JPWO2014133141A1 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
Description
有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に発光性有機化合物を含んで形成される発光層を含む1種または複数種の層を挟んだ構造を持ち、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子が再結合する時のエネルギーを利用して発光性有機化合物を励起させ、発光を得るものである。有機電界発光素子は電流駆動型の素子であり、流れる電流をより効率的に活用するため、素子構造や、素子を構成する層の材料について種々検討されている。
それ故、有機電界発光素子は一般的に酸素や水によって劣化しやすく、これらの侵入を防ぐために厳密な封止が不可欠であった。劣化の原因としては、有機化合物への電子注入の容易さから、陰極として用いることができる材料がアルカリ金属やアルカリ金属化合物等、仕事関数の小さなものに限られていることや、使われる有機化合物自体が酸素・水と反応しやすいことが挙げられる。厳密な封止を施すことにより、有機電界発光素子は他の発光素子と比べて優位となったが、同時に安価、フレキシブルといった特長を犠牲にすることにもなった。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
一般に厳密な封止が不可欠な有機電界発光素子の場合、水蒸気透過率が10−6g/m2・dayよりも低い水蒸気透過率を有する封止が必要とされるが、本発明の有機電界発光素子は、その1000倍程度の水蒸気透過率まで許容する簡易封止の有機電界発光素子である。
このような簡易封止の有機電界発光素子の最大のメリットは、フレキシブル化が可能になること、安価に製造できることであるが、光取り出し効率を上げるフィルム等の、これまでその封止性能から制限を受けていた部材の使用が可能となることも大きなメリットである。これにより、低消費電力、長寿命の素子とすることができる。また、製品毎の品質のばらつきが減少し、大面積化が容易になるメリットもある。
有機電界発光素子は、製造コストの点からは厳密な封止を必要としないものであるほうが好ましく、素子の駆動寿命の点からは封止がより厳密であるほうが好ましいが、これらの両方を考慮すると、本発明の有機電界発光素子は、水蒸気透過率が10−6〜10−3g/m2・dayの封止がされていることが好ましい。より好ましくは、水蒸気透過率が10−5〜10−3g/m2・dayの封止がされていることである。さらに好ましくは、水蒸気透過率が10−5〜10−4g/m2・dayの封止がされていることである。
有機電界発光素子の水蒸気透過率は、幾つかの測定装置が考案されており、そのうち本発明では10−6g/m2・dayまで測定する必要があるためにCa腐食法により測定することができる。
封止フィルムで封止された有機電界発光素子とする場合、封止フィルム上に封止フィルムとは別に基板を設置して、該基板上に陰極を形成し、陰極の上に各層を積層してもよく、封止フィルムを基板として用いて、封止フィルム上に直接陰極を形成し、陰極の上に各層を積層してもよい。これらいずれの場合においても、有機電界発光素子は、水蒸気透過率が10−6〜10−3g/m2・dayである封止フィルムを必須とする薄膜材料を用いて形成されることになる。
このような、本発明の有機電界発光素子の形成に用いられる薄膜材料であって、該薄膜材料は、水蒸気透過率が10−6〜10−3g/m2・dayのフィルムを必須とする有機電界発光素子形成用薄膜材料もまた、本発明の1つである。
フィルムの上に、1つ又は複数の層が積層されたものである場合、積層される層の数や種類は特に制限されないが、好ましい形態は、フィルムとフィルム上に形成された基板とからなる形態;フィルム、並びに、フィルム上に順に形成された基板及び陰極からなる形態;フィルム、並びに、フィルム上に順に形成された基板、陰極及び電子注入層からなる形態;フィルム、並びに、フィルム上に順に形成された基板、陰極、電子注入層及びバッファ層からなる形態;フィルム、並びに、フィルム上に直接形成された陰極からなる形態;フィルム、並びに、フィルム上に直接形成された陰極、該陰極上に形成された電子注入層からなる形態;フィルム、並びに、フィルム上に直接形成された陰極、該陰極上に形成された電子注入層、該電子注入層上に形成されたバッファ層からなる形態;が挙げられる。
基板、陰極、電子注入層、バッファ層としては、後述のものが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有するものである限り、積層される層の構成は特に制限されないが、陰極、電子注入層、必要に応じて正孔阻止層、電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子が後述するバッファ層を有する場合であって、電子輸送層を有さない場合、又は、バッファ層が電子輸送層も兼ねる場合には陰極、電子注入層、バッファ層、正孔阻止層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子が後述するバッファ層を有し、バッファ層とは別に独立した層として電子輸送層を有する場合には、本発明の有機電界発光素子は、陰極、電子注入層、バッファ層、正孔阻止層、電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
なお、これらの各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
陰極としては、この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
陽極としては、これらの中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記のように、一般に陽極に用いられる金属を陰極及び陽極に用いる事ができる事から、上部電極からの光の取り出しを想定する場合(トップエミッション構造の場合)も容易に実現でき、上記電極を種々選んでそれぞれの電極に用いる事ができる。例えば、下部電極としてAl、上部電極にITOなどである。
上記陽極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極として使用することができる。
陽極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
陽極と陰極との間に金属酸化物層を有するものであると、簡易封止である有機電界発光素子がより連続駆動寿命や保存安定性に優れたものとなる。
より好ましくは、陰極と発光層との間に第1の金属酸化物層を有し、陽極と発光層との間に第2の金属酸化物層を有することである。前述の電子注入層の一つは、下記第1の金属酸化物層であることが好ましい。
なお、金属酸化物層の重要性は、第1の金属酸化物層の方が高く、第2の金属酸化物層は、最低非占有分子軌道の極端に深い有機材料、例えば、HATCNでも置き換える事ができる。
