JP2016174100A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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弘彦 深川
Hirohiko Fukagawa
弘彦 深川
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貴央 清水
森井 克行
Katsuyuki Morii
克行 森井
宗弘 長谷川
Munehiro Hasegawa
宗弘 長谷川
隼 郷田
Hayato Goda
隼 郷田
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Abstract

【課題】発光効率及び駆動寿命(安定性)に優れた逆構造の有機電界発光素子を提供する。【解決手段】陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、下記式(1);[化1]で表されるホウ素含有化合物を用いて形成された層を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子に関する。より詳しくは、電子機器の表示部等の表示装置や照明装置等としての利用可能な有機電界発光素子に関する。
表示用デバイスや照明に適用できる新しい発光素子として有機電界発光素子(有機EL素子)が期待されている。
有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に発光性有機化合物を含んで形成される発光層を含む1種または複数種の層を挟んだ構造を持ち、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子が再結合する時のエネルギーを利用して発光性有機化合物を励起させ、発光を得るものである。有機電界発光素子は電流駆動型の素子であり、流れる電流をより効率的に活用するため、素子構造や、素子を構成する層の材料について種々検討されている。
陰極と陽極との間の層が全て有機化合物で形成された有機電界発光素子は、結果として酸素や水によって劣化しやすく、これらの侵入を防ぐために厳密な封止が不可欠である。このことは、有機電界発光素子の製造工程を煩雑なものとする原因となっている。これに対し、陰極と陽極との間の層の一部が無機酸化物で形成された有機無機ハイブリッド型の電界発光素子(HOILED素子)が提案されている(特許文献1参照。)。この素子では、正孔輸送層、電子輸送層を無機酸化物に変えることで、陰極として導電性酸化物電極であるFTOやITO、陽極として金を使用することが可能になった。このことは素子駆動の観点からは電極に対する制約がなくなったことを意味する。結果、アルカリ金属やアルカリ金属化合物等、仕事関数の小さな金属を用いる必要がなくなり、厳密な封止無しで発光させることが可能となっている。加えてこのHOILED素子は、陰極が基板直上にあることが標準であり、上部電極に陽極がくる逆構造という特徴を有している。酸化物TFTの発展に伴い、大型有機ELディスプレイへの適用が検討される中、n型である酸化物TFTの特徴から逆構造の有機ELが注目されて来ている。
また、有機電界発光素子のより一層の高性能化を目指して材料の開発も盛んに進められている。そのような材料として、不対電子を持ちホウ素と配位結合可能な元素を含み、特定の構造を有する有機ホウ素含有化合物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、窒素がホウ素へ分子内配位した構造を含み、特定の構造を有する構成単位を1〜400個鎖状に結合した構造を有する有機ホウ素系π電子系化合物を電子輸送材料として用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更には、特定の構造を有するホウ素原子含有化合物が開示されている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
特開2009−70954号公報 特許第4600288号公報 国際公開第2006/070817号公報 特開2013−53123号公報 特許第5504454号公報 特許第5553149号公報
上記のように、厳密な封止を必要としない有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子等の逆構造の素子が提案されている。しかしながら、有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子等の逆構造の素子では、陽極からの正孔の注入に比べて陰極からの電子の注入が少なく、陽極から注入される正孔を発光のために充分に活用できていないという課題がある。
ディスプレイ用途においては、逆構造を有する素子は回路上有用であり、その発展が待ち望まれている。また、表示装置や照明装置等の用途への利用の拡大が期待される有機電界発光素子は、製造しやすいことも重要な要素であるため、逆構造の素子の中でも厳密な封止を必要としない有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子への期待は高い。このため、逆構造の有機電界発光素子の発光効率や駆動寿命(安定性)を更に高める方法が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、発光効率及び駆動寿命(安定性)に優れた逆構造の有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明者は、発光効率及び駆動寿命(安定性)に優れた逆構造の有機電界発光素子について種々検討したところ、素子を特定の構造を有するホウ素含有化合物を用いて形成された層を有するものとすると、発光効率及び駆動寿命(安定性)に優れた素子となることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、
該有機電界発光素子は、下記式(1);
Figure 2016174100
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子又は実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表し、該環構造は、同一又は異なって、1つの環から構成される単環構造であってもよく、複数の環から構成される縮環構造であってもよい。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Qは、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。RとRとは、互いに結合して二重線で表される骨格部分と共に環構造を形成していない。nは、1〜4の整数である。nは、0又は1である。nが1の場合、Yは、n価の連結基、又は、直接結合を表し、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合していることを表す。)で表されるホウ素含有化合物を用いて形成された層を有することを特徴とする有機電界発光素子である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<有機電界発光素子>
有機電界発光素子を構成する層には、発光層の他、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層等があり、これらの層が適宜選択されて積層され、有機電界発光素子が構成される。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有するものである限り、積層される層の構成は特に制限されないが、陰極、電子注入層、必要に応じて電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
後述する本発明のバッファ層は国際公開第2013/157451号に記載の電子注入性などの複数の役割を果たす層である。
本発明の有機電界発光素子が後述するバッファ層を有する場合であって、電子輸送層を有さない場合、又は、バッファ層が電子輸送層も兼ねる場合には陰極、電子注入層、バッファ層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子が後述するバッファ層を有し、バッファ層とは別に独立した層として電子輸送層を有する場合には、本発明の有機電界発光素子は、陰極、電子注入層、バッファ層、電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
なお、これらの各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
本発明の有機電界発光素子は、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物を用いて形成された層を有する限り、当該層は上記いずれの層に該当するものであってもよいが、陰極と発光層との間に積層される層であることが好ましい。より好ましくは、バッファ層であることである。バッファ層及び式(1)で表されるホウ素含有化合物については後述する。
