明 細 書
蛍光体およびその製造方法、並びに当該蛍光体を用いた発光装置 技術分野
[0001] 本発明は、ブラウン管 (CRT)、フィールドェミッションディスプレイ (FED)、プラズマ ディスプレイ (PDP)などのディスプレイや、蛍光灯、蛍光表示管などの照明装置や、 液晶バックライト等の発光器具に使用される、窒素を含有する蛍光体およびその製 造方法、蛍光体混合物、蛍光体シート、並びに、半導体発光素子 (LED)と当該蛍光 体とを組み合わせた白色 LED照明を始めとする発光装置に関する。
背景技術
[0002] 現在、照明装置として用いられている放電式蛍光灯や白熱電球などは、水銀など の有害な物質が含まれている、寿命が短いといった諸問題を抱えている。ところが、 近年になって近紫外.紫外〜青色に発光する高輝度 LEDが次々と開発され、その L EDから発生する近紫外'紫外〜青色の光と、その波長域に励起帯を持つ蛍光体か ら発生する光と、を混ぜ合わせて白色光を作りだし、その白色光を次世代の照明とし て利用できないかといつた研究、開発が盛んに行われている。この白色 LED照明が 実用化されれば、電気エネルギーを光へ変換する効率が高く熱の発生が少ないこと 、 LEDと蛍光体力 構成されているため、従来の白熱電球のように切れることがなく 長寿命であること、水銀などの有害な物質を含んでいないこと、また照明装置を小型 化できるといった利点があり、理想的な照明装置が得られる。
[0003] LED照明の方式としては 2つ提案されており、一つは高輝度の赤色 LED、緑色 LE D、青色 LEDの 3原色 LEDを使用し白色を作り出すマルチチップ型方式と、他の一 つは近紫外 ·紫外〜青色に発光する高輝度 LEDと、その LED力 発生する近紫外 · 紫外〜青色の光で励起される蛍光体とを組み合わせて白色を作り出すワンチップ型 方式である。この 2つの方式を照明用という観点力も比較した場合、特にマルチチッ プ型方式に比べワンチップ型方式は、発光スペクトルがブロードなピークを持つ蛍光 体を使用しているため、発光スペクトルを太陽光のスペクトルに近づけることが可能と なり、演色性に優れた白色光を得ることが可能である。更に、駆動回路の単純化およ
び小型化が可能、混色するための導光路が不要、各 LEDの駆動電圧や光出力の違 V、、温度特性などを考慮する必要がなく低コストと!/、つた多くの優位点を持って!/、る ため、次世代照明としては LEDと蛍光体とを組み合わせたワンチップ型方式に注目 が集まっている。
[0004] ワンチップ型方式の白色 LED照明としては、高輝度青色 LEDと、当該 LED力 発 生する青色の光により励起されて黄色発光する蛍光体とを組み合わせたものがあり、 例えば、高輝度青色 LEDと黄色蛍光体(Y,Gd) (Al,Ga) O : Ce(YAG : Ce)、 Tb
3 5 12 3
Al O : Ce、 Ca Sc Si O : Ce、 CaSc O: Ceなどと組み合わせたものがある。この
5 12 3 2 3 12 2 4
白色 LED照明は光の青色と黄色が補色関係にあることを利用しているため、使用す る蛍光体が少なくてすむといった特徴を持っている。特に、使用している黄色蛍光体 YAG: Ceは青色の波長 460nm付近に励起ピークを持って 、るため高効率に発光 させることができ、また、発光波長が輝度 (視感度)の最も高い 560nm付近にあるた め、高輝度の白色 LED照明を得ることが可能である。しかし、この白色 LED照明は 可視光領域の長波長側の発光、つまり赤色成分の発光が不足してしまうため、青み を帯びた白色発光となってしまい、電球のようなやや赤みを帯びた白色発光を得るこ とができず、演色性が悪いといった問題がある。ところが、最近になって発光ピ―ク波 長が黄色力 赤色の範囲にあり、発光スペクトルがブロ ドなピークを持つ蛍光体で 、更に、近紫外 '紫外〜青色の範囲に良好な励起帯を持つ、窒素を含有した蛍光体 が次々と開発され、この蛍光体をカ卩えることで演色性が改善されている。
[0005] また、他のワンチップ型方式として、近紫外'紫外発光する LEDと、当該 LEDから 発生する近紫外 ·紫外の光により励起され赤色 (R)発光する蛍光体、緑色 (G)発光 する蛍光体、青色 (B)発光する蛍光体力 得られる光の混色を利用して白色を得る ものがある。この R'G'B他の光により白色発光を得る方法は、 R'G'Bの組み合わせ や混合比などにより、白色光以外にも任意の発光色を得ることが可能であることや、 光の補色関係ではなぐ R'G'Bを使用した混色関係により白色発光を得ているため に演色性に優れて 、ると 、つた特徴を持って 、る。
[0006] そして、当該用途に使用される蛍光体としては、赤色蛍光体であれば、例えば、 Y
2
O S:Euゝ La O S:Euゝ 3.5MgO -0.5MgF -GeO: Mn、 (La,Mn,Sm) O S -Ga
O: Euなどがあり、緑色蛍光体であれば、例えば、 ZnS:Cu,Al、 CaGa S: Eu、 SrG
3 2 4 a S : Eu、 BaGa S : Eu、 SrAl O: Eu、 BAM :Eu,Mn、 (Ba,Sr,Ca,Mg) SiO: Eu
2 4 2 4 2 4 2 4
、などがあり、青色蛍光体であれば、例えば、 BAM :Eu、 Sr (PO ) Cl:Eu、 ZnS:Ag
5 4 3
、 (Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) CI: Euなどがある。し力し、 3色の蛍光体のうち赤色蛍光
10 4 6 2
体は、他色の蛍光体がブロードなピークを持つ発光スペクトルを有するのに対し、シ ヤープな発光スペクトルを持っため演色性が悪くなつてしまうことや、高温での発光 特性が悪いといった問題があった。だが、こちらの問題についても上述のように、窒 素を含有した温度特性、励起帯特性に優れた、黄色から赤色に発光する蛍光体が 次々と開発され改善されつつある。
[0007] これら、発光スペクトルのピーク波長が黄色から赤色の範囲にあり、ブロードなピー クを持つ蛍光体で、更に、近紫外'紫外〜青色の範囲に良好な励起帯を持つ窒素を 含有した蛍光体の開発により、黄色から赤色に発光する蛍光体についてはおおよそ 問題を解決できた。上記窒素を含有した蛍光体としては、 Ca Si N: Eu、 Sr Si N:
2 5 8 2 5 8
Eu、 Ba Si N :Eu、 Ca (Al'Si) (Ο,Ν) : Eu(0<x≤ 1. 5)、 CaAl Si N :Eu、 Ca
2 5 8 x 12 16 2 4 8
SiN: Eu、 CaAlSiN: Euなどが代表的である。
2 3
[0008] ここで、上述した、白色 LEDを始めとした一般照明用の光源として必要な要素とし て、第一に明るさの要素と第二に演色性の要素が上げられる。第一の明るさの要素と は、光源としての明るさ (輝度)や発光効率を表し、 LEDでは使用する半導体素子の 発光効率、使用される蛍光体の発光効率、さらに白色 LED自体の構造にも大きく影 響される。第二の演色性とは光源による色の再現性を表す値であるが、一般的には、 当該演色性評価方法として、 JISZ8726 (1990)がある。そこで、以降、 JISZ8726の 評価方法を用いて演色性について説明をおこなう。
[0009] JISZ8726〖こよれば、光源の演色性は、平均演色評価数 (Ra)によって数値的に表 される。これは試料光源で照明した演色評価用の基準試料と、自然光を近似した基 準の光により照射した基準試料との色の違いを評価した値であり、それらに差が無く 、全く同じで有れば演色評価数 (Ra)は 100となる。光源の色温度が同じであっても、 演色評価数によって色の見え方が異なり、演色評価数が低ければ、色がくすんで暗 く見えてしまう。可視光全域にわたり均一な光の密度を持った光源であるほど、演色
性の良い光源といえる。
[0010] 黄色から赤色に発光する上述の新規蛍光体の開発により演色性については改善さ れ、次に問題となっているのは、発光ピーク波長が緑色から黄色の範囲にある蛍光 体である。
まず、前述した黄色蛍光体 YAG : Ceの問題について図 25を用いて説明する。図 2 5は、縦軸に発光強度 (相対強度)、横軸に励起光の波長を採ったグラフで、当該 Y AG: Ceを 300〜570nmの励起光で励起したとき発光する波長 559.2nmの光の強 度を測定して求めた励起スペクトルを示した図である。
高輝度青色 LEDと、当該 LEDから発生する青色の光により励起されて黄色発光す る YAG: Ce蛍光体とを組み合わせた白色 LED照明につ!/、ては、 YAG: Ce蛍光体 力 青色 LED力 発生する波長 460nmの光に対して高効率な励起帯を有し、更に 、発光ピ―ク波長が輝度 (視感度)の最も高い 560nm付近にあるため、高輝度の白 色 LED照明を得ることが可能である。しかし、図 25から明らかなように、当該 YAG : C e蛍光体は、波長 460nmの光で励起させた場合は 560nm付近の光を高効率で発 光する発光特性を有するが、励起帯域が狭いために、青色 LEDの青色光で励起さ せる場合において、当該青色 LEDの発光波長がこの青色 LEDの製造時のばらつき により変化して、 YAG : Ce蛍光体の最適な励起帯の範囲力 外れてしまうと、青色と 黄色の発光強度のバランスが崩れるという事態に至ることがある。当該事態に至ると、 青色光と黄色光とを合成させて得られる白色光の色調が変化するという問題が発生 する。
[0011] 更に、当該 YAG : Ce蛍光体は、可視光の緑色成分の波長域 (約 500〜550nm) での発光スペクトルも優れているため、近紫外'紫外 LEDと、赤色 (R)発光する蛍光 体、緑色 (G)発光する蛍光体、青色 (B)発光する蛍光体とを組合わせた白色 LED 照明の緑色蛍光体として使用できるとよいが、近紫外 ·紫外光で発光させた場合、当 該 YAG : Ce蛍光体は、近紫外 ·紫外 LEDの発光波長(図 25の 380〜410nm付近) において低効率な励起帯を有するために、十分な発光が得られず、高輝度白色 LE D照明を得ることができないという問題がある。
[0012] 次に、紫外 LEDと組み合わせて用いられる緑色蛍光体についての問題点を説明
する。近紫外'紫外発光する LEDと、当該 LEDから発生する近紫外'紫外の光により 励起され赤色 (R)発光する蛍光体、緑色 (G)発光する蛍光体、青色 (B)発光する蛍 光体とから得られる光の混色を利用した白色 LED照明については、現在、緑色蛍光 体として ZnS:Cu,Al、 SrAl O: Eu、 BAM :Eu,Mn、 (Ba,Sr,Ca,Mg) SiO: Euなど
2 4 2 4 が使用されている。これらの蛍光体の中でも、硫化物蛍光体は、熱が加わってしまう と発光強度が著しく落ちてしまう、さらに耐水性がないという問題がある。また、酸ィ匕 物蛍光体に関しては、耐水性、耐熱性の問題と共に、近紫外'紫外付近の広い範囲 にわたり効率の良!、励起帯を有して!/、るわけではな 、ため、近紫外'紫外 LEDが製 造時のばらつきによって発光波長にばらつきが生ずると、当該近紫外 ·紫外 LEDの 発光波長が、緑色蛍光体の最適励起範囲から外れてしまい、赤色と緑色と青色との 間で発光強度のバランスが崩れて、白色光の色調が変化してしまうといった問題があ る。
[0013] このため、近紫外'紫外〜青色の光により励起されて緑色〜黄色に発光する蛍光 体についても、近紫外 '紫外から青色の範囲に平坦で高効率な励起帯を持ち、プロ ードな発光スペクトルを持つ蛍光体で、更に、熱や水に対して耐久性に優れる YAG : Ce蛍光体や ZnS:Cu,Al蛍光体に代わる新規蛍光体への要求が高まって 、る。こ れらの要求に答えるため、緑色〜黄色に発光する蛍光体にっ 、ての研究が現在盛 んに行われており、最近ではシリコンナイトライド系蛍光体 (例えば、特許文献 1)、サ ィァロンを母体とする蛍光体 (例えば、特許文献 2、 3、 4参照)、酸窒化物蛍光体 (例 えば、特許文献 5、 6参照)が緑色〜黄色に発光する蛍光体として提案されている。
[0014] 特許文献 1:特開 2002— 322474号公報
特許文献 2:特開 2003 - 203504号公報
特許文献 3:特開 2003 - 206481号公報
特許文献 4:特開 2002— 363554号公報
特許文献 5:国際公開第 2004Z029177A1号パンフレット
特許文献 6:国際公開第 2004Z055910A1号パンフレット
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0015] し力しながら、これら窒素を含有した蛍光体は熱や水に対して耐久性に優れ、近紫 外 ·紫外から青色の範囲に平坦な励起帯を持ち、発光スペクトルがプロ ドなピ ク を持つ蛍光体であるものの、近紫外'紫外〜青色の励起光により、励起された場合 の発光効率が満足すべき水準になぐ十分な発光強度および輝度が得られていない 。そのため、耐久性に優れた白色 LED照明を作製できるものの、発光強度および輝 度が不十分であるため、近紫外 ·紫外 LEDや青色 LED等と、上述の窒素を含有した 蛍光体とを組み合わせて白色 LED照明を作製した場合には、照明として最も重要で ある輝度が不十分なものになってしまう。また、今後の巿場の要請としても、発光効率 が良ぐ優れた輝度、演色性に優れた白色発光を始めとする多様な発光をおこなう 発光装置が求められると考えられる。
[0016] 本発明の目的は、上述の課題を考慮してなされたものであり、緑色〜黄色の範囲 にプロ—ドな発光スペクトルを持ち、また、近紫外'紫外から青色の範囲に広く平坦な 励起帯を持つ、発光効率および輝度に優れた蛍光体およびその製造方法、当該蛍 光体を用いた蛍光体混合物、蛍光体シート、並びに、白色 LED照明を始めとする発 光効率が良く優れた輝度 '演色性を有する発光装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0017] 本発明者らは、優れた輝度、演色性に優れた発光装置または光源への対応に関し て研究を行った結果、発光効率が良ぐそして、まず 520nmから 580nmの範囲に発 光スペクトルの最大ピーク(以下、発光スペクトルの最大ピークを、単に最大ピークと 記載する場合がある。)をもち、紫外から可視光 (例えば青色光)に渡る広範囲な波 長の光に対して励起帯を有し、発光波長がブロードである黄色または緑色蛍光体と、 他色の蛍光体とを組み合わせれば、上述の課題を解決できることに想到した。
[0018] 即ち、当該緑色蛍光体と、同じく紫外から可視光 (例えば青色光)に渡る広範囲な 波長の光に対して励起帯を有し、波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スぺタト ルの最大ピークを有する赤色蛍光体、および Zまたは、 420nm力ら 500nmの範囲 内に最大ピークをもつ青色蛍光体との蛍光体を組み合わせて蛍光体混合物とするこ とにより、当該蛍光体混合物と、多様な光源 (例えば、紫外光から青色光の光源)とを 組み合わせれば、発光効率が良ぐ高輝度で演色性に優れた白色発光を始めとする
多様な発光を行うことのできる発光装置を作製できることに想到した。
[0019] そのため、 520nmから 580nmの範囲に発光スペクトルの最大ピークをもつ既知の 緑色や黄色蛍光体、および特許文献 3に記載された蛍光体につ ヽてまず検討を行 なったが、当該既知の緑色や黄色蛍光体は、励起光として青色 LEDや紫外 LEDを 用いて発光させても発光効率が低ぐ高輝度な発光を得ることができないことが判明 した。
[0020] そこで、本発明者らは、上述の課題を解決するため、多種の窒素を含有した蛍光体 組成に関する研究を進めた結果、 Ceや Eu原子を容易に置換できるサイトを持つ母 体構造を有する蛍光体を調製することで、近紫外'紫外から青色の範囲に広く平坦 な励起帯を持ち、緑色〜黄色の範囲に発光強度および輝度が強ぐ発光スペクトル がブロードなピークを持つ新規な蛍光体を得ることができることが判明した。さらに、 付活剤として Euなどを用いた場合には、黄色〜赤色の範囲で発光強度および輝度 に優れた蛍光体が得られることが判明した。
[0021] さらに、上記当該緑色蛍光体と、波長 420nmから 500nmの範囲内に発光スぺタト ルの最大ピ―クを有する 1種類以上の青色蛍光体および Zまたは、波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する 1種類以上の赤色蛍光体と を混合した蛍光体混合物、更に、当該蛍光体混合物と、波長 300nmから 500nmの 範囲のいずれかの発光をおこなう発光部とを有する発光装置を発明することで上述 の課題を解決することができた。
[0022] 上述の課題を解決する第 1の構成は、一般式 MmAaBbOoNn:Zで表記される蛍 光体であって (M元素は II価の価数をとる 1種類以上の元素であり、 A元素は III価の 価数をとる 1種類以上の元素であり、 B元素は IV価の価数をとる 1種類以上の元素で あり、 Oは酸素であり、 Nは窒素であり、 Z元素は 1種類以上の付活剤である。 ),
4. 0< (a+b) /m< 7. 0、 a/m≥0. 5、 b/a> 2. 5、 n>o、 n= 2/3m+a+4 Z3b— 2Z3oであり、波長 300nmから 500nmの範囲の光で励起したとき、発光ス ベクトルにおけるピーク波長が 500nmから 650nmの範囲にあることを特徴とする蛍 光体である。
[0023] 第 2の構成は、第 1の構成に記載の蛍光体であって、
0. 5≤a/m≤2. 0、 3. 0<b/m< 7. 0、 0< o/m≤4. 0であることを特徴とする 蛍光体である。
[0024] 第 3の構成は、第 1または第 2の構成に記載の蛍光体であって、
0. 8≤a/m≤l. 5、 3. 0<b/m< 6. 0、 0< o/m≤3. 0であることを特徴とする 蛍光体である。
[0025] 第 4の構成は、第 1から第 3の構成に記載の蛍光体であって、
1. K a/m≤l. 5、 3. 5≤b/m≤4. 5、0< o/m≤l. 5であることを特徴とする 蛍光体。
[0026] 第 5の構成は、第 1から第 4の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素は Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Zn、 II価の原子価をとる希土類元素、力 選択される 1 種類以上の元素であり、
A元素は Al、 Ga、 In、 Tl、 Υ、 Sc、 Ρ、 As、 Sb、 Bi、力 選択される 1種類以上の元 素であり、
B元素は Si、 Ge、 Sn、 Ti、 Hf、 Mo、 W、 Cr、 Pb、 Zr、から選択される 1種類以上の 元素であり、
Z元素は希土類元素、遷移金属元素力 選択される 1種類以上の元素であることを 特徴とする蛍光体である。
[0027] 第 6の構成は、第 1から第 5の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素は Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、 A元素は Al、 Ga、 In力 選択される 1種類以上の元素であり、
B元素は Siおよび Zまたは Geであり、
Z元素は Eu、 Ce、 Pr、 Tb、 Mnから選択される 1種類以上の元素であることを特徴 とする蛍光体である。
[0028] 第 7の構成は、第 1から第 6の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素は Srであり、 A元素は A1であり、 B元素は Siであり、 Z元素は Euおよび Zま たは Ceであることを特徴とする蛍光体である。
[0029] 第 8の構成は、第 1から第 7の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
一般式 MmAaBbOoNn:Zzと表記したとき、 M元素と Z元素とのモル比である zZ(
m+z)の値力 0.0001以上、 0.5以下であることを特徴とする蛍光体である。
[0030] 第 9の構成は、第 1から第 8の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
19.5重量%以上、 29.5重量%以下の Srと、 5.0重量%以上、 16.8重量%以下の A1と、 0.5重量%以上、 8.1重量%以下の Oと、 22.6重量%以上、 32.0重量%以下 の Nと、 0.0を超え 3.5重量0 /0以下の Ceとを含み、波長 350nmから 500nmの範囲の 1種類以上の単色光または連続光が励起光として照射された際、発光スペクトルに おけるピーク波長が 500〜600nmの範囲にあり、発光スペクトルの色度(x,y)の が 0.3000〜0.4500、 y力 ^0.5000〜 0.6000の範囲にあることを特徴とする 光体。 である。
[0031] 第 10の構成は、第 1から第 8の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
19.5重量%以上、 29.5重量%以下の Srと、 5.0重量%以上、 16.8重量%以下の A1と、 0.5重量%以上、 8.1重量%以下の Oと、 22.6重量%以上、 32.0重量%以下 の Nと、 0.0を超え 3.5重量0 /0以下の Euとを含み、、波長 350nm力ら 500nmの範囲 の 1種類以上の単色光または連続光が励起光として照射された際、発光発光スぺク トルにおけるピーク波長が 550〜650nmの範囲にあり、発光スペクトルの色度(x,y) の X力0.4500〜0.6000、 カ 0.3500〜0.5000の範囲にぁることを特徴とする 光 体である。
[0032] 第 11の構成は、第 10の構成に記載の蛍光体であって、
波長 350nmから 500nmの範囲の単色光を励起光として照射された際、 当該励起光を吸収して発光するスペクトルにおける最大ピークのピーク強度を、最 も大きくする励起光を照射したときの当該最大ピークのピーク強度を P
Hとし、 当該励起光を吸収して発光するスペクトルにおける最大ピークのピーク強度を、最 も小さくする励起光を照射したときの当該最大ピークのピーク強度を P
しとしたとき、
(P -P )/P X 100≤ 20であることを特徴とする蛍光体である。
H L H
[0033] 第 12の構成は、第 1から第 11の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
25°Cにおいて、波長 300nmから 500nmの範囲にある所定の単色光を励起光とし て照射された際の発光スペクトル中における最大ピークの相対強度の値を P
25とし、
200°Cにおいて、前記所定の単色光が励起光として照射された際の、前記最大ピ
ークの相対強度の値を P としたとき、
200
(P — P )/P X 100≤ 35であることを特徴とする蛍光体である。
25 200 25
[0034] 第 13の構成は、第 1から第 12の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
粒径 50 m以下の 1次粒子と、当該 1次粒子が凝集した凝集体を含み、当該 1次 粒子および凝集体を含んだ蛍光体粉末の平均粒子径 (D50)が 1. O /z m以上、 50.
0 μ m以下であることを特徴とする蛍光体である。
[0035] 第 14の構成は、第 1から第 13の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
粒径 20 m以下の 1次粒子と、当該 1次粒子が凝集した凝集体を含み、当該 1次 粒子および凝集体を含んだ蛍光体粉末の平均粒子径 (D50)が 1. O /z m以上、 20.
