部品用接着剤は、下記一般式(1)、(2)若しくは(3)で表されるテトラキスフェノール系化合物又は下記式(4)若しくは(5)で表されるジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物(以下、これらをまとめて、単に包接されたイミダゾール化合物ともいう)を含有する。
Figure 0005320117
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上記一般式(1)及び(2)中、Xは、(CH(nは0〜3の整数を表す)又は置換されていてもよいフェニレン基を表し、R〜R及びR13〜R20は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R〜R12及びR21〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属を表す。
Figure 0005320117
上記一般式(3)中、Xは、(CH(nは0〜3の整数を表す)を表し、R25〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
Figure 0005320117
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上記包接されたイミダゾール化合物においては、イミダゾール化合物が、上記一般式(1)、(2)若しくは(3)で表されるテトラキスフェノール系化合物又は上記式(4)若しくは(5)で表されるジカルボン酸系化合物に包接されている。このような包接構造を有することにより、本発明の電子部品用接着剤は、高い貯蔵安定性を保持することができ、ポットライフが長くなって取扱性が向上する。
なお、上記包接されたイミダゾール化合物は、本発明の電子部品用接着剤において硬化促進剤としての役割を有する。
上記包接されたイミダゾール化合物のなかでも、テトラキスフェノール系化合物に包接されたイミダゾール化合物が好ましい。
上記包接されたイミダゾール化合物の市販品は特に限定されず、例えば、TEP−2E4MZ、TEP−2P4MHZ、TEOC−2E4MZが挙げられる。
本発明の電子部品用接着剤における上記包接されたイミダゾール化合物の含有量は特に限定されないが、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対する好ましい下限が4重量部、好ましい上限が20重量部である。上記包接されたイミダゾール化合物の含有量4重量部未満であると、電子部品用接着剤の硬化速度や接着信頼性を充分に高めることができないことがある。上記包接されたイミダゾール化合物の含有量が20重量部を超えると、電子部品用接着剤の硬化後に未反応の上記包接されたイミダゾール化合物が残存することがあり、硬化物の接着信頼性を低下させることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、下記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物を含有する。
Figure 0005320117
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一般式(6)、(7)及び(8)中、R33〜R44は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
上記包接されたイミダゾール化合物と、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の一般に用いられる硬化剤とを併用すると、これらの硬化剤により上記包接されたイミダゾール化合物の包接構造が壊され、硬化反応が進行しやすい。これに対し、上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物は立体的に嵩高い構造を有するため、立体障害により、上記包接されたイミダゾール化合物と上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物との硬化反応は抑制され、上記包接されたイミダゾール化合物の包接構造を保持することができる。そのため、本発明の電子部品用接着剤は、高い貯蔵安定性を保持することができ、ポットライフが長くなって取扱性が向上する。
また、上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物を含有することにより、本発明の電子部品用接着剤は吸水率が低下し、リフローソルダリング工程における、硬化物に含まれる水分の急激な気化及び膨張によるパッケージクラックの発生を抑制することができる。
なお、上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物は、本発明の電子部品用接着剤において硬化剤としての役割を有する。
上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物のなかでも、上記一般式(6)又は(7)で表される酸無水物が好ましい。
上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の市販品は特に限定されず、例えば、HNA−100(新日本理化社製)、YH−309(ジャパンエポキシレジン社製)が挙げられる。
上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量は特に限定されないが、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対する好ましい下限は30重量部、好ましい上限は200重量部である。上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量が30重量部未満であると、電子部品用接着剤の吸水率が高くなることがある。上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量が200重量部を超えると、電子部品用接着剤の硬化後に未反応の酸無水物が残存することがあり、硬化物の接着信頼性を低下させることがある。
