JP2014034629A - エポキシ樹脂組成物、硬化物及び半導体封止材 - Google Patents
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Abstract
【課題】エポキシ樹脂組成物を硬化物としたときに耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等の諸物性においてバランスの優れたものを与えることのできるエポキシ樹脂組成物、及び硬化物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)及び成分(B)を含むエポキシ樹脂組成物による。成分(A):1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン骨格を有するエポキシ樹脂。成分(B):フェノール系硬化剤。成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜1000重量部含む、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】下記成分(A)及び成分(B)を含むエポキシ樹脂組成物による。成分(A):1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン骨格を有するエポキシ樹脂。成分(B):フェノール系硬化剤。成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜1000重量部含む、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。また、本発明は、該エポキシ樹脂組成物からなる半導体封止材に関する。
エポキシ樹脂の硬化物は、強固で安定な結合で架橋した構造を有するため、機械的特性、耐熱性、耐吸湿性、耐薬品性、電気特性等に優れ、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子用材料、光学部材、半導体封止材等、様々な分野で用いられている。
半導体封止材の分野では、近年の高度化した実装方式や鉛フリーハンダに対応するため、耐ハンダクラック性が要求されている。これを達成するためには、組成物の耐熱性、耐吸湿性、耐応力性等が求められる。また、一般のプラスチック材料と同じく、難燃性も要求されている。
これらの要求を満足させるために、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂とオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用い、耐吸湿性、耐熱性を改良すること(特許文献1)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂やテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂等架橋点間の長い硬化物を与えるフェノール樹脂からなる組成物、また、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用い、耐吸湿性を改良すること(特許文献2〜4)等が提案されている。さらに、オルソ−クレゾールとベンズアルデヒドの共縮合ノボラック樹脂のエポキシ物を主成分として用い、耐湿性と耐熱性のバランスを取ること(特許文献5)等、種々の検討がなされている。
本発明者らの詳細な検討によれば、前記特許文献1〜5のいずれのエポキシ樹脂を用いたものであっても、耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等が十分に良好なエポキシ樹脂組成物は得られてはいない。そこで、本発明は、エポキシ樹脂組成物を硬化物としたときに耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等の諸物性においてバランスの優れたものを与えることのできるエポキシ樹脂組成物、及び硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂とフェノール系硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物が上記課題を解決することを見出したものである。即ち本発明の要旨は以下の[1]〜[13]に存する。
[1] 下記成分(A)及び成分(B)を含むエポキシ樹脂組成物。
成分(A):下記式(1)で表されるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
成分(A):下記式(1)で表されるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
(上記式(1)において、Aは上記式(2)で表される化学構造を含み、Rは水素原子又は上記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数の平均値であり0以上150以下である。上記式(2)において、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
[2] 前記成分(A)100重量部に対し、前記成分(B)を30〜1000重量部含む、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 下記成分(A’)及び成分(B)を含むエポキシ樹脂組成物。
成分(A’):下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
成分(A’):下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
(上記式(4)において、R1’〜 R4’はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜
20の炭化水素基である。)
20の炭化水素基である。)
[4] 前記成分(A’)100重量部に対し、前記成分(B)を30〜1000重量部
含む、[3]に記載のエポキシ樹脂組成物。
含む、[3]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記成分(B)が、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリス(ヒドロキシルフェニル)メタン型樹脂、ナフトールアルキルフェノール共縮合ノボラック樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物から選ばれる少なくとも1種のフェノール系硬化剤である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] 前記成分(A)又は成分(A’)のエポキシ当量が225〜3000g/当量である、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] 更に成分(A)又は(A’)以外のエポキシ樹脂を含む、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] 全エポキシ樹脂成分に対し、前記成分(A)又は(A’)を40重量%以上含む、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[9] 前記成分(A)又は成分(A’)と前記他のエポキシ樹脂との混合物の混合エポキシ当量が200〜2000g/当量である、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[10] 前記成分(A)又は(A’)の軟化点が30〜120℃である、[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[11] 更にエポキシ樹脂組成物中に無機充填材が70〜95重量%含まれる、[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物.
[12] [1]乃至[11]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
[13] [1]乃至[11]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物からなる半導体封止材。
本発明によれば、耐熱性、耐吸湿性、耐応力性及び難燃性等の硬化物特性に優れたエポキシ樹脂組成物が提供される。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記の特長を有するため、半導体封止材の分野に特に有用に適用することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物には以下の「第1の態様にかかるエポキシ樹脂組成物」及び「第2の態様にかかるエポキシ樹脂組成物」が包含される。本発明の第1の態様に係る
エポキシ樹脂組成物は下記成分(A)及び成分(B)を含む。
成分(A):下記式(1)で表されるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には以下の「第1の態様にかかるエポキシ樹脂組成物」及び「第2の態様にかかるエポキシ樹脂組成物」が包含される。本発明の第1の態様に係る
エポキシ樹脂組成物は下記成分(A)及び成分(B)を含む。
成分(A):下記式(1)で表されるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
(上記式(1)において、Aは上記式(2)で表される化学構造を含み、Rは水素原子又は上記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数の平均値であり0以上150以下である。上記式(2)において、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
また、本発明の第2の態様に係るエポキシ樹脂は、成分(A’)及び成分(B)を含む。
成分(A’):下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
成分(A’):下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂
成分(B):フェノール系硬化剤
(上記式(4)において、R1’〜R4’はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
<成分(A)及び成分(A’)>
本発明に用いる成分(A)のエポキシ樹脂は、前記式(1)で表される(以下、成分(A)のエポキシ樹脂を単に「成分(A)」と称することがある。)。成分(A)のエポキシ樹脂を用いることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性の硬化物特性に特に優れるという特長を有する。本発明のエポキシ樹脂組成物がこれらの特長を有する理由は定かではないが、優れた耐熱性及び耐応力性は前記式(2)中のシクロドデシレン基の剛直な骨格によるものと推定され、また、優れた耐吸湿性は前記式(2)の分子量が大きく、エポキシ樹脂の分子量に対する2級水酸基の割合が従来のエポキシ樹脂(例えば、前記特許文献2において製造されているようなビスフェノールZ型エポキシ樹脂)に比べて少ないためと推定される。
本発明に用いる成分(A)のエポキシ樹脂は、前記式(1)で表される(以下、成分(A)のエポキシ樹脂を単に「成分(A)」と称することがある。)。成分(A)のエポキシ樹脂を用いることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性の硬化物特性に特に優れるという特長を有する。本発明のエポキシ樹脂組成物がこれらの特長を有する理由は定かではないが、優れた耐熱性及び耐応力性は前記式(2)中のシクロドデシレン基の剛直な骨格によるものと推定され、また、優れた耐吸湿性は前記式(2)の分子量が大きく、エポキシ樹脂の分子量に対する2級水酸基の割合が従来のエポキシ樹脂(例えば、前記特許文献2において製造されているようなビスフェノールZ型エポキシ樹脂)に比べて少ないためと推定される。
[成分(A)及び成分(A’)の化学構造]
前記式(1)において、Aは前記式(2)で表される化学構造を含む。前述の通り、式(2)中のシクロドデシレン基により、本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等に優れたものとなる。また、成分(A’)のエポキシ樹脂も前記式(2)で表される化学構造が含まれるため同様に耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等が優れたものとなる。
前記式(1)において、Aは前記式(2)で表される化学構造を含む。前述の通り、式(2)中のシクロドデシレン基により、本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等に優れたものとなる。また、成分(A’)のエポキシ樹脂も前記式(2)で表される化学構造が含まれるため同様に耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等が優れたものとなる。
