JP6700653B2 - 半導体接着用樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

半導体接着用樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体接着用樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置に係り、特に、所定の構造を有するシランカップリング剤を含有し、硬化物の熱時接着強度等を向上させた半導体接着用樹脂組成物及び半導体装置に関する。
半導体装置において、リードフレーム上の所定部分にLED、IC、LSI等の半導体素子(以下、半導体チップとも称する)を固定する工程は、半導体装置の信頼性に影響を与える重要な工程の一つである。この固定方法としては、従来から、有機材料に充填材を分散させたペースト状の樹脂組成物を接着剤として使用する方法が知られている。
ところで、近年、電子機器の小型軽量化、高機能化の動向に対応して、半導体パッケージの小型化、薄型化、狭ピッチ化が益々加速する中、半導体素子においては薄型化、大型化の傾向があり、半導体接着用樹脂組成物には、接着力の向上が求められている。さらに、信頼性確保の観点から、吸湿後の耐半田クラック性の向上も強く求められている。
また、半導体装置製造工程における半導体素子の接着、いわゆるダイボンド工程での生産性向上を目的とし、ダイボンダー、ワイヤーボンダーなどを同一ライン上に配置したインライン硬化方式が採用され、増加する傾向にある。インライン硬化方式では短時間で硬化させるため、高温で加熱している。ところが、このとき溶剤や反応性希釈剤を短時間で揮発させなければならないが、揮発が不十分になる場合がある。揮発が不十分であると、ペースト硬化物中にボイドが残り易くなってしまい、接着強度が低下し、耐半田クラック性も低下してしまう。
このような問題に対して、半導体接着用樹脂組成物に、変性アクリレート及びゴム成分を配合して低弾性率化を図り、半導体装置の耐半田リフロー性を向上させたダイアタッチペーストが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特定のシランカップリング剤で、フィラー表面を処理して接着強度を向上した半導体接着用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−12637号公報 特開2002−284889号公報
しかしながら、半導体素子の集積度が向上する中、半導体素子の大型化が進展し、はんだリフロー時のストレスが増大してきたことから、さらに、吸湿時における耐はんだクラック性の向上が望まれるようになってきた。
そこで、本発明の目的は、吸湿処理後の耐半田クラック性試験において、リードフレームと半導体チップ間に剥離が発生するのを抑制し、信頼性に優れた半導体装置を製造できる半導体接着用樹脂組成物及び該半導体接着用樹脂組成物を用いて得られる半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するシランカップリング剤を配合することにより、良好な熱時接着強度及び吸湿後熱時接着強度を発揮できる半導体接着用樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の半導体接着用樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂と、(B)無機充填材と、(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤を必須成分とする半導体接着用樹脂組成物であって、前記(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0006700653
(式中、R及びR’はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは酸素原子を間に挟んでもよい炭素数5〜12の2価の有機基であり、nは1〜3の整数である。)
なお、ここで、(B)無機充填材が、平均粒子径0.1〜30μmの銀粉であることが好ましく、(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤の配合量が、半導体接着用樹脂組成物中に0.1〜10質量%であることが好ましい。また、さらに、(D)シクロアルキル構造を含有する希釈剤を含んでいることが好ましい。
本発明の半導体装置は、上記半導体接着用樹脂組成物を介して、半導体素子を半導体素子支持部材上に接着してなることを特徴とする。
本発明の半導体接着用樹脂組成物によれば、熱時接着強度及び吸湿後熱時接着強度が良好な硬化物を得ることができる。また、本発明の半導体装置は、上記の半導体接着用樹脂組成物を用いて得られるものであり、耐半田リフロー性が優れたものとなり、信頼性の高いものとなる。
本発明の一実施形態である半導体装置を示す断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される(A)熱硬化性樹脂は、一般に接着剤用途として使用される熱硬化性樹脂であれば特に限定されずに使用できる。中でも、液状樹脂であることが好ましく、室温(25℃)で液状である樹脂がより好ましい。この(A)熱硬化性樹脂としては、例えば、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。
シアネート樹脂は、分子内に−NCO基を有する化合物であり、加熱により−NCO基が反応することで3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂である。このシアネート樹脂を具体的に例示すると、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、ノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類、などが挙げられる。
