JP2011195688A - 赤色蛍光体およびその製造方法、ならびに発光装置 - Google Patents

赤色蛍光体およびその製造方法、ならびに発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外光〜青色光の短波長の励起光を用いた場合でも輝度が高いサイアロン構造の赤色蛍光体を高い歩留まりで製造することができる赤色蛍光体の製造方法、およびこの製造方法で得られる赤色蛍光体、ならびにこの赤色蛍光体を用いた発光装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る赤色蛍光体の製造方法は、アルカリ土類金属炭酸塩と窒化珪素と窒化アルミニウムと酸化ユーロピウムとを含む蛍光体原料混合物を耐火るつぼに充填し、N含有ガス雰囲気下、1400℃〜2000℃で焼成し、焼成体を解砕して赤色蛍光体粉末を得る焼成工程を有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、赤色蛍光体およびその製造方法ならびに発光装置に関し、詳しくは、ユーロピウム付活サイアロンからなる赤色蛍光体およびその製造方法ならびに前記赤色蛍光体を用いた発光装置に関する。
蛍光体粉末は、たとえば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光装置に用いられる。発光装置は、たとえば、基板上に配置され所定の色の光を出射する半導体発光素子と、この半導体発光素子から出射される紫外光、青色光等の光により励起されて可視光を発する蛍光体粉末を封止樹脂である透明樹脂硬化物中に含む発光部とを備える。
発光装置の半導体発光素子としては、たとえば、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlP等が用いられる。また、蛍光体粉末の蛍光体としては、たとえば、半導体発光素子からの出射光により励起されてそれぞれ青色光、緑色光、黄色光、赤色光の光を出射する青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体等が用いられる。
発光装置は、封止樹脂中に赤色蛍光体等の各種の蛍光体粉末を含有させることにより、放射光の色を調整することができる。すなわち、発光チップと、発光チップから放射された光を吸収して所定波長域の光を発光する蛍光体粉末とを組み合わせて用いることにより、発光チップから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との作用で、可視光領域の光や白色光を発光させることが可能になる。
従来、蛍光体としては、たとえば、特許文献1(国際公開第2007/105631号)に、波長250nm乃至500nmの紫外光〜青色光で励起した際に、波長490nm乃至580nmの間に発光ピークを示すサイアロン(Si−Al−O−N)構造の緑色蛍光体が開示されている。
また、特許文献1の実施例1には、SrCO、AlN、SiおよびEuを原料として用いカーボンるつぼで焼成することにより、黄緑色蛍光体である黄緑色粉体と、橙色蛍光体である橙色粉体と、の2種類の焼結粉体の混合物を得る蛍光体の製造方法が記載されている。また、参考例1には、実施例1と同様の原料を用い、条件を変えて焼成することにより、青色蛍光体である白色粉体、黄緑色蛍光体である黄緑色蛍光体、更には赤色蛍光体である赤色粉体の、2〜3種類の焼結粉体の混合物を得る蛍光体の製造方法が記載されている。
特許文献1によれば、温度特性の良好な蛍光体が得られる。
また、発明者の実験によれば、特許文献1の参考例1で得られるサイアロン構造の赤色蛍光体は、従来の赤色蛍光体に比べて、青色光等の短波長の励起光を用いた場合でも赤色光の輝度が高くなることが分かった。このため、赤色蛍光体として、サイアロン構造の赤色蛍光体を用いることが望まれている。
国際公開第2007/105631号
しかし、特許文献1に記載された蛍光体の製造方法では、赤色蛍光体を生成しようとする場合でも、焼成後に得られる焼結粉体は、赤色蛍光体や黄緑色蛍光体、更には青色蛍光体等の2〜3種類の焼結粉体の混合物になる。このため、特許文献1に記載された蛍光体の製造方法では、サイアロン構造の赤色蛍光体の製造歩留まりが低いという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、紫外光〜青色光の短波長の励起光を用いた場合でも輝度が高いサイアロン構造の赤色蛍光体を高い歩留まりで製造することができる赤色蛍光体の製造方法、およびこの製造方法で得られる赤色蛍光体、ならびにこの赤色蛍光体を用いた発光装置を提供することを目的とする。
本発明は、赤色蛍光体の製造原料であるSrCO、Eu等を、N含有ガス雰囲気下、特定温度で焼成し、焼成体を解砕して焼成粉末を得る焼成工程を行うことにより、サイアロン構造の赤色蛍光体を高い歩留まりで製造することができることを見出して完成されたものである。
本発明に係る赤色蛍光体の製造方法は、上記問題点を解決するものであり、アルカリ土類金属炭酸塩と窒化珪素と窒化アルミニウムと酸化ユーロピウムとを含む蛍光体原料混合物を耐火るつぼに充填し、N含有ガス雰囲気下、1400℃〜2000℃で焼成し、焼成体を解砕して赤色蛍光体粉末を得る焼成工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係る赤色蛍光体は、上記問題点を解決するものであり、前記製造方法により得られる赤色蛍光体であり、下記一般式(1)
(Sr1−xEuαSiβAlγδω (1)
(式(1)中、xは0<x<1、αは0<α≦3、βは5≦β≦9、γは1≦γ≦5、δは0.5≦δ≦2、ωは5≦ω≦15を満足する数である。)
