JP4135370B2 - 接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な接着剤組成物に関し、より詳しくは無溶剤でかつ接着強度、耐熱性および耐候性に優れた弾性接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体やアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン重合体とアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体の混合物は、単独またはエポキシ化合物と組み合わせて、硬化性接着剤組成物のベースポリマーとして使用されている(例えば、特開昭61−247723号公報、特開平7−242737号公報、)。しかし、この弾性接着剤は、耐候性、接着強度、耐熱性が不十分であった。
近年、建築コストや時間の削減、性能や規格の統一という面から、個人向けの住宅や低層のマンションの外壁には、工場で製造したパネルを現地で組み立てる工法が多用されるようになってきた。このパネルの中には、パネルの表面に接着剤を塗布した後、等間隔にタイルを貼り付けて、タイル張り状にする工法が開発されている。この接着剤はパネルを貼り付けない部分が露出するため、高耐候性が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた接着強度、耐熱性、耐候性を有する弾性接着剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の接着剤組成物は、エステルを構成するアルコール成分の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸エステル単位を主たる構成単量体単位とし、ガラス転移温度が−10℃以下であり、重量平均分子量が500以上10000未満であるビニル重合体、およびアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン重合体を含有することを特徴とするものである。
請求項2に記載の接着剤組成物は、請求項1に記載の接着剤組成物が、重量平均分子量が10000以上1000000以下でありアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体をも含有することを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルとメタクリルを合わせて(メタ)アクリルという。
本発明の接着剤組成物は、エステルを構成するアルコール成分の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸エステル単位を主たる構成単量体単位とし、ガラス転移温度が−10℃以下であり、重量平均分子量が500以上10000未満であるビニル重合体(以下、重合体Aともいう。)、およびアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(以下、重合体Bともいう。)を含有するものである。
重合体Aは、エステルを構成するアルコール成分の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸エステル単位を主たる構成単量体単位とし、ガラス転移温度が−10℃以下であり、重量平均分子量が500以上10000未満であるビニル重合体である。重合体Aは、エステル部分に炭素数1〜20の、直鎖、分岐、あるいは環状のいずれでも良く、置換基を有しても有していなくても良く、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することにより得られる。かかる(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸脂肪族アルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシニルおよび(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の(メタ)アクリル酸脂環式アルキル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチルおよび(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等のヘテロ原子含有(メタ)アクリル酸エステルが例示され、これらのうち1種、または2種以上が用いられる。炭素数が21以上であると、エステル鎖が結晶化しやすくなり、接着強度が低下する。
上記単量体の中でも、ガラス転移温度が低いこと、耐水性や耐候性がよいことから、エステル部分が炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とすることが好ましく、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ラウリルおよびアクリル酸シクロヘキシルを主成分とすることがより好ましい。
【0006】
重合体Aはイソシアネート基、アルコキシシリル基、エポキシ基を有する単量体単位を含んでも良い。水酸基は、例えば請求項1のポリオキシアルキレン重合体のアルコキシシリル基とアルコール交換反応を生起し、アルコキシシリル基の反応性を低下させるので好ましくない。
具体的なイソシアネート基を有する単量体としては、(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート、メタクリルイソシアネート、ジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアネートが例示される。
具体的なアルコキシシリル基を有する単量体は、下記式(1)で表されるシリル基を含有する化合物である。
−Si(R1)aX1 (3-a) (1)
(式中、R1は水素原子またはアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を示し、X1はハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を示し、aは1または2である。)
【0007】
具体例をあげると、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジメチルシランおよびビニルトリクロロシランなどのビニルシラン類、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピルおよび(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピルなどのシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルなどのシリル基含有ビニルエーテル類、トリメトキシシリルウンデカン酸ビニルなどのシリル基含有ビニルエステル類などが例示される。これらの中でも(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性や共重合体の耐熱性の点からメトキシ基またはエトキシ基を有するシリル基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。これら加水分解性シリル基を有する単量体についても、1種類または2種類以上用いることが可能である。