なお、本発明においては、比抵抗が10−4Ωcmより小さい物は導電体、比抵抗が10−4Ωcmより大きい物は半導体または絶縁体として分類される。従って、透明電極として知られているITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)等の薄膜は、導電性が高く半導体または絶縁体の範疇に含まれないことから本発明の第1の金属酸化物層を構成する一層に該当しない。
上記第2の金属酸化物層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。
第1の金属酸化物層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
第2の金属酸化物層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
逆構造有機ELにおけるバッファ層の役目は、(1)電極から金属酸化物層により引き上げられたエネルギー準位から発光層等の有機化合物層の最低非占有分子軌道のエネルギー準位まで電子を引き上げること、(2)活性な金属酸化物層から主たる有機EL材料層を保護すること等が挙げられる。(1)を達成する手段として、バッファ層を還元剤によりドーピングすることや、窒素原子含有置換基等の双極子を有する部位を含む化合物によりバッファ層を形成することが考えられる。還元剤によりドーピングされたバッファ層を有することは有機電界発光素子の好ましい形態の1つであるが、本発明の有機電界発光素子は、簡易な封止の素子であり、そのような封止環境下でも素子が安定して駆動するために、バッファ層には大気安定性も求められる。このため、還元剤によりドーピングされたバッファ層を用いる場合には、バッファ層を薄膜化することが必要となる。一方、双極子を有する部位を含み、キャリア輸送性を有する化合物によりバッファ層を形成する場合には、薄膜化することは必ずしも必要ではない。
上記(2)について、有機電界発光素子の金属酸化物層は、後述するようにスプレー熱分解法、ゾルゲル法、スパッタ法等の方法で製膜され、表面は平滑ではなく凹凸を持つ。この金属酸化物層の上に、真空蒸着等の方法で発光層を製膜した場合、発光層の原料となる成分の種類によっては、金属酸化物層の表面の凹凸が結晶核となり、金属酸化物層に接する発光層を形成する材料の結晶化が促進される。このため、有機電界発光素子を完成させたとしても、大きなリーク電流が流れ、発光面が不均一化して、素子性能が低下する傾向にある。
しかし、バッファ層を、より好ましくは、溶液を塗布してバッファ層を形成すると、表面の平滑な層を形成することができるため、金属酸化物層と発光層との間に塗布によりバッファ層を形成すると、発光層を形成する材料の結晶化が抑制され、これによって、金属酸化物層を有する有機電界発光素子が発光層等として結晶化が起こりやすい材料を用いた場合でも、リーク電流の抑制と、均一な面発光を得ることができることになる。
また、上述したように、還元剤によりドーピングされたバッファ層を用いる場合には、バッファ層を薄膜化することが素子の大気安定性の観点から好ましい。この場合、バッファ層の好ましい平均厚さは、バッファ層を形成する有機化合物を含む材料中の還元剤の量とも関係し、該材料が有機化合物に対する還元剤の含有量が0.1〜15質量%の場合、バッファ層の平均厚さが5〜30nmであることが好ましい。一方、還元剤のドーピングがない場合、もしくは極少量の場合、例えば、該材料が有機化合物に対する還元剤の含有量が0〜0.1質量%の場合には、膜厚をより厚くしても大気安定性が良好に維持される傾向にある。例えばそのような場合は、バッファ層の平均厚さが5〜60nmである形態も好ましい。素子作製上のプロセス安定性および素子安定性からは厚膜である方が好ましい。
すなわち、(1)有機化合物を含む材料により形成されるバッファ層を有し、該有機化合物を含む材料は、有機化合物に対する還元剤の含有量が0.1〜15質量%であり、該バッファ層の平均厚さは、5〜30nmである有機電界発光素子や、(2)有機化合物を含む材料により形成されるバッファ層を有し、該有機化合物を含む材料は、有機化合物に対する還元剤の含有量が0〜0.1質量%であり、該バッファ層の平均厚さは、5〜60nmである有機電界発光素子もまた、本発明の好適な実施形態である。
バッファ層の平均厚さは触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
発光層のホストは、ゲストとの間でエネルギーや電子を移動させてゲストを励起状態にする役割を有し、ゲストとの間でエネルギーや電子の移動を行うホストの励起エネルギーがゲストの励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。発光層のホストとして用いる金属錯体は、電気伝導性を有し、アモルファスな材料であって、ホストとして用いる発光材料との間でそのような関係にあるものであれば使用することができるが、ホストとして用いる金属錯体としては、下記式(1);
下記式(2);
下記式(3);
これらの中でも、ベンゼン環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環が好ましい。
なお、X’、X’’で表される環構造が有する置換基がアリール基、アリールアミノ基である場合、アリール基、アリールアミノ基に含まれる芳香環が更に置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては、上記X’、X’’で表される置換基の具体例と同じものが挙げられる。
Ar1〜Ar5の芳香環又は複素環の具体例としては、上記式(1)において点線の円弧で表される環構造の芳香環又は複素環の具体例と同様のものを挙げることができ、芳香環又は複素環が2つ以上直接に結合した構造としては、これら芳香環又は複素環の具体例として挙げられた環構造が2つ以上直接に結合した構造が挙げられる。なおこの場合、直接に結合する2つ以上の芳香環や複素環は同一の環構造であってもよく、異なる環構造であってもよい。
芳香環又は複素環の置換基の具体例としては、上記式(1)において点線の円弧で表される環構造の芳香環又は複素環の置換基の具体例と同様のものを挙げることができる。
また、
またXaとXbとを結ぶ実線の円弧は、Xa、Xbを含んで形成される環構造以外の環構造を1つ又は2つ以上含んでいてもよく、その場合の環構造としては、上記式(1)、式(3)において点線の円弧で表される環構造と同様のものや、ピラゾール環が挙げられる。
式(7)のR1〜R3の1価の置換基としては、上記式(1)〜(3)においてX’、X’’で表される環構造が有する置換基と同様のものが挙げられる。
リン光発光材料としては、下記式(11)、(12)のいずれかで表される化合物を好適に用いることができる。
上記式(11)及び式(12)において、点線の円弧で表される2つの環構造が有する置換基同士が結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成している場合、点線の円弧で表される2つの環構造と新たな環構造を合わせた環構造としては、例えば、上記(5−1)、(5−2)のような構造が挙げられる。
R1〜R3の1価の置換基としては、上記式(1)〜(3)においてX’、X’’で表される環構造が有する置換基と同様のものが挙げられる。
