JP6379500B2 - エポキシ化合物、エポキシ化合物含有組成物、硬化物及び半導体封止材 - Google Patents

エポキシ化合物、エポキシ化合物含有組成物、硬化物及び半導体封止材 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れたエポキシ化合物、エポキシ化合物含有組成物及び硬化物に関する。また、本発明は、該エポキシ化合物含有組成物からなる半導体封止材に関する。
エポキシ化合物は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐熱性、電気的性質等の優れた硬化物となり、接着剤、塗料、電気・電子材料等の幅広い分野で利用されている。電気・電子材料の分野においては、例えば半導体封止材用途でクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂が一般的に使用されている。
近年の電子産業の目ざましい発達に伴い、電子デバイスに要求される耐熱性、耐クラック性、硬化性の要求は益々厳しくなっている。先に挙げたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、従来の電子デバイスであれば、十分使用に耐えうる性能を有していたが、近年要求されるパワーデバイス用途ではこれまでに比べて高い耐熱性が必要となるため耐熱性の不足が指摘されている。近年開発された耐熱性に優れた封止材用のエポキシ化合物の例として、例えば、テトラキスフェノールエタン型のエポキシ化合物(特許文献1)が挙げられる。
国際公開第2006−001395号
本発明者らの詳細な検討によれば、前記特許文献1に記載されているようなエポキシ化合物を用いたものであっても、例えば、後掲の比較例2−1に示すように、耐熱性、低線膨張性、接着性等が十分に良好な組成物は得られてはいない。そこで、本発明は、耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れたエポキシ化合物、エポキシ化合物含有組成物、硬化物、及び半導体封止材を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の化学構造を有するエポキシ化合物が上記課題を解決することを見出したものである。即ち本発明の要旨は以下の[1]〜[10]に存する。
[1] 下記式(1)で表され、エポキシ当量が140〜620g/当量であるエポキシ化合物。
Figure 0006379500
(上記式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して上記式(2)で表される基又は
水素原子である。R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基であり、
n及びmはいずれも0である。)
[2] 下記式(3)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られ、エポキシ当量が140〜620g/当量であるエポキシ化合物。
Figure 0006379500
(上記式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基
であり、n’ 及びm’はいずれも0である。)
[3] [1]又は[2]に記載のエポキシ化合物及び硬化剤を含むエポキシ化合物含有組成物。
[4] 前記エポキシ化合物100重量部に対し、前記硬化剤を0.01〜1000重量部含む、[3]に記載のエポキシ化合物含有組成物。
[5] 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類からなる群のうちの少なくとも1つである、[3]又は[4]に記載のエポキシ化合物含有組成物。
[6] 前記エポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含む、[3]乃至[5]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物含有組成物。
[7] 前記エポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含み、全エポキシ化合物成分に対し、前記エポキシ化合物を40重量%以上含む、[3]乃至[6]のいずれか1項に記載のエポキシ化合物含有組成物。
[8] 更に無機充填剤を含み、かつエポキシ化合物含有組成物中の無機充填剤の含有量が65〜95重量%である、[3]乃至[7]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物含有組成物。
[9] [3]乃至[8]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物含有組成物を硬化させてなる硬化物。
[10] [3]乃至[8]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物含有組成物からなる半導体封止材。
本発明によれば、耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れたエポキシ化合物、エポキシ化合物含有組成物及び硬化物が提供される。また、本発明のエポキシ化合物及びエポキシ化合物含有組成物は、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野;積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途にいずれにも好適に用いることができ、これらの中でも特に半導体封止材の用途に有用である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔エポキシ化合物〕
本発明のエポキシ化合物は、下記式(1)で表されるものである。
Figure 0006379500
(上記式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して上記式(2)で表される基又は水素原子である。R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基であり、n及びmはそれぞれ独立して0〜2の整数である。)
本発明のエポキシ化合物は耐熱性、低線膨張性、接着性等の硬化物特性に特に優れるという効果を奏する。本発明のエポキシ化合物がこれらの効果を奏する理由は定かではないが、本発明のエポキシ化合物が式(1)の化学構造において、レゾルシン型構造と、ビスフェノールA構造とを有するためであると考えられる。即ち、優れた耐熱性と低線膨張性はレゾルシン構造に起因するものと考えられ、また、優れた接着性はビスフェノールA構造に起因するものと考えられる。
<化学構造>
