JP2021009171A - 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法 - Google Patents

波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021009171A
JP2021009171A JP2017187983A JP2017187983A JP2021009171A JP 2021009171 A JP2021009171 A JP 2021009171A JP 2017187983 A JP2017187983 A JP 2017187983A JP 2017187983 A JP2017187983 A JP 2017187983A JP 2021009171 A JP2021009171 A JP 2021009171A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor particles
atoms
wavelength conversion
conversion member
surface layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017187983A
Other languages
English (en)
Inventor
佑亮 小城原
Yusuke OGIHARA
佑亮 小城原
俊幸 瀧澤
Toshiyuki Takizawa
俊幸 瀧澤
濱田 貴裕
Takahiro Hamada
貴裕 濱田
幸彦 杉尾
Yukihiko Sugio
幸彦 杉尾
純久 長崎
Sumihisa Nagasaki
純久 長崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2017187983A priority Critical patent/JP2021009171A/ja
Priority to PCT/JP2018/033524 priority patent/WO2019065194A1/ja
Publication of JP2021009171A publication Critical patent/JP2021009171A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K11/00Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
    • C09K11/08Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K11/00Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
    • C09K11/08Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
    • C09K11/64Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing aluminium
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F21LIGHTING
    • F21VFUNCTIONAL FEATURES OR DETAILS OF LIGHTING DEVICES OR SYSTEMS THEREOF; STRUCTURAL COMBINATIONS OF LIGHTING DEVICES WITH OTHER ARTICLES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F21V9/00Elements for modifying spectral properties, polarisation or intensity of the light emitted, e.g. filters
    • F21V9/08Elements for modifying spectral properties, polarisation or intensity of the light emitted, e.g. filters for producing coloured light, e.g. monochromatic; for reducing intensity of light
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L33/00Semiconductor devices with at least one potential-jump barrier or surface barrier specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L33/48Semiconductor devices with at least one potential-jump barrier or surface barrier specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof characterised by the semiconductor body packages
    • H01L33/50Wavelength conversion elements

Abstract

【課題】優れた放熱性を有する波長変換部材を提供する。【解決手段】本開示の波長変換部材(100)は、表層(25)を有する蛍光体粒子(22)と、マトリクス(21)と、を備える。表層(25)は、10.0kVの加速電圧にて蛍光体粒子(22)のエネルギー分散型X線分析を行ったときに組成の情報が得られる部分である。波長変換部材(100)は、(a)蛍光体粒子(22)が窒化物又は酸窒化物を主成分として含み、表層(25)における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が20.0%以上であること、及び、(b)蛍光体粒子(22)がアルミニウムを含み、表層(25)における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、蛍光体粒子(22)における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いこと、からなる群より選ばれる少なくとも1つの要件を満たす。【選択図】図1

Description

本開示は、波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法に関する。
近年、発光素子及び波長変換部材を備えた光源が開発されている。波長変換部材は、マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子を有する。発光素子の光が励起光として蛍光体粒子に照射され、励起光の波長よりも長い波長の光が蛍光体から放射される。このタイプの光源において、光の輝度及び出力を高めるための試みがなされている。
特許文献1は、マトリクスの材料として酸化亜鉛(ZnO)が使用された波長変換部材を開示している。ZnOは、多くの蛍光体の屈折率に近い屈折率を有する無機材料であるとともに、優れた透光性及び高い熱伝導性を有する。特許文献1の波長変換部材によれば、蛍光体粒子とZnOマトリクスとの界面での光散乱が抑制され、高い光出力が達成されうる。
特開2017−028251号公報
特許文献1の波長変換部材は、用いる蛍光体粒子によっては、放熱性の観点から改良の余地を有する。
本開示は、優れた放熱性を有する波長変換部材を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、
表層を有する蛍光体粒子と、
酸化亜鉛を含み、前記蛍光体粒子を囲んでいるマトリクスと、を備え、
前記表層は、10.0kVの加速電圧にて前記蛍光体粒子のエネルギー分散型X線分析を行ったときに組成の情報が得られる部分であり、
(a)前記蛍光体粒子が窒化物又は酸窒化物を主成分として含み、前記表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が20.0%以上であること、及び、
(b)前記蛍光体粒子がアルミニウムを含み、前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いこと、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの要件を満たす、波長変換部材を提供する。
本開示の技術によれば、優れた放熱性を有する波長変換部材を提供できる。
図1は、本開示の一実施形態にかかる波長変換部材の概略断面図である。 図2は、図1に示す蛍光体粒子の断面図である。 図3は、本開示の波長変換部材を用いた反射型光源の概略断面図である。 図4は、本開示の波長変換部材を用いた透過型光源の概略断面図である。 図5は、本開示の光源を用いた照明装置の概略構成図である。 図6Aは、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子のエネルギー分散型X線分析(EDX)スペクトルである。 図6Bは、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図7Aは、サンプル1の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図7Bは、サンプル1の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図8Aは、(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図8Bは、(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図9Aは、サンプル2の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図9Bは、サンプル2の蛍光体粒子のEDXスペクトルである。 図10は、実施例1の波長変換部材における蛍光体層の断面の走査型電子顕微鏡画像である。 図11は、比較例1の波長変換部材における蛍光体層の断面の走査型電子顕微鏡画像である。
