JP6475909B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電界発光素子、照明装置およびその製造方法に関するものである。
少なくとも一層の発光性有機化合物層(有機エレクトロルミネッセンス層)が、陰極と陽極とに挟まれた構造の有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」と称する。)は、無機EL素子に比べて印加電圧を大幅に低下させることができ、多彩な発光色の素子が作製可能である(例えば、非特許文献1〜3、特許文献1〜3参照)。現在、より高性能な有機EL素子を得るため、材料の開発・改良をはじめ、様々なデバイス構造が提案されており、活発な研究が行われている。特に、有機EL素子の特徴をいかしたフレキシブル有機EL素子はその代表格といえる。そのフレキシブル有機EL素子の最大の課題が長寿命化と低コスト化の両立である。低コスト化の有力技術の一つとして有機無機ハイブリッドLED(例えば、非特許文献4、特許文献4参照)があげられる。この素子では、正孔輸送層、電子輸送層を無機酸化物に変えることで、陰極として導電性酸化物電極であるFTOやITO、陽極として金を使用することが可能になった。このことは素子駆動の観点からは電極に対する制約がなくなったことを意味する。結果、アルカリ金属やアルカリ金属化合物等、仕事関数の小さな金属を用いる必要がなくなり、厳密な封止無しで発光させることが可能となっている。加えてこの有機無機ハイブリッドLEDは、陰極が基板直上にあることが標準であり、上部電極に陽極がくる逆構造という特徴を有している。酸化物TFTの発展に伴い、大型有機ELディスプレイへの適用が検討される中、n型である酸化物TFTの特徴から逆構造の有機ELが注目されて来ている。本有機無機ハイブリッドLEDは逆構造有機EL素子の候補として発展が期待されている。この有機無機ハイブリッドLEDでは、前述のように大気安定な材料が電極として用いられることから、電荷注入、特に、電子注入が課題となっていた。
特開平10−153967号公報 特開平10−12377号公報 特開平11−40358号公報 特開2007−53286号公報
Appl.Phys.Lett. 51(12),913,1987 Appl.Phys.Lett. 71(1),34,1997 Nature 357,477,1992 Appl.Phys.Lett. 89,183510,2006
以上のような状況のため、ここでは、有機無機ハイブリッドLEDにおいて、高効率かつ長寿命を提供することを課題とする。そのためには、如何にして効率のよい電子注入を実現するかが、一つの技術的課題である。
上記課題解決は、下記の本発明により達成される。
(1)複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、基板上に陰極を有し、その直上に反応活性点を有する金属酸化物層を有し、該金属酸化物層上に有機化合物によって形成されるバッファ層を有することを特徴とする有機電界発光素子により達成される。ここでいう金属酸化物層が有する反応活性点とは、上部に用意される有機物と反応が可能な化学構造をさし、ここでは、陰極上に形成された金属酸化物上に関してであるため、還元が可能な化学構造をさす。例えば、固体触媒で言われる塩基点もその一つである。
(2)上記有機電界発光素子は、複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子において、反応活性点を有する金属酸化物層が、酸素量が化学量論比から欠損し、かつ該金属と酸素以外の元素を有しないことにより形成されていることを特徴とする有機電界発光素子であることが好ましい。反応活性点の一つとして、酸素原子量が化学量論比から欠損した構造が考えられる。このような構造が有する、より安定な酸化数に戻るために還元される作用を反応活性点として利用することが考えられる。この際、当該金属酸化物層内に他の有機物が存在すると、その効果が失われるため、他の有機物が存在しない環境が好適な条件の一つとしてあげられる。
(3)上記有機電界発光素子は、反応活性点を有する金属酸化物層が大気に暴露されることなく製膜され、素子形成完了まで大気に暴露されることがないことを特徴とする有機電界発光素子であることが好ましい。反応活性点を有する金属酸化物層の形成方法の一つとして、大気に(水に、酸素に)触れさせることなしに、つまり、不十分な酸素量下での、金属酸化物層作製とその後の有機バッファ層作製があげられる。これにより、酸素および水による反応活性点の不活性化が防げ、反応活性点が有機バッファ層に有効に用いられる。これにより、良好な電子注入を達成し、高効率を実現できる。
(4)上記有機電界発光素子は、反応活性点を有する金属酸化物層が大気に暴露されることなく不活性雰囲気下での加熱処理により反応活性点を調整し、素子形成されたことを特徴とする有機電界発光素子であることが好ましい。金属酸化物層上もしくは内の反応活性点による有機バッファ層の化学的相互作用の一つは還元であり、このことを有機薄膜電子デバイスに換言するならば、電子ドーピングととらえることができる。過剰な電子ドーピングは、特性、特に駆動寿命を短くすることにつながることは、これまでの有機薄膜電子デバイスの研究から明らかである。このことに対して、電子ドーピングの程度が、当該金属酸化物層の加熱処理による構造変化などの化学環境変化と対応することを見出した。これにより、適宜、上部有機バッファ層の特性にあわせて、反応活性点量を調整し、高効率かつ長寿命を実現できる。
(5)上記有機電界発光素子は、反応活性点を有する金属酸化物層が、真空準位から3.5eV以下に不純物準位を有することを特徴とする有機電界発光素子であることが好ましい。多くの有機発光材料の最低空軌道準位(LUMO)が真空準位から3.0eV以下に存在するため、高効率な有機電界発光素子が得られる。
(6)これらの有機電界発光素子を備える照明装置が得られる。これにより、低コストかつ長寿命で優れた発光効率を発現できる表示装置が得られる。
(7)これらの有機電界発光素子を備える照明装置が得られる。これにより、低コストかつ長寿命で優れた発光効率を発現できる照明装置が得られる。
本発明によれば、安価で高効率かつ長寿命な有機EL素子、特にフレキシブル有機EL素子、そしてそれを具備する表示装置および照明装置を提供できる。