発光層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
またこれらの化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
これらの中でも、α−NPD、TPTEのようなアリールアミン系化合物が好ましい。
正孔輸送層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
電子輸送層の材料として用いることができる低分子化合物の例としては、後述する式(15)で表されるホウ素含有化合物の他、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ)2)、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、Alq3のような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体が好ましい。
電子輸送層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
これらの方法は各層の材料の特性に応じて選択するのが好ましく、層ごとに作製方法が異なっていても良い。第2の金属酸化物層は、これらの中でも、気相製膜法を用いて形成するのがより好ましい。気相製膜法によれば、有機化合物層の表面を壊すことなく清浄にかつ陽極と接触よく形成することができ、その結果、上述したような第2の金属酸化物層を有することによる効果がより顕著なものとなる。
上記有機化合物を含む溶液を塗布する方法は特に制限されず、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、バーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法を用いることができる。このうち、膜厚をより制御しやすいという点でスピンコート法やスリットコート法が好ましい。
バッファ層を塗布製膜することで、金属酸化物層表面に存在する凹凸が平滑化されるため、次にバッファ層上に製膜する層を形成する材料の結晶化が抑制される。
これらの中でも、THF、トルエン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンが好ましい。
また、トップエミッション型の場合には、上記基板材料に加え、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの等、さらにそれらを1種又は2種以上組み合わせたものも用いることができる。また、フレキシブル化の観点からは、これらが薄膜であることが好ましい。
基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
さらに、発光層で生成したエキシトンのエネルギーがバッファ層の化合物に移動して発光することを避けるため、発光層に含まれる発光性化合物のHOMO−LUMOエネルギーギャップよりも広いHOMO−LUMOエネルギーギャップを持つ化合物を選択することがより好ましい。
すなわち、本発明の有機電界発光素子において、バッファ層を形成するホウ素原子を有する有機化合物は、下記式(15);
上記式(15)において、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分及びホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分、における点線部分は、それぞれの骨格部分において点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記式(15)において、X1、X2、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。すなわち、X1、X2、X3及びX4が水素原子である場合には、上記式(15)で表される化合物の構造中、X1、X2、X3及びX4を有する4つの環構造は置換基を有していないことを示し、X1、X2、X3及びX4のいずれか、又は、全てが、1価の置換基である場合には、該4つの環構造のいずれか、又は、いずれもが置換基を有することとなる。その場合には、1つの環構造の有する置換基の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
なお、本明細書中において置換基とは、炭素を含む有機基と、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等の炭素を含まない基とを含めた基を意味している。
この場合、2個存在するY1以外の構造部分の構造は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、Y1が、n1価の連結基である場合、Y1は、n1個存在するY1以外の構造部分とそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所で結合しているものであるが、これは、Y1以外の構造部分が、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所でY1と結合していればよく、Y1以外の構造部分のY1との結合部位は、n1個存在するY1以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n1個存在するY1以外の構造部分の全てが、X1が結合している環又はX2が結合している環でY1と結合していることが好ましい。より好ましくは、n1個存在するY1以外の構造部分の全てが、X2が結合している環でY1と結合していることである。
また、n1個存在するY1以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
更に、Y1は、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記へテロ元素を含む基としては、下記式(16−9)〜(16−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記式(16−12)、(16−13)がより好ましい。
これらの中でも、Y1における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ジアリールアミノ基である。
上記Y1における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
上記式(15)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合、X1が結合している環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記式(18−1)〜(18−33)で表される。
これらの中でも、環構造骨格が炭素原子のみからなるものが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環である。