0 μ m以下であることを特徴とする蛍光体である。
[0036] 第 15の構成は、第 1から第 14の構成のいずれかに記載の蛍光体を製造する蛍光 体の製造方法であって、焼成用るつぼとして窒化物力 なるるつぼを使用し、窒素ガ ス、希ガス、およびアンモニアガスカゝら選択される 1種類以上のガスを含んだ雰囲気 中で 1400°C以上、 2000°C以下の温度で焼成することを特徴とする蛍光体の製造 方法である。
[0037] 第 16の構成は、第 15の構成に記載の蛍光体の製造方法であって、
炉前記焼成炉内の雰囲気ガスを 0. OOlMpa以上、 0. 5MPa以下の加圧状態とす ることを特徴とする蛍光体の製造方法である。
[0038] 第 17の構成は、第 15または第 16の構成に記載の蛍光体の製造方法であって、 窒化物力 なるるつぼ力 ¾Nるつぼであることを特徴とする蛍光体の製造方法であ る。
[0039] 第 18の構成は、第 15から第 17の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法で あって、
窒素ガス、希ガス、およびアンモニアガス力 選択される 1種類以上を含むガスを、 炉内に 0. lmlZmin以上流した状態で焼成することを特徴とする蛍光体の製造方 法である。
[0040] 第 19の構成は、第 18の構成に記載の蛍光体の製造方法であって、
前記該焼炉内の雰囲気ガスとして、窒素ガスを 80%以上含むガスを用いることを特
徴とする蛍光体の製造方法である。
[0041] 第 20の構成は、第 15から第 19の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法で あって、
10 m以下の原料粒子を用い、原料を粉末状のまま焼成することを特徴とする蛍光 体の製造方法。
[0042] 第 21の構成は、第 1から第 14の構成のいずれかに記載の蛍光体と、波長 300nm 力も 500nmの範囲にある前記励起光により励起されたとき、波長 420nm力ら 500η mの範囲内に発光スペクトルの最大ピ クを有する 1種類以上の青色蛍光体、およ び Zまたは、波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有 する 1種類以上の赤色蛍光体とを、含むことを特徴とする蛍光体混合物である。
[0043] 第 22の構成は、第 1から第 14の構成の 、ずれかに記載の蛍光体と、波長 300nm 力も 420nmの範囲にある前記励起光により励起されたとき、波長 420nm力ら 500η mの範囲内に発光スペクトルの最大ピ クを有する 1種類以上の青色蛍光体と、波 長 590nmカゝら 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピ クを有する 1種類以上 の赤色蛍光体とを、含むことを特徴とする蛍光体混合物である。
[0044] 第 23の構成は、第 21または第 22の構成に記載の蛍光混合物であって、混合物を 構成する各蛍光体は波長 300nmから 500nmの範囲にある所定の励起光により励 起されたときの温度 25°Cにおける発光強度を P とし、前記所定の励起光を照射され
25
たときの温度 200°Cにおける発光強度を P としたとき、((P — P ) ZP )力 30
200 25 200 25
%以下であることを特徴とする蛍光体混合物である。
[0045] 第 24の構成は、波長 300nmから 420nmの範囲にある前記励起光により励起され たときの発光スペクトルにおいて、相関色温度は 7000Kから 2500Kの範囲にあり、 波長 420nmから 750nmの範囲に 3つ以上の発光ピークを有し、且つ波長 420nm 力も 780nmの範囲に途切れることな 、連続的スペクトルを有することを特徴とする第 21または第 23の構成に記載の蛍光体混合物である。
[0046] 第 25の構成は、前記波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピ ークを有する赤色蛍光体は、組成式 MmAaBbOoNn:Z (但し、前記 M元素は、 Ca 、 Mg、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、前記 A元素は、 Al、 Ga、
Inから選択される 1種類以上の元素であり、前記 B元素は、 Si、 Ge、 Snから選択され る 1種類以上の元素であり、前記 Z元素は、希土類元素、遷移金属元素から選択され る 1種類以上の元素であり、 n= 2/3m+a+4/3b- 2/3o, m= l、 a≥0、 b≥m 、 n>o、 o≥0)と表記されることを特徴とする第 21から第 24の構成のいずれかに記 載の蛍光体混合物である。
[0047] 第 26の構成は、前記波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピ ークを有する赤色蛍光体は、 m=a=b = l、 n= 3であり組成式 CaAlSiN: Euを有
3 することを特徴とする第 25の構成に記載の蛍光体混合物である。
[0048] 第 27の構成は、前記波長 420nmから 500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピ ークを有する青色蛍光体は、 BAM :Eu(BaMgAl O : Eu)、(Sr,Ca,Ba,Mg) (PO
10 17 10
) CI: Euから選択される 1種類以上の蛍光体であることを特徴とする第 21から第 26
4 6 2
の構成の 、ずれか〖こ記載の蛍光体混合物である。
[0049] 第 28の構成は、前記蛍光体混合物は平均粒径 (D50)が: L m以上、 50 μ m以下 の蛍光体力も構成されることを特徴とする第 21から第 27の構成のいずれかに記載の 蛍光体混合物である。
[0050] 第 29の構成は、第 1から第 14の構成のいずれかに記載の蛍光体、または第 21か ら 28の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物が、榭脂またはガラス中に分散され て!、るものであることを特徴とする蛍光体シ一トである。
[0051] 第 30の構成は、第 1から第 14の構成のいずれかに記載の蛍光体と第 1の波長の光 を発する発光部とを有し、前記第 1の波長の光の一部または全部を励起光とし、前記 蛍光体から前記第 1の波長と異なる波長の光を発光させることを特徴とする発光装置 である。
[0052] 第 31の構成は、第 21から第 28の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物と第 1の 波長の光を発する発光部とを有し、前記第 1の波長の光の一部または全部を励起光 とし、前記蛍光体から前記第 1の波長と異なる波長の光を発光させることを特徴とす る発光装置である。
[0053] 第 32の構成は、第 29の構成の蛍光体シートと第 1の波長の光を発する発光部とを 有し、前記第 1の波長の光の一部または全部を励起光とし、前記蛍光体から前記第 1
の波長と異なる波長の光を発光させることを特徴とする発光装置である。
[0054] 第 33の構成は、第 30から第 32の構成のいずれかに記載の発光装置であって、 第 1の波長とは、 350ηπ!〜 500nmの波長であることを特徴とする発光装置である。
[0055] 第 34の構成は、前記発光装置の相関色温度が、 10000Kから 2000Kの範囲にあ ることを特徴とする第 30から第 33の構成のいずれかに記載の発光装置である。
[0056] 第 35の構成は、前記発光装置の相関色温度が、 7000Kから 2500Kの範囲にある ことを特徴とする第 30から第 34の構成のいずれかに記載の発光装置である。
[0057] 第 36の構成は、前記発光装置の平均演色評価数 Raが、 80以上であることを特徴 とする第 30から第 35の構成のいずれかに記載の発光装置である。
[0058] 第 37の構成は、前記発光装置の特殊演色評価数 R15が、 80以上であることを特 徴とする第 30から第 36の構成のいずれかに記載の発光装置である。
[0059] 第 38の構成は、前記発光装置の特殊演色評価数 R9が、 60以上であることを特徴 とする第 30から第 37の構成のいずれかに記載の発光装置である。
[0060] 第 39の構成は、前記発光部が発光ダイォ―ド (LED)であることを特徴とする第 30 力も第 38の構成の 、ずれかに記載の発光装置である。
[0061] 第 40の構成は、一般式 MmAaBbOoNn:Zで表記される蛍光体であって
(M元素は II価の価数をとる 1種類以上の元素であり、 A元素は III価の価数をとる 1種 類以上の元素であり、 B元素は IV価の価数をとる 1種類以上の元素であり、 Oは酸素 であり、 Nは窒素であり、 Z元素は 1種類以上の付活剤である。 ),
4.0< (a+b)Zm< 7.0、 a/m≥0.5、 b/a> 2.5, n>o、 n= 2/3m+a+4/3b
- 2Z3oであることを特徴とする蛍光体である。
[0062] 第 41の構成は、第 40の構成に記載の蛍光体であって、
0.5≤a/m≤1.5、 3.5<b/m< 6.5, 0く o/m< 4.0であることを特徴とする蛍 光体である。
[0063] 第 42の構成は、第 40または第 41の構成に記載の蛍光体であって、
0.8≤a/m≤1.2、 4.0≤b/m≤6.0、 0く o/m≤ 3.0であることを特徴とする蛍 光体である。
[0064] 第 43の構成は、第 40から第 42の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素は Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Zn、 II価の原子価をとる希土類元素、力 選択される 1 種類以上の元素であり、
A元素は Al、 Ga、 In、 Tl、 Υ、 Sc、 Ρ、 As、 Sb、 Bi、から選択される 1種類以上の元 素であり、
B元素は Si、 Ge、 Sn、 Ti、 Hf、 Mo、 W、 Cr、 Pb、 Zr、から選択される 1種類以上の 元素であり、
Z元素は希土類元素、遷移金属元素力 選択される 1種類以上の元素であることを 特徴とする蛍光体である。
[0065] 第 44の構成は、第 40から第 43の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素は Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、 A元素は Al、 Ga、 In力 選択される 1種類以上の元素であり、
B元素は Siおよび Zまたは Geであり、
Z元素は Eu、 Ce、 Pr、 Tb、 Mn力 選択される 1種類以上の元素であることを特徴 とする蛍光体である。
[0066] 第 45の構成は、第 40から第 44の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素は Srであり、 A元素は A1であり、 B元素は Siであり、 Z元素は Euおよび Zま たは Ceであることを特徴とする蛍光体である。
[0067] 第 46の構成は、第 40から第 45の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
一般式 MmAaBbOoNn:Zzと表記したとき、 M元素と Z元素とのモル比である zZ( m+z)の値力 0.0001以上、 0.5以下であることを特徴とする蛍光体である。
[0068] 第 47の構成は、第 40から第 46の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
Sr Al Si O N : Ce、 SrAISi ON: Ce、 Sr Al Si O N : Ce、 Sr Al Si O N
6 6 18 3 32 3 5 3 3 9 6 13 6 6 24 3 40
: Ce、 Sr Al Si O N : Ce、 Sr Al Si O N : Ce、 Sr Al Si O N : Ce、 Sr Al S
3 3 12 3 19 3 3 12 6 17 6 6 27 3 44 2 2 i O N : Ce、 Sr Al Si O N : Ce、 Sr Al Si ON : Ce、 Sr Al Si O N : Ce、
9 2 14 6 6 27 12 38 2 2 10 16 3 3 15 3 23
SrAISi O N: Ce、 Sr Al Si O N : Ce、 SrAISi ON: Ce、 Sr Al Si O N : Ce
5 2 7 6 6 36 3 56 6 9 3 3 18 6 25
、 Sr Al Si O N : Eu、 SrAISi ON: Eu、 Sr Al Si O N : Eu、 Sr Al Si O N
6 6 18 3 32 3 5 3 3 9 6 13 6 6 24 3 40
: Eu、 Sr Al Si O N : Eu、 Sr Al Si O N : Eu、 Sr Al Si O N : Eu、 Sr Al S
3 3 12 3 19 3 3 12 6 17 6 6 27 3 44 2 2 i O N : Eu、 Sr Al Si O N : Eu、 Sr Al Si ON : Eu、 Sr Al Si O N : Euゝ
9 2 14 6 6 27 12 38 2 2 10 16 3 3 15 3 23
SrAISi O N : Eu、 Sr Al Si O N : Eu、 SrAISi ON : Eu、 Sr Al Si O N : Eu
5 2 7 6 6 36 3 56 6 9 3 3 18 6 25 で表記されることを特徴とする蛍光体である。
[0069] 第 48の構成は、第 40から第 47の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
20.0重量%以上、 27.0重量%以下の Srと、 5.0重量%以上、 9.0重量%以下の A1 と、 30.0重量%以上、 39.0重量%以下の Siと、 0.5重量%以上、 6.0重量%以下の Oと、 26.0重量%以上、 32.0重量%以下の Nと、 0を超え 3.5重量%以下の Ceとを 含み、波長 350nmから 500nmの範囲の 1種類以上の単色光または連続光が励起 光として照射された際、発光スペクトルにおけるピーク波長が 500〜 600nmの範囲 にあり、発光スぺク卜ノレの色度(x,y)の X力0.3500〜0.4500、 y力0.5000〜0.6000 の範囲にあることを特徴とする蛍光体である。
[0070] 第 49の構成は、第 40から第 47の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
20.0重量%以上、 27.0重量%以下の Srと、 5.0重量%以上、 9.0重量%以下の A1 と、 30.0重量%以上、 39.0重量%以下の Siと、 0.5重量%以上、 6.0重量%以下の Oと、 26.0重量%以上、 32.0重量%以下の Nと、 0を超え 3.5重量%以下の Euとを 含み、波長 350nmから 550nmの範囲の 1種類以上の単色光または連続光が励起 光として照射された際、発光発光スペクトルにおけるピ―ク波長が 550〜650nmの 範囲にあり、発光スぺク卜ノレの色度(x,y)の X力0.4500〜0.6000、 y力0.3500〜0. 5000の範囲にあることを特徴とする蛍光体である。
[0071] 第 50の構成は、第 49の構成に記載の蛍光体であって、
波長 350nmから 550nmの範囲の単色光を励起光として照射された際、 当該励起光を吸収して発光するスペクトルにおける最大ピークのピーク強度を、最 も大きくする励起光を照射したときの当該最大ピークのピーク強度を P
Hとし、 当該励起光を吸収して発光するスペクトルにおける最大ピークのピーク強度を、最 も小さくする励起光を照射したときの当該最大ピークのピーク強度を P
しとしたとき、
(P — P )/P ≤ 0.20であることを特徴とする蛍光体である。
H L H
[0072] 第 51の構成は、第 40から第 50の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
CoKひ線による粉末 X線回折パタ—ンにおいて、ブラック角度 (2 Θ )が 28.5° 〜29 .5。 、 35.5。 〜36.5° 、 41.0。 〜42.0。 の範囲にある各々の最大のピークをそれ
ぞれ a,b,cとし、 bに対する aのピ―ク強度比を I(aZb)、 bに対する cのピ―ク強度比を I (cZb)とした場合、 0.20<I(a/b),I(c/b)< l. 50であることを特徴とする蛍光体で ある。
[0073] 第 52の構成は、第 40から第 51の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
25°Cにおいて、波長 350nmから 550nmの範囲にある所定の単色光を励起光とし て照射された際の発光スペクトル中における最大ピークの相対強度の値を P
25とし、
200°Cにおいて、前記所定の単色光が励起光として照射された際の、前記最大ピ ークの相対強度の値を P としたとき、
200
(P — P )/P X 100≤ 35であることを特徴とする蛍光体である。
25 200 25
[0074] 第 53の構成は、第 40から第 52の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
この蛍光体は粉末状であることを特徴とする蛍光体である。
[0075] 第 54の構成は、第 53の構成に記載の蛍光体であって、
粒径 20 m以下の 1次粒子と、当該 1次粒子が凝集した凝集体を含み、当該 1次 粒子および凝集体を含んだ蛍光体粉末の平均粒子径 (D50)が 1.0 m以上、 20.0 μ m以下であることを特徴とする蛍光体である。
[0076] 第 55の構成は、
組成式 MmAaBbOoNn:Z (但し、 M元素は II価の価数をとる 1種類以上の元素で あり、 A元素は III価の価数をとる 1種類以上の元素であり、 B元素は IV価の価数をと る 1種類以上の元素であり、 Oは酸素であり、 Nは窒素であり、 Z元素は、前記蛍光体 中において付活剤として作用する元素であり、 4.0〈(a+b)Zm〈7.0、 0.5≤a/m≤ 2.0、 3.0≤b/m≤7.0, 0く oZm≤5.0、 n= 2Z3m+a+4Z3b— 2,3οである。;) で表記され、波長 300nmから 420nmの範囲にある 1種類以上の単色光または連続 光である励起光により励起されたとき、
波長 520nmから 580nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する緑色蛍光 体と、
波長 300nm力も 420nmの範囲にある前記励起光により励起されたとき、波長 420 nmから 500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する 1種類以上の青色 蛍光体と、波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有す
る 1種類以上の赤色蛍光体とを、含むことを特徴とする蛍光体混合物である。
[0077] 第 56の構成は、
前記波長 520nmから 580nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する緑 色蛍光体は、 0.5≤a/m≤2.0, 4.0≤b/m≤6.0, 0〈oZm≤3.0である蛍光体を 含むことを、特徴とする第 55の構成に記載の蛍光体混合物である。
[0078] 第 57の構成は、
前記 M元素は、 Ca、 Mg、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、 前記 A元素は、 Al、 Ga、 Inから選択される 1種類以上の元素であり、
前記 B元素は、 Si、 Ge、 Snから選択される 1種類以上の元素であり、
前記 Z元素は、希土類元素、遷移金属元素から選択される 1種類以上の元素であ る、ことを特徴とする第 55の構成または第 56の構成に記載の蛍光体混合物である。
[0079] 第 58の構成は、
前記 Z元素は、 Ceであることを特徴とする第 55から第 57の構成の 、ずれかに記載 の蛍光体混合物である。
[0080] 第 59の構成は、
前記各蛍光体は、波長 300nm力 420nmの範囲にある所定の励起光により励起 されたときの温度 25°Cにおける発光強度を P とし、前記所定の励起光を照射された
25
ときの温度 200°Cにおける発光強度を P としたとき、((P -P ) /P )力、30%
200 25 200 25 以下であることを特徴とする第 55から第 58の構成のいずれかに記載の蛍光体混合 物である。
[0081] 第 60の構成は、
波長 300nm力 420nmの範囲にある前記励起光により励起されたときの発光スぺ ク卜ノレにお 、て、ネ目関色温度 ίま 7000K力ら 2000Kの範囲にあり、波長 420nm力ら 6 80nmの範囲に 3つ以上の発光ピ クを有し、且つ波長 420nmから 780nmの範囲 に途切れることない連続的スペクトルを有することを特徴とする第 55から第 59の構成 の!、ずれかに記載の蛍光体混合物である。
[0082] 第 61の構成は、
前記波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する赤
色蛍光体は、糸且成式 MmAaBbOoNn:Z (但し、前記 M元素は、 Ca、 Mg、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、前記 A元素は、 Al、 Ga、 Inから選択され る 1種類以上の元素であり、前記 B元素は、 Si、 Ge、 Snから選択される 1種類以上の 元素であり、前記 Z元素は、希土類元素、遷移金属元素から選択される 1種類以上の 元素であり、 n= 2Z3m+a+4Z3b— 2Z3o、 m= l、 a≥0、 b≥m、 n〉0、 o〉0)と 表記されることを特徴とする第 55から第 60の構成のいずれかに記載の蛍光体混合 物である。
[0083] 第 62の構成は、
前記波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する赤 色蛍光体は、 m=a=b = l、 n= 3であり組成式 CaAlSiN: Euを有することを特徴と
3
する第 55から第 61の構成のいずれかに記載の蛍光体混合物である。
[0084] 第 63の構成は、
前記波長 420nmから 500nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する青 色蛍光体は、 BAM:Eu(BaMgAl O : Eu), (Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) CI: Euから選
10 17 10 4 6 2 択される 1種類以上の蛍光体であることを特徴とする第 55から第 62の構成のいずれ かに記載の蛍光体混合物である。
[0085] 第 64の構成は、
前記蛍光体混合物は、各蛍光体の平均粒径 (D50)が: L m以上、 20 m以下の 粒子であることを特徴とする第 55から第 63の構成のいずれかに記載の蛍光体混合 物である。
[0086] 第 65の構成は、
一般式 MmAaBbOoNn:Zで表記される蛍光体であって(M元素は II価の価数をと る 1種類以上の元素であり、 A元素は ΠΙ価の価数をとる 1種類以上の元素であり、 B 元素は IV価の価数をとる 1種類以上の元素であり、 Oは酸素であり、 Nは窒素であり、 Z元素は 1種類以上の付活剤である。)、 4.0く (a+b)Zmく 7.0、 n>o、 1.2< a/m ≤2.0、 3.0≤bZm≤4.5、 0< o/m≤1.5, n= 2Z3m+a+4Z3b— 2Z3oであ り、
波長 300nmから 500nmの範囲の光で励起したとき、発光スペクトルにおけるピー
ク波長が 500nmから 600nmの範囲にあることを特徴とする蛍光体である。
[0087] 第 66の構成は、
第 65の構成に記載の蛍光体であって、
M元素は Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、 A元素は Al、 Ga、 In力 選択される 1種類以上の元素であり、
B元素は Siおよび Zまたは Geであり、
Z元素は Eu、 Ce、 Pr、 Tb、 Yb、 Mnから選択される 1種類以上の元素であることを 特徴とする蛍光体である。
[0088] 第 67の構成は、
第 65または第 66の構成に記載の蛍光体であって、
M元素が Sr、 A元素が Al、 B元素が Si、 Z元素が Ceであることを特徴とする蛍光体 である。
[0089] 第 68の構成は、
第 65から第 67の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
一般式を MmAaBbOoNn:Zzと表記したとき、 M元素と Z元素とのモル比である z
Z(m+z)の値力 0.0001以上、 0.5以下であることを特徴とする蛍光体である。
[0090] 第 69の構成は、
第 65から第 68の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
25°Cにおいて、波長 300nmから 500nmの範囲にある所定の単色光を励起光とし て照射された際の発光スペクトル中における最大ピークの相対強度の値を P
25とし、
100°Cにおいて、前記所定の単色光が励起光として照射された際の、前記最大ピ ークの相対強度の値を P としたとき、
100
(P — P )/P X 100≤ 10であることを特徴とする蛍光体である。
25 100 25
[0091] 第 70の構成は、
第 65から第 69の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
粒径 50.0 m以下の 1次粒子と、該 1次粒子が凝集した凝集体とを含み、該 1次粒 子および凝集体を含んだ蛍光体粉体の平均粒子径 (D50)が、 1.0 m以上、 50.0 μ m以下であることを特徴とする蛍光体である。
発明の効果
[0092] 第 1から第 10の 、ずれかの構成に記載の蛍光体は、緑色から黄色、または黄色か ら赤色の範囲に発光スペクトルのプロ ドなピ クを持ち、近紫外 ·紫外から青色の 範囲に広く平坦な励起帯を有し、発光強度および輝度が高い上に、熱や水に対する 耐久性に優れた蛍光体である。
[0093] 第 11の構成に記載の蛍光体は、波長 350nmから 500nmの範囲において平坦な 励起帯を有するため、ワンチップ型白色 LED照明の励起光として使用されている近 紫外'紫外 LED、青色 LEDの発光波長に多少のばらつきがあっても、各色の発光強 度のノ ランスは崩れることがなぐ安定して同じ色調の白色 LED照明を製造すること が可能であり、品質および製造コストの両面でメリットがある。
[0094] 第 12の構成に記載の蛍光体は、 200°Cと高温でも高い発光強度および高輝度を 有するため、発光時には高温であると考えられる LEDチップ上に塗布した場合でも、 発光強度および輝度が低下しないため、高輝度なワンチップ型白色 LED照明を得る ことが可能となる。また、熱による発光特性に変化が少ないため、白色 LED照明の発 光色の設計が容易となる。
[0095] 第 13、 14の構成に記載の蛍光体によれば、得られた蛍光体が粉末状であるため、 ぺ—ストとして様々な場所に塗布することができる。また、当該蛍光体は、粒径が 1. 0 /ζ πι〜 50. O /z mさらに好ましくは、粒径力 Si. 0 /ζ πι〜 20. O /z mであるため塗布密 度を上げることができ、発光強度および輝度が高ぐ色むらの少ない塗布膜を得るこ とが可能となる。
[0096] 第 15から第 20の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法によれば、第 1から 第 12の構成のいずれかに記載の蛍光体を、安価な製造コストで容易に製造すること ができる。
[0097] 第 21から第 28の構成に係る蛍光体混合物は、所定の励起光を照射されたとき、効 率よく発光し、輝度、演色性に優れた白色を始めとする光を発光することができる。
[0098] 第 29の構成に記載の蛍光体シートによれば、当該蛍光体シートと種々の発光部と を組み合わせることで、多様な発光装置を容易に製造することが出来る。
[0099] 第 30から第 39の構成のいずれかに記載の発光装置によれば、所望の発光色を有
し、発光強度および輝度が高い、高効率な発光装置を得ることができる。
[0100] 第 40から第 49の構成の 、ずれかに記載の蛍光体は、緑色から黄色、または黄色 力 赤色の範囲に発光スペクトルのプロ ドなピークを持ち、近紫外 ·紫外から青色 の範囲に広く平坦な励起帯を有し、発光強度および輝度が高い上に、熱や水に対 する耐久性に優れた蛍光体である。
[0101] 第 50の構成に記載の蛍光体は、波長 350nmから 550nmの範囲において平坦な 励起帯を有するため、ワンチップ型白色 LED照明の励起光として使用されている近 紫外'紫外 LED、青色 LEDの発光波長に多少のばらつきがあっても、各色の発光強 度のノランスは崩れることがなぐ安定して同じ色調の白色 LED照明を製造すること が可能であり、品質および製造コストの両面でメリットがある。
[0102] 第 52の構成に記載の蛍光体は、 200°Cと高温でも高い発光強度および高輝度を 有するため、発光時には高温であると考えられる LEDチップ上に塗布した場合でも、 発光強度および輝度が低下しないため、高輝度なワンチップ型白色 LED照明を得る ことが可能となる。また、熱による発光特性に変化が少ないため、白色 LED照明の発 光色の設計が容易となる。
[0103] 第 53または第 54の構成に記載の蛍光体によれば、得られた蛍光体が粉末状であ るため、ペーストとして様々な場所に塗布することができる。また、当該蛍光体は、粒 径が 1.0 m〜20.0 mであるため塗布密度を上げることができ、発光強度および 輝度の高い塗布膜を得ることが可能となる。
[0104] 第 55から第 64の構成に係る蛍光体混合物は、所定の励起光を照射されたとき、効 率よく発光し、輝度、演色性に優れた白色を始めとする光を発光する。
[0105] 第 65から第 70の構成のいずれかに記載の蛍光体は、近紫外 ·紫外力も青色の範 囲に平坦な励起帯を持ち、輝度を稼ぐことのできる波長 500nmから 600nm付近に 発光のピークを有しながらブロードな発光スペクトルを持つという優れた初期発光特 性を有し、且つ、耐熱性に優れ、高温度環境下でも室温 (25°C)下と比べ発光特性 がほとんど劣化しな 、緑色蛍光体である。
発明を実施するための最良の形態
[0106] 以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
本実施形態の蛍光体は、一般式 MmAaBbOoNn: Zで表記される母体構造を有 する蛍光体である。ここで M元素は、前記蛍光体中において II価の価数をとる元素か ら選択される 1種類以上の元素である。 A元素は、前記蛍光体中において III価の価 数をとる 1種類以上の元素である。 B元素は、前記蛍光体中において IV価の価数を とる 1種類以上の元素である。 Oは酸素である。 Nは窒素である。 Z元素は、前記蛍光 体中において付活剤として作用する元素であって、希土類元素または遷移金属元素 から選択される 1種類以上の元素である。
[0107] さらに、当該蛍光体において、(a+b) Zmが 4. 0< (a+b) /m< 7. 0の範囲にあ り、 aZmが aZm≥0. 5の範囲にあり、 bZa力 Za> 2. 5の範囲にあり、酸素と窒 素の関係が n>oとなり、窒素が n= 2Z3m+a+4Z3b— 2Z3oであり、波長 300η mから 500nmの範囲の光で励起したとき、発光スペクトルにおけるピーク波長が 500 nmから 650nmの範囲にあることを特徴としている。
[0108] 上述の特徴を有する本実施形態の蛍光体は、緑色から黄色、または黄色から赤色 の範囲にプロ ドな発光スペクトルを持ち、近紫外 ·紫外から青色 ·可視 (波長 300η m〜500nm)という広範囲に渡って平坦な励起帯を持ち、高効率な発光が得られる ので、当該蛍光体と適宜な他色の蛍光体とを混合し、近紫外 ·紫外 LEDや青色 LE D等の発光部と組み合わせることで、演色性に優れた所望の発光色を有し、発光強 度および輝度が高く高効率な発光装置を得ることができる。
[0109] この本発明に係る蛍光体は、これまでに提案されているシリコンナイトライド系蛍光 体 (例えば、特許文献 1参照)、サイアロンを母体とする蛍光体 (例えば、特許文献 2、 3、 4参照)、酸窒化物蛍光体 (例えば、特許文献 5、 6参照)に比べ、発光強度が強 いため輝度が高ぐまた発光スペクトルのピークがブロードであるため、より高輝度の 白色 LED照明を作製することが可能となる。
[0110] 本発明に係る蛍光体は、サイアロンを母体とする蛍光体と構成する元素は同様であ る力 サイアロン蛍光体は一般式 MmAaBbOoNn :Zで表記したとき、 (a+b) /m> 12Zl.5 = 8である。また、サイアロン母体構造中に侵入する M元素としては Caや Y などイオン半径の小さな元素し力入らず、 Caや Yよりもイオン半径の大きな Srは母体
構造中には入らないとされており、 M元素として Srを必須とする本発明の蛍光体とは 異なる組成である。
