JP5711528B2 - ウェザーストリップの排水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、コンバーチブル車などの格納式ルーフ車やハードトップ車のドア開口縁部に設けられ、ドアガラスに弾接して車内外をシールするウェザーストリップの排水構造に関するものである。
図8は、開閉自在のルーフを折り畳むことによって開放されるタイプの格納式ルーフ車の外観を示している。ルーフは、幌1からなり折り畳まれた幌1は車体後方側下部のトランク2内に格納されるようになっている。なお、幌1にかえて、ルーフをルーフパネルとその後方に位置するバックウインドパネルから構成し、折り畳まれたルーフパネルがバックウインドパネルに重ねられた状態でトランク2内に格納されるものもある。このようなタイプの車両は、一般的に、リトラクタブルハードトップ、クーペカブリオレ、クーペコンバーチブルと称されている。
こうした格納式ルーフ車両においては、ドア3の開口縁部となるフロントピラー4の側縁と幌1の側縁には、ドア3の閉時に昇降するドアガラス(サイドガラス)5に弾接して車内外をシールするためのウェザーストリップ10がテープ20を介して取付けられている(あるいはリテーナ等のホルダーに嵌め込むようにしてもよい)。
フロントピラー4の側縁に取付けられたウェザーストリップ10は、図9乃至図12に示すように、押出成形部101の両端であって、車両に組付けられた場合に車両の上下に位置する型成形部102,103が接続されたものであり、上側の型成形部102は、フロントガラス6の上端を固定するヘッダ7に取付けられたヘッダウェザーストリップ(図示しない)の端部に接続され、下側の型成形部103にはドアミラー(図示しない)と一体化されたガセット21が取付けられている。
ウェザーストリップ10は、テープ20が貼着された取付基部11と、その取付基部11に一体成形され昇降するドアガラス5の先端部5aに弾接する中空シール部12と、中空シール部12の下方から車外側に向けて延設され同じく昇降するドアガラス5の車内側側面に弾接するシールリップ部13を備えている。シールリップ部13の先端部は、ドアガラス5の車内側側面に上向きに湾曲するように弾接していて、付け根部側に樋状の水受け部14を形成している。
また、シールリップ部13の車内側には中空部15が設けられ、その中空部15のさらに車内側にはガーニッシュなどの内装材(図示しない)に当接するリップ部16が設けられている。
そして、下側の型成形部103では、水受け部14から中空部15まで貫通する排水穴22が形成され、ウェザーストリップ10の上方から下方にかけて水受け部14に導かれた水Wを排水穴22から中空部15に導くようにしている。中空部15に導かれた水W(W1)は、車両前方から車外に排出されるようになっている。
このように、昇降するドアガラスの先端部と車内側側面に対して、中空シール部とシールリップ部をそれぞれ弾接させて上下から二重にシールするウェザーストリップにおける排水構造について様々の技術が採用されている(特許文献1,2参照)。
特許文献1に記載の発明は、上側の型成形部おいて、ドアガラスよりも車外側に突出して幌から滴下する水を受け止める水受けリップだけをソリッドゴムで成形したものであり、特許文献2に記載の発明は、幌伝いに流れ落ちる水を受け止めるように幌の先端見切り部に車外側に突出するようにシールリップ部を形成したものである。
特開2006−264594号公報 特開平10−71860号公報
従来例で示したウェザーストリップ10によれば、図13に示すように、ドアガラス5を上昇させるとドアガラス5の先端部5aは中空シール部12の下側壁面12bが湾曲することによって包み込まれるので、洗車時に高圧水がかかったとしても水Wが車外側からドアガラス5の先端部5aと中空シール部12の下側壁面12bの間から車内側に侵入することが防止され、仮に侵入したとしてもドアガラス5の車内側側面に沿って落下する水Wはシールリップ部13で堰き止められ水受け部14内に導かれるようになっている。
