JP6226671B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents

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本発明は、有機電界発光素子に関する。より詳しくは、電子機器の表示部等の表示装置や照明装置等としての利用可能な有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子は、薄く、柔軟でフレキシブルであるという特徴を有し、また、表示装置として用いた場合には、現在主流となっている液晶やプラズマの表示装置に比べ、高輝度、高精細な表示が可能となり、液晶表示装置に比べて視野角も広い等の優れた特徴を有することから、今後テレビや携帯電話のディスプレイ等としての利用の拡大や、照明装置としての利用が期待されている素子である。
有機電界発光素子は、陰極と陽極との間に、電子輸送層、発光層、正孔輸送層等の複数の層が積層された構造を有しており、基板上に設置された陽極上にこのような積層構造が形成された順構造の有機電界発光素子と、基板上に設置された陰極上にこのような積層構造が形成された逆構造の有機電界発光素子とに分けられる。有機電界発光素子を構成する層の一部が無機化合物で構成された有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子も、逆構造の有機電界発光素子の1つである。
有機電界発光素子は、今後の用途拡大に向けて更なる特性の向上が求められており、有機電界発光素子の各層を構成するのに適した材料について、研究、開発が行われている。その特性とは、従来の効率や駆動寿命はもちろんのこと、用途拡大からくる新規なものも含む。その一つが、大気安定性である。有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子は、その可能性を持ち合わせているものの、専用の有機材料の開発が不充分なため、その特性は未だ充分とは言えなかった。その観点から、有機物自身の大気安定性を考慮した開発が進められている。例えば、ホウ素原子を有する特定の構造を有する化合物を含む発光材料が開示されている(特許文献1参照。)。また、違う観点ではあるが、ホウ素原子を有する特定の構造を有する化合物が有機電界発光素子の正孔阻止層として好適であることが開示されている(特許文献2参照。)。
特開2011−184430号公報 国際公開2005/062676号
有機電界発光素子の中でも、逆構造の有機電界発光素子は、順構造の有機電界発光素子に比べて発光特性に劣るのが現状である。逆構造の有機電界発光素子の1種である有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子は、有機成分が有する柔軟性や成形性と、無機成分が有する耐久性とを併せ持つことが可能であると考えられ、また素子内部の各層を厳密に密閉する必要性が低減され、製造時の手間も少ない等の利点を有する等、逆構造の有機電界発光素子には順構造のものにはない優れた点もあることから、逆構造の有機電界発光素子の発光特性を向上させる方法が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、発光特性に優れた逆構造の有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明者は、逆構造の有機電界発光素子を発光特性に優れたものとする方法について種々検討したところ、特定の構造を有するホウ素含有化合物やホウ素含有重合体によって形成される層を有する素子とすると、輝度や素子寿命等に優れたものとなることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、下記式(1);
Figure 0006226671
(式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q及びQは、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X、Xは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。X、Xは、同一又は異なって、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表す。X、X、X及びXは、それぞれ点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。)で表されるホウ素含有化合物によって形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子である。
本発明はまた、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、下記式(2);
Figure 0006226671
(式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q21及びQ22は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X21、X22、X23及びX24は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。Aは、同一又は異なって、2価の基を表す。n21を付した括弧内の構造単位は、X21、X22、X23及びX24のいずれか2つで隣の構造単位と結合している。n21、n22は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体によって形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子でもある。
本発明はまた、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、下記式(3);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X31、X32、X33及びX34は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、環構造に複数個結合していてもよい。n31は、1〜10の整数を表す。n32は、0又は1を表す。n32が1の場合、Yは、n31価の連結基、又は、直接結合であり、n31個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、X31、X32、X33又はX34のいずれか1箇所で結合していることを表す。)で表されるホウ素含有化合物によって形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子でもある。
本発明は更に、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、下記式(4);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X41、X42、X43及びX44は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。Aは、同一又は異なって、2価の基を表す。n43を付した括弧内の構造単位は、X41、X42、X43及びX44のいずれか1つ又は2つで隣の構造単位と結合している。n43、n44は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体によって形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有し、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物、上記式(2)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体、上記式(3)で表されるホウ素含有化合物、又は、上記式(4)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体のいずれかによって形成される層を有する有機電界発光素子である。上記ホウ素含有化合物、及び、ホウ素含有重合体は、安定な化合物でありながら、HOMO、LUMOのエネルギー準位が低く、これらのホウ素含有化合物、ホウ素含有重合体によって形成される層を有する本発明の有機電界発光素子は、輝度や素子寿命等に優れた素子である。また、これらのホウ素含有化合物、ホウ素含有重合体は良好な膜、特には塗布膜、を作製することが可能なものである。
本発明の有機電界発光素子は、これらのホウ素含有化合物、ホウ素含有重合体のいずれかによって形成される層を1つ有していればよいが、これらのホウ素含有化合物やホウ素含有重合体によって形成される層を2つ以上有していてもよく、2つ以上有する場合、当該2つ以上の層は、同一のホウ素含有化合物やホウ素含有重合体によって形成されてもよく、異なるホウ素含有化合物やホウ素含有重合体によって形成されてもよい。また、陽極、陰極と、上記ホウ素含有化合物、ホウ素含有重合体のいずれかによって形成される層を有するものである限り、その他の層を有していてもよい。
なお、ここでいう「基板上に形成された陰極」とは、陰極が基板に直接接触して形成されていることを意味する。
以下においてはまず、本発明の有機電界発光素子を構成する各層について記載し、その後に、上記ホウ素含有化合物やホウ素含有重合体の構造について記載する。
<本発明の有機電界発光素子>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に隣接して陰極が形成された逆構造の素子であって、発光層と陽極とを有し、陰極と発光層との間に、電子注入層及び/又は電子輸送層を有し、陽極と発光層との間に正孔輸送層及び/又は正孔注入層を有する構成の素子であることが好ましい。また本発明の有機電界発光素子は、これらの各層の間に他の層を有していてもよいが、これらの各層のみから構成される素子であることが好ましい。すなわち、陰極、電子注入層及び/又は電子輸送層、発光層、正孔輸送層及び/又は正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。より好ましくは、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子である。なお、これらの各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
上記構成の有機電界素子において、素子が電子注入層、電子輸送層のいずれか一方のみを有する場合には、当該一方の層が陰極と発光層とに隣接して積層されることになり、素子が電子注入層と電子輸送層の両方を有する場合には、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層の順にこれらの層が隣接して積層されることになる。
素子が正孔輸送層、正孔注入層のいずれか一方のみを有する場合には、当該一方の層が発光層と陽極とに隣接して積層されることになり、素子が正孔輸送層と正孔注入層の両方を有する場合には、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順にこれらの層が隣接して積層されることになる。
本発明の有機電界発光素子において、発光層を形成する材料としては、発光層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
上記発光層を形成する高分子材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキルフェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物;更には特願2010−230995号、特願2011−6457号に記載のホウ素化合物系高分子材料等が挙げられる。
