JPWO2016143216A1 - フロントガラスの排水構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2015年3月6日に出願された日本国特願2015−044892号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(1)本発明の一態様に係るフロントガラスの排水構造は、車室の前方に配置されるフロントガラスと、該フロントガラスの車幅方向外側に配置されるフロントピラーと、前記フロントガラスと前記フロントピラーの間で車室内側に凹状に窪み、捕捉した水を下方に排水する排水溝と、を備えたフロントガラスの排水構造において、前記排水溝が、前記フロントガラス側の側端面と当該側端面に対向する前記フロントピラーの対向壁との間で前記フロントガラスの前面側に開口する基本溝部と、前記基本溝部の底部側から前記フロントガラスの車幅方向内側に凹状に窪む拡張溝と、前記基本溝部の底部のうちの、前記フロントガラス側の側端面と前記フロントピラーの対向壁のそれぞれに対して車幅方向に離間した位置から、当該基本溝部の開口側に向かって突出する壁部と、を備える。
この第1の旋回流は、フロントピラーの対向壁に沿って基本溝部の底部側に進んだ後に壁部の車幅方向外側面に沿って立ち上がるように旋回する。そして、第1の旋回流の壁部の車幅方向外側面に沿って立ち上がる流れは、排水溝内において新たに空気を引き込み、その引き込みを契機として排水溝内の拡張溝寄りの領域を旋回する第2の旋回流を生じさせる。この第2の旋回流は、基本溝部の開口のうちの、フロントガラス側の側端面の近傍部分から拡張溝の車幅方向内側の内壁側に進んだ後に壁部の車幅方向内側面に沿って立ち上がるように旋回する。
こうして、走行風の主流によって排水溝内に引き起こされる第1の旋回流と第2の旋回流とは、フロントガラスの前面に当たって側端面の近傍に流れた雨水等の水を排水溝内の基本溝部と拡張溝とに引き込むようになる。したがって、車両の走行時には、大量の溝を、排水溝を通して排水することが可能になる。
上記(2)の場合、フロントガラスの側縁部とガラス取付壁の間の離間スペースを利用して拡張溝の断面積を確保することができる。このため、排水溝の断面積を拡張溝部分で充分に確保でき、その分、車体外部に臨む基本溝部の幅をより狭めたり、フロントピラーのフロントガラスの側端部との対向壁をより低くすることができる。したがって、これらのいずれか一方、若しくは、両方によって車両の外観品質をより高めることができる。
上記(3)の場合、スペーサと拡張溝の車幅方向内側の内壁とが共用されるため、部品点数を削減して製品コストの低減を図ることができる。
上記(4)の場合、走行風の主流によって誘起されるフロントピラーの対向壁から基本溝部の底部方向に向かい、さらに壁部の車幅方向外側面に沿って立ち上がる第1の旋回流と、フロントガラス側の側端面から拡張溝内を旋回して壁部の車幅方向内側面に沿って立ち上がる第2の旋回流が、フロントガラス側の側端面とフロントピラーの対向壁の略中央位置で振り分けられて作られることになる。このため、第1の旋回流と第2の旋回流の一方が他方をかき消すことが抑制され、第1の旋回流と第2の旋回流がバランス良く作られることになる。
上記(5)の場合、フロントピラーの対向壁から基本溝部の底部方向に向かう第1の旋回流が、壁部の延出端を直接超えて拡張溝側に入り込みにくくなるため、フロントガラス側の側端面から拡張溝内に向かう第2の旋回流の流れが阻害されにくくなる。
上記(6)の場合、壁部の延出端が基本溝部の開口を通して外部から見えにくくなる。
したがって、本発明に係る態様によれば、車両の走行時に水を効率良く排水溝内に引き込むことができることから、排水溝からフロントピラーを乗り越えて車体側方に飛散する水を少なくすることができるとともに、フロントガラス側の側端面とフロントピラーの間の段差を少なくして、風切音の発生の低減と見栄えの向上を図ることができる。
図1は、この実施形態に係るフロントガラスの排水構造を採用した車両1の一部を左前部斜め上方側から見た斜視図である。
車両1の車室の前方にはフロントガラス2が配置され、フロントガラス2の側部には車体のルーフ部3から斜め前部下方に向かって延出するフロントピラー4が配置されている。なお、図1中の符号5は、左側のフロントドアであり、符号6は、フロントドア5に昇降自在に保持されたサイドガラスである。
同図に示すように、フロントピラー4は、車体に取り付けられたフロントガラス2の側端部2aに対向する対向壁4aを有している。対向壁4aは、フロントガラス2の側端部2aに対して、車体前方FR側に向かって外開きとなるように傾斜して配置されている。
また、フロントピラー4には、フロントガラス2の側縁部の背面側に向かって延出するガラス取付壁4bが延設されている。ガラス取付壁4bは、フロントガラス2の窓枠部を構成するボディ側のベース部材7に接合されている。フロントガラス2の背面は、フロントガラス2の側端部2aから車幅方向LRの内側に所定距離離間した位置において接着剤8によってガラス取付壁4bに固定されている。
