JP2001342239A - 硬化性組成物、及びその硬化物 - Google Patents

硬化性組成物、及びその硬化物

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JP2001342239A JP2000164817A JP2000164817A JP2001342239A JP 2001342239 A JP2001342239 A JP 2001342239A JP 2000164817 A JP2000164817 A JP 2000164817A JP 2000164817 A JP2000164817 A JP 2000164817A JP 2001342239 A JP2001342239 A JP 2001342239A
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JP2000164817A
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Atsushi Toda
淳 遠田
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Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業性、加工性、及び物性の面から優れ、接
着剤、積層体材料としての用途に加え、半導体チップ等
の封止にも好適で、新規な硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 (a)分子内に2つ以上の下記式(1)
または(2)で表される基 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10で結合価が2である炭化水
素基を示し、Rは分子内で同一であっても異なっていて
もよい)を有し、そのうち1つ以上は式(1)で表され
る基であるエピスルフィド化合物と、(b)分子内に2
つ以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物
とを含むことを特徴とする硬化性組成物、及び、その組
成物を硬化させることにより得られることを特徴とする
硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硬化性組成物及び硬
化物に関し、更に詳しくは、特定のエピスルフィド化合
物と特定のフェノール化合物を含む硬化性組成物、及び
その硬化物に関する。本発明の硬化性組成物は、適当な
基材、例えばシリコンウエハ、ガラス、ポリイミドフィ
ルム、ポリエステルフィルム、アルミ箔、銅箔等に塗布
し、これを他の基材で覆ったのち、加熱して硬化させて
接着させる接着剤に使用したり、あるいは、型等を用い
て成形し、例えば半導体チップ等の成形体を得るもので
ある。本発明の硬化性組成物は、硬化前の安定性に優
れ、かつ低い温度または短い時間で硬化し、耐溶剤性、
耐熱性を有する硬化物を与える等の優れた性能を有する
ものである。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂は、その用途によって、
(1)熱硬化前の粘度、保存安定性等といった作業性の
面、(2)接着性、硬化速度等といった加工性の面、及
び(3)可撓性、耐候性、誘電率等に代表される硬化物
の物性の面から、様々な性能が要求される。しかしなが
ら、硬化速度を上げようとすると保存安定性や接着性が
損なわれたりすることがあり、これら全ての要求性能を
同時に満足させることは、必ずしも容易ではない。
【0003】熱硬化性樹脂の代表であるエポキシ樹脂
は、必要に応じて、エポキシ化合物と反応する硬化剤及
び/または硬化触媒に代表される各種添加剤を添加して
硬化性組成物として用いられる。エポキシ樹脂の技術発
展は、まず、硬化速度を速めたり硬化温度を下げるとい
った硬化条件の改良要求に応えることに始まった。エポ
キシ樹脂のオキシラン環に修飾を施してその反応性を調
整することによって、保存性等の作業性や硬化後の高い
接着力といった性能と両立させつつ硬化条件の改良がな
されてきた。近年の、更なる硬化条件の改良要求に対し
ては、オキシラン環の修飾には限界があるため、硬化促
進剤や触媒の開発が主として行われた。この際、硬化剤
については、現実的に使用に供し得る化合物が限られて
いるうえ、硬化条件に制約をもたらし、加えて、硬化物
の物性にも大きな影響を及ぼすので、検討対象はかなり
限られていた。
【0004】一方、近年、半導体チップ等の電子部品の
封止材としての用途が注目されるようになったのに伴
い、硬化条件の他に、硬化物の物性について様々な性能
が要求されてきている。重要な課題としては、硬化物の
吸湿性を下げること、接着性を高めること、可撓性を付
与すること等が挙げられる。こうした改良に向けて、各
種の添加剤、例えばフィラーや繊維等の無機物、ポリマ
ーやゴム等の有機物等の添加が検討されている。しか
し、これらの物質を添加すると、硬化前の粘度が上がっ
て作業性が損なわれたり、或いは、添加物とエポキシ化
合物との相容性が低いために、性能が安定しなかった
り、必ずしも満足な結果は得られていない。従って、吸
湿性が低く可撓性に優れる熱硬化性樹脂を提供すること
は、電気電子分野をはじめ種々の産業分野での技術発展
に大きな寄与が期待される。
【0005】一方、エピスルフィド化合物は、分子内に
チイラン環を有する化合物であり、チイラン環は、エポ
キシ樹脂のオキシラン環と同様に開環反応を起こして硬
化物を形成する性質を持つ。例えば、特開平10−33
8810号公報や特開平11−116772号公報では
カルボジイミドとエピスルフィド化合物の反応例が示さ
れている。また、特開平11−166037号公報で
は、特定の構造を有するエピスルフィド化合物と活性水
素を有する化合物との組成物の例が挙げられている。
【0006】また、特開平11−209576号公報や
特開平11−209689号公報ではエポキシ樹脂(オ