また、前記式(1)中のAは前記式(2)で表される構造単位以外のものを含んでいてもよい。ただし、本発明の効果を得る観点からは、式(2)で表される構造単位が式(1)中のA全体に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。また、その上限は通常100モル%であり、最も好ましいのは100モル%である。なお、A全体に対する式(2)で表される構造単位の量は後述する原料のモル比によって決定されるものとする。また、式(1)中のAとして、式(2)以外の化学構造の例は後述する製造方法において例示するものが挙げられる。
前記式(2)中、R1〜R4はそれぞれ互いに異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。ここで、R1〜R4における「炭素数1〜20の炭化水素基」としては炭素数1〜20である、任意の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれ、これらの中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が好ましいものとして挙げられる。R1〜R4として最も好ましいのは、耐熱性の観点では水素原子であり、耐吸湿性の観点ではメチル基である。また、前記式(4)におけるR1’〜R4’の定義及び好ましい範囲はそれぞれR1〜R4と同様である。
前記式(2)において、R1〜R4の置換位置は下記式(2)’におけるb〜fの位置のいずれであってもよいが、R1〜R4が炭素数1〜20の炭化水素基である場合、置換位置はb、c、e、fの位置であることが好ましく、b及び/又はfの位置であることがより好ましい。また、前記式(2)において、シクロドデシレン基の置換位置はb〜fの位置のいずれであってもよいが、シクロドデシレン基に基づく耐熱性を効率的に得る観点から好ましくはdの位置である。
また、前記式(4)におけるR1’〜R4’の置換位置は好ましいものも含めてそれぞれR1〜R4と同様である。更にシクロドデシレン基の置換位置についても同様である。
(上記式(2)’において、R1〜R4は前記式(2)における定義と同様である。)
前記式(1)中、Rは水素原子又は前記式(3)で表される基(エポキシ基)である。即ち、式(1)において、Rは末端構造を示すものであり、両末端が水素原子又は式(3)のエポキシ基であってもよく、片末端のみが水素原子又は式(3)のエポキシ基であってもよい。ただし、前記式(1)は、エポキシ樹脂であることから、式(1)中のRとして少なくともエポキシ基を含むものである。本発明のエポキシ樹脂は、通常、これらの末端を有する分子や、次に説明する繰り返し数nの異なる分子等の混合物である。
前記式(1)中、nは繰り返し数であり、平均値である。nの値は0以上であり、また、取り扱い性を良好なものとする観点から150以下である。nの値は好ましくは0.01以上であり、一方、エポキシ樹脂の取り扱い性を更に良好なものとする観点から好ましくは100以下であり、より好ましくは80以下であり、更に好ましくは50以下であり、特に好ましくは20以下であり、特に好ましくは5以下であり、更には2以下である。n数はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により得られた数平均分子量(Mn)より算出することができる。なお、本発明における「エポキシ樹脂」とは極めてnが0に近く、実質的にはエポキシ化合物であるものまで含む概念として用いるものである。
[物性・特性]
(エポキシ当量)
成分(A)及び成分(A’)はそれぞれ、その化学構造に基づいた耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等の物性を得る観点から、エポキシ当量が220g/当量以上が好ましく、225g/当量以上がより好ましい。一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、30,000g/当量以下が好ましく、10,000g/当量以下がより好ましく、5,000g/当量以下が更に好ましく、1,000g/当量以下が特に好ましい。なお、本発明において、「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の重量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
(エポキシ当量)
成分(A)及び成分(A’)はそれぞれ、その化学構造に基づいた耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等の物性を得る観点から、エポキシ当量が220g/当量以上が好ましく、225g/当量以上がより好ましい。一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、30,000g/当量以下が好ましく、10,000g/当量以下がより好ましく、5,000g/当量以下が更に好ましく、1,000g/当量以下が特に好ましい。なお、本発明において、「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の重量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
(軟化点)
成分(A)及び成分(A’)の軟化点は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であるであることがより好ましい。更に好ましくは50℃以上である。一方、軟化点は、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。軟化点が上記下限値以上であると、エポキシ樹脂が融着するブロッキングが起こりにくく、常温(25℃)での取り扱い性が良好となる傾向にある。一方、軟化点が上記上限値以下であると、取り扱い性、作業性が良好となるために好ましい。なお、本発明において、成分(A)及び成分(A’)の軟化点は、JIS K−7234 環球法により測定することができる。
成分(A)及び成分(A’)の軟化点は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であるであることがより好ましい。更に好ましくは50℃以上である。一方、軟化点は、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。軟化点が上記下限値以上であると、エポキシ樹脂が融着するブロッキングが起こりにくく、常温(25℃)での取り扱い性が良好となる傾向にある。一方、軟化点が上記上限値以下であると、取り扱い性、作業性が良好となるために好ましい。なお、本発明において、成分(A)及び成分(A’)の軟化点は、JIS K−7234 環球法により測定することができる。
(粘度)
本発明において、コーンプレート型粘度測定機で測定した150℃における成分(A)及び成分(A’)の粘度は、好ましくは10dPa・s以下であり、より好ましくは8dPa・s以下である。一方、下限については特に制限はないが、通常、0.1dPa・s
以上である。エポキシ樹脂の取り扱い性の観点から、粘度は低いほうが好ましい。
本発明において、コーンプレート型粘度測定機で測定した150℃における成分(A)及び成分(A’)の粘度は、好ましくは10dPa・s以下であり、より好ましくは8dPa・s以下である。一方、下限については特に制限はないが、通常、0.1dPa・s
以上である。エポキシ樹脂の取り扱い性の観点から、粘度は低いほうが好ましい。
(全塩素含有量)
成分(A)及び成分(A’)は、特に電気・電子部品に用いる場合、全塩素含有量が0.2重量%以下であることが好ましい。全塩素含有量が0.2重量%以下であると、アルミニウム等の金属材料と共に用いた際の金属の腐食が発生しにくくなるために好ましい。全塩素含有量の下限については特に制限はないが、通常、0.0001重量%以上である。なお、エポキシ樹脂の全塩素含有量は硝酸銀溶液等で滴定することにより求めることができる。
成分(A)及び成分(A’)は、特に電気・電子部品に用いる場合、全塩素含有量が0.2重量%以下であることが好ましい。全塩素含有量が0.2重量%以下であると、アルミニウム等の金属材料と共に用いた際の金属の腐食が発生しにくくなるために好ましい。全塩素含有量の下限については特に制限はないが、通常、0.0001重量%以上である。なお、エポキシ樹脂の全塩素含有量は硝酸銀溶液等で滴定することにより求めることができる。
[成分(A)及び成分(A’)の製造方法]
成分(A)のエポキシ樹脂の製造方法については特に制限はないが、例えば、以下に説明する一段法による製造方法、二段法による製造方法、アリル化反応を経由する製造方法等が挙げられる。これらの方法について以下に詳述する。
成分(A)のエポキシ樹脂の製造方法については特に制限はないが、例えば、以下に説明する一段法による製造方法、二段法による製造方法、アリル化反応を経由する製造方法等が挙げられる。これらの方法について以下に詳述する。
[一段法による製造方法]
成分(A)のエポキシ樹脂は、前記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させる、一段法により得ることができる。また、この一段法により得られるエポキシ樹脂は成分(A’)のエポキシ樹脂である。
成分(A)のエポキシ樹脂は、前記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させる、一段法により得ることができる。また、この一段法により得られるエポキシ樹脂は成分(A’)のエポキシ樹脂である。
一段法により成分(A)を製造する場合、原料として少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを用いるが、式(4)で表されるフェノール化合物以外の多価ヒドロキシ化合物(本発明において「その他の多価ヒドロキシ化合物」と称することがある。)を併用してもよい。ただし、本発明の効果を高める観点から前記式(4)で表されるフェノール化合物の割合は、原料として用いる全体の多価ヒドロキシ化合物に対して好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。また、その上限は100モル%であり、特に好ましくは100モル%である。なお、本発明における「多価ヒドロキシ化合物」とは2価以上のフェノール化合物及び2価以上のアルコールの総称である。
その他の多価ヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールAF、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール樹脂類等が例示される。これらの中で好ましいものとしてはフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1
,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が挙げられる。
,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が挙げられる。
この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。
原料として用いる水酸基を2個以上有する化合物はその水酸基1当量当たり、通常、0.8〜20モル当量、好ましくは0.9〜15モル当量、より好ましくは1.0〜10モル当量に相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。エピハロヒドリンの量が上記下限以上であると高分子量化反応を制御しやすく、適切な溶融粘度とすることができるために好ましい。一方、エピハロヒドリンの量が上記上限以下であると生産効率が向上する傾向にあるために好ましい。
次いで、その溶液を撹拌しながら、これに原料の水酸基1当量当たり通常、0.5〜2.0モル当量、より好ましくは0.7〜1.8モル当量、更に好ましくは0.9〜1.6モル当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が上記下限以上であると、未反応の水酸基と生成したエポキシ樹脂が反応しにくく、高分子量化反応を制御しやすいために好ましい。また、アルカリ金属水酸化物の量が上記上限値以下であると、副反応による不純物が生成しにくいために好ましい。ここで用いられるアルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが挙げられる。