上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量は、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対するより好ましい下限は40重量部、より好ましい上限は150重量部、更に好ましい下限は100重量部、更に好ましい上限は150重量部である。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、スペーサ粒子を含有することが好ましい。
上記スペーサ粒子を含有することにより、例えば、得られる電子部品用接着剤を介して2以上の半導体チップ等の電子部品を積層する場合に、電子部品同士の間隔を一定に保つことができる。
上記スペーサ粒子の平均粒子径は特に限定されず、所望の電子部品間距離を達成できるように選択することができるが、平均粒子径の好ましい下限が2μm、好ましい上限が200μmである。平均粒子径が2μm未満であると、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、スペーサ粒子の粒子径程度にまで電子部品間距離を縮めることが困難となることがある。平均粒子径が200μmを超えると、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、電子部品同士の間隔が必要以上に大きくなることがある。上記スペーサ粒子の平均粒子径のより好ましい下限は9μm、より好ましい上限は100μmである。
上記スペーサ粒子の平均粒子径は、該スペーサ粒子以外に配合する固体成分の平均粒子径の1.2倍以上であることが好ましい。上記スペーサ粒子の平均粒子径が上記範囲を外れると、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、電子部品間距離を確実にスペーサ粒子の粒子径程度にまで縮めることが困難となることがある。上記スペーサ粒子の平均粒子径は、該スペーサ粒子以外に配合する固体成分の平均粒子径の1.3倍以上であることがより好ましい。
上記スペーサ粒子の粒子径分布の標準偏差は特に限定されないが、スペーサ粒子の平均粒子径の10%以下であることが好ましい。上記スペーサ粒子の粒子径分布の標準偏差を上記範囲内とすることで、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、より安定して水平に積層させることができる。
上記スペーサ粒子のCV値は特に限定されないが、好ましい上限が10%である。上記スペーサ粒子のCV値が10%を超えると、粒子径のばらつきが大きいことから、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、電子部品間距離を一定に保つことが困難となり、スペーサ粒子としての機能を充分に果たせないことがある。上記スペーサ粒子のCV値のより好ましい上限は6%、更に好ましい上限は4%である。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(11)により求められる数値のことである。
CV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (11)
上記式(11)中、σ2は、粒子径の標準偏差を表し、Dn2は、数平均粒子径を表す。
上記スペーサ粒子のK値は特に限定されないが、好ましい下限が980N/mm、好ましい上限が10000N/mmである。
なお、本明細書においてK値とは、下記式(12)により求められる数値のことである。
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 (12)
上記式(12)中、F、Sはそれぞれスペーサ粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)、圧縮変位(mm)を表し、Rはスペーサ粒子の半径(mm)を表す。
上記K値は、以下の測定方法により測定することができる。
まず、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサ粒子を散布した後、その中から1個のスペーサ粒子を選び、微小圧縮試験機を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でスペーサ粒子を圧縮する。この際、圧縮荷重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出する。そして、得られた圧縮変位−荷重の関係から10%圧縮変形における荷重値、圧縮変位をそれぞれ求め、得られた結果からK値を算出する。
上記スペーサ粒子の20℃、10%の圧縮変形状態から解放した時の圧縮回復率は特に限定されないが、好ましい下限が20%である。上記範囲内にある圧縮回復率を有するスペーサ粒子を用いた場合、電子部品用接着剤を用いて積層された電子部品間に平均粒子径よりも大きなスペーサ粒子が存在しても、圧縮変形により形状を回復してギャップ調整材として働かせることができる。従って、より安定した一定間隔で電子部品を水平に積層することができる。
上記圧縮回復率は、以下の測定方法により測定することができる。
上記K値の測定の場合と同様の手法によって圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出し、反転荷重値まで圧縮した後、荷重を減らしていき、その際の荷重と圧縮変位との関係を測定する。得られた測定結果から圧縮回復率を算出する。ただし、除荷重における終点は荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値とする。
上記スペーサ粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記樹脂粒子の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等が挙げられる。