本発明の有機電界発光素子において、陽極及び陰極としては、公知の導電性材料を適宜用いることができるが、光取り出しのために少なくともいずれか一方は透明であることが好ましい。公知の透明導電性材料の例としてはITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)などが上げられる。不透明な導電性材料の例としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、錫、インジウム、銅、銀、金、白金やこれらの合金などが挙げられる。
陰極としては、この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
陽極としては、これらの中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記のように、一般に陽極に用いられる金属を陰極及び陽極に用いる事ができる事から、上部電極からの光の取り出しを想定する場合(トップエミッション構造の場合)も容易に実現でき、上記電極を種々選んでそれぞれの電極に用いる事ができる。例えば、下部電極としてAl、上部電極にITOなどである。
上記陰極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200nmである。陰極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
上記陽極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極として使用することができる。
陽極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に酸化物層を有することが好ましい。本発明の有機電界発光素子が陽極と陰極との間に酸化物層を有するもの、すなわち、有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子であると、有機電界発光素子がより連続駆動寿命に優れたものとなる。
より好ましくは、陰極と発光層との間に第1の金属酸化物層を有し、陽極と発光層との間に第2の金属酸化物層を有することである。
なお、金属酸化物層の重要性は、第1の金属酸化物層の方が高く、第2の金属酸化物層は、最低非占有分子軌道の極端に深い有機材料、例えば、HATCNでも置き換える事ができる。
上記第1の金属酸化物層は、陰極の一部又は電子注入層として機能し、第2の金属酸化物層は、陽極の一部又は正孔注入層として機能する層である。
第1の金属酸化物層は、単体の金属酸化物膜の一層からなる層、もしくは、単体又は二種類以上の金属酸化物を積層及び/又は混合した層である半導体もしくは絶縁体積層薄膜の層である。金属酸化物を構成する金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、インジウム、ガリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ケイ素からなる群から選ばれる。これらのうち、積層又は混合金属酸化物層を構成する金属元素の少なくとも一つが、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、チタン、亜鉛からなる層であることが好ましく、その中でも単体の金属酸化物ならば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛からなる群から選ばれる金属酸化物を含むことが好ましい。
上記単体又は二種類以上の金属酸化物を積層及び/又は混合した層の例としては、酸化チタン/酸化亜鉛、酸化チタン/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化ケイ素、酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化カルシウム/酸化アルミニウムなどの金属酸化物の組合せを積層及び/又は混合したものや、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化インジウム/酸化ガリウム/酸化亜鉛などの三種の金属酸化物の組合せを積層及び/又は混合したものなどが挙げられる。これらの中には、特殊な組成として良好な特性を示す酸化物半導体であるIGZOやエレクトライドである12CaOAlも含まれる。
なお、本発明においては、シート抵抗が100Ω/□より低い物は導電体、シート抵抗が100Ω/□より高い物は半導体または絶縁体として分類される。従って、透明電極として知られているITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)等の薄膜は、導電性が高く半導体または絶縁体の範疇に含まれないことから本発明の第1の金属酸化物層を構成する一層に該当しない。
上記第2の金属酸化物層を形成する金属酸化物としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化タングステン(WO)、酸化ルテニウム(RuO)等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とするものが好ましい。第2の金属酸化物層が酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とするものにより構成されると、第2の金属酸化物層が陽極から正孔を注入して発光層又は正孔輸送層へ輸送するという正孔注入層としての機能により優れたものとなる。また、酸化バナジウム又は酸化モリブテンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、陽極から発光層又は正孔輸送層への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止することもできるという利点がある。より好ましくは、酸化バナジウム及び/又は酸化モリブテンから構成されるものである。第2の酸化物層は、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HATCN)や2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(FTCNQ)などの有機アクセプター材料を用いることもできる。
上記第1の金属酸化物層の平均厚さは、1nmから数μm程度まで許容できるが、低電圧で駆動できる有機電界発光素子とする点から、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。
上記第2の金属酸化物層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。
第1の金属酸化物層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
第2の金属酸化物層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子が、金属酸化物層(酸化物層)を有する場合、酸化物層と発光層との間に、有機化合物を含む溶液を塗布して形成されるバッファ層を有することが好ましい。
有機電界発光素子の酸化物層は、後述するようにスプレー熱分解法、ゾルゲル法、スパッタ法等の方法で成膜され、表面は平滑ではなく凹凸を持つ。この酸化物層の上に、真空蒸着等の方法で発光層を成膜した場合、発光層の原料となる成分の種類によっては、酸化物層の表面の凹凸が結晶核となり、酸化物層に接する発光層を形成する材料の結晶化が促進される。このため、有機電界発光素子を完成させたとしても、大きなリーク電流が流れ、発光面が不均一化して、実用に耐える素子が得られない場合がある。
しかし、溶液を塗布してバッファ層を形成すると、表面の平滑な層を形成することができるため、酸化物層と発光層との間に塗布によりバッファ層を形成すると、発光層を形成する材料の結晶化が抑制され、これによって、酸化物層を有する有機電界発光素子が発光層等として結晶化が起こりやすい材料を用いた場合でも、リーク電流の抑制と、均一な面発光を得ることができることになる。
上記式(1)で表されるホウ素含有化合物は、溶剤に対する溶解性が良好であることから、式(1)で表されるホウ素含有化合物は、溶液を塗布して形成されるバッファ層の材料として好適に用いることができる。このように、本発明の有機電界発光素子は、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物によって形成されたバッファ層を有するものであることが好ましい。上記式(1)で表されるホウ素含有化合物を用いて形成された層をバッファ層として有することで、本発明の有機電界発光素子が発光効率や駆動寿命(安定性)により優れたものとなる。
上記バッファ層は、平均厚さが5〜100nmであることが好ましい。平均厚さがこのような範囲であることで、発光層の結晶化を抑制する効果を充分に発揮することができる。バッファ層の平均厚さが5nmより薄いと、酸化物表面に存在する凹凸を十分に平滑化できず、リーク電流が大きくなってバッファ層を形成することの効果を充分に発揮することができなかったり、極薄膜ゆえ再現性に問題を抱えるおそれがある。また、バッファ層の平均厚さが100nmより厚いと、駆動電圧が上昇し実用上好ましくない。また、式(1)で表されるホウ素含有化合物を用いてバッファ層を形成した場合には、バッファ層は電子輸送層としての機能も充分に発揮することができる。上記バッファ層の平均厚さは、より好ましくは、10〜60nmである。また、本発明の有機電界発光素子の連続駆動寿命の点も考えると、上記バッファ層の平均厚さは、10〜30nmであることが更に好ましい。
