JP2013107993A - 半導体封止用液状樹脂組成物とそれを用いた半導体装置 - Google Patents

半導体封止用液状樹脂組成物とそれを用いた半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物の靭性、硬化時の反応性、硬化物の耐吸湿性に優れ、かつ常温時の反りも抑制できる半導体封止用液状樹脂組成物とそれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】主剤として常温で液状のエポキシ樹脂およびエピスルフィド樹脂、硬化剤として次式(I)
【化1】
Figure 2013107993

(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表されるジアミン硬化剤およびフェノール硬化剤、および無機充填剤を含有することを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体封止用液状樹脂組成物とそれを用いた半導体装置に関する。
近年、樹脂封止型半導体装置は、高密度化、高集積化、および動作の高速化の傾向にあり、パッケージ形態はピン挿入型から表面実装型に移行するとともに小型、薄型化が積極的に行われてきた。
しかし樹脂封止型半導体装置は、半導体素子のサイズに比べてパッケージの外形がかなり大きく、高密度実装の観点からは非効率である。そのため、従来型のパッケージよりもさらに小型化、薄型化できる半導体素子のパッケージが要求されている。
そこで最近では、パッケージ用基板に半導体素子を搭載する方法として、実装効率のほか電気特性、多ピン化対応に優れるフリップチップ実装の採用が増えている。
フリップチップ実装では、半導体素子の外部接続用パッドにバンプ電極を直接形成し、このバンプ電極を用いて回路基板にフェースダウンで接続、搭載する。そして半導体素子と回路基板との隙間には封止材料としてアンダーフィルが充填される。
アンダーフィルは、バンプを保護し、半導体素子と回路基板との熱膨張率の差異により発生するはんだ接合部の応力を緩和し、耐湿性、気密性を確保するなどの機能を有している。
フリップチップ実装に用いられる封止材料としては、常温で液状のエポキシ樹脂を主剤とし、これに硬化剤、無機充填剤などを配合した液状のエポキシ樹脂組成物が代表的なものとして用いられている(特許文献1、2)。
従来、このようなフリップチップ型のパッケージは、リフロー時にクラックが発生し、あるいは半導体素子/封止材料または回路基板/封止材料の接着界面の剥離が発生する場合があった。
特に、近年における鉛フリーはんだへの代替により、溶融温度が鉛含有のはんだよりも高くなることから、リフロー温度も高くなり、クラックなどの問題がさらに顕在化してきている。
このクラックなどの問題点に対処する手段の一つとして、封止材料の高靭性化による補強が考えられる。従来、一般にエポキシ樹脂の硬化物の靭性を向上するための手段として、分子量400〜1000の長鎖の構造を有するエポキシ樹脂を用いることなどが検討されてきた。
特開2009−149820号公報 特開2007−091849号公報
しかしながら、この長鎖の構造を有するエポキシ樹脂は反応性が低く、不均一な硬化を誘発する傾向があり、極端な場合には、未反応のエポキシ樹脂が分離してしまう。そしてこのような不均一な硬化部分を起点として、クラックや接着界面の剥離が引き起こされる。
本発明者らはこのような点の改善を試みてきたが、これまでの検討によれば、エポキシ樹脂の靭性、反応性の向上に1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼンなどの特定のジアミン硬化剤が有効であることが分かっている。
しかしながら、この特定のジアミン硬化剤を用いると、その硬化物は一般のエポキシ樹脂硬化物と比べて耐吸湿性に劣り、リフローへの悪影響が懸念される。
この耐吸湿性は、主剤としてエポキシ樹脂と共にエピスルフィド樹脂を用いることで改善することができるが、硬化収縮に起因する常温時の反りが悪化してしまう。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、硬化物の靭性、硬化時の反応性、硬化物の耐吸湿性に優れ、かつ常温時の反りも抑制できる半導体封止用液状樹脂組成物とそれを用いた半導体装置を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、主剤として常温で液状のエポキシ樹脂およびエピスルフィド樹脂、硬化剤として次式(I)
Figure 2013107993
(式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表されるジアミン硬化剤およびフェノール硬化剤、および無機充填剤を含有することを特徴としている。
この半導体封止用液状樹脂組成物において、式(I)で表わされるジアミン硬化剤を前記硬化剤の全量に対して30〜70質量%含有することが好ましい。
この半導体封止用液状樹脂組成物において、フェノール硬化剤を硬化剤の全量に対して30〜70質量%含有することが好ましい。
この半導体封止用液状樹脂組成物において、フェノール硬化剤は、アリル化フェノールノボラック樹脂であることが好ましい。
この半導体封止用液状樹脂組成物において、エピスルフィド樹脂を主剤の全量に対して20〜70質量%含有することが好ましい。
この半導体封止用液状樹脂組成物において、常温で液状のエポキシ樹脂として、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリンを含有することが好ましい。
本発明の半導体装置は、上記の半導体封止用液状樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止されていることを特徴としている。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物および半導体装置によれば、硬化物の靭性、硬化時の反応性、硬化物の耐吸湿性に優れ、かつ常温時の反りも抑制できる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、主剤として常温で液状のエポキシ樹脂を含有する。