[0111] この本実施形態の蛍光体の励起帯は範囲が広いため、 YAG : Ce蛍光体とは異な り、発光素子 (青色 LED)のばらつきによる色調変化を抑えることが可能となり、また、 近紫外 ·紫外 LEDの発光波長である 300〜420nm付近においても高効率な励起帯 を有する。従って、本実施形態の蛍光体は青色発光する LEDだけでなぐ赤色'青 色、他の蛍光体と混合し、近紫外'紫外発光する LEDと組み合わせることで、白色 L ED照明の緑色蛍光体として使用することもできる。特に、付活剤として Euを付活した 蛍光体は、波長 350nmから 500nmの範囲において単色の励起光が照射された際 、当該励起光を吸収して発光するスペクトルにおける最大ピークのピーク強度を、最 も大きくする励起光を照射したときの当該最大ピークのピーク強度を P
Hとし、当該励 起光を吸収して発光するスペクトルにおける最大ピークのピーク強度を、最も小さくす る励起光を照射したときの当該最大ピークのピーク強度を P
Lとしたとき、(P — P )/P
H L
X 100≤20、更に好ましくは、(P -P )/P X 100≤10となり、非常に平坦な励
H H L H
起帯を有する。
[0112] 発光波長は付活剤によって異なる力 代表的なものとして Ceを付活した場合には、 緑色から黄色の範囲である、波長 470nm力 750nmの広 、波長域にお!、て半値 幅が lOOnm以上のブロ ドなピークを持つ蛍光体が得られ、 Euを付活した場合に は、黄色力 赤色の範囲に発光スペクトルのピークを持つ蛍光体が得られる。そのた め、 Ceを付活したものについては、現在使用されている YAG : Ce蛍光体、または Zn S:Cu,Al蛍光体の問題点を克服した蛍光体として、これらを置き換えて用いることが 可能である。更に、 Euを付活したものについては、白色 LED照明の演色性を改善す るために最近になって開発された赤色蛍光体 Ca Si N: Eu、 Sr Si N: Eu、 Ba Si
2 5 8 2 5 8 2 5
N: Eu、 Ca (Al, Si) (O, N) : Eu (但し、 0<x≤ 1. 5)、 CaAl Si N: Eu、 CaSiN:
8 x 12 16 2 4 8 2
Eu、 CaAlSiN: Euなどとは異なる物質として白色 LED照明に使用することができる
[0113] また、本実施形態の蛍光体は、熱や水に対して強く耐久性に優れた蛍光体である 。従来の、緑色力も黄色に発光スペクトルのピ―クを持つ ZnS:Cu,Al蛍光体は、発
光強度および輝度については問題ないものの、耐久性、特に水に弱いことや、更に 、紫外線の照射により輝度が大幅に低下してしまうといった問題がある。このため、 Z nS:Cu,Al蛍光体を複数色の蛍光体と混合し、近紫外'紫外 LEDと組合わせて白色 LED照明を作製した際、この白色 LED照明は、長時間使用していると、特に ZnS:C u,Al蛍光体の発光強度および輝度が低下して、色調が変化してしまう。また、当該白 色 LED照明を点灯させた際に、発光素子から発生する熱や紫外線により ZnS:Cu,A 1蛍光体の発光強度および輝度が低下し、白色 LED照明の輝度もそれに伴い低下し てしまう。この結果、当該 ZnS:Cu,Al蛍光体は、発光強度および輝度の変化を考慮 して蛍光体混合粉末を調合する必要があり、品質が安定した白色 LED照明を製造 することが困難である。しかし、本実施形態の蛍光体は、シリコンナイトライド蛍光体 やサイアロン蛍光体と同じように、窒素を含有した耐久性および温度変化や水分に 強い蛍光体であるため、高輝度で耐久性に優れた白色 LED照明を作製することが 可能となる。
[0114] 次に、本実施形態の蛍光体を用いることで、演色性の高い発光を得られることにつ いて説明する。
照明用光源としては、色の見え方が基準光を用いた場合と同じであるほど好ましい わけであるが、基準光が、可視光全域にわたり均一な光を持った白色光源であるの に対し、既存の白色 LED照明は、可視光領域のある波長では光の強度が高ぐある 波長では低 ヽと 、つたように光の強度にムラがあるため、光の強度が不足して 、る波 長域では色再現性が悪く演色性が低下してしまう。
結局のところ、演色性の高い発光を得るためには、白色 LED照明に使用される蛍 光体の発光スペクトルのピークがブロードである上に、十分な発光強度を有する蛍光 体であることが必要である。上述の母体構造を有する本実施形態の蛍光体は、構成 元素の種類、付活剤の種類を替えることにより、緑色〜黄色、または黄色〜赤色の範 囲に発光強度および輝度が高ぐ半値幅が 80nm以上のブロードな発光スペクトル のピークを持つ蛍光体を得ることが可能となる。
[0115] 本実施形態の蛍光体が、緑色〜黄色、黄色〜赤色の範囲にピークを持つブロード な発光スペクトルを有し、近紫外 '紫外から青色の範囲に広く平坦な励起帯を持ち、
高効率な発光をおこなうことができる詳細な理由は不明であるが、概ね次のように考 えられる。
まず、本実施开態の蛍光体の一般式 MmAaBbOoNn : Zにおいて、 m、 a、 b、 o、 n の値力 4. 0< (a+b) /m< 7. 0、 a/m≥0. 5、 b/a > 2. 5、 n>o、 n= 2/3m + a+4Z3b— 2Z3oの範囲にあることで、当該蛍光体がとる結晶構造において、付 活剤が規則的に存在でき、また、発光に使用される励起エネルギーの伝達が効率よ く行われるため、発光効率が向上するのではないかと考えられる。
さらに、当該蛍光体が上述の構成を採ることで、化学的に安定な糸且成となるため、 当該蛍光体中に、発光に寄与しない不純物相が生じにくくなり、発光強度の低下が 抑制されるのではないかと考えられる。つまり、不純物相が多く生じた場合には、単 位面積当たりの蛍光体量が減少し、更に、生成した不純物相が、励起光や蛍光体か ら発生した光を吸収することで蛍光体の発光効率が低下し、高 、発光強度が得られ なくなるためではな 、かと考えられる。
[0116] 当該推論は、焼成後の蛍光体に対する X線回折測定において、 m、 a、 b、 o、 nの値 が上述の範囲にあると、 A1N、 Si Nなどの未反応原料の不純物相ピーク、および発
3 4
光に寄与する相とは異なる不純物相のピークが確認されないか、または確認される 場合でもきわめて低い回折強度であるのに対し、 m、 a、 b、 o、 nの値が上述の範囲外 にあると、 A1N、 Si N、および発光に寄与する相とは異なる相の顕著なピークが確
3 4
認されることからも裏付けられる。従って、焼成後の蛍光体に対する X線回折パター ン中に、上記不純物相のピ―クが見られないという特徴は、測定対象である蛍光体 力 高 、発光強度や近紫外 ·紫外から青色の範囲に広く平坦な励起帯を有して 、る ことを示して 、ると考えられる。
[0117] 当該蛍光体は、本実施形態の蛍光体の一般式 MmAaBbOoNn : Zにおいて、 m、 a、 b、 o、 nの値力 4. 0< (a+b) /m< 7. 0、 a/m≥0. 5、 b/a > 2. 5、 n>o、 n = 2Z3m+a+4Z3b— 2Z3oの範囲内であれば良いが、更には、 0. 5≤a/m≤ 2. 0、 3. 0< b/m< 7. 0、 0< o/m≤4. 0であること力 S好ましく、より好ましくは 0. 8 ≤a/m≤l . 5、 3. 0< b/m< 6. 0、 0< o/m≤3. 0である。これは、 a/m=0で あると、原料中に含まれる酸素と Si元素とが焼成中に過剰に反応し、ガラス化してし
まい、優れた発光特性が得られず、さらに、粉末状の蛍光体を得ることができない。 一方、 aZm≠ 0であると A1が固溶し、生成したィ匕合物の融点が非常に高温となるた め、焼成をおこなってもガラス化することなぐ焼成後に粉末状の蛍光体を得ることが 可能となる。したがって aZmは 0.5以上であることが好ましい。
[0118] さらに、 l. K aZmである場合には、温度が高い環境下での発光特性の低下が、 上記範囲の場合に比べ、ほとんど低下しない。さらに、 300°Cまで昇温する昇温前( 25°C)の発光強度と、 300°Cで 5.0min保持して再び室温(25°C)まで冷却した冷却 後の発光強度とを比較しても、昇温前に比べ、冷却後の発光強度が低下しないとい う、優れた耐熱性を発揮する。
[0119] aZm≤ 2.0であると、 A元素によって置換される B元素のサイトが過剰になることを 回避できるので、製造条件のブレによって発光効率が低下してしまうことや、該蛍光 体が高温環境下におかれても発光特性の低下を抑えることができる。さらに、該構成 により未反応の A1N生成を抑制でき、該未反応の A1Nに起因する初期発光強度低 下を回避することができる。また、 aより bの値が大きければ、焼結が抑制され、焼成後 に粉末状で得ることが容易となるため、 bZmの範囲は aZmより大きな 3. 0≤b/m ≤6. 0、より好ましくは 3.5 ≤b/m≤ 4.5の範囲であることが好ましい。
[0120] 本発明に係る蛍光体は、 n>oであるものの酸素を含んでいることが好ましい。酸素 の適正含有量は、蛍光体中の A1と Siとのモル比によって変化する力 該酸素含有量 を最適化することにより、蛍光体の初期発光特性 (25°C)が向上するだけでなぐ温 度が高 、環境下でも発光特性が室温(25°C)と比べほとんど劣化しな!、蛍光体を得 ることができる。これは、温度特性の改善を目論んでも、 Siサイトを A1によって置換し ただけでは、 A1は Siに比べイオン半径が異なるため、結晶構造が発光に適した構造 力もズレてしまう。さらに、 A1が III価であるのに対し、 Siは IV価であるため、結晶中に おける価数が不安定になってしまうといった問題がおこる。しかし、 Siサイトを置換す る A1量に応じて、 Nサイトの一部を Oで置換すると、発光に最適な結晶構造とすること ができ、さらに、母体結晶全体の価数も安定なゼロにすることができるため、優れた発 光特性を示すものと考えられる。ここで、好ましい酸素量の範囲は、 0< oZm≤4. 0 であり、焼成後の蛍光体の酸素濃度を分析した場合、蛍光体の質量に対し、 0.5重
量%を超え 8.1重量%未満の含有量であれば発光特性が良好でガラス化も抑制され 、十分に実用が可能な蛍光体となる。さらに、該酸素量の範囲が 0< oZm≤3. 0、 より好ましくは 0< oZm≤ 1.5の範囲であり、 0.5重量%を越え 5.0重量%未満である と、発光強度が、より高まり好ましい。
[0121] 尚、組成分析結果より算出した oの値と、使用される原料の配合比より算出した。の 値とを比較した場合に若干のずれが生じるのは、使用される原料の配合比から oを算 出する場合には、上述のような、当初から原料に含有していた酸素や表面に付着し ていた酸素、原料の秤量時、混合時および焼成時において原料の表面が酸ィ匕した ことで混入する酸素、さらに焼成後に蛍光体表面に吸着される酸素等を考慮してい ないためであると考えられる。また、窒素ガスおよび Zまたはアンモニアガスを含んだ 雰囲気で焼成した場合には、焼成時に原料が窒化され o、 nにズレが生じていること が原因と考えられる。
[0122] さらに、上述の一般式 MmAaBbOoNn:Zの組成を有する蛍光体において、 M元 素が +Π価、 A元素が +ΙΠ価、 B元素が +IV価の元素であり、窒素が III価の元素 であること力ら、 m、 a、 b、 o、 n力 n= 2/3m+a+4/3b— 2/3oの糸且成であり、各 元素の価数を足し合わせるとゼロとなるので、当該蛍光体はさらに安定な化合物とな り好ましい。特に、当該蛍光体において、 aZmが l. l < aZm≤1.5、 bZmが 3.5≤ bZm≤4.5、 oZmカ^く oZm≤1.5の範囲であると、発光特性および耐熱性がさら に高くなることから、より好ましい構成である。尤も、いずれの場合でも、蛍光体の組 成を示す組成式からの若干の組成のずれは許容される。
[0123] 一方、前記 M元素は、 Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Zn、 II価の原子価をとる希土類元素、の 中力 選ばれる 1種類以上の元素であることが好ましぐさらには、 Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であることがより好ましぐ最も好ましくは Srであ る。さらに、 M元素として Srを 90%以上含み、上記他の元素を一部置換しても良い。
[0124] 前記 A元素は、 Al、 Ga、 In、 Tl、 Υ、 Sc、 Ρ、 As、 Sb、 Biの中力 選ばれる 1種類以 上の元素であることが好ましぐさらには、 Al、 Ga、 Inから選択される 1種類以上の元 素であることがより好ましぐ最も好ましくは A1である。さらに、 A元素として A1を 90% 以上含み、上記他の元素を一部置換しても良い。 A1は、窒化物である A1Nが一般的
な熱伝材料や構造材料として用いられており、入手容易且つ安価であり加えて環境 負荷も小さく好ましい。
[0125] 前記 B元素は、 Si、 Ge、 Sn、 Ti、 Hf、 Mo、 W、 Cr、 Pb、 Zrの中力 選ばれる 1種 類以上の元素であることが好ましぐさらには、 Siおよび Zまたは Geであることが好ま しぐ最も好ましくは Siである。さらに、 B元素として Siを 90%以上含み、上記他の元 素を一部置換しても良い。 Siは、窒化物である Si Nが一般的な熱伝材料や構造材
3 4
料として用いられており、入手容易且つ安価であり加えて環境負荷も小さく好ましい。
[0126] 前記 Z元素は、蛍光体の母体構造における M元素の一部を置換した形で配合され る、希土類元素または遷移金属元素から選択される 1種類以上の元素である。本実 施形態の蛍光体を用いた白色 LED照明を始めとする各種の光源に、十分な演色性 を発揮させる観点からは、当該蛍光体の発光スペクトルにおけるピークの半値幅は 広いことが好ましい。そして、当該観点力 Z元素は、 Eu、 Mn、 Ce、 Tb、 Prまたは Y bから選択される 1種類以上の元素であることが好ましい。中でも Z元素として Ceを用 いると、当該蛍光体は、緑色力 黄色にかけてブロードで発光強度が高い発光スぺ タトルを示すため、白色 LED照明を始めとする各種光源の付活剤として好ま Uヽ。
[0127] これまでに提案されている特許文献 1〜6のシリコンナイトライドやサイアロンゃ酸窒 化物を母体としたものも、 Ceを付活することにより緑色力も黄色に発光するが、同じ 母体に Euを付活した場合に比べると、発光強度が大きく低下してしまい実用できるも のは無力つた。しかし、本実施形態の蛍光体は、 Ceを付活剤とした際に、プロ—ドで 発光強度の高 、発光スペクトルのピークが得られるように組成を適正化した蛍光体で あり、これまでに提案された各特許文献の蛍光体に比べ 1.5倍以上の発光強度を得 ることができ、十分実用化できる特性であると考えられる。更に、近紫外'紫外 LEDに より白色 LED照明を作製する際に、緑色蛍光体として使用されている ZnS:Cu,Alと 比較した場合に、本実施形態の蛍光体は、発光スペクトルのピークが非常にブロード であるため、効率が良く演色性に優れた白色 LED照明が作製可能となる。更に、注 目すべき点は、 Euを付活した際にも発光強度が低下することなぐ黄色から赤色に かけてプロ ドで発光強度が高 、発光スペクトルのピークを示す。
[0128] また、 Z元素を選択することにより、本実施形態の蛍光体における発光のピーク波
長を可変することができ、また、種類の異なる z元素を付活することによって、ピ一ク 波長の可変、更には増感作用により、発光強度および輝度を向上させることが可能 である。
[0129] Z元素の添加量は、本実施形態の蛍光体を一般式 MmAaBbOoNn: Zz (但し、 4.
0< (a+b) /m< 7. 0、 a/m≥0. 5、 b/a> 2. 5、 n>o、 n= 2/3m+a+4/3b - 2/3o)と表記した際、 M元素と付活剤 Z元素とのモル比 zZ(m+z)において、 0. 0001以上、 0.50以下の範囲にあることが好ましい。 M元素と Z元素とのモル比 zZ( m+z)が当該範囲にあれば、付活剤 (Z元素)の含有量が過剰であることに起因して 濃度消光が生じ、これにより発光効率が低下することを回避でき、他方、付活剤 (Z元 素)の含有量が過少であることに起因して発光寄与原子が不足し、これにより発光効 率が低下することも回避できる。さらに、当該 zZ (m+z)の値力 0.001以上、 0.30 以下の範囲内であればより好ましい。但し、当該 zZ (m+z)の値の範囲の最適値は 、付活剤 (Z元素)の種類および M元素の種類により若干変動する。さらに、付活剤( Z元素)の添加量制御によっても、当該蛍光体の発光のピーク波長をシフトして設定 することができ、得られた光源において輝度の調整の際に有益である。
[0130] M元素として Sr、 A元素として Al、 B元素として Si、 Z元素として Ceをとり、 4. 0< (a
+b) /m< 7. 0、 0. 5≤a/m≤2. 0、 3. 0<b/m< 7. 0、 0< o/m≤4. 0、 n= 2Z3m+a+4Z3b— 2Z3oであるとき、本発明に係る蛍光体の組成分析結果を行 つた結果、 19.5重量%以上、 29.5重量%以下の Srと、 5.0重量%以上、 16.8重量 %以下の A1と、 0.5重量%以上、 8.1重量%以下の Oと、 22.6重量%以上、 32.0重 量%以下の Nと、 0.0を超え 3.5重量%以下の Ceとを含んでいた。但し、 Sr、 A1には ± 1.0重量%の分析誤差が見込まれ、残りの重量は Siおよび他の元素である。尚、 蛍光体の発光強度低下回避の観点から、蛍光体中における Fe,Ni,Coの各元素の 濃度は、 100PPM以下であることが好ましい。
また、励起光として、波長 350nmから 500nmの範囲にある単色光、または、これら 単色光の混合光が照射された際、発光スペクトルのピーク波長が 500〜600nmの 範囲となった。このとき、当該蛍光体は十分な発光強度を示し、発光スペクトルの色 度(x,y)の X力^).3000〜0.4500、 y力 0.5000〜0.6000の範囲にあると!/ヽぅ、好まし
い発光特性を示した。
[0131] また、 M元素として Sr、 A元素として Al、 B元素として Si、 Z元素として Euをとり、 4.
0< (a+b) /m< 7. 0、 0. 5≤a/m≤2. 0、 3. 0<b/m< 7. 0、 0< o/m≤4. 0 、 n= 2Z3m+a+4Z3b— 2Z3oであるとき、本発明に係る蛍光体の組成分析結 果を行った結果、 19.5重量%以上、 29.5重量%以下の Srと、 5.0重量%以上、 16. 8重量%以下の A1と、 0.5重量%以上、 8.1重量%以下の Oと、 22.6重量%以上、 3 2.0重量%以下の Nと、 0.0を超え 3.5重量%以下の Euとを含んでいた。但し、 Sr、 A 1には ± 1.0重量%の分析誤差が見込まれ、残りの重量は Siおよび他の元素である。 尚、蛍光体の発光強度低下回避の観点から、蛍光体中における Fe,Ni,Coの各元素 の濃度は、 100PPM以下であることが好ましい。また、励起光として、波長 350nmか ら 500nmの範囲にある単色光、または、これら単色光の混合光が照射された際、発 光スペクトルのピーク波長が 550〜 650nmの範囲となった。このとき、当該蛍光体は 十分な発光強度を示し、発光スペクトルの色度(x,y)の X力0.4500〜0.6000、 yが 0 .3500〜0.5000の範囲にあるという、好まし!/、発光特性を示した。
[0132] 本発明に係る蛍光体について、 CoK o;線による粉末 X線回折測定を行うと、次のよ うな特徴が見られる。
本実施形態の蛍光体に含まれる生成相は、ブラッグ角度 (2 Θ )が、 12.5〜 13.5° 、 17.0~18.0° 、 21.0〜 22.0° 、 22.5~23.5° 、 26.5〜 27.5° 、 28.5〜29.5 ° 、 34.0〜 35. 0° 、35.5〜36.5° 、 36.5〜37.5° 、 41.0〜42.0° 、 42.0〜 4 3.0° 、 56.5〜 57.5° 、 66.0〜67.0° の範囲に特徴的なピークを有する。当該回 折パターンより、当該蛍光体の主生成相の結晶系は、斜方晶系または単斜晶系の結 晶相を有する蛍光体と考えられる。サイアロンを母体とする結晶系は一般的に六方 晶系のため、本発明に係わる蛍光体は公知のサイアロンを母体とする蛍光体とは異 なる結晶系と考えられる。
[0133] 次に、本発明に係る蛍光体の温度特性について説明する。蛍光体は、白色 LED 照明のみならず高温環境下で使用される場合がある。従って、温度の上昇とともに発 光強度が低下するものや、熱劣化によって発光特性が劣化するものは好ましくない。 本発明に係る蛍光体は優れた温度特性と耐熱性とを示し、励起光として、近紫外 '紫
外から緑色の範囲 (波長域 300〜500nm)にある単色光、または、これら単色光の混 合光が照射された際の、 25°Cにおける発光スペクトル中の最大ピークの相対強度の 値を発光強度 P とし、上記励起光が照射された上記蛍光体の 200°Cにおける前記
25
最大ピークの相対強度の値を P としたときに、(P -P )/P X 100≤35となり
200 25 200 25
、高温環境下でも優れた発光特性を示す。さら〖こ好ましくは、 100°Cにおける前記最 大ピークの相対強度の値を P としたときに、(P - P )/P X 100≤ 10.0である。
100 25 100 25
[0134] また、本発明者らが LEDの発熱温度について調査を行ったところ、小型の小電流 タイプのチップでは 50°C程度であるが、より強い発光を得るために、大型の大電流タ イブを使用した場合には 80°C以上まで発熱することが解った。更に、白色 LEDとし た場合は、榭脂によるチップの封止やリードフレームの構造によって発生した熱が蓄 積され、榭脂または蛍光体混合物部分の温度が 100°C程度、最大で 200°Cになる 場合があることが判明した。即ち、(P — P )/P X 100≤35、さらに好ましくは(
25 200 25
P - P )/P X 100≤ 10.0であれば、発光源である LED等の長時間点灯に伴う
25 100 25
発熱が蓄積された場合であっても、当該発熱による発光の色ずれを白色 LED照明 等として問題のない水準に収めることが出来る。
[0135] 本発明に係る蛍光体は、 A1N、 Si N力 生成する高温で耐久性の優れる窒化物
3 4
、酸窒化物を母体とし、 [SiN ]の四面体がネットワークを組んだ、これまでの窒化物、
4
酸窒化物蛍光体とは異なった構造を有していることと、 Siサイトの A1置換量、 Nサイト の O置換量を最適化したことにより、熱に対して非常に安定な構造となったため、優 れた温度特性を示すものと考えられる。さらに、従来の技術に係る蛍光体では、高温 環境下で一度使用されると、室温に戻した場合でも、高温環境下で使用される前の 発光強度に比べ、発光強度が弱くなつてしまうといった問題もあったが、本発明に係 る蛍光体では、その問題を解決することができた。
[0136] また、本発明に係る蛍光体は温度特性に優れているため、長時間の点灯使用によ り、発光装置の温度が上昇した際にも、色ずれがほとんど起こらないものを作製する ことが可能となる。また、発光スペクトルが緑色力も黄色の範囲にピ一クを持ち、ピ一 ク形状はブロードであるため、演色性の観点から白色 LED照明用蛍光体としてふさ わしい。さらに、励起帯が近紫外,紫外〜青緑色 (波長域 300〜500nm)の広範囲
に平坦な励起帯を有するため、例えば、白色 LED照明として提案されている高輝度 青色 LED (波長 420〜480nm付近)の青色発光と、蛍光体の黄色発光の補色関係 とを利用して白色を得る方式の白色 LED照明の場合にも、或いは近紫外'紫外発光 (波長 300〜420nm付近)する LEDと、該 LEDから発生する近紫外'紫外光により 励起されて赤色 (R)発光する蛍光体、緑色 (G)発光する蛍光体、青色 (B)発光する 蛍光体とを組み合わせ、該 R'G'B他の蛍光体カゝら得られる光の混色を利用して白 色を得る方式の白色 LED照明の場合にも、 、ずれも最高の発光強度に近 、状態を 発揮させながら使用することが可能である。即ち、近紫外'紫外〜青緑色の光を発す る発光部と該蛍光体を組み合わせることにより、高出力、演色性の良い白色光源およ び白色 LED照明、さらにはこれらを使用した照明ユニットを得ることができる。
本実施形態の蛍光体は粉末状とされることで、白色 LED照明を始めとする多様な 発光装置に容易に適用可能となる。ここで該蛍光体は、粉体の形で用いられる場合 には、 50. 0 m以下の 1次粒子および該 1次粒子の凝集体を含み、該 1次粒子およ び凝集体を含んだ蛍光体粉末の平均粒子径 (D50)が、 1. O /z m以上、 50. O /z m以 下であることが好ましい。より好ましくは、 1. O /z m以上、 20.0 m以下である。これ は、平均粒径が 50. O /z m以下であれば、その後の粉砕が容易に行えることと、蛍光 体粉体においては発光が主に粒子表面で起こると考えられるため、平均粒径が 50. O /z m以下、より好ましくは、 20.0 mであれば、粉体単位重量あたりの表面積を確 保でき輝度の低下を回避できるからであり、さらに、該粉体をペースト状とし、発光体 素子等に塗布した場合にも該粉体の密度を高めることができ、色むら、輝度の低下を 回避できるからである。また、本発明者らの検討によると、詳細な理由は不明であるが 、蛍光体粉末の発光効率の観点から、平均粒径が 1. 0 mより大きいことが好ましい ことも判明した。以上のことより、本発明に係る蛍光体における粉体の平均粒径は、 1 . O /z m以上 50. O /z m以下、さらに好ましくは 20 m以下であることが好ましい。ここ でいう平均粒子径(D50)は、ベックマン'コールター社製 LS230 (レーザー回折散 乱法)により測定された値である。また、粒子径とともに比表面積 (BET)の値も変化す るため、比表面積の値としては、 0.05m2/g以上、 5.00m2/g以下であること力 上 記観点からして好ましい。
[0138] 次に、本実施形態の蛍光体の製造方法につ!、て、混合比から求めた組成式 Sr A1
2
Si O N : Ce (但し、 Ce/(Sr + Ce) = 0.030である。)の製造を一例として説明する
2 9 2 14
。ここで、 zZ(m+z)と CeZ(Sr+Ce)とは同じ意味である。
[0139] 一般的に蛍光体は固相反応により製造されるものが多ぐ本実施形態の蛍光体の 製造方法も固相反応によって得ることができる。しかし、製造方法はこれらに限定され るものではない。 M元素、 A元素、 B元素の各原料は窒化物、酸化物、炭酸塩、水酸 化物、塩基性炭酸塩などの市販されている原料でよいが、純度は高い方が好ましい ことから、好ましくは 2N以上、さらに好ましくは 3N以上のものを準備する。各原料粒 子の粒径は、一般的には、反応を促進させる観点力 微粒子の方が好ましいが、原 料の粒径、形状により、得られる蛍光体の粒径、形状も変化する。このため、最終的 に得られる蛍光体に求められる粒径や形状に合わせて、近似の粒径を有する窒化 物等の原料を準備すればよいが、好ましくは 50 m以下の粒子径、さらに好ましくは 0.1 m以上 10.0 μ m以下の粒子径の原料を用いると良 、。 Z元素も原料は市販の 窒化物、酸化物、炭酸塩、水酸化物、塩基性炭酸塩、もしくは単体金属が好ましい。 勿論、各原料の純度は高い方が好ましぐ 2N以上、さらに好ましくは 3N以上のもの を準備する。特に、 M元素の原料として炭酸塩を使用した場合には、本実施形態の 蛍光体の構成元素に含まれない元素からなる化合物を、フラックス (反応促進剤)とし て添加することなくとも、フラックス効果を得ることができるため好ま 、構成である。
[0140] 混合比から求めた組成式 Sr Al Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce) = 0.030)の製
2 2 9 2 14
造であれば、例えば M元素、 A元素、 B元素の原料として、それぞれ SrCO (3N)、 Al
3
N(3N)、 Si N (3N)を準備し、 Z元素としては、 CeO (3N)を準備するとよい。これらの
3 4 2
原料の混合 (仕込み)組成と、焼成上がりの組成との間にはズレ生じることを考慮して 、何点かの検討を行い、焼成上がりにおいて狙いの組成が得られる混合仕込み組成 を求める。今回の場合は焼成上がりにおいて、各元素のモル比が Sr:Al:Si:Ce = 0. 970:1:4.5:0.030となるように、原料混合段階において、各原料の混合比を、それぞ れ、 SrCOを 0.970mol、 A1Nを 1.0mol、 Si Nを 4.5/3mol、 CeOを 0.030mol
3 3 4 2
を秤量し混合する。 Sr原料として炭酸塩を使用したのは、酸化物原料は融点が高く フラックス効果が期待できないのに対し、炭酸塩など低融点の原料を使用した際には
、原料自体力フラックスとして働き、反応が促進され、発光特性が向上するためである 。また、原料として酸ィ匕物を使用した場合には、フラックス効果を得るために、フラック スとして別の物質を添加してもよいが、その場合には該フラックスが不純物となり、蛍 光体の特性を悪ィ匕させる可能性があるのでフラックスの選択には注意する必要があ る。例えばフッ化物、塩化物、酸化物、窒化物が好ましぐ SrF、 BaF、 A1F、 SrCl
2 2 3 2
、 BaCl、 A1C1、 Al O、 Ga O、 In O、 SiO、 GeO、 SrO、 BaO、 Ca N、 Sr N
2 3 2 3 2 3 2 3 2 2 3 2 3 2
、: Ba N、 GaN、 InN、 BNなどが考えられる。
3 2
[0141] 当該秤量 ·混合については、大気中で行っても良いが、各原料元素の窒化物が水 分の影響を受けやす 、ため、水分を十分取り除 、た不活性雰囲気下のグロ ブボッ タス内での操作が便宜である。混合方式は湿式、乾式どちらでも構わないが、湿式混 合の溶媒として純水を用いると原料が分解するため、適当な有機溶媒を選定する必 要がある。装置としてはボ―ルミルや乳鉢等を用いる通常のものでょ 、。
[0142] 混合が完了した原料をるつぼに入れ、焼成炉内に雰囲気ガスを流通させながら 14 00°C以上、好ましくは 1500°C以上または 1600°C以上、さらに好ましくは 1700°C以 上 2000°C以下の雰囲気中で 30分以上保持して焼成する。焼成温度が 1400°C以 上であれば、紫外線で励起され青色に発光する不純物相が生成しにくぐさらには、 固相反応が良好に進行して発光特性に優れた蛍光体を得ることが可能となる。また 2 000°C以下、好ましくは 1850°C以下で焼成すれば、過剰な焼結や、融解が起こるこ とを防止できる。尚、焼成温度が高いほど固相反応が迅速に進むため、保持時間を 短縮出来る。一方、焼成温度が低い場合でも、当該温度を長時間保持することにより 目的の発光特性を得ることが出来る。しかし、焼成時間が長いほど粒子成長が進み、 粒子形状が大きくなるため、目的とする粒子サイズに応じて焼成時間を設定すれば よい。
[0143] 焼成炉内に流通させる雰囲気ガスとしては、窒素に限らず、希ガス等の不活性ガス 、アンモニア、アンモニアと窒素との混合ガス、または窒素と水素との混合ガスのいず れかを用いると良い。但し、当該雰囲気ガス中に酸素が含有されていると蛍光体粒 子の酸ィ匕反応が起こるため、不純物として含まれる酸素はできるだけ少なぐ例えば 100PPM以下であることが好まし 、。さらに雰囲気ガス中に水分が含有されて!、ると
、酸素と同様、焼成時に蛍光体粒子の酸ィ匕反応が起こるため、不純物として含まれる 水分もできるだけ少なぐ例えば 100PPM以下であることが好ましい。ここで、雰囲気 ガスとして単一ガスを用いる場合は窒素ガスが好まし 、。アンモニアガスの単独使用 による焼成も可能である力 窒素ガスに比べ、アンモニアガスはコスト的に高いことや 、腐食性ガスであることのため、装置および低温時の排気方法に特別な処置が必要 となるので、アンモニアを用いる場合には、窒素との混合ガスとするなど、アンモニア を低濃度にして用いる方が好ましい。例えば、窒素ガスとアンモニアの混合ガスを用 いる場合、窒素は 80%以上、アンモニアは 20%以下とすることが好ましい。また、窒 素と他のガスとの混合ガスを用いる場合も、窒素以外のガス濃度が高まると、雰囲気 ガス中の窒素の分圧が低くなるので、蛍光体の窒化反応を促進する観点からは、 80 %以上の窒素を含む不活性または還元性ガスを用いると良!、。
[0144] さらに、当該焼成中に上述した雰囲気ガスを、例えば、 0. lmlZmin以上流量させ る状態を設けることが好ましい。これは、蛍光体原料の焼成中には当該原料力もガス が発生する力 上述の窒素、希ガス等の不活性ガス、アンモニア、アンモニアと窒素 との混合ガス、または窒素と水素との混合ガスカゝら選択される 1種類以上のガスを含 んだ雰囲気を流動(フロー)させることにより、原料力 発生したガスが炉内に充満し て反応に影響を与えることを防止でき、この結果、蛍光体の発光特性の低下を防止 できるからである。特に、蛍光体原料として炭酸塩、水酸化物、塩基性炭酸塩など、 高温で酸ィ匕物に分解する原料を使用した際には、ガスの発生量が多いため、焼成炉 内にガスを流通させ、発生したガスを排気させる構成を採ることが好ま ヽ。
[0145] 一方、蛍光体製造における蛍光体原料焼成の段階において、焼成炉内の圧力は 、炉内に大気中の酸素が混入しないよう加圧状態であることが好ましい。ただし、該 加圧が l.OMPa (本発明において、炉内圧力とは大気圧力 の加圧分の意味である 。)を超えると炉設備の設計上、特殊な耐圧設計が必要となることから、生産性を考慮 すると該加圧は l.OMPa以下であることが好ましい。また、該加圧が高くなると、蛍光 体粒子間の焼結が進み過ぎ、焼成後の粉砕が困難となることがあるため、当該焼成 中の炉内圧力は l.OMPa以下が好ましぐより好ましくは 0. 5MPa以下、更に好まし くは 0. OOlMpa以上、 O.lMPa以下である。