更に、上記スペーサ粒子の硬さと圧縮回復率を調整しやすく、耐熱性を向上させることもできることから、上記樹脂粒子として架橋樹脂を用いることが好ましい。
上記架橋樹脂は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂が挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン系共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等が好ましい。これらの架橋樹脂を用いた場合、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層した後、硬化処理やハンダリフロー処理等の熱処理への耐性が優れる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は特に限定されず、例えば、アルコキシシランを主成分とする粒子が挙げられる。上記アルコキシシランを主成分とする粒子は、例えば、特2698541号に記載に準拠して、アルコキシシランを加水分解重縮合することにより得ることができる。
上記スペーサ粒子の形状は特に限定されないが、球状が好ましい。また、上記スペーサ粒子のアスペクト比の好ましい上限は1.1である。上記スペーサ粒子のアスペクト比を1.1以下とすることで、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、電子部品間距離を安定して一定に保つことができる。
なお、本明細書においてアスペクト比とは、粒子の長径と短径に関して、短径の長さに対する長径の長さの比(長径の長さを短径の長さで割った値)を意味する。このアスペクト比の値が1に近いほどスペーサ粒子の形状は真球に近くなる。
本発明の電子部品用接着剤が上記スペーサ粒子を含有する場合、上記スペーサ粒子の含有量は特に限定されないが、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対する好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は30重量部である。上記スペーサ粒子の含有量が0.01重量部未満であると、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、電子部品間距離を安定して一定に保つことができないことがある。上記スペーサ粒子の含有量が30重量部を超えると、電子部品用接着剤は、接着剤としての機能が低下することがある。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、必要に応じて、無機イオン交換体を含有してもよい。上記無機イオン交換体のうち、市販品として、例えば、IXEシリーズ(東亞合成社製)等が挙げられる。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、必要に応じて、ブリード防止剤、接着性付与剤等の各種添加剤を含有してもよい。上記接着性付与剤は特に限定されず、例えば、イミダゾールシランカップリング剤等が挙げられる。
なお、本発明の電子部品用接着剤は、溶剤を含有しないことが好ましい。溶剤を含有することにより、半導体チップ等の電子部品や基板を接合するための硬化の際にボイドが発生し、得られる半導体装置が信頼性に欠けることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、E型粘度計を用いて、25℃、10rpmの条件で測定した粘度の好ましい下限が1Pa・s、好ましい上限が100Pa・sである。上記粘度が1Pa・s未満であると、電子部品用接着剤は、塗布後の接着剤塗布層の形状を、室温において好適に保てないことがある。上記粘度が100Pa・sを超えると、電子部品用接着剤は、例えば、エアーディスペンサーで塗布した際の塗布安定性に劣ることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、硬化物とした場合、該硬化物の10〜50℃における貯蔵弾性率の好ましい下限が1000MPa、好ましい上限が4000MPaである。上記硬化物の10〜50℃における貯蔵弾性率が1000MPa未満であると、例えば、電子部品用接着剤の硬化物から120℃の熱水で溶出成分を抽出する場合、抽出塩素量が多くなりすぎることがある。上記硬化物の10〜50℃における貯蔵弾性率が4000MPaを超えると、例えば、電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、硬化物が常温領域で適度な柔軟性を有することができず、また、接着性が不充分となり、電子部品に大きなソリが生じたり、剥離が生じたりすることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、硬化物とした場合、該硬化物の170℃以上における貯蔵弾性率の好ましい下限が20MPaである。上記硬化物の170℃以上における貯蔵弾性率が20MPa未満であると、例えば、電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層した後、ワイヤボンディング処理を行う場合、硬化物の高温領域での貯蔵弾性率が低く硬化物が撓むことによって、ワイヤボンディング処理を行うことができないことがある。
本発明の電子部品用接着剤は、厚さ10μmの接着剤層とし、該接着剤層を170℃、15分で硬化させた硬化物を、260℃の温度条件下に10秒間曝したとき、直径100μm以下のボイド発生率が1個/mm以下であることが好ましい。上記硬化物のボイド発生率が1個/mmを超えると、例えば、電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層する場合、接続信頼性が不充分となることがある。