なお、本明細書において「常温で液状」とは、大気圧下での5〜28℃の温度範囲、特に室温18℃前後において液状であることを意味する。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、その分子量、分子構造は特に限定されず各種のものを用いることができる。
具体的には、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、オレフィン酸化型(脂環式)などの各種の液状のエポキシ樹脂を用いることができる。
さらに具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、粘度と硬化物の物性向上を考慮すると、常温で液状のエポキシ樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、これらのエポキシ当量は150〜200が好ましい。
また、常温で液状のエポキシ樹脂として、次式(II)で表わされるN,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリンが好ましい。
Figure 2013107993
N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリンを上記式(I)で表される硬化剤と併用することで、硬化物に靭性を付与しつつ硬化時の反応性をより高めることができる。
N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリンの含有量は、主剤の全量に対して10質量%以上が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。この範囲内にすると、硬化物に靭性を付与しつつ硬化時の反応性を特に高めることができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、主剤としてエピスルフィド樹脂を含有する。主剤として常温で液状のエポキシ樹脂と共にエピスルフィド樹脂を用いることで、靭性および反応性を維持しつつ耐吸湿性を高めることができる。
エピスルフィド樹脂としては、1分子内に2個以上のエピスルフィド基を有するものであれば特に限定されないが、本発明の半導体封止用液状樹脂組成物が液状であることなどを考慮すると、中でも常温で液状のエピスルフィド樹脂が好ましい。
また、エポキシ樹脂を原料としてエポキシ基の酸素原子の全部または一部を硫黄原子に置換して製造したエピスルフィド樹脂の場合には、1分子内に1個以上のエピスルフィド基を有しておりエポキシ基が残存しているものを含有していてもよい。
エピスルフィド樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂、ビスフェノールF型エピスルフィド樹脂などのビスフェノール型エピスルフィド樹脂、水素添加ビスフェノール型エピスルフィド樹脂、クレゾールノボラック型エピスルフィド樹脂、脂肪族型エピスルフィド樹脂、ビフェニル型エピスルフィド樹脂、ジシクロペンタジエン型エピスルフィド樹脂、ナフタレン型エピスルフィド樹脂などを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、常温で液状のビスフェノール型エピスルフィド樹脂や水素添加ビスフェノール型エピスルフィド樹脂が好ましい。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物におけるエピスルフィド樹脂の含有量は、主剤の全量に対して20〜70質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。この範囲内にすると、靭性および反応性とのバランスを維持しつつ耐吸湿性を特に向上させることができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物において、主剤には、常温で液状のエポキシ樹脂およびエピスルフィド樹脂との混合物全体として常温で液状となれば、常温で固体のエポキシ樹脂を配合してもよい。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、硬化剤として上記式(I)で表されるジアミン硬化剤を含有する。式(I)で表されるジアミン硬化剤を用いることで、靭性および反応性を共に向上させることができる。反応性の向上は、均一な硬化を促進する。
式(I)において、R1は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数4〜10、さらに好ましくは炭素数7〜10である。具体的には、フェニルエチニル基などのアリールアルキニル基の他、芳香族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、飽和脂肪族炭化水素基、およびこれらを組み合わせたものなどが挙げられる。
中でも、靭性および反応性の向上を考慮すると、式(I)で表されるジアミン硬化剤として、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼンおよび1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物における式(I)で表されるジアミン硬化剤の含有量は、硬化剤の全量に対して30〜70質量%が好ましい。この範囲内にすると、硬化物の靭性および硬化時の反応性を特に高めることができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、硬化剤としてフェノール硬化剤を含有する。主剤としてエポキシ樹脂と共にエピスルフィド樹脂を用いると耐吸湿性を改善できるが、硬化収縮に起因する常温時の反りが悪化してしまう。しかし硬化剤としてフェノール硬化剤を配合することで、硬化収縮率を低減でき、その結果として常温の反りが向上する。
フェノール硬化剤としては、硬化収縮率の低減や低粘度化などを考慮すると、アリル基を少なくとも1個持つ常温で液状のフェノール硬化剤が好ましい。このようなフェノール硬化剤としては、次式(III)で表わされるアリル化フェノールノボラック樹脂が好ましい。
Figure 2013107993