この反応は、常圧下又は減圧下で行わせることができ、反応温度は常圧下の反応の場合は好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜120℃、更に好ましくは35〜100℃であり、減圧下の反応の場合は好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、更に好ましくは35〜80℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物を低減しやすいために好ましい。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、好ましくは0.1〜8時間、より好ましくは0.1〜7時間、更に好ましくは0.5〜6時間かけて少量ずつを断続的又は連続的に添加する。添加時間が上記下限以上であると急激に反応が進行するのを防ぐことができ、反応温度の制御がしやすくなるために好ましい。添加時間が上記上限以下であると塩素不純物が生成しにくくなるために好ましく、また、経済性の観点からも好ましい。全反応時間は通常、1〜15時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
リス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
更に、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の全塩素含有量を低減する必要がある場合には再処理して十分に全塩素含有量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液を加えて好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50〜100℃の温度で好ましくは0.1〜15時間、より好ましくは0.3〜12時間、更に好ましくは0.5〜10時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂を得ることができる。反応温度が上記下限以上であり、また、反応時間が上記下限以上であると再閉環反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であり、また、反応時間が上記上限以下であると反応を制御しやすいために好ましい。
[二段法による製造方法]
成分(A)は、少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物及び/又は該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂(例えば、本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂)を原料として用い二段法により得ることもできる。なお、二段法とは、2官能エポキシ樹脂と多価ヒドロキシ化合物とを反応させる方法を意味する。
成分(A)は、少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物及び/又は該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂(例えば、本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂)を原料として用い二段法により得ることもできる。なお、二段法とは、2官能エポキシ樹脂と多価ヒドロキシ化合物とを反応させる方法を意味する。
二段法により本発明のエポキシ樹脂を製造する場合、原料として少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物及び/又は該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂を用いるが、前述したその他の多価ヒドロキシ化合物及び/又は該その他の多価ヒドロキシ化合物を原料として得られた多官能エポキシ樹脂を用いてもよい。ただし、本発明の効果を高める観点から前記式(4)で表されるフェノール化合物及び該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂の合計の割合は、原料として用いる全体の多価ヒドロキシ化合物及び全体の多官能エポキシ樹脂の合計に対して好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
その他の多価ヒドロキシ化合物としては、「一段法による製造方法」の項目において挙げたものをいずれも使用することができる。また、その他の多価ヒドロキシ化合物を原料として得られた多官能エポキシ樹脂とは、その他の多価ヒドロキシ化合物をエピハロヒドリンと反応させて得られた多官能エポキシ樹脂等が該当する。
成分(A)の製造において、上記の2官能エポキシ樹脂と多価ヒドロキシ化合物の使用量は、その配合当量比で、(エポキシ基):(水酸基)=1:0.90〜1.10となるようにするのが好ましい。この当量比が上記範囲であると高分子量化を進行させやすくなるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機
リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム塩が好ましい。また、触媒は1種のみを使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム塩が好ましい。また、触媒は1種のみを使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
触媒の使用量はエポキシ樹脂中、通常0.001〜1重量%であるが、アルカリ金属化合物を使用すると得られるエポキシ樹脂中にアルカリ金属分が残留し、それを使用した電子・電気部品の絶縁特性を悪化させるおそれがあるため、エポキシ樹脂中のリチウム、ナトリウム及びカリウムの原子含有量の合計が通常、60ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
また、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等を触媒として使用した場合も、得られるエポキシ樹脂中にこれらが触媒残渣として残留し、アルカリ金属分の残留と同様にプリント配線板の絶縁特性を悪化させるおそれがあるので、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が好ましくは300ppm以下であり、また、エポキシ樹脂中のリンの含有量が好ましくは300ppm以下である。更に好ましくは、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が200ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が200ppm以下である。
成分(A)は、その製造時の合成反応の工程において、反応用の溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。溶媒は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジオキサン等が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応におけるエポキシ樹脂濃度は35〜95重量%が好ましい。また、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶媒を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶媒は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂と多価ヒドロキシ化合物との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは
120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
[アリル化合物の酸化による製造方法]
成分(A)の製造方法の1つとして、前記式(4)で表されるフェノール化合物に対してアリル化反応によりアリル基を導入してアリル化合物とし、更に該アリル基に対して酸化反応させることにより成分(A)のエポキシ樹脂を得る方法が挙げられる。このような製造方法の例としては、前記式(4)で表されるフェノール化合物を原料として用いること以外は、特開2012−213716号公報、特開2011−225711号公報、特開2012−092247号公報、特開2012−111858号公報等の方法により製造することができる。
成分(A)の製造方法の1つとして、前記式(4)で表されるフェノール化合物に対してアリル化反応によりアリル基を導入してアリル化合物とし、更に該アリル基に対して酸化反応させることにより成分(A)のエポキシ樹脂を得る方法が挙げられる。このような製造方法の例としては、前記式(4)で表されるフェノール化合物を原料として用いること以外は、特開2012−213716号公報、特開2011−225711号公報、特開2012−092247号公報、特開2012−111858号公報等の方法により製造することができる。
(アリル化反応)
エポキシ樹脂の前駆体であるアリル化合物は、前記式(4)で表されるフェノール化合物とアリルハライド、アリルアルコール、アリルアセテート等を反応させることによりエポキシ樹脂の前駆体であるアリル化合物を得ることができる。例えばアリル化反応においてアリルハライドを用いる場合であれば、好ましくはアリルブロマイド、アリルクロライド、より好ましくはアリルクロライドであり、また、アリルハライドの使用割合は、特に限定されるものではないが、式(4)で表されるフェノール化合物の水酸基1モルに対し、アリルハライドとして、通常、0.8〜2モル当量、好ましくは0.9〜1.2モル当量である。アリルハライドの使用量が上記下限値以上であると、原料が十分に反応しやすくなる傾向があるために好ましく、一方、上記上限値以下であると、塩素含有量が低減する傾向にあるために好ましい。
エポキシ樹脂の前駆体であるアリル化合物は、前記式(4)で表されるフェノール化合物とアリルハライド、アリルアルコール、アリルアセテート等を反応させることによりエポキシ樹脂の前駆体であるアリル化合物を得ることができる。例えばアリル化反応においてアリルハライドを用いる場合であれば、好ましくはアリルブロマイド、アリルクロライド、より好ましくはアリルクロライドであり、また、アリルハライドの使用割合は、特に限定されるものではないが、式(4)で表されるフェノール化合物の水酸基1モルに対し、アリルハライドとして、通常、0.8〜2モル当量、好ましくは0.9〜1.2モル当量である。アリルハライドの使用量が上記下限値以上であると、原料が十分に反応しやすくなる傾向があるために好ましく、一方、上記上限値以下であると、塩素含有量が低減する傾向にあるために好ましい。
アリル化反応の温度条件は、特に限定されるものではないが、通常、40℃以上、好ましくは、45℃以上であり、一方、通常、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、アリル化反応の圧力は、特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)でも可能であるが、アリルハライドは沸点が低いため(沸点45℃)、封じ込めで反応を行うのが好ましい。封じ込めで反応を行う場合には、系内が加圧状態となるが、通常、内圧が常圧以上であり、通常、1MPa以下好ましくは0.3MPa以下である。
アリル化反応は、無溶媒又は溶媒中で、通常、塩基類存在下に行われる。溶媒としては、特に限定されないが、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の非プロトン性無極性溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;水等があげられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、特にコストの面から、安価な溶媒と混合して用いてもよい。
トン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;水等があげられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、特にコストの面から、安価な溶媒と混合して用いてもよい。
また、非プロトン性極性溶媒を用いると、核へのアリル化が低減し、目的とするアリル化合物の選択性が向上し、同様に不純物の核への反応も同様に抑制されるため、塩素含有量の少ない高純度のアリル化合物が得られる傾向があり好ましい。非プロトン性極性溶媒の中でも、誘電率が20以上のもの、更に好ましくは30以上であるのが好ましく、これらに該当するものとしては、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホン、テトラメチルウレア、ヘキサメチルスルホアミド、テトラメチレンスルホン等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、N,N’−ジメチルホルムアミド(誘電率38)、N−メチルピロリドン(誘電率32)、ジメチルスルホキシ
