JP6772946B2 - 低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、下記の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
下記(A)及び(B)を含む低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
(A)25℃で液状の下記一般式(1)で示される両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂
(式(1)中、R1は炭素数1〜50の2価の有機基である。R2は水素原子又はメチル基であって、同じであっても異なっていてもよく、nはそれぞれ独立して1〜100の整数である。)
(B)25℃で固体であり、融点が50〜120℃の範囲にあるポリアミン系硬化剤
<2>
前記(A)成分が、下記一般式(2)で示される両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂である<1>に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
(式(2)中、nはそれぞれ独立して1〜100の整数である。)
<3>
さらに(C)成分として、無機充填材を含む<1>又は<2>に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
<4>
さらに(D)成分として、25℃において固体状の樹脂粒子を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
<5>
前記(D)成分が、(メタ)アクリル樹脂又はシリコーン樹脂の粒子である請求項4のいずれか1項に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
<6>
前記(D)成分の平均粒径が、10μm以下である請求項4又は5に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
<7>
さらに(E)成分として、黒色顔料を含む<1>〜<6>のいずれか1項に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
<8>
接着剤として用いられる<1>〜<7>のいずれか1項に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
本発明で用いられる(A)成分は、25℃で液状の下記一般式(1)で示される両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂である。該両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂はポリアミンとの相溶性が良好であり、低温での硬化が迅速であり、得られる硬化物はポリエーテル鎖によって低弾性化される。
本発明で用いられる(B)成分は、エポキシ樹脂用の硬化剤として一般に使用されているポリアミン系硬化剤である。該(B)成分は、前記(A)成分の硬化剤として作用し、(A)成分の25℃で液状である液状エポキシ樹脂と反応して架橋構造を形成し、(A)成分の25℃で液状である液状エポキシ樹脂を硬化する。
該(B)成分は、25℃で固体であり、融点が50〜120℃、好ましくは50℃〜100℃であるため、良好な保存安定性を有し、加熱により溶解され、本発明の組成物の低温での硬化を可能とする。(B)成分の融点が50℃より低いと硬化剤としての潜在性が損なわれるおそれがあり、(B)成分の融点が120℃より高いと組成物の低温硬化性が損なわれるおそれがある。
なお、本明細書において、融点とはJIS K 0064:1992記載の方法で測定した値をいう。また、本明細書において、硬化剤の「潜在性」とは、硬化剤をエポキシ樹脂に配合した組成物が室温で安定に貯蔵でき、熱によって急速に組成物を硬化する能力をいう。
また、(B)成分の反応性や流動性の制御のため、シリカ等の無機物にポリアミンを担持させたものを用いてもよい。これらのポリアミン系硬化剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本願明細書において、「平均粒径」とは、レーザー光回折法により測定した累積質量平均径(d50)のことをいう。
(C)成分は、通常、エポキシ樹脂組成物に配合される無機充填材である。該無機充填材の例としては、シリカ系微粉末(溶融シリカ、結晶性シリカ等)、中空シリカ等のケイ素系充填材;アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のアルミニウム系充填材;窒化珪素、窒化ホウ素等の金属窒化物系充填材;ガラス繊維、ウォラステナイト等の繊維状充填材;三酸化アンチモン等のアンチモン系充填材などが挙げられる。
これらの中でもケイ素系充填材が好ましく、溶融シリカが特に好ましい。これらの無機充填材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、無機充填材の平均粒径や形状は特に限定されないが、流動性の観点から、球状のものが好ましい。
シランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
(D)成分は、25℃で固体の樹脂粒子であり、該樹脂粒子は硬化物の光沢度や弾性率を低下させることができる。このような樹脂粒子は公知の樹脂の粒子であればよく、該樹脂の種類としては、例えば、AAS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)、フェノキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポニフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でも、光沢度の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
該樹脂粒子の平均粒径は、用途に応じて適宜選択されるが、平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましい。平均粒径が10μmより大きい場合は、硬化段階において、樹脂の一部が十分に膨潤せずに残り、硬化物の特性を損なうおそれがある。平均粒径が0.01μmより小さい場合は、本発明の組成物の粘度が増して取り扱いが困難となるおそれがある。
(E)成分の黒色顔料は、低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物を黒色にして光透過率を低下させるために用いられる。該黒色顔料としては、例えば、従来の封止樹脂組成物に用いられるカーボンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チタンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒色アルミニウム、ペリレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、価格や光沢度の観点から、カーボンブラックが好ましい。これらの黒色顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。該配合量が、10質量部より多いと、黒色顔料の分散が困難になったり、本発明の組成物の粘度が増して取り扱いが困難となるおそれがある。