【0008】
エポキシ基を有する単量体としては(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキサンエポキシ、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどが例示される。
【0009】
重合体Aは、エステル部分の炭素数が1〜20である置換基を有しても良い(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主要構成単位として有する。具体的には前記単位を80質量%以上含有するのが好ましい。イソシアネート基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する単量体は必須ではないが、存在する場合でも20質量%以下、好ましくは10重量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単位が80質量%以下であると、接着剤組成物の保存安定性が不十分である。
【0010】
本発明では、所望により(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な反応性基を含まない単量体を使用してもよい。具体的にはクロトン酸エステル類、α−オレフィン類、クロロエチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イソプロペニルエーテル類、イソプロペニルエステル類、アリルエーテル類およびアリルエステル類、などが例示される。
【0011】
具体的な化合物としては、クロトン酸エチル、クロトン酸ブチル、およびクロトン酸シクロヘキシル等のクロトン酸エステル類、エチレン、プロピレン、1−ブテンおよびイソブチレンなどのα−オレフィン類、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどのクロロエチレン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルおよびシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニルベオバ9およびベオバ10(シェル化学製、炭素数が9および10の脂肪酸ビニルの商品名)およびラウリン酸ビニル等のビニルエステル類、エチルイソプロペニルエーテルおよびブチルイソプロペニルエーテル等のイソプロペニルエーテル類、酢酸イソプロペニルエステル、酢酸イソプロペニルエステルおよびカプロン酸イソプロペニルエステルイソプロペニルエステル類、エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類が挙げられる
上記のその他単量体単位は、本発明の物性を損なわない範囲で含有することができる。具体的には全単量体単位の30質量%以下が好ましい。30質量%を超えるとTgが上昇し弾性や接着性が発現しにくくなる。
【0012】
重合体Aのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、500以上10000未満であり、好ましくは1000以上7000未満である。重量平均分子量が500に満たないと、充分な接着強度が得られない。一方10000以上になると、粘度が高くなってしまい、作業性に劣るものとなる。
【0013】
重合体Aのガラス転移温度は−10℃以下が好ましく、−20℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が−10℃を超えると、冬期に充分な弾性接着性を有しなくなる恐れがあり、また作業性も悪くなる。下限は特に制限はないが、通常入手できる原料単量体を使用すると、−80℃程度である。
【0014】
重合体Aは、通常のラジカル重合により製造されるが、ラジカル重合開始剤は用いても用いなくてもよい。ラジカル重合開始剤を用いる場合は、具体的にはジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドおよびラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウム等の無機過酸化物が使用できる。重合開始剤の使用量は、本発明の重合体を構成する全単量体100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
【0015】
本発明では、有機溶媒中で行う溶液重合、無溶剤で行う塊状重合、水媒体中で行う懸濁重合や乳化重合を用いることができる。有機溶媒を用いる場合、有機炭化水素系化合物が適当でありテトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類等があげられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。溶媒の使用量は、重合体の固形分濃度として30〜100質量%となる量であることが好ましい。必要により連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタンを加えることができる。
【0016】
本発明では、室温〜100℃の常圧下、単量体をバッチ式、半連続式、連続式に添加することで重合することができるが、170℃以上の高温で連続重合することが好ましい。これによれば、低分子量で粘度の低い重合体を得ることができ、さらに当該重合方法は、重合開始剤を用いる必要がないか、又は重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量の共重合体が得られるため、熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高い重合体が得られる。また、温度の調節により分子量の調節が可能となるため、連鎖移動剤は必要としない。これらのため、組成物をより耐候性に優れたものとすることができる。また、連続重合であるため重合の暴走がなく、安全な製造方法といえる。
【0017】
高温連続重合法としては、特開昭57−502171号、同59−6207号、同60−215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。
【0018】
重合体Bは、重合体1分子あたり1個以上のアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン重合体である。重合体Bとしては、オキシアルキレンがオキシプロピレンであり1分子に2〜3個のアルコキシシリル基を有する重合体が例示される。具体的には、鐘淵化学工業製のサイリルSAT010、SAT030、SAT200、ESX250、SAT350、SAX710、SAX770、旭硝子製のエクセスターES−S2410、ES−S2420、ES−S3430、ES−S3630が例示される。
【0019】
本発明の接着剤組成物は、上記重合体Aおよび重合体Bのほか、重量平均分子量が10000以上1000000以下でありアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(以下、重合体Cともいう。)をも含有するをも含有するものであってもよい。