上記発光層を形成する低分子材料としては、例えば、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ、3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物;ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物;フェナントレンのようなフェナントレン系化合物;クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物;ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物;コロネンのようなコロネン系化合物;アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物;ピレンのようなピレン系化合物;4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物;アクリジンのようなアクリジン系化合物;スチルベンのようなスチルベン系化合物;2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物;ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物;ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物;2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物;ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物;ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物;クマリンのようなクマリン系化合物;ペリノンのようなペリノン系化合物;オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物;アルダジン系化合物;1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物;キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物;ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物;2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物;フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物;更には特開2009−155325号公報、特開2011−184430号公報および特願2011−6458号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。
発光層の平均厚さは触針式段差計により、または水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、上記ホウ素含有化合物やホウ素含有重合体から形成される層は、陰極と発光層との間に形成され、電子輸送層として機能することが好ましい。上記ホウ素含有化合物やホウ素含有重合体を電子輸送層の材料として用いることで、本発明の有機電界発光素子は、輝度や素子寿命等により優れたものとなる。
本発明の有機電界発光素子は、上述したホウ素含有化合物及び/又はホウ素含有重合体が電子輸送層を形成する材料として用いられることが好ましいが、電子輸送層を別の材料で形成してもよく、上述したホウ素含有化合物及び/又はホウ素含有重合体と別の材料とで電子輸送層を形成してもよい。別の材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
電子輸送層の材料として用いることができる化合物の例としては、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、Alqのような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体が好ましい。
上記電子輸送層は、還元剤を含むものであることが好ましい。還元剤はn−ドーパントとして働くため、電子輸送層が還元剤を含むことで陰極から発光層への電子の供給が充分に行われるため、発光の効率が向上する。
上記電子輸送層が含む還元剤は、電子供与性の化合物であれば特に制限されないが、1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1,3−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、1,3,5−トリメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール化合物;ロイコクリスタルバイオレット(=トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン)、ロイコマラカイトグリーン(=ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン)、トリフェニルメタン等のトリフェニルメタン化合物;2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)等のジヒドロピリジン化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。この中でも、2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物や、ジヒドロピリジン化合物が好ましい。より好ましくは、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、または2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)である。
上記電子輸送層が含む還元剤の量は、電子輸送層を形成する有機化合物100質量%に対して、0.001〜15質量%であることが好ましい。還元剤をこのような割合で含むと、有機電界発光素子の発光効率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、電子輸送層を形成する有機化合物100質量%に対して、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは、0.1〜5質量%である。
本発明の有機電界発光素子が、正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層として用いる正孔輸送性有機材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
またこれらの化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子の電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。本発明の有機電界発光素子が正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さも同様であることが好ましい。
電子輸送層や正孔輸送層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。発光層を真空蒸着法で形成する場合は水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子が正孔注入層を有する場合、その材料としては、正孔注入層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
正孔注入層の材料として用いることができる化合物の例として、低分子材料としては、フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物や、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化タングステンなどの金属酸化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子の好ましい形態の一つとして、有機電界発光素子を構成する層の一部が無機化合物で構成された有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子(HOILED素子)があげられる。無機化合物の層としては、無機の酸化物層を有することが多い。
酸化物層によって、エネルギー準位は高い位置(酸化チタンや酸化亜鉛の伝導帯は、4eV前後に存在する。)に安定に形成されるという利点がある。したがって、本発明の有機電界発光素子が、陰極と発光層との間に、上述したホウ素含有化合物やホウ素含有重合体から形成された層を有し、更に、陰極と該ホウ素含有化合物やホウ素含有重合体から形成された層との間に第1の酸化物層を有するものであることは、本発明の有機電界発光素子の好適な実施形態の1つである。
本発明の有機電界発光素子がHOILED素子である場合は、陽極と発光層との間に第2の酸化物層を有するものであることが好ましい。陰極から発光層までの間との発光層から陽極までの間の両方に酸化物層を有することが有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子の好ましい形態である。この第2の酸化物層は、正孔注入層として機能する層である。
したがって、本発明の有機電界発光素子が有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子である場合の好ましい素子の構成の一例を表すと、陰極、第1の酸化物層、上述したホウ素含有化合物やホウ素含有重合体から形成された層、発光層、正孔輸送層、第2の酸化物層、陽極がこの順に隣接して積層された構成である。
第1の酸化物層としては、下記のとおり、金属酸化物層等の無機の酸化物層が好ましい。このように、基板上に形成された陰極上に無機の酸化物層を有することは、本発明の有機電界発光素子の好適な実施形態の1つである。
本発明の有機電界発光素子がHOILED素子である場合、上記第1の酸化物層、第2の酸化物層は、金属酸化物層であることが好ましい。
第1の金属酸化物層としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化鉄(Fe)、酸化錫(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、12CaO・7Alなどのエレクトライド等の1種又は2種以上を用いることができる。
これら第1の金属酸化物層は、電子注入層ともいえ、また、電極(陰極)ともいえる。
上記第2の金属酸化物層としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、酸化バナジウム又は酸化モリブデンを主成分とするものが好ましい。第2の金属酸化物層が酸化バナジウム又は酸化モリブデンを主成分とするものにより構成されると、第2の金属酸化物層が陽極から正孔を注入して発光層又は正孔輸送層へ輸送するという正孔注入層としての機能により優れたものとなる。また、酸化バナジウム又は酸化モリブデンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、陽極から発光層又は正孔輸送層への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止することもできるという利点がある。より好ましくは、酸化バナジウム及び/又は酸化モリブデンから構成されるものである。第2の酸化物層が金属酸化物でない場合は、例えば、HAT−CN(ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン‐2,3,6,7,10,11−ヘックス)のようなLUMOの深い、強いアクセプター材料があげられる。
上記第1の酸化物層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。
上記第2の酸化物層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。
第1の酸化物層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
第2の酸化物層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、陰極としては、原理的には特に制限されないが、底部より光を取り出す場合は、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等が挙げられ、この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。また、上部から光を取り出す場合は、Al、Au、Ag、または合金、ドープされたSiなどがあげられる。