(本開示の基礎となった知見)
酸化亜鉛を含むマトリクスは、例えば、酸化亜鉛を結晶成長させることによって形成できる。酸化亜鉛の結晶成長には、Znイオンを含む溶液を用いた溶液成長法を利用できる。しかし、用いる蛍光体粒子によっては、酸化亜鉛の結晶成長が阻害されることがある。このとき、多くの蛍光体粒子がマトリクスの外部に露出する。そのため、十分な放熱性を有する波長変換部材が得られないという問題がある。
酸化亜鉛を結晶成長させるとき、蛍光体粒子に含まれる元素が結晶成長用の溶液に溶出することがある。結晶成長用の溶液に溶出した元素は、結晶成長用の溶液に含まれる化学種と反応することがある。この反応によって、結晶成長用の溶液に溶出した元素を含む複合酸化物が形成されることがある。本開示者らは、あらかじめ蛍光体粒子の表面を処理することによって、蛍光体粒子に含まれる元素の溶出を抑制できることを見出した。さらに、本開示者らは、蛍光体粒子に含まれる元素の溶出を抑制することによって、酸化亜鉛が容易に結晶成長できることを見出した。
本開示の第1態様にかかる波長変換部材は、
表層を有する蛍光体粒子と、
酸化亜鉛を含み、前記蛍光体粒子を囲んでいるマトリクスと、を備え、
前記表層は、10.0kVの加速電圧にて前記蛍光体粒子のエネルギー分散型X線分析を行ったときに組成の情報が得られる部分であり、
(a)前記蛍光体粒子が窒化物又は酸窒化物を主成分として含み、前記表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が20.0%以上であること、及び、
(b)前記蛍光体粒子がアルミニウムを含み、前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いこと、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの要件を満たすものである。
第1態様によれば、蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が比較的高い、又は、表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が比較的低い。このような蛍光体粒子を用いたとき、波長変換部材において、蛍光体粒子は、マトリクスの外部にほとんど露出していない。そのため、波長変換部材は、優れた放熱性を有する。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様にかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子がアルカリ土類金属を含む。第2態様によれば、波長変換部材によって、高い輝度を有し、かつ、演色性に優れた光が得られる。
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる波長変換部材の前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子の前記モル比が20.0%以下である。第3態様によれば、波長変換部材は、優れた放熱性を有する。
本開示の第4態様において、例えば、第1〜第3態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子が前記窒化物又は前記酸窒化物を主成分として含み、前記表層における、全ての原子に対する窒素原子のモル比が20.0%以下である。第4態様によれば、波長変換部材は、優れた放熱性を有する。
本開示の第5態様において、例えば、第1〜第4態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子がケイ素を含み、前記表層における、全ての原子に対する酸素原子の前記モル比と、前記表層における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比との合計が55.0%以上である。第5態様によれば、波長変換部材は、優れた放熱性を有する。
本開示の第6態様において、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子が前記窒化物を主成分として含み、前記窒化物がCaAlSiN3又は(Ca,Sr)AlSiN3である。第6態様によれば、波長変換部材によって、高い輝度を有し、かつ、演色性に優れた光が得られる。
本開示の第7態様にかかる光源は、
発光素子と、
前記発光素子から放射された光の光路上に配置された第1〜第6態様のいずれか1つにかかる波長変換部材と、
を備えたものである。
第7態様によれば、波長変換部材は、優れた放熱性を有する。そのため、目的とする光学特性を有する光源を容易に提供できる。
本開示の第8態様にかかる波長変換部材の製造方法は、
蛍光体粒子を酸によって処理することと、
前記蛍光体粒子を囲むように、酸化亜鉛を含むマトリクスを形成することと、
を含むものである。
第8態様によれば、マトリクスによって蛍光体粒子を容易に囲むことができる。そのため、優れた放熱性を有する波長変換部材が得られる。
本開示の第9態様では、例えば、第8態様にかかる製造方法において、前記酸が酸水溶液である。第9態様によれば、優れた放熱性を有する波長変換部材が得られる。
本開示の第10態様では、例えば、第8態様にかかる製造方法において、前記酸が沸騰した硝酸水溶液であり、前記蛍光体粒子に前記沸騰した硝酸水溶液を接触させることによって前記蛍光体粒子を処理する。第10態様によれば、優れた放熱性を有する波長変換部材が得られる。
本開示の第11態様では、例えば、第8〜第10態様のいずれか1つにかかる製造方法において、溶液成長法によって酸化亜鉛を結晶成長させることによって前記マトリクスを形成する。第11態様によれば、優れた放熱性を有する波長変換部材が得られる。
本開示の第12態様では、例えば、第8〜第11態様のいずれか1つにかかる製造方法において、前記蛍光体粒子がアルカリ土類金属を含む。第12態様によれば、波長変換部材によって、高い輝度を有し、かつ、演色性に優れた光が得られる。
本開示の第13態様では、例えば、第8〜第12態様のいずれか1つにかかる製造方法において、前記蛍光体粒子が窒化物を主成分として含み、前記窒化物がCaAlSiN3又は(Ca,Sr)AlSiN3である。第13態様によれば、波長変換部材によって、高い輝度を有し、かつ、演色性に優れた光が得られる。
本開示の第14態様にかかる蛍光体粒子は、
表層を有し、かつ、アルミニウムを含む蛍光体粒子であって、
前記表層は、10.0kVの加速電圧にて前記蛍光体粒子のエネルギー分散型X線分析を行ったときに組成の情報が得られる部分であり、
前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いものである。
第14態様によれば、蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が比較的低い。蛍光体粒子によれば、波長変換部材を作製したとき、蛍光体粒子は、マトリクスの外部にほとんど露出しない。そのため、優れた放熱性を有する波長変換部材を提供できる。
本開示の第15態様において、例えば、第14態様にかかる蛍光体粒子は、アルカリ土類金属をさらに含む。第15態様によれば、高い輝度を有し、かつ、演色性に優れた光が得られる。
本開示の第16態様にかかる波長変換部材は、
蛍光体粒子と、
酸化亜鉛を含み、前記蛍光体粒子を囲んでいるマトリクスと、を備え、
(a)前記蛍光体粒子が窒化物又は酸窒化物を主成分として含み、前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対する酸素原子のモル比が20.0%以上であること、及び、
(b)前記蛍光体粒子がアルミニウムを含み、前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いこと、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの要件を満たすものである。
本開示の第17態様において、例えば、第16態様にかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対するアルミニウム原子の前記モル比が20.0%以下である。
本開示の第18態様において、例えば、第16又は第17態様にかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子が前記窒化物又は前記酸窒化物を主成分として含み、前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対する窒素原子のモル比が20.0%以下である。