バッファ層の平均厚さは触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、発光層を形成する材料としては、特に限定されず、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
なお、本発明において低分子化合物とは、高分子化合物(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
上記発光層を形成する高分子化合物としては、例えば、ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;更には特開2011−184430号公報、特開2012−151148号公報に記載のホウ素化合物系高分子材料等が挙げられる。
上記発光層を形成する低分子化合物としては、りん光発光材料のホスト材料としてビス[2−(o−ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール]亜鉛(II)(ZnBTZ)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ピリジン]ベリリウム(Bepp)などのホストとして機能する金属錯体、りん光発光するゲストとして機能するトリス[3−メチル−2−フェニルピリジン]イリジウム(III)(Ir(mpy))などの金属錯体の他、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン 亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン プラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)のようなベンゼン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)、4、4’−ビス(9−エチルー3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)のようなカルバゾール系化合物、ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物、クマリンのようなクマリン系化合物、ペリノンのようなペリノン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、さらには特開2009−155325号公報および特願2010−28273号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。
発光層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
上記正孔輸送層の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
またこれらの化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
上記p型の低分子材料としては、1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサンのようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、TPTEのようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)のようなフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾールのようなカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベンのようなスチルベン系化合物、OxZのようなオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、m−MTDATAのようなトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンのようなピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロールのようなピロール系化合物、フルオレンのようなフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリンのようなポルフィリン系化合物、キナクリドンのようなキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニンのような金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジンのようなベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、α−NPD、TPTEのようなアリールアミン系化合物が好ましい。
本発明の有機電界発光素子が独立した層として正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。
正孔輸送層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
上記電子輸送層の材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
電子輸送層の材料として用いることができる低分子化合物の例としては、式(1)で表されるホウ素含有化合物の他、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、Alqのような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体が好ましい。
本発明の有機電界発光素子が独立した層として電子輸送層を有する場合、電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。
電子輸送層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、酸化物層、陰極、陽極、発光層、正孔輸送層、電子輸送層を形成する方法は特に制限されず、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができ、材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。
これらの方法は各層の材料の特性に応じて選択するのが好ましく、層ごとに作成方法が異なっていても良い。第2の金属酸化物層は、これらの中でも、気相製膜法を用いて形成するのがより好ましい。気相製膜法によれば、有機化合物層の表面を壊すことなく清浄にかつ陽極と接触よく形成することができ、その結果、上述したような第2の金属酸化物層を有することによる効果がより顕著なものとなる。
本発明の有機電界発光素子において、上述したバッファ層は、有機化合物を含む溶液を塗布することで形成される層であることが好ましい。塗布により所定の厚みのバッファ層を形成することでバッファ層上に成膜する層を形成する材料の結晶化を効果的に抑制することが可能となる。
上記有機化合物を含む溶液を塗布する方法は特に制限されず、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、バーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法を用いることができる。このうち、膜厚をより制御しやすいという点でスピンコート法やスリットコート法が好ましい。
バッファ層を塗布成膜することで、酸化物層表面に存在する凹凸が平滑化されるため、次にバッファ層上に成膜する層を形成する材料の結晶化が抑制される。
上記有機化合物を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、THF、トルエン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、シクロペンタノンが好ましい。
上記有機化合物を含む溶液は、溶媒中の有機化合物の濃度が0.05〜10質量%であることが好ましい。このような濃度であると、塗布した時の塗りムラや凹凸の発生を抑えることができる。溶媒中の有機化合物の濃度はより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
本発明の有機電界発光素子は、基板がある側とは反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよく、基板がある側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
本発明の有機電界発光素子に用いられる基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
上記基板の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10mmである。