で表される組成のユーロピウム付活サイアロン蛍光体であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る発光装置は、上記問題点を解決するものであり、基板と、この基板上に配置され紫外光〜青色光を出射する半導体発光素子と、この半導体発光素子からの出射光により励起されて可視光を出射する蛍光体を透明樹脂硬化物中に含み、前記半導体発光素子の発光面を被覆する発光部と、を備え、前記蛍光体は、前記赤色蛍光体を含むことを特徴とする。
本発明に係る赤色蛍光体の製造方法によれば、サイアロン構造の赤色蛍光体を高い歩留まりで製造することができる。
また、本発明に係る赤色蛍光体によれば、紫外光〜青色光の短波長の励起光を用いた場合でも輝度が高いサイアロン構造の赤色蛍光体が得られる。
さらに、本発明に係る発光装置によれば、紫外光〜青色光の短波長の励起光を用いた場合でも輝度が高い発光装置が得られる。
本発明に係る発光装置の発光スペクトルの一例。
本発明に係る赤色蛍光体の製造方法、赤色蛍光体、および発光装置について説明する。
[赤色蛍光体の製造方法]
本発明に係る赤色蛍光体の製造方法は、蛍光体原料混合物を焼成し、焼成体を解砕して焼成粉末を得る焼成工程を有する。
(焼成工程)
焼成工程は、蛍光体原料混合物を焼成し、焼成体を解砕して焼成粉末を得る工程である。
<蛍光体原料混合物>
蛍光体原料混合物は、アルカリ土類金属炭酸塩と窒化珪素と窒化アルミニウムと酸化ユーロピウムとを含む混合物である。
前記原料混合物のうちアルカリ土類金属炭酸塩としては、たとえば、Mg、Ca、Sr、Baの炭酸塩、具体的にはSrCO等が用いられる。
蛍光体原料混合物は、アルカリ土類金属炭酸塩と窒化珪素と窒化アルミニウムと酸化ユーロピウムとを含む。蛍光体原料混合物は、さらにフラックス剤として、反応促進剤である塩化ストロンチウムSrCl等を含んでいてもよい。
蛍光体原料混合物は、耐火るつぼに充填される。耐火るつぼとしては、たとえば、窒化ホウ素るつぼ、カーボンるつぼ等が用いられる。
<焼成条件>
耐火るつぼに充填された蛍光体原料混合物は焼成される。焼成装置は、耐火るつぼが配置される内部の焼成雰囲気の組成および圧力、ならびに焼成温度および焼成時間が所定条件に保たれる装置が用いられる。このような焼成装置としては、たとえば、電気炉が用いられる。
焼成雰囲気としては、N含有ガスが用いられる。N含有ガスとしては、たとえば、Nガスや、NとHとの混合ガス等が用いられる。
含有ガス中のHは、蛍光体原料混合物から蛍光体粉末を焼成する際に、還元剤として作用するものである。
一般的に、蛍光体原料混合物から蛍光体粉末を焼成するときは、蛍光体粉末に対して酸素Oを過剰に含む蛍光体原料混合物から適量の酸素Oが消失することにより、所定の組成の蛍光体粉末を得る。このとき、N含有ガス中にHが含まれると、焼成雰囲気が還元性雰囲気となり、焼成時の酸素Oの消失の度合いが大きくなる。
このため、N含有ガス中にHが含まれる場合は、N含有ガス中にHが含まれない場合に比べて、焼成時間を短くすることができる。ただし、N含有ガス中のHの含有量が多すぎると、得られる蛍光体粉末の組成が一般式(1)のSrサイアロン赤色蛍光体と異なりやすく、このために蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。
含有ガスが、Nガス、またはNとHとの混合ガスである場合、N含有ガス中のNとHとのモル比率は、N:Hが、通常10:0〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、さらに好ましくは6:4〜4:6である。
含有ガス中のNとHとのモル比率が、上記範囲内、すなわち通常10:0〜1:9であると、短時間の焼成で、結晶構造の欠陥の少ない高品質な単結晶の蛍光体粉末を得ることができる。
含有ガス中のNとHとのモル比率は、焼成装置のチャンバー内に連続的に供給されるNとHとを、NとHとの流量の比率が上記比率になるように供給するとともに、チャンバー内の混合ガスを連続的に排出することにより、上記比率、すなわち通常10:0〜1:9にすることができる。
焼成雰囲気であるN含有ガスは、焼成装置のチャンバー内で気流を形成させるように流通させると、焼成が均一に行われるため好ましい。
焼成雰囲気であるN含有ガスの圧力は、通常0.1MPa(略1atm)〜1.0MPa、好ましくは0.5MPa〜0.8MPaである。
焼成雰囲気の圧力が0.1MPa未満であると、焼成前にるつぼに仕込んだ蛍光体原料混合物に比較して、焼成後に得られる蛍光体粉末の組成が一般式(1)のSrサイアロン赤色蛍光体と異なりやすく、このために蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。
焼成雰囲気の圧力が1.0MPaを超えると、圧力が1.0MPa以下の場合と比較しても焼成条件に特に変化がなく、エネルギーの無駄遣いになるため好ましくない。
焼成温度は、1400℃〜2000℃、好ましくは1600℃〜1800℃、さらに好ましくは1650℃〜1750℃である。
焼成温度が1400℃〜2000℃の範囲内にあると、短時間の焼成で、結晶構造の欠陥の少ない高品質な単結晶の蛍光体粉末を得ることができる。
焼成温度が1400℃未満であると、得られる蛍光体粉末が紫外〜青色光により励起されて出射する光の色が、赤色以外の色、たとえば緑色等の色になるおそれがある。
焼成温度が2000℃を超えると、焼成の際のNとOの消失度合いが大きくなることにより得られる蛍光体粉末の組成が一般式(1)のSrサイアロン赤色蛍光体と異なりやすく、このために蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。
焼成時間は、通常0.5時間〜20時間、好ましくは4時間〜10時間、さらに好ましくは4時間〜5時間である。