前記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に上記式(2)で表される基(エポキシ基)又は水素原子である。即ち、いずれかの基のみが水素原子で、その他の基は前記式(2)のエポキシ基であってもよい。ただし、前記式(1)は、エポキシ化合物であることから、前記式(1)中のR〜Rとして少なくとも1つの基はエポキシ基を含むものである。本発明のエポキシ化合物は、通常、これらのR〜Rの異なる分子の混合物である。なお、本発明のエポキシ化合物におけるエポキシ基の数は後述するエポキシ当量として示される。
前記式(1)中、R、Rはそれぞれ互いに異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基である。ここで、R、Rとしては炭素数1〜20である、任意の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれ、これらの中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が好ましいものとして挙げられる。R、Rとして最も好ましいのは接着性の観点でメチル基である。
前記式(1)中、n及びmはそれぞれ独立して0〜2の整数である。n及びmはそれぞれ好ましくは0又は1である。nが0である場合、耐熱性、低線膨張性の観点で好ましく、nが1である場合、接着性の観点で好ましい。なお、n又はmが0である場合は、それぞれR又はRが芳香環に結合しておらず、該芳香環には水素原子が4個結合していることを意味する。
<物性・特性>
[エポキシ当量]
本発明のエポキシ化合物は、式(1)の化学構造に基づく耐熱性、低線膨張性、接着性等の物性を得る観点から、エポキシ当量が140g/当量以上であり、150g/当量以上であることが好ましく、一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、620g/当量以下であり、400g/当量以下であることが好ましく、320g/当量以下であることがより好ましく、250g/当量以下であることが更に好ましく、190g/当量以下が特に好ましい。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
[エポキシ化合物の製造方法]
本発明のエポキシ化合物の製造方法については特に制限はないが、例えば、以下に説明する一段法による製造方法、アリル化合物の酸化による製造方法等が挙げられる。これらの方法について以下に詳述する。
[一段法による製造方法]
本発明の他の態様にかかるエポキシ化合物は、下記式(3)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られ、エポキシ当量が140〜620g/当量であるものである。
Figure 0006379500
(上記式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基であり、n’ 及びm’はそれぞれ独立して0〜2の整数である。)
上記式(3)において、Rの定義及び好ましいものは式(1)におけるRと同様であり、また、Rの定義及び好ましいものは式(1)におけるRと同様である。また、n’及びm’の定義及び好ましいものは、式(1)におけるn及びmのそれぞれと同様である。
なお、一段法により本発明のエポキシ化合物を製造する場合、原料として少なくとも前記式(3)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを用いるが、原料として式(3)で表されるフェノール化合物以外の多価ヒドロキシ化合物(本発明において「その他の多価ヒドロキシ化合物」と称することがある。)を併用し、前記式(1)のエポキシ化合物及びその他のエポキシ化合物との混合物として製造してもよい。ただし、本発明の効果を高める観点から前記式(3)で表されるフェノール化合物の割合は、原料として用いる多価ヒドロキシ化合物の全量に対して好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。また、その上限は100モル%であり、特に好ましくは100モル%である。なお、本発明における「多価ヒドロキシ化合物」とは2価以上のフェノール化合物及び2価以上のアルコールの総称である。
その他の多価ヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールAF、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類(ただし、前記式(3)で表されるフェノール化合物を除く。)や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール樹脂類、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が例示される。これらの中で好ましいものとしてはフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオー
ル、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が挙げられる。
原料として用いる水酸基を2個以上有する化合物はその水酸基1当量当たり、通常、0.8〜20当量、好ましくは0.9〜15当量、より好ましくは1.0〜10当量に相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて溶液とする。エピハロヒドリンの量が上記下限以上であると高分子量化反応を制御しやすく、適切な溶融粘度とすることができるために好ましい。一方、エピハロヒドリンの量が上記上限以下であると生産効率が向上する傾向にあるために好ましい。なお、この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。
次いで、その溶液を撹拌しながら、これに原料の水酸基1当量当たり通常、0.5〜2.0当量、より好ましくは0.7〜1.8当量、更に好ましくは0.9〜1.6当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が上記下限以上であると、未反応の水酸基と生成したエポキシ化合物が反応しにくく、高分子量化反応を制御しやすいために好ましい。また、アルカリ金属水酸化物の量が上記上限値以下であると、副反応による不純物が生成しにくいために好ましい。ここで用いられるアルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが挙げられる。
この反応は、常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜100℃、更に好ましくは80〜100℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすく、且つ反応を制御しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物を低減しやすいために好ましい。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、好ましくは0.1〜8時間、より好ましくは0.1〜7時間、更に好ましくは0.5〜6時間かけて少量ずつを断続的又は連続的に添加する。添加時間が上記下限以上であると急激に反応が進行するのを防ぐことができ、反応温度の制御がしやすくなるために好ましい。添加時間が上記上限以下であると塩素不純物が生成しにくくなるために好ましく、また、経済性の観点からも好ましい。全反応時間は通常、1〜15時間である。反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ化合物を得ることができる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