ド(誘電率47)等が挙げられ、更にはN,N’−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。また、コストの面から、これらの溶媒を安価な極性溶媒と混合して用いることも可能であり、例えばN,N’−ジメチルホルムアミドはアセトン(誘電率20)と混合して用いることもできる。
ド(誘電率47)等が挙げられ、更にはN,N’−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。また、コストの面から、これらの溶媒を安価な極性溶媒と混合して用いることも可能であり、例えばN,N’−ジメチルホルムアミドはアセトン(誘電率20)と混合して用いることもできる。
アリル化反応において用いられる塩基としては、特に限定されるものではないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、金属カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、トリメチルアミン等のアミン類、ピリジン、N,N’−ジメチルアニリン等のアニリン類等の有機塩基が挙げられる。なお、溶媒の種類によっては、塩基により分解するものもあるため、溶媒との組み合わせを考慮して用いる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトンを用いる場合には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。また、反応を密閉系で行う場合には、反応の進行によりガスの発生を伴わないものが好ましい。
上記反応工程を経て得られたアリル化合物を含む反応液は、各種の方法により精製することが好ましい。アリル化合物の精製方法としては、例えば、アリル化合物が固体の場合は晶析、懸洗、分液、吸着、昇華等が挙げられ、また、アリル化合物が液体の場合は分液、吸着、蒸留等が挙げられる。これらの精製方法のより具体的な方法については例えば特開2012−213716号公報に記載の方法を用いることができる。
(酸化反応)
先に説明した工程により得られたアリル化合物に対して酸化剤を用いて酸化反応させることにより成分(A)を得ることができる。アリル化合物の酸化反応は通常、アリル化合物に触媒、酸化剤等を加え、また必要に応じて有機溶媒、緩衝液等を加えて加熱することにより反応させることができる。なお、これらの各成分の混合、添加の順序は反応が阻害されない限り制限されるものではない。
先に説明した工程により得られたアリル化合物に対して酸化剤を用いて酸化反応させることにより成分(A)を得ることができる。アリル化合物の酸化反応は通常、アリル化合物に触媒、酸化剤等を加え、また必要に応じて有機溶媒、緩衝液等を加えて加熱することにより反応させることができる。なお、これらの各成分の混合、添加の順序は反応が阻害されない限り制限されるものではない。
酸化反応の触媒としては、タングステン酸、タングステン酸の塩等のタングステン酸類;モリブデン酸、モリブデン酸の塩等のモリブデン酸類;アンモニウム塩;リン酸類等が挙げられる。これらの触媒は1種のみでも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
タングステン酸類及びモリブデン酸類を用いる場合、その使用量は原料として使用するアリル化合物中に含まれる二重結合1モルに対してタングステン原子及びモリブデン原子換算の合計で通常0.001モル以上、好ましくは0.005モル以上、通常1.0モル以下、好ましくは0.10モル以下である。アンモニウム塩を用いる場合、その使用量はアリル化合物に含まれる二重結合1モルに対して通常、0.0001〜10モル%、好ましくは0.01〜5モル%の範囲から選ばれる。リン酸類を用いる場合、その使用量は該リン酸類に含まれるリンの当量として、使用する触媒金属成分中の金属1原子に対して通常0.1倍モル以上、好ましくは0.2倍モル以上、通常2.0倍モル以下、好ましくは1.0倍モル以下である。
酸化反応によるアリル基のエポキシ化においては、酸化剤を用いることが好ましく、特に非塩素系酸化剤(塩素を含有しない酸化剤)を用いることが好ましい。酸化剤を用いる例としては、有機過酸を用いる方法、触媒存在下で過酸化水素を反応させる方法等が挙げられる。
有機過酸を用いる方法の場合、該有機過酸としては過酢酸、過安息香酸、ターシャルブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等が挙げられ、これらの中でも調製、後処理の容易な過酢酸が好ましい。有機過酸を用いる場合には、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等
の塩基を系内に添加することにより、系内の酸性度の調整を行ってもよい。
の塩基を系内に添加することにより、系内の酸性度の調整を行ってもよい。
触媒存在下で過酸化水素を反応させる方法の場合、過酸化水素は、酸化反応において触媒を酸化する酸化剤として作用する。過酸化水素は通常、過酸化水素水として用い、市販の過酸化水素水をそのまま、又はそれを水で希釈して用いることができる。過酸化水素水の濃度としては、特に制限されないが、通常1重量%以上、好ましくは20重量%以上であり、通常60重量%以下である。より好ましくは、入手のしやすさや、安全性の問題、釜効率等を考慮して、35重量%以上、45重量%以下が好ましい。過酸化水素の使用量は、特に制限されるものではないが、通常、原料として使用するアリル化合物中の二重結合1モルに対し、0.5倍モル以上、好ましくは0.8倍モル以上、通常10倍モル以下、好ましくは3倍モル以下用いられる。
酸化反応は、溶媒中で行うこともできる。使用する溶媒としては、反応に関与しないものであれば、特に限定はしないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物;N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’− ジメチルアセトアミド等のアミド類、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン
等のウレア類;水及びこれら溶媒の混合物が挙げられ、水、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、及びこれら溶媒の混合物が好ましい。更に好ましくは、水及びトルエンが挙げられる。
等のウレア類;水及びこれら溶媒の混合物が挙げられ、水、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、及びこれら溶媒の混合物が好ましい。更に好ましくは、水及びトルエンが挙げられる。
溶媒の使用態様としては、特に限定されるものではないが、反応に用いるアリル化合物が、溶解していても、懸濁状態でもよいが、通常、反応温度条件下で溶媒に溶解していることが好ましい。また、溶媒の使用量は、化合物の溶解度によるが、溶媒量の増大に従い、反応速度が低下する場合が多いため、通常、アリル化合物の0.1倍量以上、好ましくは0.5倍量、通常10倍量以下であり、好ましくは3倍量以下が好ましい。
酸化反応において、タングステン酸類、モリブデン酸類、アンモニウム塩、リン酸類のそれぞれの使用量は前述の通りであるが、タングステン酸類、モリブデン酸類、アンモニウム塩、リン酸類の使用量の比率は、反応液の水層のpHが、通常2以上であり、好ましくは3以上であり、通常6以下であり、好ましくは5以下になるように調整するのが好ましい。上記下限値以上であると、エポキシ基の開環反応が進行しにくくなるために好ましい。また、上記上限値以下であると、反応速度が適切となる傾向にあるために好ましい。必要に応じてリン酸、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン等の有機塩基を添加してpH調整を行うことができる。
酸化反応においては緩衝液を使用することもできる。緩衝液の種類としては、反応を阻害しないものであれば、目的のpHに合わせた緩衝液を適宜用いることができるが、本反応においてはリン酸塩水溶液を用いることが好ましい。また、場合によっては先のタングステン酸類を組み合わせて緩衝液としてもよい。
酸化反応の製造方法における具体的な反応操作方法としては、先述の通り、各成分の添加、混合順序は、反応が阻害されない限り限定されるものではないが、酸化剤として過酸化水素を用いる場合、酸化反応及び過酸化水素分解の際に発熱することが多いため、各成
分を添加した後に過酸化水素を徐々に添加する方法、予めタングステン化合物及び/又はモリブデン化合物を酸化するのに必要な量の過酸化水素を添加し、タングステン過酸化物とした後、残りの過酸化水素を徐々に添加する方法等が好ましい。過酸化水素の添加方法としては、分割して添加しても、連続で除々に添加してもよい。
分を添加した後に過酸化水素を徐々に添加する方法、予めタングステン化合物及び/又はモリブデン化合物を酸化するのに必要な量の過酸化水素を添加し、タングステン過酸化物とした後、残りの過酸化水素を徐々に添加する方法等が好ましい。過酸化水素の添加方法としては、分割して添加しても、連続で除々に添加してもよい。
酸化反応における反応温度は、反応が阻害されない限り、特に限定されないが、通常10℃以上、好ましくは35℃以上、通常90℃以下、好ましくは75℃以下である。上記下限値以上であると、反応速度が速くなる傾向にあるために好ましく、一方、上記上限値以下であると、安全性の観点から好ましい。また、反応時間は反応温度、触媒量、原料の種類等によって適宜選択でき、特に限定されるものではないが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは4時間以上であり、通常48時間以下、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間以下である。なお、酸化反応は、安全上の観点から、常圧、窒素気流下で行うことが好ましい。
以上の方法により得られたエポキシ樹脂は、必要に応じ、更に精製を行ってもよい。具体的な精製方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜使用することができる。先のアリル化合物と同様、エポキシ樹脂が固形又は半固形の場合は晶析、懸洗、分液、吸着、昇華等が挙げられ、エポキシ樹脂が液状の場合は分液、吸着、蒸留が挙げられる。
<成分(B)>
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記成分(B)のフェノール系硬化剤を含む(以下、成分(B)のフェノール系硬化剤を単に「成分(B)」と称することがある。)。成分(B)を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐吸湿性、難燃性の効果を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記成分(B)のフェノール系硬化剤を含む(以下、成分(B)のフェノール系硬化剤を単に「成分(B)」と称することがある。)。成分(B)を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐吸湿性、難燃性の効果を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記成分(A)100重量部に対し、成分(B)を3〜1000重量部含むことが好ましい。成分(B)の含有量はより好ましくは10重量部以上であり、更に好ましくは50重量部以上であり、一方、より好ましくは500重量部以下であり、更に好ましくは300重量部以下であり、特に好ましくは100重量部以下である。成分(B)の含有量が上記範囲内であると硬化物とした時に未架橋のエポキシ樹脂やフェノール樹脂が少なくなり、耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性において良好な物性を得られる点から好ましい。
本発明に用いられる成分(B)は、フェノール系硬化剤であれば制限されないが、具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物等の各種のフェノール樹脂類等が挙げられる。これらの
フェノール化合物は、1種単独でも、2種以上併用してもよい。
フェノール化合物は、1種単独でも、2種以上併用してもよい。
これらの中でも組成物の硬化後の耐熱性や耐吸湿性や難燃性などの観点から、上記フェノール性硬化剤のなかで、フェノールノボラック樹脂(例えば下記式(5)で表される化合物)、フェノールアラルキル樹脂(例えば下記式(6)で表される化合物)、ビフェニルアラルキル樹脂(例えば下記式(7)で表される化合物)、ナフトールノボラック樹脂(例えば下記式(8))及びナフトールアラルキル樹脂(例えば下記式(9))、トリス(ヒドロキシルフェニル)メタン型樹脂(例えば下記式(10))、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物又は、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、(例えば下記式(11))、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物又はフェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物(例えば下記式(12))が特に好ましい。