キシラン環を有する化合物)とエピスルフィド樹脂(チ
イラン環を有する化合物)をポリアミドアミンで硬化さ
せる例が記載されている。更に、特開平11−1401
61号公報にも、アミン化合物、或いは酸無水物との反
応の例が示されている。しかしながら、一般的にポリア
ミドアミンによる硬化物は吸湿量が多く、また、組成物
の保存性が低いので、例えば、半導体チップや発光ダイ
オード等の封止材といった低吸水性、低誘電率が要求さ
れる電気電子用途には不適当である。また酸無水物との
硬化物はガラス転移点が低いといった欠点がある。
【0007】また、特開平7−138254号公報、特
開平7−196800号公報ではチイラン環を有する芳
香族化合物が例示されている。一般に芳香族化合物は耐
熱性は高いが、光や熱により酸化され着色しやすい性質
を有する。そのため、着色を防止するためには、酸化防
止剤などを添加する必要がある。しかしながら、酸化防
止剤は光の強度によっては効果が低下することがあり、
また、酸化防止剤が硬化物中から析出し、これにより表
面の汚染や光透過性の低下を起こすことがある。従っ
て、高度な耐候性が要求される用途、或いは発光ダイオ
ード封止材等のように高度な光透過性が要求される用途
に供するには、このような酸化防止剤添加は抜本的な改
良とはなっていない。このように、電気電子部品等の分
野での用途で強く要求される吸水性の低さを充分に実現
し、且つ作業性、加工性及び硬化物の物性の面から要求
される性能を同時に満足する硬化性樹脂は、本発明者等
の知る限り見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、係る事情を
鑑みてなされたものであって、(1)硬化前溶液の粘
度、保存安定性等の作業性の面、(2)基板等との接着
性、硬化速度等の加工性の面、及び(3)可撓性、耐薬
品性、吸水性等の物性の面から優れ、接着剤及び封止材
としての使用、並びに、積層体、複合材、電子部品等の
材料としての使用に好適な硬化性組成物を提供しようと
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を持つエピスル
フィド化合物とフェノール性水酸基を持つ化合物よりな
る硬化性組成物は、硬化速度が早く、硬化物の吸水性が
低く、基材との接着性と可撓性に優れている事を見いだ
し本発明に到達した。即ち、本発明の第1は、(i)
(a)分子内に2つ以上の下記式(1)または(2)で
表される基
【化2】
【0010】(式中、Rは炭素数1〜10で結合価が2
である炭化水素基を示し、Rは分子内で同一であっても
異なっていてもよい)を有し、そのうち1つ以上は式
(1)で表される基であるエピスルフィド化合物と、
(b)分子内に2つ以上のフェノール性水酸基を有する
フェノール化合物とを含むことを特徴とする硬化性組成
物である。
【0011】本発明の第2は、(ii)上記(i)に記
載の組成物よりなることを特徴とする封止材用硬化性組
成物または接着剤である。本発明の第3は、(iii)
上記(i)に記載の組成物を硬化させることにより得ら
れることを特徴とする硬化物である。本発明の第4は、
(iv)上記(iii)に記載の硬化物が用いられるこ
とを特徴とする電子部品または成形体である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、(a)分子内に2つ以上の上記式
(1)または(2)で表される基を有し、そのうち1つ
以上は式(1)で表される基であるエピスルフィド化合
物を使用することを一つの特徴とする。本発明の「エピ
スルフィド化合物」とは、式(1)で表される基を分子
内に2つ以上有する単一のエピスルフィド化合物、また
は、式(1)で表される基を分子内に2つ以上有すると
いう条件を満たす2種類以上のエピスルフィド化合物の
混合物、或いは、上記の化合物または混合物に含まれる
チイラン環部位の一部が硫黄ではなく酸素となりオキシ
ラン環を形成しているような化合物の混合物を指す。
【0013】本発明のエピスルフィド化合物が混合物で
ある場合、その混合比は任意である。好ましくは、混合
する化合物は2〜10種類であり、更に、オキシラン環
のみを有するエポキシ化合物が混入してもよい。本発明
のエピスルフィド化合物に含まれるチイラン環とオキシ
ラン環の比は、特に制限はない。全体に含まれるチイラ
ン環とオキシラン環の合計に対するチイラン環のモル比
率として好ましくは25%〜100%、より好ましくは
30%〜100%であるものが使用される。チイラン環
への変換率が高くなるにつれて、これを用いた硬化物の
特性がより良好になる傾向にある。これらのチイラン環
とオキシラン環の比は、例えばプロトンNMR等により
確認できる。
【0014】上記した、エピスルフィド化合物は、式
(1)で表されるチイラン環部位を含む置換基、及び/
または式(2)で表されるオキシラン環部位を含む置換
基、並びに、それらを連結する基本骨格から構成され
る。チイラン環部位及び/またはオキシラン環部位を含
む置換基は、分子内に2つ以上存在するが、互いに同一
の構造をとらなくてもよい。基本骨格には特に制限はな
く、好ましい基本骨格としては、芳香環、脂肪族環、並
びに、複数の芳香環及び/または脂肪族環が縮環した構
造等に例示される環状構造を含むものが挙げられる。該
基本骨格は、単一の環状構造のみから、若しくは、複数
の環状構造及びこれらの環状構造を連結する部位から構
成される。
【0015】ここで脂肪族環とは、炭素鎖が環状に閉じ
た構造で且つその環状部位が芳香族性を示さないものを
表す。芳香環、脂肪族環、並びに、複数の芳香環及び/
または脂肪族環が縮環した構造としては、合成のし易さ
等を勘案すると、5員環、6員環、並びに、5員環及び
/または6員環が縮環した構造が好ましい。より好まし
い構造としては、シクロペンタン環、ベンゼン環、シク
ロヘキサン環、ナフタレン環、テトラリン環、デカリン
環、及びシクロペンタジエンが2分子縮合した4,8−
トリシクロ[5.2.1.02.6]デカジエン、及びそ
の還元体であるトリシクロ[5.2.1.02.6]デカ