なお、上記のようにして得られたエポキシ化合物の全塩素含有量を低減する必要がある場合には再処理して十分に全塩素含有量が低下した精製エポキシ化合物を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ化合物を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液を加えて好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50〜100℃の温度で好ましくは0.1〜15時間、より好ましくは0.3〜12時間、更に好ましくは0.5〜10時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ化合物を得ることができる。反応温度が上記下限以上であり、また、反応時間が上記下限以上であると再閉環反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であり、また、反応時間が上記上限以下であると反応を制御しやすいために好ましい。
[アリル化合物の酸化による製造方法]
本発明のエポキシ化合物の製造方法の1つとして、前記式(3)で表されるフェノール化合物に対してアリル化反応によりアリル基を導入してアリル化合物とし、更に該アリル基に対して酸化反応させることにより前記式(1)のエポキシ化合物を得る方法が挙げられる。このような製造方法の例としては、前記式(3)で表されるフェノール化合物を原料として用いること以外は、特開2012−213716号公報、特開2011−225711号公報、特開2012−092247号公報、特開2012−111858号公報等の方法により製造することができる。
〔エポキシ化合物含有組成物〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ化合物と硬化剤を含む。また、本発明のエポキシ化合物含有組成物には、必要に応じて、他のエポキシ化合物、硬化促進剤、離型剤、無機充填剤、カップリング剤等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ化合物含有組成物は耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
<硬化剤>
本発明において「硬化剤」とは、エポキシ化合物含有組成物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ化合物含有組成物において、硬化剤の含有量は本発明のエポキシ化合物100重量部に対し、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは0.1重量部以上であり、一方、好ましくは1000重両部部以下、より好ましくは800重量部以下、更に好ましくは300重量部以下、特に好ましくは150重量部以下である。また、エポキシ化合物含有組成物に後述する他のエポキシ化合物が含まれる場合には、固形分としての全エポキシ化合物成分100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ化合物のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ化合物成分」とは、本発明のエポキシ化合物と後述する他のエポキシ化合物との合計を意味する。
[フェノール系硬化剤]
本発明のエポキシ化合物含有組成物は硬化剤として、フェノール系硬化剤を含むことが好ましい。フェノール系硬化剤を含むことにより、本発明のエポキシ化合物含有組成物は、耐熱性、低線膨張性、接着性がより良好になる傾向にある。
本発明に用いることのできるフェノール系硬化剤は、特に制限されないが、具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物等の各種のフェノール樹脂類等が挙げられる。これらのフェノール化合物は、1種単独でも、2種以上併用してもよい。
これらの中でもエポキシ化合物含有組成物の硬化後の耐熱性、硬化性等の観点から、フェノールノボラック樹脂(例えば下記式(4)で表される化合物)、フェノールアラルキル樹脂(例えば下記式(5)で表される化合物)、ビフェニルアラルキル樹脂(例えば下記式(6)で表される化合物)、ナフトールノボラック樹脂(例えば下記式(7)で表される化合物)、ナフトールアラルキル樹脂(例えば下記式(8)で表される化合物)、トリスフェノールメタン型樹脂(例えば下記式(9)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物(例えば下記式(10)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物(例えば下記式(10)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物(例えば下記式(11)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物(例えば下記式(11)で表される化合物)等が好ましく、特にトリスフェノールメタン型樹脂が好ましい。
Figure 0006379500
(ただし、上記式(4)〜(9)において、k〜kはそれぞれ0以上の数を示す。)
Figure 0006379500
(ただし、上記式(10)、(11)においてk、k、l、lはそれぞれ1以上の数を示す。)
フェノール系硬化剤は固形分としての全エポキシ化合物成分100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。以上に挙げたフェノール系硬化剤の各成分は、予め混合して混合硬化剤を調製してから使用してもよいし、エポキシ化合物含有組成物の各成分を混合する際に硬化剤の各成分をそれぞれ別々に添加して同時に混合してもよい。
[アミン系硬化剤]
本発明のエポキシ化合物含有組成物はアミン系硬化剤を含むことが好ましい。アミン系硬化剤の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上で挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、アミン系硬化剤は、エポキシ化合物中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
[酸無水物系硬化剤]
