JP5320117B2 - 電子部品用接着剤 - Google Patents
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Description
上記多官能エポキシ化合物は架橋点を多く有するため、本発明の電子部品用接着剤は、170℃以上の高温において高い貯蔵弾性率を有し、ワイヤボンディング性に優れる。
なお、本明細書において、多官能エポキシ化合物とは、分子中にエポキシ基を2つ以上有する化合物をいう。
上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物は特に限定されないが、下記一般式(9)で表される化合物であることが好ましい。
上記グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物の市販品は特に限定されず、例えば、EP−3900、EP−3950(いずれもアデカ社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量は、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対するより好ましい下限は50重量部、更に好ましい下限は70重量部である。
上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーは特に限定されず、例えば、エポキシ変性ポリエチレングリコール、エポキシ変性ポリプロピレングリコール、エポキシ変性ポリブタジエン、エポキシ基含有アクリルゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ末端NBR樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ基を有する高分子量ポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、エポキシ当量とは、多官能エポキシ化合物の分子量を分子中のエポキシ基数で除した値、即ち、エポキシ基1個当たりの分子量をいう。従って、エポキシ当量が低いほど、分子中のエポキシ基濃度が高いことを示す。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ化合物に比べて、半導体チップ等の電子部品や基板に対する接着力が大きいことから、本発明の電子部品用接着剤は、耐リフロークラック性に優れる。
なお、本明細書において、例えば、ビスフェノール型エピスルフィド化合物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されたものを意味する。
なお、上記包接されたイミダゾール化合物は、本発明の電子部品用接着剤において硬化促進剤としての役割を有する。
上記包接されたイミダゾール化合物の市販品は特に限定されず、例えば、TEP−2E4MZ、TEP−2P4MHZ、TEOC−2E4MZが挙げられる。
また、上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物を含有することにより、本発明の電子部品用接着剤は吸水率が低下し、リフローソルダリング工程における、硬化物に含まれる水分の急激な気化及び膨張によるパッケージクラックの発生を抑制することができる。
なお、上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物は、本発明の電子部品用接着剤において硬化剤としての役割を有する。
上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の市販品は特に限定されず、例えば、HNA−100(新日本理化社製)、YH−309(ジャパンエポキシレジン社製)が挙げられる。
上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量は、上記多官能エポキシ化合物100重量部に対するより好ましい下限は40重量部、より好ましい上限は150重量部、更に好ましい下限は100重量部、更に好ましい上限は150重量部である。
上記スペーサ粒子を含有することにより、例えば、得られる電子部品用接着剤を介して2以上の半導体チップ等の電子部品を積層する場合に、電子部品同士の間隔を一定に保つことができる。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(11)により求められる数値のことである。
CV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (11)
上記式(11)中、σ2は、粒子径の標準偏差を表し、Dn2は、数平均粒子径を表す。
なお、本明細書においてK値とは、下記式(12)により求められる数値のことである。
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 (12)
上記式(12)中、F、Sはそれぞれスペーサ粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)、圧縮変位(mm)を表し、Rはスペーサ粒子の半径(mm)を表す。
まず、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサ粒子を散布した後、その中から1個のスペーサ粒子を選び、微小圧縮試験機を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でスペーサ粒子を圧縮する。この際、圧縮荷重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出する。そして、得られた圧縮変位−荷重の関係から10%圧縮変形における荷重値、圧縮変位をそれぞれ求め、得られた結果からK値を算出する。
上記K値の測定の場合と同様の手法によって圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出し、反転荷重値まで圧縮した後、荷重を減らしていき、その際の荷重と圧縮変位との関係を測定する。得られた測定結果から圧縮回復率を算出する。ただし、除荷重における終点は荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値とする。
上記樹脂粒子の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等が挙げられる。
上記架橋樹脂は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂が挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン系共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等が好ましい。これらの架橋樹脂を用いた場合、例えば、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を積層した後、硬化処理やハンダリフロー処理等の熱処理への耐性が優れる。
なお、本明細書においてアスペクト比とは、粒子の長径と短径に関して、短径の長さに対する長径の長さの比(長径の長さを短径の長さで割った値)を意味する。このアスペクト比の値が1に近いほどスペーサ粒子の形状は真球に近くなる。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、必要に応じて、ブリード防止剤、接着性付与剤等の各種添加剤を含有してもよい。上記接着性付与剤は特に限定されず、例えば、イミダゾールシランカップリング剤等が挙げられる。
なお、本発明の電子部品用接着剤は、溶剤を含有しないことが好ましい。溶剤を含有することにより、半導体チップ等の電子部品や基板を接合するための硬化の際にボイドが発生し、得られる半導体装置が信頼性に欠けることがある。