重合体Bと重合体Cの混合物(以下、重合体混合物Dともいう。)は市販されており好適に使用することができる。その具体例としては鐘淵化学工業製のサイリルMA430、MA440、MA447等が挙げられる。重合体混合物Dを構成する重合体Bと重合体Cの割合は、重合体B100質量部あたり重合体Cが10〜200質量部が好ましい。なお、重合体混合物Dは、単に重合体Bと重合体Cを混合したもの、重合体Bの中で重合体Cを構成する単量体を重合したもの等を包含する。
【0020】
接着剤組成物は、重合体Bおよび重合体Cの合計100質量部を基準として重合体A10〜200質量部を含有するものが好ましい。すなわち、接着剤組成物が重合体Cの添加されていないものである場合は重合体B100質量部が基準であり、重合体Cが添加されているものである場合は重合体混合物D100質量部が基準である。重合体Aが10質量部未満では、耐候性が低下し、且つ接着剤組成物の粘度が高くなり作業性に劣る場合がある。200質量部を超えると粘度が下がりすぎ塗工面にむらができる場合がある。より好ましくは20〜100質量部である。
【0021】
本発明の接着剤組成物を三次元架橋させゴム状弾性を有する固体へと硬化させるためには、従来公知の硬化促進剤を使用することができる。その具体例としては、テトラブチルチタネートおよびテトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ラウリン酸スズおよびフェルザチック酸スズなどの錫カルボン酸塩類、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートおよびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナートおよびチタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉄、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)、ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)およびオクチル酸ビスマスなどのビスマス化合物、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸などとの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの公知のシラノール縮合触媒等が例示される。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。好ましい硬化促進剤としては、硬化速度の調整が容易なことから、錫カルボン酸塩類が例示される。
使用量は種類により適正な量が異なるが、本発明の全重合体質量(重合体A、BおよびCの合計質量)を基準として0.1ppm〜10%であることが好ましく、さらに好ましくは0.01%〜3%である。
【0022】
本発明の接着剤組成物はエポキシ樹脂を配合しても良い。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン−ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンなどのごとき多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのごとき不飽和重合体のエポキシ化物などが例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用されうる。これらのエポキシ樹脂のうちではとくにエポキシ基を少なくとも分子中に2個含有するものが、硬化に際し反応性が高く、また硬化物が3次元的網目をつくりやすいなどの点から好ましい。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂類またはノボラック型エポキシ樹脂などがより好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂は、本発明の全重合体(重合体A、BおよびCの合計質量)100質量部を基準として、10〜100質量部となるように配合して使用する。エポキシ樹脂が100質量部を超えると耐候性が低下する場合がある。
また、エポキシ樹脂を使用する場合は、エポキシ樹脂の硬化剤を併用することが好ましい。具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の1級アミン、(CH3)2N(CH2)nN(CH3)2(式中nは1〜10の整数)で示される直鎖状ジアミン、(CH3)2−N(CH2)n−CH3(式中nは0〜10の整数)で示される直鎖第3級アミン、テトラメチルグアニジン、N{(CH2)nCH3}3(式中nは1〜10の整数)で示されるアルキル第3級モノアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、ジアザビシクロウンデセン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、BASF社製ラミロンC−260、CIBA社製Araldit HY−964およびロームアンドハース社製メンセンジアミン等の第2級または第3級アミン、1,2−エチレンビス(イソペンチリデンイミン)、1,2−ヘキシレンビス(イソペンチリデンイミン)、1,2−プロピレンビス(イソペンチリデンイミン)、p,p′−ビフェニレンビス(イソペンチリデンイミン)、1,2−エチレンビス(イソプロピリデンイミン)、1,3−プロピレンビス(イソプロピリデンイミン)、p−フェニレンビス(イソペンチリデンイミン)等のケチミン、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物、各種ポリアミド樹脂、ジシアンジアミドおよびその誘導体および各種イミダゾール類等が例示される。
【0024】
また本組成物に、加水分解性シリル基とエポキシ基の両方に反応可能な基を有する化合物を添加すると強度がより向上するので好ましい。その具体例としては、例えばN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、機械物性を調整するために充填剤を添加することが可能である。具体的には、シリカ、珪酸類、ケイソウ土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、クレー、タルク、ベントナイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、亜鉛華、シラスバルーン、石綿、ガラス繊維、フィラメントなどが例示される。強度を上げる場合には、シリカ、珪酸類、カーボンブラック、クレー、超微細炭酸カルシウム、亜鉛華などが好適であり、弾性を重視する場合には酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどが好適である。好ましい使用量は本発明の全重合体100質量部当たり1〜200質量部である。これらの充填剤は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合してもよい。
【0026】
接着剤組成物を硬化させた時の硬度を変えるなど物性を制御するために、物性調整剤を用いることができる。物性調整剤としては例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシランおよびn−プロピルトリメトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシランなどのアルキルイソプロペノキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジメトキシシランなどの各種シランカップリング剤、シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が必要に応じて添加される。本発明の全重合体100質量部に対し、0〜20質量部の範囲で添加することが好ましい。
