JP6740619B2 - エポキシ樹脂とその製造法、及び該樹脂に基づくエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このようなエポキシ樹脂組成物及びその硬化物は電気・電子部品に好適に用いられる。
[1] 下記式(1)で表されるエポキシ化合物由来の構成単位を含有するエポキシ樹脂であって、以下の性状を有することを特徴とするエポキシ樹脂。
(a)エポキシ当量:97〜110g/eq
(b)25℃の粘度:800〜1500mPa・s
(c)加水分解性塩素:1000ppm以下
(d)全塩素:3000ppm以下
[3] 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及びアミド系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤である上記[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 更に、上記[1]に記載のエポキシ樹脂とは異なるエポキシ樹脂を含有する[2]又は[3]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 上記[2]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
[6] 上記[5]に記載の硬化物からなる電気・電子部品。
[7] 4−アミノフェノールとエピハロヒドリンとを反応させて得られた粗エポキシ樹脂を、該粗エポキシ樹脂の加水分解性塩素量に対して2〜5倍のアルカリ金属水酸化物を用いて、樹脂含量10%以上35%以下、温度40℃以上75℃以下の条件で反応させる上記[1]に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
以下、本発明の構成要件を個別に説明する。
1.エポキシ樹脂
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表されるエポキシ化合物由来の構成単位を含有するエポキシ樹脂(以下「エポキシ樹脂(1)」と記すことがある)であり、その特徴は25℃での粘度が低く、加水分解性塩素量、全塩素量が低く電気特性に優れている点である。
より成形する際にも、大型物品や薄型の成形品であっても、金型への充填を万遍なく、かつ速やかに行うことができるので、成形不良の防止やサイクルタイムの向上に非常に有効である。
また、加水分解性塩素量、全塩素量が少ないため、硬化物からの遊離塩素量を少なくでき、電気・電子機器の配線腐食が防止されて、絶縁不良等のトラブルを予防できる。
本願では、エポキシ樹脂(1)に含まれるエポキシ基数の尺度として「エポキシ当量」を用いる。「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に従って測定することができる。
また、その他の品質面の観点から97〜107g/eqであることが好ましく、特に100〜107g/eqであることが好ましい。
エポキシ当量を97g/eq以上とするためには、脱塩素化反応の際のアルカリ濃度を高くしたり、上記反応時の樹脂含量を高くしたり、反応温度を高く及び/又は反応時間を長くする操作をして、上記式(1)のエポキシ化合物のオリゴマー化をある程度進めて、所望のエポキシ当量となるようにすればよい。
なお、オリゴマー化反応の進捗状況は、上記反応中に適時サンプリングを行い、エポキシ当量を測定することで確認できる。
本発明のエポキシ樹脂(1)は、25℃での粘度が800mPa・s以上1500mPa・s以下である。
この粘度範囲とすることで、取扱い性と絶縁の信頼性に優れたエポキシ樹脂及びその硬化物となる。
25℃での粘度を上記の好ましい範囲とすることで、特に絶縁信頼性が良好になる。
なお、本発明において「25℃の粘度」とは、キャノンフェンスケ管中にエポキシ樹脂を充填し、25℃に調整した恒温水層中で30分保持した後に粘度を測定した値である。
25℃の粘度が上記好適範囲にあるエポキシ樹脂(1)は、例えば、脱塩素化反応時のアルカリ濃度、反応時の樹脂含量、反応温度、反応時間を適宜調整し、適時サンプリングを行いながら、粘度が所望の範囲となったことを確認することによって得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂(1)は、加水分解性塩素の含有量(以下「加水分解性塩素量」と記す場合がある。)が1000ppm以下である。
加水分解性塩素量が少ないほど、得られる製品の電気的な信頼性等の面で好ましい。
エポキシ樹脂(1)の加水分解性塩素量は、1000ppm以下であるが、より絶縁信頼性を良好にするためには、760ppm以下が好ましく、より好ましくは630ppm以下である。
加水分解性塩素量の測定方法は、例えば約0.5gの精秤したエポキシ樹脂を20mlのジオキサンに溶解し、1NのKOH/エタノール溶液5mlで30分還流した後、0.01N硝酸銀溶液で滴定することにより定量する方法が用いられる。
本発明のエポキシ樹脂(1)は、全塩素の含有量(以下「全塩素量」と記す場合がある)が3000ppm以下である。
全塩素量は少ないほど、得られる製品の電気的な信頼性等の面で好ましい。より絶縁信頼性を高いものとするためには2730ppm以下が好ましく、2260ppm以下が特に好ましい。
なお全塩素量はJIS K7299に従って測定することができる。
エポキシ当量、25℃の粘度、加水分解性塩素量、及び全塩素量が前述の条件を満たす、本発明のエポキシ樹脂(1)の製造方法を、以下説明する。
本発明のエポキシ樹脂(1)の製造方法は、上記各項目の条件が満たされる限り、特に制限されるものではないが、例えば、以下に説明する製造方法を経由すると、効率的に製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂(1)の製造方法においては、下式(2)で示される4−アミノフェノール(以下「PAP」と記す場合がある)と、エピハロヒドリンとを反応させることにより、エポキシ樹脂を製造する方法が好ましく用いられる。
但しこの場合でも、本発明の趣旨に従って、原料ヒドロキシ化合物中のPAPの比率は、30モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。特に好ましいのは100モル%である。
上記その他の多価ヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールAF、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類(ただし、フェノール樹脂(2)を除く。)や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール樹脂類、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が例示できる。