しかしながら、図8に示すように、雨や洗車によって幌1から車外側に流れる水Wや、図13に示すように、洗車によってウェザーストリップ10に直接かけられる高圧水Wは、ウェザーストリップ10の中空シール部12を構成する下側壁面12bの車外側端部P、すなわち、下側壁面12bと同じく中空シール部12を構成する車外側壁面12aの接続部に溜ってしまう(図13では下側壁面12bの車外側端部Pにおいて溜った水を黒く塗り潰した)。この下側壁面12bの車外側端部Pに溜った水Wは、ウェザーストリップ10の延びる長手方向(ここでは車両の前方向)の車外側端部Pに沿って流れ落ち、排水穴22に入ることなくドアガラス5の前方側先端部分に達してガセット21に溜るので、ドア3を開くと溜った水W(W2)が車室内に侵入して水漏れするといった問題があった。
また、図13に示すような高圧水Wを受けると車外側端部Pよりも車内側でドアガラス5よりも車外側の下側壁面12bの一部に直接的に水Wが届いたり、下側壁面12bの車外側端部Pに溜った水Wの一部が回り込み、毛細管現象によってドアガラス5の先端部5aと中空シール部12の下側壁面12bの間まで伝わり、ドアガラス5の先端部5aの縁沿いに車両の前方向に流れ落ち、この水Wも排水穴22に入ることなくガセット21に溜るので、ドア3を開くと溜った水W(W2)が車室内に侵入するという問題があった。
さらに、雨が止んだ後や洗車を終了した後に、図14に示すように、ドアガラス5を下降させた場合、布製の幌1に滲み込んだ水Wが下側壁面12bの車外側端部Pに溜るので(図14では下側壁面12bの車外側端部Pにおいて溜った水を黒く塗り潰した)、水Wはウェザーストリップ10の延びる長手方向に沿って流れ落ち、排水穴22に入ることなくガセット21に溜り、ドア3を開くと溜った水W2が車室内に侵入していた。
なお、ここではフロントピラー4の側縁に取付けられたウェザーストリップ10の排水構造について述べたが、幌1の側縁(ルーフ側縁)あるいはリヤピラーの側縁に取付けられたウェザーストリップにおいても同様の問題がある。また、格納式ルーフ車に限らずハードトップ車のフロントピラー側縁,リヤピラー側縁やルーフ側縁に取付けられたウェザーストリップについても同様の問題がある。
また、特許文献1,2に記載されたウェザーストリップの排水構造は、このように、ウェザーストリップ10の中空シール部12において下側壁面12bの車外側端部Pに溜った水Wなどがウェザーストリップ10の長手方向及びドアガラス5の先端部5aに沿って前方向に流れ落ち最終的に車室内に侵入することを防止するものではない。
そこで、本発明の目的とするところは、格納式ルーフ車やハードトップ車のドア開口縁部から車室内に雨水や洗車用水が侵入することを防止しうるウェザーストリップの排水構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、格納式ルーフ車又はハードトップ車のドア(3)開口縁部に取付けられる取付基部(11)と、該取付基部(11)に対して車外側下向きに設けられドアガラス(5)の先端部(5a)に弾接する中空シール部(12)と、該中空シール部(12)の下方から車外側に向けて延設され前記ドアガラス(5)の車内側側面に先端部が上向きに湾曲するように弾接して樋状の水受け部(14)を形成するシールリップ部(13)を備えるウェザーストリップ(10)の排水構造であって、
前記ドアガラス(5)の先端部(5a)が弾接する前記中空シール部(12)を成す下側壁面(12b)の車外側端部(P)から、少なくとも前記ドアガラス(5)の先端部(5a)の弾接位置よりも車内側に越えた位置まで、下方に傾斜するビード部(30)を形成したことを特徴とする。
なお、請求項1に係る発明において、ビード部(30)が形成される位置は、格納式ルーフ車又はハードトップ車のドア(3)開口縁部に取付けられるウェザーストリップ(10)の中空シール部(12)を成す下側壁面(12b)であるので、押出成形部,型成形部のいずれでもよく、またフロントピラーの側縁,ルーフの側縁,リヤピラーの側縁のいずれでもよい。