本発明における有機無機ハイブリッドLED構造を有した有機電界発光素子の実施形態1の縦断面を模式的に示す図である。 実施例1で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例1で製造された発光素子に対して、定電流駆動での電流半減寿命の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例2で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例2で製造された発光素子に対して、定電流駆動での電流半減寿命の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例3で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例4で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例4で製造された発光素子に対して、定電流駆動での電流半減寿命の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例5で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 実施例5で製造された発光素子に対して、定電流駆動での電流半減寿命の評価を行った結果を示すグラフである。 比較例1で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 比較例1で製造された発光素子に対して、定電流駆動での電流半減寿命の評価を行った結果を示すグラフである。 比較例2で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 比較例3で製造された発光素子に対して、初期の輝度および電流密度の評価を行った結果を示すグラフである。 比較例3で製造された発光素子に対して、定電流駆動での電流半減寿命の評価を行った結果を示すグラフである。
以下、図面に基づき、本発明の有機EL素子、表示装置および照明装置の好適な実施形態について説明する。
(実施の形態)
本発明の好適な形態の有機電界発光素子(有機薄膜電界発光素子)は、基板上に陰極、反応活性点を有する金属酸化物層、有機バッファ層、該バッファ層上に積層された発光層を含む有機化合物層、陽極をこの順に有するものであることが好ましい。このうち、該金属酸化物層は、酸素原子量が化学量論比から欠損し、該金属と酸素以外の元素を有しないものであることが好ましい。このような金属酸化物層を有する有機電界発光素子の製造方法としては、金属酸化物層作製から素子作製に至るまで製造雰囲気を制御することが考えられる。また、該金属酸化物層は、エネルギー準位が真空準位から3.5eV以下に不純物準位を有することが好ましい。
以下に各層について、好適な形態および可能な形態を記す。素子の形成は、基板上に陰極、反応活性点を有する金属酸化物、有機バッファ層、発光層を含む有機化合物層、正孔注入層、陽極の順に構成することで完了する。基板上、陰極上はそれぞれ必要に応じて洗浄工程を行うことができる。また、素子完成後、必要に応じて、封止工程を導入することができる。ここでの封止工程には、一般に封止工程に用いられる材料を用いることができる。
[基板]
基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
上記基板の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10mmである。基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
[陰極および陽極]
本発明の有機電界発光素子において、陽極および陰極としては、公知の導電性材料を適宜用いることができるが、光取り出しのために少なくともいずれか一方は透明であることが好ましい。
公知の透明導電性材料の例としてはITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素アルミニウムドープ酸化インジウム)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等が挙げられる。
不透明な導電性材料の例としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、錫、インジウム、銅、銀、金、白金やこれらの合金などが挙げられる。
陰極としては、この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
陽極としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。これらの中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記のように、一般に陽極に用いられる金属を陰極および陽極に用いる事ができる事から、上部電極からの光の取り出しを想定する場合(トップエミッション構造の場合)も容易に実現でき、上記電極を種々選んでそれぞれの電極に用いる事ができる。例えば、下部電極としてAl、上部電極にITOなどである。
上記陰極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200nmである。
陰極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
上記陽極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型および透明型の陽極として使用することができる。
陽極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
[金属酸化物層]
金属酸化物層は、電子注入層として機能する層である。本発明の有機電界発光素子における金属酸化物層としては、単体の金属酸化物膜の一層からなる層、もしくは、単体又は二種類以上の金属酸化物を積層および/又は混合した層である半導体の層であることが好ましい。
金属酸化物を構成する金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、インジウム、ガリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ケイ素、錫からなる群から選ばれることが好ましい。これらのうち、積層又は混合金属酸化物層を構成する金属元素の少なくとも一つが、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、チタン、亜鉛、錫からなる層であることが好ましく、その中でも単体の金属酸化物ならば、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫からなる群から選ばれる金属酸化物を含むことが好ましい。