[0146] 尚、るつぼとしては Al Oるつぼ、 Si Nるつぼ、 A1Nるつぼ、サイアロンるつぼ、 C (
2 3 3 4
カーボン)るつぼ、 BN (窒化ホウ素)るつぼなどの、上述したガス雰囲気中で使用可 能なものを用いれば良いが、特に BNるつぼを用いると、るつぼ力 の不純物混入を 回避することができ好まし 、。
[0147] 本実施の形態では原料を粉末のまま焼成することが好ま 、。一般的な固相反応 では、原料同士の接点における原子の拡散による反応の進行を考慮し、原料全体で 均一な反応および、反応を促進させるために、原料をペレット状にして焼成すること が多い。ところが、当該蛍光体原料の場合は、粉末のまま焼成することで、焼成後の 解砕が容易であり、 1次粒子の形状が理想的な球状となることから、粉末として扱い 易いものとすることができ好ましい。更に、原料として、炭酸塩、水酸化物、塩基性炭 酸塩を使用した場合には、焼成時の原料の分解により COガスなどが発生するが、
2
原料が粉体であれば十分に抜けきつてしまうので発光特性に悪影響を及ぼさないと いう観点からも、好ましい構成である。
[0148] 焼成が完了した後、焼成物をるつぼから取り出し、乳鉢、ボールミル等の粉砕手段 を用いて、所定の平均粒径となるように粉砕し、混合比から求めた組成式 Sr Al Si
2 2 9
O N : Ce (但し、 Ce/(Sr + Ce) =0.030)で示される蛍光体を製造することができ
2 14
る。得られた蛍光体はこの後、必要に応じて、洗浄、分級、表面処理、熱処理を行う。 洗浄方法としてはフッ酸、塩酸、硫酸、硝酸などを用いた酸性溶液中での洗浄力 粒 子表面に付着した Fe等の金属原子や、未反応で残留した原料粒子を溶解するため 好ましい。ここで、得られた蛍光体に含まれる Fe、 Ni、 Coの量は 100PPM以下であ ることが好ましい。
[0149] M元素、 A元素、 B元素、 Z元素として、他の元素を用いた場合、および付活剤であ る Ceの付活量を変更した場合も、各原料の混合時の配合量を所定の組成比に合わ せることで、上述したものと同様の製造方法により蛍光体を製造することができる。
[0150] 次に、本発明に係る蛍光体混合物について説明する。本発明に係る蛍光体混合 物は、前記緑色蛍光体と波長 300nmから 500nmの範囲にある 1種類以上の単色光 または連続光である励起光により励起されたとき、波長 420nmから 500nmの範囲内 に発光スペクトルの最大ピークを有する 1種類以上の青色蛍光体、および Zまたは、
波長 590nmから 680nmの範囲内に発光スペクトルの最大ピ クを有する 1種類以 上の赤色蛍光体とを含むことを特徴とする蛍光体混合物である。当該構成を有する 蛍光体混合物は、種々の波長の光を混合することによって、可視光全域にわたり均 一な光の密度を持ったスペクトルを有し、発光時に演色性に優れ、特に発光効率に 優れ輝度が高 ヽ発光装置を得ることが出来る蛍光体混合物である。
[0151] 本発明に係る蛍光体混合物に含まれる波長 590nmから 680nmの範囲内に発光 スペクトルの最大ピークを有する赤色蛍光体について説明する。
当該赤色蛍光体については、以下に説明する励起特性および発光特性を有する 公知の赤色蛍光体を用いることができる。
まず励起光として波長域 250nm〜500nmさらに好ましくは波長域 300nm〜500 nmの範囲の光が照射されたとき高 、効率をもって、波長 590nm力ら 680nmの範囲 内に発光スペクトルの最大ピークを有する高輝度な赤色発光をおこなう赤色蛍光体 である。さらに、当該発光スペクトルの半値幅が 50nm以上であることが好ましい。
[0152] 当該赤色蛍光体の例として、組成式 MmAaBbOoNn:Z (但し、前記 M元素は、 C a、 Mg、 Sr、 Ba、 Znから選択される 1種類以上の元素であり、前記 A元素は、 Al、 Ga 、 Inから選択される 1種類以上の元素であり、前記 B元素は、 Si、 Ge、 Snから選択さ れる 1種類以上の元素であり、前記 Z元素は、希土類元素、遷移金属元素から選択さ れる 1種類以上の元素であり、 n= 2/3m+a+4/3b- 2/3o, m= l、 a≥0、 b≥ m、 n>o、 o≥0)と表記される蛍光体がある。例えば、特許文献 1に記載された (Ca, Sr,Ba) Si N: Eu、特願 2004— 145718に記載された 2.75SrO,Si N: Euのよう
2 5 8 3 4 な赤色蛍光体が使用可能であるが、さらに好ましくは、上述した観点から、組成式 Ca AlSiN: Euで示される赤色蛍光体が好ましい。
3
[0153] 次に、本発明に係る蛍光体混合物に含まれる波長 420nmから 500nmの範囲内に 発光スペクトルの最大ピークを有する青色蛍光体について説明する。
当該青色蛍光体については、以下に説明する励起特性および発光特性を有する 公知の青色蛍光体を用いることができる。
まず励起光として波長域 250nm〜420nmさらに好ましくは波長域 300nm〜420 nmの範囲の光が照射されたとき高 、効率をもって、波長 420nm力ら 500nmの範囲
内に発光スペクトルの最大ピークを有する高輝度な青色発光をおこなう青色蛍光体 を用いることができる。さらに、当該発光スペクトルの半値幅が 30nm以上、さらに好 ましくは 50nm以上であることが好まし!/、。
以上の励起特性および発光特性を有する青色蛍光体の例として、 BAM: Eu(BaM gAl O : Eu)ゝ(Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) CI :Eu、または SrAl Si O N : Eu (0
10 17 10 4 6 2 x 6-x 1 +x 8-x
≤x≤2)等を挙げることができる。
[0154] 次に、本発明に係る蛍光体混合物を得る方法について説明する。
上記方法で作製した緑色蛍光体と、赤色蛍光体および Zまたは青色蛍光体とを混 合し、本発明に係る蛍光体混合物を作製する。各蛍光体の混合比を設定することで 、当該蛍光体混合物を波長 300ηπ!〜 500nmの範囲のいずれかの励起光を照射し た際、得られる発光スペクトルの相関色温度を 10000Kから 2000Kの間における所 望の値とすることができる。ここで、照明用光源という観点力もすれば、相関色温度は 7000Kから 2500Kの間における所望の値とすることが好ましい。具体的には、各色 蛍光体の目的の励起光に対する各々の発光スペクトルを測定し、得られた発光スぺ タトルをシミュレーションにて合成し、所望の相関色温度を得るための混合比率を求 めればよい。
得られた蛍光体混合物の発光効率の評価方法に関しては、実際に発光素子上に 榭脂と共に塗布し、素子を発光させた状態で比較しても良いが、発光素子自身の効 率のバラツキ、または塗布状態によるバラツキなども総合した評価となるため、均一な 評価とはいえない。したがって、得られた蛍光体混合物に波長 300nm〜500nmの 範囲のいずれかの励起光を当該蛍光体混合物に照射し発光特性を測定した際、 JI SZ8701に規定する XYZ表色系における算出方法に基づき輝度 (Y)の値を求める 評価方法とした。また演色性についても同様に JISZ8726の評価方法を用いて評価 することが可能である力 発光素子のバラツキによる演色性への影響は少ないため、 本発明に係る蛍光体混合物を組み込んだ発光装置にて演色性を評価してもよ ヽ。
[0155] 上述した各色蛍光体は、 50nm以上という好ましい半値幅を持つので、当該蛍光体 混合物の発光においては、互いの発光スペクトルが重なり合い、波長 420nm力ら 75 Onmの範囲に途切れることない連続的な、所謂ブロードなスペクトルを得ることができ
る上、各色蛍光体とも同範囲の励起帯を有しているので混合比率の調整は容易であ る。
[0156] さらに好ましいことに、本発明に係る蛍光体混合物からの発光は、相関色温度が 7 OOOKから 2500Kである発光スペクトル内にお!、て、波長 420nmから 680nmの範 囲に 3つ以上の発光ピ クを有し、発光が途切れることなく連続的なスペクトルを有し ている。この結果、照明として人間の視覚に明るさを感じさせる輝度を稼ぐことができ ると同時に、波長 420nmから 750nmの範囲にブロードな発光スペクトルを有してい るので、演色性の優れた発光となる。
[0157] 本発明に係る蛍光体混合物は温度の上昇とともに発光強度が低下しないものが好 ましぐ発光特性が熱劣化し難い蛍光体を混合することが好ましい。特に、前記波長 300nmから 500nmの範囲にある所定の励起光を照射された蛍光体の温度 25°Cに おける発光スペクトルの最大ピークの発光強度の値を P
25とし、前記所定の励起光を 照射されたときの前記蛍光体の温度 200°Cにおける発光スペクトルの前記最大ピー クの発光強度の値を P としたときに、((P — P ) ZP )力、30%以下となる温度
200 25 200 25
特性を示す蛍光体を選択するのが好ましい。例えば、本発明の蛍光体と共に、前記 の BAM :Euゝ (Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) C1 : Euゝ BAM :Eu,Mnゝ ZnS:Cu,Al、 CaA
10 4 6 2
1 Si N : Eu、 CaAlSiN : Euなどが上げられる。これら蛍光体の温度特性を表 1—1
2 4 8 3
に示す。尚、上記条件を満たせばこの限りではない。
[0158] [表 1-1]
[0159] 本発明に係る蛍光体混合物を粉体の形で用いる場合は、混合する各蛍光体粉体 の平均粒径 (D50)がそれぞれ 50 μ m以下、さらに好ましくは 20 μ mであることが好 ましい。これは、蛍光体粉体における発光は主に粉体粒子表面で起こると考えられる ため、平均粒径 (D50)が 50 m以下であれば、粉体単位重量あたりの表面積を確
保でき、輝度の低下を回避できる力 である。さらに、当該蛍光体混合粉体を用いた 照明装置の製造において、当該蛍光体混合物粉体ペースト状とし、例えば、発光体 素子等に塗布する場合に当該粉体の密度を高めることができ、色むら、輝度の低下 を回避することができる。
[0160] 一方、本実施形態に係る蛍光体混合物を榭脂中等に分散させ、蛍光体シートとす る構成も好ましい。
当該蛍光体シートを製造する際に用いられる媒体となる材料としては、エポキシ榭 脂、シリコン榭脂、を始めとする各種の榭脂、または、ガラス等が考えられる。当該蛍 光体シ―トの使用例としては、当該蛍光体シ―トと適宜な発光を行う光源とを組み合 わせ、所定の発光を行うことが可能である。なお、当該蛍光体シートを励起する励起 光は、波長 250nmから 500nmの光であれば良ぐ LED等の発光素子を始めとして 、 Hg放電による紫外線光源、レーザ—による光源等でもよい。
[0161] 粉末状となった本発明に係る蛍光体混合物を、波長域 250nmから 500nm、好ま しくは波長域 300nmから 500nmの!、ずれかの光を発光する発光部と組み合わせる ことで、各種の照明装置や、主にディスプレイ装置用バックライト等を製造することが できる。
発光部として、例えば、紫外から青色発光のいずれかの範囲でする LED発光素子 、紫外光を発生する放電灯を用いることができる。そして、本発明に係る蛍光体混合 物を当該 LED発光素子と組み合わせた場合には、各種の照明ユニットや、ディスプ レイ装置用バックライト等を製造することができ、本発明に係る蛍光体混合物を当該 放電灯と組み合わせた場合には、各種蛍光灯や照明ユニットやディスプレイ装置用 ノ ックライ卜等を製造することができる。
[0162] 本発明に係る蛍光体の混合物と発光部との組み合わせの方法は、公知の方法で 行っても良いが、発光部に LEDを用いた発光装置の場合は、下記のようにして発光 装置を作製することが出来る。以下、図面を参照しながら、発光部に LEDを用いた発 光装置について説明する。
図 26 (A)〜(C)は、砲弾型 LED発光装置の模式的な断面図であり、図 27 (A)〜( E)は、反射型 LED発光装置の模式的な断面図である。尚、各図面において、相当
する部分については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
まず、図 26 (A)を用いて、発光部に LEDを用い、前記蛍光体混合物と組み合わせ た発光装置の 1例について説明する。砲弾型 LED発光装置においては、リードフレ ーム 3の先端に設けられたカップ状の容器 5内に、 LED発光素子 2が設置され、これ らが透光性の榭脂 4にてモ—ルドされている。該実施の形態では、前記蛍光体混合 物または前記蛍光体混合物をシリコンやエポキシ等の透光性のある樹脂に分散させ た混合物(以下、混合物 1と記載する。)を、カップ状の容器 5内の全てに埋め込むも のである。また、上記混合物 1はレンズ部全体に使用したり、レンズ部上部を覆っても 良い。
次に、図 26 (B)を用いて、異なる発光装置の 1例について説明する。該実施の形 態では、混合物 1をカップ状の容器 5上および LED発光素子 2上面に塗布したもの である。
次に、図 26 (C)を用いて、さらに異なる発光装置の 1例について説明する。該実施 の形態では、蛍光体混合物 1を LED発光素子 2の上部に設置したものである。 以上、図 26 (A)〜(C)を用いて説明した砲弾型 LED発光装置は、 LED発光素子 2からの光の放出方向は上方向である力 光の放出方向が下方向でも同様の方法で 発光装置の作成は可能である。例えば、該 LED発光素子 2の光の放出方向に反射 面、反射板を設け、同発光素子 2から放出される光を反射面に反射させて外部に発 光させるのが反射型 LED発光装置である。そこで、図 27 (A)〜(E)を用い、反射型 LED発光装置と本実施形態の蛍光体混合物とを、組み合わせた発光装置の例につ いて説明する。
まず、図 27 (A)を用いて、発光部に反射型 LED発光装置を用い、本実施形態の 蛍光体混合物と組み合わせた発光装置の 1例について説明する。反射型 LED発光 装置においては、片方のリードフレーム 3の先端に LED発光素子 2が設置され、この LED発光素子 2からの発光は、下方に向かい反射面 8により反射されて上方より放 出される。該実施の形態では、混合物 1を反射面 8上に塗布するものである。尚、反 射面 8が形成する凹部内には、 LED発光素子 2を保護するため透明モールド材 9が 充填される場合もある。
[0163] 次に、図 27 (B)を用いて、異なる発光装置の 1例について説明する。該実施の形 態では、混合物 1を LED発光素子 2の下部に設置したものである。
次に、図 27 (C)を用いて、異なる発光装置の 1例について説明する。該実施の形 態では、混合物 1を、反射面 8が形成する凹部内に充填したものである。
次に、図 27 (D)を用いて、異なる発光装置の 1例について説明する。該実施の形 態では、混合物 1を、 LED発光素子 2を保護するための前記透明モールド材 9の上 部に塗布したものである。
次に、図 27 (E)を用いて、異なる発光装置の 1例について説明する。該実施の形 態では、混合物 1を、 LED発光素子 2の表面に塗布したものである。
[0164] 砲弾型 LED発光装置と反射型 LED発光装置とは、用途に応じて使い分ければよ いが、反射型 LED発光装置には、薄くできる、光の発光面積を大きくできる、光の利 用効率を高められる等のメリットがある。
[0165] 以上説明した発光装置を高演色性照明用光源として使用する場合には、演色性に 優れる発光スペクトルを有して!/、ることが必要であるので、 JISZ8726の評価方法を 用いて、本発明係る蛍光体を含む蛍光体混合物を組み込んだ発光装置の演色性を 評価した。 JISZ8726の評価において、該光源の平均演色評価数 Raが 80以上であ れば、優れた発光装置といえる。そして、好ましくは、日本人女性の肌色の成分を示 す指標である特殊演色評価数 R15が 80以上、さらに好ましくは赤色の成分を示す指 標である特殊演色評価数 R9が 60以上であれば、非常に優れた発光装置と!/、える。 ただし、演色性を求めない用途や異なる目的によっては上記指標を満たさなくても良 い。
[0166] そこで、波長 300nmから 500nmの範囲のいずれかの発光をおこなう発光部からの 光が本発明に係る蛍光体を含む蛍光体混合物へ照射され、該蛍光体混合物が発光 をおこなう発光装置を作製した。尚、発光部としては波長 460nmの発光をおこなう青 色 LEDと、波長 405nmの発光をおこなう紫外 LEDを用いた。そして、該発光装置の 発光スペクトルの演色性を評価した。その結果、本発明係る蛍光体を含む蛍光体混 合物を組み込んだ発光装置の演色性は、相関色温度 1 OOOOK〜 2000Κの範囲、 好ましく ίま, 7000Κ力ら 2500Κにお!/ヽて、 Raiま 80以上、 R15力 ^80以上、さらに ίま R
9が 60以上の高い演色性を示し、該発光装置は、高輝度で非常に演色性に優れた 光源であることが判明した。
実施例
[0167] (実施例 1)
市販の SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)を準備し、各元素のモル
3 3 4 2
it力 SSr:Al:Si:Ce = 0.970: l:4.5:0.030となるように各原料を、 SrCOを 0.970mol
3
、 A1Nを 1.0mol、 Si Nを 4.5Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量し、大気中にて乳鉢
3 4 2
を用いて混合した。混合した原料を BNるつぼに入れ、窒素雰囲気中(フロー状態)、 炉内圧 0. 05MPaで 1800°Cまで 15°CZminで昇温し、 1800°Cで 3時間保持 '焼成 した後、 1800°Cから 200°Cまで 1時間で冷却した。その後、焼成試料を大気中にて 適当な粒径になるまで乳鉢を用いて解砕し、混合組成式 Sr Al Si O N : Ce (但し、
2 2 9 2 14
Ce/(Sr + Ce) = 0.030)で示される実施例 1の蛍光体を得た。得られた蛍光体粉末 の分析結果を表 1 2、蛍光体粉末の SEM写真(250倍)を図 1に示す。
[0168] 得られた蛍光体の組成分析結果は、構成元素の原子量、モル比から求めた理論 値に近!、ものであった。多少のズレは測定誤差や蛍光体作製中に混入した不純物 によるものと考えられる。比表面積は 0.285m2/gであった。また、図 1から明らかなよ うに、得られた蛍光体粉末は 20 m以下の 1次粒子が凝集した凝集体であって、レ —ザ—ドップラ—測定法で平均粒子径 (D50)を測定したところ D50は 17.5 m、 SE Mで観察した 1次粒子径は約 13.0 μ mであり、蛍光体として好ましい 1. 0 μ m以上、 20.0 μ m以下、比表面積 0.05m2Zg以上、 5.0m2Zg以下の範囲であることが解つ た。
[0169] 次に、実施例 1の蛍光体の発光スペクトルを測定した。当該測定結果を表 2に示し 、さら〖こ図 2、図 3に記載した。
図 2、図 3は、縦軸に実施例 1の蛍光体の発光強度を相対強度としてとり、横軸には 光の波長をとつたグラフである。ここで、発光スペクトルとは、ある波長の光またはエネ ルギ—を蛍光体に照射した際、蛍光体より放出される光のスペクトルである。図 2は、 実施例 1の蛍光体に励起光として波長 460 nmの単色光を照射した際、図 3は、同じ く励起光として波長 405nmの単色光を照射した際に、蛍光体から発光した光のスぺ
タトルを、実線を用いて示したものである。なお、発光スペクトル、励起スペクトルの測 定には日本分光 (株)社製分光蛍光光度計 FP— 6500を用いて測定した。
[0170] まず、図 2を用いて、当該蛍光体の発光スペクトルについて説明する。
図 2の実線から明らかなように、当該蛍光体の発光スペクトルは、波長 470nmから 750nmの広い波長域においてブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 559.3η mであった。(このときの発光強度および輝度の相対強度を 100%とした。)また、半 値幅を求めたところ 117.2nmであった。当該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたとこ ろ x=0.4156、y=0.5434であった。尚、粉末は黄色の蛍光色をしており、目視でも 黄色の発光色が確認できた。実施例 1の蛍光体は、広い波長域において非常に半 値幅の広いピークを持っためワンチップ型白色 LED照明用蛍光体として使用した場 合には、シャープなピークを持つ蛍光体を使用したものに比べ、演色性に優れた白 色 LED照明を作製することが可能となる。また、シャ一プなピ一クを持つ蛍光体の場 合には、太陽光に近 、スペクトルを実現するために数種類の蛍光体を混合する必要 があるが、当該蛍光体はプロ—ドなピ—クを有しているため、混合する蛍光体の種類 の数を少なくすることができ、安価に白色 LED照明を作製することが可能となる。
[0171] 表 2、図 3の実線は、励起光として波長 405nmの単色光を照射した際の発光スぺク トルの測定結果を示しており、 405nmの励起波長においても、波長 470nm力ら 750 nmの広 、波長域にお!ヽてブ口 ドなピークを持ち、そのピ ク波長は 552.3nmで あった。(発光強度および輝度は、当該実施例 1の蛍光体に励起光として波長 460η mの単色光を照射した際の発光スペクトルのピークの値を相対強度 100%としている 。)また、半値幅を求めたところ 119.5nmであり、当該発光スペクトルの色度 (x,y)は x = 0.3730、 y=0.5377であった。尚、目視でも黄色の発光色が確認できた。
[0172] 次に、図 4を用いて、実施例 1の蛍光体の励起スペクトルについて説明する。図 4は 縦軸に蛍光体の発光強度をとり、横軸には励起光の波長をとつたグラフである。ここ で、励起スペクトルとは、種々の波長の単色光を励起光として用いて被測定対象の 蛍光体を励起し、蛍光体が発光する一定波長の発光強度を測定し、その発光強度 の励起波長依存性を測定したものである。本測定においては、波長が 300nmから 5 70nmまでの単色光を実施例 1の蛍光体に照射し、当該蛍光体が発光する波長 559
.3nmの光の励起依存性を測定したものである。
[0173] 図 4の実線は、実施例 1の蛍光体の励起スペクトルである。この図 4の実線から明ら かなように、当該蛍光体の励起スペクトルは、波長 300nm付近から 500nmまでの広 い範囲の励起光で、高強度の黄色の発光を示すことがわかった。特に、現在、ワンチ ップ型白色 LED照明用の励起光として使用されている青色 LED、近紫外 ·紫外 LE Dの発光波長である 460nm、 405nm付近では、特に優れた励起帯を持っている蛍 光体である。
これ以降に説明する実施例 2、実施例 3、比較例 1、比較例 2、比較例 3の発光強度 および輝度についても、実施例 1の蛍光体に励起光として波長 460nmの単色光を 照射した際の発光スペクトルのピ—クの値を相対強度 100%としている。
[0174] (実施例 2)
実施例 2においては、実施例 1の各元素のモル比を Sr:Al:Si:Ce = 0.970:l:5:0. 030となるようにした以外は、実施例 1と同様にして実施例 2の蛍光体を作製している 。以下、詳細な作製方法を記述する。
市販の SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)を準備し、各元素のモル
3 3 4 2
it力 Sr:Al:Si:Ce = 0.970:l:5:0.030となるように各原料を、 SrCOを 0.970mol、
3
A1Nを 1.0mol、 Si Nを 5.0Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量し、大気中にて乳鉢を
3 4 2
用いて混合した。混合した原料を BNるつぼに入れ、窒素雰囲気中(フロー状態)、炉 内圧 0. 05MPaで 1800°Cまで 15°CZminで昇温し、 1800°Cで 3時間保持 '焼成し た後、 1800°Cから 200°Cまで 1時間で冷却した。その後、焼成試料を大気中にて適 当な粒径になるまで乳鉢を用いて解砕し、混合組成式 Sr Al Si O N : Ce (但し、 C
3 3 15 3 23 eZ(Sr+Ce) = 0.030)で示される実施例 2の蛍光体を得た。得られた蛍光体粉末の 分析結果を表 1 2に示す。
[0175] 得られた蛍光体の組成分析結果は、実施例 1と同様に構成元素の原子量、モル比 力 求めた理論値に近 、ものであった。多少のズレは測定誤差や蛍光体作製中に 混入した不純物によるものと考えられる。比表面積は 0.302m2Zg、また、 SEM径で 観察した 1次粒子径は約 12.3 μ m、レ—ザ—ドッブラ—測定法による平均粒子径 (D 50)は 16.85 /z mであり、 光体として好まし ヽ 1. 以上、 20.0 /z m以下、 it表
面積 0.05m2Zg以上 5.0m2Zg以下の範囲であった。
[0176] 次に、実施例 2の蛍光体の発光スペクトルを測定した。当該測定結果を表 2に示し 、さら〖こ図 2、図 3に記載した。
図 2の一点鎖線は、励起光として波長 460nmの単色光を照射した際の発光スぺク トルの測定結果を示しており、当該蛍光体は、波長 470nmから 750nmの広い波長 域においてブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 559.2nmであった。また、半 値幅を求めたところ 116.4nmであり、当該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.4171、y=0.5427であった。尚、粉末は黄色の蛍光色をしており、目視でも黄 色の発光色が確認できた。
[0177] 表 2、図 3に一点鎖線を用いて、励起光として波長 405nmの単色光を照射した際 の発光スペクトルの測定結果を示した。実施例 2の蛍光体は、 405nmの励起波長に ぉ 、ても、波長 470nm力ら 750nmの広 、波長域にお!ヽてブ口 ドなピ クを持ち、 そのピーク波長は 552.5nmであった。また、半値幅を求めたところ 118.0nmであり、 当該発光スペクトルの色度 (x,y)は x=0.3783、y=0.5389であった。尚、目視でも 黄色の発光色が確認できた。
[0178] 図 4の一点鎖線は、実施例 2の蛍光体の励起スペクトルである。本測定においては 、波長が 300nmから 570nmまでの単色光を実施例 2の蛍光体に照射し、当該蛍光 体が発光する波長 559.2nmの光の発光強度の励起依存性を測定したものである。 図 4の一点鎖線力も明らかなように、当該蛍光体の励起スペクトルも実施例 1と同様 に、波長 300nm付近から 500nmまでの広い範囲の励起光で、高強度の黄色の発 光を示すことがわかった。
実施例 2は、実施例 1に比べ Si、 Nのモル比が大きな組成である力 実施例 1と同 様に優れた発光特性を示した。
[0179] (実施例 3)
実施例 3では、実施例 1の蛍光体の組成式 Sr Al Si O N : Ce (但し、 Ce/(Sr+
2 2 9 2 14
Ce) = 0.030)で示される蛍光体において、付活剤である Ceを Euに置き換えた以外 は、実施例 1と同様にして実施例 3の蛍光体を作製したものである。各元素のモル比 は Sr:Al:Si:Eu=0.970:l:4.5:0.030であり、各原料を、 SrCOを 0.970mol、 A1N
を 1.0 mol、 Si Nを 4.5Z3 mol、 Eu Oを 0.030Z2mol秤量した。実施例 1と同じ
3 4 2 3
ように、得られた蛍光体粉末の分析結果を表 1 2に示す。
[表 1-2]
[0180] 得られた蛍光体の組成分析結果は、構成元素の分子量、モル比から求めた理論 値に近いものであった。比表面積は 0.291m2/g、また、 SEM径で観察した 1次粒 子径は約 13.: mであり、レ—ザ—ドップラ—測定法による平均粒子径 (D50)は 17 . 27 mであり、付活剤を Euにした場合にも組成分析結果、比表面積、 SEM径は、 Ceを付活した場合とほぼ同じ結果を得ることができた。
[0181] 次に、実施例 3の蛍光体の発光スペクトルを測定した。当該測定結果を表 2に示し 、さらに励起波長 Ex460nm、 Ex405nmを照射したときの発光スペクトルをそれぞれ 図 2、図 3に示す。
表 2、および図 2の二点鎖線は、励起光として波長 460 nmの単色光を照射した際 の発光スペクトルの測定結果を示している。表 2、図 2の二点鎖線より励起波長 Ex46 Onmにおける当該蛍光体は、波長 470nmから 750nmの広い波長域においてブロ —ドなピークを持ち、そのピーク波長は 613.8nmであった。また、半値幅を求めたと ころ 115.6nmであり、当該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.5573、 y = 0.4330であった。尚、粉末はオレンジ色をしており、目視でもオレンジ色の発光色 が確認できた。
[0182] また、表 2および、図 3の二点鎖線は、励起光として波長 405 nmの単色光を照射し た際の発光スペクトルの測定結果を示している。表 2、図 3の二点鎖線より励起波長 E x405nmにおける当該蛍光体は、波長 470nmから 750nmの広い波長域において ブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 607.9nmであった。また、半値幅を求め たところ 114.2nmであり、当該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.5083 、 y=0.4172であった。尚、目視でもオレンジ色の発光色が確認できた。
[0183] 実施例 3の蛍光体は、実施例 1の蛍光体と母体は同じであるものの、付活剤を Ceか ら Euにすることで、発光強度をほぼ維持したまま、発光スペクトルのピ一クを長波長 側にシフト(ピーク波長を Ceの約 560nmから Euの約 610nmへシフト)させることがで きた。これまでに提案されて 、るシリコンナイトライド蛍光体やサイアロン蛍光体では、 付活剤が変わるとピーク波長はシフトするものの、発光強度が大幅に低下してしまうと いう問題を抱えていたが、本実施例 3の母体は、 Ceと Euのどちらの付活剤において も優れた発光強度を示すという特徴を有する。さらに実施例 3の蛍光体は、ピーク波 長力約 610nmであり、オレンジ色の発光を示すため電球色の白色 LED照明用蛍光 体として有望である。さらに、これまでに提案されている酸窒化物や窒化物に Euを付 活したオレンジ色に発光する蛍光体は、発光スペクトルの半値幅が lOOnmを超える ものはなかった力 本実施例 3の蛍光体は半値幅が約 120nmもあり、非常にブロー ドな発光スペクトルを持った蛍光体である。
[0184] 図 5は、実施例 3の蛍光体の励起スペクトルである。尚、図 5は図 4と同様のグラフで ある。本測定においては、波長が 300nmから 570nmまでの範囲にある単色光を、 実施例 3の蛍光体に照射し、当該蛍光体が発光する波長 613.8nmの光における発 光強度の励起光波長への依存性を測定したものである。当該蛍光体の励起スぺタト ルカら、当該蛍光体は、波長 300nm付近から 550nmまでの広い範囲の励起光によ り励起され、高強度のオレンジ色の発光を示すことがわ力つた。更に、波長 350nm 力も 500nmの範囲において、単色の励起光が照射された際の発光強度を測定した 結果、当該所定波長を有する励起光を吸収して発光するスペクトルの強度が最大と なる励起波長における発光強度を P
H、発光強度が最小となる励起波長における発 光強度を Pとしたとき、(P — P )/P ≤0.10となった。つまり、励起光として、波長 3
L H L H
50nmから 550nmの範囲の単色光を用いた場合における発光強度のばらつきは 10 .0%以下と 、うことであり、励起帯が平坦であることを示して 、る。
[0185] 現在、白色 LED照明用蛍光体として使用されている黄色蛍光体 (YAG : Ce)などは 、 460nm付近で最も高効率の励起帯を持つものの、広い範囲にわたり効率の良い 励起帯を有して 、るわけではな 、ために、青色 LEDの製造時における発光素子の ばらつきによる発光波長のばらつきによって、当該青色 LEDの発光波長が、 YAG :
Ce系黄色蛍光体の最適励起範囲から外れてしまうことで、青色と黄色の発光強度の バランスが崩れ、白色光の色調が変化してしまうといった問題がある。これに対し、実 施例 3の蛍光体は励起帯が平坦であるため、発光素子の発光波長がばらついた場 合でも発光強度がほぼ一定となり、各色の発光強度のバランスが崩れることがなぐ 安定して同じ色調の白色 LED照明を製造することが可能であり、品質および製造コ ストの両面でメリットがある。
[0186] (比較例 1)
特許文献 1に記載の Sr Si N: Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce) = 0.030)で示される蛍光
2 5 8
体を作製し比較例 1とした。
比較例 1の蛍光体は以下のようにして作製した。
Sr N (2N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の市販されている試薬を原料として準備し、そ
3 2 3 4 2
れぞれ、各元素のモル比が Sr:Si:Ce= 1.94:5.0:0.06であり、各原料を Sr Nを 1.