焼成時間が0.5時間未満である場合または20時間を超える場合は、得られる蛍光体粉末の組成が一般式(1)のSrサイアロン赤色蛍光体と異なりやすく、このために蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。
焼成時間は、焼成温度が高い場合は、0.5時間〜20時間の範囲内で短い時間とすることが好ましく、焼成温度が低い場合は、0.5時間〜20時間の範囲内で長い時間とすることが好ましい。
焼成後の耐火るつぼ中には、赤色蛍光体粉末等の蛍光体粉末からなる焼成体が生成される。焼成体は、通常、弱く固まった塊状になっている。焼成体を乳棒等を用いて軽く解砕すると、赤色蛍光体粉末が得られる。ここで赤色蛍光体粉末とは、紫外〜青色光により励起されて出射する光の色が赤色である蛍光体粉末を意味する。
焼成体の解砕により、焼成工程は終了する。解砕で得られた赤色蛍光体粉末は、一般式(1)の組成を有するSrサイアロン赤色蛍光体の粉末になる。
なお、焼成条件によっては、耐火るつぼ中の焼成体の全てが赤色蛍光体粉末にならず、一部が赤色以外の色の蛍光体粉末になる場合がある。たとえば、焼成装置のチャンバー内の熱分布の不均一や耐火るつぼの熱分布の不均一等のために、耐火るつぼ内の焼成体の上側の部分、すなわちるつぼの蓋を取ったときの焼成体の表面側の部分が赤色蛍光体粉末からなるとともに、焼成体の下側の部分、すなわちるつぼの底部側の焼成体の部分が緑色蛍光体粉末からなる場合がある。
このような場合は、上記焼成工程をさらに1回〜4回連続して繰り返し、合計2回〜5回行うと、焼成体を解砕した蛍光体粉末が赤色蛍光体粉末の単一相に近づく、すなわち、赤色蛍光体粉末の収率が高くなるため好ましい。
具体的には、はじめに、1回目の焼成工程の途中で得られた焼成体を解砕して、赤色蛍光体粉末と、赤色以外の色の蛍光体粉末とからなる蛍光体粉末混合物を得る。次に、この蛍光体粉末混合物を、1回目の焼成工程における蛍光体原料混合物と同様にして、耐火るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で2回目の焼成工程を行い、焼成体を解砕して蛍光体粉末を得る。得られた蛍光体粉末は、通常、1回目の焼成工程で得られた蛍光体粉末に比較して、赤色蛍光体粉末の割合が高くなる。
2回目の焼成工程終了後に得られる蛍光体粉末が、依然、赤色蛍光体粉末と赤色以外の色の蛍光体粉末とからなる蛍光体粉末混合物である場合において、赤色蛍光体粉末の収率をより高くしたいときは、2回目の焼成工程と同様にして、3回目の焼成工程をさらに行う。
このようにして、焼成工程終了後に得られる蛍光体粉末が、依然、赤色蛍光体粉末と赤色以外の色の蛍光体粉末とからなる蛍光体粉末混合物である場合において、赤色蛍光体粉末の収率をより高くしたいときは、必要により、焼成工程を繰り返し、最大で合計5回まで焼成工程を行う。
このように焼成工程を連続して繰り返すことにより赤色蛍光体粉末の収率が高くなる理由は、以下のとおりであると考えられる。
すなわち、焼成体の一部が赤色蛍光体粉末以外の蛍光体粉末、たとえば緑色蛍光体粉末等になるのは、緑色蛍光体粉末等の酸素O等の組成が一般式(1)の組成を満たしていないからであると解される。
一方、本発明で上記焼成工程を行うと、被焼成物である蛍光体原料混合物や蛍光体粉末混合物から酸素Oが除去される。酸素Oの除去の度合いは、焼成工程を繰り返して行うことにより高くなる。
このため、焼成工程終了後に得られる蛍光体粉末が、赤色蛍光体粉末と赤色蛍光体以外の色の蛍光体粉末とからなる蛍光体粉末混合物である場合は、焼成工程をさらに繰り返すことにより、蛍光体粉末混合物から酸素Oが徐々に除去されて、得られる蛍光体粉末の酸素O等の組成が一般式(1)の組成を満たすようになるものと考えられる。
なお、焼成工程の合計繰り返し回数が6回以上になると、過反応になり、すなわち酸素Oが除去されすぎることにより、赤色蛍光体粉末の収率が低くなるおそれがある。
以上の本発明に係る赤色蛍光体の製造方法で得られる赤色蛍光体は、以下に示す本発明に係る赤色蛍光体となる。
[赤色蛍光体]
本発明に係る赤色蛍光体は、本発明に係る赤色蛍光体の製造方法で得られる赤色蛍光体であり、下記一般式(1)
(Sr1−xEuαSiβAlγδω (1)
(式(1)中、xは0<x<1、αは0<α≦3、βは5≦β≦9、γは1≦γ≦5、δは0.5≦δ≦2、ωは5≦ω≦15を満足する数である。)
で表される組成のユーロピウム付活サイアロン蛍光体である。このユーロピウム付活サイアロン蛍光体を、以下、「Srサイアロン赤色蛍光体」ともいう。
一般式(1)において、xは、0<x<1、好ましくは0.025≦x≦0.5、さらに好ましくは0.25≦x≦0.5を満足する数である。
xが0であると焼成工程で得られる焼成体が蛍光体にならず、xが1であると赤色蛍光体粉末の発光効率が低くなる。
また、xは0<x<1の範囲内で小さい数になるほど赤色蛍光体の発光効率が低下しやすくなる。さらに、xは0<x<1の範囲内で大きい数になるほどEu濃度の過剰のために濃度消光を起こしやすくなる。
このため、xは0<x<1のうちでも、0.025≦x≦0.5を満足する数が好ましく、0.25≦x≦0.5を満足する数がさらに好ましい。
一般式(1)において、Srの総合的な添え字(1−x)αは0<(1−x)α<3を満足する数である。また、Euの総合的な添え字xαは0<xα<3を満足する数である。すなわち、一般式(1)において、SrおよびEuの総合的な添え字は、それぞれ0を超え3未満を満足する数である。
一般式(1)においてSiの添え字であるβは5≦β≦9を満足する数である。
一般式(1)においてAlの添え字であるγは1≦γ≦5を満足する数である。
一般式(1)においてOの添え字であるδは0.5≦δ≦2を満足する数である。
一般式(1)においてNの添え字であるωは5≦ω≦15を満足する数である。
