JP5428134B2 - 液状樹脂組成物および該液状樹脂組成物を使用して作製した半導体装置 - Google Patents

液状樹脂組成物および該液状樹脂組成物を使用して作製した半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、液状樹脂組成物および該液状樹脂組成物を使用して作製した半導体装置に関するものである。
近年、半導体デバイスの高速化は著しく、多層配線部における配線抵抗と配線間の寄生容量に起因する信号伝搬速度の低下による伝送遅延が問題となってきている。こうした問題は、半導体デバイスの高集積化に伴う配線幅および配線間隔の微細化につれて配線抵抗が上昇しかつ寄生容量が増大するので、益々顕著となる傾向にある。そこで、配線抵抗および寄生容量の増大に基づく信号遅延を防止するために、従来のアルミニウム配線に代わり銅配線の導入が行われると共に、層間絶縁膜に比誘電率が二酸化シリコン膜の3.9より小さい低誘電率の絶縁膜の適用が行われている。特に設計基準が65nmから45nmへと構成素子の微細化が進む中で層間絶縁膜の比誘電率は2.0程度またはそれ以下の値が強く求められ、このために層間絶縁膜として膜内部の空孔率を高めることで比誘電率を小さくした多孔質絶縁膜が必要になってきている。
このような多孔質絶縁膜は、その構造上一般的に機械的強度か弱いという問題がある。すなわち従来の絶縁膜を使用した半導体素子に比較して外部からのストレスに対して敏感で、これまで問題とされなかったストレスでも絶縁膜の破壊に至る場合がある。
そこで発生するストレスを少なくするために、封止材料、ダイアタッチ材料といった半導体構成材料に対して低応力性のものが要求されると共に、半導体生産プロセスの見直しも行われている。
半導体素子をリードフレーム、ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)、BT基板(シアネートモノマーおよびそのオリゴマーとビスマレイミドとからなるBTレジン使用基板)、ポリイミドフィルムなどの有機基板といった支持体に接着するダイアタッチプロセスにおいては、ダイアタッチ後に半導体素子と支持体との熱膨張率の異なりに基づく反りが発生するが、過度の反りは層間絶縁膜のダメージの原因となるため、反りの発生しにくいダイアタッチ材料が求められている。
ここで反りを小さくするためにダイアタッチ材料の弾性率を低くする必要がありこれまでも、
(1)液状の低応力剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)固形の低応力剤を添加する方法(例えば、特許文献2参照)、
(3)架橋密度を低下させる方法(例えば、特許文献3参照)、
(4)樹脂骨格に柔軟構造を導入する方法(例えば、特許文献4参照)、
(5)低ガラス転移温度(Tg)のポリマーを添加する方法(例えば、特許文献5参照)などが検討されてきたが、例えば(1)の方法では液状の低応力剤自体が高粘度であるため十分な低弾性率化効果を得ることが可能な配合量添加すると高粘度で扱いにくくなる傾向にあり、(2)の方法では液状樹脂組成物中の固形分の割合が増えるため高粘度で扱いにくくなる傾向にあり、(3)の方法では高温での強度などの機械特性が悪化する傾向にあり、(4)の方法では柔軟骨格を導入した樹脂の粘度が高いため液状樹脂組成物も高粘度で扱いにくくなる傾向にあり、(5)の方法では溶剤を使用しなければ液状樹脂組成物を得ることができず、溶剤は液状樹脂組成物の硬化中に揮発させる必要があるので反りが問題となるようなチップサイズ(チップサイズが小さい場合にはほとんど反りは問題とならない)には不適であるなどの欠点も残されている。
一方、環境対応の一環として半導体製品からの鉛撤廃が進められている中、基板実装時に使用する半田も鉛フリー半田が使用されるため、錫−鉛半田の場合よりリフロー温度を高くする必要がある。高温でのリフロー処理は半導体パッケージ内部のストレスを増加さ
せるためリフロー中に半導体製品中に剥離ひいてはクラックが発生しやすくなり、ダイアタッチ材料にも剥離が生じにくい、すなわち高温でも良好な接着力を示す材料が望まれている。このように弾性率が低く、高温でも良好な接着力を示し、塗布時の作業性に優れる液状樹脂組成物がダイアタッチ材料として望まれているが、十分に満足するものはなかった。
特開平05−120914号公報 特開2003−347322号公報 特開平06−084974号公報 特開平08−176409号公報 特開2005−154687号公報
本発明は、低弾性率かつ良好な高温での接着性を示すとともに塗布作業性に優れる液状樹脂組成物および本発明を半導体用ダイアタッチ材または放熱部材用接着剤として使用した特に耐半田クラック性などの信頼性に優れた半導体装置を提供することである。
このような目的は、下記[1]〜[4]に記載の本発明により達成される。
[1]ダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料に用いられる液状樹脂組成物であって、第1の成分であるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートから選ばれる化合物と、第2の成分であるグリシジル基、水酸基から選ばれる官能基を有する(メタ)アクリレート、またはカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸、を共重合して得られる主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下の化合物(A)
前記化合物(A)以外の不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂、マレイミド基を有する化合物、マレイミド基を有する化合物とアリルエステル樹脂の併用、から選ばれる熱ラジカル重合可能な熱硬化性樹脂(B)、
熱ラジカル重合開始剤、
及び充填材、
を含み、
前記化合物(A)以外の不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂が、分子量が500〜10000であり、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体から選ばれるものであり、(メタ)アクリロイル基を有するものである、ことを特徴とする液状樹脂組成物。
[2]さらにシランカップリング剤を含む上記[1]に記載の液状樹脂組成物。