ン等が例示され、最も好ましい構造は、ベンゼン環、ナ
フタレン環、及びシクロヘキサン環である。
【0016】分子内に2つ以上の環状骨格がある場合
に、それらを連結する基としては、炭素数1〜10の2
価の非環式飽和炭化水素基、水酸基で置換された炭素数
1〜10の2価の非環式飽和炭化水素基、エーテル結
合、エステル結合、アミド結合、及びこれらを2つから
3つ組合せた基が例示される。これらの中で、好ましい
連結基としては、メチレン基、ジメチルメチレン基等、
下記式(3)〜(5)に示される基が挙げられる。
【化3】
【0017】また、複数の環状骨格を連結する部位の特
殊な例として、ただの化学結合が好ましく挙げられ、こ
の場合、一方の環状骨格の炭素と他方の環状骨格の炭素
とが直接、共有結合で連結される。上記した、2つの環
状骨格を含む構造の好ましい例を、下記式(6)〜(1
5)に示す。
【化4】
【化5】
【0018】更に、3つの環状骨格がある場合に、それ
ら3つを連結する部位としては、炭素数1〜10の3価
の非環式飽和炭化水素基が好ましく例示される。3価の
非環式飽和炭化水素基の炭素数は、1〜3がより好まし
い。3つ以上の環状骨格を含む構造の好ましい例を、下
記式(16)〜(25)に示す。
【化6】
【化7】 これらの中で最も好ましい基本骨格は、(6)、
(7)、(9)、(11)、(12)、(14)、(2
0)、(25)に示すものである。
【0019】次に、式(1)で表されるチイラン環部
位、または式(2)で表されるオキシラン環部位を含む
置換基の構造を説明する。本発明のエピスルフィド化合
物に於いては、式(1)で表されるチイラン環部位を含
む置換基及び/または式(2)で表されるオキシラン環
部位を含む置換基が、上記基本骨格に2つ以上結合して
おり、そのうち1つ以上はチイラン環部位を含む置換基
である。これらの置換基は互いに同一の構造をとらなく
てもよい。また、本発明のエピスルフィド化合物には、
オキシラン環部位を含む置換基のみを有するエポキシ化
合物が混入していてもよい。
【0020】式(1)で表されるチイラン環部位、また
は式(2)で表されるオキシラン環部位を含む置換基の
構造を、以下に具体的に説明する。該置換基は、式
(1)で表されるチイラン環部位または式(2)で表さ
れるオキシラン環部位のみから構成されるか、若しく
は、式(1)または式(2)で表される部位及びこれと
基本骨格とを結合する追加の連結基から構成される。
【化8】
【0021】(式中、Rは前記と同義である。) 式(1)で表されるチイラン環部位は、チイラン環及び
含酸素連結部位から構成される。上記したチイラン環
は、上記含酸素連結部位の一端が一方の炭素原子に結合
する以外は、いずれの炭素も無置換であるような末端チ
イラン環である。上記含酸素連結部位は、式(1)の中
で酸素原子(O)及び基Rで表される部位である。基R
は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4で、結合価
が2である炭化水素基であり、炭素数が1〜10である
限り分岐があっても無くてもよい。これらの中でも、メ
チレン基及びエチレン基が好ましい。
【0022】本発明で好ましく使用されるエピスルフィ
ド化合物に於いて、上記した式(1)で表されるチイラ
ン環部位は、直接、基本骨格に結合していてもよいし、
更に追加の連結基を介して基本骨格に結合していてもよ
い。上記した式(1)で表されるチイラン環部位と基本
骨格とを連結する追加の連結基としては、炭素数1〜1
0の2価の非環式飽和炭化水素基、水酸基で置換された
炭素数1〜10の2価の非環式飽和炭化水素基、エーテ
ル結合、エステル結合、アミド結合、及びこれらを2つ
から3つ組合せた構造が好ましい。これらの中で、好ま
しい連結基としては、メチレン基、エチレン基等の、前
記式(3)〜(5)に示した基が挙げられる。
【0023】上記した、式(1)で表されるチイラン環
部位を含む置換基の好ましい具体例を、下記式(26)
〜(30)に示す。
【化9】 これらの中で、合成のし易さ等を勘案すると、2,3−
エピチオプロポキシ基(式(26)のn=1)、3,4
−エピチオブトキシ基(式(26)のn=2)、2,3
−エピチオプロポキシメチル基(式(27)のn=1)
が特に好ましい。
【0024】一方、式(2)で表されるオキシラン環部
位を含む置換基は、上記に詳述したチイラン環部位を含
む置換基の構造に於いて硫黄原子を酸素原子に置き換え
た構造を有する。その好ましい具体例としては、チイラ
ン環部位を含む置換基について好ましい具体例に於いて
硫黄原子を酸素原子に置き換えたものが挙げられる。上
述したように、チイラン環部位を含む置換基及び/また
はオキシラン環部位を含む置換基は、分子内に2つ以上
存在するが、互いに同一の構造をとらなくてもよい。こ
れらの置換基が基本骨格に結合する位置は、該基本骨格
の構造に含まれる芳香環、脂肪族環、若しくは、複数の
芳香環及び/または脂肪族環が縮環した構造を構成する
炭素原子のいずれかである。チイラン環部位及び/また
はオキシラン環部位を含む複数の置換基は、別々の炭素
原子と結合しているのが好ましく、また、2つ以上の環
状構造がある場合には、別々の環状構造と結合している
のが好ましい。
【0025】更に、この基本骨格は、チイラン環部位及
び/またはオキシラン環部位を含む置換基の他に、置換
基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜1
0、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
10、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基等が好ま
しく、特に、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエ
トキシ基が好ましい。以上に詳述した、エピスルフィド
化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−(2,3