本発明のエポキシ化合物含有組成物は、耐熱性の観点から酸無水物系硬化剤を用いることが好ましい。酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデ
カン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物の変性物としては、例えば、上述した酸無水物をグリコールで変性したもの等が挙げられる。ここで、変性に用いることのできるグリコールの例としては、エチレンギリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;ポリエチレンギリコール、ポリプロピレングリコール、ポチテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルリコールを用いることもできる。
酸無水物の変性物においては、酸無水物1モルに対してグリコール0.4モル以下で変性させることが好ましい。変性量が上記上限値以下であると、エポキシ化合物含有組成物の粘度が高くなり過ぎず、作業性が良好となる傾向にあり、また、エポキシ化合物との硬化反応の速度も良好となる傾向にある。
以上で挙げた酸無水物硬化剤は1種のみでも2種以上を任意の組み合わせ及び配合量で組み合わせて用いてもよい。酸無水物系硬化剤を用いる場合には、エポキシ化合物中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
[アミド系硬化剤]
硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。硬化剤としてアミド系硬化剤を用いると、得られるエポキシ化合物含有組成物の耐熱性が向上のしやすくなるために好ましい。アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
以上に挙げたフェノール系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。また、アミド系硬化剤は、エポキシ化合物含有組成物中の固形分としての全エポキシ化合物成分とアミド系硬化剤との合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
[イミダゾール類]
硬化剤としてイミダゾール類を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル
−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ化合物と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。また、イミダゾール類は、エポキシ化合物含有組成物中の固形分としての全エポキシ化合物成分とイミダゾール類との合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
[その他の硬化剤]
本発明のエポキシ化合物含有組成物においては前記硬化剤以外にその他の硬化剤を用いることができる。本発明のエポキシ化合物含有組成物に使用することのできるその他の硬化剤は特に制限はなく、一般的にエポキシ化合物の硬化剤として知られているものはすべて使用できるが、例えば、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。これらの他の硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<他のエポキシ化合物>
本発明のエポキシ化合物含有組成物は本発明のエポキシ化合物以外に、更に他のエポキシ化合物を含むことできる。他のエポキシ化合物を含むことにより、本発明のエポキシ化合物含有組成物の耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等を更に向上させることができる。
本発明のエポキシ化合物含有組成物に用いることのできる他のエポキシ化合物は、本発明のエポキシ化合物以外のエポキシ化合物すべてが該当するが、具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ただし、本発明のエポキシ化合物に該当するものを除く。)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂(ただし、本発明のエポキシ化合物に該当するものを除く。)、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、チオジフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシスチルベン類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、テルペンフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、フェノール・ヒドロキシベンズアルデヒドの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、フェノール・クロトンアルデヒドの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、フェノール・グリオキザールの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂から誘導されるエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されるエポキシ樹脂、アミノフェノールから誘導されるエポキシ樹脂、キシレンジアミンから誘導されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロフタル酸から誘導されるエポキシ樹脂、ダイマー酸から誘導されるエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わ
せ及び配合比率で用いてもよい。
これらの中でもエポキシ化合物含有組成物の流動性、また、硬化物の耐熱性や耐吸湿性や難燃性等の観点から、上記エポキシ化合物の中で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂及び4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型のエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂及びジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。
本発明のエポキシ化合物含有組成物において、前記の他のエポキシ化合物が含まれる場合には、全エポキシ化合物成分100重量部に対して好ましくは0.01〜60重量部である。また、より好ましくは40重量部以下であり、更に好ましくは30重量部以下であり、特に好ましくは20重量部以下であり、一方、より好ましくは1重量部以上である。
<硬化促進剤>
本発明のエポキシ化合物含有組成物は、硬化促進剤(ただし、前記硬化剤に含まれるものを除く。)を含むことが好ましい。硬化促進剤を含むことにより、硬化時間の短縮、硬化温度の低温化が可能となり、所望の硬化物を得やすくすることができる。