[3]前記充填材が銀粉である請求項1又は2記載の液状樹脂組成物からなるダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料。
[4]上記[3]に記載のダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料を用いて製作されることを特徴とする半導体装置。

本発明の液状樹脂組成物は、弾性率が低く良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れるので、本発明をダイアタッチ材または放熱部材用接着剤として使用することでこれまでにない耐半田クラック性などの高信頼性に優れた半導体装置の提供が可能となる。
本発明は、主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下の化合物を含む液状樹脂組成物であり、弾性率が低くかつ良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れるもので半導体素子または放熱部材を接着する液状樹脂組成物として使用することにより、これまでにない高信頼性の半導体装置の提供が可能となるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下の化合物(A)を使用するが、これは液状樹脂組成物の硬化物の弾性率を低くすることを目的としており、炭素−炭素結合がエーテル結合、エステル結合、アミド結合などに比較し化学的、熱的に安定であるためである。分子量がこれより低い場合には目的とする低弾性率化効果が十分には発揮できず、これより高い場合には液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ塗布作業性の悪化の原因となる。また官能基を有することが好ましく、官能基は水酸基、カルボキシ基、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これはこれら官能基を有することで後述する熱硬化性樹脂との相溶性が良好となるためであり、好ましくは熱硬化性樹
脂と反応することである。熱硬化性樹脂との相溶性が悪い場合には液状樹脂組成物硬化中にレジンブリード(液状樹脂組成物中の成分が支持体表面に染み出す現象)、カーフクリープ(液状樹脂組成物中の成分が半導体素子側面に染み出し、半導体素子表面にまで達する現象)が生じる可能性があるからで、支持体表面のレジンブリードまたは半導体素子表面のカーフクリープはしばしば剥離の原因となり、またワイヤボンドパッド上に達した場合はワイヤボンド不着の原因となる。
さらに化合物(A)は室温で液状または後述する熱硬化性樹脂(B)の液状成分と混合することで室温において液状となるものが好ましい。室温で液状または後述する熱硬化性樹脂の液状成分と混合することで液状樹脂組成物を得ることができ、室温において液状とならないものでは良好な塗布作業性の液状樹脂組成物を得ることが難しいからである。このような化合物(A)としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの第1の成分と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレートなど官能基を有する第2の成分とを共重合することに得ることが可能である。また第1の成分としてスチレンを含むことも好ましい。共重合の方法は特に限定されず、一般的には溶媒中、重合開始剤および連鎖移動剤を用いて反応させることが可能であり、特に重合開始剤および連鎖移動剤の濃度が反応に用いられるすべての成分に対して1重量%以下であることが好ましい。なかでも特に好ましいのは重合開始剤および連鎖移動剤をほとんど使用せずに高温高圧化で反応を行うことで得られる化合物である。このようにして得られた化合物は分子量分布が狭いため液状樹脂組成物にした時の粘度上昇が少なくまた高温での安定性に優れるからである。このような化合物(A)としては東亞合成(株)からArufon(アルフォン)の商品名で販売されている。化合物(A)の作製時に第2の成分としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で水酸基を有する化合物を得ることができ、第2の成分として(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基を有する化合物を使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でカルボキシ基を有する化合物を得ることができ、第2の成分としてグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でグリシジル基を有する化合物を得ることができる。
上記主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でカルボキシ基を有する化合物とヒドロキシエチルビニルエーテルなどのビニル基および水酸基を有する化合物とをエステル化触媒を用いて反応することで主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でビニル基を有する化合物を得ることができる。
上記主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でカルボキシ基を有する化合物とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートとをエステル化触媒を用いて反応したり、または上記主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基を有する化合物とをエステル化触媒を用いて反応したりすれば炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で(メタ)アクリロイル基を有する化合物を得ることができる。
上記主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で水酸基を有する化合物とグリシン、アミノカプロン酸などのアミノ酸および無水マレイン酸を反応することで得られるマレイミド化アミノ酸とをエステル化触媒を用いて反応すれば炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でマレイミド基を有する化合物を得ることができる。