上記単体又は二種類以上の金属酸化物を積層および/又は混合した層の例としては、酸化チタン/酸化亜鉛、酸化チタン/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化ケイ素、酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化カルシウム/酸化アルミニウムなどの金属酸化物の組合せを積層および/又は混合したものや、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化インジウム/酸化ガリウム/酸化亜鉛などの三種の金属酸化物の組合せを積層および/又は混合したものなどが挙げられる。これらの中には、特殊な組成として良好な特性を示す酸化物半導体であるIGZOやエレクトライドである12CaO・7Alも含まれる。
なお、本発明においては、シート抵抗が100Ω/□より低い物は導電体、シート抵抗が100Ω/□より高い物は半導体または絶縁体として分類される。従って、透明電極として知られているITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)等の薄膜は、導電性が高くここで用いる半導体の範疇には含まれないことから本発明の金属酸化物層を構成する一層に該当しない。
金属酸化物層の平均厚さは、1nmから数μm程度まで許容でき、特に限定されないが、低電圧で駆動できる有機電界発光素子とする点から、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。
金属酸化物層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
ここで、該金属酸化物層を形成する方法は特に制限されず、気相製膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相製膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾルゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術、原子層堆積(ALD)法等を用いることができ、加えて、必要に応じて加熱処理をすることができる。これらの方法の中から材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。但し、本発明では、従来の方法とは異なり、製膜雰囲気を制御することが好ましい。従来方法によれば、陰極上の金属酸化物層は上記液相製膜法のいずれかで製膜することが報告されているが、いずれも、酸化物の作製を念頭におかれているため製膜雰囲気は大気下であり、酸素量を、しかも少ない方向に制御する例は皆無である。本発明では、膜作製雰囲気およびデバイス作製雰囲気を制御すれば、より好ましくは雰囲気中の酸素量を制御すれば、さらにより好ましくは、金属酸化物層を形成する金属酸化物が、酸素原子量が化学量論比から欠損した(化学量論比より少ない)金属酸化物となる方向に制御すれば、作製方法としては特に制限されない。また、本発明では、酸素欠損下が原理的に重要なために、上記作製方法のうち、金属および酸素以外の元素が混入する場合は、それを排除することが好ましい。また、加熱処理などの上記制御雰囲気下での処理により、上部有機バッファ層に適した化学環境、例えば、膜構造を用意することができる。
上記陰極上の金属酸化物層を形成する際の雰囲気中の酸素濃度は、特に制限されないが、下記範囲が好ましい。スパッタ等の気相製膜の場合は低圧下で行われる。その圧力は従来通りでよく、0.01〜1Paが好ましく、0.2〜0.5Paがより好ましい。その際の酸素濃度は、1〜20体積%であることが好ましい。より好ましくは、5〜15体積%である。また、液相製膜における金属酸化物生成時の雰囲気中の酸素濃度は、0〜10体積%であることが好ましい。より好ましくは、0〜1体積%である。
[有機バッファ層]
本発明の有機電界発光素子において、バッファ層を形成する有機化合物は、LUMO準位が真空準位から3eV以上で、HOMO準位が真空準位から5eV以上の化合物が好ましい。より好ましくは、LUMO準位が真空準位から3eV以上3.5eV以下で、HOMO準位が真空準位から6eV以上の化合物が好ましい。これらを満たすならば、特に制限されず、あらゆる材料が使用可能である。例えば上記条件を好適に満たすものとして、ホウ素原子を有する有機化合物であることが好ましく、より好ましくは、ホウ素原子を有する有機化合物が下記式(1)で表される構造の化合物であるか、又は、下記式(2)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合して得られるホウ素含有重合体である。すなわち、本発明の有機電界発光素子において、バッファ層を形成するホウ素原子を有する有機化合物は、下記式(1);
Figure 0006475909
(式中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。QおよびQは、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X、X、XおよびXは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。nは2〜10の整数を表す。Yは直接結合又はn価の連結基であり、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q、Q、X、X、X、Xにおけるいずれか1箇所で結合していることを表す。)で表されるホウ素含有化合物であるか、又は下記式(2);
Figure 0006475909
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。XおよびXは、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。RおよびRは、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。X、X、RおよびRのうち少なくとも1つは、反応性基を有する置換基である。)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合して得られるホウ素含有重合体であることが好ましい。