一般式(1)において添え字β、γ、δおよびωが、それぞれ上記範囲外の数になると、焼成で得られる蛍光体の組成が、一般式(1)で表されるSrサイアロン赤色蛍光体と異なるものになるおそれがある。
一般式(1)で表されるSrサイアロン赤色蛍光体は、通常、単結晶の粉末の形態をとる。
Srサイアロン赤色蛍光体の粉末は、平均粒径が、好ましくは1μm〜50μmである。ここで、平均粒径とは、コールターカウンター法による測定値であり、体積累積分布の中央値D50を意味する。
Srサイアロン赤色蛍光体の粉末の平均粒径が1μm未満であったり50μmを超えたりすると、透明樹脂硬化物中にSrサイアロン赤色蛍光体の粉末や他の色の蛍光体粉末を分散させ、半導体発光素子からの出射光を照射して赤色光や他の色の光を出射させる構造の発光装置を作製した場合に、発光装置からの光の取り出し効率が低下するおそれがある。
一般式(1)で表されるSrサイアロン赤色蛍光体は、紫外光〜青色光を受光すると励起され、赤色光を出射する。
ここで、紫外光〜青色光とは、紫外光〜青色光の波長域内にピーク波長を有する光を意味する。紫外光〜青色光は、370nm〜470nmの範囲内にピーク波長を有する光であることが好ましい。
紫外光〜青色光の受光により、一般式(1)で表されるSrサイアロン赤色蛍光体から出射される赤色光は、580nm〜650nmの範囲内にピーク波長を有する光になる。
[発光装置]
本発明に係る発光装置は、上記の本発明に係る赤色蛍光体、すなわちSrサイアロン赤色蛍光体を用いる発光装置である。
具体的には、本発明に係る発光装置は、基板と、この基板上に配置される半導体発光素子と、この半導体発光素子からの出射光により励起されて可視光を出射する蛍光体を透明樹脂硬化物中に含み、半導体発光素子の発光面を被覆する発光部とを備え、発光部に用いられる蛍光体はSrサイアロン赤色蛍光体を含む発光装置である。
発光装置は、発光部中に含まれる蛍光体がSrサイアロン赤色蛍光体のみであれば、発光装置の出射面から赤色光を出射する。
また、本発明に係る発光装置は、発光部中に、Srサイアロン赤色蛍光体に加え、青色蛍光体および緑色蛍光体を含むようにすると、各色の蛍光体から出射される赤色光、青色光および緑色光の混色により、発光装置の出射面から白色光を出射する白色光発光装置とすることもできる。
さらに、本発明に係る発光装置は、Srサイアロン赤色蛍光体に加え、他の赤色蛍光体を含んでいてもよい。
(基板)
基板としては、たとえば、アルミナ、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックス、ガラスエポキシ樹脂等が用いられる。基板がアルミナ板や窒化アルミニウム板であると、熱伝導性が高く、LED光源の温度上昇を抑制することができるため好ましい。
(半導体発光素子)
半導体発光素子は、基板上に配置される。
半導体発光素子としては、紫外光〜青色光を出射する半導体発光素子が用いられる。ここで、紫外光〜青色光とは、紫外光〜青色光の波長域内にピーク波長を有する光を意味する。紫外光〜青色光は、370nm〜470nmの範囲内にピーク波長を有する光であることが好ましい。
紫外光〜青色光を出射する半導体発光素子としては、たとえば、紫外発光ダイオード、紫色発光ダイオード、青色発光ダイオード、紫外レーザダイオード、紫色レーザダイオードおよび青色レーザダイオード等が用いられる。なお、半導体発光素子がレーザダイオードの場合、上記ピーク波長とは、ピーク発振波長を意味する。
(発光部)
発光部は、半導体発光素子からの出射光である紫外光〜青色光により励起されて可視光を出射する蛍光体を透明樹脂硬化物中に含むものであり、半導体発光素子の発光面を被覆するように形成される。
発光部に用いられる蛍光体は、少なくとも上記の本発明に係る赤色蛍光体、すなわちSrサイアロン赤色蛍光体を含む。
また、発光部に用いられる蛍光体は、Srサイアロン赤色蛍光体と、Srサイアロン赤色蛍光体以外の蛍光体とを含むものであってもよい。Srサイアロン赤色蛍光体以外の蛍光体としては、たとえば、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、紫色蛍光体、橙色蛍光体、Srサイアロン赤色蛍光体以外の赤色蛍光体等を用いることができる。蛍光体としては、通常、粉末状のものが用いられる。
発光部において、蛍光体は透明樹脂硬化物中に含まれる。通常、蛍光体は透明樹脂硬化物中に分散される。
発光部に用いられる透明樹脂硬化物は、透明樹脂、すなわち透明性の高い樹脂を硬化させたものである。透明樹脂としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。シリコーン樹脂のうちでは、ジメチルシリコーン樹脂が、UV耐性が高いため好ましい。
発光部は、たとえば、はじめに透明樹脂と蛍光体とを混合して、蛍光体が透明樹脂中に分散した蛍光体スラリーを調製し、次に、蛍光体スラリーを半導体発光素子に塗布し硬化させることにより得られる。
蛍光体スラリーは、たとえば、100℃〜160℃に加熱することにより硬化させることができる。
図1は、本発明に係る発光装置の発光スペクトルの一例である。
具体的には、半導体発光素子としてピーク波長が400nmの紫色光を出射する紫色LEDを用いるとともに、蛍光体として一般式(1)で表されるSrサイアロン赤色蛍光体のみを用いた、赤色発光装置の発光スペクトルである。
なお、紫色LEDは、順方向降下電圧Vfが3.195V、順方向電流Ifが20mAである。
図1に示すように、蛍光体として一般式(1)で表されるSrサイアロン赤色蛍光体を用いた赤色発光装置は、紫色光等の短波長の励起光を用いた場合でも発光強度が高い。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
[実施例1]
