JP6638600B2 - 低光沢性エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法 - Google Patents

低光沢性エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法 Download PDF

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本発明は、低光沢性エポキシ樹脂組成物、その硬化物及びエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法に関する。
光センサー素子を外部の光から遮光するために用いられる熱硬化性エポキシ封止樹脂は、光を透過しない低透過率に加えて、光の反射を抑制するため低光沢度であることが求められる。また、遮光用熱硬化性エポキシ封止樹脂は、基板との間で熱膨張や収縮による剥離やクラックが生じにくいように、低弾性率であることが望ましい。
このような遮光用熱硬化性エポキシ封止樹脂としては、イソシアヌル酸1,3,5−トリス−(2−カルボキシエチル)と架橋剤であるジカルボン酸を組み合わせた低光沢性の熱硬化性エポキシ樹脂が開示されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1によると、光沢度はまだ十分に低いとは言えず、加えて、特定の樹脂の組み合わせの場合のみ低光沢性を示すため、弾性率、ガラス転移温度などの物性の改良が限られる。
また、特許文献2には、改質エポキシ樹脂組成物による低光沢塗料が開示されている。しかし、特許文献2によると、改質エポキシ樹脂組成物には金属塩を加える必要があり、そのためセンサーの腐食などの懸念がある。
以上のように、特定の樹脂やセンサー等に悪影響を与える物質を使用せず、熱硬化性エポキシ樹脂の光沢度を簡便に下げる手法は充分に開発されているとは言い難い。
特表2001−502003号公報 特表平7−503279号公報
従って、本発明の目的は、低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物、その硬化物の提供及びエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物が、低光沢度で低弾性率であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は次のものである。
<1>
下記(A)〜(D)を含むことを特徴とする低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂
(B)エポキシ樹脂硬化剤:(A)成分中に含まれるエポキシ基1モルに対して、(B)成分中に含まれる反応基のモル比が0.5〜2.0となる量
(C)無機充填材:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して10〜1,000質量部、
(D)25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜200質量部
<2>
(A)成分のエポキシ樹脂が、(A−1)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(A−2)多価アルコールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び(A−3)長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂から選ばれる2以上のエポキシ樹脂を含むものである<1>記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<3>
(A)成分が、下記一般式(1)
Figure 0006638600
(式(1)中、Rは炭素数1〜50の2価の有機基である。Rは同一又は異なっていてもよく、水素原子またはメチル基であって、nは独立して1〜100の整数である。)
で示される両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂を含むものである<1>又は<2>に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<4>
(A)成分が、下記一般式(2)
Figure 0006638600
(式(2)中、Rは炭素数10〜25の2価炭化水素基である)
で示される長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂を含むものである<1>又は<2>に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<5>
(B)成分が、フェノール樹脂系硬化剤である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<6>
(B)成分が、下記一般式(3)
Figure 0006638600
(式(3)中、Rは独立して、水素原子または炭素数1〜30の飽和炭化水素基を示す。Rは独立して炭素数1〜10の飽和炭化水素基、フェニル基から選ばれる基を示す。l、m、nはそれぞれ、1〜100の整数である。)
で示されるシリコーン変性ビスフェノール樹脂系硬化剤であることを特徴とする<5>に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<7>
前記(D)成分の熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<8>
前記(D)成分の平均粒径が、10μm以下であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<9>
さらに(E)成分として、黒色顔料を含む<1>〜<8>のいずれか1項に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<10>
未硬化のエポキシ樹脂組成物に25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子を添加、混合することを特徴とするエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
<11>
前記熱可塑性樹脂粒子が(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする<10>記載のエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
<12>
前記熱可塑性樹脂粒子の平均粒径が、10μm以下であることを特徴とする<10>または<11>記載のエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
<13>
前記エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂及び硬化剤の総量100質量部に対し、前記熱可塑性樹脂粒子を0.1〜200質量部添加することを特徴とする<10>〜<12>のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物であれば、低光沢度又は低光沢度で低弾性の硬化物を与える。
以下、本発明の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物について具体的に説明する。
[(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂]
本発明の(A)成分である1分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂は、本組成物の主成分である。
(A)成分の1分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含むものであれば特に制限は無く、公知のものを使用することができる。例えば、多価アルコールポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂、長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アクリルノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型、フェノールアラルキル型、ナフタレン型の芳香族エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらの混合物を使用することができる。なかでも、硬化物のTg(ガラス転移温度)及び柔軟性の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多価アルコールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