基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子においては、上述のとおり、式(1)で表されるホウ素含有化合物でバッファ層が形成されていることが好ましいが、その他のバッファ層を形成することができる有機化合物としては、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレンのようなポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記バッファ層は、還元剤を含むものであってもよい。還元剤はn−ドーパントとして働くため、バッファ層が還元剤を含むことで陰極から発光層への電子の供給が充分に行われるため、発光の効率が向上する。
上記バッファ層が含む還元剤は、電子供与性の化合物であれば特に制限されないが、1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1,3−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、1,3,5−トリメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール化合物;ロイコクリスタルバイオレット(=トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン)、ロイコマラカイトグリーン(=ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン)、トリフェニルメタン等のトリフェニルメタン化合物;2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)等のジヒドロピリジン化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。この中でも、2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物や、ジヒドロピリジン化合物が好ましい。より好ましくは、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、または2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)である。
上記バッファ層が含む還元剤の量は、バッファ層を形成する有機化合物100質量%に対して、0.1〜15質量%であることが好ましい。還元剤をこのような割合で含むと、有機電界発光素子の発光効率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、バッファ層を形成する有機化合物100質量%に対して、0.5〜10質量%であり、更に好ましくは、0.5〜5質量%である。
<ホウ素含有化合物>
次に、式(1)で表されるホウ素含有化合物について記載する。
上記式(1)で表されるホウ素含有化合物は、ホウ素原子に対して窒素原子が配位した構造であることに加え、上記式(1)で表される剛直な環構造を有することにより、高い安定性を有する化合物である。また、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物は、各種溶剤への溶解性が良好であり、塗布等により良好な塗膜を容易に形成することができるものである。更に、本発明のホウ素含有化合物は、ホウ素上の置換基が特定の環構造であるため、LUMOのエネルギー準位が低くなり、有機EL素子としての性能に優れると考えられる。
先ず、上記式(1)におけるY以外の構造部分について説明する。
上記式(1)において、点線の円弧は、ホウ素原子又は実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表している。該実線で表される骨格部分は、該実線に沿って点線が併記されている部分である。該環構造は2つあり、該環構造のそれぞれを、本明細書中、Rが結合している環、Rが結合している環と呼ぶ。
上記式(1)において、実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記式(1)において、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。ここで、配位しているとは、窒素原子がホウ素原子に対して配位子と同様に作用して化学的に影響していることを意味する。
上記式(1)において、Qは、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しているものであって、置換基を有していてもよい。これは、Qが、該環構造の一部として組み込まれていることを表している。
上記式(1)におけるQとしては、下記一般式(2−1)〜(2−8);
Figure 2016174100
で表される構造が挙げられる。なお、一般式(2−2)は、実線で結ばれる一対の炭素原子(C−C)に水素原子が2つ結合し、更に3つの原子が結合する構造であるが、当該水素原子以外の、該一対の炭素原子に結合する3つの原子は、いずれも水素原子以外の原子である。上記一般式(2−1)〜(2−8)の中でも、式(2−1)、式(2−7)、式(2−8)のいずれかが好ましい。より好ましくは、式(2−1)である。すなわち、Qが、炭素数1の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記式(1)において、Rが結合している環は、芳香族性を有しない環であってもよいが、芳香環であることが好ましい。また、Rが結合している環は、1つの環から構成される単環構造であってもよいが、複数の環から構成される縮環構造であることが好ましく、例えば後述する式(5)で表されるホウ素含有化合物のように、少なくとも3つの環から構成される縮環構造であることがより好ましい。更に、Rが結合している環は、環内にホウ素原子以外のヘテロ元素を有していてもよく、有していなくてもよい。
上記式(1)において、Rが結合している環は、芳香族性を有しない含窒素複素環であってもよいが、本発明のホウ素含有化合物を安定化し、有機電界発光素子材料として優れた性能を発現する観点から、含窒素芳香族複素環であることが好ましい。該含窒素芳香族複素環としては、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、下記一般式(3−1)〜(3−17)で表される。なお、下記式(3−1)〜(3−17)中の*印は、Rと結合する炭素原子が、*印の付された炭素原子のいずれか1つと結合することを表している。また、式(3−1)〜(3−17)で表される環は、*印の付された炭素原子を除く位置で他の環構造と縮環していてもよい。これらの中でも、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、フェナントリジン環のように6員環を含む含窒素複素芳香族環が好ましい。Rが結合している環は、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又は、キノリン環であることがより好ましく、ピリジン環であることが更に好ましい。
Figure 2016174100
上記式(1)において、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。R、Rにおける環構造の置換基となる1価の置換基、R、Rにおける1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、置換基を有していてもよいアリール基、芳香族複素環由来の1価の基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シリル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、エポキシ基、アシル基、置換基を有していてもよいオリゴアリール基、1価のオリゴ複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アゾ基、スタニル基、置換基を有していてもよいアリールホスフィノ基、置換基を有していてもよいアルキルホスフィノ基、アリールホスフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルホスフィニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基;アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基;メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等のアルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等のアリールスルホニルオキシ基;ベンジルスルホネート基等のアリールアルキルスルホニルオキシ基、ボリル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、アリールスルホネート基、アルデヒド基、アセトニトリル基等が挙げられる。
上記式(1)において、RとRとは、互いに結合して二重線で表される骨格部分と共に環構造を形成していない。該環構造は、その骨格部分に配位結合を有するものを含む。