(式中、R2〜R6はそれぞれ独立に水素原子またはアリル基を示し、nは0〜3の整数を示す。)
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物におけるフェノール硬化剤の含有量は、硬化剤の全量に対して30〜70質量%が好ましい。この範囲内にすると、硬化収縮率を特に低減し、常温の反りを向上させることができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、上記のジアミン硬化剤およびフェノール硬化剤とともに、他の硬化剤を用いることもできる。このような他の硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族アミン類、アミンアダクトなどの変性ポリアミン、酸無水物系硬化剤などを用いることができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物における硬化剤の含有量は、硬化剤の活性水素と、主剤に配合されるエポキシ樹脂のエポキシ基当量およびエピスルフィド樹脂のエピスルフィド基当量の合計との当量比([活性水素当量]/[エピスルフィド基当量+エポキシ基当量])が0.5〜1.5となる量が好ましく、当量比が0.6〜1.4となる量がより好ましい。当量比がこの範囲内であると、硬化不足や耐熱性の低下を抑制し、硬化物の吸湿量の増加も抑制することができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、無機充填剤を含有する。無機充填剤としては、特に限定されないが、例えば、球状シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、微粉シリカ、アルミナ、窒化珪素、マグネシアなどを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これらの中でも、低粘度化と流動特性の向上などの点を考慮すると、球状シリカが好ましい。
球状シリカの平均粒径は、0.2〜30μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。なお、平均粒径はレーザー回折・散乱法などにより測定することができる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物における無機充填剤の含有量は、半導体封止用液状樹脂組成物の全量に対して25〜75質量%が好ましい。この範囲内にすると、熱膨張による半導体装置の信頼性低下を抑制でき、粘度増加による半導体素子と基材との間への充填性の低下も抑制できる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらに他の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、硬化促進剤、着色剤、消泡剤などが挙げられる。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、例えば、次の手順で製造することができる。主剤、硬化剤、およびその他の添加剤を同時にまたは別々に配合し、必要に応じて加熱処理や冷却処理を行いながら、撹拌、溶解、混合、分散を行う。次に、この混合物に無機充填剤を加え、必要に応じて加熱処理や冷却処理を行いながら、再度、撹拌、混合、分散を行うことにより、本発明の半導体封止用液状樹脂組成物を得ることができる。この撹拌、溶解、混合、分散には、ディスパー、プラネタリーミキサー、ボールミル、3本ロールなどを組み合わせて用いることができる。
本発明の半導体装置は、上記の半導体封止用液状樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止される。
本発明の半導体装置におけるパッケージ形態としては、フリップチップ接続やワイヤーボンド接続の各種のエリア実装型のパッケージ、例えば、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。
また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の半導体素子を一度に半導体封止用液状樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
本発明の半導体封止用液状樹脂組成物は、これらのパッケージのアンダーフィル、オーバーモールドなどに用いることができる。
例えば、半導体素子と、回路形成されたFRグレードやセラミック基板などの回路基板(インターポーザ)との間を半導体封止用液状樹脂組成物により封止することができる。
例えば、回路基板の上面部のパッド電極にバンプを介してベアチップの半導体素子を接続する。例えば、はんだバンプを有する表面実装用ICチップなどの半導体素子と回路基板とのはんだバンプ接合を、遠赤外線を用いたリフロー装置などで行う。
次にバンプ間の隙間に半導体封止用液状樹脂組成物を塗布、充填する。例えば、ディスペンサからの吐出によるポッティング封止などにより塗布、充填することができる。
そして、充填終了後、熱風循環乾燥機やトンネル炉などにより、この充填した半導体封止用液状樹脂組成物を加熱硬化させて、半導体素子と回路基板とを接着し、かつ、これらの隙間を封止する。これによりフリップチップ実装による半導体装置を製造することができる。
あるいは、半導体封止用液状樹脂組成物を回路基板へ先に塗布しておき、その後に半導体素子を搭載する方法であってもよい。
半導体封止用液状樹脂組成物の加熱硬化の条件は、特に限定されるものではなく半導体封止用液状樹脂組成物の配合組成などに応じて適宜に変更すればよいが、例えば、120〜170℃、0.5〜5時間とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1および表2に示す配合量は質量部を表す。
表1および表2に示す配合成分として、以下のものを用いた。
1.主剤
(常温で液状のエポキシ樹脂)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」
・アミノグリシジルエーテル、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリン、ジャパンエポキシレジン(株)製「EP−630」