であると反応が進行しやすく、かつ制御もしやすいので好ましい。また、反応温度が上記150℃以下とすることで、副反応が抑制でき、特に塩素不純物を低減しやすいので好ましい。
なお、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
上記で得られた粗エポキシ樹脂中には、未反応の原料化合物やエピハロヒドリンの反応により生成した塩素や塩素含有化合物などの塩素系不純物が含まれている。このような塩素系不純物を強アルカリと反応させることにより、含まれる塩素を無機塩素系の水溶性化合物に変換し、水洗除去することによって、精製されたエポキシ樹脂を得ることができる。
キサメチルホスホルアミド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの非プロトン性極性溶媒の中では、入手し易く、洗浄効果が優れていることから、ジメチルスルホキシドが好ましい。
粗エポキシ樹脂中の含塩素成分とアルカリとの反応時の、有機溶媒中の粗エポキシ樹脂の濃度(含量)は、35重量%以下とすることが好ましい。より好ましくは30重量%以下である。またその下限の濃度は、反応性の観点から10%重量以上が好ましく、より好ましくは20%重量以上である。
アルカリ金属水酸化物(具体例として水酸化カリウムを示す)の使用量は、粗エポキシ樹脂の加水分解性塩素量から、以下の手順で計算することができる。
(前提)
粗エポキシ樹脂:加水分解性塩素量2100ppm、使用量100g
水酸化カリウム使用量(使用量比率:2倍)
(計算)
粗エポキシ樹脂中の塩素量(グラム原子)
=2100ppm*100g/35(塩素の原子量)=0.006(グラム原子)
水酸化カリウム使用量(g)
=0.006(モル)*56(水酸化カリウム式量)*2(倍数)=0.672(g):水酸化カリウム(固形分)
また、その反応時間としては、上限は通常20時間、好ましくは10時間であり、下限は10分、好ましくは30分である。反応時間を上記範囲とすることで、反応の過度な進行を予防しつつ、合理的な反応進行が可能となる。
残留塩素成分を除去する反応が終了した後、水洗等によって過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、続いて有機溶媒を用いた場合は、該有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留等の方法で除去することができる。
(1)エポキシ樹脂組成物の特徴
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂(1)と硬化剤とを含む。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、本発明のエポキシ樹脂(1)以外の他のエポキシ樹脂(以下、単に「他のエポキシ樹脂」と記す場合がある)、硬化促進剤、無機充填剤、カップリング剤等を、本発明の趣旨、効果を阻害しない限り、適宜配合することができる。
以下、組成物を構成する必須成分及び任意成分について個別に説明する。
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
なお、上記において、「固形分」とは溶媒を除いた成分のことを意味し、固体のエポキシ樹脂だけでなく、半固形や粘稠な液状物も含むものである。また「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の量に相当し、エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂(1)のみを含む場合は、エポキシ樹脂(1)の量を意味し、エポキシ樹脂(1)と他のエポキシ樹脂を含む場合は、エポキシ樹脂(1)と他のエポキシ樹脂の合計量に相当する。
また硬化剤の含有量の下限は0.5重量部が好ましく、1重量部がより好ましい。このような量とすることで、より迅速に所望の硬度を得ることができる。
このうち、酸無水物系硬化剤を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた耐熱性、耐応力性を得ることができるため、硬化剤としては酸無水物系硬化剤を含むことが好ましい。また、耐熱性等の観点からはアミン系硬化剤を含むことが好ましい。また、イミダゾール類を用いることも、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点
から好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
以上で挙げた酸無水物硬化剤は1種のみでも2種以上を任意の組み合わせ及び配合量で組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールA
ノボラック樹脂、トリスフェノールメタン型樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物等の各種のフェノール樹脂類等が挙げられる。
これらの中でも組成物の硬化後の耐熱性、硬化性等の観点から、上記フェノール性硬化剤の中でも、フェノールノボラック樹脂(例えば下記式(3)で表される化合物)、フェノールアラルキル樹脂(例えば下記式(4)で表される化合物)、ビフェニルアラルキル樹脂(例えば下記式(5)で表される化合物)、ナフトールノボラック樹脂(例えば下記式(6)で表される化合物)、ナフトールアラルキル樹脂(例えば下記式(7)で表される化合物)、トリスフェノールメタン型樹脂(例えば下記式(8)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物(例えば下記式(9)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物(例えば下記式(9)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物(例えば下記式(10)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物(例えば下記式(10)で表される化合物)等が好ましく、特にフェノールノボラック樹脂(例えば下記式(3)で表される化合物)、フェノールアラルキル樹脂(例えば下記式(4)で表される化合物)、ビフェニルアラルキル樹脂(例えば下記式(5)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物(例えば下記式(9)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物(例えば下記式(9)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物(例えば下記式(10)で表される化合物)、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物(例えば下記式(10)で表される化合物)が好ましい。