また、これらの多官能シアネート樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーも使用できる。このプレポリマーは、上記の多官能シアネート樹脂モノマーを、例えば、鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、炭酸ナトリウムなどの塩類、を触媒として重合させることにより得られる。
シアネート樹脂の硬化促進剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン鉄などの有機金属錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。また、シアネート樹脂は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂などの他の樹脂と併用することも可能である。
エポキシ樹脂は、グリシジル基を分子内に1つ以上有する化合物であり、加熱によりグリシジル基が反応することで3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂である。グリシジル基は1分子に2つ以上含まれていることが好ましいが、これはグリシジル基が1つの化合物のみでは反応させても十分な硬化物特性を示すことができないからである。
グリシジル基を1分子に2つ以上含む化合物は、2つ以上の水酸基を有する化合物をエポキシ化して得ることができる。このような化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物又はこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオール又はこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオール又はこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する化合物などをエポキシ化した3官能のもの、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などをエポキシ化した多官能のものなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、このエポキシ樹脂は、樹脂組成物として室温でペースト状又は液状とするため、単独で又は混合物として室温で液状のものが好ましい。通常行われるように反応性の希釈剤を使用することも可能である。反応性希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの1官能の芳香族グリシジルエーテル類、脂肪族グリシジルエーテル類などが挙げられる。
このとき、エポキシ樹脂を硬化させる目的で硬化剤を使用するが、エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ジヒドラジドなどのカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられ、酸無水物としてはフタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンの共重合体などが挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるフェノール樹脂としては1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物であり、1分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の場合には架橋構造をとることができないため硬化物特性が悪化し使用できない。
また1分子内のフェノール性水酸基数は2つ以上であれば使用可能であるが、好ましいフェノール性水酸基の数は2〜5である。これより多い場合には分子量が大きくなりすぎるので導電性ペーストの粘度が高くなりすぎるため好ましくない。より好ましい1分子内のフェノール性水酸基数は2つ又は3つである。
このような化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類及びその誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類及びその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドとを反応させて得られる化合物で2核体又は3核体がメインのもの及びその誘導体などが挙げられる。
さらに、硬化を促進するために硬化促進剤を配合でき、エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフィン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系化合物、それらの塩類などが挙げられる。この硬化促進剤としてはイミダゾール化合物が好適に用いられ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−C1123−イミダゾール、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物などが挙げられる。なかでも特に好ましいのは融点が180℃以上のイミダゾール化合物である。また、エポキシ樹脂は、シアネート樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂との併用も好ましい。