これら化合物の1分子内に含まれる官能基の数は2以上100以下が好ましく、より好ましいのは2以上30以下である。官能基数がこれより少ない場合には後述する熱硬化性
樹脂との相溶性が悪くなる場合があり、これより多い場合には目的とする低弾性率化効果が十分に発揮されない場合がある。
本発明では更に熱硬化性樹脂(B)を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂とは加熱することで反応が進行し高分子量化するものであり、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は併用することも可能である。
前記エポキシ樹脂は、前述のグリシジル基を有する化合物(A)以外のグリシジル基を分子内に1つ以上有する化合物であるが、グリシジル基は1分子に2つ以上含まれていることが好ましい。グリシジル基が1つの化合物のみでは反応させても十分な硬化物特性を示すことができないからである。グリシジル基を1分子に2つ以上含む化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シジロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などをエポキシ化した多官能のものなどが挙げられるがこれらに限定されるわけではなく、また導電性ペーストとして室温で液状である必要があるので、単独またはこれらの混合物として室温で液状のものが好ましい。通常行われるように反応性の希釈剤を使用することも可能である。
反応性希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの1官能の芳香族グリシジルエーテル類、脂肪族グリシジルエーテル類などが挙げられる。エポキシ樹脂を硬化させる目的で硬化剤を使用する。エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂などが挙げられる。ジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、P−オキシ安息香酸ジヒドラジドなどのカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられ、酸無水物としてはフタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンとの共重合体などが挙げられる。フェノール樹脂とは1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物であり、1分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の場合には架橋構造をとることができないため硬化物特性が悪化し使用できない。また1分子内のフェノール性水酸基数は2つ以上であれば使用可能であるが、好ましいフェノール性水酸基の数は2〜5である。これより多い場合には分子量が大きくなりすぎるので液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎるため好ましくない。より好ましい1分子内のフェノール性水酸基数は2つまたは3つである。このような化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類およびその誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類およびその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドを反応することで得られる化合物で2核体または3核体がメインのものおよびその誘導体などが挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、イミダゾール類、トリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスフィンの塩類、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系化合物およびその塩類などが挙げられるが、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−C1123−イミダゾール、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物などのイミダゾール化合物が好適に用いられる。なかでも特に好ましいのは融点が180℃以上のイミダゾール化合物である。
前記アクリル樹脂とは、前述の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(A)以外の不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂などであり、特に限定されるものではない。なかでも分子量が500〜10000のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体で(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がエーテル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基を有するポリエーテルを得ることが可能である。
ポリエステルとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がエステル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルを得ることが可能である。
ポリカーボネートとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がカーボネート結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基を有するポリカーボネートを得ることが可能である。
(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエンとしては、カルボキシ基を有するポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応、水酸基を有するポリブタジエンと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能であり、また無水マレイン酸を付加したポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることも可能である。