陽極としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記陰極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200nmである。陰極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
上記陽極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極として使用することができる。
陽極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物から形成される層の製膜方法は特に限定されず、材料の特性に合わせて種々の方法を適宜用いることができるが、溶液にして塗布できる場合はスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いて製膜することができる。このうち、膜厚をより制御しやすいという点でスピンコート法やスリットコート法が好ましい。塗布しない場合や溶媒溶解性が低い場合は真空蒸着法や、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法などが好適な例として挙げられる。
上記有機化合物から形成される層を、有機化合物溶液を塗布して形成する場合、有機化合物を溶解するために用いる溶媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、溶媒としては、非極性溶媒が好適であり、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
上記有機化合物含有溶液は、溶媒中の有機化合物の濃度が0.05〜10質量%であることが好ましい。このような濃度であると、塗布した時の塗りムラや凹凸の発生を抑えることができる。溶媒中の有機化合物の濃度はより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
上記陰極、陽極、及び、本発明の有機電界発光素子がHOILED素子である場合の、無機化合物により形成される層は、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相製膜法、液相製膜法等により形成することができる。陽極、陰極の形成には、金属箔の接合も用いることができる。
本発明の有機電界発光素子の特性をさらに向上させる等の理由から、必要に応じて例えば正孔阻止層、電子素子層などを有していてもよい。これらの層を形成するための材料としては、これらの層を形成するために通常用いられる材料を用い、また、これらの層を形成するために通常用いられる方法により層を形成することができる。
本発明の有機電界発光素子が、陰極と陽極との間の層が全て有機化合物で形成されたOLED素子である場合には封止が必要である。本発明の有機電界発光素子がHOILED素子である場合は、OLED素子に比べると厳密な封止は必要ないが、必要であれば封止を施しても良い。封止工程としては、通常の方法を適宜使用できる。例えば、不活性ガス中で封止容器を接着する方法や、有機EL素子の上に直接封止膜を形成する方法などが挙げられる。これらに加えて、水分吸収材を封入する方法を併用してもよい。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に陰極が隣接して形成される逆構造の有機電界発光素子である。本発明の有機電界発光素子は、基板がある側とは反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよく、基板がある側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
上記基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
本発明の有機電界発光素子は、有機化合物層の材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。そのため、表示装置の発光部位や照明装置として好適に用いることができる。
このような、本発明の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置や、本発明の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置もまた、本発明の1つである。
以下においては、上述したホウ素含有化合物やホウ素含有重合体の構造について記載する。
本明細書において、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物をホウ素含有化合物(1)とも記載し、上記式(3)で表されるホウ素含有化合物をホウ素含有化合物(3)とも記載する。また、上記式(2)、式(4)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体をそれぞれ、ホウ素含有重合体(2)、ホウ素含有重合体(4)とも記載する。
なお、以下の説明において、「ホウ素含有化合物」という場合、ホウ素含有化合物(1)、(3)を含む。つまり、「ホウ素含有化合物」についての説明は、ホウ素含有化合物(1)、(3)のいずれにも適用できるものである。同様に、「ホウ素含有重合体」という場合、ホウ素含有重合体(2)、(4)を含み、「ホウ素含有重合体」についての説明は、ホウ素含有化合物(2)、(4)のいずれにも適用できるものである。
<ホウ素含有化合物(1)>
まず、ホウ素含有化合物(1)について、以下に説明する。
ホウ素含有化合物(1)は、下記式(1);
Figure 0006226671
(式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q及びQは、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X、Xは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。X、Xは、同一又は異なって、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表す。X、X、X及びXは、それぞれ点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。)で表される構造を有する化合物である。
上記式(1)において、点線の円弧は、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQとを繋ぐ骨格部分の一部又は、ホウ素原子とQと窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表している。これは、式(1)で表される化合物が構造中に少なくとも4つ環構造を有し、式(1)において、ホウ素原子とQとを繋ぐ骨格部分及びホウ素原子とQと窒素原子とを繋ぐ骨格部分が、該環構造の一部として含まれていることを表している。
上記式(1)において、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQとを繋ぐ骨格部分、及び、ホウ素原子とQと窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、それぞれの骨格部分において点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記式(1)において、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。ここで、配位しているとは、窒素原子がホウ素原子に対して配位子と同様に作用して化学的に影響していることを意味する。
上記式(1)において、Q及びQは、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しているものであって、置換基を有していてもよい。これは、Q及びQがそれぞれ、該環構造の一部として組み込まれていることを表している。
上記式(1)におけるQ及びQとしては、下記一般式(5−1)〜(5−8);
Figure 0006226671
で表される構造が挙げられる。なお、一般式(5−2)は、炭素原子に水素原子が2つ結合し、更に3つの原子が結合する構造であるが、当該水素原子以外の、炭素原子に結合する3つの原子は、いずれも水素原子以外の原子である。上記一般式(5−1)〜(5−8)の中でも、(5−1)、(5−7)、(5−8)のいずれかが好ましい。より好ましくは、(5−1)である。すなわち、Q及びQが、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記式(1)において、X〜Xが結合している環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記式(6−1)〜(6−32)で表される。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環である。
Figure 0006226671
上記式(1)において、Xが結合している環としては、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、下記一般式(7−1)〜(7−17)で表される。なお、下記式(7−1)〜(7−17)中の*印は、Xが結合している環を構成し、かつ、式(1)におけるホウ素原子とQと窒素原子とを繋ぐ骨格部分を構成する炭素原子が、*印の付された炭素原子のいずれか1つと結合することを表している。また、*印の付された炭素原子を除く位置で他の環構造と縮環していてもよい。これらの中でも、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、フェナントリジン環が好ましい。より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環である。更に好ましくは、ピリジン環である。
Figure 0006226671
すなわち、ホウ素含有化合物(1)が、下記式(8);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X、X、X及びXは式(1)と同様である。)で表されるホウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。ホウ素含有化合物は上記式(8)で表される構造を有することにより、ホウ素原子に配位している窒素原子を除いて、X、X、X、Xが結合している環が炭素原子のみで構成されることとなるため、Sなどのヘテロ原子を環内に含む化合物の場合に比べて、軌道の広がりが小さくなり、一般論としてHOMO−LUMOのエネルギーギャップが広く保たれるといった特徴を有することとなる。このような特徴から、例えば、有機EL素子のりん光ホスト材料としてより好適に用いることができる。
上記式(1)において、X、Xは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、置換基を有していてもよいアリール基、下記X、Xの具体例と同様の複素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シリル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、エポキシ基、アシル基、置換基を有していてもよいオリゴアリール基、1価のオリゴ複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アゾ基、スタニル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基;メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等のアルキルスルホネート基;ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等のアリールスルホネート基;ベンジルスルホネート基等のアリールアルキルスルホネート基、ボリル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、アリールスルホネート基、アルデヒド基、アセトニトリル基等が挙げられる。