ラジカル重合性のアクリル樹脂とは、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、(メタ)アクリロイル基が反応することで3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂である。(メタ)アクリロイル基は分子内に1つ以上含まれていることが好ましい。
特に好ましいアクリル樹脂は分子量が100〜10000のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートなどを骨格とし、(メタ)アクリル基を有する化合物である。
ここで、ポリエーテル骨格としては、炭素数が1〜6の有機基がエーテル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエーテルは、ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリエステル骨格としては、炭素数が1〜6の有機基がエステル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエステルは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリカーボネートとしては、炭素数が1〜6の有機基がカーボネート結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリカーボネートは、ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリ(メタ)アクリレート骨格としては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートとの共重合体又は極性基を有する(メタ)アクリレートと極性基を有さない(メタ)アクリレートとの共重合体などが好ましい。
ここで、(A)成分がアクリル樹脂である場合は、その重合にあたって、一般に重合開始剤が使用されるが、重合開始剤としては熱ラジカル重合開始剤が好ましく、公知の熱ラジカル重合開始剤であれば特に限定されずに使用できる。また、熱ラジカル重合開始剤としては、急速加熱試験(試料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温した時の分解開始温度)における分解温度が40〜140℃となるものが好ましい。分解開始温度が40℃未満だと、導電性ペーストの常温における保存性が悪くなり、140℃を超えると硬化時間が極端に長くなってしまう。
このような特性を満たす熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチル−パーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシビバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソブタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらは単独又は硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。また、上記のラジカル重合性のアクリル樹脂は、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂との併用も好ましい。
このラジカル開始剤は、単独で又は硬化性を制御するために2種類以上を混合して用いてもよい。さらに、半導体接着用樹脂組成物の保存性を向上するために各種の重合禁止剤を予め添加しておくことも可能である。
この熱ラジカル開始剤の配合量は、ラジカル重合性のアクリル樹脂成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。10質量部を超えると半導体接着用樹脂組成物の粘度の経時変化が大きくなり作業性に問題を生じる可能性があり、0.1質量部未満であると硬化性が著しく低下する可能性がある。
マレイミド樹脂は、1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、加熱によりマレイミド基が反応することで3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂である。例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド樹脂は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸の反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸といったマレイミド化アミノ酸とポリオールの反応により得られる化合物である。マレイミド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸又はアミノカプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。
また、マレイミド樹脂は、主鎖に脂肪族炭化水素基を有するビスマレイミド樹脂であり、2つのマレイミド基を連結する主鎖が、炭素数が1以上の脂肪族炭化水素基を有して構成されるものが、特に好ましい。
ここで、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状及び環状のいずれの形態でもよく、炭素数が6以上であることが好ましく、炭素数が12以上であることがより好ましく、炭素数が24以上であることが特に好ましい。また、この脂肪族炭化水素基はマレイミド基に直接結合していることが好ましい。