はじめに、原料として、SrCOを31.2gと、AlNを43.3gと、Siを16.2gと、Euを9.30gと、反応促進剤としてのフラックス剤を適量と、を乾式混合した後、得られた原料混合物を窒化ホウ素るつぼに充填した。
次に、原料混合物を充填した窒化ホウ素るつぼを電気炉内に載置した後、電気炉内に窒素Nと水素Hとをそれぞれ1L/minで連続的に供給するとともに、電気炉から適宜排気した。これにより、電気炉内に、窒素Nと水素Hとをモル比8:2で含む0.1MPaの窒素含有ガスが流通するようにした。
この状態で電気炉内を加熱し、るつぼ内の混合物を、1400℃で5時間焼成した。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
焼成体を解砕し、赤色粉末を採取した後、赤色粉末に対し容量比で10倍量の水で洗浄し、乾燥後、200メッシュ、目開き75μmのふるいで分級して、赤色粉末を得た。また、焼成体を解砕して採取した緑色粉末についても同様に洗浄、乾燥、分級して、緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
Srサイアロン赤色蛍光体の理論収量に対する焼成体中のSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりは、50%であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体について組成、発光ピーク波長および平均粒径を調べた。平均粒径は、コールターカウンター法による測定値であり、体積累積分布の中央値D50の値である。
また、洗浄、乾燥、分級後の赤色粉末と緑色粉末とを混合した粉末混合物、すなわちSrサイアロン赤色蛍光体と緑色蛍光体との粉末混合物について輝度を調べた。なお、輝度は、後述の実施例6の試料の輝度を100%としたときの相対値(%)として示す。
表1に、焼成条件を示す。表2に、焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、Srサイアロン赤色蛍光体の歩留まり、および平均粒径を示す。
以下に示す実施例2〜14についても、表1に焼成条件を示し、表2に焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、Srサイアロン赤色蛍光体の歩留まり、および平均粒径を示す。
なお、以下に示す実施例および比較例において、焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長とは、焼成体を解砕した焼成粉末が赤色蛍光体を含むときは赤色蛍光体について測定した組成および発光ピーク波長を示し、焼成体を解砕した焼成粉末が赤色蛍光体を含まないときは適宜定めた測定対象について測定した組成および発光ピーク波長を示す。
さらに、以下に示す実施例および比較例において、粉末混合物とは単一相の粉末を含む意味で用いる。たとえば、洗浄、乾燥、分級後の粉末が赤色蛍光体粉末のみからなるときは、この場合の粉末混合物とは赤色蛍光体粉末を意味する。
Figure 2011195688
Figure 2011195688
[実施例2および3]
焼成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[実施例4]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
この1回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[実施例5]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
この1回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(3回目の焼成工程)
2回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この3回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[実施例6]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、1回目の焼成を行った。
この1回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。
焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(3回目の焼成工程)
2回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この3回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(4回目の焼成工程)
3回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この4回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、赤色蛍光体の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[実施例7]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、1回目の焼成を行った。
この1回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。
焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(3回目および4回目の焼成工程)
2回目の焼成工程後、2回目の焼成工程と同じ焼成工程をさらに2回繰り返して行うことにより、3回目の焼成工程と4回目の焼成工程とを行った。