より好ましくは、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、ボリル基、アルキニル基、アルケニル基、ホルミル基、シリル基、スタニル基、ホスフィノ基、該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、1価の複素環基又は該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。中でも、X1及びX2として更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、含窒素複素芳香族基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基等の還元に強い官能基である。特に好ましくは、水素原子、アリール基、含窒素複素芳香族基である。また、X3及びX4として更に好ましくは、水素原子、カルバゾリル基、トリフェニルアミノ基、チエニル基、フラニル基、アルキル基、アリール基、インドリル基等の酸化に強い官能基である。特に好ましくは、水素原子、カルバゾリル基、トリフェニルアミノ基、チエニル基である。このように、X1及びX2として還元に強い官能基を有し、X3及びX4として酸化に強い官能基を有するものとすると、ホウ素含有化合物全体として更に還元にも酸化にも強い化合物となるものと考えられる。
なお、上記式(15)において、X1、X2、X3及びX4が1価の置換基である場合、環構造に対するX1、X2、X3及びX4の結合位置や結合する数は、特に制限されない。
上記式(15)で表されるホウ素含有化合物の合成スキームの一例を挙げると下記反応式のように表される。下記反応式(I)は、上記式(15)で表されるホウ素含有化合物であって、Y1が直接結合であり、n1が2であるものの合成スキームの一例を表し、下記反応式(II)は、上記式(15)で表されるホウ素含有化合物であって、Y1がn1価の連結基であり、n1が2〜10であるものの合成スキームの一例を表している。ただし、上記式(15)で表されるホウ素含有化合物の製造方法は、これに制限されない。
なお、下記スキームにおいて、原料となる(a)の化合物は、例えば、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、2010年、第75巻、第24号、8709−8712頁に記載の手法により合成可能である。また、原料となる(b)の化合物は、(a)の化合物に対して下記反応式(III)で表されるホウ素化反応により合成することができる。
上記式(21)において、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ3とを繋ぐ骨格部分、及び、ホウ素原子とQ4と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、それぞれの骨格部分において点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記式(21)におけるQ3及びQ4としては、上記式(17−1)〜(17−8)で表される構造が挙げられる。なお、一般式(17−2)は、炭素原子に水素原子が2つ結合し、更に3つの原子が結合する構造であるが、当該水素原子以外の、炭素原子に結合する3つの原子は、いずれも水素原子以外の原子である。上記一般式(17−1)〜(17−8)の中でも、(17−1)、(17−7)、(17−8)のいずれかが好ましい。より好ましくは、(17−1)である。すなわち、Q3及びQ4が、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、上記式(21)において、X5、X6、X7及びX8が1価の置換基である場合、環構造に対するX5、X6、X7及びX8の結合位置や結合する数は、特に制限されない。
該電子輸送性の1価の置換基としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来1価の基;一つ以上の電子求引性置換基を有するベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の1価の基;ジベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、シロール環等が挙げられる。
上記電子求引性置換基としては、−CN、−COR、−COOR、−CHO、−CF3、−SO2Ph、−PO(Ph)2等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
これらの中でも、電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来の基であることが好ましい。
電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する複素芳香環化合物由来の1価の基のいずれかであることがより好ましい。
なお、上記式(23)で表される合成方法の第1工程は、特開2011−184430号公報の記載を参照して行うことができる。
また、第2工程の反応を行う時間は、3〜48時間が好ましい。
また、上記カップリング反応の反応条件としては、各カップリング反応が通常行われる反応条件を適宜採用することができる。
上記式(26)において、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印は、上記式(21)と同様の意味であり、点線の円弧の好ましい構造も上記式(21)と同様である。すなわち、本発明のホウ素含有重合体(26)は、下記式(27);
n2、n3は、それぞれ独立した数である。このため、n2、n3は同じ数であっても異なる数であってもよい。
上記式(26)で表されるホウ素含有重合体は、上記式(26)で表される構造を1つ有するものであってもよく、複数有するものであってもよい。ホウ素含有重合体が上記式(26)で表される構造を複数有するものである場合、ある構造におけるn2、n3と、隣り合う構造におけるn2、n3とは、同一であっても異なっていてもよい。
したがって、上記式(26)で表されるホウ素含有重合体には、交互共重合体(上記式(26)で表される構造を2つ以上有し、全ての式(26)で表される構造において、n2が同じ数であり、n3も同じ数である)、ブロック共重合体(上記式(26)で表される構造を1つ有し、n2、n3の少なくとも1つが2以上)、ランダム共重合体(上記式(26)で表される構造を2つ以上有し、該複数の式(26)で表される構造の中に少なくとも1つ、n2、n3のいずれか又は両方が他の構造におけるn2、n3と異なるものがある)のいずれの構造のものも含まれる。
上記式(26)で表されるホウ素含有重合体は、これらの中でも、交互共重合体であることが好ましい。
上記式(26)では、X9、X10、X11及びX12のいずれか2つが、重合体の主鎖の一部として結合を形成することになる。X9〜X12のうち、重合体の主鎖の一部として結合を形成するものは、直接結合となる。X9、X10、X11及びX12のうち、重合に関与しないものは、水素原子又は1価の置換基となる。