−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4
−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、
1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレ
ン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプ
ロポキシ)フェニル)エタン、1−(2−(2,3−エ
ピチオプロポキシ)フェニル)−1,1−ビス−(4−
(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、
1,1,2,2−テトラキス−(4−(2,3−エピチ
オプロポキシ)フェニル)エタン等を挙げることが出来
る。
【0026】更に、2,2−ビス(4−(2,3−エピ
チオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4
−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メ
タン、4,8−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキ
シメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカ
ン、3,9−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ
メチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、
3,8−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシメチ
ル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、4,
8−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)−トリ
シクロ[5.2.1.02.6]デカン、3,9−ビス
(4−(2,3−エピチオプロポキシ)−トリシクロ
[5.2.1.02.6]デカン、3,8−ビス(4−
(2,3−エピチオプロポキシ)−トリシクロ[5.
2.1.02.6]デカン、1,1,1−トリス−(4−
(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタ
ン、1−(2−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロ
ヘキシル)−1,1−ビス−(4−(2,3−エピチオ
プロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,1,2,2
−テトラキス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)
シクロヘキシル)エタン等を挙げることができる。
【0027】また、上記に化合物名を列挙した各化合物
のチイラン環の1つがオキシラン環で置き換えられた構
造をもつ化合物も、好ましい具体例として挙げることが
できる。以上、具体例として列挙した化合物は、そのチ
イラン環の全てがオキシラン環で置き換えられた構造を
もつ化合物が混入していてもよい。
【0028】本発明のエピスルフィド化合物の製造方法
は、目的化合物が合成できる方法である限りは特に制限
はない。好ましい製造方法としては、対応エポキシ化合
物を原料として、当業者に公知の方法により、硫化物を
用いてオキシラン環をチイラン環に変換する方法が挙げ
られる。ここで、「対応エポキシ化合物」とは、エピス
ルフィド化合物のチイラン環の硫黄原子が酸素原子に置
き換わった構造を持つ化合物を指す。この方法に於い
て、好ましい硫化剤としては、チオ尿素類、チオシアン
酸塩類等が挙げられる。中でも、チオ尿素、及びチオシ
アン酸カリウムが特に好ましい。具体的には、例えば、
J. M. Charlesworth, J. Polym. Sci. Polym. Phys., 1
7, 329 (1979)に記載のチオシアン酸塩を用いる方法
が、また、R.D. Schuetz et al, J. Org. Chem., 26, 3
467 (1961) に記載のチオ尿素を用いる方法が挙げられ
る。
【0029】どれだけのオキシラン環をチイラン環に変
換するかは、特に制限はない。混合物全体に含まれるチ
イラン環とオキシラン環の合計に対するチイラン環のモ
ル比率として、好ましくは25%〜100%、より好ま
しくは30%〜100%となるまで変換する。チイラン
環への変換率が高くなるにつれて、これを用いた硬化物
の特性がより良好になる傾向にある。これらのチイラン
環への変換の状況は、例えばプロトンNMR等により次
の通り確認できる。
【0030】プロトンNMRの測定は当業者に公知の手
順で行われる。具体的には、分子内にオキシラン環及び
/またはチイラン環を有する化合物を、5〜20重量%
となるように重水素化したクロロホルム溶媒に溶解し、
300MHzのFT−NMRにて、4〜16回、通常は
8回積算を行う。ここで、テトラメチルシランを標準と
して化学シフトが2.20ppm及び2.55ppmの
付近に、それぞれメチレンプロトンに由来するシグナル
が1つずつ観測される。これらはチイラン環上のメチレ
ンプロトンに帰属される。該メチレン由来のシグナル
は、その化合物の構造にもよるが、多くの場合、ダブレ
ットの形状で観測され、そのカップリング定数は約6.
1Hz程度である。これら2つのメチレンプロトンは同
一炭素原子に結合しているが、互いに非等価であるた
め、ほぼ等強度の2つのシグナルを与える。これら2つ
のシグナルの関係は、例えば、従来の2次元NMR測定
手法によっても判別することができる。
【0031】また、該チイラン環の硫黄が酸素となった
オキシラン構造が含まれている場合、化学シフトが2.