さらに、請求項2に係る発明は、前記ビード部(30)の車内側端部は前記ドアガラス(5)の車内側側面まで延設され、前記ビード部(30)に沿って流れる水(W)を前記水受け部(14)に導くようにしたことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、前記シールリップ部(13)の車内側には中空部(15)が設けられるとともに、前記水受け部(14)には前記中空部(15)まで貫通する排水穴(22)が形成され、前記ビード部(30)の車内側端部は前記排水穴(22)の手前まで延設され、前記水受け部(14)に導かれた水(W)を前記排水穴(22)を介して前記中空部(15)に導くようにしたことを特徴とする。
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
本発明のウェザーストリップの排水構造によれば、ドアガラスの先端部が弾接する中空シール部を成す下側壁面の車外側端部から、少なくともドアガラスの先端部の弾接位置よりも車内側に越えた位置まで、下方に傾斜するビード部が形成されているので、ドアガラスを閉めた状態で、雨や洗車によってルーフから車外側に流れる水や洗車によってウェザーストリップに直接かけられた水は、通常、下側壁面の車外側端部に溜るが、ここに溜った水はウェザーストリップの延びる長手方向(車両の前方向あるいは後方向)に沿ってビード部のあるところまで流れ落ち、ビード部を伝わって強制的に車外側から車内側に導かれる。そして、水は、少なくともドアガラスの先端部の弾接位置を車内側に越えた位置まで導かれるので、樋状の水受け部内に直接落下するか、あるいは、下側壁面の車内側からその車内側が当接する壁面(例えば、本実施形態においては、図2及び図3で示したような車外側縦壁17)を伝って落下するか、ドアガラスの車内側側面に沿って落下してシールリップ部で堰き止められ樋状の水受け部内に導かれる。
このときビード部は、ドアガラスの先端部で押圧されて撓むのでビード部の両端には2つの溝が形成される。よってビード部に沿って流れる水は、ドアガラスを閉めた状態では形成された溝に沿って流れるので水は車室内に漏れることなく安定して水受け部内に導かれる。
したがって、従来例で示したように、中空シール部の下側壁面の車外側端部に溜った水がウェザーストリップの長手方向に沿ってドアガラスの前方側先端部分に達してガセットに溜り、ドアを開くと溜った水が車室内に侵入して水漏れとなることは防止される。
また、下側壁面の車外側端部に溜った水の一部などは、毛細管現象によってドアガラスの先端部と中空シール部の下側壁面の間まで伝わるが、この水も水の流れ方向前方に位置又は対峙するビード部によって遮られ又はビード部に沿って車内側に導かれ、水受け部内に導かれるので、従来例で示したように、ドアガラスの先端部の縁沿いに車両の前方向に流れ落ちた水がドアガラスの前方側先端部分に達してガセットに溜り、ドアを開くと溜った水が車室内に侵入することも防止される。
さらに、雨が止んだ後や洗車を終了した後に、ドアガラスを下降させた場合、例えば幌に滲み込んだ水が下側壁面の車外側端部に溜ることがあるが、ドアガラスを開いた状態でも水はウェザーストリップの延びる長手方向に沿って流れ落ち、ビード部を伝わって強制的に車外側から車内側に導かれ、水受け部内に導かれるので、水が車室内に侵入して水漏れすることは防止され、中空シール部の下側壁面の車外側端部から垂れ落ちる水の量も大幅に減少する。
さらに、本発明によれば、ビード部の車内側端部はドアガラスの車内側側面まで延設されているので、ビード部に沿って流れる水を直接水受け部に直接落下するか、あるいは、下側壁面の車内側からその車内側が当接する壁面(例えば、本実施形態においては、図2及び図3で示したような車外側縦壁17)を伝って導き易くしたので、ビード部に沿って流れる水がドアガラスの車内側側面を伝わりシールリップ部で堰き止められ水受け部に導かれる量は少なくなる。
これにより、シールリップ部のシール機能の負担を軽減することができる。
また、本発明によれば、シールリップ部の車内側には中空部が設けられるとともに、水受け部には中空部まで貫通する排水穴が形成され、ビード部の車内側端部は排水穴の手前まで延設されているので、水受け部に導かれた水は排水穴を介して中空部に確実に導かれ、水密性がさらに向上する。