[(A−1)ビスフェノール型エポキシ樹脂]
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、公知のものを使用することができ、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
[(A−2)多価アルコールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂]
上記多価アルコールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂として、具体的には、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等に1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、ポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を用いるのが好ましく、下記一般式(1)で示されるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を用いるのがさらに好ましい。
Figure 0006638600
一般式(1)中、Rは炭素数1〜50、好ましくは1〜30の2価の有機基であり、分岐構造や不飽和結合、芳香環構造を含んでいてもよい。中でも、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数1〜30の両末端ジカルボキシル基、ビスフェノール骨格等がさらに好ましく、特に好ましくはビスフェノール骨格のビスフェノールA型骨格である。Rは同一又は異なっていてもよく、水素原子またはメチル基であって、nはそれぞれが独立して1〜100の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。
[(A−3)長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂]
上記、長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、長鎖飽和アルキル二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、長鎖不飽和アルキル二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、下記一般式(2)で示される長鎖アルキル二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂を用いるのがさらに好ましい。
Figure 0006638600
ここで、一般式(2)中、Rは炭素数10〜40、好ましくは10〜25の2価の炭化水素基である。これらの中でもRは特に炭素数16〜24の分岐飽和脂肪族炭化水素基及び炭素数16〜24の分岐不飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。中でも、柔軟性の観点から、8,13−ジメチル−8,12−エイコサンジエンがさらに好ましい。
(A)成分のエポキシ樹脂は、硬化物の柔軟性及び光沢度の観点から、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂を二種類以上併用するのが好ましい。さらに好ましいのは、これら三種のエポキシ樹脂を併用することであり、これら質量比は、1:0.1:0.1〜1:10:10であり、好ましく1:1:0.5〜1:3:1である。
(A)成分のエポキシ樹脂の配合量は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物全体に対して、5〜90質量%、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。(A)成分の配合量が5質量%未満の場合、熱硬化性エポキシ樹脂組成物が増粘して取り扱いが悪くなるおそれがあり、90質量%を越える場合、硬化不良となるおそれがある。
[(B)エポキシ樹脂硬化剤]
本発明の(B)成分であるエポキシ樹脂硬化剤は、前記(A)成分の硬化剤として作用し、(A)成分と反応して架橋構造を形成することによりエポキシ樹脂硬化物となる。本発明で用いられる(B)エポキシ樹脂硬化剤としては、公知のものを使用することができ、例えばフェノール樹脂(後述するシリコーン変性フェノール樹脂を含む)、酸無水物及びアミン類が挙げられる。この中でも硬化性の観点から、フェノール樹脂及びシリコーン変性フェノール樹脂が好ましい。
該フェノール樹脂としては、ノボラック型、ビスフェノール型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、ナフタレン型、シクロペンタジエン型、フェノールアラルキル型及びこれらのシリコーン変性型等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でもビスフェノール型及びシリコーン変性ビスフェノール型が好ましく、柔軟性も考慮するとシリコーン変性ビスフェノール樹脂がさらに好ましい。
上記、シリコーン変性ビスフェノール樹脂としては、芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体が挙げられる。なかでも、シリコーン変性ビスフェノール樹脂としては、下記一般式(3)
Figure 0006638600
で示されるシリコーン変性ビスフェノール樹脂系硬化剤であることが好ましい。
ここで、一般式(3)中、Rは独立して、水素原子または炭素数1〜30、好ましくは、水素原子または炭素数1〜10の飽和炭化水素基を示す。これらの中でも、Rは特にメチル基がさらに好ましい。Rは独立して炭素数1〜10、好ましくは1〜5の飽和炭化水素基、又はフェニル基から選ばれる基を示す。これらの中でも、メチル基、フェニル基がさらに好ましい。l、m、nはそれぞれ、1〜100の整数であり、好ましくは、それぞれ1≦l≦30、1≦m≦50、1≦n≦30である。
(B)成分のエポキシ樹脂硬化剤の配合量は、(A)成分中に含まれるエポキシ基1モルに対し、(B)成分中の反応基のモル比が0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.6、さらに好ましくは0.8〜1.2になる量である。該モル比が0.5未満ではTgが低下するおそれがあり、一方、2.0を超えると硬化不良になるおそれがある。
[(C)無機充填材]
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合する(C)成分である無機充填材としては、通常、エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。該無機充填材の例としては、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ系微粉末、中空シリカ等のケイ素系充填材、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどのアルミニウム系充填材、窒化珪素、窒化ホウ素などの金属窒化物系充填材、更にガラス繊維、ウォラステナイトなどの繊維状充填材、三酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中でもケイ素系充填材を用いるのが好ましく、溶融シリカを用いるのが特に好ましい。これらの無機充填材は1種類を単独で使用してもよく、また2種類以上を併用してもよい。また、充填材の平均粒径や形状は特に限定されないが、流動性の観点から、球状のものを用いるのが好ましい。
上記無機充填材は、樹脂と無機充填材との結合強度を強くするため、シランカップリング剤で予め表面処理したものでもよい。シランカップリング剤としては、例えば、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基等の官能性基で置換された1価炭化水素基を含有するアルコキシシラン及び/又はこれらの部分加水分解縮合物や、チタネートカップリング剤などが挙げられる。