上記式(1)におけるYがn価の連結基である場合、該連結基としては、下記式(3−1)〜(3−27)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 0006475909
上記Yがn価の連結基である場合の該連結基が有する置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基等のジアリールアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、スチリル基等の炭素数2〜30のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基等の炭素数2〜30のアルキニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基等で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基で置換されていてもよい複素環基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ジオキサボロラニル基、スタニル基、シリル基、エステル基、ホルミル基、チオエーテル基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やヘテロ元素、アルキル基、芳香環等で置換されていてもよい。
上記式(1)におけるQ及びQとしては、下記式(4−1)〜(4−8)で表される構造が挙げられる。
Figure 0006475909
上記式(1)において、Xが結合している環、Xが結合している環、及び、Xが結合している環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環が挙げられる。
上記式(1)において、Xが結合している環としては、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。
上記式(1)において、X、X、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、X、X、X及びXとしては、例えば、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、複素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シリル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、エポキシ基、アシル基、置換基を有していてもよいオリゴアリール基、1価のオリゴ複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アゾ基、スタニル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基;メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等のアルキルスルホネート基;ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等のアリールスルホネート基;ベンジルスルホネート基等のアリールアルキルスルホネート基、ボリル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、アリールスルホネート基、アルデヒド基、アセトニトリル基等が挙げられる。
上記X、X、X及びXにおける置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;アゾ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜40のアルキル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基などのアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、フェニルアセチニル等の炭素数2〜20のアルキニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基;エチニルオキシ基、フェニルアセチルオキシ基等のアルキニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロフェニル基等のパーフルオロ基及び更に長鎖のパーフルオロ基;ジフェニルボリル基、ジメシチルボリル基、ビス(パーフルオロフェニル)ボリル基等のボリル基;アセチル基、ベンゾイル基等のカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等のスルフィニル基;アルキルスルホニルオキシ基;アリールスルホニルオキシ基;ホスフィノ基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基等のシリル基;シリルオキシ基;スタニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよいフェニル基、2,6−キシリル基、メシチル基、デュリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、トルイル基、アニシル基、フルオロフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、フェナンスレニル基等のアリール基;チエニル基、フリル基、シラシクロペンタジエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、キノリル基、キノキサロイル基、フェナンスロリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリミジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基;カルボキシル基;カルボン酸エステル;エポキシ基;イソシアノ基;シアネート基;イソシアネート基;チオシアネート基;イソチオシアネート基;カルバモイル基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ホルミル基;ニトロソ基;ホルミルオキシ基;等が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やアルキル基、アリール基等で置換されていてもよく、更に、これらの基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