上記のものの中でも、R、R、R、Rとしては、水素原子;ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;アリール基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリール基;オリゴアリール基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、オリゴアリール基;1価の複素環基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、1価のオリゴ複素環基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アリールアルキル基;アリールアルコキシ基;アリールアルキルチオ基;アルケニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルケニル基;アルキニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルキニル基;アルキルアミノ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールアミノ基;アリールホスフィノ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールホスフィノ基;アリールホスフィニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールホスフィニル基;アリールスルホニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールスルホニル基のいずれかが好ましい。
としては、上記式(1)において二重線で表される骨格部分の炭素原子に直接結合する原子が酸素原子以外の原子であることが更に好ましい。
、R、R、Rとしては、特に好ましくは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シリル基;アルキルアミノ基;アリールアミノ基;ボリル基;スタニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;アリール基;オリゴアリール基;1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基;アリールホスフィニル基;アリールスルホニル基のいずれかである。
上記R、R、R、Rにおける2価の基としては、例えば、上述した1価の置換基から水素原子が1つ脱離したものを使用できる。
、Rは、同一又は異なって、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。また、上記1価の置換基の環構造に対する結合位置は、特に制限されない。
上記式(1)において、R、R、及び、Rの少なくとも1つが、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表すことが好ましい。R、R、Rとして電子輸送性の置換基を有することで、本発明のホウ素含有化合物は、電子輸送性に優れた材料となる。中でも、Rが電子輸送性の置換基を有することがより好ましい。
上記電子輸送性の1価の置換基は、芳香環を有することが好ましい。例えば、Rが、芳香環を有する1価の置換基を表すことが好ましい。芳香環を有する1価の置換基としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来の1価の基;一つ以上の電子求引性置換基を有するベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の1価の基;ジベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、ジアリールホスフィンオキシド基、シロール環等が挙げられる。
なお、上記電子求引性置換基としては、−CN、−COR、−COOR、−CHO、−CF、−SOPh、−PO(Ph)等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
上記電子輸送性の1価の置換基は、中でも、環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有複素環由来の1価の基、環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族複素環由来の1価の基のように、芳香族複素環を有することが好ましい。
これらの中でも、電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有芳香族複素環を有することがより好ましい。該環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有芳香族複素環は、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環であることが好ましく、ピリジン環であることがより好ましい。
本発明のホウ素含有化合物の電子移動度を高める観点からは、上記式(1)において、Rが結合している環は、含窒素芳香族複素環であり、Rが、芳香環を有する1価の置換基を表すことが特に好ましい。中でも、Rが結合している環は、ピリジン環であり、Rが、ベンゼン環を表すことが最も好ましい。
上記R、R、R及びRにおける置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;アゾ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜40のアルキル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基等のアリールアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、フェニルエチニル基等の炭素数2〜20のアルキニル基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロフェニル基等のパーフルオロ基及び更に長鎖のパーフルオロ基;ジフェニルボリル基、ジメシチルボリル基、ビス(パーフルオロフェニル)ボリル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル基等のボリル基;アセチル基、ベンゾイル基等のカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基等のスルホニル基;アルキルスルホニルオキシ基;アリールスルホニルオキシ基;ホスフィノ基;ジエチルホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル基等のホスフィニル基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基等のシリル基;シリルオキシ基;スタニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよい、フェニル基、2,6−キシリル基、メシチル基、デュリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、トルイル基、アニシル基、フルオロフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、フェナンスレニル基等のアリール基(置換されていてもよい芳香族炭化水素環基);ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよい、チエニル基、フリル基、シラシクロペンタジエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、キノリル基、キノキサロイル基、フェナンスロリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリミジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基(置換されていてもよい芳香族複素環基);カルボキシル基;カルボン酸エステル基;エポキシ基;イソシアノ基;シアネート基;イソシアネート基;チオシアネート基;イソチオシアネート基;カルバモイル基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ホルミル基;ニトロソ基;ホルミルオキシ基;等が挙げられる。
中でも、上記R、R、Rにおける置換基が、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。
例えば、上記式(1)におけるR、R及びRの少なくとも1つが、上記芳香族複素環を構成する炭素原子の1つに更に芳香環が結合したものであることが好ましい。該芳香族複素環を構成する炭素原子の1つに更に結合した芳香環としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。該芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオレニル基が好ましい。該芳香族複素環基としては、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基、ピリミジル基、チアゾール基、イミダゾール基が好ましい。具体的には、R、R及びRの少なくとも1つが、ビピリジンであることは電子注入性向上の観点から好適な一例である。