本開示の第19態様において、例えば、第16〜第18態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の前記蛍光体粒子がケイ素を含み、前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対する酸素原子の前記モル比と、前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対するケイ素原子のモル比との合計が55.0%以上である。
本開示の第20態様にかかる蛍光体粒子は、
アルミニウムを含む蛍光体粒子であって、
前記蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してエネルギー分散型X線分析を行うことによって得られた、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いものである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(波長変換部材の実施形態)
図1に示すように、波長変換部材100は、基板10及び蛍光体層20を備えている。基板10は、蛍光体層20を支持している。蛍光体層20は、基板10の上に配置されている。蛍光体層20は、マトリクス21及び蛍光体粒子22を有する。マトリクス21は、各粒子間に存在している。蛍光体粒子22は、マトリクス21に埋め込まれている。言い換えれば、蛍光体粒子22は、マトリクス21に分散されている。蛍光体粒子22は、マトリクス21に囲まれている。
第1の波長帯域を有する励起光が波長変換部材100に照射されたとき、波長変換部材100は、励起光の一部を第2の波長帯域を有する光に変換して放射する。波長変換部材100は、励起光の波長よりも長い波長の光を放射する。第2の波長帯域は、第1の波長帯域と異なる帯域である。ただし、第2の波長帯域の一部が第1の波長帯域に重なっていてもよい。波長変換部材100から放射された光には、蛍光体粒子22から放射された光だけでなく、励起光そのものが含まれていてもよい。
基板10は、基板本体11及び薄膜12を有する。基板10の厚さは、例えば、蛍光体層20の厚さよりも大きい。基板本体11は、サファイア(Al23)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン、アルミニウム、ガラス、石英(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる1つの材料で作られている。基板本体11は、例えば、励起光及び蛍光体粒子22から放射された光に対して透光性を有する。この場合、波長変換部材100は、透過型光源に好適に使用されうる。基板10が透光性を有していない場合、波長変換部材100は、反射型光源に使用されうる。基板本体11は、鏡面研磨された表面を有していてもよい。
基板本体11の表面は、反射防止膜、ダイクロイックミラー、金属反射膜、増反射膜、保護膜などによって被覆されていてもよい。反射防止膜は、励起光の反射を防止するための膜である。ダイクロイックミラーは、誘電体多層膜によって構成されうる。金属反射膜は、光を反射させるための膜であり、銀、アルミニウムなどの金属材料で作られている。増反射膜は、誘電体多層膜によって構成されうる。保護膜は、これらの膜を物理的又は化学的に保護するための膜でありうる。
薄膜12は、蛍光体層20を形成するための下地層として機能する。蛍光体層20のマトリクス21が結晶質であるとき、薄膜12は、マトリクス21の結晶成長過程における種結晶として機能する。つまり、薄膜12は、単結晶薄膜又は多結晶薄膜である。マトリクス21がZnO単結晶又はZnO多結晶によって構成されているとき、薄膜12は、ZnO単結晶薄膜又はZnO多結晶薄膜でありうる。ただし、基板本体11が種結晶の機能を発揮できる場合、薄膜12は省略されていてもよい。例えば、基板本体11が結晶質のGaN又は結晶質のZnOによって構成されているとき、結晶質のZnOによって構成されたマトリクス21を基板本体11の上に直接形成することができる。
蛍光体層20において、蛍光体粒子22は、マトリクス21に分散されている。図1において、蛍光体粒子22は、互いに離れている。ただし、蛍光体粒子22は、互いに接していてもよい。蛍光体粒子22は、石垣のように積まれていてもよい。
蛍光体粒子22は、励起光を受けて蛍光を放射する。蛍光体粒子22は、蛍光物質でできている。蛍光体粒子22は、例えば、アルカリ土類金属を含む。アルカリ土類金属は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。蛍光体粒子22は、アルミニウムをさらに含んでいてもよく、ケイ素をさらに含んでいてもよい。蛍光体粒子22は、アルカリ土類金属、アルミニウム及びケイ素と異なる他の元素をさらに含んでいてもよい。蛍光体粒子22は、例えば、希土類をさらに含む。希土類は、蛍光物質の発光中心として機能する。希土類は、例えば、Y、Ce、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。蛍光体粒子22は、発光中心としてVO4 3-を含んでいてもよい。
蛍光体粒子22は、窒化物、酸窒化物及び酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。窒化物、酸窒化物又は酸化物がアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素、希土類などを含んでいてもよい。蛍光体粒子22は、窒化物又は酸窒化物を主成分として含んでいてもよい。「主成分」とは、蛍光体粒子22に重量比で最も多く含まれた成分を意味する。蛍光体粒子22は、実質的に窒化物又は酸窒化物からなっていてもよい。「実質的に〜からなる」は、言及された化合物の本質的特徴を変更する他の成分を排除することを意味する。ただし、蛍光体粒子22は、窒化物又は酸窒化物の他に不純物を含んでいてもよい。
窒化物は、例えば、CaAlSiN3(CASN)、(Ca,Sr)AlSiN3(SCASN)、SrSi68、(Sr,Ba)YSi47、YSi47、(Ca,Sr,Ba)2Si58及びCaSiN2からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。窒化物は、CaAlSiN3又は(Ca,Sr)AlSiN3であってもよい。このとき、波長変換部材100によって、高い輝度を有し、かつ、演色性に優れた光が得られる。
酸窒化物は、例えば、(Sr,Ba)Al2Si344、Ba3Si6122、YSiON、LaSiON、SrSi9Al19ON31、SrSiAl232、SrSi5AlO27、BaSi222、Sr3Si13Al3221、Sr5Si21Al5235、(Ca,Sr)Si222、AlON、MxSi12-(m+n)Alm+nn16-n(α−サイアロン)、Si6-zAlzz8-z(β−サイアロン)及びLaAl(Si6-zAlz)N10-zz(JEM蛍光体)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。α−サイアロンにおいて、Mは、Caなどの元素を含む。すなわち、α−サイアロンは、CaxSi12-(m+n)Alm+nn16-n(Ca−α−サイアロン)であってもよい。β−サイアロンにおいて、zは、0<z<4.2を満たす。
酸化物は、例えば、BaMgAl1017、Ca3Sc2Si312、Ca3(Sc,Mg)2Si312、CaSc24、Ca(Sc,Mg)24、(Ca,Sr)Sc24、(Sr,Ba)2SiO4、MgAl24、Mg2TiO4、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2、Mg6As211、Ca5(PO43F、Ca5(PO43(F,Cl)、Sr5(PO43F、MgO、CaO、MgGa24、Mg4Ta29、CaPO3、Ba2GdNbO5、(Sr,Mg)227、BaMg2Al1627、BaMg(SO42、SrBe2Si27、Mg3(VO42、LiMgPO4、NaCaVO4、LiZnVO4、(Ca,Sr,Ba)MoO4、CaWO4、Ba2WO34、(Ca,Sr,Ba)2(Mg,Ca,Sr,Ba)WO6、18R−Ba62318、12R−Ba2La2MgW212及びCa3La2212からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
蛍光体粒子22は、窒化物、酸窒化物及び酸化物と異なる他の化合物を含んでいてもよい。蛍光体粒子22は、CaF2、KMgF3、MgS、CaS、SrS、BaS、Ba(F,Cl)、BaAlF5、SrAlF5及び(Mg,Ca,Ba)[Pt(CN)4]・nH2Oからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。
本明細書において、カンマ(,)で区切られた複数の元素が組成式に列挙されている場合、その組成式は、列挙された複数の元素から選ばれる少なくとも1つの元素が化合物に含有されていることを意味する。例えば、「(Ca,Sr)AlSiN3」という組成式は、「CaAlSiN3」、「SrAlSiN3」及び「Ca1-ySryAlSiN3」を全て包括的に示している。yは、0<y<1を満たす。
本明細書では、蛍光体粒子22の材料として例示された化合物の組成式において、発光中心の記載が省略されている。例えば、「CaAlSiN3」という組成式は、「CaAlSiN3:Ce」、「CaAlSiN3:Eu」などを包括的に示している。