上記のものの中でも、X、Xとしては、水素原子;ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;アリール基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリール基;オリゴアリール基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、オリゴアリール基;1価の複素環基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、1価のオリゴ複素環基;アルキルチオ基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アリールアルキル基;アリールアルコキシ基;アリールアルキルチオ基;アルケニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルケニル基;アルキニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルキニル基のいずれかが好ましい。
より好ましくは、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、ボリル基、アリール基、オリゴアリール基、1価の複素環基、1価のオリゴ複素環基のいずれかである。
なお、上記式(1)において、X、X、X及びXが1価の置換基である場合、環構造に対するX、X、X及びXの結合位置や結合する数は、特に制限されない。
上記式(1)において、X、Xは、同一又は異なって、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表す。X、Xとして電子輸送性の置換基を有することで、ホウ素含有化合物(1)は、電子輸送性に優れた材料となる。また、このような置換基を有することは、ホウ素含有化合物(1)の塗布による成膜性を向上させることにも寄与する。
該電子輸送性の1価の置換基としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来1価の基;一つ以上の電子求引性置換基を有するベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の1価の基;ジベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、シロール環等が挙げられる。
上記電子求引性置換基としては、−CN、−COR、−COOR、−CHO、−CF、−SOPh、−PO(Ph)等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
これらの中でも、電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来の基であることが好ましい。電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する複素芳香環化合物由来の1価の基のいずれかであることがより好ましい。
上記X、X、X及びXにおける置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;アゾ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜40のアルキル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基などのアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、フェニルアセチニル等の炭素数2〜20のアルキニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基;エチニルオキシ基、フェニルアセチルオキシ基等のアルキニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロフェニル基等のパーフルオロ基及び更に長鎖のパーフルオロ基;ジフェニルボリル基、ジメシチルボリル基、ビス(パーフルオロフェニル)ボリル基等のボリル基;アセチル基、ベンゾイル基等のカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等のスルフィニル基;アルキルスルホニルオキシ基;アリールスルホニルオキシ基;ホスフィノ基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基等のシリル基;シリルオキシ基;スタニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよいフェニル基、2,6−キシリル基、メシチル基、デュリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、トルイル基、アニシル基、フルオロフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、フェナンスレニル基等のアリール基;チエニル基、フリル基、シラシクロペンタジエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、キノリル基、キノキサロイル基、フェナンスロリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリミジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基;カルボキシル基;カルボン酸エステル;エポキシ基;イソシアノ基;シアネート基;イソシアネート基;チオシアネート基;イソチオシアネート基;カルバモイル基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ホルミル基;ニトロソ基;ホルミルオキシ基;等が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やアルキル基、アリール基等で置換されていてもよく、更に、これらの基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
上記ホウ素含有化合物(1)は、下記式(9)のような合成方法により合成することが好ましい。なお、下記式中、Zは、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Zは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
Figure 0006226671
上記式(9)で表される合成方法の第1工程に用いる溶媒は特に制限されないがヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
なお、上記式(9)で表される合成方法の第1工程は、特開2011−184430号公報の記載を参照して行うことができる。
第2工程の反応を行う温度は、0℃〜40℃が好ましく、常圧、減圧、加圧のいずれの条件で反応を行ってもよい。
また、第2工程の反応を行う時間は、3〜48時間が好ましい。
上記式(9)で表される合成方法では、上記第2工程の後に更に、X〜Xのいずれか1つ以上の置換基を別の置換基に交換する1つ又は複数の工程を行ってもよい。例えば、X〜Xのいずれかがハロゲン原子である場合は、Stillクロスカップリング反応や鈴木−宮浦クロスカップリング反応、園頭クロスカップリング反応、Heckクロスカップリング反応、桧山カップリング反応、根岸カップリング反応等を用いることで、ハロゲン原子を置換基Xに交換することができる。
また、上記カップリング反応の反応条件としては、各カップリング反応が通常行われる反応条件を適宜採用することができる。
<ホウ素含有重合体(2)>
次に、ホウ素含有重合体(2)について、以下に説明する。
ホウ素含有重合体(2)は、下記式(2);
Figure 0006226671
(式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q21及びQ22は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X21、X22、X23及びX24は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。Aは、同一又は異なって、2価の基を表す。n21を付した括弧内の構造単位は、X21、X22、X23及びX24のいずれか2つで隣の構造単位と結合している。n21、n22は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有する重合体である。
上記式(2)におけるQ21、Q22はそれぞれ、上記式(1)におけるQ、Qと同様であり、好ましい形態も同様である。すなわち、Q21及びQ22は、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すことが好ましい。
上記式(2)において、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印は、上記式(1)と同様の意味であり、点線の円弧の好ましい構造も上記式(1)と同様である。すなわち、ホウ素含有重合体(2)は、下記式(12);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X21、X22、X23、X24、A、n21及びn22は、式(2)と同様である。n21を付した括弧内の構造単位の隣の構造単位との結合も式(2)と同様である。)で表される繰り返し単位の構造を有することが好ましい。
上記式(2)において、n21は、n21を付した括弧内の構造単位の数を表し、1以上の数を表す。n22は、n22を付した括弧内の構造単位の数を表し、1以上の数を表す。n21、n22は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表すが、これは、以下のような意味である。
21、n22は、それぞれ独立した数である。このため、n21、n22は同じ数であっても異なる数であってもよい。
ホウ素含有重合体(2)は、上記式(2)で表される構造を1つ有するものであってもよく、複数有するものであってもよい。ホウ素含有重合体(2)が上記式(2)で表される構造を複数有するものである場合、ある構造におけるn21、n22と、隣り合う構造におけるn21、n22とは、同一であっても異なっていてもよい。
したがって、ホウ素含有重合体(2)には、交互共重合体(上記式(2)で表される構造を2つ以上有し、全ての式(2)で表される構造において、n21が同じ数であり、n22も同じ数である)、ブロック共重合体(上記式(2)で表される構造を1つ有し、n21、n22の少なくとも1つが2以上)、ランダム共重合体(上記式(2)で表される構造を2つ以上有し、該複数の式(2)で表される構造の中に少なくとも1つ、n21、n22のいずれか又は両方が他の構造におけるn21、n22と異なるものがある)のいずれの構造のものも含まれる。
ホウ素含有重合体(2)は、これらの中でも、交互共重合体であることが好ましい。
上記式(2)において、X21、X22、X23及びX24は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表す。
上記式(2)では、X21、X22、X23及びX24のいずれか2つが、重合体の主鎖の一部として結合を形成することになる。X21〜X24のうち、重合体の主鎖の一部として結合を形成するものは、直接結合となる。X21、X22、X23及びX24のうち、重合に関与しないものは、水素原子又は1価の置換基となる。
21、X22、X23及びX24のうち、重合に関与しない1価の基の具体例及び好ましいものは、上述した本発明のホウ素含有化合物(1)のX、Xの具体例及び好ましいものと同様である。
上記ホウ素含有重合体(2)において、X21、X22、X23及びX24のうち、直接結合は、X21、X22、X23及びX24のいずれのものであってもよいが、X21とX22、又は、X23とX24とが直接結合であることが好ましい。この場合、ホウ素含有重合体(3)は、下記式(13−1)、式(13−2)で表される繰り返し単位の構造を有する重合体となる。
Figure 0006226671
(式中、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q21、Q22、A、n21及びn22は、式(2)と同様である。式(13−1)中、X21、X22は、直接結合を表し、X23、X24は、水素原子又は1価の置換基を表す。式(13−2)中、X23、X24は、直接結合を表し、X21、X22は、水素原子又は1価の置換基を表す。)