硬化促進剤は特に制限されないが、具体例としては、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
硬化促進剤として使用可能な化合物としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体やこれら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等の化合物を付加してなる化合物等が例示される。
以上に挙げた硬化促進剤の中でも有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、が好ましく、有機ホスフィン類が最も好ましい。また、硬化促進剤は、上記に挙げたもののうち、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化促進剤は、エポキシ化合物含有組成物中のエポキシ化合物100重量部に対して0.1重量以上20重量部以下の範囲で用いることが好ましい。より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、一方、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限値以上であると、硬化促進効果を得るために好ましく、一方、上記上限値以下であると、所望の硬化物性が得られやすいために好ましい。
<無機充填剤>
本発明のエポキシ化合物含有組成物には無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、チッ化ホウ素等が挙げられる。これらの中でも半導体封止の用途に用いる場合には、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶性シリカ粉末充填材が好ましい。無機充填剤を使用することにより、エポキシ化合物含有組成物を半導体封止材として用いたときに、半導体封止材の熱膨張係数を内部のシリコンチップやリードフレームに近づけることができ、また、半導体封止材全体の吸湿量を減らすことができるため、耐ハンダクラック性を向上させることができる。本発明のエポキシ化合物含有組成物に無機充填剤を用いる場合、エポキシ化合物含有組成物全体の60〜95重量%配合することが好ましい。
本発明のエポキシ化合物含有組成物に無機充填剤を用いる場合、無機充填剤の平均粒子径は、通常、1〜50μm、好ましくは1.5〜40μm、より好ましくは2〜30μm
である。平均粒子径が上記下限値以上であると溶融粘度が高くなり過ぎず、流動性が低下しにくいために好ましく、また、平均粒子径が上記上限値以下であると成形時に金型の狭い隙間に充填剤が目詰まりしにくく、材料の充填性が向上しやすくなるために好ましい。
<離型剤>
本発明のエポキシ化合物含有組成物には離型剤を配合することができる。離型剤としては例えば、カルナバワックス等の天然ワックス;ポリエチレンワックス等の合成ワックス;ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸類及びその金属塩類;パラフィン等の炭化水素系離型剤を適宜配合してもよい。
本発明のエポキシ化合物含有組成物に用いる離型剤の量は、好ましくは全エポキシ化合物成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.5〜3.0重量部である。離型剤の量が上記範囲内であると、エポキシ化合物含有組成物の硬化特性を維持しつつ、良好な離型性を発現することができるために好ましい。
<カップリング剤>
本発明のエポキシ化合物含有組成物には、カップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤は無機充填剤と併用することが好ましく、カップリング剤を配合することにより、マトリックスであるエポキシ化合物と無機充填剤との接着性を向上させることができる。カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、更に、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチル
ホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、いずれも1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。なお、カップリング剤の配合量は、全エポキシ化合物成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜3.0重量部である。カップリング剤の配合量が上記下限値以上であると、カップリング剤を配合したことによるマトリックスであるエポキシ化合物と無機充填剤との密着性の向上効果が向上する傾向にあり、一方、カップリング剤の配合量が上記上限値以下であると、得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトしにくくなるために好ましい。
<その他の成分>
本発明のエポキシ化合物含有組成物には、前記した以外の成分(本発明において、「その他の成分」と称することがある。)を配合することができる。それら各種添加剤としては例えば、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等があげられ、必要に応じて適宜に配合することができる。ただし、本発明のエポキシ化合物含有組成物は上記で挙げた成分以外のものを配合することを何ら妨げるものではない。
その難燃剤としては、臭素含有化合物(硬化剤及びその他のエポキシ化合物に該当するものを除く。)等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、赤燐、リン酸エステル類、ホスフィン類等のリン系難燃剤、メラミン誘導体等の窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる(以下、「本発明の硬化物」と称することがある。)。エポキシ化合物含有組成物を硬化させる方法については特に限定されないが、通常、加熱による熱硬化反応により硬化物を得ることができる。具体的な硬化反応の際の反応温度としては通常、80〜280℃、好ましくは100〜200℃である。また、これらの硬化剤に促進剤を添加することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は、1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、更に好ましくは3〜15時間である。反応時間が上記下限値以上であると硬化反応が十分に進行しやすくなる傾向にあるために好ましい。一方、反応時間が上記上限値以下であると加熱による劣化、加熱時のエネルギーロスを低減しやすいために好ましい。
本発明の硬化物は、耐熱性、低線膨張性、接着性の硬化物特性に優れたものである。これらの測定方法については後掲の実施例において説明する。