この3回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。
3回目の焼成後、焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
4回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
4回目の焼成後、焼成体を解砕し、赤色粉末を得た。
(5回目の焼成工程)
4回目の焼成工程で得られた赤色粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。この5回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、赤色蛍光体の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[実施例8および9]
焼成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。また、焼成体のうち、大部分は赤色粉末であった。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[実施例10〜14]
表2に示す各組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例2と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、および粉末混合物の輝度を測定した。
表2中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[比較例1]
焼成条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は緑色粉末からなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、緑色粉末を得た。
緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体(組成:SrSi:Eu)であった。なお、母体組成の全く異なる蛍光体が得られたため、Eu濃度は測定しなかった。
得られた緑色蛍光体について、実施例1と同様にして、緑色蛍光体の発光ピーク波長、緑色蛍光体の輝度、Srサイアロン赤色蛍光体の歩留まり、および平均粒径を測定した。
表4に、焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、Srサイアロン赤色蛍光体の歩留まり、および平均粒径を示す。
表4中、焼成粉末の組成は緑色蛍光体の組成、発光ピーク波長は緑色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
以下に示す比較例2〜8、実施例15〜17についても、表3に焼成条件を示し、表4に焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを示す。
Figure 2011195688
Figure 2011195688
[比較例2]
焼成条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表4中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[比較例3〜7]
焼成条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末からなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、Srサイアロン構造でなく一般式(1)を満たさない赤色蛍光体であった。
具体的には、比較例3〜7の赤色蛍光体の組成はSrSi:Euであった。なお、母体組成の全く異なる蛍光体が得られたため、Eu濃度は測定しなかった。
得られた赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、赤色蛍光体の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表4中、焼成粉末の組成は赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長は赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[実施例15]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、1回目の焼成を行った。
この1回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末混合物を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。
焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
(3回目〜5回目の焼成工程)
2回目の焼成工程後、2回目の焼成工程と同じ焼成工程をさらに3回繰り返して行うことにより、3回目、4回目、および5回目の焼成工程を行った。
3回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。
3回目の焼成後、焼成体を解砕し、赤色粉末と緑色粉末とからなる粉末混合物を得た。
4回目の焼成後の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
4回目の焼成後、焼成体を解砕し、赤色粉末を得た。
5回目の焼成後の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
5回目の焼成後、焼成体を解砕し、赤色粉末を得た。
(6回目の焼成工程)