なお、上述した置換基は、ハロゲン原子やアルキル基、アリール基等で更に置換されていてもよく、例えば炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基で置換されていることが好ましい。更に、これらの置換基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
以下では、上記式(1)におけるY、n、nについて説明する。
上記nは、1〜4の整数である。nは、0又は1である。nが1の場合、Yは、n価の連結基、又は、直接結合を表し、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合していることを表す。
上記式(1)において、nが1である場合、nは0であり、上記式(1)におけるY以外の構造部分のみからなる化合物となる。
本発明のホウ素含有化合物の熱安定性を向上する観点からは、上記式(1)において、nは、2〜4の整数であり、nは、1であることが好ましい。
上記式(1)において、nが2である場合、上記式(1)におけるY以外の構造部分が2つ存在することになる。ここで、Yが2価の連結基である場合、2つ存在するY以外の構造部分が2価の連結基であるYを介して結合することになる。Yが直接結合である場合、2つ存在するY以外の構造部分が直接結合することになる。
上記式(1)で表される化合物において、nが3以上である場合、Yはn価の連結基であり、上記式(1)におけるY以外の構造部分がn個存在し、それらが連結基であるYを介して結合することとなる。
なお、Yがn価の連結基である場合、Yはn個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合しているが、これは、Y以外の構造部分のYとの結合部位は、n個存在するY以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n個存在するY以外の構造部分の全てが、R、R、又は、Rで結合していることが好ましい。
また、n個存在するY以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
上記式(1)におけるYが、n価の連結基である場合、該連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ元素を含む基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられる。これらの中でも、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。すなわち、上記式(1)におけるYは、芳香環を有するn価の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
更に、Yは、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基としては、下記式(4−1)〜(4−8)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(4−1)、(4−7)がより好ましい。
上記へテロ元素を含む基としては、下記一般式(4−9)〜(4−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(4−12)、(4−13)がより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基としては、下記一般式(4−14)〜(4−20)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(4−14)、(4−19)、(4−20)がより好ましい。
上記芳香族複素環基としては、下記一般式(4−21)〜(4−33)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(4−24)、(4−32)がより好ましい。
Figure 2016174100
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有する置換基としては、上述した式(1)において、上記R、R及びRが有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Yにおける鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基である。
上記Yにおける鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
上述したように、上記式(1)において、Rが結合している環は、少なくとも3つの環から構成される縮環構造であることがより好ましい。すなわち、本発明のホウ素含有化合物が、下記式(5);
Figure 2016174100
(式中、点線の円弧は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。Qは、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。R11及びR12は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。nが1の場合、Yは、n価の連結基、又は、直接結合を表し、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R11、R12、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合していることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q、R、R、R、n、及び、nは式(1)と同様である。)で表されることがより好ましい。
上記式(5)において、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表している。該実線で表される骨格部分は、該実線に沿って点線が併記されている部分である。該環構造は3つあり、該環構造のそれぞれを、本明細書中、R11が結合している環、R12が結合している環、Rが結合している環と呼ぶ。
上記式(5)において、実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記式(5)において、R11、R12が結合している環は、芳香族性を有しない環であってもよいが、本発明のホウ素含有化合物を安定化する観点から、芳香族炭化水素環、芳香族複素環等の芳香環であることが好ましい。該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記式(6−1)〜(6−32)で表される。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環である。
Figure 2016174100
上記式(5)において、Rが結合している環は、上述した式(1)のRが結合している環と同様である。
上記式(5)において、R11及びR12は、それぞれ、上述した式(1)のRと同様である。
上記式(5)において、Qは、上述した式(1)のQと同様である。例えば、上記Q及びQの少なくとも一方が、炭素数1の連結基を表すことが好ましい。
なお、上記式(5)において、Yがn価の連結基である場合、Yはn個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R11、R12、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合しているが、これは、Y以外の構造部分のYとの結合部位は、n個存在するY以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n個存在するY以外の構造部分の全てが、R、R、又は、Rで結合していることが好ましい。
また、n個存在するY以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
本発明のホウ素含有化合物が、下記式(7−1)〜(7−3);
Figure 2016174100
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、Q、R11、R12、R、R、R、及び、Yは式(5)と同様である。)のいずれかで表されるホウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。これにより、熱安定性が向上する。中でも、本発明のホウ素含有化合物が、上記式(7−2)で表されることがより好ましい。