〔耐熱性〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物はガラス転移温度(Tg)が、好ましくは200℃以上である。ガラス転移温度が高いほど半導体封止材等とした際に封止した樹脂中に熱応力がかかりにくく、パッシベーションやチップの損傷、アルミ配線のスライド、パッケージクラック等の不良を起こしにくいために好ましい。
〔低線膨張性〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物は線膨張係数の値が小さいほど好ましく、特に好ましくは30ppm/℃以下である。線膨張係数が低いほど半導体封止材等とした際に封止した樹脂中に応力がかかりにくく、半導体チップや配線との剥離、また半導体のクラック
が生じにくいために好ましい。
〔接着性〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物は銅ピールの接着性が好ましくは3.0N/4mm以上であり、アルミピールの接着性が好ましくは2.0N/4mm以上である。接着性が高いほど半導体封止材等とした際に、半導体チップや配線との剥離、また半導体のクラックが生じにくいために好ましい。
〔用途〕
本発明のエポキシ化合物及びエポキシ化合物含有組成物は耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れるため、これらの物性が求められる用途であれば、いかなる用途にも有効に用いることができる。このため、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野;積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途にいずれにも好適に用いることができる。これらの中でも特に半導体封止材の用途に有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<エポキシ化合物の製造>
〔実施例1−1〕
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの四口フラスコにHBPX(三井化学ファイン製 ミレックス(登録商標)HBPX、式(3)で表され、m’、n’がいずれも0であるフェノール化合物)63g、エピクロルヒドリン369g、イソプロピルアルコール143g、水43gを仕込み、80℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液63gを90分かけて滴下した。滴下終了後、80℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。次いで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロピルアルコールを留去して、粗製エポキシ化合物を得た。この粗製エポキシ化合物をメチルイソブチルケトン122gに溶解させ、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液6gを加え、65℃の温度で1時間再び反応させた。その後、反応液にリン酸二水素ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ化合物84gを得た。得られたエポキシ化合物について、 JIS K7236に従い、エポキシ当量を測定した。エポキシ当量は159g/当量であった。
〔実施例2−1〜2−9及び比較例2−1〕
<エポキシ化合物含有組成物の製造>
表−1に示すように原料を配合した。次いで、各配合物をミキシングロールを用いて50〜120℃の温度で5分間溶融混練した。得られた各溶融混合物は薄板状に取り出し冷却した後、粉砕して各エポキシ化合物含有組成物を得た。これらのエポキシ化合物含有組成物を用い、低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、成形時間100〜180秒の条件で成形して、各試験片を得た後、180℃で8時間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物について、以下の方法でガラス転移温度、平均線膨張係数、銅ピール強度、アルミピール強度を試験した結果を表−1に示した。
なお、表−1中の略号は以下の通りである。
・その他のエポキシ化合物
a−1:クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 EOCN1020−55(エポキシ当量:199g/当量))
a−2:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂 (三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) 1032H60(エポキシ当量:168g/当量))
a−3:テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) YX4000(エポキシ当量:186g/当量))
a−4:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)
YL6810(エポキシ当量:172g/当量))
a−5:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 NC3000(エポキシ当量:270g/当量))
a−6:ビフェニル型エポキシ樹脂 (三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)YL6121H(エポキシ当量:175g/当量))
a−7:ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)YX8800 (エポキシ当量:178g/当量))
a−8:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製 商品名 HP−7200(エポキシ当量:275g/当量))
a−9:テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)1031S (エポキシ当量:198g/当量))
・硬化剤
b−1:フェノ−ルノボラック樹脂(群栄化学工業社製 商品名 レヂトップ PSM4
261(水酸基当量:103g/当量、軟化点:85℃))
b−2:トリスフェノールメタン型樹脂(明和化成社製 商品名 MEH7500(水酸基当量:97g/当量、軟化点:110℃))
b−3:フェノ−ルアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEHC7800S(水酸基当量:174g/当量、軟化点:75℃))
b−4:ビフェニルアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH7851S(水酸基当量:205g/当量、軟化点:75℃))