5回目の焼成工程で得られた赤色粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この6回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と黒色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には黒色粉末が生成されており、底部側の部分には赤色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および黒色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、黒色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさず、蛍光体でもなかった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表4中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と黒色粉末とを混合したものを用いた。
[実施例16]
焼成条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末と緑色粉末とからなる一つの塊になっていた。具体的には、るつぼ内の焼成体の頂部側(表面側)の部分には赤色粉末が生成されており、底部側の部分には緑色粉末が生成されていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末および緑色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSr1.5Eu0.5SiAl13であり、一般式(1)を満たすSrサイアロン赤色蛍光体であった。
一方、緑色粉末を分析したところ、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られたSrサイアロン赤色蛍光体および粉末混合物について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表4中、焼成粉末の組成はSrサイアロン赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長はSrサイアロン赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
なお、輝度を測定した粉末混合物としては、洗浄、乾燥、分級後に得られた赤色粉末と緑色粉末とを混合したものを用いた。
[比較例8]
焼成条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、焼成を行った。
焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末からなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、Srサイアロン構造でなく一般式(1)を満たさない赤色蛍光体(組成:SrSi:Eu)であった。なお、母体組成の全く異なる蛍光体が得られたため、Eu濃度は測定しなかった。
得られた赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、赤色蛍光体の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを測定した。
表4中、焼成粉末の組成は赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長は赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[比較例9]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がEuSiAl13であり、一般式(1)を満たさない赤色蛍光体であった。
得られた赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、および赤色蛍光体の輝度を測定した。
表6に、焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度、およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを示す。
表6中、焼成粉末の組成は赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長は赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
以下に示す比較例10〜16についても、表5に焼成条件を示し、表6に焼成体の組成、焼成体の発光ピーク波長、粉末混合物の輝度およびSrサイアロン赤色蛍光体の歩留まりを示す。
Figure 2011195688
Figure 2011195688
[比較例10および11]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は黄色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、黄色粉末を得た。
黄色粉末を分析したところ、比較例10は組成がSrEuSi11Al13、比較例11は組成がSrEuSiAl13であり、共に一般式(1)を満たさない黄色蛍光体であった。
得られた黄色蛍光体について、実施例1と同様にして、黄色蛍光体の発光ピーク波長、および黄色蛍光体の輝度を測定した。