図2に示すように、蛍光体粒子22は、表層25及び内部26を有する。表層25は、10.0kVの加速電圧にて蛍光体粒子22のエネルギー分散型X線分析(EDX)を行ったときに組成の情報が得られる部分である。言い換えると、表層25は、10.0kVの加速電圧によってEDXを行うことができる蛍光体粒子22の部分である。内部26は、蛍光体粒子22における表層25以外の部分である。EDXでは、対象物の表面から特定の位置までの対象物の部分における元素組成を測定できる。詳細には、EDXによって対象物を測定したとき、電子が対象物に入射する。対象物の表面から、対象物に入射した電子の侵入深さまでの対象物の部分における元素組成を測定できる。すなわち、蛍光体粒子22の表層25は、蛍光体粒子22の表面から、10.0kVの加速電圧によってEDXを行ったときに蛍光体粒子22に入射した電子の侵入深さまでの蛍光体粒子22の部分である。EDXにおいて、加速電圧Vと対象物に入射した電子の侵入深さRsとの関係は、次の式(1)で表される。
式(1)において、Rsは、対象物に入射した電子の侵入深さ(μm)を示す。Aは、対象物の平均原子量(g/mol)を示す。ρは、対象物の平均密度(g/cc)を示す。Zは、対象物の平均原子番号を示す。Vは、加速電圧(kV)を示す。式(1)からわかるとおり、加速電圧Vが一定であるとき、対象物に入射した電子の侵入深さRsは、対象物の組成に応じて変化する。すなわち、図2において、蛍光体粒子22の表面から内部26までの距離rは、蛍光体粒子22の組成に応じて変化する。例えば、蛍光体粒子22がCaAlSiN3:Euでできているとき、距離rは、0.69μmである。すなわち、表層25は、蛍光体粒子22の表面から0.7μmまでの距離に位置する蛍光体粒子22の部分であってもよい。対象物に入射した電子の侵入深さRsは、対象物の形状に応じて変化することもある。式(1)からわかるとおり、加速電圧Vが大きければ大きいほど、対象物に入射した電子の侵入深さRsが大きい。本明細書において、EDXを行うときの対象物の周囲の温度は、例えば、常温(日本工業規格:20℃±15℃/JIS Z8703)である。EDXは、例えば、4Pa以下の圧力下で行われる。
図2に示すとおり、表層25は、内部26を囲んでいる。表層25は、内部26に接している。蛍光体粒子22において、表層25は、内部26と異なる元素組成を有する。
本実施形態の波長変換部材100では、
(a)蛍光体粒子22が窒化物又は酸窒化物を主成分として含み、表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が20.0%以上であること、及び、
(b)蛍光体粒子22がアルミニウムを含み、表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、蛍光体粒子22における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いこと、からなる群より選ばれる少なくとも1つの要件が満たされている。本明細書では、「表層25における、全ての原子に対する特定の原子のモル比」は、蛍光体粒子22について、加速電圧を10.0kVに設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対する特定の原子のモル比を意味する。
要件(a)が満たされているとき、表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22における、全ての原子に対する酸素原子のモル比よりも高い。表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22について、加速電圧を10.0kVよりも大きい値に設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対する酸素原子のモル比よりも高い。表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、30.0〜60.0%の範囲にあってもよく、39.1〜48.3%の範囲にあってもよい。
上述したとおり、蛍光体粒子についてEDXを行ったとき、加速電圧Vが大きければ大きいほど、蛍光体粒子に入射した電子の侵入深さRsが大きい。すなわち、EDXの加速電圧Vが大きければ大きいほど、得られた元素組成は、蛍光体粒子全体の元素組成をより反映している。そのため、要件(b)が満たされているか否かは、次の方法によって判断できる。まず、蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してEDXを行う。次に、蛍光体粒子について、加速電圧を15.0kVに設定してEDXを行う。蛍光体粒子について、加速電圧を10.0kVに設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比をXと定義する。Xは、蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比である。蛍光体粒子について、加速電圧を15.0kVに設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比をYと定義する。例えば、(Y−X)/Xの値Zが0.045以上であるとき、要件(b)が満たされているとみなすことができる。要件(b)が満たされているとき、値Zは、0.126〜0.222の範囲にあってもよい。本開示において、要件(b)が満たされているか否かを判断する方法は、上記の方法に限定されない。
要件(b)が満たされているとき、表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22について、加速電圧を10.0kVよりも大きい値に設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低い。表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、例えば、20.0%以下である。表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、15.0%以下であってもよい。表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、2.7〜13.5%の範囲にあってもよい。表層25は、アルミニウム原子を含んでいなくてもよい。表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、例えば、表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比よりも低い。
蛍光体粒子22が窒化物又は酸窒化物を主成分として含むとき、表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22における、全ての原子に対する窒素原子のモル比よりも低い。表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22について、加速電圧を10.0kVよりも大きい値に設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対する窒素原子のモル比よりも低い。表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比は、例えば、20.0%以下である。表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比は、15.0%以下であってもよい。表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比は、4.5〜12.3%の範囲にあってもよい。表層25は、窒素原子を含んでいなくてもよい。表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比は、例えば、表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比よりも低い。
蛍光体粒子22がケイ素を含むとき、表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比よりも高い。表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比は、例えば、蛍光体粒子22について、加速電圧を10.0kVよりも大きい値に設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対するケイ素原子のモル比よりも高い。表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比は、例えば、20.0%以上である。表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比は、35.0〜55.0%の範囲にあってもよい。表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比は、例えば、表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも高い。表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比は、例えば、表層25における、全ての原子に対する窒素原子のモル比よりも高い。