また、マレイミド樹脂としては、例えば、次の一般式(2)で表される化合物
Figure 0006700653
(式中、Qは炭素数6以上の2価の直鎖状、分枝鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基を示し、Pは2価の原子又は有機基であって、O、CO、COO、CH、C(CH、C(CF、S、S、SO及びSOから選ばれる2価の原子又は有機基を少なくとも1つ以上含む基であり、lは1〜10の整数を表す。)も好ましく用いられる。
ここで、Pで表される2価の原子は、O、S等が挙げられ、2価の有機基は、CO、COO、CH、C(CH、C(CF、S、SO、SO等、また、これらの原子又は有機基を少なくとも1つ以上含む有機基が挙げられる。上記した原子又は有機基を含む有機基としては、上記以外の構造として、炭素数1〜3の炭化水素基、ベンゼン環、シクロ環、ウレタン結合等を有するものが挙げられ、その場合のPとして次の化学式で表される基が例示できる。
Figure 0006700653
主鎖に脂肪族炭化水素基を有するビスマレイミド樹脂を用いると、耐熱性に優れるとともに、低応力で吸湿後の熱時接着強度の良好な半導体接着用熱硬化型樹脂組成物が得られるため好ましい。
このようなマレイミド樹脂の具体例としては、BMI−1500(デジグナーモレキュールズ社製、商品名;分子量 1500)、BMI−1700(デジグナーモレキュールズ社製、商品名;分子量 1700)、等が挙げられる。
さらに、上記ビスマレイミド樹脂はアリル基を有する化合物との併用が好ましく、アリル化ビスフェノールとエピクロルヒドリンの重合物であるアリル化エポキシ樹脂若しくは、ラジカル重合性アクリル樹脂との併用が特に好ましい。
ここで、アリル化ビスフェノールとエピクロルヒドリンの重合物であるアリル化エポキシ樹脂は、例えば、多価フェノール化合物をメタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール類やアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の溶剤に溶解後、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基を用いて塩化アリルや臭化アリル等のハロゲン化アリルと反応させて多価フェノール化合物のアリルエーテルを得た後、アリル化多価フェノール化合物とエピハロヒドリン類の混合物に触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括添加又は徐々に添加しながら20〜120℃で0.5〜10時間反応させることによって得ることができる。
ここで、アリル化エポキシ樹脂は、次の一般式(3)で表される化合物
Figure 0006700653
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基及び置換又は無置換のアリル基から選ばれる基であって、そのうちの少なくとも1つは置換又は無置換のアリル基であり、XはSO、SO、CH、C(CH、C(CF、O、CO及びCOOから選ばれる2価の原子又は有機基であり、mは0又は1である。)が好ましく用いられる。
マレイミド樹脂と、アリル化エポキシ樹脂若しくはラジカル重合性アクリル樹脂を併用する場合の配合割合は、50/50〜95/5が好ましく、より好ましくは65/35〜90/10である。
マレイミド樹脂の配合割合を上記範囲とすることで、吸水率が低く、熱時接着強度や吸湿後熱時接着強度、及び耐はんだリフロー性の良好な半導体接着用樹脂組成物が得られる。
本発明で用いられる(B)成分の無機充填剤としては、従来、樹脂組成物中に含有可能なものとして公知なものであればよく、例えば、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉等の金属粉や、溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク等の無機粉末及び該無機粉末の表面を金属で被覆した金属被覆型無機充填材等が挙げられる。これらの内、金属粉は主に導電性や熱伝導性を付与するために用いられる。
これら無機充填材の中でも、導電性の用途の半導体接着用樹脂組成物には特に入手が容易なこと、形状や粒径の種類が多く、導電性が良好であり、加熱しても導電性が変化しない点で銀粉が好ましく、絶縁用途の半導体接着用樹脂組成物には入手の容易さと種類の豊富さの点でシリカが好ましい。これらの充填材は、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等のイオン性不純物の含有量が10ppm以下であることが好ましい。また、充填材の形状としては特に限定されず、例えば、フレーク状、鱗片状、樹枝状、球状等の形状の充填材が用いられる。
本発明で用いられる(B)無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.1〜30μmの範囲であることが好ましい。0.1μm未満となると粘度上昇のおそれがあり、30μm超となるとチップが傾き、シリンジ詰まりの発生、硬化後の空隙が発生するおそれがある。ここで平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定して得られた体積基準の粒度分布曲線における50%積算値(50%粒子径)を指す。
この(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、1〜300質量部が好ましい。配合量を1質量部以上とすることで、硬化物の膨張係数が過度に大きくなることを抑制し、接着の信頼性を良好にすることができる。また、300質量部以下とすることで、粘度が過度に大きくなることを抑制し、作業性を良好にすることができる。