本発明のホウ素含有重合体(2)は、下記式(14);
Figure 0006226671
(式中、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q21及びQ22は、式(2)と同様である。X21’、X22’、X23’及びX24’は、同一又は異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、X21’、X22’、X23’及びX24’のうち少なくとも2つは、下記式(15)のX25、X26と反応する反応性基である。)で表される反応性基を有するホウ素含有化合物(2’)と、下記式(15)
25−A−X26 (15)
(式中、Aは、式(2)と同様である。X25、X26は、反応性基を表す。)で表される化合物とを反応させることで製造することが好ましい。
このようなホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物とを反応させると、重縮合反応によりホウ素含有重合体(2)が合成されることになる。
21’〜X24’のうち、式(15)のX25、X26と反応する反応性基以外の1価の置換基は、上記式(2)におけるX21〜X24の1価の置換基と同様である。
重縮合し得る反応性基の組み合わせとしては、以下のいずれかのものが好ましく、ホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物とが、これらのいずれかの重縮合し得る反応性基の組み合わせにより重縮合反応を行うことが好ましい。
ボリル基とハロゲン原子、スタニル基とハロゲン原子、アルデヒド基とホスホニウムメチル基、ビニル基とハロゲン原子、アルデヒド基とホスホネートメチル基、ハロゲン原子とハロゲン化マグネシウム、ハロゲン原子とハロゲン原子、ハロゲン原子とシリル基、ハロゲン原子と水素原子。
上記式(2)におけるAとしては、2価の基であれば、特に制限されないが、アルケニル基、アリーレン基、2価の芳香族複素環基のいずれかが好ましい。
上記アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。該芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
上記アリーレン基としては、例えば、下記式(16−1)〜(16−23)で表される基等が挙げられる。これらの中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
なお、式(16−1)〜(16−23)において、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはシアノ基を表す。式(16−1)中においてx−yで示した線のように、環構造に交差して付された線は、環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。すなわち、式(16−1)においては、x−yで示される線が付された環を構成する炭素原子のいずれかと直接結合することを意味し、その環構造における結合位置は限定されない。式(16−10)中においてz−で示した線のように、環構造の頂点に付された線は、その位置において環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。また、環構造に交差して付されたRの付いた線は、Rが、その環構造に対して1つ結合していてもよく、複数結合していてもよいことを意味し、その結合位置も限定されない。
また、式(16−1)〜(16−10)及び(16−15)〜(16−20)において、炭素原子は、窒素原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Figure 0006226671
Figure 0006226671
上記2価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、環を構成する炭素数は通常3〜60程度である。該芳香族複素環化合物としては、環式構造をもつ芳香族有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものも含まれる。
上記2価の複素環基としては、例えば、下記式(17−1)〜(17−38)で表される複素環基等が挙げられる。
なお、式(17−1)〜(17−38)において、Rは、上記アリーレン基の有するRと同様である。Yは、O、S、SO、SO、Se、又は、Teを表す。環構造に交差して付された線、環構造の頂点に付された線、環構造に交差して付されたRの付いた線については、式(16−1)〜(16−23)と同様である。
また、式(17−1)〜(17−38)において、炭素原子は、窒素原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Figure 0006226671
Figure 0006226671
本発明のホウ素含有重合体(2)の塗布による成膜性を向上させる点からは、Aとしては上述したものの中でも、(16−1)、(16−9)、(17−1)、(17−9)、(17−16)、(17−17)が好ましい。より好ましくは、(16−1)、(16−9)である。
ホウ素含有重合体(2)は、重量平均分子量が5,000〜1,000,000であることが好ましい。
重量平均分子量がこのような範囲であると、良好に薄膜化できる。より好ましくは、10,000〜500,000であり、更に好ましくは30,000〜200,000である。
上記重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC装置、展開溶媒;クロロホルム)によって以下の装置、及び、測定条件で測定することができる。
高速GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて測定した。
展開溶媒 クロロホルム
カラム TSK−gel GMHXL ×2本
溶離液流量 1ml/min
カラム温度 40℃
本発明のホウ素含有重合体(2)は、上述したホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物とを含む単量体成分を反応させることにより製造される。
該単量体成分は、ホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物とを含む限り、その他の単量体を含んでいてもよいが、単量体成分全体100モル%に対して、ホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物との合計が90モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、95モル%以上であり、最も好ましくは、100モル%、すなわち、単量体成分がホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物のみを含むことである。
上記その他の単量体としては、ホウ素含有化合物(2’)又は式(15)で表される化合物と反応し得る反応性基を有する化合物が挙げられる。なお、上記単量体成分は、ホウ素含有化合物(2’)、式(15)で表される化合物とも、1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明のホウ素含有重合体(2)の原料となる単量体成分におけるホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物とのモル比は、100/0〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、70/30〜30/70であり、最も好ましくは、50/50である。
また、重合反応の際には、単量体成分の固形分濃度は、0.01質量%〜溶解する最大濃度の範囲で適宜設定することができるが、希薄すぎると反応の効率が悪く、濃すぎると反応の制御が難しくなる恐れがあることから、好ましくは、0.05〜10質量%である。
ホウ素含有重合体(2)の製造方法は特に制限されないが、例えば、特開2011−184430号公報に記載の製造方法により製造することができる。
ホウ素含有重合体(2)は、塗布による均一な成膜が可能であり、低いHOMO、LUMO準位を持つため、有機電界発光素子の材料として好適に用いることができるものである。
<ホウ素含有化合物(3)>
次に、ホウ素含有化合物(3)について記載する。
ホウ素含有化合物(3)は、下記式(3);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X31、X32、X33及びX34は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、環構造に複数個結合していてもよい。n31は、1〜10の整数を表す。n32は、0又は1を表す。n32が1の場合、Yは、n31価の連結基、又は、直接結合であり、n31個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、X31、X32、X33又はX34のいずれか1箇所で結合していることを表す。)で表される構造を有する化合物である。
ホウ素含有化合物(3)は、ホウ素原子に対して窒素原子が配位した構造であることに加え、X33が結合したベンゼン環とX34が結合したピリジン環との間に縮合ベンゼン環が形成された、剛直なベンゾキノリン構造を有することにより、高い安定性を有する化合物である。
上記X31、X32、X33及びX34が環構造の置換基となる1価の置換基である場合の1価の置換基としては、上記式(1)におけるX、Xが1価の置換基である場合の具体例と同様であり、好ましい置換基も同様である。
上記式(3)において、n31は1〜10の整数を表し、Yは、n31価の連結基、又は、直接結合である。
上記式(3)において、n31が1である場合、n32は0であり、上記式(3)におけるY以外の構造部分のみからなる化合物となる。
上記式(3)において、n31が2である場合、上記式(3)におけるY以外の構造部分が2つ存在することになる。ここで、Yが2価の連結基である場合、2つ存在するY以外の構造部分が2価の連結基であるYを介して結合することになる。Yが直接結合である場合、2つ存在するY以外の構造部分が直接結合することになる。
上記式(3)で表される化合物において、n31が3以上である場合、Yはn31価の連結基であり、上記式(3)におけるY以外の構造部分が複数存在し、それらが連結基であるYを介して結合することとなる。
なお、Yがn31価の連結基である場合、Yはn31個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、X31、X32、X33又はX34のいずれか1箇所で結合しているが、これは、Y以外の構造部分のYとの結合部位は、n31個存在するY以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n31個存在するY以外の構造部分の全てが、X33又はX34で結合していることが好ましい。
また、n31個存在するY以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
上記式(3)におけるYが、n31価の連結基である場合、該連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ元素を含む基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。これらの中でも、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。すなわち、上記式(3)におけるYは、芳香環を有する基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
更に、Yは、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基としては、下記式(18−1)〜(18−8)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(18−1)、(18−7)がより好ましい。
上記へテロ元素を含む基としては、下記一般式(18−9)〜(18−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(18−12)、(18−13)がより好ましい。