(ただし、上記式(5)〜(10)において、k1〜k6はそれぞれ0以上の数を示す。)
(ただし、上記式(11)、(12)においてk7、k8、l1、l2はそれぞれ1以上の数を示す。)
以上に挙げたフェノール系硬化剤の各成分は、あらかじめ混合して混合硬化剤を調製してから使用してもよいし、エポキシ樹脂組成物の各成分を混合する際に硬化剤の各成分をそれぞれ別々に添加して同時に混合してもよい。
<他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記成分(A)、成分(A’)及び成分(B)以外に、更に下記他のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。他のエポキシ樹脂を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等を更に向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記成分(A)、成分(A’)及び成分(B)以外に、更に下記他のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。他のエポキシ樹脂を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等を更に向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる他のエポキシ樹脂は、成分(A)及び成分(A’)以外のエポキシ樹脂すべてが該当するが、具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、チオジフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシスチルベン類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、テルペンフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、フェノール・ヒドロキシベンズアルデヒドの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、フェノール・クロトンアルデヒドの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、フェノール・グリオキザールの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂から誘導されるエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されるエポキシ樹脂、アミノフェノールから誘導されるエポキシ樹脂、キシレンジアミンから誘導されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロフタル酸から誘導されるエポキシ樹脂、ダイマー酸から誘導されるエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1
種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で用いてもよい。
種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で用いてもよい。
これらの中でも組成物の流動性、また、硬化物の耐熱性や耐吸湿性や難燃性などの観点から、上記エポキシ樹脂の中で、ビスフェノールA 型エポキシ樹脂、テトラメチルビフ
ェノール型エポキシ樹脂及び4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型のエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂及びジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ェノール型エポキシ樹脂及び4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型のエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂及びジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。
成分(A)、成分(A’)及び他のエポキシ樹脂の混合割合は特に制限されないが、全エポキシ樹脂成分に対し、成分(A)及び成分(A’)の合計が40重量%以上含まれることが好ましく、45重量%以上含まれることがより好ましい。成分(A)及び成分(A’)の合計が上記下限値以上含まれることにより、耐熱性、耐吸湿性、耐応力性、難燃性等の物性がより良好なものとなる傾向にある。
また、前記成分(A)と他のエポキシ樹脂との混合物の混合エポキシ当量は、好ましくは、200g/当量以上であり、一方、好ましくは3000g/当量以下であり、より好ましくは2000g/当量以下である。上記範囲内であると、耐熱性、耐吸湿性、難燃性等の物性がより良好なものとなる傾向にある。なお、混合エポキシ当量は後掲の実施例に記載の方法により求めることができる。
<硬化促進剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には硬化促進剤が好適に用いられる。有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類、第3級アミン、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には硬化促進剤が好適に用いられる。有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類、第3級アミン、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
硬化促進剤として使用可能な化合物としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体やこれら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等の化合物を付加してなる化合物、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類と付加してなる化合物、1,8−ジアザビシクロ(5
,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
以上に挙げた硬化促進剤の中でも有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類、第3級アミンが好ましく、有機ホスフィン類が最も好ましい。また、硬化促進剤は、上記に挙げたもののうち、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化促進剤は、十分な硬化促進効果を得るため、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量以上20重量部以下の範囲で用いられる。硬化促進剤の使用量はエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、一方、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
<無機充填剤>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク等が挙げられる。これらの中でも半導体封止の用途に用いる場合には、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶性シリカ粉末充填材が好ましい。無機充填剤を使用することにより、エポキシ樹脂組成物を半導体封止材として用いたときに、半導体封止材の熱膨張係数を内部のシリコンチップやリードフレームに近づけることができ、また、半導体封止材全体の吸湿量を減らす事ができるため、耐ハンダクラック性を向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク等が挙げられる。これらの中でも半導体封止の用途に用いる場合には、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶性シリカ粉末充填材が好ましい。無機充填剤を使用することにより、エポキシ樹脂組成物を半導体封止材として用いたときに、半導体封止材の熱膨張係数を内部のシリコンチップやリードフレームに近づけることができ、また、半導体封止材全体の吸湿量を減らす事ができるため、耐ハンダクラック性を向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる無機充填剤の平均粒子径は、1〜50μm、好ましくは1.5〜40μm、より好ましくは2〜30μmである。平均粒子径が上記下限値
以上であると溶融粘度が高くなり過ぎず、流動性が低下しにくいために好ましく、また、平均粒子径が上記上限値以下であると成形時に金型の狭い隙間に充填剤が目詰まりしにくく、材料の充填性が向上しやすくなるために好ましい。
以上であると溶融粘度が高くなり過ぎず、流動性が低下しにくいために好ましく、また、平均粒子径が上記上限値以下であると成形時に金型の狭い隙間に充填剤が目詰まりしにくく、材料の充填性が向上しやすくなるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に無機充填剤を用いる場合、エポキシ樹脂組成物全体の70〜95重量%配合することが好ましい。
<離型剤>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には離型剤を配合することができる。離型剤としては例えば、カルナバワックス等の天然ワックス;ポリエチレンワックス等の合成ワックス;ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸類及びその金属塩類;パラフィン等の炭化水素系離型剤を適宜配合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には離型剤を配合することができる。離型剤としては例えば、カルナバワックス等の天然ワックス;ポリエチレンワックス等の合成ワックス;ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸類及びその金属塩類;パラフィン等の炭化水素系離型剤を適宜配合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる離型剤の量は、好ましくは全エポキシ樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.5〜3.0重量部である。離型剤の量が上記範囲内であると、エポキシ樹脂組成物の硬化特性を維持しつつ、良好な離型性を発現することができるために好ましい。
<カップリング剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、カップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤は無機充填材と併用することが好ましく、カップリング剤を配合することにより、マトリックスであるエポキシ樹脂と無機充填材との接着性を向上させることができる。カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙
げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、カップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤は無機充填材と併用することが好ましく、カップリング剤を配合することにより、マトリックスであるエポキシ樹脂と無機充填材との接着性を向上させることができる。カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙
げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、更に、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、いずれも1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。なお、カップリング剤の配合量は、全エポキシ樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜3.0重量部である。カップリング剤の配合量が上記下限値以上であると、カップリング剤を配合したことによるマトリックスであるエポキシ樹脂と無機充填材との密着性の向上効果が向上する傾向にあり、一方、カップリング剤の配合量が上記上限値以下であると、得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトしにくくなるために好ましい。