3 2
94Z3mol、 Si Nを 5.0Z3 mol、 CeOを 0.060mol秤量し、窒素雰囲気下のグロ
3 4 2
ーブボックス中にて乳鉢を用いて混合した。以下の作製方法につ!、ては焼成温度を
1600°Cにした以外は、実施例 1と同様な方法で蛍光体試料を作製した。
[0187] 次に、実施例 1と同様にして、比較例 1の蛍光体の発光スペクトルを測定した。当該 測定結果を表 2、図 2および図 3 (長破線)に示す。図 2及び図 3の長破線から明らか なように、比較例 1の蛍光体はブロードな発光スペクトルを示した。また、図 2の長破 線に示すように、波長 460 nmの光で励起させた場合は、波長 557.2nmにピークを 持つ発光スペクトルを示し、実施例 1の相対強度を 100%とした場合に発光強度の 相対強度は 28.5%であり、輝度の相対強度は 32.6%であった。当該発光スペクトル の色度は (x,y)は、 x=0.3716、 y=0.5080であった。また、図 3の長破線に示すよう に、比較例 1の蛍光体は、励起波長 405nmの光で励起させた場合は、波長 562.0η mにピ―クを持つ発光スペクトルを示し、実施例 1の相対強度を 100%とした場合に 発光強度の相対強度は 56.4%であり、輝度の相対強度は 62.1%であった。当該発 光スぺタトノレの色度 (x,y)iま、 x=0.3901、y=0.4985であった。尚、目視で ίま緑色 の発光を確認できた。
[0188] (比較例 2)
特許文献 2に記載の Sr Al Si N : Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce) = 0.030)で示される
1.5 3 9 16
蛍光体を作製し比較例 2とした。
比較例 2の蛍光体は以下のようにして作製した。
Sr N (2N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の市販されている試薬を原料とし
3 2 3 4 2
て準備し、それぞれ、各元素のモル比が Sr:Al:Si:Ce= 1.455:3.0:9.0:0.045であ り、各原料を、 Sr Nを 1.455Z3mol、 A1Nを 3.0mol、 Si Nを 9.0Z3mol、 CeO
3 2 3 4 2 を 0.045mol秤量し、窒素雰囲気下のグロ ブボックス中にて乳鉢を用 、て混合した 。以下の作製方法については焼成温度を 1700°Cにした以外は、実施例 1と同様な 方法で蛍光体試料を作製した。
[0189] 次に、実施例 1と同様にして、比較例 2の蛍光体の発光スペクトルを測定した。当該 測定結果を表 2、図 2および図 3に短破線で示す。図 2および図 3の短破線から明ら かなように、比較例 2の蛍光体はブロードな発光スペクトルを示した。また、図 2の短 破線に示すように、波長 460 nmの光で励起させた場合は、波長 560.8nmにピーク を持つ発光スペクトルを示し、実施例 1の相対強度を 100%とした場合に発光強度の 相対強度は 16.0%であり、輝度の相対強度は 16.7%であった。当該発光スペクトル の色度は (x,y)は、 x=0.3992、 y=0.5116であった。また、図 3の短破線に示すよう に、比較例 2の蛍光体は、単色 405nmの光で励起させた場合は、波長 527.5nmに ピ―クを持つ発光スペクトルを示し、実施例 1の相対強度を 100%とした場合に発光 強度の相対強度は 20.9%であり、輝度の相対強度は 22.2%であった。当該発光ス ぺクトノレの色度 (x,y)iま、 x=0.3316、 y=0.4958であった。尚、目視で ίま、波長 460 nmの光による励起では黄色、波長 405nmの光による励起では緑色の発光を確認 できた。
[0190] (比較例 3)
特許文献 3に記載の SrAl SiO N: Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce) = 0.030)で示される
2 3 2
蛍光体を作製し比較例 3とした。
比較例 3の蛍光体は以下のようにして作製した。
SrCO (3N)、 A1N(3N)、 SiO (3N)、 CeO (3N)の市販されている試薬を原料とし
3 2 2
て準備し、それぞれ、各元素のモル比が Sr:Al:Si:Ce = 0.970:2.0: 1.0:0.030であ
り、各原料を、 SrCOを 0.970mol、 A1Nを 2.0mol、 SiOを 1.0mol、 CeOを 0.030
3 2 2 mol秤量し、大気中にて乳鉢を用いて混合した。以下の作製方法については焼成温 度を 1400°Cにした以外は、実施例 1と同様な方法で蛍光体試料を作製した。
[0191] 次に、実施例 1と同様にして、比較例 3の蛍光体の発光スペクトルを測定した力 波 長 460nm、 405nmの光で励起した場合は発光せず、測定不能であった。しかし、 簡易評価で波長 254nm、 366nmの励起光を照射した際には、目視で青色の発光 を確認できた。
さらに、焼成温度を 1800°Cで行った際には、原料が融解してしまった。
[0192] <実施例 1、 2、 3および比較例 1、 2、 3についての検討 >
表 2の組成式から明らかなように、実施例 1と実施例 2と実施例 3の新規組成を持つ 蛍光体は、比較例 1とは異なり構成元素に A1が含まれ、比較例 2のサイアロン蛍光体 とは異なった組成式を持ち(サイアロン組成式 M (Al,Si) (Ο,Ν) 、 0<χ≤ 1. 5)、
χ 12 16
比較例 3とは異なり、酸素より窒素のモル比が大きい値をとる蛍光体である。
表 2、図 2および図 3の結果から明らかなように、実施例 実施例 2、実施例 3の蛍 光体は、比較例 1から 3の蛍光体と比較して、波長 460nmの光で励起した場合は 3. 0倍以上の発光強度、 2.5倍以上の輝度を示し、波長 405nmの光で励起した場合は 1.5倍以上の発光強度および輝度を示し、従来の蛍光体に比べ高い発光強度およ び輝度を示す高効率な蛍光体であることが判明した。
[表 2]
[0193] (実施例 4から実施例 13) Ce付活量についての検討
実施例 4から実施例 13においては、混合組成式 Sr Al Si O N : Ceで示される蛍
2 2 9 2 14
光体にお 1、て、付活剤 Z元素 (Ce)の濃度を変化させた場合の発光強度および輝度 の変化を測定した。ここで、測定試料の製造においては、付活剤 Ceと Srの関係が m + z= lとなるように Srと Ceとの原料混合比を調整した。そして、実施例 1において説 明したように SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の各原料の混合比を
3 3 4 2
調整し、 Ce付活濃度を変更した以外は、実施例 1と同様にして蛍光体試料を作製し 、作製された蛍光体の発光強度および輝度を測定した。但し、 Ce付活濃度 CeZ(Sr + Ce)を、 0.001 (実施例 4)、 0.005 (実施例 5)、 0.010 (実施例 6)、 0.020 (実施 例 7)、 0.025 (実施例 8)、 0.030 (実施例 9)、 0.035 (実施例 10)、 0.040 (実施例 1 1)、 0.050 (実施例 12)、 0.100 (実施例 13)とした。
[0194] 当該測定結果を、表 3および図 6に示す。ここで、図 6は縦軸に当該各蛍光体試料 の発光強度の相対強度をとり、横軸には Srと Ceとの配合比 CeZ(Sr+Ce)の値をと つたグラフである。尚、発光強度および輝度においては、 CeZ(Sr +Ce) = 0.040 ( 実施例 11)のピ―ク波長における発光強度の値を 100%とした。尚、励起光として波 長 460nmの光を用いた。
[0195] 表 3および図 6の結果から明らかなように、 CeZ(Sr+Ce)の値が小さな領域では、 Ce/(Sr + Ce)の値の増加と共に発光強度および輝度が上昇するが、 Ce/(Sr+ Ce) = 0.040付近をピークとして、 Ce/(Sr + Ce)の値の増加と共に発光強度および 輝度は下がっていく。これは、 CeZ(Sr+Ce)= 0.040より少ない部分では付活剤元 素が不足するため、 CeZ(Sr + Ce) = 0.040より多 、部分では付活剤元素による濃 度消光が見られるためであると考えられる。
一方、表 3の結果から明らかなように、 CeZ(Sr+Ce)の値の増加と共に、 CeZ(Sr + Ce) = 0.001 (実施例 4)のデータを除くと、ピーク波長の値が長波長側にシフトし ていくことが確認された。
尚、当該発光強度および輝度の測定と並行して、発光スペクトルの色度 (x,y)も測定 し、その結果を表 3に示す。
[0196] (実施例 14から実施例 23) Eu付活量にっ 、ての検討
実施例 14から実施例 23においては、混合組成式 Sr Al Si O N : Euで示される
2 2 9 2 14
蛍光体にお!ヽて、付活剤 Z元素 (Eu)の濃度を変化させた場合の発光強度および輝 度の変化を測定した。ここで、測定試料の製造においては、実施例 4〜13と同様に、 付活剤 Euと Srの関係が m+z= 1となるように Srと Euとの原料混合比を調整した。そ して、実施例 3において説明した SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 Eu O (3N)
3 3 4 2 3 の各原料の混合比を調整し、 Eu付活濃度を変更した以外は、実施例 3と同様にして 蛍光体試料を作製し、作製された蛍光体の発光強度および輝度を測定した。但し、 Eu付活濃度 EuZ(Sr+Eu)は、 0.001 (実施例 14)、 0.005 (実施例 15)、 0.010 ( 実施例 16)、 0.020 (実施例 17)、 0.025 (実施例 18)、 0.030 (実施例 19)、 0.035 ( 実施例 20)、 0.040 (実施例 21)、 0.050 (実施例 22)、 0.100 (実施例 23)とした。
[0197] 当該測定結果を、表 4および図 7に示す。ここで、図 7は縦軸に当該各蛍光体試料 の発光強度の相対強度をとり、横軸には Srと Euとの配合比 EuZ(Sr+Eu)の値をと つたグラフである。尚、発光強度および輝度においては、 EuZ(Sr+Eu) = 0.050 ( 実施例 22)のピ―ク波長における発光強度の値を 100%とした。尚、励起光として波 長 460nmの光を用いた。
[0198] 表 4および図 7の結果から明らかなように、 EuZ(Sr+Eu)の値が小さな領域では、 Eu/(Sr + Eu)の値の増加と共に発光強度および輝度が上昇するが、 EuZ(Sr + E u) = 0.050付近をピークとして、 EuZ(Sr+Eu)の値の増加と共に発光強度および輝 度は下がっていく。これは、 EuZ(Sr+Eu) = 0.050より少ない部分では付活剤元素 が不足するため、 EuZ(Sr + Eu) = 0.050より多 、部分では付活剤元素による濃度
消光が見られるためと考えられる。しかし、実施例 4から 13の Ce付活濃度の場合と比 較して、付活濃度の高い領域での濃度消光による発光強度の低下は緩やかである。 これは、 Euと Ceのイオン半径の違い、および価数の違いによるものと考えられる。 一方、表 4の結果から明らかなように、 EuZ(Sr+Eu)の値の増加と共に、 EuZ(Sr +Eu) = 0.001 (実施例 14)、 EuZ(Sr+Eu) = 0.050 (実施例 22)、のデータを除く と、ピーク波長の値が長波長側にシフトしていくことが確認された。
尚、当該発光強度および輝度の測定と並行して、発光スペクトルの色度 (x,y)も測定 した。その結果を表 4に示す。
[表 4]
(実施例 24から実施例 32) AlZSr比の変更
実施例 24から実施例 32においては、混合組成式 Sr Al Si O Nn:Ce (Ce/(Sr
2 a 9 O
+ Ce) = 0.030、 n=2/3m+a+4/3b-2/3o, m=2.0、 b = 9.0、 O≤2.0)で 示される蛍光体において、 Sr、 Siのモル比を、それぞれ 2、 9に固定し、 aZm比(ここ で、 aZmと AlZSrとは同じ意味を持つ。)を変化させた場合の発光強度および輝度 の変化を測定した。ここで、測定試料の製造においては、実施例 1で説明した、 SrC O (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の各原料のうち A1N(3N)のみの混合比
3 3 4 2
を調整した以外は、実施例 1と同様にして蛍光体試料を作製し、作製された蛍光体 の発光強度および輝度を測定した。但し、調整した A1と Srの配合比は、、 AlZSr= 0.50 (実施例 24)、 AlZSr=0.75 (実施例 25)、 AlZSr=0.90 (実施例 26)、 A1Z Sr= 1.00 (実施例 27)、 AlZSr= 1.10 (実施例 28)、 Al/Sr= 1.25 (実施例 29)、 AlZSr= 1.50 (実施例 30)、 AlZSr=2.00 (実施例 31)、 AlZSr=3. 00 (実施例
32)とした。
[0200] 当該測定結果を、表 5および図 8に示す。ここで、図 8は縦軸に当該各蛍光体試料 の発光強度の相対強度をとり、横軸には Srと A1との配合比 AlZSrの値をとつたダラ フである。尚、発光強度および輝度においては、 AlZSr= 1.0 (実施例 27)のピ―ク 波長における発光強度の値を 100%とした。そして、 AlZSrの値を、 0.50から 3. 00 まで調整した結果を示す。尚、励起光として波長 460nmの光を用いた。
[0201] 表 5および図 8の結果から明らかなように、 AlZSrの値が小さな領域では、値の増 カロと共に発光強度および輝度が上昇するが、 AlZSr= 1.0 (実施例 27)付近をピ— クとして発光強度および輝度が低下する。
これは、 AlZSr= 1.0から大きく外れると、焼成後の蛍光体に未反応原料が残って しまうことや、発光している相とは異なる相が生成してしまうこと、また、 AlZSrが 1.5 以上になると X線回折ピーク強度が低下することから、蛍光体の母体構造の結晶性 が低下すること、さらに、発光に適した構造が崩れ、発光に寄与しない不純物相が生 成することが原因と考えられる。これらの原因により AlZSr= 1.0からずれてしまうと 発光強度および輝度は低下してしまうが、 A1の適正量は Siや酸素の組成の変動によ つてわずかに変化するため、少しのズレであれば影響が小さぐ 0.75<A1/Sr< l. 5であれば AlZSr= 1.0の 80%以上の発光強度および輝度の値を有する。
[表 5]
(実施例 33から 42) SiZSr比の変更
実施例 33力ら 42においては、原料混合組成式 Sr Al Si O N: Ce (Ce/(Sr
2 2 b 2 n 0.060
+ Ce) = 0.030、 n=2/3m+a+4/3b-2/3o,但し m=2.0、 a=2.0)で示され
る蛍光体において、 Sr、 A1のモル比を、それぞれ 2、 2に固定し、 bZm比(ここで、 b Zmと SiZSrは同じ意味を持つ。)を変化させた場合の発光強度および輝度の変化 を測定した。ここで、測定試料の製造においては、実施例 1で説明した、 SrCO (3N)
3
、 A1N(3N), Si N (3N), CeO (3N)の各原料のうち Si N (3N)のみの混合比を調整
3 4 2 3 4
した以外は、実施例 1と同様にして蛍光体試料を作製し、作製された蛍光体の発光 強度および輝度を測定した。但し、調整した Siと Srの配合比は、 SiZSr= 1.0 (実施 例 33 SiZSr= 1.5 (実施例 34 SiZSr= 2.0 (実施例 35 SiZSr= 3.0 (実施 例 36 SiZSr=4.0 (実施例 37 SiZSr=4.5 (実施例 38 SiZSr= 5.0 (実施 例 39 SiZSr= 5.5 (実施例 40 SiZSr=6.0 (実施例 41 SiZSr= 7.0 (実施 例 42)とした。
当該測定結果について、表 6、図 9を参照しながら説明する。ここで、図 9は縦軸に 当該蛍光体試料の発光強度の相対強度をとり、横軸には Srと Siとの配合比 SiZSr の値をとつたグラフである。尚、発光強度および輝度においては、 SiZSr=4.5 (実 施例 38)のピ―ク波長における発光強度の値を 100%とした。そして、 SiZSrの値を 、 1.0から 7.0まで調整した結果を示す。尚、励起光として波長 460nmの光を用いた
[表 6]
図 9の結果から明らかなように、 SiZSrの値が小さな領域では、 SiZSrの値の増加 と共に発光強度が上昇するが、 SiZSr=4.5 (実施例 38)でピークとなり、 Si/Sr = 4.5を超えると発光強度が低下した。これは、 SiZSr= 4.5付近から大きく外れてし まうと、実施例 24から 32において AlZSrについて説明したときと同様に、焼成後の
蛍光体に未反応原料が残ってしまうことや、不純物相が生成してしまうこと、さらに、 X 線回折ピーク強度が低下することから母体構造の結晶性が低下し、発光に適した構 造が崩れていくことが原因と考えられる。特に、 SiZSrを 4.5より小さくしていくと、低 角度側に見られるピ―クは消滅し、新たなピ―クが現れてくるのが確認でき、 4.5より 大きくしていくと低角度側に見られるピ一クが消滅してしまうことが確認できることから 、 SiZSr= 4.5の関係力 大きくズレてしまうと発光に寄与しない不純物相が生成し てしまうことや、結晶性が低下してしまうことが解った。しかし、小さなズレであれば影 響は小さく、 3.5≤SiZSr≤6.0であれば、 SiZSr=4.5の場合における 80%以上 の発光強度および輝度の値を有する。
[0205] (実施例 43から実施例 50) Srモル比の変更
実施例 43から実施例 50においては、原料混合組成式 Sr Al Si O N: Ce (Ce/( m 2 9 2 n
Sr+Ce) = 0.030、 n= 2/3m+a+4/3b- 2/3o,但し a = 2.0、 b = 9.0、 o= 2. 0)で示される蛍光体において、 Al、 Siのモル比を、それぞれ 2、 9に固定し、 Srのモ ル比を変化させた場合の発光強度および輝度の変化を測定した。(ここで、 aと Srは 同じ意味を持つものとする。 a = Sr)ここで、測定試料の製造においては、実施例 1で 説明した、 SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)〖こ加えて、 Oを常に o =
3 3 4 2
2.0とするため、 Al O (3N)原料を追加して混合比を調整した以外は、実施例 1と同
2 3
様にして蛍光体試料を作製し、作製された蛍光体の発光強度および輝度を測定した 。但し、調整した Srのモル比は、 Sr=0.50 (実施例 43)、 Sr= 1.00 (実施例 44)、 Sr = 1.50 (実施例 45)、 Sr= 2.00 (実施例 46)、 Sr= 2.50 (実施例 47)、 Sr= 3.00 ( 実施例 48)、 Sr =4.00 (実施例 49)、 Sr= 6.00 (実施例 50)とした。
[0206] 当該測定結果について、表 7、図 10を参照しながら説明する。ここで、図 10は縦軸 に当該蛍光体試料の発光強度の相対強度をとり、横軸には Srモル比の値をとつたグ ラフである。尚、発光強度および輝度においては、 Sr= 2.00 (実施例 46)のピ―ク波 長における発光強度の値を 100%とした。そして、 Srモル比の値を、 0.50力 6.00 まで調整した結果を示す。尚、励起光として波長 460nmの光を用いた。
[0207] 図 10の結果から明らかなように、 Srモル比が小さな 0.50 (実施例 43)、 1.00 (実施 例 44)では、波長 460nm、 405nmの光で励起した場合に発光するものは得られな かった。更に、簡易評価として波長 366nmの紫外線ランプの光を照射しところ、目視 により青色の発光色を確認することができた。これは、 Srモル比の小さな 0.50、 1.00 では、 Srが Sr原料である SrCOの混合粉末中に占める割合が小さぐ SrCOカ^ラ
3 3 ックスとして良好に作用しないために黄色に発光する相が生成せず、他の相が生成 したために、短波長の励起光により青色に発光したものと考えられる。また、 Srモル 比を 1.00より徐々に増加させていくと、 Srモル比の増加と共に発光強度及び輝度が 上昇するが、 Sr= 2.00 (実施例 46)でピ―クとなり、 2.00を超えると発光強度が低下 する。
[0208] (実施例 51から実施例 60)酸素濃度の変更
実施例 51から実施例 60においては、組成式 Sr Al Si O N : Ce (Ce/(Sr+Ce)
2 2 9 O n
= 0.030、 n= 2/3m+a+4/3b- 2/3o, m= 2.0、 a = 2.0、 b = 9.0)で示される 当該蛍光体試料において、 Sr、 Al、 Siのモル比を 2、 2、 9にそれぞれ固定し、 o/m 比 (酸素濃度)を変化させた場合の発光強度および輝度の変化を測定した。ここで、 測定試料の製造においては、 Sr N (2N)、 SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Al O (3N)、 Si
3 2 3 2 3 3
N (3N)、 SiO (3N)、 CeO (3N)の各原料を所定のモル比で仕込むことにより酸素濃
4 2 2
度を変更した以外は、実施例 1と同様にして蛍光体試料を作製し、発光強度および 輝度を測定した。
[0209] 原料秤量時に調整した oZm比力 o/m=0.0 (実施例 51)、 oZm=0.2 (実施例 52) , o/m = 0.50 (実施例 53)の実施例については、原料として Sr N 、 Al O 、 A
3 2 2 3
1N、 Si Nを使用し、 oZm= 1.00 (実施例 54)、 oZm= 1.25 (実施例 55)、 oZm
= 1.5 (実施例 56)、 oZm= 2.0 (実施例 57)、 oZm= 3.0 (実施例 58)の実施例に ついては、原料として SrCO、 Al O、 A1N、 SiO、 Si Nを使用し、 oZm= 5.0 (実
3 2 3 2 3 4
施例 59)、 oZm= 10.0 (実施例 60)の実施例については、原料として Sr N、 Al O
3 2 2
、 SiO、 Si Nを使用している。
3 2 3 4
[0210] 当該測定結果について、表 8、図 11を参照しながら説明する。ここで、図 11は縦軸 に当該蛍光体試料の発光強度の相対強度をとり、横軸には蛍光体中の酸素濃度( 重量%)の値をとつている。尚、発光強度および輝度においては、 oZm= 1.0 (実施 例 54)のピ―ク波長における発光強度の値を 100%とした。尚、励起光として波長 46 Onmの光を用いた。
表 8、図 11の結果から明らかなように、当該各蛍光体の発光強度および輝度は、酸 素濃度が 2.5から 3.5重量%をピ一クとして増加した場合と低下した場合とでは共に 低下し、酸素濃度 4.0重量%以上では著しく低下してしまう。さらに、酸素濃度が 10. 0重量%以上になった場合には、当該各蛍光体は融解してしまい、ガラス状になって しまう。
[表 8]
[0211] これは、酸素濃度が 4.0重量%以上になると、蛍光体の母体構造のガラス化が徐々 に始まり、 10.0重量%以上で完全にガラスとなり、結晶構造が崩れて結晶性が低下 したためと考えられる。実際、酸素濃度の異なる試料について X線回折測定を行った ところ、酸素濃度が増加するにつれて回折のピ―ク強度が著しく低下し、さらには回 折ピークの半値幅が次第に広がり、酸素濃度の上昇とともに当該各蛍光体がガラス 化していることを確認できた。蛍光体の母体構造がガラス化してしまうと、発光中心と
なる Ceイオン周囲の構造が不規則になってしまうため、発光中心同士の間隔にバラ ツキが生じたり、母体が吸収した励起光力 のエネルギーを発光中心まで効率よく伝 達できないといったことが原因で、あるところでは効率良く発光するが、別のところで は全く発光しない場所などが存在してしまうため、蛍光体全体としての発光強度が低 下するのであると考えられる。従って、当該蛍光体中の酸素濃度としては 10重量% 以下であれば良いが、発光特性および焼成後の粉体特性を考慮すると 0.5重量% 以上、 8.1重量%以下 (モル比に換算して規定すると、 0.0< o/m≤4. 0)が好まし ぐ更に好ましくは、酸素濃度 0.5重量%から 5.0重量% (モル比に換算して規定する と、 0.0< o/m≤3. 0)の範囲内であれば、十分な発光強度および輝度を得ることが できると考えられる。
[0212] 次に、実施例 61から 82は原料混合時の組成の A1量と酸素量を増加させて試料を 作製し、発光特性並びに温度特性の比較を行った。
(実施例 61)
実施例 61では、まず焼成上がりの狙い組成が SrAl Si O N : Ce (但し、 C
1.43 3.81 0.59 6.79
e/(Sr + Ce) = 0.030)である蛍光体を製造した。
原料としては市販の SrCO (3N)、 A1N(3N)、 Al O (3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)
3 2 3 3 4 2 を準備し、各元素のモル比が Sr:Al:Si:O:Ce = 0.970:l.3:4.5:1.31:0.030となるよ うに各原料を、 SrCOを 0.970 mol、 Al Oを (1.31 - 0.976)/3mol, A1Nを 1.3
3 2 3
— ((1.31— 0.976)Z3) X 2mol、 Si Nを 4.5Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量し、
3 4 2
大気中にて乳鉢を用いて混合した。なお、混合組成式で表記すると、 SrAl Si O
1.3 4.5 1.3
N : Ceである。実施例 61から 82は混合組成式ではなぐ狙い組成で示している。
1 7.1
[0213] 実施例 1と同様に、混合した原料を BNるつぼに入れ、炉内を一度真空引きした後 、窒素雰囲気中(フロー状態、 20.0lZmin)、炉内圧 0. 05MPaで 1800°Cまで 15 °CZminで昇温し、 1800°Cで 3時間保持 *焼成した後、 1800°Cから 50°Cまで 1時間 30分で冷却した。その後、焼成試料を大気中にて適当な粒径になるまで乳鉢を用い て解砕し、組成式 SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce) = 0.030)で示
1.43 3.81 0.59 6.79
される実施例 61の蛍光体を得た。
[0214] 得られた蛍光体粉末の分析結果、平均粒子径 (D50)、比表面積 (BET)を表 9に示
す。尚、 Siは重量法(吸光光度法)、その他の元素は ICPによる測定、平均粒子径 (D 50)はレーザー回折散乱法、比表面積は BET法、によって測定した。得られた蛍光 体粉末の平均粒子径 (D50)は 24.40 m、比表面積は 0.225m2Zgであり、蛍光体 粉末として好ましい粒径である 1. O /z m以上、 50. 0 m以下であることが解った。
[0215] 次に、実施例 61に係る蛍光体の発光スペクトルを測定した。該測定結果を表 10〖こ 示し、さらに、図 12に示した。図 12は、縦軸に蛍光体の発光強度を相対強度としてと り、横軸には光の波長をとつたグラフである。ここで、発光スペクトルとは、ある波長の 光またはエネルギーを蛍光体に照射した際、蛍光体より放出される光のスペクトルで ある。図 12の実線は、実施例 61の蛍光体に励起光として波長 460nmの単色光を照 射した際に、蛍光体力も発光した光のスペクトルを示したものである。
[0216] 図 12から明らかなように、該蛍光体の発光スペクトルは、波長 470nm力ら 750nm 付近の広い波長域においてブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 556.0nmで あった。(このときの発光強度の相対強度を 100%とした。)また、半値幅を求めたとこ ろ 117.1 nmであった。該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.4045、 y= 0.5481であった。尚、粉末は黄色の蛍光色をしており、目視でも黄緑色の発光色が 確認できた。実施例 61の蛍光体は、広い波長域において半値幅 lOOnm以上という 非常に半値幅の広いピークを持っため、白色 LED照明用蛍光体として使用した場 合には、シャープなピークを持つ蛍光体を使用したものに比べ、輝度、演色性に優 れた白色 LED照明を作製することが可能となる。また、シャープなピークを持つ蛍光 体の場合、演色性の向上のためには数種類の蛍光体を混合する必要があるが、該 蛍光体はブロードなピークを有しているため、混合する蛍光体の種類の数や使用量 を少なくすることができ、安価に白色 LED照明を作製することが可能となる。
[0217] さらに、実施例 61の蛍光体に励起光として波長 405nmの単色光を照射した際に、 蛍光体力も発光した光のスペクトルを表 10に示し、さらに、図 12に破線で示す。 Ex4 05nmで励起した場合には、 Ex460nmの場合に比べ、発光強度が約 20%向上し ている。ピーク波長は 531.5nm、半値幅は 118. lnmであり、発光スペクトルの半値 幅は 80nm以上であった。色度 (x,y)は x=0.3476、 y=0.5305であった。
[0218] 次に、図 13を用いて、実施例 61に係る蛍光体の励起スペクトルについて説明する
。図 13は縦軸に蛍光体の発光強度をとり、横軸には励起光の波長をとつたグラフで ある。ここで、励起スペクトルとは、種々の波長の単色光を励起光として用いて被測定 対象の蛍光体を励起したとき、該蛍光体が発光する一定波長の発光強度を測定し、 その発光強度の励起波長依存性を測定したものである。本測定においては、波長が 250nmから 550nmまでの単色光を実施例 61の蛍光体に照射し、該蛍光体が発光 する波長 556.0nm (緑色光)の発光強度の励起依存性を測定したものである。
[0219] 図 13から明らかなように、該蛍光体は、波長 300nm付近から 500nm付近までの 広い範囲の励起光で、高強度の緑色の発光を示すことがわかった。特に、波長 400 nm力 480 nmの励起光で最も高い発光効率を示し、現在、ワンチップ型白色 LED 照明用の励起光として使用されている発光波長が 460nmの青色 LEDや 405nmの 近紫外.紫外 LEDと組み合わせることで、輝度の高い発光装置を製造することが可 能である。
[0220] 次に、実施例 61で得られた蛍光体の発光強度の温度特性を測定した。該測定結 果を表 10に示し、さらに図 14に示す。
該蛍光体を、 25。C、 50。C、 100。C、 150。C、 200。C、 250。C、 300。Cと昇温し、測 定温度に達してから、試料全体の温度を均一にするため 5分間はその温度を保持し 、その後、発光強度の測定を行なった。また、温度を上昇させる前の室温 (25°C)での 発光強度の値を 100%として、各測定温度における発光強度を相対強度として測定 した。尚、発光強度の測定を昇温時に行った後、冷却を行い、再び 25°Cで発光強度 の測定を行った。さらに同様の測定を、励起光として波長 405nmの単色光を照射し た場合も行った。
[0221] 図 14—1、 2は、縦軸には、昇温前 (25°C)における発光強度を 100%としたときの 相対発光強度をとり、横軸には、該蛍光体の発光強度測定を行った測定温度をとつ たグラフであり、図 14— 1は励起光として波長 460nmの単色光を照射した場合であ り、図 14— 2は励起光として波長 405nmの単色光を照射した場合である。該図 14— 1、 2へ、実施例 61に係る蛍光体の測定結果を太実線で示す。