(メタ)アクリロイル基を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体としては、カルボキシ基を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体と水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることが可能である。
必要により以下に示す化合物を併用することも可能である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートや水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸またはその誘導体を反応して得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで使用可能なジカルボン酸としては、例えばしゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの誘導体が挙げられる。
上記以外にもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコール、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミド、N−ビニル−2−ピロリドン、スチレン誘導体、α−メチルスチレン誘導体などを使用することも可能である。
さらに重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。通常熱ラジカル重合開始剤として用いられるものであれば特に限定しないが、望ましいものとしては、急速加熱試験(試料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温した時の分解開始温度)における分解温度が40〜140℃となるものが好ましい。分解温度が40℃未満だと、導電性ペーストの常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるため好ましくない。これを満たす熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオ
キシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらは単独または硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。重合開始剤の配合量は熱硬化性樹脂に対して0.1重量%以上10重量%以下である。より好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。
ここで本発明の液状樹脂組成物は、通常蛍光灯などの照明下で使用されるので光重合開始剤が含まれていると使用中に反応により粘度上昇が観察されるため実質的に光重合開始剤を含有することは好ましくない。実質的にとは、粘度上昇が観察されない程度で光重合開始剤が微量に存在してもよく、好ましくは、含有しないことである。
前記マレイミド樹脂は、前述のマレイミド基を有する化合物(A)以外の1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド樹脂は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸との反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸などのたマレイミド化アミノ酸とポリオールとの反応により得られる化合物である。マレイミ
ド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸またはアミノカプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。マレイミド基は、アリル基と反応可能であるのでアリルエステル樹脂との併用も好ましい。アリルエステル樹脂としては、脂肪族のものが好ましく、中でも特に好ましいのはシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールのエステル交換により得られる化合物である。またシアネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂との併用も好ましい。
前記シアネート樹脂は、分子内に−NCO基を有するもので具体的に例示すると、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3、6−トリシアナトナフタレン、4,4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などが挙げられ、これらの多官能シアネート樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーも使用できる。このプレポリマーは、上記の多官能シアネート樹脂モノマーを、例えば、鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、炭酸ナトリウムなどの塩類を触媒として重合させることにより得られる。
シアネート樹脂の硬化促進剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン鉄などの有機金属錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は1種または2種以上混合して用いることができる。シアネート樹脂とエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂を併用することも可能である。
ここで化合物(A)の配合量は、化合物(A)と熱硬化性樹脂(B)の合計に対し1重量%以上50重量%以下が好ましい。より好ましい配合量は3重量%以上30重量%以下である。これより少ないと目的とする低弾性率化効果が十分に発揮されない場合があり、これより多いと液状樹脂組成物の粘度が高く塗布作業性の悪化の原因となる可能性がある。