X9、X10、X11及びX12のうち、重合に関与しない1価の基の具体例及び好ましいものは、上述した式(21)で表されるホウ素含有化合物のX5、X6の具体例及び好ましいものと同様である。
X13−A1−X14 (30)
(式中、A1は、式(26)と同様である。X13、X14は、反応性基を表す。)で表される化合物とを反応させることで製造することが好ましい。
このようなホウ素含有化合物(26’)と式(30)で表される化合物とを反応させると、重縮合反応によりホウ素含有重合体(26)が合成されることになる。
X9’〜X12’のうち、式(30)のX13、X14と反応する反応性基以外の1価の置換基は、上記式(26)におけるX9〜X12の1価の置換基と同様である。
ボリル基とハロゲン原子、スタニル基とハロゲン原子、アルデヒド基とホスホニウムメチル基、ビニル基とハロゲン原子、アルデヒド基とホスホネートメチル基、ハロゲン原子とハロゲン化マグネシウム、ハロゲン原子とハロゲン原子、ハロゲン原子とシリル基、ハロゲン原子と水素原子。
上記アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。該芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
上記アリーレン基としては、例えば、下記式(31−1)〜(31−23)で表される基等が挙げられる。これらの中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
なお、式(31−1)〜(31−23)において、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはシアノ基を表す。式(31−1)中においてx−yで示した線のように、環構造に交差して付された線は、環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。すなわち、式(31−1)においては、x−yで示される線が付された環を構成する炭素原子のいずれかと直接結合することを意味し、その環構造における結合位置は限定されない。式(31−10)中においてz−で示した線のように、環構造の頂点に付された線は、その位置において環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。また、環構造に交差して付されたRの付いた線は、Rが、その環構造に対して1つ結合していてもよく、複数結合していてもよいことを意味し、その結合位置も限定されない。
また、式(31−1)〜(31−10)及び(31−15)〜(31−20)において、炭素原子は、窒素原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
なお、式(32−1)〜(32−38)において、Rは、上記アリーレン基の有するRと同様である。Yは、O、S、SO、SO2、Se、又は、Teを表す。環構造に交差して付された線、環構造の頂点に付された線、環構造に交差して付されたRの付いた線については、式(31−1)〜(31−23)と同様である。
また、式(32−1)〜(32−38)において、炭素原子は、窒素原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
重量平均分子量がこのような範囲であると、良好に薄膜化できる。より好ましくは、10,000〜500,000であり、更に好ましくは30,000〜200,000である。
上記重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC装置、展開溶媒;クロロホルム)によって以下の装置、及び、測定条件で測定することができる。
高速GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて測定した。
展開溶媒 クロロホルム
カラム TSK−gel GMHXL ×2本
溶離液流量 1ml/min
カラム温度 40℃
該単量体成分は、ホウ素含有化合物(26’)と式(30)で表される化合物とを含む限り、その他の単量体を含んでいてもよいが、単量体成分全体100モル%に対して、ホウ素含有化合物(26’)と式(30)で表される化合物との合計が90モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、95モル%以上であり、最も好ましくは、100モル%、すなわち、単量体成分がホウ素含有化合物(26’)と式(30)で表される化合物のみを含むことである。
上記その他の単量体としては、ホウ素含有化合物(26’)又は式(30)で表される化合物と反応し得る反応性基を有する化合物が挙げられる。なお、上記単量体成分は、ホウ素含有化合物(26’)、式(30)で表される化合物とも、1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
ポリアミン類としては、塗布により層を形成することができるものが好ましく、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。低分子化合物としては、ジエチレントリアミンのようなポリアルキレンポリアミンが好適に用いられ、高分子化合物では、ポリアルキレンイミン構造を有する重合体が好適に用いられる。特にポリエチレンイミンが好ましい。
なお、ここで低分子化合物とは、高分子化合物(重合体)ではない化合物を意味し、分子量の低い化合物を必ずしも意味するものではない。
重量平均分子量は、以下の条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:Waters Alliance(2695)(商品名、Waters社製)
分子量カラム:TSKguard column α、TSKgel α−3000、TSKgel α−4000、TSKgel α−5000(いずれも東ソー社製)を直列に接続して使用
溶離液:100mMホウ酸水溶液14304gに50mM水酸化ナトリウム水溶液96gとアセトニトリル3600gを混合した溶液
検量線用標準物質:ポリエチレングリコール(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるように溶離液に溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
上記バッファ層が含む還元剤は、電子供与性の化合物であれば特に制限されないが、1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1,3−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、1,3,5−トリメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール化合物;ロイコクリスタルバイオレット(=トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン)、ロイコマラカイトグリーン(=ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン)、トリフェニルメタン等のトリフェニルメタン化合物;2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)等のジヒドロピリジン化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。この中でも、2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物や、ジヒドロピリジン化合物が好ましい。より好ましくは、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、または2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)である。