<他の硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物においては前記成分(B)以外の他の硬化剤を用いることができる(以下、単に「他の硬化剤」と称することがある。)。本発明のエポキシ樹脂組成物に使用することのできるその他の硬化剤は特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては前記成分(B)以外の他の硬化剤を用いることができる(以下、単に「他の硬化剤」と称することがある。)。本発明のエポキシ樹脂組成物に使用することのできるその他の硬化剤は特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前記した以外の成分(本発明において、「その他の成分」と称することがある。)を配合することができる。それら各種添加剤としては例えば、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等があげられ、必要に応じて適宜に配合することができる。ただし、本発明のエポキシ樹脂組成物は上記で挙げた成分以外のものを配合することを何ら妨げるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前記した以外の成分(本発明において、「その他の成分」と称することがある。)を配合することができる。それら各種添加剤としては例えば、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等があげられ、必要に応じて適宜に配合することができる。ただし、本発明のエポキシ樹脂組成物は上記で挙げた成分以外のものを配合することを何ら妨げるものではない。
その難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、赤燐、リン酸エステル類、ホスフィン類等のリン系難燃剤、メラミン誘導体等の窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤等が挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は難燃
剤を配合しなくとも優れた難燃性を有するものである。このうち、上記のうち特に環境負荷が懸念されている臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物について、これらの難燃剤を配合する必要がないか、少量にすることができる。
剤を配合しなくとも優れた難燃性を有するものである。このうち、上記のうち特に環境負荷が懸念されている臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物について、これらの難燃剤を配合する必要がないか、少量にすることができる。
〔硬化物・用途〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。硬化反応の条件は特に限定されないが、通常、硬化剤の種類によって硬化温度を以下の通り選択することが好ましい。具体的な温度としてはフェノール系硬化剤、芳香族ポリアミンでは130〜200℃、酸無水物類、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体では100〜150℃、脂環族ポリアミン、イミダゾールでは50〜80℃等である。またこれらの硬化剤に促進剤を添加することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、さらに好ましくは3〜15時間である。反応時間が短いと硬化が不十分で所望の物性が得られないことがある。反応時間が長すぎると加熱による劣化、加熱する為のエネルギーのロス等の問題がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。硬化反応の条件は特に限定されないが、通常、硬化剤の種類によって硬化温度を以下の通り選択することが好ましい。具体的な温度としてはフェノール系硬化剤、芳香族ポリアミンでは130〜200℃、酸無水物類、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体では100〜150℃、脂環族ポリアミン、イミダゾールでは50〜80℃等である。またこれらの硬化剤に促進剤を添加することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、さらに好ましくは3〜15時間である。反応時間が短いと硬化が不十分で所望の物性が得られないことがある。反応時間が長すぎると加熱による劣化、加熱する為のエネルギーのロス等の問題がある。
本発明の硬化物は以下に説明する諸物性(硬化物特性)に優れるものである。これらの諸物性が求められる用途であれば、いかなる用途にも有効に用いることができ、このため自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野、積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野、橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途にいずれにも好適に用いることができる。これらの中でも特に半導体封止材の用途に有用である。
<硬化物特性>
本発明の硬化物は、難燃性、耐吸湿性、耐応力性、耐熱性等の硬化物特性に優れたものである。これらの測定方法については後掲の実施例において説明する。
本発明の硬化物は、難燃性、耐吸湿性、耐応力性、耐熱性等の硬化物特性に優れたものである。これらの測定方法については後掲の実施例において説明する。
[耐熱性]
本発明のエポキシ樹脂組成物はガラス転移温度(Tg)が好ましくは120℃以上、更に好ましくは、130℃以上である。ガラス転移温度が高いほど半導体封止材等とした際に封止した樹脂中に熱応力が増かかりにくく、パッシベーションやチップの損傷、アルミ配線のスライド、パッケージクラック等の不良を起こしにくいために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物はガラス転移温度(Tg)が好ましくは120℃以上、更に好ましくは、130℃以上である。ガラス転移温度が高いほど半導体封止材等とした際に封止した樹脂中に熱応力が増かかりにくく、パッシベーションやチップの損傷、アルミ配線のスライド、パッケージクラック等の不良を起こしにくいために好ましい。
[耐応力性]
本発明において、半導体封止材等に使用した場合、パッケージのクラックの発生を防ぐため、硬化物の耐応力性が良好であること好ましく、本発明においてはその指標としてJIS K6911に基づく曲げ強度を採用する。硬化物の曲げ強度を上げることが望まれる。本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止材として用いる場合、熱時の曲げ強度が高くなることが好ましく、後掲の実施例の方法で測定した場合、250℃での曲げ強度は好ましくは4MPa以上、より好ましくは5MPa以上、更に好ましくは6MPa以上である。
本発明において、半導体封止材等に使用した場合、パッケージのクラックの発生を防ぐため、硬化物の耐応力性が良好であること好ましく、本発明においてはその指標としてJIS K6911に基づく曲げ強度を採用する。硬化物の曲げ強度を上げることが望まれる。本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止材として用いる場合、熱時の曲げ強度が高くなることが好ましく、後掲の実施例の方法で測定した場合、250℃での曲げ強度は好ましくは4MPa以上、より好ましくは5MPa以上、更に好ましくは6MPa以上である。
[耐吸湿性]
半導体装置を実装する際、赤外線リフロー等の手段でのハンダ接合を行う場合、パッケージにクラックが発生したり、基板の素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生したりすることがある。これはエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿によりパッケージ内部に蓄積された水分が高温で急激に気化することによる応力によるものと考えられる。そのため、半導体封止材の用途においては耐吸湿性に優れることが好ましい。本発明のエポキシ樹脂組成物においては後掲の実施例において説明する吸湿率により耐吸湿性を評価
し、吸湿率は好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、更に好ましくは0.7重量%以下である。
半導体装置を実装する際、赤外線リフロー等の手段でのハンダ接合を行う場合、パッケージにクラックが発生したり、基板の素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生したりすることがある。これはエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿によりパッケージ内部に蓄積された水分が高温で急激に気化することによる応力によるものと考えられる。そのため、半導体封止材の用途においては耐吸湿性に優れることが好ましい。本発明のエポキシ樹脂組成物においては後掲の実施例において説明する吸湿率により耐吸湿性を評価
し、吸湿率は好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、更に好ましくは0.7重量%以下である。
[難燃性]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来用いられてきたブロモ化合物や酸化アンチモン等の環境への影響が懸念される難燃剤を必須とせずに、難燃性に優れた硬化物を得ることができる。本発明においては難燃性の指標としてUL−94試験法を採用する。難燃性としては下記のように評価され、V−1の評価以上であることが好ましく、V−0であることが特に好ましい。更に、この評価が同等である場合には、「合計燃焼時間」が短い方が好ましい。
V−0:試験片5本の合計燃焼時間が50秒以下で、滴下物による綿着火無し。
V−1:試験片5本の合計燃焼時間が250秒以下で、滴下物による綿着火無し。
V−2:試験片5本の合計燃焼時間が250秒以下で、滴下物による綿着火有り。
規格外:試験片5本の合計燃焼時間が250秒より長い。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来用いられてきたブロモ化合物や酸化アンチモン等の環境への影響が懸念される難燃剤を必須とせずに、難燃性に優れた硬化物を得ることができる。本発明においては難燃性の指標としてUL−94試験法を採用する。難燃性としては下記のように評価され、V−1の評価以上であることが好ましく、V−0であることが特に好ましい。更に、この評価が同等である場合には、「合計燃焼時間」が短い方が好ましい。
V−0:試験片5本の合計燃焼時間が50秒以下で、滴下物による綿着火無し。
V−1:試験片5本の合計燃焼時間が250秒以下で、滴下物による綿着火無し。
V−2:試験片5本の合計燃焼時間が250秒以下で、滴下物による綿着火有り。
規格外:試験片5本の合計燃焼時間が250秒より長い。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<エポキシ樹脂の製造>
〔製造例1〕
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの四口フラスコに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(前記式(4)で表されるフェノール化合物であり、R1’及びR2’及びR3’及びR4’が水素原子であり、シクロドデシレン基に1、1位で結合しているもの。)228g、エピクロルヒドリン837g、イソプロピルアルコール326gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液124gを90分かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロピルアルコールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン450gに溶解させ、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液6gを加え、65℃の温度で1時間再び反応させた。その後、反応液にリン酸二水素ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ樹脂276gを得た。得られたエポキシ樹脂について、以下に説明する方法にてエポキシ当量、加水分解性ハロゲン、溶融粘度及び軟化点を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
〔製造例1〕