フェノール系硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.1〜1000重量部であり、より好ましくは500重量部以下、更に好ましくは300重量部以下、特に好ましくは100重量部以下である。
アミン系硬化剤としては、第3級アミン以外の硬化剤、例えば脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等、及びこれらの硬化剤以外の第3級アミン類があげられる。
第3級アミン以外の硬化剤を以下に列挙する。
脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。
−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
なお、第3級アミンは、上記第1級アミンや第2級アミンと異なり、分子中に活性水素を有していないためエポキシ基との反応性が低いが、硬化促進剤として硬化反応の触媒作用を有し、かつその後硬化に寄与することがある、という特徴を有している。
当量配合比=(硬化剤量(g)/硬化剤の当量(g/eq))/(エポキシ樹脂量(g)
/エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq))
(但し、「硬化剤の当量」は、一当量のエポキシ基と反応可能な硬化剤の質量である。)
アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
アミド系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
アミド系硬化剤を用いる場合、フェノール樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分とアミド系硬化剤との合計に対してアミド系硬化剤が0.1〜20重量%となるようにすることが好ましい。
イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイ
ミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
イミダゾール類を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分とイミダゾール類との合計に対してイミダゾール類が0.1〜20重量%となるように用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては前記硬化剤以外にその他の硬化剤を用いることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物に使用することのできるその他の硬化剤は特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。これらの他の硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂(1)以外に、エポキシ樹脂(1)に該当しない、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐応力性、耐吸湿性、難燃性等を向上させることができる。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノール変性キシレン樹脂型エポキシ樹脂、ビスフェノールシクロドデシル型エポキシ樹脂、ビスフェノールジイソプロピリデンレゾルシン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、チオジフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシスチルベン類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、テルペンフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、フェノール・ヒドロキシベンズアルデヒドの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、フェノール・クロトンアルデヒドの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、フェノール・グリオキザールの縮合物から誘導されるエポキシ樹脂、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂から誘導されるエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されるエポキシ樹脂、アミノフェノールから誘導されるエポキシ樹脂、キシレンジアミンから誘導されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロフタル酸から誘導されるエポキシ樹脂、ダイマー酸から誘導されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂の中でも組成物の流動性、及び硬化物の耐熱性や耐吸湿性や難燃性等を向上できる点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂及び4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂及びジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましい。
(4−1)硬化促進剤
本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化促進剤を含むことが好ましい。硬化促進剤を含むことにより、硬化時間の短縮、硬化温度の低温化が可能となり、より容易に所望の硬化物を得ることができる。
硬化促進剤として使用できるリン系化合物として以下のようなものが例示できる。
ここで用いることができる他の化合物としては、無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等が例示できる。
キルトリフェニルホスホニウム塩等を有する化合物が挙げられ、具体的には、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−メチルフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が例示できる。