本発明の有機電界発光素子は、厳密な封止が施された従来の有機電界発光素子に比べて簡易な封止でありながら、良好な連続駆動寿命、及び、保存安定性を有するものである。また、有機化合物層の材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。このため、表示装置や照明装置の材料として好適に用いることができるものである。
このような、本発明の有機電界発光素子を用いて形成される表示装置もまた、本発明の1つである。更に本発明の有機電界発光素子を用いて形成される照明装置もまた、本発明の1つである。
100mL二口ナスフラスコに、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ブロモピリジン(2.6g、6.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−9,9’−スピロフルオレン(1.5g、2.7mmol)、Pd(PtBu3)2(170mg、0.32mmol)を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気下にし、THF(65mL)を加え、攪拌した。
これに、2M リン酸三カリウム水溶液(11mL、22mmol)を加え、70℃で還流させながら加熱攪拌した。12時間後、室温まで冷却し、反応溶液を分液ロートに移して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した濾液を濃縮して、得られた固体をメタノールで洗浄し、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(ホウ素含有化合物A)を収率47%で得た(1.2g、1.3mmol)。
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3):δ6.67(d,J=7.6Hz,2H),6.75(d,J=1.2Hz,2H),6.82(d,J=7.2Hz,4H),6.97(dt,J=7.2,1.2Hz,4H),7.09(dt,J=7.2,0.8Hz,2H),7.24−7.40(m,14H),7.74−7.77(m,6H),7.84−7.95(m,10H)
また、合成例1の反応は、下記反応式(44)のように表される。
アルゴン雰囲気下、5−ブロモ−2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(94mg、0.30mmol)を含むジクロロメタン溶液(0.3ml)に、エチルジイソプロピルアミン(39mg、0.30mmol)を加えた後、0℃で三臭化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液、0.9ml、0.9mmol)を加え、室温で9時間攪拌した。反応溶液を0℃まで冷却した後、飽和炭酸カリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、生成した白色固体を濾取し、ヘキサンで洗浄することにより、ホウ素化合物1(40mg、0.082mmol)を収率28%で得た。この反応は、下記式(45)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3):7.57−7.59(m,2H),7.80(dd,J=8.4,0.6Hz,1H),7.99(s,1H),8.27(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),9.01(d,J=1.5Hz,1H).
50mL2口フラスコにマグネシウム(561mg,23.1mmol)を入れ反応容器内を窒素雰囲気下にした後、シクロペンチルメチルエーテル(10mL)を入れ、ヨウ素をひとかけら投入し、着色がなくなるまで攪拌した。これに2,2‘−ジブロモビフェニル(3.0g,9.6mmol)のシクロペンチルメチルエーテル溶液(9mL)を滴下し、室温で12時間、50℃で1時間攪拌しGrignard試薬を調製した。
別の200mL3つ口フラスコにホウ素化合物1(3.71g,7.7mmol)を入れ窒素雰囲気下にした後、トルエン(77mL)を入れた。これを−78℃にて攪拌しながら上記Grignard試薬をキャヌラーで一度に加えた。10分攪拌後、室温まで昇温しさらに12時間攪拌した。この反応溶液に水をくわえ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。ろ液を濃縮し残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりホウ素化合物2を3.0g(収率82%)得た。この反応は、下記式(46)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3):6.85(d,J=7.04Hz,2H),7.05(t,J=7.19Hz,2H),7.32(t,J=7.48Hz,2H), 7.47(s、1H)7.49−7.57(m、1H),7.74−7.84 (m,3H),7.90−8.00(m,2H),8.07−8.20(m,1H).
100mL2口フラスコにホウ素化合物2(2.0g,4.2mmol)、Pd(PPh3)4(240mg,0.21mmol)を入れ、反応容器内を窒素雰囲気下にした。これにトルエン(21mL)、トリブチル(2−ピリジル)スズ(3.7g,10.1mmol)を入れ、120℃で終夜攪拌した。反応終了後、濃縮し、残差をカラムクロマトグラフィーで精製することにより本発明のホウ素含有化合物Bを800mg得た(収率40%)。この反応は、下記式(47)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3):6.93(m,J=7.04Hz,2H),7.03(t,J=7.19Hz,2H),7.13−7.20(m,1H),7.21−7.26(m,1H),7.30(t,J=7.48Hz,2H),7.51(d,J=7.92Hz,1H),7.60−7.74(m,3H),7.82(m,J=7.63Hz,2H),7.87(s,1H),8.12(d,J=8.22Hz,1H),8.18(d,J=7.92Hz,1H),8.22(d,J=8.51Hz,1H),8.39(s,1H),8.59−8.69(m,2H),8.76(dd,J=8.51,1.17Hz,1H).