本発明で用いられる(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤は、1分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基をともに有する化合物であり、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006700653
(式中、R及びR’はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは酸素原子を間に挟んでもよい炭素数5〜12の2価の有機基であり、nは1〜3の整数である。)
上記式中、R及びR’は炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、互いに同一でも異なっていてもよい。Rとしてはメチル基、エチル基が好ましく、R’としてはメチル基が好ましい。
Aの2価の有機基としては、炭化水素基、該炭化水素基の中に酸素が介在したエーテル結合(−O−)を有する基等が挙げられる。炭化水素基の場合、炭素数5〜12、特に7〜12の基であることが好ましく、なかでもアルキレン基が好ましい。炭素数が5より小さいと接着性、特に熱時接着性や吸湿後熱時接着性に劣り、炭素数が12より大きいと粘度が高くなり、分散性が劣るため好ましくない。
また、上記エーテル結合(−O−)を有する基としては、例えば、−C12−O−CH−、−C16−O−CH−、−C1020−O−CH−等が好ましい。
nは1〜3の整数であり、2又は3が好ましく、3が特に好ましい。なお、Aで表される2価の有機基において、水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。
シランカップリング剤として上記一般式(1)で表される化合物を含むことにより、熱時接着強度や吸湿後熱時接着強度、及び耐はんだリフロー性の良好な半導体接着用樹脂組成物が得られる。
(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤の具体的な例としては、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシオクチルジメチルメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリエトキシシラン、グリシドキシオクチルメチルジエトキシシラン、グリシドキシオクチルジメチルエトキシシラン、7,8−エポキシオクチルトリメトキシシラン、9,10−エポキシデシルトリメトキシシランなどが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤の配合量は、半導体接着用樹脂組成物の総量100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。この配合割合が0.1質量部未満であると、熱時接着強度及び吸湿後熱時接着強度が劣り、10質量部を超えると、揮発分が多くなり硬化物中にボイド状の空隙が生じるおそれがあり好ましくない。
本発明においては、さらに(D)希釈剤を含んでもよい。希釈剤としては、特に制限はないが、吸湿後の熱時接着強度が良好であることから、シクロアルキル構造を含有する化合物が好ましく使用できる。シクロアルキル構造を含有する化合物としては、例えば、次の一般式(4)、(5)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0006700653
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R10は、置換基を有してもよい炭素数3〜36のシクロアルキル構造を有する有機基を表す。)
Figure 0006700653
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R10は、置換基を有してもよい炭素数3〜36のシクロアルキル構造を有する有機基を表す。)
上記一般式(4)、(5)において、R10で表されるシクロアルキル構造を有する有機基としては、特に限定はないが、例えば、シクロブチル構造、シクロペンチル構造、シクロへキシル構造、シクロヘプチル構造、シクロオクチル構造、シクロノニル構造、シクロデシル構造、シクロウンデシル構造、シクロドデシル構造、シクロトリデシル構造、シクロテトラデシル構造、シクロペンタデシル構造、シクロヘキサデシル構造、シクロへプタデシル構造、シクロオクタデシル構造等が挙げられる。ここで、シクロアルキル構造を有する基としては、シクロアルキル構造に直接COOが結合してもよいし、シクロアルキル構造に結合したアルキル基やアルキルオキシ基等を介して間接的にCOOに結合してもよい。間接的に結合する場合のアルキル基やアルキルオキシ基は、その炭素数が1〜6であることが好ましい。R10は、一般式(4)においては1価の置換基となり、一般式(5)においては2価の置換基となる。また、このシクロアルキル構造は置換基を有してもよく、その置換基としては、特に限定はないが、例えば、炭素数1〜18の炭化水素基等が挙げられる。
(D)希釈剤としてシクロアルキル構造を含有する化合物を含むことによって、熱時接着強度や吸湿後熱時接着強度、耐はんだリフロー性の良好な半導体接着用樹脂組成物が得られる。