上記例示した硬化促進剤の中でも有機ホスフィン類及びホスホニウム塩が好ましく、有機ホスフィン類が最も好ましい。また、硬化促進剤は、単独で用いても、また2種以上の化合物を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化促進剤の含有量を上記下限値以上とすることで、良好な硬化促進効果を得ることができ、上記上限値以下とすることで、所望の硬化物性を得やすくなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、チッ化ホウ素等が挙げられる。これらは、1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
ましくは2〜30μmである。平均粒子径が上記下限値以上であると溶融粘度があまり高くならないので、流動性が低下しにくい。また平均粒子径が上記上限値以下であると成形時に金型の隙間に充填材が目詰まりしにくく、材料の充填性が向上して成形不良が少なくなるので好ましい。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填剤の使用量は、エポキシ樹脂組成物全体の50〜95重量%の範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂成物には離型剤を配合することができる。離型剤としては例えば、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸類及びその金属塩類、パラフィン等の炭化水素系離型剤等を特に限定することなく用いることができる。これらは、1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、カップリング剤を配合することが好ましい。カップリング剤を無機充填剤と併用すると、マトリックスであるエポキシ樹脂と無機充填剤との接着性を向上させることができる。このようなカップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
シル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン類などの他、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン類などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物にカップリング剤を配合する場合の配合量は、全エポキシ樹脂成分100重量部に対し、0.1〜3.0重量部用いることが好ましい。カップリング剤の配合量を上記範囲内とすることで、カップリング剤によるエポキシ樹脂と無機充填材との密着性が向上するとともに、得られる硬化物からのカップリング剤のブリードアウトを抑制できるので好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前記以外の成分(「その他の成分」と記すことがある)を配合することができる。このようなその他の成分としては例えば、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等が挙げられ、必要に応じて本発明の趣旨・硬化を阻害しない範囲で適宜配合することができる。勿論、上記の「その他の成分」は単なる例示であり、これらの成分以外の成分を用いることを排除するものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、本発明の硬化物を得ることができ、得られた硬化物は、耐熱分解性、耐熱応力性、及び耐吸湿性が優れている。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、通常、加熱による熱硬化反応により硬化させることができる。このときの加熱温度は用いる硬化剤の種類によって適宜選択すればよい。例えば、酸無水物系硬化剤を用いた場合、硬化温度は通常100〜300℃であり、フェノール系硬化剤を用いた場合の硬化温度は通常130〜300℃である。
硬化反応の反応時間は、通常1〜20時間程度で、好ましくは2〜18時間、より好ましくは3〜15時間である。反応時間を上記範囲とすることで、硬化反応が十分に進行しかつ加熱による樹脂成分等の劣化や加熱時の放熱ロスを少なくできる。
なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものでもあり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
(1)薬品類
本実施例で使用した薬品類は以下の通りである。
4−アミノフェノール:東京化成工業(株)製、試薬1級
エピクロルヒドリン:鹿島ケミカル(株)製
2−プロパノール:和光純薬工業(株)製、試薬特級
水酸化ナトリウム:和光純薬工業(株)製、試薬特級
水酸化カリウム:和光純薬工業(株)製、
メチルイソブチルケトン:和光純薬工業(株)製、試薬特級
アセトン:和光純薬工業(株)製、試薬特級
酢酸:和光純薬工業(株)製、氷酢酸
硝酸銀:和光純薬工業(株)製、試薬特級
樹脂組成物の硬化試験に用いた硬化剤、硬化促進剤は以下の通り。
硬化剤:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸(70/30混合物)(新日本理化(株)製、商品名:リカシッドMH−700(酸無水物当量:165g/当量))
硬化促進剤:2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製、商品名:EMI−24)
本実施例における、エポキシ当量、加水分解性塩素量、全塩素量、及び粘度(25℃)の測定・評価方法は、本明細書の[発明を実施するための形態]の、[発明の詳細な説明]、「1.エポキシ化合物、エポキシ樹脂」の、(2)〜(5)に記載した通りである。
(1)合成例
[合成例1:粗エポキシ樹脂の合成]
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量5Lの四口フラスコに、4−アミノフェノール109g、エピクロルヒドリン1400g、2−プロパノール1400gを仕込み、系内を減圧として窒素置換した後、窒素雰囲気下で撹拌して均一に溶解させた。
)406gを90分かけて滴下した。滴下終了後、60℃で30分間保持して反応を完了させた。
水1000mLを追加した後、分液ロートに反応液を移し、温度を60℃に保って1時間静置して油層と水層に分離した。ここから水層を抜き出して、副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。
(2−1)エポキシ樹脂の合成
[実施例1]
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの四口フラスコに、合成例1で得られた粗エポキシ樹脂100g、反応溶剤のメチルイソブチルケトン300gを仕込み、系内を減圧にして窒素置換した。