本発明のホウ素含有化合物は、例えば、特許第5553149号公報に記載の方法に基づいて製造することができる。すなわち、下記反応式で示されるように、式(I)で表されるアルキン化合物を出発物質とし、これをハロゲン化ホウ素化合物BXと反応させて式(II)で表されるアルケン化合物を得、更に、これを式(i)又は式(ia)で表されるマグネシウム元素含有化合物と反応させて、式(III)又は式(IIIa)で表される化合物を製造する。なお、この環化する反応は、特願2013−202578号に記載の方法と同様の方法を用いている。この式(III)又は式(IIIa)で表される化合物が有するハロゲン原子Xを、t−BuLi等のリチオ化剤でハロゲン−リチウム交換を行い、求電子剤と反応させることにより水素原子や1価の置換基に置換したり、特許第5553149号公報に記載されるように水素原子又は1価の置換基に置換したりて、式(1)又は式(5)で表される本発明のホウ素含有化合物を得ることができる。また、下記反応式中、Xは、同一又は異なって、ヨウ素原子、臭素原子、又は、塩素原子を表す。点線の円弧は、式(i)で表されるマグネシウム元素含有化合物以外の化合物では、上述した式(1)と同様であり、式(i)で表されるマグネシウム元素含有化合物では、式(III)で表される化合物のホウ素原子と共に環構造を形成している点線の円弧の構造部位と対応しており、該構造部位と結合している末端の2つのMgXが、互いに結合して環構造を形成しておらず、式(III)で表される化合物のホウ素原子と入れ替わるものである。また、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q、R、R、R、R、Y、n、及び、nは、上述した式(1)と同様である。Q、R11、R12は、上述した式(5)と同様である。
Figure 2016174100
Figure 2016174100
また本発明のホウ素含有化合物は、上述した式(III)又は式(IIIa)で表される化合物であって、単量体(nが1、nが0である単量体)であるものを二量体化して得ることも可能である。例えば、本発明のホウ素含有化合物は、下記反応式により得ることができる。
Figure 2016174100
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に電圧(通常は15ボルト以下)を印加することによって発光させることができる。通常は直流電圧を印加するが、交流成分が含まれていても良い。
本発明の有機電界発光素子は、発光効率、駆動寿命(安定性)及び輝度に優れたものである。また、有機化合物層の材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。このため、表示装置や照明装置の材料として好適に用いることができるものである。
このような、本発明の有機電界発光素子を用いて形成される表示装置もまた、本発明の1つである。更に本発明の有機電界発光素子を用いて形成される照明装置もまた、本発明の1つである。
本発明の有機電界発光素子は、上述の構成よりなり、ディスプレイ用途において回路上有用な逆構造を有し、かつ、発光効率、駆動寿命(安定性)及び輝度に優れた有機電界発光素子である。また、素子を構成する層の一部を無機酸化物で形成された有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子とすることで全ての層が有機化合物で形成された素子に比べて厳密な封止が求められなくなるため、製造のしやすい素子となる。
有機無機ハイブリッド型有機電界発光素子の素子構造を示した図である。 ホウ素化合物AおよびBをバッファ層とする有機無機ハイブリッド型有機電界発光素子の電圧−電流密度・輝度特性を示した図である。 ホウ素化合物AおよびBをバッファ層とする有機無機ハイブリッド型有機電界発光素子の寿命特性を示した図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
合成例において合成した化合物についてのH−NMR測定は、以下のように行った。
H−NMR測定)
試料をテトラメチルシランを含有する重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(Varian600MHz)により測定した。
1.ホウ素含有化合物の合成
合成例1(ホウ素含有化合物Aの合成)
3つ口フラスコにマグネシウム(1.23g,50.5mmol)を入れ反応容器内を窒素雰囲気下にした後、ジエチルエーテル(50mL)を入れ、ヨウ素を一かけら投入し、着色がなくなるまで撹拌した。これに2,2’−ジブロモビフェニル(7.5g,24mmol)を加え、室温で10時間、50℃で1時間撹拌しグリニャール(Grignard)試薬を調整した。この反応溶液にトルエン(204mL)を入れ、−78℃に冷却後、ホウ素含有化合物1(8.8g,20.4mmol)を加えた。室温まで昇温し、終夜撹拌した。水で反応を停止させ、2N塩酸を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、粗生成物を得た。この粗生成物をトルエンから再結晶することにより、目的のホウ素含有化合物2を2.72g(6.4mmol,収率32%)得た。この反応は、下記式のように表される。
H−NMR(600MHz,CDCl):δ=8.02(t,J=7.9Hz,1H), 7.95(td,J=1.0,8.2Hz,1H),7.73−7.69(m,3H),7.44−7.34(m,2H),7.31−7.23(m,2H),7.15−7.11(m,3H),7.08(ddd,J=1.3,5.8,7.3Hz,1H),7.06−7.02(m,4H).
Figure 2016174100
100mL2つ口フラスコにホウ素含有化合物2(2.72g,6.4mmol)、1,4−フェニレンジボロン酸(480mg,2.9mmol)、Pd(PtBu(160mg,0.32mmol)を入れ、窒素雰囲気下にした後、THF(32mL)を入れて溶解させた。この反応溶液にリン酸三カリウム(2.50g,11.8mmol)の水溶液(6mL)を加え、還流させながら2日間撹拌した。室温まで放冷し、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、得られる残差にトルエンを加えて濾過して白色固体Aを得た。濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して白色固体Bを得た。白色固体Aと白色固体Bを合わせてトルエンから再結晶し、ホウ素含有化合物Aを590mg(0.78mmol,収率27%)得た。この反応は、下記式のように表される。
H−NMR(600MHz,CDCl):δ=7.87(ddd,J=1.5,7.2,8.4Hz,2H),7.81−7.71(m,6H),7.58−7.47(m,6H),7.30(t,J=7.5Hz,4H),7.14(d,J=6.7Hz,4H),7.09−6.93(m,16H).
Figure 2016174100
合成例2(ホウ素含有化合物Bの合成)
100mL二口ナスフラスコに、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ブロモピリジン(2.6g、6.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−9,9’−スピロフルオレン(1.5g、2.7mmol)、Pd(PtBu(170mg、0.32mmol)を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気下にし、THF(65mL)を加え、攪拌した。
これに、2M リン酸三カリウム水溶液(11mL、22mmol)を加え、70℃で還流させながら加熱攪拌した。12時間後、室温まで冷却し、反応溶液を分液ロートに移して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した濾液を濃縮して、得られた固体をメタノールで洗浄し、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(ホウ素含有化合物B)を収率47%で得た(1.2g、1.3mmol)。この反応は、下記式のように表される。
H−NMR(CDCl):δ6.67(d,J=7.6Hz,2H),6.75(d,J=1.2Hz,2H),6.82(d,J=7.2Hz,4H),6.97(dt,J=7.2,1.2Hz,4H),7.09(dt,J=7.2,0.8Hz,2H),7.24−7.40(m,14H),7.74−7.77(m,6H),7.84−7.95(m,10H)
Figure 2016174100
合成例3(ホウ素含有化合物Cの合成)
100mL2つ口フラスコに2−[2−(ジベンゾボロリル)フェニル]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)ピリジン(1.0g,2.3mmol)、1,4−ジブロモベンゼン(240mg,1.0mmol)、Pd(PtBu(26mg,0.05mmol)を入れ、窒素雰囲気下にした後、THF(14.7mL)を入れて溶解させた。この反応溶液にリン酸三カリウム(875mg,4.1mmol)の水溶液(4.9mL)を加え、還流させながら終夜加熱撹拌した。室温まで放冷し、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、得られる残差にトルエンを加えて濾過してホウ素含有化合物Cを310mg(0.44mmol,収率44%)得た。この反応は、下記式のように表される。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ6.85(d,J=7.2Hz、2H),6.98(t,J=7.2,7.0Hz),7.23−7.27(m,2H),7.31−7.39(m,5H),7.75(d,J=7.2Hz),7.95−7.97(m,2H),8.10−8.16(m,2H).