表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比と、表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比との合計は、例えば、55.0%以上である。表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比と、表層25における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比との合計は、66.6〜92.3%の範囲にあってもよい。表層25は、実質的に酸素原子及びケイ素原子からなっていてもよい。
表層25における、全ての原子に対するアルカリ土類金属のモル比は、例えば、蛍光体粒子22における、全ての原子に対するアルカリ土類金属のモル比よりも低い。表層25における、全ての原子に対するアルカリ土類金属のモル比は、例えば、蛍光体粒子22について、加速電圧を10.0kVよりも大きい値に設定してEDXを行うことによって得られた、全ての原子に対するアルカリ土類金属のモル比よりも低い。表層25における、全ての原子に対するアルカリ土類金属のモル比は、例えば、10.0%以下である。表層25における、全ての原子に対するアルカリ土類金属のモル比は、3.0%以下であってもよい。表層25は、アルカリ土類金属を含んでいなくてもよい。
蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、1.4μmよりも大きい。蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、50μm以下である。蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、次の方法によって特定することができる。まず、波長変換部材100の断面を走査電子顕微鏡で観察する。得られた電子顕微鏡像において、特定の蛍光体粒子22の面積を画像処理によって算出する。算出された面積と同じ面積を有する円の直径をその特定の蛍光体粒子22の粒径(粒子の直径)とみなす。任意の個数(例えば50個)の蛍光体粒子22の粒径をそれぞれ算出し、算出値の平均値を蛍光体粒子22の平均粒径とみなす。本開示において、平均粒径の測定方法は、上記の方法に限定されない。蛍光体粒子22の平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置によって測定された粒度分布において累積体積百分率が50%に相当する粒径(メディアン径又はD50)であってもよい。本開示において、蛍光体粒子22の形状は限定されない。蛍光体粒子22の形状は、球状であってもよく、鱗片状であってもよく、繊維状であってもよい。
マトリクス21は、ZnOを含む。ZnOは、透明性及び熱伝導性の観点から、マトリクス21の材料に適している。ZnOは、高い熱伝導性を有する。そのため、ZnOがマトリクス21の材料として使用されているとき、蛍光体層20の熱を外部(主に基板10)に容易に逃がすことができる。マトリクス21は、ZnOを主成分として含んでいてもよい。マトリクス21は、実質的にZnOからなっていてもよい。ただし、マトリクス21は、ZnOの他に不純物を含んでいてもよい。
マトリクス21の材料としてのZnOは、詳細には、ZnOの単結晶又はZnOの多結晶である。ZnOは、ウルツ鉱型の結晶構造を有する。結晶成長によってマトリクス21を形成したとき、マトリクス21は、例えば、薄膜12の結晶構造に応じた結晶構造を有する。すなわち、薄膜12として、c軸に配向したZnOの多結晶を用いたとき、マトリクス21は、c軸に配向したZnOの多結晶を有する。「c軸に配向したZnO」とは、基板10の主面(最も広い面積を有する面)に平行な面がc面であることを意味する。マトリクス21がc軸に配向したZnO多結晶を含むとき、蛍光体層20の内部において光散乱が抑制され、高い光出力を達成できる。
c軸に配向したZnO多結晶は、c軸に配向した複数の柱状の結晶粒を含む。c軸に配向したZnO多結晶において、c軸方向の結晶粒界が少ない。「柱状の結晶粒がc軸に配向している」とは、c軸方向のZnOの成長がa軸方向のZnOの成長よりも速く、基板10の上に縦長のZnO結晶粒が形成されていることを意味する。ZnO結晶粒のc軸は、基板10の法線方向に平行である。ZnOがc軸配向の結晶であるかどうかは、XRD測定(2θ/ωスキャン)によって確認できる。XRD測定結果から得られたZnOの回折ピークにおいて、ZnOのc面に起因する回折ピークが、ZnOのc面以外に起因する回折ピークよりも大きい強度を有する場合、ZnOがc軸配向の結晶であると判断できる。国際公開第2013/172025号は、c軸に配向したZnO多結晶によって構成されたマトリクスを詳しく開示している。
蛍光体層20は、フィラー粒子をさらに有していてもよい。蛍光体層20において、フィラー粒子は、マトリクス21に分散されている。フィラー粒子に励起光が照射されたとき、フィラー粒子は、蛍光の光を放射しないか、無視できる強度の蛍光の光のみを放射する。フィラー粒子の材料、形状及び添加量は、必要とする色度に応じて適宜調節される。
フィラー粒子は、例えば無機粒子であり、典型的には金属酸化物を含む。フィラー粒子は、実質的に金属酸化物からなっていてもよい。金属酸化物の多くは、化学的に安定であり、蛍光を殆ど放射しないので、フィラー粒子の材料として適している。一例において、フィラー粒子は、Al23粒子、SiO2粒子及びTiO2粒子から選ばれる少なくとも1つを含む。
フィラー粒子の平均粒径は、例えば、0.1〜20μmの範囲にある。フィラー粒子の平均粒径は、例えば、蛍光体粒子22の平均粒径よりも小さい。蛍光体粒子22の平均粒径D1に対するフィラー粒子の平均粒径D2の比率(D2/D1)は、例えば、0.01〜0.90の範囲にある。フィラー粒子の平均粒径は、蛍光体粒子22の平均粒径と同じ方法によって測定されうる。フィラー粒子の形状は、球状であってもよく、鱗片状であってもよく、繊維状であってもよい。蛍光体粒子22の体積をV1と定義する。フィラー粒子の体積をV2と定義する。このとき、V2/(V1+V2)の値は、例えば、0.1〜0.9の範囲にある。
次に、波長変換部材100の製造方法を説明する。
まず、蛍光体粒子22を作製する。詳細には、従来の蛍光体粒子を準備する。従来の蛍光体粒子を酸によって処理する。このとき、従来の蛍光体粒子の表層に含まれる一部の元素が除去される。蛍光体粒子の表層に残った元素が酸によって酸化される。そのため、表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が増加する。これにより、蛍光体粒子22が得られる。従来の蛍光体粒子としては、市販のものを用いることができる。蛍光体粒子22を作製できる限り、酸は、特に限定されない。酸は、強酸であってもよい。酸は、例えば、酸水溶液である。酸水溶液における酸の濃度は、例えば、0.1〜20.0mol/Lの範囲にある。酸は、沸騰した硝酸水溶液であってもよい。例えば、従来の蛍光体粒子に沸騰した硝酸水溶液を接触させることによって、蛍光体粒子22を作製できる。沸騰した硝酸水溶液における硝酸の濃度は、例えば、15.6mol/Lである。沸騰した硝酸水溶液は、従来の蛍光体粒子の表面全体に接触させてもよい。このとき、得られた蛍光体粒子22の表層25は、均一な元素組成を有する。従来の蛍光体粒子と沸騰した硝酸水溶液とを接触させるときの気圧は、例えば、1atmである。従来の蛍光体粒子と沸騰した硝酸水溶液とを接触させる時間は、例えば、5〜300分の範囲にある。
次に、基板10を準備する。例えば、基板本体11の上に薄膜12として結晶性のZnO薄膜を形成する。ZnO薄膜を形成する方法としては、蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性プラズマ蒸着法、イオンアシスト蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザ堆積法などの気相成膜法が用いられる。薄膜12は、次の方法によって形成してもよい。まず、亜鉛アルコキシドなどの前駆体を含むゾルを調製する。印刷法によって、ゾルを基板本体11に塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を加熱処理することによって薄膜12が得られる。薄膜12は、ZnO単結晶薄膜又はZnO多結晶薄膜でありうる。
次に、基板10の上(薄膜12の上)に蛍光体粒子22を含む層を形成する。例えば、蛍光体粒子22を含む分散液を調製する。基板10を分散液中に配置し、電気泳動法を用いて蛍光体粒子22を基板10の上に堆積させる。これにより、蛍光体粒子22を含む層を基板10の上に形成することができる。基板10を分散液中に配置し、蛍光体粒子22を沈降させることによって基板10の上に蛍光体粒子22を含む層を形成することもできる。蛍光体粒子22を含む塗布液を用い、印刷法などの薄膜形成方法によって蛍光体粒子22を含む層を基板10の上に形成することもできる。
次に、複数の蛍光体粒子22の間にマトリクス21を形成する。マトリクス21を形成する方法としては、Znイオンを含有する溶液を使用した溶液成長法を利用できる。溶液成長法には、大気圧下で行われる化学溶液析出法(chemical bath deposition)、大気圧以上の圧力下で行う水熱合成法(hydrothermal synthesis)、電圧又は電流を印加する電解析出法(electrochemical deposition)などが用いられる。結晶成長用の溶液として、例えば、ヘキサメチレンテトラミンを含有する硝酸亜鉛の水溶液が用いられる。結晶質のマトリクス21は、薄膜12の上にエピタキシャル成長する。これによって、蛍光体層20が得られる。溶液成長法の詳細は、例えば、特開2004−315342号公報に開示されている。