具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いるのが好ましい。これらカップリング剤は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
(C)成分の無機充填材の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、10〜1,000質量部とすることが好ましく、20〜150質量部とすることがさらに好ましい。
[(D)25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子]
本発明の(D)成分である25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子は、樹脂硬化時に加熱されることで、エポキシ樹脂によって膨潤するので硬化物の光沢度が下がると考えられる。このような熱可塑性樹脂粒子としては、公知の樹脂の粒子であってよく、例えばAAS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、各種のフッ素樹脂、各種のシリコーン樹脂、ポリアセタール、各種のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポニフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でも、光沢度の観点から、(メタ)アクリル樹脂が望ましい。
該熱可塑性樹脂粒子の形状としては、略球状、円柱もしくは角柱状、不定形状、破砕状、及び燐片状等であってよく、該エポキシ樹脂組成物の接着性が良好であることを考慮すると、略球状又は鋭角部を有しない不定形状が好ましい。
該熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、用途に応じて適宜選択されるが、通常は最大粒径が0.01〜10μmであることが望ましく、平均粒径は0.01〜10μm以下であることが望ましい。最大粒径が10μmより大きい、或いは平均粒径が10μmより大きい場合は、硬化段階において、粒子熱可塑性樹脂の一部が十分に膨潤せずに残り、硬化後の組成物の特性を損なうおそれがある。最大粒径が0.01μmより小さい、或いは平均粒径が0.01μmより小さい場合は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物が増粘して取り扱いが悪くなるおそれがある。
なお粒子径の測定は、電子顕微鏡観察により行うことができる他、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均径(d50)又はメジアン径等として求めることができる。本願明細書に記載の平均粒径とは累積質量平均径(d50)のことを言い、レーザー光回折法の方法で測定した値を用いることとする。
これらの熱可塑性樹脂粒子の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.1〜200質量部とすることが好ましく、特に5〜40質量部以上が好ましい。0.1質量部より少ないと、得られる硬化物の光沢度の低減が不十分になるおそれがある。一方、200質量部より多いと、熱硬化性エポキシ樹脂組成物が増粘して取り扱いが悪くなるおそれがある。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、更に、必要により下記の成分を添加してもよい。
[(E)黒色顔料]
(E)成分の黒色顔料は、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を黒色にして光透過率を低下させるために用いる。ここで用いられる顔料としては、例えば従来の封止樹脂組成物に用いられているカーボンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チタンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒色アルミ、ペリレンブラック等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらの中でも、価格や光沢度の観点から、カーボンブラックを用いるのが好ましい。
これらの黒色顔料の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、10質量部以下とすることが好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。10質量部より多いと、分散が困難になったり、増粘して取り扱いが悪くなったりするおそれがある。
[(F)硬化促進剤]
更に、本発明の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、(F)成分としての硬化促進剤を配合してもよい。該硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば有機リン、イミダゾール、3級アミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
有機リンの例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート誘導体、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体等が挙げられる。
イミダゾールの例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
3級アミンの例としてはトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等が挙げられる。
これらの中でも、イミダゾール誘導体が好ましく、硬化性の観点から2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールがさらに好ましい。
硬化促進剤の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100量部に対して、0.01〜10量部であることが好ましく、0.05〜5量部であることがさらに好ましい。硬化促進剤の添加量が前記下限値未満である場合は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化促進効果が不十分になるおそれがあり、また前記上限値より多い場合は熱硬化性エポキシ樹脂組成物の保存性に支障をきたすおそれがある。
[(G)その他の成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々の希釈剤、低応力剤、離型剤、ハロゲントラップ剤等の添加剤を配合することができる。
[樹脂組成物の製造方法及びエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法]
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の製造方法は特に制限されず、成分や目的に応じて任意に選択される。通常はミキサー、ロール等を用い、上記した成分を混合すれば、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物が得られる。必要に応じて混合順序、時間、温度、気圧等の条件を制御することができる。なお、(A)〜(D)成分及びその他の成分を一度に混合してもよいし、(D)成分以外の成分が予め混合されたエポキシ樹脂組成物に(D)成分を添加し混合してもよい。後者の場合は、該エポキシ樹脂組成物を予め粉砕するなどして、(D)成分と均一に混合しやすくする工程を加えてもよい。いずれの方法であっても、製造された熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、光沢度が低減された硬化物となる。また、未硬化のエポキシ樹脂組成物に25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子を添加、混合すれば、エポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
本願実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂a―1(ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量165、新日鉄住金化学社製ZX−1059)