シュレンクフラスコにホウ素化合物2(474mg,1.00mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸−ビス(プロパンジオール)エステル(568mg,1.02mmol)を入れ、反応容器内を窒素雰囲気下にした後、THF(6mL)を入れ溶解させた。これに35wt%水酸化テトラエチルアンモニウム(1.68mL,3.99mmol)、水(2.2mL)、Aliquat(登録商標)(40mg,0.10mmol)のトルエン溶液(6mL)を加えた。90℃に加熱し、Pd(PPh3)4(23mg,0.020mmol)を入れ、90℃で12時間攪拌した。ブロモベンゼン(204mg,1.30mmol)を加えて5時間攪拌後、フェニルボロン酸(572mg,4.69mmol)を加えて終夜攪拌した。室温まで冷却後、反応溶液をトルエンで希釈して有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過して濃縮後残渣をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルショートカラムに通した。この溶液を濃縮し、メタノールに投入して得られる黄色沈澱物ろ取し、ホウ素含有化合物C(ホウ素含有重合体)を386mg得た。この反応は、下記式(48)の反応である。ホウ素含有化合物Cの1H−NMR測定結果を図2に示す。
得られたホウ素含有重合体は、Mn=14,304、Mw=36,646、PDI=2.56であった。
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO電極層付き透明ガラス基板を用意した。この時、基板のITO電極(陰極)は幅2mmにパターニングされているものを用いた。この基板をアセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄後、イソプロパノール中で5分間煮沸した。この基板をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分行った。
[2]この基板を、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。約1×10−4Paまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタし、膜厚約2nmの酸化亜鉛層を作成した。この時にメタルマスクを併用して、電極取り出しのためITO電極の一部は酸化亜鉛が製膜されないようにした。
[3]バッファ層としてホウ素含有化合物Aの1重量%、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)の0.01重量%1,2−ジクロロエタン混合溶液を作製した。工程[2]で作製した酸化亜鉛薄膜付き基板をスピンコーターにセットした。この基板上にホウ素含有化合物A、N−DMBI混合溶液を滴下し、毎分2000回転で30秒間回転させ、ホウ素含有有機化合物を含むバッファ層を形成した。さらに、これを窒素雰囲気下100℃にセットしたホットプレートで1時間アニール処理を施した。バッファ層の平均厚さは30nmであった。
[4]ホウ素含有化合物の層まで形成した基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ピリジン]ベリリウム(Bepp2)、トリス[3−メチル−2−フェニルピリジン]イリジウム(III)(Ir(mpy)3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)をそれぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、Bepp2をホスト、(Ir(mpy)3)をドーパントとして35nm共蒸着し、発光層を製膜した。この時、ドープ濃度は(Ir(mpy)3)が発光層全体に対して6%となるようにした。次に、α−NPDを60nm蒸着し、正孔輸送層を製膜した。次に、一度窒素パージした後、三酸化モリブデン、金をアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、三酸化モリブデン(第2の金属酸化物層)を膜厚10nmになるように蒸着した。次に、金(陽極)を膜厚50nmになるように蒸着し、有機電界発光素子3を作製した。第2の電極を蒸着する時、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅2mmの帯状になるようにした。すなわち、作製した有機電界発光素子の発光面積は、4mm2とした。
[5][4]までで作製した素子の周囲(素子形成エリアよりも大きく基板よりも小さな部位)にUV硬化樹脂を塗布し、その上に同サイズのガラス枠を設置、さらにその上にUV硬化樹脂を塗布し、最後に尾池工業社製封止フィルム(水分透過率3×10−4g/m2・day)を貼り付け、UVにより硬化させた。これにより有機電界発光素子1を作製した。
工程[3]を下記工程[3−2]とした以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子2を作製した。なお、バッファ層の平均厚さは、6nmであった。
[3−2]次にバッファ層として日本触媒社製ポリエチレンイミン(登録商標:エポミン)をエタノールにより0.5重量%に希釈したものを2000rpm30秒の条件でスピンコートする。ここで用いたエポミンは分子量70000のP1000である。
実施例2の工程[5]において、尾池工業社製封止フィルム(水分透過率3×10−4g/m2・day)に代えて、ガラスを封止基材として用いた以外は実施例2と同様にして、有機電界発光素子3を作製した。
実施例1の工程[3]において、バッファ層の平均厚さを60nmとした以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子4を作製した。
実施例1の工程[3]において、バッファ層の平均厚さを10nmとした以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子5を作製した。
工程[3]を下記工程[3−3]とした以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子6を作製した。なお、バッファ層の平均厚さは、10nmであった。
[3−3]次にバッファ層としてホウ素含有化合物Aを、還元剤を入れること無しに、1,2−ジクロロエタンにより0.25重量%に希釈したものを2000rpm30秒の条件でスピンコートする。
実施例5内の工程[5]において、尾池工業社製封止フィルム(水分透過率3×10−4g/m2・day)に代えて、尾池工業社製フィルム(水分透過率3×10−3g/m2・day)を封止基材として用いた以外は実施例5と同様にして、有機電界発光素子7を作製した。
工程[3]を下記工程[3−4]とし、工程[5]において、尾池工業社製封止フィルム(水分透過率3×10−4g/m2・day)に代えて、尾池工業社製フィルム(水分透過率5×10−2g/m2・day)を封止基材として用いた以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子8を作製した。なお、バッファ層の平均厚さは、30nmであった。