b−5:フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物 (エアウ
ォーター社製 商品名 HE510−05(水酸基当量:156g/当量)、軟化点73℃))
b−6:フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキシビフェニル重縮合物 (
エアウォーター社製 商品名 HE610C−07(水酸基当量:185g/当量)、軟化点74℃))
b−7:ナフトールアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7700(水酸基当量:140g/当量、軟化点:96℃))
・硬化促進剤
c−1:トリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社製 商品名 トリフェニルホスフィン)
・無機充填剤
d−1:溶融シリカ粉末(電気化学工業社製 商品名 球状シリカ(平均粒子径:25μm))
・離型剤
e−1:カルナバワックス(セラリカ野田社製 商品名 精製カルナバワックスNo.1
・カップリング剤
f−1:エポキシシラン(信越化学工業社製 商品名 KBM−403)
<エポキシ化合物含有組成物及び硬化物の物性・特性の測定>
各エポキシ化合物含有組成物について、以下の方法により物性測定を行った。
(耐熱性:ガラス転移温度(Tg))
硬化物を厚さ約1.6mm直径約7mmの円柱状試験片とし、熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製 EXSTAR6000)を用いて、圧縮モードで熱機
械分析を行った(測定架重:30mN、昇温速度:5℃/分で2回、測定温度範囲:30℃から250℃)。2回目の測定における、ガラス転移温度を測定した。ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れるものと評価され、200℃以上であることが好ましい。
(低線膨張性:平均線膨張係数)
硬化物を厚さ約1.6mm直径約7mmの円柱状試験片とし、熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製 EXSTAR6000)を用いて、圧縮モードで熱機
械分析を行った(測定架重:30mN、昇温速度:5℃/分で2回、測定温度範囲:30℃から250℃)。2回目の測定における、30℃から250℃までの平均線膨張係数を測定した。平均線膨張係数が低いほど低線膨張性に優れるものと評価され、30ppm/℃以下であることが好ましい。
(接着性:銅ピール強度、アルミピール強度)
トランスファー成形時に上記ロール後のエポキシ化合物含有組成物と銅箔、アルミ箔とを接着させ、ポストキュア後、幅4mmに切削し、試験片を得た。引張試験機(インストロンジャパン社製 INSTRON5582)を用いて、温度23℃、湿度50%下でク
ロスヘッドスピード50mm/分でピール強度を測定。ピール強度が高いほど接着性に優
れるものと評価され、銅ピールは3.0N/4mm以上、アルミピールは2.0N/4mm以上であることが好ましい。
Figure 0006379500
〔評価結果〕
表−1からわかるように本発明のエポキシ化合物を用いた実施例2−1〜2−9はいずれも、比較例2−1に対し、耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れたものであることがわかる。
本発明のエポキシ化合物及びエポキシ化合物含有組成物は耐熱性、低線膨張性、接着性等に優れるため、これらの物性が求められる用途であれば、いかなる用途にも有効に用いることができる。このため、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野;積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途にいずれにも好適に用いることができる。これらの中でも特に半導体封止材の用途に有用である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表され、エポキシ当量が140〜620g/当量であるエポキシ化合物

    Figure 0006379500
    (上記式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して上記式(2)で表される基又は
    水素原子である。R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基であり、
    n及びmはいずれも0である。)
  2. 下記式(3)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られ、
    エポキシ当量が140〜620g/当量であるエポキシ化合物。
    Figure 0006379500
    (上記式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基
    であり、n’ 及びm’はいずれも0である。)
  3. 請求項1又は2に記載のエポキシ化合物及び硬化剤を含むエポキシ化合物含有組成物。
  4. 前記エポキシ化合物100重量部に対し、前記硬化剤を0.01〜1000重量部含む
    、請求項3に記載のエポキシ化合物含有組成物。
  5. 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化
    剤及びイミダゾール類からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項3又は4に記載
    のエポキシ化合物含有組成物。
  6. 前記エポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含む、請求項3乃至5のいずれか1項に記
    載のエポキシ化合物含有組成物。
  7. 前記エポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含み、全エポキシ化合物成分に対し、前記
    エポキシ化合物を40重量%以上含む、請求項3乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ
    化合物含有組成物。
  8. 更に無機充填剤を含み、かつエポキシ化合物含有組成物中の無機充填剤の含有量が65
    〜95重量%である、請求項3乃至7のいずれか1項に記載のエポキシ化合物含有組成物
  9. 請求項3乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ化合物含有組成物を硬化させてなる硬
    化物。
  10. 請求項3乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ化合物含有組成物からなる半導体封止
    材。
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