本発明ではさらに充填材として、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、パラジウム粉などの金属粉、アルミナ粉末、チタニア粉末、アルミニウムナイトライド粉末、ボロンナイトライド粉末などのセラミック粉末、ポリエチレン粉末、ポリアクリル酸エステル粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリアミド粉末、ポリウレタン粉末、ポリシロキサン粉末などの高分子粉末が使用可能である。液状樹脂組成物を使用する際にはノズルを使用して吐出する場合があるので、ノズル詰まりを防ぐために平均粒径は30μm以下が好ましく、ナトリウム、塩素などのイオン性の不純物が少ないことが好ましい。特に導電性、熱伝導性が要求される場合には銀粉を使用することが好ましい。通常電子材料用として市販されている銀粉であれば、還元粉、アトマイズ粉などが入手可能で、好ましい粒径としては平均粒径が1μm以上、30μm以下である。これ以下では液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、これ以上では上述のようにディスペンス時にノズル詰まりの原因となる恐れがあり、電子材料用以外の銀粉ではイオン性不純物の量が多い場合がある
ので注意が必要である。形状はフレーク状、球状などで特に限定されないが、好ましくはフレーク状のものを使用し、通常液状樹脂組成物中70重量%以上、95重量%以下含まれる。銀粉の割合がこれより少ない場合には導電性が悪化し、これより多い場合には液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎるためである。
本発明ではさらにカップリング剤、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を使用することも可能である。
本発明の液状樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造することができる。
本発明の液状樹脂組成物を用いて半導体装置を製作する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、市販のダイボンダーを用いて、リードフレームの所定の部位に液状樹脂組成物をディスペンス塗布した後、チップをマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を製作する。またはフリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Array)などのチップ裏面に液状樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドなどの放熱部品を搭載し加熱硬化するなどである。
参考例1]
充填材としては平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を、主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下の化合物(A)としてはArufon(アルフォン)UG−4070(東亞合成(株)製商品名、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られるアクリル系低分子量ポリマーでグリシジル基を有する、1分子の平均官能基数約14、分子量9700、以下化合物A1)を、熱硬化性樹脂(B)としてビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、室温で液体、以下化合物B11)を、化合物B11の硬化剤としてはビスフェノールF(大日本インキ工業(株)製、DIC−BPF、水酸基当量100、以下化合物B12)を、クレジルグリシジルエーテル(エポキシ当量185、以下化合物D1)、ジシアンジアミド(以下化合物E1)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(キュアゾール2P4MHZ:四国化成工業(株)製、融点248〜258℃、以下化合物E2)、グリシジル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−403E、以下化合物C1)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し脱泡することで液状樹脂組成物を得、以下の評価方法にて評価を行った結果を表1に示す。なお配合割合は重量部である。
[参考例2、実施例3〜6]
表1に示す割合で配合し参考例1と同様に液状樹脂組成物を得た後、評価を行った。
なお参考例2では、化合物(A)としてArufon(アルフォン)UC−3000(東亞合成(株)製商品名、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られるアクリル系低分子量ポリマーでカルボキシ基を有する、1分子の平均官能基数約13、分子量10000、以下化合物A4)を用いた。
実施例3では、熱硬化性樹脂(B)として1,4−ジメタノールシクロヘキサン/1,6−ヘキサンジオール(=3/1(重量比))と炭酸ジメチルから合成した分子量約900のポリカーボネートジオールにメタクリル酸メチルを反応することにより得られるポリカーボネートジメタクリレート化合物(宇部興産(株)製、UM−90(3/1)DM、以下化合物B2)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、以下化合物D2)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下化合物E3)、およびメタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−503P、以下化合物C2)を用いた。
実施例4では、化合物(A)としてArufon(アルフォン)UH−2000(東亞合成(株)製商品名、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られるアクリル系低分子量ポリマーで水酸基を有する、1分子の平均官能基数約4、分子量11000、以下化合物A3)、および熱硬化性樹脂(B)としてポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200、マレイミド化グリシンとポリテトラメチレングリコールジオールの反応物、以下化合物B3
)を用いた。