ここに反応触媒として8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液29gを一括投入し、1時間反応させた。反応終了後、水を加えた後、分液ロートに反応液を移して60℃に保った状態で1時間静置し油水分離を行った。ここから水層を抜き出し、副生塩及び過剰の水酸化カリウムを除去した。次いで、油層から減圧下でメチルイソブチルケトンを留去して、本発明のエポキシ樹脂を得た。
反応時間を2時間にしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
[実施例3]
反応時間を1時間として、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液15gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
反応時間を2時間として、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液15gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
[比較例1]
反応溶剤をメチルイソブチルケトン203g、反応温度を65℃、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液から48重量%水酸化ナトリウム水溶液2gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た(特開2005-314512
の実施例1に記載の生成工程)。
反応溶剤をメチルイソブチルケトン150g、反応温度を50℃、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液から20重量%水酸化カリウム/エタノール溶液3gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。(特開2005-3
14512の実施例2に記載の生成工程)
[比較例3]
反応溶剤をメチルイソブチルケトン150g、反応温度を50℃、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液9gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
反応溶剤をメチルイソブチルケトン150g、反応温度を50℃、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液36gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
[比較例5]
反応溶剤をメチルイソブチルケトン150g、反応温度を80℃、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液9gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
反応溶剤をメチルイソブチルケトン150g、反応温度を65℃、反応触媒を8重量%水酸化カリウム/2−プロパノール溶液3gとしたこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
上記の実施例、比較例において、反応終了後の分液ロートを用いた油水分離操作において、1時間静置後に油層と水層が完全に分離したものを「○」、界面部分が乳濁状態となって十分分離しなかったものを「×」とした。
油水分離によって分離した油層を採取して、前述の方法で上記各項目を測定・評価した。
なお、乳濁液部分が生成した試料は、透明層が形成した油層部分のみを回収して測定試料とし、エマルジョン層及び水層は廃棄した。
実施例1〜4及び比較例1〜6の反応生成物の分離状況及び得られたエポキシ樹脂の諸
物性の測定結果を表1、2に示す。
(1)エポキシ樹脂組成物
[実施例5〜8及び比較例7,8]
表3に示す割合でエポキシ樹脂と硬化剤を配合し、100℃に加熱して均一になるまで撹拌した。その後、80℃まで冷却し、硬化促進剤を同表(表3)に示す割合で添加し、均一になるまで撹拌してエポキシ樹脂組成物を調製した。
140℃で3時間加熱し、硬化させて硬化物を得た。
なお、表3において、「部」は「重量部」を表す。
(2)硬化物の評価(抽出水の塩素量)
上記で得られた硬化物をワンダーブレンダー(大阪ケミカル(株)製)で粉砕し、20メッシュの金網を通して、粉砕された硬化物を作成した。
この硬化物をポリエチレン製の瓶に8g秤取し、超純水を80mL加えた後、密閉して、95℃の乾燥機中で加熱した。20時間加熱した後、室温まで冷却し、内容物をろ紙5Aでろ過して抽出水を得た。
表1、2より本発明の範囲内のエポキシ当量、加水分解性塩素量、全塩素量、25℃の粘度が本発明の規定範囲内である、実施例1〜4のエポキシ樹脂は、比較例1、2、6のエポキシ樹脂に対し、加水分解性塩素量、全塩素量が良好である。
また、実施例1〜4のエポキシ樹脂は比較例3〜5のエポキシ樹脂に対し、水洗時の分離状況や、品質バランスに優れていることも見られる。
このような特性は、例えば、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野;積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気電子分野;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途のいずれにも好ましいものであり、特に半導体封止材・積層板のような電気・電子用途における、封止材その他に有用である。
Claims (6)
- 請求項1に記載のエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂100重量部あたり0.01〜1000重量部の硬化剤とを含有してなるエポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及びアミド系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤であることを特徴とする請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更に、請求項1に記載のエポキシ樹脂とは異なるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項2〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
- 請求項5に記載の硬化物からなる電気・電子部品。
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