65ppm及び2.80ppmの付近に、それぞれメチ
レンプロトンに由来するシグナルが1つずつ観測され
る。これらは、該オキシラン環上のメチレンに帰属され
る。該メチレン由来のシグナルは、その化合物の構造に
もよるが、多くの場合、マルチプレットの形状で観測さ
れる。これら2つのメチレンプロトンは同一炭素原子に
結合しているが、互いに非等価であるため、ほぼ等強度
の2つのシグナルを与える。これら2つのシグナルの関
係は、例えば、従来の2次元NMR測定手法によっても
判別することができる。これらのシグナルの強度比か
ら、オキシラン環からチイラン環への変換の状況を知る
ことができる。
【0032】また、本発明のエピスルフィド化合物が基
本骨格等が異なる複数の化合物の混合物の場合、その製
造法としては、別個に製造した2種類以上の化合物を混
合してもよいし、2種類以上の対応エポキシ化合物が含
まれる物質を同様に処理して、これらのオキシラン環を
チイラン環と交換してもよい。本発明のエピスルフィド
化合物が一部オキシラン環を含む混合物の場合、その製
造法としては、上述した対応エポキシ化合物のオキシラ
ン環をチイラン環に変換する反応に於いて、反応条件を
調整する方法が好ましい。
【0033】対応エポキシ化合物としては工業的に生産
される芳香環を含むエポキシ化合物が好適で、その具体
例としては、各種のエポキシ化合物、エポキシ樹脂を挙
げることが出来る。具体的にはビスフェノール型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ
ールノボラック型エポキシ樹脂に代表されるグリシジル
エーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキ
シ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、
液状ゴム変性エポキシ樹脂などといったエポキシ化合物
が例示される。また、工業的に生産される芳香環を含む
エポキシ樹脂化合物を、特開平11−217379号公
報に開示された方法等によって水素化処理して得られる
脂環式エポキシ化合物も、対応エポキシ化合物として好
適である。
【0034】対応エポキシ化合物の製造法としては、目
的化合物が合成できる限りは特に制限はない。式(2)
で表されるオキシラン環部位は、同式中で基Rに隣接す
る酸素原子から先の構造、即ち、基本骨格または追加の
連結基と、エーテル結合、エステル結合等を介して連結
している。ここで「基Rに隣接する酸素から先の構造」
とは、式(2)で表される複数のオキシラン環部位を連
結する中心骨格である。該中心骨格は、上記のエピスル
フィド化合物の構造に関する記載に於いて基本骨格とし
て説明された構造そのものであるか、若しくは、該基本
骨格、及び、同じくエピスルフィド化合物の構造に関す
る記載に於いてチイラン環部位を基本骨格に結合する追
加の連結基として説明された構造とから構成される構造
である。
【0035】対応エポキシ化合物のうち、式(2)で表
されるオキシラン環部位が、エーテル結合を介して、中
心骨格に結合しているようなエポキシ化合物を合成する
場合は、当業者に公知のエーテル結合生成反応を用いた
製造方法が好ましい。例えば、前記式(16)〜(2
5)に示す基本骨格、或いは、これらの基本骨格に連結
器を有し、且つ、下記式(31)の化合物と結合すべき
炭素原子上に水酸基を有する化合物と、式(31)に示
す化合物とを反応させる方法が例示される。
【化10】
【0036】(式中、Xは塩素原子及び臭素原子等のハ
ロゲン原子を示し、Rは前記と同義である。)
【0037】対応エポキシ化合物のうち、式(2)で表
されるオキシラン環部位が、エステル結合を介して、中
心骨格に結合しているようなエポキシ化合物を合成する
場合は、当業者に公知のエステル結合生成反応を用いた
製造方法が好ましい。例えば、前記式(16)〜(2
5)に示す基本骨格、或いは、これらの基本骨格に連結
器を有し、且つ、下記式(32)の化合物と結合すべき
炭素原子上にカルボキシル基、或いはその酸塩化物の構
造を有する化合物と、式(32)に示す化合物とを反応
させる方法が例示される。
【化11】
【0038】(式中、Rは前記と同義である。)
【0039】中心骨格を成す化合物の製造法としては、
目的化合物が合成できる限りは特に制限はない。好まし
い例としては、当業者に公知の方法によるフェノール化
合物の合成法、或いは、不飽和脂環式化合物を原料にヒ
ドロホルミル化反応とそれに引き続く不飽和脂環式化合
物の付加脱水反応を行う等してヒドロキシメチル基を導
入した脂環式多価アルコールの合成法などが挙げられ
る。
【0040】本発明は、上述したエピスルフィド成分
を、(b)分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有す
るフェノール化合物と共存させて硬化性組成物として使
用することを一つの特徴とする。フェノール化合物の構
造は、単一の芳香環のみから構成されるか、若しくは、
複数の芳香環及びこれらを連結する部位から構成され
る。芳香環のより好ましい構造としては、ベンゼン環、
及びナフタレン環である。
【0041】分子内に2つ以上の芳香環がある場合に、
それらを連結する基としては、炭素数1〜10の2価の
非環式飽和炭化水素基、水酸基で置換された炭素数1〜
10の2価の非環式飽和炭化水素基、エーテル結合、エ
ステル結合、アミド結合、スルフィド結合、及びこれら
を2つから3つ組合せた構造が例示される。これらの
中、好ましい例は、メチレン基、ジメチルメチレン基等
の、下記式(33)〜(36)に示した構造が挙げられ
る。
【化12】
【0042】また、複数の芳香環を連結する特殊な例と
して、ただの化学結合が好ましく挙げられ、この場合、
一方の脂環式骨格上の炭素と他方の脂環式骨格上の炭素
とが直接、共有結合で連結される。上記した芳香環を有
するフェノール化合物として好ましい例を、下記式(3