Figure 2016174100
2.発光素子の製造
(実施例1)
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO付き透明ガラス基板を用意した。
[2]この基板をイソプロパノール、アセトンで洗浄後、UVオゾン洗浄を20分間行った。
[3]このITO電極上に、亜鉛金属をターゲットとし、反応ガスとして酸素をキャリアガスとしてアルゴンを用いたスパッタ法により、平均厚さ10nmの酸化亜鉛(ZnO)層(金属酸化物層)を形成した。その後、イソプロパノール、アセトンで洗浄を行った。さらに、本基板を大気下でホットプレートにより400℃で1時間アニールを行った。
[4]ホウ素含有化合物Aの0.5%、N−DMBIの0.015%の1,2−ジクロロエタン混合溶液を作製した。工程[3]で作製した金属酸化物層上にスピンコートによりホウ素含有化合物Aからなる有機バッファ層を形成した。有機バッファ層の平均厚さは15nmであった。
[5][4]で得られた基板にトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)をそれぞれ真空蒸着する。真空蒸着装置内を約1×10−4Paまで減圧し、Alqを35nm蒸着し、発光層を製膜した。次に、α−NPDを60nm蒸着し、正孔輸送層を製膜した。
[6]続けて、正孔注入性金属酸化物層および陽極の作製を行う。有機化合物層の上に酸化モリブテン(MoO3)層(正孔注入性金属酸化物層)を平均厚さ10nmで蒸着し、平均厚さ100nmでアルミニウム(Al)(陽極)を蒸着し、図1に示すような有機電界発光素子(有機無機ハイブリッドLED)を作製した。
(比較例1)
実施例1の[4]を以下の[4a]に置き換えた以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子(有機無機ハイブリッドLED)を作製した。
[4a]ホウ素含有化合物Bの0.5%、N−DMBIの0.015%の1,2−ジクロロエタン混合溶液を作製した。工程[3]で作製した金属酸化物層上にスピンコートによりホウ素含有化合物Bからなる有機バッファ層を形成した。有機バッファ層の平均厚さは15nmであった。
3.有機電界発光素子の発光特性測定
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。コニカミノルタ社製の「LS−100」により、発光輝度を測定した。また、目視により発光面の均一性を確認した。実施例1および比較例1で作製した有機電界発光素子に、窒素雰囲気下で0V〜12Vまでの直流電圧を印加した時の電圧−電流効率特性を図2に示した。
4.有機電界発光素子の寿命特性測定
システム技研社製の「有機EL寿命測定装置」により、相対輝度測定を行った。この装置では素子に一定電流が流れるように電圧を自動的に調整しながら、フォトダイオードによる相対輝度測定が行える。測定開始時の輝度が1000cd/mになるように素子ごとに電流値を設定した。実施例1および比較例1の素子について、初期から相対輝度が80%になるまでの変化を図3に示した。
図2より、実施例1で作製した素子は比較例1で作製した素子に比べ低電圧から発光が見られ、高輝度を実現していることがわかる。また、6〜8Vにおいて、輝度上昇の程度が実施例1の素子の方が比較例1の素子に比べ大きいこともわかる。このことの一つの要因として、移動度の向上が考えられる。また図3より、最適化していない素子のため実数は小さいものの、相対比較において、連続駆動の寿命においても実施例1の素子が優れていることがわかる。これらのことから、本発明のホウ素化合物は、従来のホウ素含有化合物よりも有機バッファ層として適していることがわかる。なお、ホウ素化合物Cは前記塗布製膜可能な溶媒に製膜可能な濃度の溶解が困難であったことから、塗布による素子作製には至らなかった。
1:有機無機ハイブリッドLED
2:基板
3:陰極
4:有機化合物層
5:陽極
6:第1の金属酸化物層
7:第2の金属酸化物層
8:バッファ層

Claims (7)

  1. 陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、
    該有機電界発光素子は、下記式(1);
    Figure 2016174100
    (式中、点線の円弧は、ホウ素原子又は実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表し、該環構造は、同一又は異なって、1つの環から構成される単環構造であってもよく、複数の環から構成される縮環構造であってもよい。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Qは、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。RとRとは、互いに結合して二重線で表される骨格部分と共に環構造を形成していない。nは、1〜4の整数である。nは、0又は1である。nが1の場合、Yは、n価の連結基、又は、直接結合を表し、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合していることを表す。)で表されるホウ素含有化合物を用いて形成された層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記ホウ素含有化合物は、下記式(5);
    Figure 2016174100
    (式中、点線の円弧は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。Qは、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。R11及びR12は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。nが1の場合、Yは、n価の連結基、又は、直接結合を表し、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、R11、R12、R、R、又は、Rのいずれか1箇所で結合していることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q、R、R、R、n、及び、nは式(1)と同様である。)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記Q及びQの少なくとも一方は、炭素数1の連結基を表すことを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記nは、2〜4の整数であり、前記nは、1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  5. 前記Yは、芳香環を有するn価の連結基を表すことを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記Rは、芳香環を有する1価の置換基を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  7. 前記有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に酸化物層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113646357A (zh) * 2019-03-29 2021-11-12 住友化学株式会社 发光元件和发光元件用组合物

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