酸化亜鉛を結晶成長させるとき、蛍光体粒子に含まれる元素が結晶成長用の溶液に溶出することがある。詳細には、Znよりもイオン化傾向の大きい金属が結晶成長用の溶液に溶出する。Znよりもイオン化傾向の大きい金属としては、アルカリ土類金属、アルミニウムなどが挙げられる。結晶成長用の溶液に溶出した元素は、結晶成長用の溶液に含まれる化学種と反応することがある。この反応によって、結晶成長用の溶液に溶出した元素を含む複合酸化物が形成されることがある。
本実施形態において、蛍光体粒子22の表層25は、内部26と異なる元素組成を有する。内部26の元素組成は、酸によって処理される前の従来の蛍光体粒子の元素組成とほとんど同じである。本実施形態では、蛍光体粒子22の表層25における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が比較的高い、又は、表層25における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が比較的低い。そのため、蛍光体粒子22が結晶成長用の溶液に接触したとき、蛍光体粒子22に含まれる金属は、結晶成長用の溶液にほとんど溶出しない。すなわち、蛍光体粒子22において、表層25は、不動態として機能する。蛍光体粒子22に含まれる金属が結晶成長用の溶液にほとんど溶出しないため、複合酸化物の形成を抑制できる。このとき、酸化亜鉛が容易に結晶成長できる。そのため、マトリクス21によって蛍光体粒子22を容易に囲むことができる。これにより、優れた放熱性を有する波長変換部材100が得られる。
(光源の実施形態)
図3に示すように、本実施形態の光源200は、波長変換部材100及び発光素子51を備えている。発光素子51は、励起光を放射する。波長変換部材100は、発光素子51から放射された励起光の光路上に配置されている。発光素子51と波長変換部材100の基板10との間に波長変換部材100の蛍光体層20が位置している。光源200は、反射型光源である。
発光素子51は、典型的には、半導体発光素子である。半導体発光素子は、例えば、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)又はレーザーダイオード(LD)である。
発光素子51は、1つのLDによって構成されていてもよく、複数のLDによって構成されていてもよい。複数のLDは、光学的に結合されていてもよい。発光素子51は、例えば、青紫光を放射する。本開示において、青紫光は、380〜420nmの範囲のピーク波長を有する光である。
光源200は、光学系50をさらに備えている。発光素子51から放射された励起光の光路上に光学系50が位置していてもよい。光学系50は、レンズ、ミラー、光ファイバーなどの光学部品を含む。
図4に示すように、本実施形態の光源210は、波長変換部材100及び発光素子51を備えている。発光素子51は、波長変換部材100の基板10に向かい合っている。発光素子51の光が基板10を透過して蛍光体層20に到達する。光源210は、透過型光源である。
(照明装置の実施形態)
図5に示すように、本実施形態の照明装置300は、光源200及び光学部品55を備えている。光源200に代えて、図4を参照して説明した光源210も使用可能である。光学部品55は、光源200から放射された光を前方に導くための部品であり、具体的には、リフレクタである。光学部品55は、例えば、Al、Agなどの金属膜又は表面に保護膜が形成されたAl膜を有する。光源200の前方には、フィルタ56が設けられていてもよい。フィルタ56は、光源200の発光素子からのコヒーレントな青色光が直接外部に出ないように、青色光を吸収又は散乱させる。照明装置300は、いわゆるリフレクタータイプであってもよく、プロジェクタータイプであってもよい。照明装置300は、例えば、車両用ヘッドランプである。
本開示を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[蛍光体粒子]
(サンプル1)
まず、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子(DENKA社製)を準備した。この蛍光体粒子を沸騰した硝酸水溶液に加えた。硝酸水溶液における硝酸の濃度は、15.6mol/Lであった。次に、沸騰した硝酸水溶液を30分間撹拌した。硝酸水溶液から蛍光体粒子を取り出した。これにより、サンプル1の蛍光体粒子を得た。サンプル1の蛍光体粒子の平均粒径(メディアン径)は、12.3μmであった。
(サンプル2)
CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の代わりに(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子(DENKA社製)を用いたことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル2の蛍光体粒子を得た。サンプル2の蛍光体粒子の平均粒径(メディアン径)は、10.7μmであった。
[エネルギー分散型X線分析]
(測定例1)
CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子について、エネルギー分散型X線分析(EDX)を行った。EDXには、AMETEK社製のAPOLLO XLを用いた。まず、EDXにおける加速電圧を5.0kVに設定した。このとき、蛍光体粒子に入射した電子の侵入深さは、約0.21μmであった。これにより得られたスペクトルを図6Aに示す。次に、加速電圧を10.0kVに変更し、再度、EDXを行った。このとき、蛍光体粒子に入射した電子の侵入深さは、約0.69μmであった。これにより得られたスペクトルを図6Bに示す。次に、得られたスペクトルに基づいて、元素組成を算出した。加速電圧と元素組成との関係を表1に示す。
(測定例2)
CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の代わりにサンプル1の蛍光体粒子を用いたことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例2のEDXを行った。加速電圧が5.0kV及び10.0kVであるときに得られたEDXスペクトルを、それぞれ、図7A及び7Bに示す。次に、得られたスペクトルに基づいて、元素組成を算出した。加速電圧と元素組成との関係を表1に示す。
(測定例3)
CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の代わりに(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子を用いたことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例3のEDXを行った。加速電圧が5.0kV及び10.0kVであるときに得られたEDXスペクトルを、それぞれ、図8A及び8Bに示す。次に、得られたスペクトルに基づいて、元素組成を算出した。加速電圧と元素組成との関係を表2に示す。
(測定例4)
CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の代わりにサンプル2の蛍光体粒子を用いたことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例4のEDXを行った。加速電圧が5.0kV及び10.0kVであるときに得られたEDXスペクトルを、それぞれ、図9A及び9Bに示す。次に、得られたスペクトルに基づいて、元素組成を算出した。加速電圧と元素組成との関係を表2に示す。
表1及び2において、加速電圧を10.0kVに設定したときに得られた蛍光体粒子の元素組成は、蛍光体粒子の表層における元素組成に相当する。測定例1〜4において、5.0kVの加速電圧にて蛍光体粒子のEDXを行ったときに組成の情報が得られる部分を「最表層」と表現することがある。蛍光体粒子の最表層は、蛍光体粒子の表層の一部に相当する。蛍光体粒子の最表層における元素組成は、蛍光体粒子の表層における元素組成と比べて、蛍光体粒子の表面付近における元素組成をより反映している。
測定例1の結果からわかるとおり、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表層において、酸素原子が検出された。特に、蛍光体粒子の最表層における酸素原子のモル比(28.4%)は、蛍光体粒子の表層における酸素原子のモル比(18.1%)を大きく上回った。さらに、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の最表層において、カルシウム原子は、検出されなかった。以上のことから、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表面には、蛍光体粒子の自然酸化によって形成された酸化被膜が存在していたと予想される。同様に、測定例3の結果から、(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表面にも、酸化被膜が存在していたと予想される。酸化被膜の影響によって、測定例1及び3のそれぞれの結果は、CaAlSiN3:Eu及び(Ca,Sr)AlSiN3:Euの組成と一致しなかった。