下記表1の組成に従って、下記に示す各材料を、ホモディスパーを用いて攪拌混合し、電子部品用接着剤を調製した。
(1−1)グリシジルアミン骨格を有する多官能エポキシ化合物(EP−3900S、アデカ社製、分子量300)
(1−2)レゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物(EX−201、ナガセケムテックス社製、分子量234)
(1−3)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(YL−980、ジャパンエポキシレジン社製、分子量360)
(2−1)ゴム変性エポキシ化合物(EPR−4033、アデカ社製)
(2−2)単官能エポキシ化合物(t−ブチルグリシジルエーテル)(ED509、アデカ社製)
YL−7007、ジャパンエポキシレジン社製
(4−1)テトラキスフェノール系化合物に包接されたイミダゾール化合物(TEP−2E4MZ、日本曹達社製)
(4−2)ジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物(NIPA−2E4MZ、日本曹達社製)
(4−3)エポキシアダクトイミダゾール化合物(PN−23J、味の素社製)
(5−1)一般式(6)で表される酸無水物(HNA−100、新日本理化社製)
(5−2)一般式(7)で表される酸無水物(YH−309、ジャパンエポキシレジン社製)
(5−3)その他の酸無水物(YH−306、ジャパンエポキシレジン社製)
PM−20L(表面疎水性ヒュームドシリカ、トクヤマ社製)
実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1−1)粘度の測定
E型粘度測定装置(商品名「VISCOMETER TV−22」、TOKI SANGYO CO.LTD社製、使用ローター=φ15mm、設定温度=25℃及び80℃)を用いて回転数10rpmにおける粘度を測定した。
ディスペンス安定性の評価は、得られた電子部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、塗布量5mgにてガラス基板上に塗布した。
1時間おきにガラス基板上に塗布された塗布量の重さを計測し、塗布量ばらつきを測定した。4時間での塗布量の(最大値−最小値)/平均値を塗布量ばらつきとし、ばらつきが10%未満のものを○、10%以上20%未満のものは△、それ以上は×とした。
(2−1)ガラス転移温度(Tg)の測定
アイティー計測制御社製の粘弾性測定機を使い、実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤を170℃、15分で硬化させた硬化物の25℃及び175℃における貯蔵弾性率を、昇温速度5℃/min、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定したときのTanδのピーク時の温度をガラス転移点とした。
アイティー計測制御社製の粘弾性測定機を使い、実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤を170℃、15分で硬化させた硬化物の25℃及び175℃における貯蔵弾性率を、昇温速度5℃/min、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定した。
(3−1)半導体チップ接合体の作製
得られた電子部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、半導体チップとニードルとのギャップ200μm、塗布量5mgにて基板上に塗布した。
塗布を行った後、ペリフェラル状に110μmのパッド開口部を172個有する半導体チップ(チップ1)(厚さ80μm、10mm×10mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線(厚み0.7μm、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み1.0μm))をフリップチップボンダー(DB−100、澁谷工業社製)を用いて常温で0.1MPaの圧力で1秒間押圧することにより積層した。120℃で40分加熱後、170℃で15分間加熱を行い、電子部品用接着剤を硬化させることにより、半導体チップ接合体を作製した。更に、この半導体チップの上に上記と同じ方法で、上記と同様の半導体チップを積層した。これを更に2回繰り返し、ガラス上に半導体チップが4チップ積層されている、半導体チップ接合体を作製した。
上記(3−1)において作製した半導体チップ接合体と同様に、半導体チップ(チップ2)(厚さ80μm、3mm×3mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線(厚み0.7μm、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み1.0μm))を4枚、積層した。その後、ワイヤーボンダー(UTC2000、新川社製)を用いて径25μmのワイヤーでワイヤボンディングを行った。このワイヤーをワイヤネック部分で引っ張り、ワイヤネックで切れたものを○、接合部分で切断されたものを×とした。
上記(3−1)において作製した半導体チップ接合体を、85℃、85%の恒温高湿オーブンに24時間放置したのち、230℃以上が20秒以上でかつ最高温度が260℃となるIRリフロー炉に3回投入した。投入後、半導体装置のリフロークラックの発生の有無を超音波探傷装置(SAT)により観察し、以下の基準で評価した。リフロークラック発生数が0/30であったものを◎、リフロークラック発生数が1/30であったものを○、リフロークラック発生数が2/30であったものを△、リフロークラック発生数が3/30以上であったものを×とした。
Claims (9)
- 多官能エポキシ化合物と、エピスルフィド化合物と、下記一般式(1)、(2)若しくは(3)で表されるテトラキスフェノール系化合物又は下記式(4)若しくは(5)で表されるジカルボン酸系化合物に包接されたイミダゾール化合物と、下記一般式(6)、(7)若しくは(8)で表される酸無水物とを含有することを特徴とする電子部品用接着剤。
- 多官能エポキシ化合物は、グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の電子部品用接着剤。
- グリシジルアミン骨格又はレゾルシノール骨格を有する多官能エポキシ化合物の含有量は、多官能エポキシ化合物100重量部に対して40重量部以上であることを特徴とする請求項2記載の電子部品用接着剤。
- 多官能エポキシ化合物は、分子量が150〜400であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の電子部品用接着剤。
- 多官能エポキシ化合物は、エポキシ変形ポリブタジエンを多官能エポキシ化合物100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の電子部品用接着剤。
- 一般式(6)、(7)又は(8)で表される酸無水物の含有量は、多官能エポキシ化合物100重量部に対して30〜200重量部であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の電子部品用接着剤。
- 更に、平均粒子径が2〜200μmであり、CV値が10%以下であり、かつ、K値が980〜10000N/mm2であるスペーサ粒子を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電子部品用接着剤。
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