[0222] 図 14 1の結果から、実施例 61に係る蛍光体へ励起光として波長 460nmの単色 光を照射した際には、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を 1
00%としたとき、 ¾J定温度 100°Cでは 94.4%、 200°Cでは 85.8%、 300°Cでは 73.4 %となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 98.8%であり、低 下はほとんど見られず、測定誤差と!/ヽつてよ!/ヽ程度であった。
[0223] 実施例 61に係る蛍光体へ励起光として波長 405nmの単色光を照射した際(25°C )には、実施例 61の蛍光体に励起光として波長 460nmの単色光を照射した際(25 °C)の発光強度の値を 100%としたとき、 119.9%の発光強度を示した。次に、図 14 2の結果から、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を 100% としたとさ、柳』定温度 100°Cでは 92.0%、 200°Cでは 80.9%、 300°Cでは 66.5%と なった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 98.9%であり、低下は ほとんど見られず、測定誤差と ヽつてよ!/ヽ程度であった。
[0224] (実施例 62)
実施例 62では、焼成上がりの狙い組成が SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ
1.33 4.09 0.65 7.02
(Sr+ Ce) = 0.030)である蛍光体を製造した。原料混合時に、各元素のモル比が Sr: Al:Si:0:Ce = 0.970: 1.25:4.75: 1.31 :0.030となるように各原料を、 SrCOを 0.9
3
70mol、 Al Oを (1.31— 0.976)Z3mol、 A1Nを 1.25— ((1.31— 0.976)Z3) X 2
2 3
mol、 Si Nを 4.75Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量した以外は、実施例 61と同様
3 4 2
にして、組成式 SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr+ Ce) = 0.030)で示さ
1.33 4.09 0.65 7.02
れる実施例 62に係る蛍光体を得た。得られた蛍光体粉末の分析結果、平均粒子径( D50)、比表面積 (BET)を表 9に示す。得られた蛍光体の比表面積は 0.264m2Zg であった。平均粒子径 (D50)は、蛍光体粉末として好ましい 1. 以上、 50. 0 μ m以下の粒径であることが解った。
[0225] 次に、実施例 61と同様にして、実施例 62に係る蛍光体の発光スペクトルを測定し た。該測定結果を表 10に示す。表 10に示すように、励起光として波長 460nmの単 色光を照射すると、該蛍光体の発光スペクトルは、実施例 61に係る蛍光体と同じく波 長 470nm力ら 750 nmの広い波長域においてブロードなピークを持ち、そのピーク 波長は 555.6nmであった。また、半値幅を求めたところ 115.6nmであり、該発光ス ベクトルの色度 (x,y)を求めたところ x= 0.4040、 y= 0.5481であった。尚、粉末は黄 色の蛍光色をしており、目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光
体の相対強度を 100%とした場合、実施例 62に係る蛍光体の発光強度の相対強度 は 94.0%であった。
[0226] 次に、表 10に示すように、励起光として波長 405nmの単色光を照射すると、該蛍 光体の発光スペクトルは、実施例 61に係る蛍光体と同じく波長 470nmから 750nm の広い波長域においてブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 533.5nmであつ た。また、半値幅を求めたところ 116.2nmであり、該発光スペクトルの色度 (x,y)を求 めたところ x=0.3508、 y=0.5340であった。尚、粉末は黄色の蛍光色をしており、 目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光体の相対強度を 100% とした場合、実施例 62に係る蛍光体の発光強度の相対強度は 110.9%であった。
[0227] 次に、波長が 250nmから 550nmまでの単色光を実施例 62に係る蛍光体へ照射 し、該蛍光体が発光する波長 555.6nmの発光強度の励起依存性を測定したところ、 該蛍光体の励起スペクトルも実施例 61に係る蛍光体と同様に、波長 300nm付近か ら 500nmまでの広 、範囲の励起光で、高強度の緑色の発光を示すことがわ力つた。
[0228] 次に、実施例 62で得られた蛍光体の発光強度の温度特性を、実施例 61と同様に 測定した。該測定結果を表 10に示し、さらに、図 14—1、 2へ太 1点鎖線を用いて実 施例 61と同様に示す。
[0229] 図 14 1の結果から、実施例 62に係る蛍光体へ励起光として波長 460nmの単色 光を照射した際には、該蛍光体は、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、柳』定温度 100°Cでは 93.0%、 200°Cでは 83.8%、 30 0°Cでは 70.8%となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 98. 4%であり、低下はほとんど見られず、測定誤差といってよい程度であった。
[0230] 図 14 2の結果から、実施例 62に係る蛍光体へ励起光として波長 405 nmの単色 光を照射した際には、該蛍光体は、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、測定温度 100°Cでは 90.9%、 200°Cでは 78.8%、 30 0°Cでは 64.6%となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 98. 6%であり、低下はほとんど見られず、測定誤差といってよい程度であった。
実施例 62に係る蛍光体は、実施例 61に係る蛍光体とは若干 Al、 Si、 N、 Oのモル 比が異なる組成であるが、実施例 61と同様に優れた発光特性を示した。
[0231] (実施例 63)
実施例 63では、焼成上がりの狙い組成が SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ
1.28 3.40 0.72 5.99
(Sr + Ce) = 0.030)である蛍光体を製造した。
各元素のモノレ比が Sr:Al:Si:O:Ce = 0.970:l.25:4.25:1.56:0.030となるように 各原料を、 SrCOを 0.970mol、 Al Oを (1.56— 0.976)Z3mol、 A1Nを 1.25— ((1
3 2 3
.56— 0.976)/3) X 2mol、 Si N ^4.25/3 mol、 CeOを 0.030 mol秤量した以
3 4 2
外は、実施例 61と同様にして、組成式 SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr
1.28 3.40 0.72 5.99
+ Ce) = 0.030)で示される実施例 63に係る蛍光体を得た。得られた蛍光体粉末の 分析結果、平均粒子径 (D50)、比表面積 (BET)を表 9に示す。得られた蛍光体の比 表面積は 0.231m2Zgであった。平均粒子径 (D50)は、蛍光体粉末として好ましい 1 . 0 μ m以上、 50. 0 μ m以下の粒径であることが解った。
[0232] 次に、実施例 61と同様にして、実施例 63に係る蛍光体の発光スペクトルを測定し た。該測定結果を表 10に示す。表 10に示すように、励起光として波長 460nm、 405 nmの単色光を照射した際の発光スペクトルの測定結果を示しており、励起光として 波長 460nmの単色光を照射すると、該蛍光体は、実施例 61に係る蛍光体と同様に 波長 470nm力ら 750nmの広 、波長域にお!ヽてブ口 ドなピ クを持ち、そのピ一ク 波長は 555.6nmであった。また、半値幅を求めたところ 116.0nmであり、該発光ス ベクトルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.3996、 y=0.5498であった。尚、該粉末は 黄色の蛍光色をしており、目視でも緑色の発光色が確認できた。そして、実施例 61 に係る蛍光体の相対強度を 100%とした場合、実施例 63に係る蛍光体の発光強度 の相対強度は 93.5%であった。
[0233] 次に、表 10に示すように、励起光として波長 405nmの単色光を照射すると、該蛍 光体の発光スペクトルは、実施例 61に係る蛍光体と同じく波長 470nmから 750nm の広 、波長域にぉ ヽてブ口 ドなピ クを持ち、そのピーク波長は 530.4nmであつ た。また、半値幅を求めたところ 115.9nmであり、該発光スペクトルの色度 (x,y)を求 めたところ x=0.3434、 y=0.5302であった。尚、粉末は黄色の蛍光色をしており、 目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光体の相対強度を 100% とした場合、実施例 62に係る蛍光体の発光強度の相対強度は 111.4%であった。
[0234] 次に、波長が 250nmから 550nmまでの単色光を実施例 63に係る蛍光体に照射し 、該蛍光体が発光する波長 555.6nmの発光強度の励起依存性を測定したところ、 該蛍光体の励起スペクトルも実施例 61と同様に、波長 300nm付近から 500nmまで の広 、範囲の励起光で、高強度の緑色の発光を示すことがわ力つた。
[0235] 次に、実施例 63で得られた蛍光体の発光強度の温度特性を、実施例 61と同様に 測定した。該測定結果を表 10に示し、さらに、図 14—1、 2へ太 2点鎖線を用いて実 施例 61と同様に示す。
[0236] 図 14 1の結果から、実施例 63に係る蛍光体に励起光として波長 460nmの単色 光を照射した際には、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を 1 00%としたとき、柳』定温度 100°Cでは 93.7%、 200°Cでは 84.1%、 300°Cでは 69.6 %となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 97.1%であり、低 下はほとんど見られず、測定誤差と!/ヽつてよ!/ヽ程度であった。
[0237] 図 14— 2の結果から、実施例 63に係る蛍光体に励起光として波長 405nmの単色 光を照射した際には、該蛍光体は、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、測定温度 100°Cでは 91.0%、 200°Cでは 77.9%、 30 0°Cでは 62.3%となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 97. 5%であり、低下はほとんど見られず、測定誤差といってよい程度であった。
実施例 63に係る蛍光体も、実施例 61、 62に係る蛍光体とは、若干 Al、 Si、 N、 O のモル比が異なる組成である力 実施例 61に係る蛍光体と同様に優れた発光特性 を示した。
[0238] (実施例 64)
実施例 64では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N : Ce (但し
1.13 4.32 0.64 7.13
、 Ce/(Sr + Ce) = 0.030)である蛍光体を製造した。
各元素のモル比が Sr:Al:Si:O:Ce = 0.970:1.0:4.5:1.06:0.030となるように各原 料を、 SrCOを 0.970mol、 Al Oを (1.06— 0.976)/3mol、 A1Nを 1.00— ((1.06
3 2 3
— 0.976)Z3) X 2mol、 Si Nを 4.5Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量した以外は、
3 4 2
実施例 61と同様にして、組成式 SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce)
1.13 4.32 0.64 7.13
= 0.030)で示される実施例 64に係る蛍光体を製造した。製造された蛍光体粉末の
分析結果、平均粒子径 (D50)、比表面積 (BET)を表 9に示す。得られた実施例 64〖こ 係る蛍光体の比表面積は 0.254m2Zgであった。平均粒子径 (D50)は 24.08 mで あった。尚、実施例 64は先に示した実施例 1とほぼ同様な組成である力 実施例 1の 原料混合量より酸素量を 0.06mol増加した混合組成である。
[0239] 次に、実施例 61と同様にして、実施例 64に係る蛍光体の発光スペクトルを測定し た。該測定結果を表 10に示す。表 10に示すように、励起光として波長 460nmの単 色光を照射したすると、該蛍光体の発光スペクトルは、実施例 61に係る蛍光体と同じ く波長 470nmから 750nmの広い波長域においてブロードなピークを持ち、そのピー ク波長は 559.2nmであった。半値幅を求めたところ 118.8nmであり、該発光スぺタト ルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.4125、 y=0.5431であった。尚、該蛍光体粉末 は黄色の蛍光色をしており、目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る 蛍光体における発光強度の相対強度を 100%とした場合、実施例 64に係る蛍光体 の相対強度は 94.6%であった。
[0240] 次に、表 10に示すように、励起光として波長 405nmの単色光を照射すると、該蛍 光体は、実施例 61に係る蛍光体と同様に波長 470nmから 750nmの広い波長域に おいてブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 551.0nmであった。また、半値幅 を求めたところ 121.5nmであり、該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたところ x =0.3 699、 y=0.5343であった。尚、該蛍光体粉末は黄色の蛍光色をしており、目視でも 緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光体における発光強度の相対強度 を 100%とした場合、実施例 64に係る蛍光体の相対強度は 105.3%であった。
[0241] 次に、波長が 250nmから 550nmまでの単色光を実施例 64に係る蛍光体に照射し 、該蛍光体が発光する波長 559.2nmの発光強度の励起依存性を測定したところ、 該蛍光体の励起スペクトルも実施例 61に係る蛍光体と同様に、波長 300nm付近か ら 500nmまでの広 、範囲の励起光で、高強度の緑色の発光を示すことがわ力つた。
[0242] 次に、実施例 64で得られた蛍光体の発光強度の温度特性を、実施例 61と同様に 測定した。該測定結果を表 10に示し、さらに図 14— 1、 2へ破線を用いて実施例 1と 同様に示す。
[0243] 図 14 1の結果から、実施例 64に係る蛍光体に励起光として波長 460 nmの単色
光を照射した際には、該蛍光体は、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、測定温度 100°Cでは 90.5%、 200°Cでは 75.0%、 30 0°Cでは 54.3%となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 81. 0%であり、初期発光強度に約 20%低下してしまった。
[0244] 図 14 2の結果から、実施例 64に係る蛍光体に励起光として波長 405nmの単色 光を照射した際には、該蛍光体は、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、柳』定温度 100°Cでは 89.3%、 200°Cでは 72.3%、 30 0°Cでは 51.9%となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 84. 6%であり、初期発光強度に比べ約 20%低下してしまった。
[0245] (実施例 65)
実施例 65では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N : Ce (但し
1.07 4.46 0.70 7.22
、 Ce/(Sr + Ce) = 0.030)である蛍光体を製造した。
各元素のモル比が Sr:Al:Si:O:Ce = 0.970:1.0:4.75:1.06:0.030となるように各 原料を、 SrCOを 0.970mol、 Al Oを (1.06— 0.976)/3mol、 A1Nを 1.00— ((1.0
3 2 3
6— 0.976)Z3) X 2mol、 Si Nを 4.75Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量した以外は
3 4 2
、実施例 61と同様にして、組成式 SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce)
1.07 4.46 0.70 7.22
= 0.030)で示される実施例 65に係る蛍光体を製造した。製造された蛍光体粉末の 分析結果、平均粒子径 (D50)、比表面積 (BET)を表 9に示す。得られた蛍光体の比 表面積は 0.212m2Zgであった。平均粒子径 (D50)は 25.44 μ mであった。
[0246] 次に、実施例 61と同様にして、実施例 65に係る蛍光体の発光スペクトルを測定し た。該測定結果を表 10に示す。表 10に示すように、励起光として波長 460nmの単 色光を照射すると、その発光スペクトルは実施例 61と同様に波長 470nmから 750η mの広い波長域においてブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 558.1nmであ つた。また、半値幅を求めたところ 117.2 nmであり、該発光スペクトルの色度 (x,y)を 求めたところ x=0.4114、 y=0.5445であった。尚、該蛍光体粉末は黄色の蛍光色 をしており、目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光体の相対強 度を 100%とした場合、実施例 65に係る蛍光体の発光強度の相対強度は 93.4%で めつに。
[0247] 次に、表 10に示すように、励起光として波長 405nmの単色光を照射すると、その 発光スペクトルは実施例 61と同様に波長 470nmから 750nmの広い波長域におい てブロードなピークを持ち、そのピーク波長は 551.0nmであった。また、半値幅を求 めたところ 119.4 nmであり、該発光スペクトルの色度 (x,y)を求めたところ x= 0.372 8、 y=0.5384であった。尚、該蛍光体粉末は黄色の蛍光色をしており、目視でも緑 色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光体の相対強度を 100%とした場合、 実施例 65に係る蛍光体の発光強度の相対強度は 104.6%であった。
[0248] 次に、波長が 250nmから 550nmまでの単色光を実施例 65に係る蛍光体へ照射 し、該蛍光体が発光する波長 558. lnmの発光強度の励起依存性を測定したところ、 該蛍光体の励起スペクトルも実施例 61と同様に、波長 300nm付近から 500nmまで の広 、範囲の励起光に対し、高強度の緑色の発光を示すことがわ力つた。
[0249] 次に、実施例 65に係る蛍光体の発光強度の温度特性を、実施例 61と同様に測定 した。該測定結果を表 10に示し、更に図 14— 1、 2へ細 1点鎖線を用いて実施例 1と 同様に示す。
[0250] 図 14 1の結果から、実施例 65に係る蛍光体に励起光として波長 460nmの単色 光を照射した際、該蛍光体は、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)における発光 強度の値を 100%としたとき、測定温度 100°Cでは 90.4%、 200°Cでは 73.4%、 30 0°Cでは 51.7%となった。昇温後、冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったところ 81. 9%であり、初期発光強度に比べ約 15%低下してしまった。
[0251] 図 14— 2の結果から、実施例 65に係る蛍光体に励起光として波長 405 nmの単色 光を照射した際には、該蛍光体の測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、測定温度 100°Cでは 88.7%、 200°Cでは 70.4%、 30 0°Cでは 48.9%となった。該昇温後、蛍光体の冷却を行い、再び 25°Cで発光強度の 測定を行ったところ 85.4%であり、初期発光強度に比べ約 15%低下してしまった。
[0252] (実施例 66)
実施例 66では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N : Ce (但し
1.01 4.70 0.65 7.52
、 Ce/(Sr + Ce) = 0.030)である蛍光体を製造した。
各元素のモル比が Sr:Al:Si:0:Ce= 0.970:1.0:5.00: 1.06:0.030となるように各
原料を、 SrCOを 0.970mol、 Al Oを (1.06— 0.976)/3mol、 A1Nを 1.00— ((1.0
3 2 3
6— 0.976)Z3) X 2mol、 Si Nを 5.00Z3mol、 CeOを 0.030mol秤量した以外は
3 4 2
、実施例 61と同様にして、組成式 SrAl Si O N : Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce)
1.01 4.70 0.65 7.52
= 0.030)で示される実施例 66に係る蛍光体を製造した。製造された蛍光体粉末の 分析結果、平均粒子径 (D50)、比表面積 (BET)を表 9に示す。得られた蛍光体の比 表面積は 0.256m2Zgであった。平均粒子径 (D50)は 27.14 mであった。尚、実 施例 66は先に示した実施例 2の原料混合量よりも酸素量を 0.06mol多い混合組成 である。
[0253] 次に、実施例 61と同様にして、実施例 66に係る蛍光体の発光スペクトルを測定し た。該測定結果を表 10に示す。表 10に示すように、励起光として波長 460nmの単 色光を照射すると、該蛍光体の発光スペクトルは、実施例 61に係る蛍光体と同じく波 長 470nm力ら 750nmの広 、波長域にお!ヽてブ口 ドなピ クを持ち、そのピ一ク波 長は 559.2nmであった。また、半値幅を求めたところ 116.6nmであり、該発光スぺク トルの色度 (x,y)を求めたところ x=0.4141、 y=0.5444であった。尚、該蛍光体粉 末は黄色の蛍光色をしており、目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係 る蛍光体の相対強度を 100%とした場合、実施例 66に係る蛍光体の発光強度の相 対強度は 95.0%であった。
[0254] 次に、表 10に示すように、励起光として波長 405nmの単色光を照射すると、該蛍 光体の発光スペクトルは、実施例 61に係る蛍光体と同様じぐ波長 470nm力ら 750 nmの広 、波長域にお!ヽてブ口 ドなピークを持ち、そのピ ク波長は 550.9nmで あった。また、半値幅を求めたところ 118.5nmであり、該発光スペクトルの色度 (x,y) を求めたところ x=0.3753、 y=0.5396であった。尚、該蛍光体粉末は黄色の蛍光 色をしており、目視でも緑色の発光色が確認できた。実施例 61に係る蛍光体の相対 強度を 100%とした場合、実施例 66に係る蛍光体の発光強度の相対強度は 105.3 %であった。
[0255] 次に、波長が 250nmから 550nmまでの単色光を実施例 66に係る蛍光体に照射し 、該蛍光体が発光する波長 559.2nmの発光強度の励起依存性を測定したところ、 該蛍光体の励起スペクトルも実施例 61に係る蛍光体と同様に、波長 300nm付近か
ら 500nmまでの広 、範囲の励起光で、高強度の緑色の発光を示すことがわ力つた。
[0256] 次に、実施例 66で得られた蛍光体の発光強度の温度特性を、実施例 61と同様に 測定した。該測定結果を表 10に示し、更に図 14—1、 2へ細 2点鎖線を用いて実施 例 61と同様に示す。
[0257] 図 14 1の結果から、実施例 66に係る蛍光体へ励起光として波長 460nmの単色 光を照射した際、該蛍光体の、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光強度 の値を 100%としたとき、柳』定温度 100°Cでは 90.4%、 200°Cでは 76.9%、 300°C では 60.1%となった。昇温後、該蛍光体の冷却を行い、再び 25°Cで測定を行ったと ころ 98.2%であり、低下はほとんど見られず、測定誤差といってよい程度であった。
[0258] 図 14 2の結果から、実施例 66に係る蛍光体へ励起光として波長 405nmの単色 光を照射した際には、該蛍光体の測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光 強度の値を 100%としたとき、柳』定温度 100°Cでは 89.0%、 200°Cでは 73.2%、 30 0°Cでは 55.5%となった。昇温後、該蛍光体の冷却を行い、再び 25°Cで測定を行つ たところ 98.6%であり、低下はほとんど見られず、測定誤差といってよい程度であつ た。
[0259] (実施例 61〜66についての検討)
表 10、図 14— 1、 2の結果から明らかなように、 AlZSrが 1.1く AlZSr≤2.0の範 囲にある実施例 61から 63の試料は、 AlZSrが 1.0である実施例 64から 66の試料に 比べ優れた発光特性が得られる。実施例 61では、実施例 64から 66の試料に比べ、 初期発光強度で約 5.0%優れ、特に温度特性は大幅に改善し、励起波長 460nmで は、実施例 64から 66の試料より測定温度 100°Cでは約 4.0%、 300°Cでは 10.0% 以上、発光強度の低下を抑えることができている。更に、昇温後、該蛍光体の冷却を 行い、再び 25°Cで測定を行うと、実施例 64から 65の試料とに係る AlZSrが 1.0の試 料については、昇温前の発光強度に比べ、約 20%低下してしまっているのに対し、 実施例 61から 63の蛍光体は約 3.0%であり、低下はほとんど見られず、熱に対して 優れていることが解った。実施例 66の蛍光体は、冷却後の発光強度が実施例 61か ら 63に係る蛍光体と同じように、ほとんど劣化しない。一方、熱を加えた時の発光強 度の低下は、実施例 64および実施例 65の蛍光体と同じように大きぐ実施例 61から
実施例 63の試料に比べ劣っており、励起波長 405nmにおいても同様である。実施 例 61から 63に係る蛍光体は、実施例 64から 66に係る蛍光体に比べ、生成相の酸 素'窒素濃度に対して A1濃度の適正化が行われたことにより、不純物相の低減が進 み、発光特性や温度特性が向上したと考えられる。
[0260] [表 9]
[表 10]
[0261] (粉末 X線回折パタ—ン)
実施例 61〜66について、粉末 X線法で得られた回折バタ—ンを図 15に示す。 図 15に示した結果から、本発明に係る蛍光体の生成相は、ブラッグ角度 (2 Θ )が、 12.5〜 13.5。 、 17.0〜: 18.0。 、 21.0〜22.0。 、 22.5〜23.5。 、 26.5〜27.5。 、 28.5〜29.5° 、 34.0〜35.0° 、 35.5〜36.5° 、 36.5〜37.5° 、 41.0〜42.0 ° 、 42.0〜43.0° 、 56.5〜57.5° 、 66.0〜67.0° の範囲に特徴的なピ—クを有 する。当該回折パターンより、当該蛍光体の主生成相の結晶系は、斜方晶系または 単斜晶系の結晶相を有する蛍光体と考えられる。
[0262] aZm≤l.l(実施例 64から 66)の場合においては、ブラッグ角度(2 0 ) 35.5° 力も 36.5° の範囲に見られる最も強い回折ピーク力 l.l < aZm≤2.0(実施例 61から 6 3)に比べ強度が弱くなつてしまう。それに対し、次に、ブラック角度(2 0 ) 36.5° 力も 37.5° 、41.0° 力ら 42.0° 、42.0° 力ら 43.0° に見られる回折ピーク力 Sa/m≤ 1. 1の場合に比べ、 l.l < a/m≤2.0の場合には強くなるという特徴をもっている。これ は、 Siサイトの A1置換量が多くなつたことによって、結晶の配向性が変化したことと、 発光に寄与しない不純物相が減少したことにより、高温の環境下でも優れた発光効 率を示していると考えられる。これにより、発光効率が良ぐ高温の環境下でも優れた 発光効率を示す蛍光体を得ることが出来る。
[0263] ここで、該粉末法による X線回折バタ—ンの測定方法について説明する。
測定する蛍光体は、焼成後に乳鉢、ボールミル等の粉砕手段を用いて所定 (好まし くは 1. 0 m〜50. 0 m)の平均粒径となるように粉砕し、材質がチタン製のホルダ -に平らになるように詰め、 XRD装置 理学電気株式会社製「RINT2000」にて測 定を行った。測定条件を下記に示す。
使用測定機 : 理学電気株式会社製「RINT2000」
X線管球 : CoK o;
管電圧 : 40kV
管電流 : 30mA
スキャン方法 2 Θ / Θ
スキャン速度 : 0.3° /min
サンプリング間隔 : 0.01°
スタート角度(2 Θ ) : 10°
ストップ角度(2 Θ ) : 90°
また、ブラッグ角度(2 0 )のズレについては、 X線が照射される試料面が平らでない こと、 X線の測定条件、特にスキャンスピードの違いなどにより生じていると考えられる 。そのため、特徴的な回折ピークが見られる範囲も若干のズレが起きることは許容さ れると考えられる。該ズレをなるベく抑えるために、スキャンスピードを 0.3° /minと した上で、蛍光体試料中に Siを混ぜ、 X線の測定後に Siピークのズレを補正すること
により、ブラッグ角度(2 0 )を求めた。
[0264] (真密度の測定)
さらに実施例 61から 63の試料について真密度測定を行ったところ 3.43gZcc、 3. 45gZcc、 3.46g/ccとすべて 3.45g/cc付近の数値を示して!/、ることが判明した。 尚、真密度の測定には QUANTACHROME社製の UltrapycnometerlOOOを使 用した。生成相中の不純物相が多いと真密度は前記値よりも増減するため、本発明 に係る蛍光体の真密度は、良好な発光特性や温度特性を得るためには真密度が 3. 45gZcc± 3%の範囲であれば良い。
[0265] (実施例 67から 72)
実施例 67から 72では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N: Ce (C a 3.81 0.59 n e/(Sr+Ce) = 0.030, n= 2/3m+a+4/3b- 2/3o, m= l. 0、 b = 3.81、 o = 0.59)で示される蛍光体において、 aZm比(ここで、 aZmと AlZSrとは同じ意味 を持つ。)を変化させた試料 (実施例 67から 72)を製造し、各々の試料における発光 特性として、ピ―ク波長、色度 (x,y)、 25°Cにおける相対発光強度、温度特性を測定 した。