上記アリール基としては、下記一般式(18−14)〜(18−20)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(18−14)、(18−19)、(18−20)がより好ましい。
上記複素環基としては、下記一般式(18−21)〜(18−27)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(18−23)、(18−24)がより好ましい。
Figure 0006226671
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、上述した式(1)において、X、Xが有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Yにおける鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ジアリールアミノ基である。
上記Yにおける鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
上記式(3)におけるn31は、1〜10の整数を表すが、好ましくは、1〜6である。より好ましくは、1〜3であり、最も好ましくは、1〜2である。すなわち、本発明のホウ素含有化合物(3)は、単量体又は二量体であることが最も好ましい。
本発明のホウ素含有化合物(3)は、下記式(19)で表される合成方法により合成することが好ましい。なお、下記式中、Zは、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Zは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
Figure 0006226671
上記式(19)で表される合成方法に用いる溶媒は、上述した式(9)で表される合成方法に用いる溶媒と同様のものを用いることができる。
上記式(19)で表される合成方法の第1工程は、特開2011−184430号公報の記載を参考にして行うことができる。
上記式(19)で表される合成方法の第2工程での反応条件(温度、圧力)、反応時間は、上述した式(9)で表される合成方法の第2工程と同様である。
また、上記式(19)で表される合成方法は、上記式(9)で表される合成方法と同様に、第2工程の後に、X31〜X34の置換基を別の置換基に交換する1つ又は複数の工程を行ってもよい。当該1つ又は複数の工程の方法は、上述した式(9)で表される合成方法におけるX又はXの置換基を別の置換基に交換する工程と同様である。
<ホウ素含有重合体(4)>
次に、ホウ素含有重合体(4)について記載する。
ホウ素含有重合体(4)は、下記式(4);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X41、X42、X43及びX44は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。Aは、同一又は異なって、2価の基を表す。n43を付した括弧内の構造単位は、X41、X42、X43及びX44のいずれか1つ又は2つで隣の構造単位と結合している。n43、n44は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有する重合体である。
上記式(4)において、n43、n44は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表すが、これは、上記式(2)において、n21、n22が、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表すことと同様の意味を表す。
上記式(4)におけるX41〜X44は、それぞれ、上記式(2)におけるX21〜X24と同様であり、好ましい形態も同様である。
上記式(4)におけるAは、上記式(2)におけるAと同様であり、好ましい形態も同様である。
ホウ素含有重合体(4)は、重量平均分子量が5,000〜1,000,000であることが好ましい。
重量平均分子量がこのような範囲であると、良好に薄膜化できる。より好ましくは、10,000〜500,000であり、更に好ましくは30,000〜200,000である。
上記重量平均分子量は、上記ホウ素含有重合体(2)の重量平均分子量と同様の装置、及び、測定条件で測定することができる。
ホウ素含有重合体(4)は、下記式(20);
Figure 0006226671
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印は、式(4)と同様である。X41’、X42’、X43’及びX44’は、同一又は異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、X41’、X42’、X43’及びX44’のうち少なくとも2つは、下記式(21)のX45、X46と反応する反応性基である。)で表される反応性基を有するホウ素含有化合物(4’)と、下記式(21)
45−A−X46 (21)
(式中、Aは、式(4)と同様である。X45、X46は、反応性基を表す。)で表される化合物とを反応させることで製造することが好ましい。
このようなホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物とを反応させると、重縮合反応によりホウ素含有重合体(4)が合成されることになる。
41’〜X44’のうち、下記式(21)のX45、X46と反応する反応性基以外の1価の置換基は、上記式(4)におけるX41〜X44の1価の置換基と同様である。
重縮合し得る反応性基の組み合わせとしては、上述したホウ素含有化合物(2’)と式(15)で表される化合物との反応における重縮合し得る反応性基の組み合わせと同様のものが好ましく、ホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物とが、それらのいずれかの重縮合し得る反応性基の組み合わせにより重縮合反応を行うことが好ましい。
本発明のホウ素含有重合体(4)は、ホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物とを含む単量体成分を重合することにより製造される。該単量体成分は、ホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物とを含む限り、その他の単量体を含んでいてもよいが、単量体成分全体100モル%に対して、ホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物との合計が90モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、95モル%以上であり、最も好ましくは、100モル%、すなわち、単量体成分がホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物のみを含むことである。
上記その他の単量体としては、ホウ素含有化合物(4’)、式(21)で表される化合物と反応し得る反応性基を有する化合物が挙げられる。なお、上記単量体成分は、ホウ素含有化合物(4’)、式(21)で表される化合物とも、1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明のホウ素含有重合体(4)の原料となる単量体成分におけるホウ素含有化合物(4’)と式(21)で表される化合物とのモル比は、100/0〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、70/30〜30/70であり、最も好ましくは、50/50である。
また、重合反応の際には、単量体成分の固形分濃度は、0.01質量%〜溶解する最大濃度の範囲で適宜設定することができるが、希薄すぎると反応の効率が悪く、濃すぎると反応の制御が難しくなる恐れがあることから、好ましくは、0.05〜10質量%である。
本発明のホウ素含有重合体(4)は、ホウ素含有重合体(2)の場合と同様に、例えば、特開2011−184430号公報に記載の製造方法により製造することができる。
本発明のホウ素含有重合体(4)は、ホウ素含有化合物由来の構造単位が剛直なベンゾキノリン構造を有することに起因する高い安定性を有し、塗布による均一な成膜が可能であり、低いHOMO、LUMO準位を持つため、有機電界発光素子の材料として好適に用いることができるものである。
本発明の有機電界発光素子は、上述の構成よりなり、発光特性に優れた逆構造の有機電界発光素子であり、表示装置の発光部位や照明装置等に好適に用いることができる。
本発明で示される有機電界発光素子の積層構造の一例を示した概略図である。 実施例1で作製した有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性の測定結果を示した図である。 比較例1で作製した有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性の測定結果を示した図である。 図2と図3とを重ねて示した図である。 実施例1で作製した有機電界発光素子の定電流密度下(1000cd/m相当)での連続駆動特性の測定結果を示した図である。 比較例1で作製した有機電界発光素子の定電流密度下(1000cd/m相当)での連続駆動特性の測定結果を示した図である。 実施例2で作製した有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性の測定結果を示した図である。 実施例2で作製した有機電界発光素子の定電流密度下(1000cd/m相当)での連続駆動特性の測定結果を示した図である。 実施例3で作製した有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性の測定結果を示した図である。 実施例4で作製した有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性の測定結果を示した図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味するものとする。
以下の合成例において、H−NMR、及び、重量平均分子量、数平均分子量は以下のようにして測定した。
H−NMR>
得られたホウ素含有化合物、ホウ素含有重合体を、重水素化クロロホルムの溶液とし、高分解能核磁気共鳴装置(製品名「Gemini 2000」;400MHz、Varian,Inc.社製)を用いて測定した。化学シフトは、テトラメチルシランから低磁場側における100万分の1(ppm;δスケール)として記録し、テトラメチルシランの水素核(δ0.00)を参照とした。
<重量平均分子量、数平均分子量>
重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC装置、展開溶媒;テトラヒドロフラン)によって以下の装置、及び、測定条件で測定した。
高速GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて測定した。
展開溶媒 クロロホルム
カラム TSK−gel GMHXL ×2本
溶離液流量 1ml/min
カラム温度 40℃
合成例1(ホウ素化合物1の合成)
アルゴン雰囲気下、5−ブロモ−2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(94mg、0.30mmol)を含むジクロロメタン溶液(0.3ml)に、エチルジイソプロピルアミン(39mg、0.30mmol)を加えた後、0℃で三臭化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液、0.9ml、0.9mmol)を加え、室温で9時間攪拌した。反応溶液を0℃まで冷却した後、飽和炭酸カリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、生成した白色固体を濾取し、ヘキサンで洗浄することにより、ホウ素化合物1(40mg、0.082mmol)を収率28%で得た。この反応は、下記式(22)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl):7.57−7.59(m,2H),7.80(dd,J=8.4,0.6Hz,1H),7.99(s,1H),8.27(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),9.01(d,J=1.5Hz,1H).