本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造を示す斜視図である。 図1のY部を示す拡大斜視図である。 図2のC−C線拡大断面図である。 図2のD−D線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造における排水穴とビード部上部との関係を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造における排水穴とビード部下部との関係を示す斜視図である。 ドアガラスが上昇した状態を示す図2のE−E線拡大断面図である。 格納式ルーフ車を示す外観斜視図である。 従来例に係るウェザーストリップの排水構造を示す斜視図である。 図9のX部を示す拡大斜視図である。 図10のA−A線拡大断面図である。 図10のB−B線拡大断面図である。 図11においてドアガラスが上昇した状態を示す図10のA−A線拡大断面図である。 図11においてドアガラスが下降した状態を示す図10のA−A線拡大断面図である。
図1乃至図7を参照して、本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造について説明する。図1は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造を示す斜視図であり、図2は図1のY部を示す拡大斜視図である。また、図3及び図4は図2のC−C線及びD−D線拡大断面図である。さらに図5及び図6は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造における排水穴とビード部との関係を示す斜視図であり、図5はビード部の上部,図6はビード部の下部の断面も示している。
従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
本発明の実施形態に係るウェザーストリップの排水構造は、図8に示すように、開閉自在の幌1を折り畳みトランク2内に格納するタイプの車両に関するものであり、特にウェザーストリップ10にビード部30を形成したものである。
ウェザーストリップ10は、ドア3の開口縁部となるフロントピラー4の側縁と幌1の側縁にテープ20で取付けられ(あるいはリテーナ等のホルダーに嵌め込むようにしてもよい)、ドア3の閉時に昇降するドアガラス(サイドガラス)5に弾接して車内外をシールするもので、フロントピラー4の側縁に取付けられたものは、図1に示すように、押出成形部101の両端であって、車両に組付けられた場合に車両の上下に位置する型成形部102,103が接続され、上側の型成形部102は、フロントガラス6の上端を固定するヘッダ7に取付けられたヘッダウェザーストリップ(図示しない)の端部に接続され、下側の型成形部103にはドアミラー(図示しない)と一体化されたガセット21が取付けられている。
ウェザーストリップ10は、図2に示すように、ドア3の開口縁部に取付けられる取付基部11と、取付基部11に対して車外側下向きに設けられドアガラス5の先端部5aに弾接する中空シール部12と、中空シール部12の下方から車外側に向けて延設されドアガラス5の車内側側面に先端部が上向きに湾曲するように弾接して樋状の水受け部14を形成するシールリップ部13を備える。また、シールリップ部13の車内側には中空部15が設けられ、その中空部15のさらに車内側にはガーニッシュなどの内装材(図示しない)に当接するリップ部16が設けられている。
取付基部11は、型成形部102,103では型成形用の中芯(図示しない)が挿入されるので半割となっているが、押出成形部101では連結されている。取付基部11の略中央からは車外側縦壁17が下設され、その先端にシールリップ部13が設けられている。また、中空シール12は、取付基部11の車外側端部からさらに車外側に張り出すように湾曲した車外側壁面12aと、その車外側壁面12aの下端部に、車外側端部が接続され車内側端部が車外側縦壁17の上部に取付基部11から間をおいて接続された下側壁面12bから成り、下側壁面12bの略中央に上昇したドアガラス5の先端部5aが弾接するようになっている。