[0266] ここで、実施例 67から 72の蛍光体の製造においては、実施例 61で説明した、 SrC O (3N)、 Al O (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の各原料のうち A1N(3N)
3 2 3 3 4 2
のみの混合比を調整した以外は、実施例 61と同様にして各試料を製造し、該製造さ れた各試料の発光強度および温度特性を測定した。但し、調整した A1と Srの配合比 は、 Al/Sr= 1.10 (実施例 67)、 Al/Sr= 1.21 (実施例 68)、 Al/Sr= 1.38 (実 施例 69)、 Al/Sr= 1.43 (実施例 70)、 Al/Sr= 1.66 (実施例 71)、 Al/Sr= 2.2 1 (実施例 72)とした。
[0267] 実施例 67から 72で製造した各試料の発光特性および温度特性の結果を、表 11お よび図 16に示す。
表 11に示す発光強度の測定にお!、ては、実施例 70の蛍光体に励起光として波長 460 nmの単色光を照射した際(25°C)の発光強度の値を 100%としたときの、実施 例 67から 72の試料(25°C)の発光強度の値を相対発光強度で示した。次に、測定 温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を、試料毎に 100%と規格ィ匕し
、測定温度を 25°Cから 300°Cまで上昇させたときの、発光強度変化の測定結果を示 している。また、表 11には、試料を 300°Cまで昇温した後、 25°Cまで再び冷却したと きの発光強度の値も示している。尚、励起光としては波長 460nmの光を用いた。
[0268] 図 16は温度特性の測定結果であり、縦軸には相対発光強度、横軸には発光強度 の測定を行った測定温度の値をとり、実施例 67は実線、実施例 68は太 1点鎖線、実 施例 69は太 2点鎖線、実施例 70は細 1点鎖線、実施例 71は短破線、実施例 72は 長破線、を用いて示している。
[0269] 表 11および図 16の結果から明らかなように、 AlZSrが 1.43のとき、該蛍光体は最 もすぐれた発光特性を示した。因みに、昇温前の 25°Cでは、 AlZSrが 1.10の場合 に比べて約 8.0%優れ、昇温した際にも全ての温度領域において発光強度の低下 力 S小さぐ優れた温度特性を示した。測定温度 100°Cにおいては、 Al/Srが 1.10の 場合に比べて約 4.5%発光強度の低下を抑えることができ、測定温度 300°Cにおい ては、 AlZSrが 1.10の場合に比べて約 20.0%発光強度の低下を抑えることができ た。
[0270] AlZSrの値が 1.43より小さな領域においては、この値の増加と共に昇温時の発光 強度の低下を抑えることができる力 AlZSr= 1.43 (実施例 70)付近をピ一クとして 、更に AlZSrの値を大きくすると、再び発光強度の低下が大きくなり、 Al/Sr =2.2 1 (実施例 72)では測定温度 100°Cにおいて、(P - P )/P X 100> 10.0となつ
25 100 25
てしまう。また、 AlZSrの値が小さな領域では、昇温'冷却後の 25°Cの発光強度が、 昇温前に比べ、冷却後は大きく低下してしまい、一方、 AlZSrの値が大きな領域で は、昇温前であっても初期発光強度が低いという問題もある。従って、十分実用化可 能な蛍光体を得るには、 AlZSrの値が 1.1く a/m≤ 2.0の範囲内であることが好ま しい。
[0271] これは、本発明に係る蛍光体が、 [SiN ]の四面体構造の Siの一部が A1に、 Nの一
4
部が oに置換された構造でネットヮ クを組んだ構造の隙間に、イオン半径の大きな Srが入り込んでいるという、従来の窒化物、酸窒化物蛍光体とは異なった構造を有 する窒化物、酸窒化物蛍光体であることによると考えられる。つまり、本発明に係る蛍 光体と同じような [SiN ]の四面体構造のネットワークを組む Ca (Al,Si) (Ο,Ν) : Eu
4 x 12 16
(但し、 0<χ≤1. 5)の Caに比べて、本発明に係る蛍光体の Srのイオン半径が大き いため、 Caが入り込んだ場合とは異なった [SiN ]のネットワーク構造をとり、また、異
4
なった Siの A1置換量、 Nの O置換量をとることで、発光特性に優れた構造へ最適化 されたことが原因と考えられる。そして、該結晶構造が最適化されたことによって、付 活剤が該結晶構造中に規則的に存在でき、また、発光に使用される励起エネルギー の伝達が効率よく行われるため、発光効率が向上するのではないかと考えられる。さ らに、該結晶構造は、 A1N、や Si Nの反応により生成する、高温耐久性を有した窒
3 4
化物、酸窒化物であるため、昇温した際にも構造変化がほとんど無ぐ該蛍光体自体 の温度上昇に伴う発光強度の低下力 抑えられて 、るものと考えられる。
[0272] [表 11]
[0273] (実施例 73から 75)
実施例 73から 75では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N: Ce (C a 4.09 0.65 n eZ(Sr+Ce) = 0.030、 n= 2/3m+a+4/3b- 2/3o, m= l. 0、 b=4.09、 o = 0.65)で示される蛍光体において、 aZm比(ここで、 aZmと AlZSrとは同じ意味 を持つ。)を変化させた実施例 73から実施例 75の試料を製造し、各々の試料におけ る発光特性として、ピーク波長、色度 (x,y)、 25°Cにおける相対発光強度、温度特性 を測定した。
[0274] ここで、実施例 73から 75の蛍光体の製造においては、実施例 62で説明した、 SrC O (3N)、 Al O (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の各原料のうち A1N(3N)
3 2 3 3 4 2
のみの混合比を調整した以外は、実施例 62と同様にして蛍光体試料を製造し、該製 造された各試料の発光強度および温度特性を測定した。但し、調整した A1と Srの配 合比は、 Al/Sr = 1.07 (実施例 73)、 Al/Sr= 1.33 (実施例 74)、 Al/Sr= 1.60 (実施例 75)とした。
[0275] 実施例 73から 75で製造した各試料の発光特性および温度特性の結果を、表 12お よび図 17に示す。
表 12に示す発光強度の測定においては、実施例 75の蛍光体に励起光として波長 460 nmの単色光を照射した際(25°C)の発光強度の値を 100%としたときの、実施 例 73から 75 (25°C)の発光強度の値を相対発光強度で示した。次に、測定温度を上 昇させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を、試料毎に 100%と規格ィ匕し、測定温 度を 25°Cから 300°Cまで上昇させたときの、発光強度変化の測定結果を示して 、る 。また、表 12には試料を 300°Cまで昇温した後、 25°Cまで再び冷却したときの発光 強度の値も示している。尚、励起光としては波長 460nmの光を用いた。
[0276] 図 17は温度特性の測定結果であり、縦軸は相対発光強度、横軸には発光強度の 測定を行った測定温度の値であり、実施例 73は実線、実施例 74は 1点鎖線、実施 例 75は 2点鎖線、を用いて示している。
[0277] 表 12および図 17の結果から明らかなように、 AlZSrが 1.33から 1.60付近のとき、 該蛍光体は最もすぐれた発光特性を示した。因みに、昇温前の 25°Cでは、 Al/Sr が 1.07の場合に比べて約 9.0%優れ、昇温した際にも全ての温度領域において発 光強度の低下が小さぐ優れた温度特性を示した。測定温度 100°Cにおいては、 A1 ZSrが 1.07の場合に比べて約 4.0%発光強度の低下を抑えることができ、測定温度 300°Cにおいては、 AlZSrが 1.07の場合に比べ、約 20%発光強度の低下を抑える ことができた。また AlZSrが 1.07では、昇温'冷却後の 25°Cの発光強度が、昇温前 より約 17%低下するのに対し、 AlZSrが 1.33、 1.60ではほとんど低下せず、測定 誤差と!/、つてよ!/、程度である。
[0278] 以上のことから、実施例 73から 75においても実施例 67から 72と同じように、 A1/S rが 1.1 < aZm≤ 2.0の範囲内であれば、十分実用化可能な蛍光体を得ることが可 能であることが判明した。実施例 73から 75は、実施例 67から 72に比べ Siのモル比 が大きい為、 AlZSrの最適範囲もやや異なる。
[0279] [表 12]
ピーク 相対発光 各測定温度における発光強度変化率
色度
波長 強度 (25°C) (1 ^温過程) (冷却後)
(nm) y (%) 25。C 50°C 100°C 150°C 200°C 250°C 300°C 25°C 実施例 73 558,2 0.412 0.544 91.0 100.0 95.3 89.3 81.7 72.0 61.5 50.7 82.6 実施例 74 555.6 0.404 0.548 100.0 100.0 96.3 93.0 89.0 83.8 77.7 70.8 98.4 実施例フ5 555.8 0.398 0.549 97.2 100.0 96.0 93.2 89.9 85.5 79.9 73.2 96.5
[0280] (実施例 76から 79)
実施例 76から 79では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N: Ce (C
1.43 3.81 O n eZ(Sr+Ce) = 0.030、 n=2/3m+a+4/3b-2/3o, m= l. 0、 a= 1.43、 b = 3.81)で示される蛍光体において、 oZm (ここで、 oZmと OZSrとは同じ意味を持 つ。)を変化させた実施例 76から 79を製造し、各々の試料における発光特性として、 ピ―ク波長、色度 (x,y)、 25°Cにおける相対発光強度、温度特性を測定した。
[0281] ここで、実施例 76〜79の製造においては、実施例 61で説明した、 SrCO (3N)、 A
3
1 O (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の各原料のうち Al O (3N)、 A1N(3N)
2 3 3 4 2 2 3
の混合比を調整した以外は、実施例 61と同様にして蛍光体試料を製造し、該製造さ れた各試料の発光強度および温度特性を測定した。但し、調整した Oと Srの配合比 は、 OZSr=0.48 (実施例 76)、 OZSr=0.59 (実施例 77)、 OZSr=0.70 (実施 例 78)、 0/Sr= 0.81 (実施例 79)とした。
[0282] 実施例 76から 79で製造した各試料の発光特性および温度特性の結果を、表 13お よび図 18— 1に示す。
表 13に示す発光強度の測定においては、実施例 77の蛍光体に励起光として波長 460nmの単色光を照射した際 (25°C)に発光強度の値を 100%としたときの、実施例 76から 79の発光強度 (25°C)の値を相対発光強度で示した。次に、測定温度を上昇 させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を、試料毎に 100%と規格ィ匕し、測定温度 を 25°Cから 300°Cまで上昇させたときの、発光強度変化の測定結果を示している。ま た、表 13には、試料を 300°Cまで昇温した後、 25°Cまで再び冷却したときの発光強 度の値も示している。尚、励起光としては波長 460nmの光を用いた。
[0283] 図 18— 1は温度特性の測定結果であり、縦軸は相対発光強度、横軸には発光強 度の測定を行った測定温度の値であり、実施例 76は実線、実施例 77は 1点鎖線、 実施例 78は 2点鎖線、実施例 79は破線、を用いて示している。
[0284] また、図 18— 2は、各試料における酸素濃度と相対発光強度の関係を示すグラフ であり、縦軸に相対発光強度、横軸に各試料中の酸素濃度をとつている。
[0285] 表 13および図 18— 1、図 18— 2の結果から明らかなように、 OZSrが 0.59のとき、 該蛍光体は最もすぐれた発光特性を示した。因みに、昇温前の 25°Cでは、 OZSrが 0.48の場合に比べ約 17.0%優れ、昇温した際にも全ての温度領域において発光強 度の低下が小さぐ優れた温度特性を示た。測定温度 100°Cにおいては、 O/Srが 0.48の場合に比べて約 3.0%発光強度の低下を抑えることができ、測定温度 300°C にお 、ては、 OZSrが 0.48の場合に比べて約 6.0%発光強度の低下を抑えることが できた。
[0286] 尤も、本実施例において、 AlZSrの値を 1.43 (実施例 67から 72において、最も良 力つた値である。)としたにも関わらず、実施例 76の温度特性は若干他の試料に比 ベ劣っている力 本実施例の範囲であれば、各試料の温度特性は OZSrの値に関 わらず良い結果が得られている。一方、初期発光強度については OZSrの値が大き く影響しており、最適値である OZSr=0.59付近にあると、他の値をとる場合に比べ て 10%以上アップすることが判明した。そして、該 OZSrの値が 0.0く oZm≤ 1.5、 より好ましくは 0.0< oZm≤ 1.0の範囲内であれば、十分実用化可能な蛍光体を得 ることが可能である。
[0287] この原因は、本発明に係る蛍光体においては、 [SiN ]の四面体構造の Siの一部が
4
A1によって置換されているわけだ力 A1置換量のみを変化させた場合には、 A1は Si に比べイオン半径が大きいため、結晶構造が発光に適した構造力 ズレてしまい、さ らに、 A1が III価であるのに対し、 Siは IV価であるため、母体構造全体の価数が不安 定になった為であると考えられる。しかし、 Siサイトを置換する A1量に応じて、 Nサイト の一部を Nに比べイオン半径の小さな Oで置換すると、発光に最適な結晶構造をとる ことが可能となり、さらに、母体構造全体の価数が安定なゼロとなるため、優れた発光 特性を示すものと考えられる。
[0288] [表 13]
ピーク 相対発光 各測定温度における発光強度変化率
色度 0 N 波長 強度 (25¾) (昇温過程) (冷却後)
(nm; ( ) 25°C 50°C 100°C 150°C 200°C 250。C 300°C 25。C Cw %) (wt%) 実施例 76 558.2 0.408 0.545 82.8 100.0 95.5 91.4 86.2 80.4 74.2 67.4 98.3 2.46 29.0 実施例 77 556.0 0.404 0.548 100.0 100.0 96.8 94.4 91.0 85.8 80.1 73.4 98.8 2.63 27.8 実施例 78 555.6 0.399 0.549 87.8 100.0 96.7 94.0 90.2 85.3 79.4 72.6 97.6 3.61 26.8 実施例 79 554.7 0.395 0.549 79.4 100.0 97.1 Θ3.9 90.0 85.4 79.0 71.9 96.1 4.39 27.9
[0289] (実施例 80から 82)
実施例 80から 82では、焼成上がりの狙い組成が組成式 SrAl Si O N: Ce (C
1.33 4.09 O n eZ(Sr+Ce) = 0.030、 n=2/3m+a+4/3b-2/3o, m= l. 0、 a= 1.33、 b = 4.09)で示される蛍光体において、 oZm比(ここで、 oZmと OZSrとは同じ意味を 持つ。)を変化させた実施例 80から実施例 82の試料を製造し、各々の試料における 発光特性として、ピ―ク波長、色度 (x,y)、 25°Cにおける相対発光強度、温度特性を 測定した。
[0290] ここで、実施例 80から 82の製造においては、実施例 62で説明した、 SrCO (3N)、
3
Al O (3N)、 A1N(3N)、 Si N (3N)、 CeO (3N)の各原料のうち Al O (3N)、 A1N(3
2 3 3 4 2 2 3
N)の混合比を調整した以外は、実施例 62と同様にして蛍光体試料を製造し、該製 造された各試料の発光強度および温度特性を測定した。但し、調整した Oと Srの配 合比は、 OZSr=0.52 (実施例 80)、 OZSr=0.65 (実施例 81)、 OZSr=0.77 ( 実施例 82)とした。
[0291] 実施例 80から 82で製造した各試料の発光特性および温度特性の結果を、表 14お よび図 19— 1に示す。表 14に示す発光強度の測定においては、実施例 81の蛍光 体に励起光として波長 460 nmの単色光を照射した際(25°C)の発光強度の値を 10 0%としたときの、実施例 80から実施例 82 (25°C)の発光強度の値を相対発光強度 で示した。次に、測定温度を上昇させる前の室温 (25°C)での発光強度の値を、試料 毎に 100%と規格ィ匕し、測定温度を 25°Cから 300°Cまで上昇させたときの発光強度 変化の測定結果を示している。また、表 14には、試料を 300°Cまで昇温した後、 25 °Cまで再び冷却したときの発光強度の値も示している。尚、励起光としては波長 460 nmの光を用いた。
[0292] 図 19 1は温度特性の測定結果であり、縦軸は相対発光強度、横軸には発光強 度の測定を行った測定温度の値であり、実施例 80は実線、実施例 81は 1点鎖線、
実施例 82は 2点鎖線を用いて示している。
[0293] また、図 19 2は、各試料における酸素濃度と相対発光強度の関係を示すグラフ であり、縦軸に相対発光強度、横軸に各試料中の酸素濃度をとつている。
[0294] 表 14および図 19— 1、図 19— 2の結果から明らかなように、本実施例に係る蛍光 体は、 OZSrの値が 0.65のとき最もすぐれた発光特性を示す。例えば、昇温前 (25 °C)においては、 O/Srの値が 0.52の場合に比べて約 5.0%優れ、昇温した際も全 ての温度領域において、わずかに発光強度の低下が小さぐ優れた温度特性を示し ている。測定温度 100°Cにおいては、(P - P )/P X 100≤10.0の範囲内で発
25 100 25
光強度の低下を抑えることができ、測定温度 300°Cにおいては、 OZSrの値が 0.52 の場合に比べ、約 3.4%発光強度の低下を抑えることができる。
[0295] 本実施例に係る蛍光体の温度特性は、 AlZSrの値を 1.33 (実施例 73から 75で最 も良かった値である。)としている為、本実施例の範囲であれば OZSrの値に関わら ず良い結果が得られている。しかし、初期発光強度については、 OZSrの値が影響 しており、最適値である OZSr=0.65のときが最も大きぐ例えば OZSr=0.77の場 合に比較して約 25.0%高い。そして、実施例 80から 82においても、実施例 76から 7 9と同じように、 Al/Srの値力^).0く o/m≤1.5、より好ましくは 0.0く o/m≤ 1.0の 範囲内であれば、十分実用化可能な蛍光体を得ることが可能であることが解った。
[0296] ここで、実施例 80力 82と実施例 76力 79とでは、 A1モル比、 Siモル比が異なつ ている。その為、実施例 80から 82における oZmの最適値の傾向力 実施例 76から 79とはやや異なっている。特に、 OZSr=0.50付近の初期発光強度に差が見られ、 実施例 76から 79では最適値 OZSr=0.59の初期発光強度に比べ約 17.0%低くな るのに対し、実施例 80から 82では最適値 OZSr=0.65に比べ約 5.0%しか低くなら ない。従って、 OZSrの最適値は独立して決まるのではなぐ Siサイトの A1置換量に 応じて変化することが判明した。
[0297] [表 14] ピーク 相対発光 各測定温度における発光強度変化率
色度 0 N
;皮^ 強度 (25°C) (昇温過程) (冷却後)
(nm X y (X) 25°C 50°C 100°C 150°C|200°C 250°C 300°C 25°C (wt%) (wt%) 実施例 80 557.3 0.407 0.546 94.5 100.0 Θ6.3 92.7 87.7 81.7 74.6 67.4 99.0 2.50 28.6 実施例 81 555.6 0.404 0.548 100.0 100.0 Θ6.3 93.0 89.0 83.8 77.7 70.8 98.4 2.79 29.8 実施例 82 557.2 0.401 0.547 76.0 100.0 97.0 93.1 88.6 I 82.7 75.9 68.3 97.8 3.69 29.6
[0298] 以下、実施例 83から 92においては、上記実施例 1および実施例 61に係る蛍光体 を用いた蛍光体混合物および発光装置について評価を行った。比較例 4から 8にお V、ては、従来の緑色蛍光体を用いた蛍光体混合物および発光装置につ!、て評価を 行った。
(実施例 83)
実施例 83では、波長 460nmで発光する発光素子 (LED)を用いて、本発明の実 施例 1に係る蛍光体試料 SrAISi ON: Ce (但し、 CeZ(Sr+Ce) = 0.030)の蛍光
4.5 7
体を励起させた場合における、該蛍光体の発光特性、演色性を評価した。尤も、発 光素子の発光波長は本蛍光体の効率の良!、励起帯域(300nmから 500nm)であ れば良ぐ波長 460nmに限られるものではない。
[0299] まず、窒化物半導体を用いた青色光の LED素子 (発光波長 467nm)を発光部とし て準備した。さらに実際例 1にて作製した蛍光体と、エポキシ榭脂、分散剤とを混ぜ、 混合物とした。尚、該榭脂は可視光の透過率、屈折率が高い方が好ましぐ前記条 件を満たせばエポキシ系に限らずシリコン系の榭脂でもよい。該分散剤へは、 SiO
2 の微粒子などをわずかに混合して使用しても良い。そして該混合物を十分に攪拌し
、公知の方法で該 LED素子上に塗布して白色 LED照明 (発光装置)を作製した。前 記混合物の蛍光体と榭脂比率、塗布厚みにより発光色および発光効率が変化する ため、目的の色温度に合わせて前記条件を調整すればよい。
[0300] 作製された白色 LED照明に 20mAを通電させた際の発光スペクトルを図 20に示 す。図 20は、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に発光波長 (nm)をとつたグラフであ る。そして、実施例 83に係る白色 LED照明の発光スペクトルを実線で示す。
該蛍光体は、発光部が発する青色光により励起 *発光し、波長 400nmから 750nm の範囲に連続的にプロ ドなピ クを有する発光スペクトルの白色光を発光し、白色 LED照明を得ることが出来た。該発光の色温度、色度および演色性を測定したとこ ろ、色温度 6078K、 x=0.317、 y=0.374であった。また、当該白色 LEDランプの 平均演色評価数 (Ra)は 73であった。さらに、蛍光体と榭脂との配合量を適宜変更 することにより、異なる色温度の発光色を得ることもできた。
[0301] (実施例 84)
実施例 84では、実施例 83と同様に、波長 460nmで発光する発光素子 (LED)を 用いて、本発明の実施例 61に係る SrAl Si O N : Ceの蛍光体を励起させ
1.43 3.81 0.59 6.79
た場合における、該蛍光体の発光特性、演色性を評価した。
[0302] 実施例 83と同様の製造方法にて作製された白色 LED照明に 20mAを通電させた 際の発光スペクトルを図 21に示す。図 21は、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に発 光波長 (nm)をとつたグラフである。そして、実施例 84に係る白色 LED照明の発光ス ぺクトルを実線で示す。
該蛍光体は、発光部が発する青色光により励起 *発光し、波長 400nmから 750nm の範囲に連続的にプロ ドなピ クを有する発光スペクトルの白色光を発光し、白色 LED照明を得ることが出来た。該発光の色温度、色度および演色性を測定したとこ ろ、色温度は 634氣色度は x=0.3115、 y=0.3649であり、平均演色評価数 (Ra )は 72であった。
[0303] (実施例 85、 86)
実施例 85または実施例 86においては、実施例 61に係る蛍光体へ、さらに赤色蛍 光体を加え、波長 460nmに発光する発光素子 (LED)で励起させた場合に相関色 温度 5000K (実施例 85)または 3000K (実施例 86)の発光を行う蛍光体混合物を 製造し、該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。尚、本実施例では、該赤 色蛍光体として CaSiAIN: Euを用いたが、 Sr AlSi O N : Eu、 (Ca,Sr)Si N: Eu
3 4 11 2 17 5 8 などの窒素を有する赤色蛍光体、または SrS:Eu、 CaS:Euなどの硫ィ匕物系の赤色 蛍光体を用いることも可能である。
[0304] 1)蛍光体試料の準備
緑色蛍光体 SrAl Si O N : Ce (実施例 61に係る蛍光体)を、実施例 61〖こ
1.43 3.81 0.59 6.79
て説明した方法により製造した。一方、赤色蛍光体 CaSiAIN: Euを、以下の方法に
3
より製造した。
市販の Ca N (2N)、 A1N (3N)、 Si N (3N)、Eu O (3N)を準備し、各元素のモ
3 2 3 4 2 3
ノレ it力 SSr:Al:Si:Ce = 0.970: 1.00:1.00:0.030となるように各原料を样量し、窒素 雰囲気中において乳鉢を用いて混合した。混合した原料を、粉末の状態で窒素雰囲 気中 1500°Cまで 15°CZminの昇温速度で昇温し、 1500°Cで 12時間保持 ·焼成し
た後、 1500°Cから 200°Cまで 1時間で冷却し、組成式 CaSiAIN: Euの蛍光体を得
3
た。得られた試料を粉砕し、分級して赤色蛍光体試料として準備した。
[0305] 2)蛍光体混合物の調製
前記 SrAl Si O N : Ceおよび CaSiAIN: Euの 2種類の蛍光体試料につ
1.43 3.81 0.59 6.79 3
いて、各々、波長 460nmの励起光で励起させた場合の発光スペクトルを測定し、該 発光スペクトルから、両蛍光体混合物の相関色温度が、 5000K (実施例 85)または 3 OOOK (実施例 86)となる相対混合比をシミュレーションのより求めた。該シミュレーシ ヨンの結果は、相関色温度が 5000Kの場合(実施例 85)は SrAl Si O N :
1.43 3.81 0.59 6.79
Ce : CaSiAIN :Eu= 98·0:2·0 (モル比)であり、相関色温度 3000Kの場合(実
3
施例 86)は SrAl Si O N : Ce : CaSiAIN :Eu= 95.0:5.0 (モル比)で
1.43 3.81 0.59 6.79 3
あった。該結果に基づき、各蛍光体秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0306] 但し、発光部の発光波長 (蛍光体混合物の励起波長)や、該励起光に対する蛍光 体の発光効率により、好ましい混合比が、該シミュレーション結果よりずれる場合があ る。このような場合には、適宜、蛍光体の配合比を調整して、実際の発光スペクトル形 状を整えればよい。
[0307] 3)発光素子での評価
実施例 83、 84と同様に、窒化物半導体を有する紫外光の LED (発光波長 460nm )を発光部として準備し、該 LED上に、前記蛍光体混合物と榭脂との混合物を設置 した。該蛍光体混合物と榭脂との混合比は前記シミュレーション結果を基に色温度 5 OOOK相当の昼白色または 3000K相当の電球色が得られるように、前記適宜な蛍光 体の配合比の調整をおこなった。そして、公知の方法により該 LEDの発光部と組み 合わせて白色 LED照明 (発光装置)を作製した。
[0308] 該両蛍光体混合物は、発光部が発する青色光により励起 '発光し、波長 420nmか ら 750nmの範囲にブロードなピークを有する発光スペクトルの白色光を放つ白色 LE D照明を得ることが出来た。ここで、作製された白色 LED照明の発光素子に 20mA を通電させた際の発光スペクトルを図 21に示す。図 21において、色温度 5000K相 当に設定した白色 LED照明の昼白色の発光スペクトルを 1点鎖線で示し、色温度 3 OOOK相当に設定した白色 LED照明の電球色の発光スペクトルを 2点鎖線で示す。
[0309] ここで、実施例 85または実施例 86に係る白色 LED照明の輝度、色度、演色評価 数、色温度等の測定デ タの一覧表を表 15に記載する。
該発光の色温度、色度および演色性を測定したところ、実施例 85に係わる色温度 5000K相当に設定した白色 LED照明については、色温度 4987K、 x=0.3454、 y = 0.3512であり、平均演色評価数 (Ra)は 90、特殊演色評価数の R9は 84、 R13は 91、 R15は 91であった。実施例 86に係わる色温度 3000K相当に設定した白色 LE D照明【こつ!ヽて ίま、色温度 2999Κ:、 x=0.4362、 y=0.4024であり、平均演色評価 数 (Ra)は 95、特殊演色評価数の R9は 89、 R13は 99、 R15は 97であった。さらに 、これら白色 LED照明において、混合する蛍光体の配合量と榭脂配合量とを適宜変 更することにより、異なる色温度の発光色を得ることもできた。
[0311] 次に、実施例 87から 89について説明する。
実施例 87から 89においては、波長 405nmに発光する発光素子(LED)で励起さ せた場合に、相関色温度 6500Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体 混合物の発光特性、演色性を評価した。さらに実施例 89においては、赤色蛍光体を 2種類加え、優れた演色性を得ると共に輝度の向上を目指した実施例である。ここで 、青色蛍光体として BAM :Eu(BaMgAl O : Eu)および、(Sr,Ca,Ba,Mg) (PO )
10 17 10 4 6
CI :Euを用いているがこの限りではなぐ Sr (PO ) Cl:Eu、 SrAl Si O N :E
2 5 4 3 x 6-x 1+ x 8-x u (0≤x≤2)、 (Ba,Sr,Ca,Mg) SiO: Eu, (Ba,Sr,Ca) Si O N: Euで示される蛍
2 4 2 2 2
光体を組み合わせても良 、。
[0312] (実施例 87)
1)蛍光体の準備
緑色蛍光体 Sr AI Si ON : Ceは、以下の方法により製造、準備した。
2 2 10 16
市販の SrCO (2N), A1N(3N), Si N (3N), CeO (3N)を準備した。これらの原料を
3 3 4 2
、各元素のモル比力 Sr:Al:Si:Ce = 0.970:l:5:0.030となるように、各原料の混合
比を、それぞれ、 SrCOを 0.970mol、 A1Nを 1.0mol、 Si Nを 5Z3 mol、 CeOを
3 3 4 2
0.030molを秤量し混合した。混合した原料を、粉末の状態で窒素雰囲気中(フ口— 状態、 20.0LZmin)、炉内圧 0. 05MPaで 1800°Cまで 15°CZminで昇温し、 180 0°Cで 3時間保持 '焼成した後、 1800°Cから 50°Cまで 1時間 30分で冷却した。その 後、焼成試料を大気中にて適当な粒径になるまで乳鉢を用いて解砕し、混合組成式 Sr Al Si ON : Ce示される蛍光体を準備した。
2 2 10 16
赤色蛍光体 CaAlSiN: Euを、実施例 85で説明した方法により製造した。
3
青色蛍光体 BAM :Eu(BaMgAl O : Eu)は市販品を準備した。