7)〜(41)に示す。
【化13】
【0043】更に、3つの芳香環がある場合に、それら
3つを連結する部位としては、炭素数1〜10の3価の
非環式飽和炭化水素基が好ましく例示される。3価の非
環式飽和炭化水素基の炭素数は、1〜3がより好まし
い。3つ以上の芳香環を有するフェノール化合物として
好ましい例を、下記式(42)〜(46)に示す。
【化14】
【0044】これらの芳香環にフェノール性水酸基が結
合する位置は、特に制限はないが、2つ以上の芳香環が
ある場合には、別々の芳香環上に結合しているのが好ま
しい。また、基本骨格が複数のベンゼン環とそれらの連
結基から構成されている場合、フェノール性水酸基は、
連結基の結合位置からみてパラ位またはオルト位に結合
しているのが好ましく、分子内でパラ位に水酸基を有す
るベンゼン環とオルト位に水酸基を有するベンゼン環が
混在してもよい。更に、このフェノール化合物は、フェ
ノール性水酸基の他に、置換基を有していてもよく、置
換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1
〜10のアルコキシ基等が好ましく例示され、特に、メ
チル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が好まし
い。
【0045】以上に詳述したフェノール化合物として
は、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルフィド、1,1,1−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、フェノールノボラック樹脂、クレ
ゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等を
挙げることができる。これらの中で、特に好ましいの
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンであ
る。これらのフェノール化合物は、当業者に公知の方法
により容易に製造される。具体的には2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)メタン等は、アセトンまたはホルムアルデ
ヒドをフェノールと反応させることにより製造される。
また、市販のフェノール化合物を用いてもよい。
【0046】以上に詳述したフェノール化合物は、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。フ
ェノール化合物の添加量は、硬化物が良好に硬化し、満
足な特性を示す硬化物が得られる範囲であれば、特に制
限はない。実際には、該化合物の反応性、及び結果とし
て生成する硬化物の物性を勘案して決定される。より具
体的にはフェノール性水酸基の当量が、エピスルフィド
化合物のチイラン環、及び/またはオキシラン環の当量
の0.6〜1.4倍の範囲にあることが好ましく、0.
8〜1.2倍の範囲にあることがより好ましい。これよ
り多いと硬化物の耐溶剤性が低下し、これより少ないと
硬化物が脆くなる傾向にある。
【0047】硬化性組成物としては、更に必要に応じ
て、(c)硬化促進剤を加えて使用される。硬化促進剤
としては上述したエピスルフィド化合物の硬化を促進さ
せる機能を有する化合物であれば特に制限はなく、例え
ば、アミン化合物、ホスフィン化合物等が例示される。
具体的には、例えば、トリブチルアミン、ジメチルアミ
ノエタノール、2,4,6−トリス(N,N−ジメチル
アミノ)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾ
ール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メ
チルイミダゾール、N−(3,4,−ジクロロフェニ
ル)−N’,N’−ジメチルウレア、ジアザビシクロウ
ンデセン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフ
ィン、テトラブチルアンモニム テトラフェニルボレー
ト等を挙げることが出来る。
【0048】これらの硬化促進剤は、互いにその反応性
を阻害しない限り、複数種類の化合物を併用してもよ
い。硬化促進剤の添加量は、その化合物の反応性を勘案
して決定されるが、エピスルフィド化合物に対して0.
1重量部から5重量部が好ましい。
【0049】更に、硬化性組成物には、必要に応じて、
特性を低下させない程度にエポキシ化合物を併せて使用
してもよい。また、硬化前の柔軟性を向上させることと
硬化後の保持材料とすることを目的に、接着剤として高
分子量物質を加えてもよい。例えば、硬化物の性能が下
がらない範囲で、ポリビニルブチラール、アクリルポリ
マー、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルホ
ン、ポリスルホン等を使用することが出来る。これらの
成分を過剰に加えると、硬化物のガラス転移点温度が下
がったり、比誘電率が上がる傾向にあるので、添加量
は、チイラン環を有する脂環式化合物100グラムに対
して0〜20グラムの範囲が好ましい。また、シリカ、
アルミナ、炭酸カルシウム等のフィラー、銅、銀、金等
の金属粒子等を必要性や用途に応じて添加しても良い。
【0050】あるいはこれらの硬化性組成物を溶剤に溶
解させ、適当な基材に塗布したりあるいは適当な織物に
含浸させて使用することが出来る。この場合の溶剤は有
機系溶剤であれば限定されないが、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジ
メトキシエタン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル
等のエステル結合系、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール等のアルコール系溶媒等がその加工方