上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロへキシル(メタ)アタリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アタリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシルアクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物としては市販品を使用でき、例えば、ライトエステルIB−X(共栄社化学株式会社製、商品名)、FA−544(日立化成工業株式会社製、商品名)、ライトアクリレートIB−XA(共栄社化学株式会社製、商品名)、FA−513M(日立化成工業株式会社製、商品名)、FA−513A(日立化成工業抹式会社製、商品名)、CHDMMA(日本化成工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
上記一般式(5)で表される化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、等が挙げられる。これらの化合物としては市販品を使用でき、例えば、DCP(新中村化学工業株式会社製、商品名)、A−DCP(新中村化学工業株式会社製、商品名)、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学株式会社製、商品名)等が挙げられる。
本発明の半導体接着用樹脂組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、ゴムやシリコーン等の低応力化剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤(顔料、染料)、各種重合禁止剤、酸化防止剤、その他の各種添加剤を、必要に応じて配合することができる。これらの各添加剤はいずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の半導体接着用樹脂組成物は、上記した(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等を予備混合し、ロール等を用いて混合した後、真空下脱泡する等の製造方法により得られる。
本発明の半導体接着用樹脂組成物は、吸水率が低く、熱時接着強度及び吸湿後熱時接着強度に優れた硬化物が得られ、これを用いて半導体素子を接着することで、特に耐はんだリフロー性が従来に比べて向上した半導体装置を得ることができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
本発明の半導体装置は、本発明の半導体接着用樹脂組成物を用いて公知の方法により製造でき、例えば、半導体素子と半導体素子支持部材との間に上記半導体接着用樹脂組成物を介して接着、固定することにより行われる。例えば、本発明の半導体接着用樹脂組成物を介して半導体素子をその支持部材であるリードフレームにマウントし、半導体接着用樹脂組成物を200℃、2分間の条件で加熱硬化させた後、リードフレームのリード部と半導体素子上の電極とをワイヤボンディングにより接続し、次いで、これらを封止樹脂により封止して製造することができる。ボンディングワイヤとしては、例えば、銅、金、アルミ、金合金、アルミニウム−シリコン等からなるワイヤが例示される。
図1は、このようにして得られた本発明の半導体装置の一例を示したものであり、銅フレームやPPF(パラジウム プリプレーティング リードフレーム)等のリードフレーム1と半導体素子2の間に、本発明の半導体接着用樹脂組成物の硬化物である接着剤層3が介在されている。また、半導体素子2上の電極4とリードフレーム1のリード部5とがボンディングワイヤ6により接続されており、さらに、これらが封止樹脂7により封止されている。なお、接着剤層3の厚さとしては、10〜30μm程度が好ましい。
なお、上記では半導体素子支持部材としてリードフレームを例示しているが、半導体素子を固定する対象となるものであれば限定されず、例えば、回路基板や放熱部材等に適用することもできる。
本発明の半導体装置は、熱時接着強度及び吸湿後の熱時接着強度に優れた半導体接着用樹脂組成物により半導体素子が接着固定されているので、耐半田リフロー性に優れており、高い信頼性を具備している。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
熱硬化性樹脂として、イミド拡張型ビスマレイミド(デジグナーモレキュールズ社製、商品名:BMI−1500;数平均分子量 1500) 80質量部、ジアリルビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:RE−810NM;エポキシ当量 223) 20質量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名:パークミルD) 1質量部、無機充填材としてフレーク状銀粉(粒径 0.1〜30μm、平均粒径 3μm) 250質量部、エポキシ基を含有するシランカップリング剤としてカップリング剤A(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−4803;グリシドキシオクチルトリメトキシシラン) 2質量部、希釈剤としてジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−513M) 43質量部、を十分に混合し、さらに三本ロールで混練して半導体接着用樹脂組成物を調製した。
(実施例2)
熱硬化性樹脂として、イミド拡張型ビスマレイミド(デジグナーモレキュールズ社製、商品名:BMI−1500;数平均分子量 1500)を40質量部、ジアリルビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:RE−810NM;エポキシ当量 223)を60質量部、とした以外は実施例1と同様にして、半導体接着用樹脂組成物を調製した。
(実施例3)