10 17
[0313] 2)蛍光体混合物の調製
前記 Sr Al Si ON : Ce、 CaAlSiN: Eu、および BAM : Euの 3種類の蛍光体を
2 2 10 16 3
、波長 405nmの励起光で励起させた場合の発光スペクトルを測定し、当該発光スぺ クトルカも蛍光体混合物の相関色温度が 6500Kとなる相対混合比を、シミュレ—ショ ンにより求めた。シミュレーションの結果は、 BAM :Eu : Sr Al Si ON : Ce : C
2 2 10 16 aAlSiN: Eu=47.6:49.5:2.9であったので、当該結果に基づき、各蛍光体を秤量
3
し混合して蛍光体混合物を得た。
ここで、波長 405nmの励起光で励起させた場合、 BAM :Euの発光スペクトルの半 値幅は 53.5nmであり、 Sr Al Si ON : Ceの発光スペクトルの半値幅は 118.0nm
2 2 10 16
、 CaAlSiN: Euの発光スペクトルの半値幅は 86.7nmであり、であり、全て 50nm以
3
上であった。
但し、発光部の発光波長 (蛍光体混合物の励起波長)、当該発光波長による蛍光 体の発光効率により、好ましい混合比力 シミュレーションの結果よりずれる場合があ る。このような場合は、適宜、蛍光体の配合比を調整して、実際の発光スペクトル形 状を整えればよい。
[0314] 3)発光特性の評価
得られた蛍光体混合物へ励起光として波長 405nmの光を照射し、当該蛍光体混 合物の発光の相関色温度を測定したところ 6512Kであり、ねら 、の色温度を有して いることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところ x=0.312、y=0.331 であった。
得られた発光スペクトルから JISZ8701に規定する XYZ表色系における算出方法 に基づき輝度 (Υ)の値を求め、輝度を 100とした。
実施例 87に係る蛍光体混合物の輝度は、後述する比較例 4に係る蛍光体混合物 の輝度に比較して、 18%程度上昇していた。
発光スペクトルを図 22において太実線で示す。尚、図 22は、縦軸に相対発光強度 をとり、横軸に発光波長 (nm)をとつたグラフである。当該発光スペクトルは、波長 42 Onmから 750nmの範囲で途切れることな!/、連続的なスペクトルを有し、波長 420nm 力も 680nmの範囲に 3つの発光ピ クを有して!/、た。
[0315] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 97、特殊演色評価数 R9は 93、 R15は 95と、非常に優れた 演色性を発揮した。
実施例 87および後述する実施例 88、 89、比較例 4から 6の輝度、色度、演色評価 数、色温度等の測定データの一覧表を表 16に記載する。
[0316] (実施例 88)
1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として実施例 87で説明した方法により Sr Al Si ON : Ceを準備した
2 2 10 16 赤色蛍光体として実施例 85で説明した方法により CaAlSiN: Euを準備した。
3
青色蛍光体として市販品の (Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) C1: Euを準備した。
10 4 6 2
[0317] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションを行って、(Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) CI: Eu :
10 4 6 2
Sr Al Si ON : Ce : CaAlSiN :Eu=64.5:33.1:2.4を求め、当該結果に基づ
2 2 10 16 3
き各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
ここで、波長 405nmの励起光で励起させた場合の (Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) CI: Eu
10 4 6 2 の発光スペクトルにおける半値幅は 51.1 nmであつた。
[0318] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 650
2Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.313、 y=0.327であった。得られた発光スペクトル力 輝度を 求めたところ実施例 87を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 101であった 実施例 88に係る蛍光体混合物の輝度は、後述する比較例 5に係る蛍光体混合物 の輝度に比較して、 16%程度上昇していた。
得られた発光スペクトルを図 22において太一点鎖線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例 87と同様に、波長 420nmから 750nmの範囲で途 切れることな!/、連続的なスペクトルを有し、波長 420nm力 680nmの範囲〖こ 3つの 発光ピークを有していた。
[0319] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 94、特殊演色評価数 R9は 60、 R15は 89と、非常に優れた 演色性を発揮した。
[0320] (実施例 89)
実施例 89においては、波長 405nmに発光する発光素子 (LED)で励起させた場 合に、相関色温度 6500Kの発光を行う蛍光体混合物を、より輝度、演色性の高い赤 色蛍光体を 2種類用いた方法で製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を 評価した。
[0321] 1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として実施例 87で説明した方法により Sr Al Si ON : Ceを準備した
2 2 10 16 赤色蛍光体として実施例 85で説明した方法により CaAlSiN: Euを準備した。
3
青色蛍光体として市販品の BAM: Euを準備した。
また、第 2の赤色蛍光体 CaAl Si N: Euを、以下の方法により製造した。
2 4 8
市販の Ca N (2N)、 A1N (3N)、 Si N (3N)、Eu O (3N)を準備し、各元素のモ
3 2 3 4 2 3
ル比が Ca:Al:Si:Eu=0.970:2:4:0.030となるように各原料を秤量し、窒素雰囲気 下のグローブボックス中において乳鉢を用いて混合した。混合した原料を、窒素雰囲
気中で 1700°Cまで 15°CZminの昇温速度で昇温し、 1700°Cで 3時間保持 ·焼成し た後、 1700°Cから 200°Cまで 1時間で冷却し、組成式 CaAl Si N: Euの蛍光体を
2 4 8
得た。これを粉砕、分級して準備した。
[0322] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションを行って、 BAM :Eu : Sr AI Si ON : Ce
2 2 10 16
: CaAl Si N: Eu : CaAlSiN: Eu=48.7:48.1:1.0:2.2を求め、当該結果に基
2 4 8 3
づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0323] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 649 6Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.313、 y=0.329であった。得られた発光スペクトル力 輝度を 求めたところ実施例 87を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 107であった 実施例 89に係る蛍光体混合物の輝度は、後述する比較例 6に係る蛍光体混合物 の輝度に比較して、 2%程度上昇していた。
得られた発光スペクトルを図 22において太二点鎖線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例 87と同様に、波長 420nmから 750nmの範囲で途 切れることな!/、連続的なスペクトルを有し、波長 420nm力 680nmの範囲〖こ 3つの 発光ピークを有していた。
[0324] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 95、特殊演色評価数 R9は 92、 R15は 97と、非常に優れた 演色性を発揮した。
[0325] 次に、既知の緑色蛍光体を用いて製造した蛍光体混合物を比較例として示す。
比較例 4から 6においては、波長 405nmに発光する発光素子 (LED)で励起させた 場合に、相関色温度 6500Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合 物の発光特性、演色性を評価した。比較例 6については赤色蛍光体を 2種類用い、 演色性と輝度を向上した実施例 89に対する比較例である。
[0326] (比較例 4)
1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として市販品の ZnS:Cu,Alを準備した。
赤色蛍光体として実施例 85で説明した方法により CaAlSiN: Euを準備した。
3
青色蛍光体として市販品の BAM: Euを準備した。
[0327] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションを行って、波長 405nmの励起光における蛍光 体混合物の発光スペクトルの相関色温度が 6500Kとなる相対混合比を、 BAM :Eu : ZnS:Cu,Al : CaAlSiN: Eu=61.1:27.4: 11.5と求め、当該結果に基づき各
3
蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0328] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 651 8Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.311、 y=0.337であった。得られた発光スペクトルから輝度を 求めたところ実施例 87を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 82であった。 得られた発光スペクトルを図 22において細破線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例 87と同様に、波長 420nmから 750nmの範囲で途 切れることな!/、連続的なスペクトルを有し、波長 420nm力 680nmの範囲〖こ 3つの 発光ピークを有していた。
[0329] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 87、特殊演色評価数 R9は 6、 R15は 78であった。
[0330] (比較例 5)
1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として市販品の ZnS:Cu,Alを準備した。
赤色蛍光体として実施例 85で説明した方法により CaAlSiN: Euを準備した。
3
青色蛍光体として市販品の (Sr,Ca,Ba,Mg) (PO ) C1: Euを準備した。
10 4 6 2
[0331] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションを行って、波長 405nmの励起光における蛍光 体混合物の発光スペクトルの相関色温度が 6500Kとなる相対混合比を、 (Sr,Ca,Ba ,Mg) (PO ) CI: Eu : ZnS:Cu,Al : CaAlSiN :Eu= 74.3:19.3:6.4と求め、
10 4 6 2 3
当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0332] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 648 1Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.313、 y=0.329であった。得られた発光スペクトル力 輝度を 求めたところ実施例 87を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 85であった。 得られた発光スペクトルを図 22において細一点鎖線で示す。
[0333] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 75、特殊演色評価数 R9は 59、 R15は 57であった。
[0334] (比較例 6)
比較例 6においては、実施例 89で行ったように波長 405nmに発光する発光素子( LED)で励起させた場合に、相関色温度 6500Kの発光を行うより輝度、演色性の高 い蛍光体混合物を、既知の緑色蛍光体と、 2種類の赤色蛍光体と、既知の青色蛍光 体とを用いて製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
[0335] 1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として市販品の ZnS:Cu,Alを準備した。
赤色蛍光体として実施例 89で説明した方法により、 CaAl Si N: Euと CaAlSiN:
2 4 8 3
Euとを準備した。
青色蛍光体として市販品の BAM: Euを準備した。
[0336] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 89と同様〖こして、波長 405nmの励起光における蛍光体混合物の発光スぺ タトルの相関色温度が 6500Kとなる相対混合比を、 BAM :Eu : ZnS:Cu,Al : C aAl Si N: Eu : CaAlSiN: Eu=60.19:30.50:4.65:4.65と求め、当該結果に
2 4 8 3
基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0337] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 656 8Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.314、 y=0.322であった。得られた発光スペクトル力 輝度を 求めたところ実施例 87を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 105であった 得られた発光スペクトルを図 22において細二点鎖線で示す。
[0338] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 96、特殊演色評価数 R9は 84, R15とは 92であった。
[0339] [表 16]
[0340] 次に、実施例 90力ら 91においては、波長 405nmに発光する発光素子(LED)で 励起させた場合に、相関色温度 4200Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該 蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。実施例 91については赤色蛍光体を 2種類用い、演色性と輝度を向上した実施例である。
[0341] (実施例 90)
1)蛍光体の準備
実施例 87と同様に、緑色蛍光体として Sr Al Si ON : Ceを、赤色蛍光体として C
2 2 10 16
aAlSiN : Euを、青色蛍光体として BAM : Euを準備した。
3
[0342] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様にして、 BAM :Eu、 Sr Al Si ON : Ce、および CaAlSiN : Eu
2 2 10 16 3 の 3種類の蛍光体を、波長 405nmの励起光で励起させた場合の発光スペクトルを測 定し、当該発光スペクトル力も蛍光体混合物の相関色温度が 4200Kとなる相対混合 比を、シミュレ—シヨンにより求めた。シミュレ—シヨンの結果は、 BAM :Eu : Sr Al
Si ON : Ce : CaAlSiN: Eu= 33.2:40.8:6.0であったので、当該結果に基づき
10 16 3
各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0343] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、得られた蛍光体混合物へ励起光として波長 405nmの光を照 射し、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 4205Kであり、ねら いの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を測定したところ X = 0.373、 y=0.376であった。得られた発光スぺク卜ノレ力ら JISZ8701に規定する X YZ表色系における算出方法に基づき輝度 (Y)の値を求め、輝度を 100とした。 実施例 90に係る蛍光体混合物の輝度は、後述する比較例 7に係る蛍光体混合物 の輝度に比較して、 5%程度上昇していた。
当該発光スペクトルは、波長 420nmから 750nmの範囲で途切れることな!/、連続的 なスペクトルを有し、波長 420nmから 680nmの範囲に 3つの発光ピ クを有して!/ヽ た。
得られた発光スペクトルを図 23において太実線で示す。
尚、図 23は、図 22と同様に、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に発光波長 (nm)をと つたグラフである。
[0344] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 95、特殊演色評価数 R9は 73、 R15は 92と、非常に優れた 演色性を発揮した。
実施例 90および後述する実施例 91、比較例 7および 8の輝度、色度、演色評価数 、色温度等の測定データの一覧表を表 17に記載する。
[0345] (実施例 91)
実施例 91にお ヽては、波長 405nmに発光する発光素子 (LED)で励起させた場 合に、相関色温度 4200Kの発光を行う蛍光体混合物を、より輝度、演色性の高い赤 色蛍光体を 2種類用いた方法で製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を 評価した。
[0346] 1)蛍光体の準備
緑色蛍光体 Sr Al Si ON : Ceを実施例 87で説明した方法により製造した。
2 2 10 16
赤色蛍光体 CaAlSiN: Euを実施例 85で説明した方法により作成した。また、第2
3
の赤色蛍光体 CaAl Si N: Euを実施例 89で説明した方法により作成した。
2 4 8
青色蛍光体は市販品の BAM: Euを準備した。
[0347] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションにより、 BAM :Eu : Sr Al Si ON : Ce :
2 2 10 16
CaAl Si N: Eu : CaAlSiN: Eu= 35.6:57.4:2.7:4.3を求め、当該結果に基づ
2 4 8 3
き各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0348] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 418 9Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.373、 y=0.372であった。得られた発光スペクトル力 輝度を 求めたところ実施例 90を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 107であった 実施例 91に係る蛍光体混合物の輝度は、後述する比較例 8に係る蛍光体混合物 の輝度に比較して、 5%程度上昇していた。
得られた発光スペクトルを図 23において太一点鎖線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例 87と同様に、波長 420nmから 750nmの範囲で途 切れることな!/、連続的なスペクトルを有し、波長 420nm力 680nmの範囲〖こ 3つの 発光ピークを有していた。
[0349] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 95、特殊演色評価数 R9は 80、 R15は 94と、非常に優れた 演色性を発揮した。
[0350] 次に、既知の緑色蛍光体を用いた蛍光体混合物を比較例として示す。
比較例 7から 8においては、波長 405nmに発光する発光素子 (LED)で励起させた 場合に、相関色温度 4200Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当該蛍光体混合 物の発光特性、演色性を評価した。比較例 8は、赤色蛍光体を 2種類加え、演色性と
輝度を向上した実施例 91に対応する比較例である。
[0351] (比較例 7)
比較例 7においては、相関色温度 4200Kの発光を行う蛍光体混合物を製造し、当 該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した。
[0352] 1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として市販品の ZnS:Cu,Alを準備した。
赤色蛍光体として CaAlSiN: Euを準備した。
3
青色蛍光体として市販品の BAM: Euを準備した。
[0353] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションにより、波長 405nmの励起光における蛍光体 混合物の発光スペクトルの相関色温度が 4200Kとなる相対混合比を、 BAM :Eu : ZnS:Cu,Al : CaAlSiN: Eu= 39.6:43.7:16.7と求め、当該結果に基づき各蛍
3
光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0354] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 419 3Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.374、 y=0.378であった。得られた発光スペクトルから輝度を 求めたところ実施例 90を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 95であった。 得られた発光スペクトルを図 23において細破線で示す。
当該発光スペクトルは、実施例 87と同様に、波長 420nmから 750nmの範囲で途 切れることな!/、連続的なスペクトルを有し、波長 420nm力 680nmの範囲〖こ 3つの 発光ピークを有していた。
[0355] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 70、特殊演色評価数 R9は 53、 R15は 54であった。
[0356] (比較例 8)
比較例 8においては、実施例 91に対応する比較例として、波長 405nmに発光する 発光素子 (LED)で励起させた場合に、相関色温度 4200Kの発光を行うより輝度、
演色性の高い蛍光体混合物を、既知の緑色蛍光体と、赤色蛍光体を 2種類と、青色 蛍光体とを用いた方法で製造し、当該蛍光体混合物の発光特性、演色性を評価した
[0357] 1)蛍光体の準備
緑色蛍光体として市販品の ZnS:Cu,Alを準備した。
赤色蛍光体として赤色蛍光体 CaAlSiN : Euを実施例 85で説明した方法により作
3
成した。また、第 2の赤色蛍光体 CaAl Si N: Euを実施例 89で説明した方法により
2 4 8
作成した。
青色蛍光体として市販品の BAM: Euを準備した。
[0358] 2)蛍光体混合物の調製
実施例 87と同様のシミュレーションにより、波長 405nmの励起光における蛍光体 混合物の発光スペクトルの相関色温度が 4200Kとなる相対混合比を、 BAM :Eu : ZnS:Cu,Al : CaAl Si N: Eu : CaAlSiN :Eu= 52.0:29.5:9.2:9.3と求め、
2 4 8 3
当該結果に基づき各蛍光体を秤量し混合して蛍光体混合物を得た。
[0359] 3)発光特性の評価
実施例 87と同様に、当該蛍光体混合物の発光の相関色温度を測定したところ 416 7Kであり、ねらいの色温度を有していることが判明した。さらに、当該発光の色度を 測定したところ x=0.374 y=0.373であった。得られた発光スペクトルから輝度を 求めたところ実施例 90を 100として本実施例の蛍光体混合物の輝度は 102であった 得られた発光スペクトルを図 23において細二点鎖線で示す。
[0360] 4)演色性の評価
JISZ8726に準拠して、当該蛍光体混合物の発光における演色性の評価を行った 。平均演色評価数 Raは 96、特殊演色評価数 R9は 92, R15とは 97であった。
[0361] [表 17] 輝 虔 平均演色評価数 特辣湞 fe評枷数
(%) Tcp(K) X y Ra R9 R10 R1 1 R12 R13 R14 R15 実施例 90 100 4205 0.373 0.376 95 73 96 96 89 95 98 92 実施例 91 107 4189 0.373 0.372 95 80 96 93 85 97 100 94 比較例 7 95 4193 0.374 0.378 70 -53 81 61 91 73 87 54 比較例 8 102 4167 0.374 0.373 96 92 90 95 82 97 96 97
[0362] (実施例 92)
発光素子での評価
窒化物半導体を有する紫外光の LED (発光ピ―ク波長 403.5nm)を発光部とし、 当該 LED上に、実施例 1で得られた蛍光体試料と榭脂の混合物を設置した。当該蛍 光体と榭脂の混合比は前記結果を基に色温度 6500K相当の昼光色が得られるよう 調整し、公知の方法で当該 LEDの発光部と組み合わせて白色 LEDを作製した。結 果、得られた白色 LEDの発光素子に 20mAを通電させた際の発光スペクトルを図 2 4に示す。
尚、図 24は、図 22と同様に、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に発光波長 (nm)を とったグラフである。
[0363] 当該蛍光体は、発光部が発する紫外光により励起'発光し、発光部が発する青色 光と混色し、白色光を放つ白色 LEDを得ることが出来た。当該発光の色温度または 色度を測定したところ、色温度 6469K、 x=0.312、 y=0.331であった。また、白色 LEDの平均演色評価数 (Ra)は 97、特殊演色評価数 R9は 90、 R15は 96であった。 さらに、混合する蛍光体の配合量と榭脂配合量とを適宜変更することにより、異なる 色温度の発光色も得ることもできた。
実施例 92の輝度、色度、演色評価数、色温度等の測定データの一覧表を表 18に 記載する。
(実施例 93)
実施例 93では、実施例 84で製造した蛍光体混合物を榭脂中に分散させて蛍光体 シ―トを作製し、当該蛍光体シ―トと LED素子を組み合わせて白色 LEDを製造した まず、媒体となる榭脂としてシリコン系榭脂を用い、実施例 58に係る蛍光体混合物 を 10wt%分散させ蛍光体シートを製造した。次に、当該蛍光体シートを、図 26 (C)
の符号 1に示す様に、波長 405nmの光を放出する LED素子上に設置した LEDを 製造した。そして、当該 LEDを発光させたところ白色光を発光させることが出来た。 図面の簡単な説明
[図 1]実施例 1の蛍光体粉末の SEM写真である。
[図 2]実施例 1から 3および比較例 1、 2の蛍光体を、波長 460nmの単色光で照射し た際の発光スペクトルを示すグラフである。
[図 3]実施例 1から 3および比較例 1、 2の蛍光体を、波長 405nmの単色光で照射し た際の発光スペクトルを示すグラフである。
[図 4]実施例 1および 2の蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。
[図 5]実施例 3の蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。
[図 6]実施例 4から 13の蛍光体において、付活剤 Z(Ce)の濃度と発光強度との関係を 示すグラフである。
[図 7]実施例 14から 23の蛍光体において、付活剤 Z(Eu)の濃度と発光強度との関係 を示すグラフである。
[図 8]実施例 24から 32の蛍光体において、 AlZSr比と発光強度との関係を示すダラ フである。
[図 9]実施例 33から 42の蛍光体において、 SiZSr比と発光強度との関係を示すダラ フである。
[図 10]実施例 43から 50の蛍光体において、 Srモル比と発光強度との関係を示すグ ラフである。
[図 11]実施例 51から 60の蛍光体において、酸素濃度と発光強度との関係を示すグ ラフである。
[図 12]実施例 61に係る蛍光体の発光スペクトルである。
[図 13]実施例 61に係る蛍光体の励起スペクトルである。
[図 14-1]実施例 61から 66に係る蛍光体を波長 460nmの光で励起したときの発光強 度の温度特性測定結果を示すグラフである。
[図 14-2]実施例 61から 66に係る蛍光体を波長 405nmの光で励起したときの発光強 度の温度特性測定結果を示すグラフである。
[図 15]実施例 61から 66に係る蛍光体の X線回折パタ—ンである。
[図 16]実施例 67から 72に係る蛍光体の発光強度の温度特性測定結果を示すグラフ である。
[図 17]実施例 73から 75に係る蛍光体の発光強度の温度特性測定結果を示すグラフ である。
[図 18-1]実施例 76から 79に係る蛍光体の発光強度の温度特性測定結果を示すグ ラフである。
[図 18-2]実施例 76から 79に係る蛍光体の発光強度と酸素濃度との関係を示すダラ フである。
[図 19-1]実施例 80から 82に係る蛍光体の発光強度の温度特性測定結果を示すグ ラフである。
[図 19-2]実施例 80から 82に係る蛍光体の発光強度と酸素濃度との関係を示すダラ フである。
[図 20]実施例 83に係る白色 LED照明の発光スペクトルである。
[図 21]実施例 84から 86に係る白色 LED照明の発光スペクトルである。
[図 22]実施例 87から 89及び比較例 4から 6に係る蛍光体混合物において、相関色 温度を 6500Kとしたときの発光スペクトルパターンである。
[図 23]実施例 90、 91及び比較例 7、 8に係る蛍光体混合物において、相関色温度を 4200Kとしたときの発光スペクトルパタ ンである。
[図 24]実施例 92に係る蛍光体混合物において、相関色温度を 6500Kとしたときの 発光素子のスペクトルパタ ンである。
[図 25]従来の黄色蛍光体 YAG: Ceの励起スペクトルを示すグラフである。
[図 26]実施例に係る砲弾型 LEDの断面図である。
[図 27]実施例に係る反射型 LEDの断面図である。
符号の説明
1.蛍光体混合物
2. LED発光素子
3.リードフレーム
4.樹脂
5.カップ状の容器
8.反射面
9.透明モールド材