測定例1〜4の結果からわかるとおり、従来の蛍光体粒子を酸によって処理することによって、蛍光体粒子の表層における元素組成が変化した。ただし、従来の蛍光体粒子を酸によって処理しても、蛍光体粒子の内部の元素組成は、ほとんど変化しない。すなわち、サンプル1及び2の蛍光体粒子全体の元素組成は、それぞれ、処理前の従来の蛍光体粒子全体の元素組成とほとんど同じである。従来の蛍光体粒子全体の元素組成は、従来の蛍光体粒子の表層における元素組成とほとんど同じである。そのため、サンプル1及び2の蛍光体粒子全体の元素組成も、処理前の従来の蛍光体粒子の表層における元素組成とほとんど同じである。
表1からわかるとおり、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、18.1%であった。これに対して、サンプル1の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、39.1%であった。すなわち、酸によって蛍光体粒子を処理することによって、表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が増加した。サンプル1の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比(39.1%)は、サンプル1の蛍光体粒子における、全ての原子に対する酸素原子のモル比(約18.1%)よりも高かった。
表1からわかるとおり、CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、25.0%であった。これに対して、サンプル1の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、13.5%であった。すなわち、酸によって蛍光体粒子を処理することによって、表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が減少した。サンプル1の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比(13.5%)は、サンプル1の蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比(約25.0%)よりも低かった。
CaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比(25.0%)は、当該蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比(16.2%)よりも高かった。これに対して、サンプル1の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比(13.5%)は、当該蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比(27.5%)よりも低かった。すなわち、酸によって蛍光体粒子を処理することによって、表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比と、表層における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比との大小関係が変化した。
表2からわかるとおり、(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、19.2%であった。これに対して、サンプル2の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比は、48.3%であった。サンプル1と同様に、サンプル2の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比(48.3%)は、サンプル2の蛍光体粒子における、全ての原子に対する酸素原子のモル比(約19.2%)よりも高かった。
表2からわかるとおり、(Ca,Sr)AlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、21.4%であった。これに対して、サンプル2の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比は、2.7%であった。サンプル1と同様に、サンプル2の蛍光体粒子の表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比(2.7%)は、サンプル2の蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比(約21.4%)よりも低かった。
[波長変換部材]
(実施例1)
次の方法によって、サンプル1の蛍光体粒子を備えた波長変換部材を作製した。まず、基板本体の上に、結晶性のZnO薄膜を形成した。基板本体としては、保護膜付きAgミラー(京浜光膜工業社製)を用いた。ZnO薄膜の上に、サンプル1の蛍光体粒子を配置した。次に、溶液成長法によって、ZnO薄膜の上に結晶質のZnOマトリクスを作製した。結晶成長用の溶液としては、ヘキサメチレンテトラミンを含有する硝酸亜鉛の水溶液を用いた。水溶液におけるヘキサメチレンテトラミンの濃度は、0.10mol/Lであった。水溶液における硝酸亜鉛の濃度は、0.10mol/Lであった。このようにして、実施例1の波長変換部材を得た。
(比較例1)
サンプル1の蛍光体粒子の代わりにCaAlSiN3:Euでできた従来の蛍光体粒子を用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、比較例1の波長変換部材を得た。
[走査型電子顕微鏡による観察]
次に、実施例1及び比較例1の波長変換部材における蛍光体層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。得られたSEM画像を図10及び11に示す。図10からわかるとおり、実施例1の波長変換部材では、ZnO結晶(マトリクス)が蛍光体粒子を囲んでいた。そのため、実施例1の波長変換部材は、優れた放熱性を有していると予想される。これに対して、図11からわかるとおり、比較例1の波長変換部材では、ZnOの結晶成長が阻害されていた。比較例1の波長変換部材では、多くの蛍光体粒子がマトリクスの外部に露出していた。そのため、比較例1の波長変換部材は、十分な放熱性を有していないと予想される。
本開示の波長変換部材は、例えば、シーリングライトなどの一般照明装置;スポットライト、スタジアム用照明、スタジオ用照明などの特殊照明装置;ヘッドランプなどの車両用照明装置;プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイなどの投影装置;医療用又は工業用の内視鏡用ライト;デジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォンなどの撮像装置;パーソナルコンピュータ(PC)用モニター、ノート型パーソナルコンピュータ、テレビ、携帯情報端末(PDX)、スマートフォン、タブレットPC、携帯電話などの液晶ディスプレイ装置などにおける光源に利用することができる。
10 基板
11 基板本体
12 薄膜
20 蛍光体層
21 マトリクス
22 蛍光体粒子
25 表層
26 内部
51 発光素子
100 波長変換部材
200,210 光源
300 照明装置

Claims (15)

  1. 表層を有する蛍光体粒子と、
    酸化亜鉛を含み、前記蛍光体粒子を囲んでいるマトリクスと、を備え、
    前記表層は、10.0kVの加速電圧にて前記蛍光体粒子のエネルギー分散型X線分析を行ったときに組成の情報が得られる部分であり、
    (a)前記蛍光体粒子が窒化物又は酸窒化物を主成分として含み、前記表層における、全ての原子に対する酸素原子のモル比が20.0%以上であること、及び、
    (b)前記蛍光体粒子がアルミニウムを含み、前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低いこと、
    からなる群より選ばれる少なくとも1つの要件を満たす、波長変換部材。
  2. 前記蛍光体粒子がアルカリ土類金属を含む、請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子の前記モル比が20.0%以下である、請求項1又は2に記載の波長変換部材。
  4. 前記蛍光体粒子が前記窒化物又は前記酸窒化物を主成分として含み、
    前記表層における、全ての原子に対する窒素原子のモル比が20.0%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  5. 前記蛍光体粒子がケイ素を含み、
    前記表層における、全ての原子に対する酸素原子の前記モル比と、前記表層における、全ての原子に対するケイ素原子のモル比との合計が55.0%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  6. 前記蛍光体粒子が前記窒化物を主成分として含み、
    前記窒化物がCaAlSiN3又は(Ca,Sr)AlSiN3である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  7. 発光素子と、
    前記発光素子から放射された光の光路上に配置された請求項1〜6のいずれか1項に記載の波長変換部材と、
    を備えた、光源。
  8. 蛍光体粒子を酸によって処理することと、
    前記蛍光体粒子を囲むように、酸化亜鉛を含むマトリクスを形成することと、
    を含む、波長変換部材の製造方法。