熱硬化性樹脂として、イミド拡張型ビスマレイミド(デジグナーモレキュールズ社製、商品名:BMI−1500;数平均分子量 1500)を80質量部、ヒドロキシルエチルアクリルアミド(株式会社興人製、HEAA)を20質量部、とした以外は実施例1と同様にして、半導体接着用樹脂組成物を調製した。
(比較例1)
エポキシ基を含有するシランカップリング剤としてカップリング剤a(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−403;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を2質量部、とした以外は実施例1と同様にして、半導体接着用樹脂組成物を調製した。
(比較例2)
シランカップリング剤としてカップリング剤b(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を2質量部、とした以外は実施例1と同様にして、半導体接着用樹脂組成物を調製した。
<特性評価方法>
[吸水率]:
得られた半導体接着用樹脂組成物を用いて、20mm×50mm×1mmのフィルム状の試験片を作製した(硬化条件 170℃で60分加熱)。得られた試験片を85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理し、処理前後の質量の増加を測定することで吸水率を算出した。
[熱時接着強度]:
6mm×6mmのシリコンチップを、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を用いて銅フレーム上にマウントし、インラインキュアの硬化条件である200℃で2分間加熱硬化させた。硬化後に垂直方向に引張り、接着強度測定装置を用い、260℃環境下での接着強度を測定した。
[吸湿後熱時接着強度]:
6mm×6mmのシリコンチップを、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を用いて銅フレーム上にマウントし、170℃で60分間加熱硬化させた。得られた半導体装置を、85℃、相対湿度85%で168時間の吸湿処理をした後に、垂直方向に引張り、接着強度測定装置を用い、260℃環境下での接着強度を測定した。
[耐半田リフロー性]:
4mm×4mmのシリコンチップを得られた樹脂組成物を用いて銅フレームにマウントし、インラインキュアの硬化条件である200℃で2分間加熱硬化させた。これを、京セラケミカル株式会社製のエポキシ樹脂封止材(商品名:KE−G3000D(K))を用い、下記の条件で成形したパッケージを85℃、相対湿度60%で168時間の吸湿処理を施した後、IRリフロー処理(260℃で10秒間)を行い、パッケージの外部クラック(パッケージ表面のクラック)の発生の有無を顕微鏡(倍率:15倍)で観察し、その発生数を調べた。また、パッケージの内部クラックの発生数を超音波顕微鏡で観察した。5個のサンプルについてクラックの発生したサンプル数を示す。
〈成形条件〉
80pQFP、14mm×20mm×2mm
チップサイズ:4mm×4mm(表面アルミニウム配線のみ)
リードフレーム:銅
封止材の成形:175℃、1分間
ポストモールドキュアー:175℃、6時間
これらの特性評価の結果を、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の組成とともに表1に示す。
Figure 0006700653
以上より、シランカップリング剤として、シランカップリング剤A(一般式(1)において、Rがメチル基、nが3、Aが−C16−O−CH−で表される2価の有機基である)を含有する接着剤樹脂組成物は、熱時接着強度及び吸湿後熱時接着強度のいずれにおいても良好な接着性を示し、かつ、耐はんだリフロー性も良好であった。一方、シランカップリング剤a(一般式(1)において、Rがメチル基、nが3、Aが−C−O−CH−で表される2価の有機基である)を含有する接着剤樹脂組成物と、シランカップリング剤b(エポキシ基を有さず、含有する炭素鎖の短い化合物)を含有する接着剤樹脂組成物においては、熱時接着強度及び吸湿後熱時接着強度のいずれにおいても接着性が低く、かつ、耐はんだリフロー性も不十分であった。

Claims (5)

  1. (A)マレイミド樹脂を主体とし、エポキシ樹脂又はヒドロキシエチルアクリルアミドモノマーを併用して含む熱硬化性樹脂と、(B)銀粉を含む無機充填材と、(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤と、を必須成分とし、銅製のリードフレームとシリコンチップとの接着に用いられる半導体接着用樹脂組成物であって、
    前記(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤が、グリシドキシオクチルトリメトキシシランであることを特徴とする半導体接着用樹脂組成物
  2. 前記(B)無機充填材が、平均粒子径0.1〜30μmの銀粉であることを特徴とする請求項1記載の半導体接着用樹脂組成物。
  3. 前記(C)エポキシ基を含有するシランカップリング剤の配合量が、前記半導体接着用樹脂組成物中に0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体接着用樹脂組成物。
  4. さらに、(D)シクロアルキル構造を含有する希釈剤を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体接着用樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体接着用樹脂組成物を介して、シリコンチップが銅製のリードフレーム上に接着されてなることを特徴とする半導体装置。
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