法に応じて単独または複数混合して使用することが出来
る。硬化前に溶剤を使用した場合は乾燥した後、溶剤を
使わない場合はそのまま、熱風オーブン等で加熱し、シ
ートの場合は熱板等で加熱し硬化物を得ることが出来
る。
【0051】本発明の硬化性組成物及びその硬化物は様
々な用途に使用することができる。硬化性組成物の用途
としては、接着剤及び封止材としての使用が例示され
る。かくして、本発明の一態様により、上記硬化性組成
物よりなることを特徴とする封止材用硬化性組成物また
は接着剤が提供される。本発明の硬化性組成物及びその
硬化物は様々な用途に使用することができる。硬化性組
成物の別の用途としては、積層板、複合材等の成形体や
電子部品の原料としての使用が例示される。これらは該
組成物を硬化して所望の製品を製造する。かくして、本
発明の一態様により、上記組成物を硬化させることによ
り得られることを特徴とする硬化物が提供される。本発
明の硬化性組成物及びその硬化物の好ましい用途として
は、半導体チップ等の電子部品の封止材のように低い吸
水性が要求される部材及び/または装置としての使用が
最も好ましく例示される。かくして、本発明の一態様に
より、硬化物が用いられることを特徴とする電子部品ま
たは成形体が提供される。
【0052】
【実施例】本発明を具体的に説明するために、以下に実
施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されるものではない。
【0053】製造例1 硬化性樹脂の製造(1) 100グラムの油化シェルエポキシ社製エピコート80
7(主としてビス(4−グリシドキシフェニル)メタン
からなるエポキシ樹脂)を500mlの四つ口フラスコ
に秤取り、これに150グラムのトルエン、及び150
グラムのメタノールを加えエポキシ樹脂を溶解させた。
フラスコを40℃の油浴に入れ、これに124.4グラ
ムのチオシアン酸カリウムをゆっくり加え、固体が軽く
動く程度に攪拌した。反応が進行するとともに液層は2
層に分離した。加熱攪拌5時間後、油浴よりフラスコを
出して放冷後、これに50mlの水を加えて上層の有機
層をとりわけ、下層の水層は30mlのトルエンで2回
洗浄し先の有機層と合わせた。有機層を飽和食塩水で洗
浄し、有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて一晩放置し
た。その液を減圧濾過で固体を濾別し減圧下で濃縮する
ことにより、硬化性樹脂を102.3グラム得た(以
下、該硬化性樹脂を「硬化性樹脂A」と略記する)。硬
化性樹脂AのプロトンNMR測定を行い、チイラン環と
オキシラン環のメチレンのうち、各々、一つの水素原子
(チイラン環ではδ3.09、オキシ環ではδ3.20
のピーク)の積分比率を計算することにより、原料のオ
キシラン環の80%がチイラン環で置換され(残りはオ
キシラン環)ていることを確認した。
【0054】製造例2 硬化性樹脂の製造(2) 油化シェルエポキシ社製エピコート807の代わりにエ
ピコート828(主として2,2−ビス(4−グリシド
キシフェニル)プロパンからなるエポキシ樹脂)を用い
た以外は、製造例1と同様に反応操作及び処理を行い、
硬化性樹脂を92.1グラム得た(以下、該硬化性樹脂
を「硬化性樹脂B」と略記する)。硬化性樹脂Bのプロ
トンNMR測定から、原料のオキシラン環の95%がチ
イラン環で置換され(残りはオキシラン環)ていること
を確認した。
【0055】実施例1 製造例1と同様に調製した17.0グラムの硬化性樹脂
A、15.4グラムのエピコート807、11.2グラ
ムのビスフェノールA、及び0.3グラムの油化シェル
エポキシ社製エピキュアEM24CN(主として1−
(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダ
ゾールからなる硬化触媒)をよく混ぜ、これを100ミ
リ角の金型にあけ、60℃に予熱された熱風オーブンに
金型を移して175℃まで1時間かけて昇温しさらに1
75℃で5時間硬化させた。吸水試験を目的として、該
硬化物を40ミリ角の大きさに切りそろえ、50℃の温
水に1,000時間浸漬した後の重量変化を測定し、変
化率(温水浸漬前後の重量変化量を浸漬前の重量で除し
た値)を算出したところ、1.43%と良好な値を示し
た。
【0056】実施例2 硬化性樹脂Aの代わりに17.0グラムの硬化性樹脂B
を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化物を調製し
た。該硬化物の吸水試験を実施例1と同様に行った結
果、1.48%と良好であった。
【0057】比較例1 25.2グラムのエピコート828、18.4グラムの
ビスフェノールA、及び0.3グラムのエピキュアEM
24CNをよく混ぜ、これを100ミリ角の金型にあ
け、実施例1と同様にして硬化物を調製した。該硬化物
の吸水試験結果は1.98%と高い値を示した。
【0058】実施例1、4、比較例1の結果を表1にま
とめて示す。
【表1】
【0059】表中、吸水率は、40ミリ角の硬化物を5
0℃の温水に1000時間浸漬した前後の重量変化量を
浸漬前の重量で除した値(%表示)である。
【0060】実施例3 製造例1と同様に調製した1.41グラムの硬化性樹脂
A、1.28グラムのエピコート828、0.93グラ
ムのビスフェノールA、及び0.02グラムのエピキュ
アEM24CNを、5.47グラムのメチルエチルケト
ンに溶かし、ギャップ10mil(0.254ミリ)の
ドクターブレードを用いて宇部興産社製ポリイミド、ユ
ーピレックスRNの表面に塗工した。これを熱風オーブ
ンで80℃、30分乾燥させ、その後175℃まで25
分かけて昇温しさらに175℃で5時間硬化させた。屈
曲試験を目的として、上記の硬化樹脂で覆われたユーピ
レックスRNを、塗工面を外側にして180度折り曲げ
た。硬化樹脂の剥離、亀裂、ひび等の有無を観察したと