【0027】
さらには脱水剤を添加することができる。脱水剤としては、オルトギ酸メチルおよびオルト酢酸メチル等のオルトエステル類;テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの加水分解性シリル基を有する化合物などが挙げられる。本発明の全重合体100質量部に対し、0〜20質量部の範囲で添加することが好ましい。
【0028】
本発明の接着剤組成物はその他に、トルエン、メチルエチルケトンなどの各種溶剤;紫外線硬化性樹脂、酸素硬化性樹脂などの表面特性および/あるいは耐候性改良剤;顔料、染料などの着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、難燃化剤などのような添加剤も任意に使用してもよい。
【0029】
本発明の接着剤組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿分を吸収することにより硬化する1液型として調製することが可能である。また、共重合体および必要によりエポキシ樹脂を主成分とする接着剤主剤と、硬化触媒および必要によりエポキシ樹脂硬化剤を主成分とする接着剤硬化剤の2成分型として調製することも可能である。
【0030】
以下に本発明を実施例に基づき説明するが、下記実施例に限定されるものではない。
【0031】
【実施例】
<合成例1>電熱式ヒーターを備えた容量1000mlの加圧式攪拌槽型反応器を、温度を22〜230℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてアクリル酸ブチル(以下BAという)を70質量部、メタアクリル酸ブチル(以下BMAという)30質量部、重合触媒としてジターシャリーブチルパーオキサイドを1.0質量部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(80g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応物を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、ヒータを制御することにより、反応温度220〜230℃を保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の抜き出し開始点とし、これから25分反応を継続した結果、2.0kgの単量体混合液を供給し、1.9kgの反応液を回収した。その後反応器を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離した。ガスクロマトグラフより、濃縮液中に未反応モノマーは存在していなかった。溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(以下Mnという)は2000、重量平均分子量(以下Mwという)は3900であった。この共重合体を1H−NMRにより構造を調べた結果、BA:BMA=70:30(重量比)であることを確認した。重合体のガラス転移温度(以下Tgという)は−60℃であった。
【0032】
<合成例2,3>単量体を変える以外は合成例1と同様に、官能基の異なる重合体を合成した。組成物中の単量体の割合、および生成物の物性を表1に示す。
【0033】
<合成例4>温度計、滴下ロート、窒素置換用ガラス管及び攪拌器を取り付けた1リットル4つ口フラスコに連鎖移動剤としてドデシルメルカプタンを2gおよび溶剤としてトルエンを200g仕込み、窒素を吹き込みながら90℃に加熱した。この後、BAを50g、HAを50gからなる単量体および重合開始剤として2,2’−アゾビスブチロニトリルを3gからなる混合物を5時間にわたり連続滴下して重合を行った。その後、得られた反応液の溶媒および未反応モノマ−を減圧留去して、重合体95gを得た。この重合体はBA:HA=49:51(重量比)、Mn=2700、Mw=6200、ガラス転移温度は−71℃であった。
【0034】
<実施例1〜4、比較例1〜2>
重合体Aとして合成例1〜4の共重合体、重合体BとしてサイリルSAT200(鐘淵化学工業製)、重合体混合物DとしてサイリルMA440(鐘淵化学工業製)、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製エピコート828)、エポキシ硬化剤(油化シェルエポキシ製エピキュアH30)、アミノシラン(日本ユニカー製A1120)、脱水剤(日本ユニカー製A171)、硬化触媒(ジブチル錫ジラウレート)、炭酸カルシウム(白石カルシウム製白艶化CCR)、酸化チタン(石原産業製タイペークR820)、老化防止剤(チバスペシャリティー製チヌビンB75)を表2に示す質量部で混合した。これらについて厚さ3mのシートを作製し、常温で2日間、その次に50℃で3日間の養生を行った。硬化物のシートから3号ダンベル試験片を打ち抜き、JISK6301に基づいて引張試験を行い、破断時強度、伸度を測定した(引張物性)。
また、引張剪断強度測定用に、JISK6850に基づいてアルミ(A1050P材)およびモルタル片に20mm×15mmに塗布して貼り合わせ、23℃53%RH×7日放置した後、引張剪断試験を行った(常態接着性)。なお、破壊の基準を以下に示す。
破壊の基準
○−凝集破壊または母材破壊
△−凝集破壊と界面破壊が混在
×−界面破壊
また、上記の養生による試験片について、80℃、2週間の加熱を行った後に常温まで戻し、引張剪断試験を行い(耐熱性)、常態での剪断引張強度の保持率を調べた。
さらに、モルタル片に40mm×40mmに塗った後、サンシャインウェザオメーター試験を行い、200時間ごとに目視で観察しながら1000時間まで試験を行った(耐候性)。
これらの結果を表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
実施例、比較例を比較すれば明らかなように、本発明の接着剤組成物は、十分な接着強度、耐熱性、耐候性を有するバランスのとれた弾性接着剤になる。
Claims (3)
- エステルを構成するアルコール成分の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸エステル単位を主たる構成単量体単位とし、ガラス転移温度が−10℃以下であり、重量平均分子量が500以上10000未満であり、単量体を170℃以上で連続重合して得られたビニル重合体、およびアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン重合体を含有する無溶剤の接着剤組成物。ただし、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する組成物を除く。
- エポキシ樹脂をも含有する請求項1に記載の接着剤組成物。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物を使用して基材を接着する方法。
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