Figure 0006226671
合成例2(ホウ素化合物2の合成)
50mL2口フラスコにマグネシウム(561mg,23.1mmol)を入れ反応容器内を窒素雰囲気下にした後、シクロペンチルメチルエーテル(10mL)を入れ、ヨウ素をひとかけら投入し、着色がなくなるまで攪拌した。これに2,2‘−ジブロモビフェニル(3.0g,9.6mmol)のシクロペンチルメチルエーテル溶液(9mL)を滴下し、室温で12時間、50℃で1時間攪拌しGrignard試薬を調整した。
別の200mL3つ口フラスコにホウ素化合物1(3.71g,7.7mmol)を入れ窒素雰囲気下にした後、トルエン(77mL)を入れた。これを−78℃にて攪拌しながら上記Grignard試薬をキャヌラーで一度に加えた。10分攪拌後、室温まで昇温しさらに12時間攪拌した。この反応溶液に水をくわえ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。ろ液を濃縮し残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりホウ素化合物2を3.0g(収率82%)得た。この反応は、下記式(23)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl):6.85(d,J=7.04Hz,2H),7.05(t,J=7.19Hz,2H),7.32(t,J=7.48Hz,2H), 7.47(s、1H)7.49−7.57(m、1H),7.74−7.84 (m,3H),7.90−8.00(m,2H),8.07−8.20(m,1H).
Figure 0006226671
合成例3(ホウ素含有化合物Aの合成)
100mL2口フラスコにホウ素化合物2(2.0g,4.2mmol)、Pd(PPh(240mg,0.21mmol)を入れ、反応容器内を窒素雰囲気下にした。これにトルエン(21mL)、トリブチル(2−ピリジル)スズ(3.7g,10.1mmol)を入れ、120℃で終夜攪拌した。反応終了後、濃縮し、残差をカラムクロマトグラフィーで精製することによりホウ素含有化合物Aを800mg得た(収率40%)。この反応は、下記式(24)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl):6.93(m,J=7.04Hz,2H),7.03(t,J=7.19Hz,2H),7.13−7.20(m,1H),7.21−7.26(m,1H),7.30(t,J=7.48Hz,2H),7.51(d,J=7.92Hz,1H),7.60−7.74(m,3H),7.82(m,J=7.63Hz,2H),7.87(s,1H),8.12(d,J=8.22Hz,1H),8.18(d,J=7.92Hz,1H),8.22(d,J=8.51Hz,1H),8.39(s,1H),8.59−8.69(m,2H),8.76(dd,J=8.51,1.17Hz,1H).
Figure 0006226671
合成例4(ホウ素含有重合体Bの合成)
シュレンクフラスコにホウ素化合物2(474mg,1.00mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸−ビス(プロパンジオール)エステル(568mg,1.02mmol)を入れ、反応容器内を窒素雰囲気下にした後、THF(6mL)を入れ溶解させた。これに35wt%水酸化テトラエチルアンモニウム(1.68mL,3.99mmol)、水(2.2mL)、Aliquat(登録商標)(40mg,0.10mmol)のトルエン溶液(6mL)を加えた。90℃に加熱し、Pd(PPh(23mg,0.020mmol)を入れ、90℃で12時間攪拌した。ブロモベンゼン(204mg,1.30mmol)を加えて5時間攪拌後、フェニルボロン酸(572mg,4.69mmol)を加えて終夜攪拌した。室温まで冷却後、反応溶液をトルエンで希釈して有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過して濃縮後残渣をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルショートカラムに通した。この溶液を濃縮し、メタノールに投入して得られる黄色沈澱物ろ取し、ホウ素含有重合体Bを386mg得た。この反応は、下記式(25)の反応である。ホウ素含有重合体BのH−NMR測定結果を図1に示す。
得られたホウ素含有重合体Bは、Mn=14,304、Mw=36,646、PDI=2.56であった。
Figure 0006226671
比較合成例1(比較ホウ素含有化合物Cの合成)
100mL二口ナスフラスコに、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ブロモピリジン(2.6g、6.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−9,9’−スピロフルオレン(1.5g、2.7mmol)、Pd(PBu(170mg、0.32mmol)を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気下にし、THF(65mL)を加え、攪拌した。
これに、2M リン酸三カリウム水溶液(11mL、22mmol)を加え、70℃で還流させながら加熱攪拌した。12時間後、室温まで冷却し、反応溶液を分液ロートに移して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した濾液を濃縮して、得られた固体をメタノールで洗浄し、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(比較ホウ素含有化合物C)を収率47%で得た(1.2g、1.3mmol)。この反応は、下記式(26)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl) : δ6.67(d,J=7.6Hz,2H),6.75(d,J=1.2Hz,2H),6.82(d,J=7.2Hz,4H),6.97(dt,J=7.2,1.2Hz,4H),7.09(dt,J=7.2,0.8Hz,2H),7.24−7.40(m,14H),7.74−7.77(m,6H),7.84−7.95(m,10H)
Figure 0006226671
(有機電界発光素子の作製)
実施例1
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO電極層付き透明ガラス基板1を用意した。この時、基板のITO電極2は幅2mmにパターニングされているものを用いた。この基板をアセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄後、イソプロパノール中で5分間煮沸した。この基板をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分行った。
[2]この基板を、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに再度固定した。約1×10−4Paまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタし、第1の金属酸化物層3として、膜厚約2nmの酸化亜鉛層を作成した。この時にメタルマスクを併用して、電極取り出しのためITO電極の一部は酸化亜鉛が成膜されないようにした。
[3]この基板を、再度[1]の洗浄工程(アセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄後、イソプロパノール中で5分間煮沸、その後窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分行う)の後、400℃のホットプレート上で1時間アニールを行った。
[4]次に有機バッファ層4を形成するため、上記合成例3で合成したホウ素含有化合物Aに対して(4−(1、3−ジメチル−2、3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジアミン(N−DMBI)を5質量%混合させ、1、2−ジクロロエタンで溶解させたものを3000rpm、30秒の条件でスピンコートした。
[5]ここまでで作製された薄膜(基板)を、大気下ホットプレート上で125℃、1時間アニールを行った。
[6]次に、[5]の処理を行った基板を真空装置に導入し、1×10−4Pa以下まで減圧した。発光層としてAlqを、正孔輸送層としてα−NPDをそれぞれ順番に35nm、60nm、真空蒸着法により積層した。これら発光層と正孔輸送層とが有機化合物層5となる。
[7]次に、有機化合物層5の上に、第2の金属酸化物層6を形成した。ここでは、酸化モリブデンを10nm、気相製膜法である真空蒸着法により形成した。
[8]次に、最終工程として第2の金属酸化物層6上に陽極7を形成した。ここでは、アルミニウムを100nm、真空蒸着法により製膜した。
[9]下記(有機電界発光素子の発光特性測定)および(有機電界発光素子の寿命特性測定)により有機電界発光素子特性(電圧−電流密度・輝度特性、定電流密度下(100cd/m相当)での連続駆動特性)を測定した。測定結果をそれぞれ図2及び5に示す。
(有機電界発光素子の発光特性測定)