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの四口フラスコに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(前記式(4)で表されるフェノール化合物であり、R1’及びR2’及びR3’及びR4’が水素原子であり、シクロドデシレン基に1、1位で結合しているもの。)228g、エピクロルヒドリン837g、イソプロピルアルコール326gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液124gを90分かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロピルアルコールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン450gに溶解させ、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液6gを加え、65℃の温度で1時間再び反応させた。その後、反応液にリン酸二水素ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ樹脂276gを得た。得られたエポキシ樹脂について、以下に説明する方法にてエポキシ当量、加水分解性ハロゲン、溶融粘度及び軟化点を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
〔製造例2〕
製造例1において1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン(前記式(4)で表されるフェノール化合物であり、式(4)中のR1’及びR3’がメチル基、R2’及びR4’が水素原子であり、R1’及びR3’がそれぞれ3,3’位に置換し、シクロドデシレン基に1、1位で結合しているもの。)に、エピクロルヒドリンの量を790gに、イソプロピルアルコールの量を307gに、1回目の48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を117gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂について、以下に説明する方法にてエポキシ当量、加水分解性ハロゲン、溶融粘度及び軟化点を測定した。これらの測定結果を表
−1に示す。
製造例1において1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン(前記式(4)で表されるフェノール化合物であり、式(4)中のR1’及びR3’がメチル基、R2’及びR4’が水素原子であり、R1’及びR3’がそれぞれ3,3’位に置換し、シクロドデシレン基に1、1位で結合しているもの。)に、エピクロルヒドリンの量を790gに、イソプロピルアルコールの量を307gに、1回目の48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を117gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂について、以下に説明する方法にてエポキシ当量、加水分解性ハロゲン、溶融粘度及び軟化点を測定した。これらの測定結果を表
−1に示す。
〔製造例3〕
製造例1において1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに、エピクロルヒドリンの量を1022gに、イソプロピルアルコールを398gに、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液の最初の滴下量を151gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂について、以下に説明する方法にてエポキシ当量、加水分解性ハロゲン、溶融粘度及び軟化点を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
製造例1において1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに、エピクロルヒドリンの量を1022gに、イソプロピルアルコールを398gに、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液の最初の滴下量を151gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂について、以下に説明する方法にてエポキシ当量、加水分解性ハロゲン、溶融粘度及び軟化点を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
<エポキシ樹脂の物性・特性測定の製造>
製造例1〜3の各エポキシ樹脂において、以下の物性・特性測定を行った。
製造例1〜3の各エポキシ樹脂において、以下の物性・特性測定を行った。
・n数
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の条件で測定した。得られた面積%の比からn数を算出した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の条件で測定した。得られた面積%の比からn数を算出した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
・エポキシ当量
JIS K7236に従い、測定した。
JIS K7236に従い、測定した。
・加水分解性ハロゲン
ビーカーに試料1.0gを精評し、ジオキサン30mlを加え、完全に溶解した。1Nアルコール性KOH5mlをホールピペットで加えた後、ビーカーに冷却管をつけ、オイルバス中で30分間煮沸還流した。1Nアルコール性KOHは事前に1Lメスフラスコに水酸化カリウム56.1gを秤量し、95.0%エタノールで溶解し調整した。その後ビーカーを冷却し、メタノール5ml、80%アセトン水100mlを加えた.ビーカーに回転子を入れ、硝酸2mlを加え、0.01N硝酸銀標準溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定した。次式より加水分解性ハロゲンを計算した。
[加水分解性ハロゲン(重量%)] = [(A−B)×35.5×N×F×103)]
/W/10000
(ただし、A:試料の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、B:空試験の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、N:硝酸銀標準溶液の規定度、
F:硝酸銀標準溶液の力価、W:サンプル量(g)である。)
ビーカーに試料1.0gを精評し、ジオキサン30mlを加え、完全に溶解した。1Nアルコール性KOH5mlをホールピペットで加えた後、ビーカーに冷却管をつけ、オイルバス中で30分間煮沸還流した。1Nアルコール性KOHは事前に1Lメスフラスコに水酸化カリウム56.1gを秤量し、95.0%エタノールで溶解し調整した。その後ビーカーを冷却し、メタノール5ml、80%アセトン水100mlを加えた.ビーカーに回転子を入れ、硝酸2mlを加え、0.01N硝酸銀標準溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定した。次式より加水分解性ハロゲンを計算した。
[加水分解性ハロゲン(重量%)] = [(A−B)×35.5×N×F×103)]
/W/10000
(ただし、A:試料の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、B:空試験の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、N:硝酸銀標準溶液の規定度、
F:硝酸銀標準溶液の力価、W:サンプル量(g)である。)
・溶融粘度
ICI粘度計のプレート温度を150℃に設定し、試料を所定量、秤量した。プレート部に秤量した樹脂を置き、上部よりコーンで押えつけ、90秒放置した。その後コーンを回転させて、そのトルク値を溶融粘度として読み取った。ICI粘度計は東海八神社製 CONE PLATE VISCOMETER MODEL CV−1Dを使用した。
ICI粘度計のプレート温度を150℃に設定し、試料を所定量、秤量した。プレート部に秤量した樹脂を置き、上部よりコーンで押えつけ、90秒放置した。その後コーンを回転させて、そのトルク値を溶融粘度として読み取った。ICI粘度計は東海八神社製 CONE PLATE VISCOMETER MODEL CV−1Dを使用した。
・軟化点
JIS K7234(環球法)に従い、測定した。
JIS K7234(環球法)に従い、測定した。
〔実施例1〜13及び比較例1〕
<エポキシ樹脂組成物の製造>
表−2に示すように原料を配合した。次いで、各配合物にミキシングロールを用いて70〜120℃の温度で5分間溶融混練した。得られた各溶融混合物は薄板状に取り出し冷却した後、粉砕して各エポキシ樹脂組成物を得た。これらのエポキシ樹脂組成物を用い、低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、成形時間180秒で成形して、各試験片を得、180℃で8時間ポストキュアさせ、硬化物を得た。得られた硬化物について、以下の方法でガラス転移温度、曲げ強度、吸湿率、及びUL−94を試験した結果を表−2に示した。また、成分(A)に加えて他のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物については混合エポキシ当量を求め、その結果を表−2に示した。
<エポキシ樹脂組成物の製造>
表−2に示すように原料を配合した。次いで、各配合物にミキシングロールを用いて70〜120℃の温度で5分間溶融混練した。得られた各溶融混合物は薄板状に取り出し冷却した後、粉砕して各エポキシ樹脂組成物を得た。これらのエポキシ樹脂組成物を用い、低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、成形時間180秒で成形して、各試験片を得、180℃で8時間ポストキュアさせ、硬化物を得た。得られた硬化物について、以下の方法でガラス転移温度、曲げ強度、吸湿率、及びUL−94を試験した結果を表−2に示した。また、成分(A)に加えて他のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物については混合エポキシ当量を求め、その結果を表−2に示した。
なお、表−2中の略号は以下の通りである。
・その他のエポキシ樹脂
a−1:テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) YX4000(エポキシ当量:186g/当量)
a−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) YL6810(エポキシ当量:172g/当量)
a−3:ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)YX8800 エポキシ当量:178g/当量)
a−4:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂 (三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) 1032H60(エポキシ当量:168g/当量))
a−5:ビフェニル型エポキシ樹脂 (三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)YL6121H(エポキシ当量:175g/当量))
a−6:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 NC3000(エポキシ当量:270g/当量))
a−7:クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 EOCN1020−62(エポキシ当量:197g/当量))
a−8:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製 商品名 HP−7200(エポキシ当量:275g/当量))
・その他のエポキシ樹脂
a−1:テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) YX4000(エポキシ当量:186g/当量)
a−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) YL6810(エポキシ当量:172g/当量)
a−3:ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)YX8800 エポキシ当量:178g/当量)
a−4:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂 (三菱化学社製 商品名 jER(登録商標) 1032H60(エポキシ当量:168g/当量))
a−5:ビフェニル型エポキシ樹脂 (三菱化学社製 商品名 jER(登録商標)YL6121H(エポキシ当量:175g/当量))