(エピスルフィド樹脂)
・水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7007」
2.硬化剤
(フェノール硬化剤)
・アリル化フェノールノボラック樹脂、明和化成工業(株)製「MEH8000−4L」、活性水素当量141
(ジアミン硬化剤1)
ジアミノジフェニルメタン、保土谷化学工業(株)製「DDM」
(ジアミン硬化剤2)
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼン、略称PEMPB、セイカ(株)製
(ジアミン硬化剤3)
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼン、略称PEPPB、セイカ(株)製
3.無機充填剤
球状シリカ、(株)アドマテックス製「SO−C1」、平均粒径0.3μm
表1および表2に示す配合量で各成分を配合し、主剤と、硬化剤と、無機充填剤とを常法に従って撹拌、溶解、混合、分散することにより半導体封止用液状樹脂組成物を調製した。
このようにして調製した実施例および比較例の半導体封止用液状樹脂組成物について次の評価を行った。
[靭性]
半導体封止用液状樹脂組成物をガラス板で挟み込み、硬化させた後、長さ58mm、厚さ7mm、幅14mmの試験片を作製した。硬化条件は165℃、2時間とした。この試験片に予めクラックを入れ、シャルピー耐衝撃性試験JIS K 7111を行い、次の基準により評価した。
○:10kJ/m2以上
△:5kJ/m2以上10kJ/m2未満
×:5kJ/m2未満
[反応性]
半導体封止用液状樹脂組成物をセラミック基板に塗布し、塗布面に2mm角のシリコンチップ(ポリイミド膜コート)を設置し、半導体封止用液状樹脂組成物を硬化させて基板にシリコンチップを接着し、その密着強度を測定した。
硬化条件は165℃、2時間とし、得られた密着強度の値を、165℃、5時間の硬化(フルキュア)時の値で割った数値の百分率を反応性の指標として次の基準により評価した。
○:90%以上
△:90%未満
[耐吸湿性]
半導体封止用液状樹脂組成物をセラミック基板に塗布し、165℃、2時間の硬化条件にて硬化させた。得られた硬化物にPCT処理(121℃、2atm、48時間)を施し、処理前後における重量増加率を測定して次の基準により評価した。
○:1.0%未満
△:1.0%以上2%未満
×:2.0%以上
[反り]
50×50mm×0.3mmtのFR4基板上に、48×48mm×0.7mmtになるように半導体封止用液状樹脂組成物を印刷塗布し、165℃2hの硬化条件にて硬化させた。得られた基板における2組の対角の反り量を測定し、その平均値を反り量とした。反り量に基づいて次の基準により評価した。
○:2.0mm未満
×:2.0mm以上
評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2013107993
Figure 2013107993
表1および表2より、実施例1〜5では、主剤として常温で液状のエポキシ樹脂およびエピスルフィド樹脂、硬化剤として上記式(I)で表されるジアミン硬化剤およびフェノール硬化剤、および無機充填剤を含有する半導体封止用液状樹脂組成物を用いた。これらの実施例1〜5の半導体封止用液状樹脂組成物は、硬化物の靭性、硬化時の反応性、硬化物の耐吸湿性に優れ、かつ常温時の反りも抑制できることができた。
一方、比較例1〜5は、フェノール硬化剤を配合しなかったため常温での大きな反りが発生した。
なお、比較例1と比較例2の対比より、耐吸湿性はエピスルフィド樹脂の配合(比較例2)により改善する傾向が分かる。
比較例1と比較例3の対比より、常温で液状のエポキシ樹脂としてN,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリンを配合することで反応性が向上する傾向が分かる。
比較例4より、式(I)で表わされるジアミン硬化剤を配合しないと硬化物の靭性が大きく低下し、比較例4と比較例5の対比より、式(I)で表わされるジアミン硬化剤の配合(比較例5)により靭性が向上する傾向が分かる。

Claims (7)

  1. 主剤として常温で液状のエポキシ樹脂およびエピスルフィド樹脂、硬化剤として次式(I)
    Figure 2013107993
    (式中、R1は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表されるジアミン硬化剤およびフェノール硬化剤、および無機充填剤を含有することを特徴とする半導体封止用液状樹脂組成物。
  2. 前記式(I)で表わされるジアミン硬化剤を前記硬化剤の全量に対して30〜70質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用液状樹脂組成物。
  3. 前記フェノール硬化剤を前記硬化剤の全量に対して30〜70質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体封止用液状樹脂組成物。
  4. 前記フェノール硬化剤は、アリル化フェノールノボラック樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体封止用液状樹脂組成物。
  5. 前記エピスルフィド樹脂を前記主剤の全量に対して20〜70質量%含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体封止用液状樹脂組成物。
  6. 前記常温で液状のエポキシ樹脂として、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリンを含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体封止用液状樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体封止用液状樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止されていることを特徴とする半導体装置。
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