  9. 前記酸が酸水溶液である、請求項8に記載の波長変換部材の製造方法。
  10. 前記酸が沸騰した硝酸水溶液であり、
    前記蛍光体粒子に前記沸騰した硝酸水溶液を接触させることによって前記蛍光体粒子を処理する、請求項8に記載の波長変換部材の製造方法。
  11. 溶液成長法によって酸化亜鉛を結晶成長させることによって前記マトリクスを形成する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  12. 前記蛍光体粒子がアルカリ土類金属を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  13. 前記蛍光体粒子が窒化物を主成分として含み、
    前記窒化物がCaAlSiN3又は(Ca,Sr)AlSiN3である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  14. 表層を有し、かつ、アルミニウムを含む蛍光体粒子であって、
    前記表層は、10.0kVの加速電圧にて前記蛍光体粒子のエネルギー分散型X線分析を行ったときに組成の情報が得られる部分であり、
    前記表層における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比が、前記蛍光体粒子における、全ての原子に対するアルミニウム原子のモル比よりも低い、蛍光体粒子。
  15. アルカリ土類金属をさらに含む、請求項14に記載の蛍光体粒子。
JP2017187983A 2017-09-28 2017-09-28 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法 Pending JP2021009171A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017187983A JP2021009171A (ja) 2017-09-28 2017-09-28 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法
PCT/JP2018/033524 WO2019065194A1 (ja) 2017-09-28 2018-09-11 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017187983A JP2021009171A (ja) 2017-09-28 2017-09-28 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021009171A true JP2021009171A (ja) 2021-01-28

Family

ID=65900967

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017187983A Pending JP2021009171A (ja) 2017-09-28 2017-09-28 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021009171A (ja)
WO (1) WO2019065194A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022158397A1 (ja) 2021-01-22 2022-07-28 セントラル硝子株式会社 非水電解液、非水電解液電池、及び化合物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110970543A (zh) * 2019-12-05 2020-04-07 江西省晶能半导体有限公司 荧光膜片及白光led芯片

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7887718B2 (en) * 2005-03-04 2011-02-15 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Phosphor and manufacturing method therefore, and light emission device using the phosphor
JP5090802B2 (ja) * 2006-06-28 2012-12-05 ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド 蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオード
JP2008150518A (ja) * 2006-12-19 2008-07-03 Sharp Corp 波長変換部材および発光装置
FR2961011B1 (fr) * 2010-06-08 2012-07-20 Commissariat Energie Atomique Materiau nanocomposite et son utilisation en opto-electronique
WO2013172025A1 (ja) * 2012-05-16 2013-11-21 パナソニック株式会社 波長変換素子およびその製造方法ならびに波長変換素子を用いたled素子および半導体レーザ発光装置
WO2015025570A1 (ja) * 2013-08-20 2015-02-26 電気化学工業株式会社 蛍光体、発光装置及び蛍光体の製造方法
EP3071667B1 (en) * 2013-11-19 2020-03-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Luminescent particle, materials and products including same, and methods
JP2016027168A (ja) * 2015-09-16 2016-02-18 デクセリアルズ株式会社 発光色変換部材の製造方法
JP6780255B2 (ja) * 2016-02-05 2020-11-04 大日本印刷株式会社 画像表示装置
CN110352368B (zh) * 2017-03-02 2021-09-07 松下知识产权经营株式会社 波长转换构件、光源及照明装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022158397A1 (ja) 2021-01-22 2022-07-28 セントラル硝子株式会社 非水電解液、非水電解液電池、及び化合物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019065194A1 (ja) 2019-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6937489B2 (ja) 波長変換部材、光源及び照明装置
JP5966501B2 (ja) 波長変換用無機成形体及びその製造方法、並びに発光装置
JP5717076B2 (ja) 蛍光体および製造方法、蛍光体を用いる発光装置および画像表示装置
JP2020183541A (ja) 被覆された狭帯域赤色蛍光体
KR20180087245A (ko) 협대역 적색 형광체
JP6057213B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置および画像表示装置
EP3428697B1 (en) Light emitting device
JP6684412B1 (ja) 蛍光体、その製造方法および発光装置
JP2020500244A (ja) コーティング付き狭帯域緑色蛍光体
US11130909B2 (en) Wavelength conversion member, light source, illumination device, and method for manufacturing wavelength conversion member
KR20220024112A (ko) 형광체, 형광체의 제조 방법, 발광 소자, 발광 장치 및 화상 표시 장치
WO2015080062A1 (ja) 蛍光体、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
TW201625772A (zh) 螢光體、發光裝置、照明裝置及影像顯示裝置
CN110799863B (zh) 波长转换构件及光源
JP2021009171A (ja) 波長変換部材、光源、蛍光体粒子及び波長変換部材の製造方法
KR20170101261A (ko) 인광체 변환 led
JP6735487B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
JP5920773B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置および画像表示装置
TWI822983B (zh) 螢光體、其製造方法、及發光元件
JP2023090161A (ja) 蛍光体、発光素子、及び発光装置
WO2020100479A1 (ja) 蛍光体粒子、波長変換部材、発光装置及び蛍光体粒子の製造方法
JPWO2020161963A1 (ja) 波長変換部材及びプロジェクタ
US11105482B2 (en) Light source device, projector, and vehicle
JP2016028170A (ja) 被覆蛍光体の製造方法、被覆蛍光体及び白色光源