表6中、焼成粉末の組成は黄色蛍光体の組成、発光ピーク波長は黄色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[比較例12]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSrEuSiAl13であり、一般式(1)を満たさない赤色蛍光体であった。
得られた赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、および赤色蛍光体の輝度を測定した。
表6中、焼成粉末の組成は赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長は赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[比較例13]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は黄色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、黄色粉末を得た。
黄色粉末を分析したところ、組成がSrEuSiAl13であり、一般式(1)を満たさない黄色蛍光体であった。
得られた黄色蛍光体について、実施例1と同様にして、黄色蛍光体の発光ピーク波長、および黄色蛍光体の輝度を測定した。
表6中、焼成粉末の組成は黄色蛍光体の組成、発光ピーク波長は黄色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[比較例14]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は緑色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、緑色粉末を得た。
緑色粉末を分析したところ、組成がSrEuSiAlであり、一般式(1)を満たさない緑色蛍光体であった。
得られた緑色蛍光体について、実施例1と同様にして、緑色蛍光体の発光ピーク波長、および緑色蛍光体の輝度を測定した。
表6中、焼成粉末の組成は緑色蛍光体の組成、発光ピーク波長は緑色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[比較例15]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は赤色粉末のみからなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、赤色粉末を得た。
赤色粉末を分析したところ、組成がSrEuSiAl19であり、一般式(1)を満たさない赤色蛍光体であった。
得られた赤色蛍光体について、実施例1と同様にして、焼成体の発光ピーク波長、および赤色蛍光体の輝度を測定した。
表6中、焼成粉末の組成は赤色蛍光体の組成、発光ピーク波長は赤色蛍光体の発光ピーク波長を示す。
[比較例16]
(1回目の焼成工程)
焼成条件を表5に示すように変えるとともに、表6に示す組成の焼成体が得られるように、原料混合物におけるSrCO、AlN、SiおよびEuの配合量を変えた以外は実施例4と同様にして、1回目の焼成を行った。
1回目の焼成後の焼成体を解砕し、粉末を得た。
(2回目の焼成工程)
1回目の焼成工程で得られた粉末を窒化ホウ素るつぼに充填し、1回目の焼成工程と同じ焼成条件で焼成した。
この2回目の焼成後、るつぼ内の焼成体を観察したところ、焼成体は粉末からなる一つの塊になっていた。
実施例1と同様にして、焼成体を解砕し、洗浄し、乾燥し、分級して、焼成粉末を得た。
焼成粉末を分析したところ、組成がSrSiAl13であり、一般式(1)を満たさず、蛍光体でもなかった。
得られた焼成粉末は、蛍光体でなかったため、焼成粉末の発光ピーク波長、および焼成粉末の輝度の測定は行わなかった。

Claims (7)

  1. アルカリ土類金属炭酸塩と窒化珪素と窒化アルミニウムと酸化ユーロピウムとを含む蛍光体原料混合物を耐火るつぼに充填し、N含有ガス雰囲気下、1400℃〜2000℃で焼成し、焼成体を解砕して赤色蛍光体粉末を得る焼成工程を有することを特徴とする赤色蛍光体の製造方法。
  2. 前記焼成工程を連続して繰り返すことにより、前記焼成工程を合計2回〜5回行うことを特徴とする請求項1に記載の赤色蛍光体の製造方法。
  3. 前記焼成工程は、N含有ガス気流下、0.1MPa〜1.0MPaの雰囲気圧力下で焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の赤色蛍光体の製造方法。
  4. 請求項1ないし3記載の製造方法により得られる赤色蛍光体であり、下記一般式(1)
    (Sr1−xEuαSiβAlγδω (1)
    (式(1)中、xは0<x<1、αは0<α≦3、βは5≦β≦9、γは1≦γ≦5、δは0.5≦δ≦2、ωは5≦ω≦15を満足する数である。)
    で表される組成のユーロピウム付活サイアロン蛍光体であることを特徴とする赤色蛍光体。
  5. 平均粒径が1μm〜50μmであることを特徴とする請求項4に記載の赤色蛍光体。
  6. 基板と、
    この基板上に配置され紫外光〜青色光を出射する半導体発光素子と、
    この半導体発光素子からの出射光により励起されて可視光を出射する蛍光体を透明樹脂硬化物中に含み、前記半導体発光素子の発光面を被覆する発光部と、
    を備え、
    前記蛍光体は、請求項4または5に記載の赤色蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
  7. 前記半導体発光素子は370nm〜470nmの範囲内にピーク波長を有する光を出射する発光ダイオードまたはレーザダイオードであることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
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