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。トプコン社製の「BM−7」により、発光輝度を測定した。測定は窒素雰囲気下で行った。
(有機電界発光素子の寿命特性測定)
システム技研社製の「有機EL寿命測定装置」により、素子への電圧印加と、相対輝度測定を行った。この装置では素子に一定電流が流れるように電圧を自動的に調整しながら、フォトダイオードによる相対輝度測定が行える。測定開始時の輝度が1000cd/mになるように素子ごとに電流値を設定した。
(比較例1)
実施例1の工程[4]を以下の[4a]に変更した以外は同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様に有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性、及び、定電流密度下(1000cd/m相当)での連続駆動特性を測定した。これらの結果をそれぞれ図3および6に示す。
[4a]次に有機バッファ層4を形成するため、上記比較合成例1で合成した比較ホウ素含有化合物Cに対して(4−(1、3−ジメチル−2、3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジアミン(N−DMBI)を5質量%を混合させ、1、2−ジクロロエタンで溶解させたものを3000rpm、30秒の条件でスピンコートした。
(実施例2)
実施例1の工程[4]を以下の[4b]に変更した以外は同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様に有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性、及び、定電流密度下(1000cd/m相当)での連続駆動特性を測定した。これらの結果をそれぞれ図7および8に示す。
[4b]次に有機バッファ層4を形成するため、上記合成例4で合成したホウ素含有重合体Bに対して(4−(1、3−ジメチル−2、3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジアミン(N−DMBI)を5質量%を混合させ、1、2−ジクロロエタンで溶解させたものを3000rpm、30秒の条件でスピンコートした。
(実施例3)
実施例1の工程[4]を以下の[4c]に変更した以外は同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様に有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性を測定した。この結果を図9に示す。
[4c]次に有機バッファ層4を形成するため、上記合成例4で合成したホウ素含有重合体Bを1、2−ジクロロエタンで溶解させたものを3000rpm、30秒の条件でスピンコートした。
(実施例4)
実施例1の工程[4]、[5]、[6]を以下の[4d]、[5d]、[6d]に変更した以外は同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様に有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性を測定した。この結果を図10に示す。
[4d]次に有機バッファ層4を形成するため、[3]までで得られた基板を真空装置に導入し、1×10−4Pa以下まで減圧する。
[5d]次に、上記合成例3で合成したホウ素含有化合物Aとリチウムキノリノール(Liq)を、リチウムキノリノールがホウ素含有化合物Aに対して5質量%になるように共蒸着した。
[6d]次に、発光層としてAlqを、正孔輸送層としてα−NPDをそれぞれ順番に35nm、60nm真空蒸着法により積層し、有機化合物層5とした。
図2〜図10について結果を説明していく。図2および図3の比較から、ホウ素含有化合物Aは比較例である比較ホウ素含有化合物Dよりも低電圧での発光が確認され良好である。加えて、輝度も高いことがわかる。これらは、ホウ素含有化合物Aの方が電子注入性が高いことに起因していると考えられる(図4)。そのことも電流密度が5V付近から、比較ホウ素含有化合物Dに比べて上昇していることが観察されており、矛盾がない。一方、寿命に関しては、図5および図6の比較から、大きな差がないことがわかる。これらのことから、ホウ素含有化合物Aは、既出の比較ホウ素含有化合物D以上の特性を示すことが明らかとなった。図7および図8について、ホウ素含有重合体Bを用いた場合、低電圧での発光、高輝度、そして既出の材料よりも優れた安定性(長寿命)が実現されていることが明らかとなった。図9について、これは図7および図8の材料をドープすること無しに作製したデバイスである。やや駆動電圧は高いものの、既出のものに比べれば、低電圧での高輝度が実現されていることがわかる。ホウ素含有重合体Bの一つの特徴と言える。図10について、これは、ホウ素含有化合物Aについて、塗布すること無しに蒸着での製膜による特性を示したものである。やや、発光前のリーク電流が大きいものの、塗布と同等程度の低電圧駆動および高輝度が実現できている。
1:基板
2:陰極
3:第1の金属酸化物層
4:有機バッファ層
5:有機化合物層
6:第2の金属酸化物層
7:陽極

Claims (10)

  1. 陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、
    該有機電界発光素子は、下記式(1);
    Figure 0006226671
    (式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q及びQは、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X、Xは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。X、Xは、同一又は異なって、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表す。X、X、X及びXは、それぞれ点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。)で表されるホウ素含有化合物によって形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記Q及びQは、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する複素芳香環化合物由来の1価の基のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記ホウ素含有化合物は、下記式(8);
    Figure 0006226671
    (式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X、X、X及びXは式(1)と同様である。)で表されることを特徴とする請求項2又は3に記載の有機電界発光素子。
  5. 陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、
    該有機電界発光素子は、下記式(2);
    Figure 0006226671
    (式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q21及びQ22は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X21、X22、X23及びX24は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。Aは、同一又は異なって、2価の基を表す。n21を付した括弧内の構造単位は、X21、X22、X23及びX24のいずれか2つで隣の構造単位と結合している。n21、n22は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体によって形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  6. 前記Q21及びQ22は、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すことを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光素子。
  7. 前記ホウ素含有重合体は、下記式(12);
    Figure 0006226671
    (式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X21、X22、X23、X24、A、n21及びn22は、式(2)と同様である。n21を付した括弧内の構造単位の隣の構造単位との結合も式(2)と同様である。)で表される繰り返し単位の構造を有することを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
  8. 基板上に形成された陰極上に無機の酸化物層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置。
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