ころ、全く異常は見られなかった。また、接着性試験を
目的として、上記硬化樹脂に1辺が1ミリで縦10、横
10の碁盤目をカッターで作り、その表面に接着テープ
(ニチバン製)をよく張り付けた後、素早く剥がした。
碁盤目の異常の有無を目視で観察したところ、剥がれは
全く生じていなかった。
【0061】実施例4 1.62グラムの硬化性樹脂A、0.48グラムのエピ
コート828、1.07グラムのビスフェノールA、及
び0.03グラムのエピキュアEM24CNを、4.8
0グラムのメチルエチルケトンに溶かし、以下実施例3
と同様に塗工、乾燥、硬化させた。実施例3と同様に屈
曲試験を行った結果、異常は全く見られなかった。ま
た、同様に、接着性試験を行った結果、剥がれは全く生
じていなかった。
【0062】実施例5 硬化性樹脂A量を1.40グラム、エピコート828量
を0.84グラム、ビスフェノールA量を0.93グラ
ムとした以外は、実施例4と同様に塗工、乾燥、硬化さ
せた。実施例3と同様に屈曲試験を行った結果、異常は
全く見られなかった。また、同様に、接着性試験を行っ
た結果、剥がれは全く生じていなかった。
【0063】実施例6 硬化性樹脂A量を1.11グラム、エピコート828量
を1.34グラム、ビスフェノールA量を0.73グラ
ムとした以外は、実施例4と同様に塗工、乾燥、硬化さ
せた。実施例3と同様に屈曲試験を行った結果、異常は
全く見られなかった。また、同様に、接着性試験を行っ
た結果、剥がれは全く生じていなかった。
【0064】比較例2 硬化性樹脂Aを用いず、エピコート828量を2.00
グラム、ビスフェノールA量を1.46グラムとし、メ
チルエチルケトン量を5.24グラムとした以外は、実
施例4と同様に塗工、乾燥、硬化させた。実施例3と同
様に屈曲試験を行ったところ、亀裂の発生が確認され
た。また、同様に、接着性試験を行ったところ、1辺が
1ミリの碁盤目をカッターで作る段階で既に角欠けが起
こり、接着性に乏しいことが明らかとなった。
【0065】比較例3 硬化性樹脂Aを用いず、1.76グラムのエピコート8
07を用い、ビスフェノールA量を1.41グラムとし
た以外は、実施例4と同様に塗工、乾燥、硬化させた。
実施例3と同様に屈曲試験を行ったところ、亀裂の発生
が確認された。また、同様に、接着性試験を行ったとこ
ろ、1辺が1ミリの碁盤目をカッターで作る段階で既に
角欠けが起こり、接着性に乏しいことが明らかとなっ
た。
【0066】実施例3〜6、比較例2〜3の結果を表2
にまとめて示す。
【表2】
【0067】以上結果からチイラン環でオキシラン環の
全部または一部を置換された硬化性樹脂を使うことによ
り硬化物の吸水率が低下、屈曲性が改善、接着性が向上
したことが判る。
【0068】
【発明の効果】以上述べた本発明の硬化性組成物は、溶
剤によく溶け、塗工が容易であり作業性に富み、硬化性
に優れる上に、該組成物を加熱する事によって得られる
硬化物は屈曲性・可撓性に優れ、基材との接着性が良好
である。従って、該硬化性組成物は、接着剤及び封止材
としての使用が可能であり、特に電気用封止材として好
適である。更に、積層体、複合材、及び電子部品等の材
料として好適に使用することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/13 C08K 5/13 C08L 61/06 C08L 61/06 81/02 81/02 C09J 163/00 C09J 163/00 181/02 181/02 201/02 201/02 Fターム(参考) 4F071 AA41 AA62 AC11 AF02 AF45 AH12 BA02 BB02 BC01 4J002 CC04X CN01W EJ016 FD14X FD146 FD157 GF00 GQ00 GQ05 4J030 BA03 BA04 BA42 BB03 BC02 BF04 BF06 BF07 BG02 BG03 BG08 BG10 4J036 AJ19 DA04 DB05 FB07 4J040 EC021 EC031 EC041 EC061 EC071 EC091 EL051 GA05 GA11 GA23 HB04 HC01 HC02 HC19 HC20 HC22 HD19 HD25 HD38 JA02 JB02 KA17 LA05 LA07 LA08 MA02 MA05 MA10 PA30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)分子内に2つ以上の下記式(1)
    または(2)で表される基 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10で結合価が2である炭化水
    素基を示し、Rは分子内で同一であっても異なっていて
    もよい)を有し、そのうち1つ以上は式(1)で表され
    る基であるエピスルフィド化合物と、(b)分子内に2
    つ以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物
    とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 (c)硬化促進剤を含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成物よりな
    ることを特徴とする封止材用硬化性組成物または接着
    剤。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の組成物を硬化
    させることにより得られることを特徴とする硬化物。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の硬化物が用いられてい
    ることを特徴とする電子部品または成形体。
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