ドアガラス5の先端部5aが弾接すると下側壁面12bは、ビード部30が形成された部分では、図7に示すように、またビード部30が形成されていない部分では、図13で示したように、上方に向けて湾曲してドアガラス5の先端部5aを包み込む。
また、取付基部11の車内側端部からは車内側縦壁18が下設され、車外側縦壁17と車内側縦壁18とそれら両縦壁17,18の下端部を連結し下側に向けて湾曲した底壁19と取付基部11の車内側の一部で囲まれることによって中空部15は形成されている。
また下側の型成形部103には、図2や図4に示すように、水受け部14から中空部15まで貫通する排水穴22が形成され、ウェザーストリップ10の上方から下方にかけて水受け部14に導かれた水Wを排水穴22から中空部15に導くようにしている。中空部15に導かれた水Wは、車両の前方から車外に排出されるようになっている。排水穴22は、矩形状で、水受け部14の車内側の一部とともに車外側縦壁17を取除くことによって形成されている。
ここで、排水穴22は様々な態様が考えられ、水受け部14の連続方向に衝突する面を設け、この面に排水穴22を設けて中空部15に連続させるようなトンネルを設けてもよい。この場合、ビード部30はトンネルの手前又はトンネルの中に達するように設けられるとよい。
そして、ウェザーストリップ10の中空シール部12を成す下側壁面12bには、図2に示すように、車内側が排水穴22に向けて傾斜し、帯状で中央部が下方に突出した突条をなすビード部30が形成されている。ビード部30は、下側壁面12bの車外側端部P、すなわち車外側壁面12aと下側壁面12bの接続部分から、ドアガラス5の先端部5aの弾接位置を車内側に越え、下側壁面12bの車内側端部Q、すなわち、車外側縦壁17に対する下側壁面12bの接続部分まで延びている。また、ビード部30の車内側端部は排水穴22の手前まで延設されている。また、ビード部30の車内側端部は、排水穴22の手前でなくとも排水穴22に連結されるようにしたり、排水穴22の内部へ突出するように延設されてもよい。
ビード部30は、ウェザーストリップ10と同時に型成形されていて、ウェザーストリップ10と同様にゴム様弾性体からなる。
以上のように構成された本実施形態に係るウェザーストリップの排水構造によれば、ドアガラス5を閉めたときに、ドアガラス5の先端部5aには中空シール部12の下側壁面12bが弾接するとともに、ドアガラス5の車内側側面にはシールリップ部13が弾接するので、ドアガラス5は上下で二重にシールされ、車外側から車内側に直接、雨水や洗車用の水Wが侵入することが防止される。そして、仮に車内側に水Wが侵入したとしてもドアガラス5の車内側側面に沿って落下する水はシールリップ部13で堰き止められ樋状の水受け部14内に導かれるようになっているので水密性は高い。
特に、ドアガラス5の先端部5aが弾接する中空シール部12を成す下側壁面12bの車外側端部Pから、ドアガラス5の先端部5aの弾接位置よりも車内側に越え、排水穴22の手前まで、車内側に向けて下方に傾斜するビード部30が形成されているので、ドアガラス5を閉めた状態で、雨や洗車によって幌1に沿って車外側に流れる水Wや洗車によってウェザーストリップ10に直接かけられた水Wは通常、中空シール部12の下側壁面12bの車外側端部Pに溜るが、ここに溜った水Wはウェザーストリップ10の延びる長手方向(ここでは車両の前方向)に沿って流れ落ち、ビード部30を伝わって強制的にドアガラス5の車外側から車内側に導かれ、そのまま排水穴22まで誘導される。
このときビード部30は、ドアガラス5の先端部5aで押圧されて撓むので、図7に示すように、ビード部30の両端には2つの溝31,32が形成される。よってビード部30に沿って流れる水Wは、ドアガラスを閉めた状態では形成された溝31,32に沿って流れるので水Wは車室内に漏れることなく安定して排水穴22に導かれる。