a−6:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 NC3000(エポキシ当量:270g/当量))
a−7:クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 EOCN1020−62(エポキシ当量:197g/当量))
a−8:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製 商品名 HP−7200(エポキシ当量:275g/当量))
・成分(B):フェノール系硬化剤
b−1:フェノ−ルノボラック樹脂(群栄化学工業社製 商品名 レヂトップ PSM
4261(水酸基当量:103g/当量、軟化点:85℃))
b−2:フェノ−ルアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7800S(水酸基当量:75℃))
b−3:トリスフェノールメタン樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7500(水酸基当量:97g/当量、軟化点:110℃))
b−4:ビフェニルアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7851S(水酸基当量:205g/当量、軟化点:75℃))
b−5:ナフトールアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7700(水酸基当量:140g/当量、軟化点:96℃))
b−6:フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物 (エア
ウォーター社製 商品名 HE510−05(水酸基当量:156g/当量)、軟化点73℃))
b−7:フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキシビフェニル重縮合物
(エアウォーター社製 商品名 HE610C−07(水酸基当量:185g/当量)、軟化点74℃))
b−1:フェノ−ルノボラック樹脂(群栄化学工業社製 商品名 レヂトップ PSM
4261(水酸基当量:103g/当量、軟化点:85℃))
b−2:フェノ−ルアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7800S(水酸基当量:75℃))
b−3:トリスフェノールメタン樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7500(水酸基当量:97g/当量、軟化点:110℃))
b−4:ビフェニルアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7851S(水酸基当量:205g/当量、軟化点:75℃))
b−5:ナフトールアラルキル樹脂(明和化成社製 商品名 MEH−7700(水酸基当量:140g/当量、軟化点:96℃))
b−6:フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物 (エア
ウォーター社製 商品名 HE510−05(水酸基当量:156g/当量)、軟化点73℃))
b−7:フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキシビフェニル重縮合物
(エアウォーター社製 商品名 HE610C−07(水酸基当量:185g/当量)、軟化点74℃))
・硬化促進剤
c−1:トリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社製 商品名 トリフェニルホスフィン)
c−1:トリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社製 商品名 トリフェニルホスフィン)
・無機充填材
d−1:溶融シリカ粉末(電気化学工業社製 商品名 球状シリカ(平均粒子径:25μm))
d−1:溶融シリカ粉末(電気化学工業社製 商品名 球状シリカ(平均粒子径:25μm))
・離型剤
e−1:カルナバワックス(セラリカ野田社製 商品名 精製カルナバワックスNo.1)
e−1:カルナバワックス(セラリカ野田社製 商品名 精製カルナバワックスNo.1)
・カップリング剤
f−1:エポキシシラン(信越化学工業社製 商品名 KBM−403)
f−1:エポキシシラン(信越化学工業社製 商品名 KBM−403)
<エポキシ樹脂組成物及び硬化物の物性・特性測定>
エポキシ樹脂組成物の実施例1〜13及び比較例1の各エポキシ樹脂組成物において、以下の物性・特性測定を行った。
エポキシ樹脂組成物の実施例1〜13及び比較例1の各エポキシ樹脂組成物において、以下の物性・特性測定を行った。
・混合エポキシ当量
混合エポキシ当量は各成分のエポキシ樹脂の配合量とエポキシ当量から、以下の式より算出した。
(エポキシ樹脂Xとエポキシ樹脂Yとの混合エポキシ当量)
=[(エポキシ樹脂Xの重量部)+(エポキシ樹脂Yの重量部)]/〔[(エポキシ樹脂Xの重量部)/(エポキシ樹脂Xのエポキシ当量)]+[(エポキシ樹脂Yの重量部)/(エポキシ樹脂Yのエポキシ当量)]〕
計算例:実施例5
製造例1:241g/当量 80重量部
他のエポキシ樹脂(a−1):186g/当量 20重量部
(80+20)/((80/241)+(20/186))=223
混合エポキシ当量は各成分のエポキシ樹脂の配合量とエポキシ当量から、以下の式より算出した。
(エポキシ樹脂Xとエポキシ樹脂Yとの混合エポキシ当量)
=[(エポキシ樹脂Xの重量部)+(エポキシ樹脂Yの重量部)]/〔[(エポキシ樹脂Xの重量部)/(エポキシ樹脂Xのエポキシ当量)]+[(エポキシ樹脂Yの重量部)/(エポキシ樹脂Yのエポキシ当量)]〕
計算例:実施例5
製造例1:241g/当量 80重量部
他のエポキシ樹脂(a−1):186g/当量 20重量部
(80+20)/((80/241)+(20/186))=223
・耐熱性:ガラス転移温度(Tg)
硬化物を厚さ約1.6mm直径約7mmの円柱状試験片とし、熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製 EXSTAR6000)を用いて、圧縮モードで熱機
械分析を行った(測定架重:30mN、昇温速度:5℃/分で2回、測定温度範囲:30℃から250℃)。2回目の測定における、ガラス転移温度を測定した。
硬化物を厚さ約1.6mm直径約7mmの円柱状試験片とし、熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製 EXSTAR6000)を用いて、圧縮モードで熱機
械分析を行った(測定架重:30mN、昇温速度:5℃/分で2回、測定温度範囲:30℃から250℃)。2回目の測定における、ガラス転移温度を測定した。
・耐応力性:曲げ強度
曲げ強度試験機(インストロンジャパン社製 INSTRON5582)を用いて、JIS K6911に従い、250℃で3点曲げ試験を行うことにより曲げ強度を測定した。
曲げ強度試験機(インストロンジャパン社製 INSTRON5582)を用いて、JIS K6911に従い、250℃で3点曲げ試験を行うことにより曲げ強度を測定した。
・耐吸湿性:吸湿率
直径50mm高さ3mmの円柱の試験片を成形し、エスペック社製 恒温器SPH−201を用いて110℃で2時間乾燥し、その後、試験片の重量を精秤した。続いて乾燥後の試験片をエスペック社製 HASTチャンバー EHS−211MDを用いて温度13
0℃、湿度100%の条件下で100時間保存し、重量を精秤した。そして以下の計算式より吸湿率を求めた。吸湿率が低いほど耐吸湿性に優れるものと評価した。
〔[(100時間吸湿後の試験片の重量)−(乾燥直後の試験片の重量)]/(乾燥後の試験片の重量)〕×100
直径50mm高さ3mmの円柱の試験片を成形し、エスペック社製 恒温器SPH−201を用いて110℃で2時間乾燥し、その後、試験片の重量を精秤した。続いて乾燥後の試験片をエスペック社製 HASTチャンバー EHS−211MDを用いて温度13
0℃、湿度100%の条件下で100時間保存し、重量を精秤した。そして以下の計算式より吸湿率を求めた。吸湿率が低いほど耐吸湿性に優れるものと評価した。
〔[(100時間吸湿後の試験片の重量)−(乾燥直後の試験片の重量)]/(乾燥後の試験片の重量)〕×100
・難燃性:UL−94
幅12.7mm、長さ127mm、厚み3.2mmの評価用試験片を用いてUL−94試験法に準拠し、厚さ3.2mmの試験片5本を用いて燃焼試験を行った。なお、表−2中の「合計燃焼時間」とは、試験片5本の合計燃焼時間である。
幅12.7mm、長さ127mm、厚み3.2mmの評価用試験片を用いてUL−94試験法に準拠し、厚さ3.2mmの試験片5本を用いて燃焼試験を行った。なお、表−2中の「合計燃焼時間」とは、試験片5本の合計燃焼時間である。
表−2からわかるように本発明のエポキシ樹脂を用いた実施例1〜13はいずれも比較例1に対し、耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性のいずれにも優れたものであることがわかる。なお、比較例1は前記特許文献2において製造されているビスフェノールZ型エポキシ樹脂に相当する樹脂である。
本発明によれば、耐熱性、耐吸湿性、耐応力性及び難燃性等の硬化物特性に優れたエポ
キシ樹脂エポキシ樹脂組成物及びそれを硬化してなる硬化物が提供される。本発明のエポキシ樹脂組成物は、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野、積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野、橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途にいずれにも好適に用いることができる。
キシ樹脂エポキシ樹脂組成物及びそれを硬化してなる硬化物が提供される。本発明のエポキシ樹脂組成物は、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野、積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野、橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途にいずれにも好適に用いることができる。
Claims (13)
- 前記成分(A)100重量部に対し、前記成分(B)を30〜1000重量部含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(A’)100重量部に対し、前記成分(B)を30〜1000重量部含む、請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(B)が、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリス(ヒドロキシルフェニル)メタン型樹脂、ナフトールアルキルフェノール共縮合ノボラック樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物から選ばれる少なくとも1種のフェノール系硬化剤である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(A)又は成分(A’)のエポキシ当量が225〜3000g/当量である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更に成分(A)又は(A’)以外のエポキシ樹脂を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 全エポキシ樹脂成分に対し、前記成分(A)又は(A’)を40重量%以上含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(A)又は成分(A’)と前記他のエポキシ樹脂との混合物の混合エポキシ当量が200〜2000g/当量である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(A)又は(A’)の軟化点が30〜120℃である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更にエポキシ樹脂組成物中に無機充填材が70〜95重量%含まれる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
- 請求項1乃至11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる半導体封止材。
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---|---|---|---|
JP2012176098A JP2014034629A (ja) | 2012-08-08 | 2012-08-08 | エポキシ樹脂組成物、硬化物及び半導体封止材 |
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