実施例5では、化合物(A)としてArufon(アルフォン)UG−4010(東亞合成(株)製商品名、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られるアクリル系低分子量ポリマーでグリシジル基を有する、1分子の平均官能基数約4、分子量2900、以下化合物A2)を用いた。
実施例6ではシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルとポリプロピレングリコールとの反応により得られたジアリルエステル化合物(分子量1000、ただし原料として用いたシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルを約15%含む、以下化合物B4)を用いた。

[比較例1〜3]
表1に示す割合で配合し参考例1と同様に液状樹脂組成物を得た後、評価を行った。
なお比較例2、3では、アクリル系ポリマー(エチルアクリレート/アクリロニトリル/グリシジルアクリレート/N,N−ジメチルアクリルアミド=74/20/1/5の共重合体、分子量:49万、Tg:15℃、以下化合物F)を用いた。
評価方法
・粘度およびチキソ性:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、0.5rpmおよび2.5rpmでの値を液状樹脂組成物作製直後に測定した。2.5rpmでの値を粘度とし粘度の値が20±10Pa・Sのものを合格とした。粘度の単位はPa・Sである。0.5rpmでの値を2.5rpmの値で割った値をチキソ性(塗布作業性の指標)とし、3.0以上のものを合格とした。
・接着強度およびブリード:表1に示す液状樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップを銀メッキした銅フレームにマウントし、175℃オーブン中30分硬化した。硬化後のサンプルを光学顕微鏡にて観察することでブリードの長さを測定した。ブリードはチップ4辺についてそれぞれ測定し最も長かった値で表し、ブリードが50μm以下のものを合格とした。ブリードの単位はμmである。また硬化後および吸湿(85℃、85%、72時間)処理後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が30N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップである。
・弾性率:表1に示す液状樹脂組成物を用いて4×20×0.1mmのフィルム状の試験片を作製し(硬化条件175℃30分)、動的粘弾性測定機(DMA)にて引っ張りモードでの測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定温度:室温〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
250℃における貯蔵弾性率を弾性率とし300MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPaである。
・耐リフロー性:表1に示す液状樹脂組成物を用い、下記の基板(リードフレーム)とシリコンチップを175℃30分間硬化し接着した。ダイボンドしたリードフレームを封止材料(スミコンEME−G700L、住友ベークライト(株)製)を用い封止し半導体装置(半導体パッケージ)とし、85℃、相対湿度60%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後の半導体装置を超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。剥離面積の単位は%である。
半導体パッケージ:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:銀めっきした銅フレーム
チップサイズ:6×6mm
液状樹脂組成物硬化条件:オーブン中175℃、15分
Figure 0005428134

本発明の液状樹脂組成物は、弾性率が低く良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れるので、本発明をダイアタッチ材または放熱部材用接着剤として使用することでこれまでにない高信頼性の半導体装置の提供が可能となる。

Claims (4)

  1. ダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料に用いられる液状樹脂組成物であって、第1の成分であるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートから選ばれる化合物と、第2の成分であるグリシジル基、水酸基から選ばれる官能基を有する(メタ)アクリレート、またはカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸、を共重合して得られる主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下の化合物(A)、
    前記化合物(A)以外の不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂、マレイミド基を有する化合物、マレイミド基を有する化合物とアリルエステル樹脂の併用、から選ばれる熱ラジカル重合可能な熱硬化性樹脂(B)、
    熱ラジカル重合開始剤、
    及び充填
    を含み、
    前記化合物(A)以外の不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂が、分子量が500〜10000であり、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体から選ばれるものであり、(メタ)アクリロイル基を有するものである、ことを特徴とする液状樹脂組成物。
  2. さらにシランカップリング剤を含む請求項1記載の液状樹脂組成物。
  3. 前記充填が銀粉である請求項1又は2記載の液状樹脂組成物からなるダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料。
  4. 請求項3に記載のダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料を用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
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