本発明の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物には、(F)成分として硬化促進剤を配合してもよい。該硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば有機リン、イミダゾール、3級アミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
有機リンの例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート誘導体、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体等が挙げられる。
イミダゾールの例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
3級アミンの例としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等が挙げられる。
これらの中でも、イミダゾールが好ましく、組成物の硬化性の観点から、特に2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。
本発明の組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合することができる。該添加剤としては、例えば、希釈剤、低応力剤、離型剤、ハロゲントラップ剤、シリコーンオイル、ポリシロキサン等が挙げられ、所望の樹脂特性を付与するために配合される。
本発明の組成物の製造方法は特に制限されず、成分や目的に応じて任意に選択される。通常はミキサー、ロール等を用い、上述した各成分を混合して本発明の樹脂組成物が得られる。必要に応じて各成分の混合順序、混合条件(時間、温度、気圧等)を制御することができる。なお、(A)〜(D)成分及びその他の成分を一度に混合してもよい。また(D)成分以外の成分が予め混合された混合物に(D)成分を添加して混合してもよく、この場合には、該混合物を予め粉砕するなどして、(D)成分と均一に混合しやすくする工程を加えてもよい。
(A−1)両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂(エポキシ当量255、ADEKA社製EP−4000L)
(A−2)グリシジルアミン型エポキシ樹脂(エポキシ当量100、三菱化学社製jER−630LSD)
(A−3)ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量165、新日鉄住金化学社製ZX−1059)
(B−1)ポリアミン硬化剤(融点85〜105℃、活性水素当量52、ADEKA社製EH−5015S)
(B−2)ポリアミン硬化剤(融点70〜80℃、活性水素当量105、ADEKA社製EH−5030S)
(B−3)液状フェノールノボラック樹脂硬化剤(融点−40〜−10℃、水酸基当量135、明和化成社製MEH−8005)
(C−1)球状溶融シリカ(平均粒径0.6μm、龍森社製LVS−516H)
(D−1)ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子(球状、平均粒径0.3μm、日本ゼオン社製ゼオンアクリルレジンF320)
(E−1)カーボンブラック(DENKA社製デンカブラックLi100)
(F−1)2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製2P4MHZ−PW)
表1に示す配合(質量部)で、(A)〜(F)成分を混合して、実施例1〜4及び比較例1〜4の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性エポキシ樹脂組成物について、下記方法で諸特性を測定した。その結果を表1に示す。
また、得られた熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、成形温度90℃、成形時間3時間の条件で硬化し、実施例1〜4及び比較例1〜4の硬化物を得た。得られた硬化物について、下記方法で諸特性を測定した。その結果を表1に示す。
各熱硬化性エポキシ樹脂組成物について、コーンプレートの粘度計(BROOK FIELD社製51CP)を用いて、1.0rpmの回転数で25℃における粘度を測定した。また、保存安定性を評価するために、各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、25℃で336時間保管後、粘度を同様に測定し、増粘率を算出した。
各熱硬化性エポキシ樹脂組成物について、得られた組成物及び該組成物を90℃で1時間加熱して得られた硬化物のDSC発熱ピークを示差走査熱量計(DSC、METTLER社製UV−DSC)で測定し、面積比から反応率を算出した。
ニッケルコート銅版に2mm×2mm×150μmのSiチップを熱硬化性エポキシ樹脂組成物で付着し、90℃、3時間の条件で硬化した後、得られた試験片の剪断接着力を測定した。
光沢度は、JIS Z 8741:1997に準拠し、上記硬化条件で硬化して得られた硬化物の60゜鏡面光沢を光沢度計IG−320(堀場製作所製)を用いて測定した。
JIS K 7171:2008に記載の方法で、上記硬化条件で硬化して得られた硬化物の室温(25℃)における曲げ弾性率を測定した。
厚さ50μmに成形した各熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物について、エス・ディ・ジー社製X−rite8200を用いて450nmの光透過率を測定した。
Claims (5)
- 下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む低光沢性を有する低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
(A)25℃で液状の下記一般式(1)で示される両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂
(B)25℃で固体であり、融点が50〜120℃の範囲にあるポリアミン系硬化剤
(C)無機充填材
(D)25℃において固体状の(メタ)アクリル樹脂粒子又はシリコーン樹脂粒子 - 前記(D)成分の平均粒径が、10μm以下である請求項1又は2に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
- さらに(E)成分として、黒色顔料を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
- 接着剤として用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物。
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