[3−4]次にバッファ層としてホウ素含有化合物Bを、還元剤を入れること無しに、テトラヒドロフランにより1重量%に希釈したものを2000rpm30秒の条件でスピンコートする。
比較例2内の工程[5]において、尾池工業社製封止フィルム(水分透過率5×10−2g/m2・day)に代えて、尾池工業社製フィルム(水分透過率3×10−4g/m2・day)を封止基材として用いた以外は比較例2と同様にして、有機電界発光素子9を作製した。
比較例2内の工程[5]において、尾池工業社製封止フィルム(水分透過率5×10−2g/m2・day)に代えて、尾池工業社製フィルム(水分透過率3×10−3g/m2・day)を封止基材として用いた以外は比較例2と同様にして、有機電界発光素子10を作製した。
実施例5の工程[3−3]において、バッファ層の平均厚さを30nmとし、工程[5]において、尾池工業社製封止フィルム(水分透過率3×10−4g/m2・day)に代えて、尾池工業社製フィルム(水分透過率2×10−1g/m2・day)を封止基材として用いた以外は実施例5と同様にして、有機電界発光素子11を作製した。
実施例1の工程[3]を下記工程[3−5]とした以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子12を作製した。なお、バッファ層の平均厚さは、30nmであった。
[3−5]次にバッファ層としてホウ素含有化合物Cを、還元剤を入れること無しに、1,2−ジクロロエタンにより1重量%に希釈したものを2000rpm30秒の条件でスピンコートする。
実施例1の工程[1]を下記工程[1−2]とした以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子13を作製した。
[1−2]市販されているITO電極層付きポリエチレンナフタレートフィルム基板(水蒸気透過率10−4g/m2・dayになるようなバリア加工が施されている)を用意した。この時、基板のITO電極(陰極)は幅2mmにパターニングされているものを用いた。この基板を保護フィルムをはがし、イソプロパノール中で10分間超音波洗浄後、この基板をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分行った。
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加を行った。素子は、それぞれ示された期間、大気下に放置した後、EL発光の様子を撮影した。有機電界発光素子1〜5、7、8の結果をそれぞれ図3〜9に示す。
実施例4で作製した有機電界発光素子5について、封止直後(初期)の異なる発光エリア2カ所A、B、及び、398日後の発光について、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。またコニカミノルタ社製の「LS−100」により、発光輝度を測定した。
有機電界発光素子を、アルゴン雰囲気下直流電圧を印加した時の電圧−輝度特性を図10に示す。
更に、バッファ層として還元剤なしのホウ素化合物Aを用い、水分透過率3×10−3g/m2・dayの封止膜で封止した実施例6でも、初期に汚れからくるダークスポットはあるものの、17日後でも成長する様子はない。なお、実施例6と同じ還元剤なしのホウ素化合物Aを用い、実施例6よりも水分透過率の低い、実施例1と同じ封止膜で封止した実施例5でも、良好な結果が得られることが確認されている。
これに対し、水分透過率5×10−2g/m2・dayの封止膜で封止した比較例2では、7日後に非発光部ではないが暗部が観測されており、明らかに輝度の低下と発光ムラが観測されている。また、比較例2よりも更に水分透過率の大きき封止膜を用いた比較例3では、同様の7日後でさらに顕著な暗部が確認されている。
比較例2で示した素子構成において、水蒸気透過率を向上させた封止フィルムを用いた場合(実施例7および実施例8)においては良好な結果を得ており、実施例4同様の長期の保存安定性(ダークスポットが確認されないこと、その撮影時の電圧が変わっていないことから電圧−輝度特性に大きな変化がないと推測されること)を確認している。
同様に、実施例9において、バッファ材料をホウ素化合物Cのようなポリマーにした場合においても、長期の保存安定性が確認されている。
またさらに、実施例10に示すように、基板をガラスからバリア性能を有したフィルム基板に変更しても、その長期保存安定性は維持されることが確認されている。
以上より、100cd/m2程度の実用範囲の高輝度においては、水分透過率10−3g/m2・day程度の封止性能で遜色ないことが明らかとなった。
さらに、バッファ層としてポリエチレンイミンを用いた場合の比較を実施例2および比較例1で行った。ガラス封止の結果と何ら遜色ない発光が100日程度まで観測されていることがわかる。本比較により、本素子形態を有すれば、水分透過率10−3g/m2・day程度の封止性能でガラス封止のものと同程度の素子特性を長期間観測できることを示すことができた。
2:陰極
3:第1の金属酸化物層
4:バッファ層
5:有機化合物層
6:第2の金属酸化物層
7:陽極
8:UV硬化樹脂
9:ガラス枠
10:封止基材
Claims (7)
- 陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、
該有機電界発光素子は、水蒸気透過率が10−6〜10−3g/m2・dayである封止がされたものである
ことを特徴とする有機電界発光素子。 - 前記有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に金属酸化物層を有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記有機電界発光素子は、有機化合物を含む材料により形成されるバッファ層を有し、
該有機化合物を含む材料は、有機化合物に対する還元剤の含有量が0.1〜15質量%であり、
該バッファ層の平均厚さは、5〜30nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。 - 前記有機電界発光素子は、有機化合物を含む材料により形成されるバッファ層を有し、
該有機化合物を含む材料は、有機化合物に対する還元剤の含有量が0〜0.1質量%であり、
該バッファ層の平均厚さは、5〜60nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子の形成に用いられる薄膜材料であって、
該薄膜材料は、水蒸気透過率が10−6〜10−3g/m2・dayのフィルムを必須とすることを特徴とする有機電界発光素子形成用薄膜材料。 - 請求項1〜4のいずれか一項記載の有機電界発光素子を含む表示装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載の有機電界発光素子を含む照明装置。
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