したがって、従来例で示したように、中空シール部12の下側壁面12bの車外側端部Pに溜った水Wがウェザーストリップ10の長手方向に沿ってドアガラス5の前方側先端部分に達してガセット21に溜り、ドア3を開くと溜った水Wが車室内に侵入して水漏れとなることは防止される。
また、中空シール部12の下側壁面12bの車外側端部Pに溜った水Wの一部などは、毛細管現象によってドアガラス5の先端部5aと中空シール部12の下側壁面12bの間まで伝わるが、この水Wも水Wの流れ方向前方に位置又は対峙するビード部30によって遮られ又はこのビード部30に沿って車内側に導かれ排水穴22まで誘導されるので、従来例で示したように、ドアガラス5の先端部5aの縁沿いに車両の前方向に流れ落ちた水Wがドアガラス5の前方側先端部分に達してガセット21に溜り、ドア3を開くと溜った水Wが車室内に侵入して水漏れすることも防止される。
さらに雨が止んだ後や洗車を終了した後に、ドアガラス5を下降させた場合、特に布製の幌1の場合は、幌1に滲み込んだ水Wが、中空シール部12の下側壁面12bの車外側端部Pに溜ることがあるが、ドアガラス5を開いた状態でも水Wはウェザーストリップ10の延びる長手方向に沿ってビード部30のあるところまで流れ落ち、ビード部30を伝わって強制的に車外側から車内側に導かれ排水穴22に誘導されるので、水Wが車室内に侵入することは防止され、下側壁面12bの車外側端部Pから垂れ落ちる水Wの量も大幅に減少する。
なお、本実施形態では、ビード部30はゴム様弾性体からなりウェザーストリップ10と同時に型成形するようにしたが、ビード部30を一体的に成形するのでなく、ウェザーストリップ10とは別体のビード部30をウェザーストリップ10の成形後に貼着するようにしてもよい。また、水Wを車外側からドアガラス5の先端部5aを越えて車内側に導くための流路としてビード部30が形成されていれば防水効果はあるのでビード部30はゴム様弾性体でなくてもよい。
また、ビード部30の車内側端部を排水穴22の手前以上に延設したが、少なくともドアガラス5の先端部5aの弾接位置よりも車内側に越えた位置まで延設するものでもよい。すなわち、ビード部30に導かれた水Wは、樋状の水受け部14内に直接落下するか、あるいは、下側壁面12bの車内側から車外側縦壁17を伝って落下するか、ドアガラス5の車内側側面に沿って落下してシールリップ部13で堰き止められ水受け部14内に導かれるので水Wが車室内に侵入して水漏れすることは防止される。
また、ビード部30の車内側端部をドアガラス5の車内側側面まで延設する或いは、水受け14の鉛直方向に線を設け、その上方にまで延設するようにすれば、ビード部30に沿って流れる水Wは直接落下するか、あるいは下側壁面12bの車内側から車外側縦壁17を伝って水受け部14に直接導かれ易くなるので、ドアガラス5の車内側側面を伝わりシールリップ部13で堰き止められ水受け部14に導かれる量は少なくなり、シールリップ部13のシール機能の負担が軽減される。
また、下側壁面12bの少なくともドアガラス5の先端部5aの弾接位置にビード部30を形成するようにすれば、ドアガラス5の先端部5aがビード部30に当接すると下側壁面12bは撓み、ビード部30の両端には2つの溝31,32が形成されるので、ドアガラス先端の縁沿いに流れる水Wは形成された2つの溝31,32を伝わって車内側あるいは車外側に流れ落ち、水Wが車室内に侵入することが防止される。
また、本実施形態では、ビード部30を、格納式ルーフ車におけるフロントピラー4の側縁に取付けられたウェザーストリップ10の下側の型成形部103に形成してビード部30に沿った水Wを排水穴22まで導くようにしたが、ビード部30のみを、又は下側の型成形部103に形成した例のようにビード部30と排水穴22をセットにして上側の型成形部102に設けたり、ルーフの側縁に取付けられたウェザーストリップに形成したり、リヤピラーの側縁に取付けられたウェザーストリップに形成することもでき、押出成形部,型成形部のいずれであってもよい。また、一箇所のみでなく複数設けることもできる。例えばビード部30を複数設けると、ビード部30が一箇所のみでは溢れてしまうような大量な水Wも段階的に量を分割させて導水及び排水することができる。