本発明の電子部品用接着剤を製造する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール等の混合機を用いて、常温で、上記多官能エポキシ化合物、上記エピスルフィド化合物、上記一般式(1)、(2)若しくは(3)で表されるテトラキスフェノール系化合物又は上記式(4)若しくは(5)で表されるジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物、上記一般式(6)、(7)若しくは(8)で表される酸無水物、及び、必要に応じて他の添加剤を、所定量、攪拌混合する方法等が挙げられる。
本発明の電子部品用接着剤の用途は特に限定されないが、例えば、半導体チップ等の電子部品を接合するために用いることができる。特に、半導体チップ同士を接合して多層の半導体チップ積層体を作製するために本発明の電子部品用接着剤を用いることで、本発明の効果をより好適に発揮することができる。また、半導体チップ等の電子部品と基板とを接合するために本発明の電子部品用接着剤を用いてもよい。
本発明によれば、硬化物の高温での貯蔵弾性率が高く、ワイヤボンディング性に優れ、かつ、優れた塗布性及び耐リフロークラック性を有する電子部品用接着剤を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
下記表1の組成に従って、下記に示す各材料を、ホモディスパーを用いて攪拌混合し、電子部品用接着剤を調製した。
(1)多官能エポキシ化合物
(1−1)グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物(EP−3900S、アデカ社製、分子量300)
(1−2)レゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物(EX−201、ナガセケムテックス社製、分子量234)
(1−3)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(YL−980、ジャパンエポキシレジン社製、分子量360)
(2)多官能エポキシ化合物以外のエポキシ化合物
(2−1)ゴム変性エポキシ化合物(EPR−4033、アデカ社製)
(2−2)単官能エポキシ化合物(t−ブチルグリシジルエーテル)(ED509、アデカ社製)
(3)エピスルフィド化合物
YL−7007、ジャパンエポキシレジン社製
(4)硬化促進剤
(4−1)テトラキスフェノール系化合物に包接されたイミダゾール化合物(TEP−2E4MZ、日本曹達社製)
(4−2)ジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物(NIPA−2E4MZ、日本曹達社製)
(4−3)エポキシアダクトイミダゾール化合物(PN−23J、味の素社製)
(5)硬化剤
(5−1)一般式(6)で表される酸無水物(HNA−100、新日本理化社製)
(5−2)一般式(7)で表される酸無水物(YH−309、ジャパンエポキシレジン社製)
(5−3)その他の酸無水物(YH−306、ジャパンエポキシレジン社製)
(6)増粘剤
PM−20L(表面疎水性ヒュームドシリカ、トクヤマ社製)
(評価)
実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)電子部品用接着剤
(1−1)粘度の測定
E型粘度測定装置(商品名「VISCOMETER TV−22」、TOKI SANGYO CO.LTD社製、使用ローター=φ15mm、設定温度=25℃及び80℃)を用いて回転数10rpmにおける粘度を測定した。
(1−2)ディスペンス安定性
ディスペンス安定性の評価は、得られた電子部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、塗布量5mgにてガラス基板上に塗布した。
1時間おきにガラス基板上に塗布された塗布量の重さを計測し、塗布量ばらつきを測定した。4時間での塗布量の(最大値−最小値)/平均値を塗布量ばらつきとし、ばらつきが10%未満のものを○、10%以上20%未満のものは△、それ以上は×とした。
(2)硬化物
(2−1)ガラス転移温度(Tg)の測定
アイティー計測制御社製の粘弾性測定機を使い、実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤を170℃、15分で硬化させた硬化物の25℃及び175℃における貯蔵弾性率を、昇温速度5℃/min、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定したときのTanδのピーク時の温度をガラス転移点とした。
(2−2)貯蔵弾性率の測定
アイティー計測制御社製の粘弾性測定機を使い、実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤を170℃、15分で硬化させた硬化物の25℃及び175℃における貯蔵弾性率を、昇温速度5℃/min、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定した。
(3)電子部品接合体
(3−1)半導体チップ接合体の作製
得られた電子部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、半導体チップとニードルとのギャップ200μm、塗布量5mgにて基板上に塗布した。
塗布を行った後、ペリフェラル状に110μmのパッド開口部を172個有する半導体チップ(チップ1)(厚さ80μm、10mm×10mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線(厚み0.7μm、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み1.0μm))をフリップチップボンダー(DB−100、澁谷工業社製)を用いて常温で0.1MPaの圧力で1秒間押圧することにより積層した。120℃で40分加熱後、170℃で15分間加熱を行い、電子部品用接着剤を硬化させることにより、半導体チップ接合体を作製した。更に、この半導体チップの上に上記と同じ方法で、上記と同様の半導体チップを積層した。これを更に2回繰り返し、ガラス上に半導体チップが4チップ積層されている、半導体チップ接合体を作製した。