なお、この実施形態においては、ウェザーストリップ10のシールリップ10bの外側面がフロントガラス側の側端面10b−1を構成している。
また、壁部11cは、基本溝部11aのうちの、拡張溝11bの上端部位置Uよりも開口11a−1寄り領域まで延出している。さらに詳細には、壁部11cの延出端は、基本溝部11aの拡張溝11bの上端部位置Uよりも開口11a−1寄り領域のうちの、車体前後方向FRの中央位置cよりも基本溝部11aの底部寄り位置に位置されている。
車両の走行時には、フロントガラス2の前面に当たった走行風が、図3中矢印MFで示すようにフロントガラス2の側部からフロントピラー4を乗り越えて車体側方へと流れる。走行風のこの主流MFは、空気の持つ粘性により、排水溝11の基本溝部11aの開口11a−1側領域において基本溝部11a内の空気を主流MFの流れに沿うように引き込む。このとき、この主流MFによる引き込みを契機として基本溝部11a内を旋回する第1の旋回流F1が発生する。第1の旋回流F1は、フロントピラー4の対向壁4aに沿って基本溝部11aの底部側に進んだ後に壁部11cの車幅方向外側面に沿って立ち上がるように旋回する。
したがって、この排水構造を採用した場合には、排水溝11からフロントピラー4を乗り越えて車体側方に飛散する水を少なくすることができるとともに、フロントピラー4の突出高さを低くしてフロントガラス2とフロントピラー4の間の段差を少なくし、風切音の発生の低減と見栄えの向上を図ることができる。
この実施形態に係る排水構造で採用する壁部11cは、フロントガラス側の側端面10b−1から排水溝11内に流れ込んだ水を直接的に捕捉することを目的として設けられるものではなく、排水溝11内に第1の旋回流F1と第2の旋回流F2を生じさせることを目的として設けられている。このため、壁部11cの延出端の位置を上記のように低く設定しても、排水面においては不具合を生じることがない。
2a…側端部
4…フロントピラー
4a…対向壁
4b…ガラス取付壁
10b−1…側端面
10c…ダム部(スペーサ)
11…排水溝
11a…基本溝部
11a−1…開口
11b…拡張溝
11c…壁部
c…前後方向の中央位置
Claims (6)
- 車室の前方に配置されるフロントガラスと、
該フロントガラスの車幅方向外側に配置されるフロントピラーと、
前記フロントガラスと前記フロントピラーの間で車室内側に凹状に窪み、捕捉した水を下方に排水する排水溝と、を備えたフロントガラスの排水構造において、
前記排水溝が、
前記フロントガラス側の側端面と当該側端面に対向する前記フロントピラーの対向壁との間で前記フロントガラスの前面側に開口する基本溝部と、
前記基本溝部の底部側から前記フロントガラスの車幅方向内側に凹状に窪む拡張溝と、
前記基本溝部の底部のうちの、前記フロントガラス側の側端面と前記フロントピラーの対向壁のそれぞれに対して車幅方向に離間した位置から、当該基本溝部の開口側に向かって突出する壁部と、を備える
ことを特徴とするフロントガラスの排水構造。 - 前記フロントピラーには、前記フロントガラスの側部背面側に向かって延出するガラス取付壁が延設され、
前記フロントガラスは、側縁部が前記ガラス取付壁に対して車両前方側に離間して配置され、
前記拡張溝の少なくとも一部は、前記フロントガラスの側縁部と前記ガラス取付壁の間の離間スペースに設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフロントガラスの排水構造。 - 前記フロントガラスの背面は、当該フロントガラスの側端部から車幅方向内側に離間した部位がスペーサを介して前記ガラス取付壁に支持され、
前記拡張溝の車幅方向内側の内壁は、前記スペーサの車幅方向外側の面によって構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のフロントガラスの排水構造。 - 前記壁部は、前記基本溝部のうちの、前記フロントガラス側の側端面と前記フロントピラーの対向壁の略中央位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロントガラスの排水構造。 - 前記壁部は、前記基本溝部の前記拡張溝よりも前記開口寄りの領域まで延出している
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロントガラスの排水構造。 - 前記壁部の延出端は、前記基本溝部の前記拡張溝よりも前記開口寄りの領域のうちの、車両前後方向の中央位置よりも前記基本溝部の底部寄り位置に位置されている
ことを特徴とする請求項5に記載のフロントガラスの排水構造。
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