この複数のビード部30を設ける場合においては、例えばビード部30をウェザーストリップ10の下側の型成形部103と上側の型成形部102に各々一つ設けると良い。これにより幌1から流れる水Wの全部又は一部は上側の型成形部102に設けられたビード部30により車内側の水受け部14に導かれ、又はドアガラス5の車外側側面を伝って車外に流れ落ちる。そして、下側の型成形部103では、上側の型成形部102に設けられたビード30と下側の型成形部103に設けられたビード部30の間に溜まる水W、更には幌1からの残り水Wを車内側の水受け部14に導くか、又はドアガラス5の車外側側面を伝わせて車外に流れ落とすことができる。このように2段階による導水を可能とする。さらに、ビード部30は近接して連続に2つ又は3つと連続的に複数設けることも可能である。
以上のとおり、ビード部30は車外側からドアガラス5の先端部5aを越えて車内側にまで延設されれば確実にビード部30に沿った水Wを水受け部14に導く機能を果たすので、排水穴22が必ず対に設けられる必要はない。このようにビード部30のみを設ける場合では、水Wを水受け部14に誘導するためビード部30を水受け部14に達するまで延設することも考えられる。
しかしながら、排水穴と対であると効率の良い排水が可能である。
また、押出成形部における例としては、図1の押出成形部101の中間に設けてもよい。また、格納式ルーフ車は幌式のものだけでなく、ルーフをルーフパネルとその後方に位置するバックウインドパネルから構成し、折り畳まれたルーフパネルがバックウインドパネルに重ねられた状態でトランク2内に格納されるものや脱着式のルーフのものであっても適用可能である。
さらに、格納式ルーフ車に限らずハードトップ車のフロントピラーの側縁,ルーフの側縁,リヤピラーの側縁のいずれかに取付けられたウェザーストリップにビード部を形成するようにしてもよい。
1 幌(ルーフ)
2 トランク
3 ドア
4 フロントピラー
5 ドアガラス
5a 先端部
6 フロントガラス
7 ヘッダ
10 ウェザーストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
12a 車外側壁面
12b 下側壁面
13 シールリップ部
14 水受け部
15 中空部
16 リップ部
17 車外側縦壁
18 車内側縦壁
19 底壁
20 テープ
21 ガセット
22 排水穴
30 ビード部
31 溝
32 溝
101 押出成形部
102 上側の型成形部
103 下側の型成形部
P 下側壁面の車外側端部
Q 下側壁面の車内側端部
W(W1,W2) 水

Claims (3)

  1. 格納式ルーフ車又はハードトップ車のドア開口縁部に取付けられる取付基部と、該取付基部に対して車外側下向きに設けられドアガラスの先端部に弾接する中空シール部と、該中空シール部の下方から車外側に向けて延設され前記ドアガラスの車内側側面に先端部が上向きに湾曲するように弾接して樋状の水受け部を形成するシールリップ部を備えるウェザーストリップの排水構造であって、
    前記ドアガラスの先端部が弾接する前記中空シール部を成す下側壁面の車外側端部から、少なくとも前記ドアガラスの先端部の弾接位置よりも車内側に越えた位置まで、下方に傾斜するビード部を形成したことを特徴とするウェザーストリップの排水構造。
  2. 前記ビード部の車内側端部は前記ドアガラスの車内側側面まで延設され、前記ビード部に沿って流れる水を前記水受け部に導くようにしたことを特徴とする請求項1に記載のウェザーストリップの排水構造。
  3. 前記シールリップ部の車内側には中空部が設けられるとともに、前記水受け部には前記中空部まで貫通する排水穴が形成され、前記ビード部の車内側端部は前記排水穴の手前まで延設され、前記水受け部に導かれた水を前記排水穴を介して前記中空部に導くようにしたことを特徴とする請求項2に記載のウェザーストリップの排水構造。
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