(3−2)ワイヤボンディング性
上記(3−1)において作製した半導体チップ接合体と同様に、半導体チップ(チップ2)(厚さ80μm、3mm×3mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線(厚み0.7μm、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み1.0μm))を4枚、積層した。その後、ワイヤーボンダー(UTC2000、新川社製)を用いて径25μmのワイヤーでワイヤボンディングを行った。このワイヤーをワイヤネック部分で引っ張り、ワイヤネックで切れたものを○、接合部分で切断されたものを×とした。
(3−3)耐リフロー性
上記(3−1)において作製した半導体チップ接合体を、85℃、85%の恒温高湿オーブンに24時間放置したのち、230℃以上が20秒以上でかつ最高温度が260℃となるIRリフロー炉に3回投入した。投入後、半導体装置のリフロークラックの発生の有無を超音波探傷装置(SAT)により観察し、以下の基準で評価した。リフロークラック発生数が0/30であったものを◎、リフロークラック発生数が1/30であったものを○、リフロークラック発生数が2/30であったものを△、リフロークラック発生数が3/30以上であったものを×とした。
Figure 0005320117
本発明によれば、硬化物の高温での貯蔵弾性率が高く、ワイヤボンディング性に優れ、かつ、優れた塗布性及び耐リフロークラック性を有する電子部品用接着剤を提供することができる。

Claims (9)

  1. 多官能エポキシ化合物と、エピスルフィド化合物と、下記一般式(1)、(2)若しくは(3)で表されるテトラキスフェノール系化合物又は下記式(4)若しくは(5)で表されるジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物と、下記一般式(6)、(7)若しくは(8)で表される酸無水物とを含有することを特徴とする電子部品用接着剤。
    Figure 0005320117
    Figure 0005320117
    一般式(1)及び(2)中、Xは、(CH(nは0〜3の整数を表す)又は置換されていてもよいフェニレン基を表し、R〜R及びR13〜R20は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R〜R12及びR21〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属を表す。
    Figure 0005320117
    一般式(3)中、Xは、(CH(nは0〜3の整数を表す)を表し、R25〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
    Figure 0005320117
    Figure 0005320117
    Figure 0005320117
    Figure 0005320117
    Figure 0005320117
    一般式(6)、(7)及び(8)中、R33〜R44は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
  2. 多官能エポキシ化合物は、グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の電子部品用接着剤。
  3. グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量は、多官能エポキシ化合物100重量部に対して40重量部以上であることを特徴とする請求項2記載の電子部品用接着剤。
  4. グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物は、下記一般式(9)で表される化合物であることを特徴とする請求項2又は3記載の電子部品用接着剤。
    Figure 0005320117
    一般式(9)中、R45は、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
  5. レゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物は、下記一般式(10)で表される化合物であることを特徴とする請求項2又は3記載の電子部品用接着剤。
    Figure 0005320117
    一般式(10)中、R46は、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
  6. 多官能エポキシ化合物は、分子量が150〜400であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の電子部品用接着剤。
  7. 多官能エポキシ化合物は、エポキシ変形ポリブタジエンを多官能エポキシ化合物100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の電子部品用接着剤。
  8. 一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量は、多官能エポキシ化合物100重量部に対して30〜200重量部であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の電子部品用接着剤。
  9. 更に、平均粒子径が2〜200μmであり、CV値が10%以下であり、かつ、K値が980〜10000N/mmであるスペーサ粒子を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電子部品用接着剤。
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