エポキシ樹脂a―2(ポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量255、ADEKA社製EP−4000L)
エポキシ樹脂a―3(長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、エポキシ当量290、岡村製油社製IPU−22G)
エポキシ樹脂a―4(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、エポキシ当量165、三菱化学社製jER−630LSD)
(B)硬化剤
硬化剤b−1(シリコーン変性ビスフェノール樹脂系硬化剤、信越化学社製)
硬化剤b−2(アリルビスフェノール樹脂系硬化剤、明和化成社製、MEH−8000H)
(C)無機充填材
無機充填材c(球状溶融シリカ、平均粒径0.6μm、龍森社製LVS−516H)
(D)熱可塑性樹脂粒子
熱可塑性樹脂粒子d(ポリメタクリル酸メチル、平均粒径0.3μm、日本ゼオン社製、ゼオンアクリルレジンF320)
(E)黒色顔料
黒色顔料e(カーボンブラック、DENKA社製デンカブラックLi100)
(F)硬化促進剤
硬化促進剤f(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成社製2E4MZ)
[実施例比較例、参考例
表1に示す配合(質量部)で、(A)〜(F)成分を混合して熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、成形温度100℃、成形時間4時間の条件で各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させ硬化物を成形し、実施例、比較例、参考例の硬化物を得た。得られた硬化物につき、下記方法で諸特性を測定した。
<光沢度>
光沢度は、JIS Z 8741:1997に準拠し、各硬化物の表面における60°鏡面光沢を光沢度計IG−320(堀場製作所製)を用いて測定した。
<室温での引張弾性率>
引張弾性率は、JIS K 7161:1994に記載の方法で、室温(25℃)における各硬化物の引張弾性率を測定した。
<50μm厚の光透過率>
厚さ50μmに成形された各硬化物を、エス・デイ・ジー(株)製 X−rite8200を使用して450nmの光透過率を測定した。
Figure 0006638600
表1に示されるように、(D)成分の熱可塑性樹脂粒子としてアクリルパウダーが添加された実施例1〜5、7及び8では、比較例1〜4に比べて光沢度が低くなっている。これら中でも、実施例3及び4のように、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂を混合した例では、光沢度が比較例に比べ著しく低くなっており、さらに弾性率も小さいことが分かる。

Claims (10)

  1. 下記(A)〜(D)を含むことを特徴とする低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
    (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂
    (B)下記一般式(3)
    Figure 0006638600
    (式(3)中、R 4 は独立して、水素原子または炭素数1〜30の飽和炭化水素基を示す。R 5 は独立して炭素数1〜10の飽和炭化水素基、フェニル基から選ばれる基を示す。l、m、nはそれぞれ、1〜100の整数である。)
    で示されるシリコーン変性ビスフェノール樹脂系硬化剤:(A)成分中に含まれるエポキシ基1モルに対して、(B)成分中に含まれる反応基のモル比が0.5〜2.0となる量
    (C)無機充填材:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して10〜1,000質量部、
    (D)25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜200質量部
  2. 前記(A)成分のエポキシ樹脂が、
    (A−1)ビスフェノール型エポキシ樹脂、
    (A−2)多価アルコールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び
    (A−3)下記一般式(2)
    Figure 0006638600
    (式(2)中、R3は炭素数10〜25の2価炭化水素基である)
    で示される長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂
    から選ばれる2以上のエポキシ樹脂を含むものである請求項1に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  3. (A)成分が、下記一般式(1)
    Figure 0006638600
    (式(1)中、R1は炭素数1〜50の2価の有機基である。R2は同一又は異なっていてもよく、水素原子またはメチル基であって、nは独立して1〜100の整数である。)
    で示される両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂を含むものである請求項1又は2に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  4. (A)成分が、下記一般式(2)
    Figure 0006638600
    (式(2)中、R3は炭素数10〜25の2価炭化水素基である)
    で示される長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂を含むものである請求項に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記(D)成分の熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記(D)成分の平均粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  7. さらに(E)成分として、黒色顔料を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の低光沢熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  8. 下記(A)〜(C)
    (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂
    (B)下記一般式(3)
    Figure 0006638600
    (式(3)中、R 4 は独立して、水素原子または炭素数1〜30の飽和炭化水素基を示す。R 5 は独立して炭素数1〜10の飽和炭化水素基、フェニル基から選ばれる基を示す。l、m、nはそれぞれ、1〜100の整数である。)
    で示されるシリコーン変性ビスフェノール樹脂系硬化剤:(A)成分中に含まれるエポキシ基1モルに対して、(B)成分中に含まれる反応基のモル比が0.5〜2.0となる量 及び
    (C)無機充填材:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して10〜1,000質量部
    を含む未硬化のエポキシ樹脂組成物に
    (D)25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子を、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜200質量部添加し、混合することを特徴とするエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂粒子が(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする請求項記載のエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
  10. 前記熱可塑性樹脂粒子の平均粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項または記載のエポキシ樹脂硬化物の光沢度を低減する方法。
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