上記式(1)で表されるホウ素含有化合物は、Suzukiカップリング反応等の通常用いられる種々の反応を用いることにより合成することができる。また、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)、2009年、第131巻、第40号、14549−14559頁に記載の手法によっても合成可能である。
上記式(2)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。該R及びRは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好適である。また、該R及びRは、結合して環を形成していてもよい。該R及びRとしては、特に制限されないが、例えば、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルコキシ基、シリル基、ヒドロキシ基、ボリルオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、RとRとが結合してなる2,2’−ビフェニル基、置換基を有していてもよいオリゴアリール基、1価のオリゴ複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アゾ基、スタニル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基;メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等のアルキルスルホネート基;ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等のアリールスルホネート基;ベンジルスルホネート基等のアリールアルキルスルホネート基;下記式(5−1)〜(5−4)で表される基等のボリル基;下記式(5−5)〜(5−6)で表される基等のスルホニウムメチル基;下記式(5−7)で表される基等のホスホニウムメチル基;下記式(5−8)で表される基等のホスホネートメチル基;アリールスルホネート基;アルデヒド基;アセトニトリル基;下記式(5−9)で表されるハロゲン化マグネシウム等が挙げられる。
なお、式中、Meは、メチル基を表す。Etは、エチル基を表す。Xは、ハロゲン原子を表す。R´は、アルキル基、アリール基、又は、アリールアルキル基を表す。
Figure 0006475909
上記アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、インデニル基、インダニル基等が挙げられる。
上記複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、ピペリジニル基、ピペリジノ基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基が挙げられる。
上記R及びRにおける置換基としては、上記式(1)のX〜Xにおける置換基と同様の置換基が挙げられる。
上記式(2)において、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、上記R及びRと同様のものが挙げられる。
上記式(2)におけるX、X、R及びRのうち少なくとも1つは、反応性基を有する置換基である。反応性基を有する置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;該反応性基で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;該反応性基で置換された炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;該反応性基で置換されたアリール基;該反応性基で置換されたオリゴアリール基;該反応性基で置換された1価の複素環基;該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基;アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基;アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基が好ましい。
上記式(2)においてXが結合している環としては、例えば、ベンゼン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、チアゾール環、オキサゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環が挙げられる。
上記式(2)においてXが結合している環としては、例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、チアゾール環、オキサゾール環が挙げられる。
本発明のホウ素含有重合体は、上記式(2)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分から得られるものである限り、単量体成分にその他の単量体が含まれていてもよい。
すなわち、式(2)で表されるホウ素含有化合物と、下記式(6);
−A−X (6)
(式中、Aは、2価の基を表す。X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表し、X及びXの少なくとも1つの基は、反応性基を有する置換基である。)で表されるその他の単量体とを重合して形成されるホウ素含有重合体もまた、本発明におけるホウ素含有重合体に含まれる。
上記式(6)におけるAは、2価の基であれば、特に制限されないが、その構造を相当する化合物名として挙げると例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ルブレン、ピレン、ペリレン、インデン、アズレン、アダマンタン、フルオレン、フルオレノン、ジベンゾフラン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、チオフェン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、ノルボルネン、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、クマリン、シノリン、キノキサリン、アクリジン、フェナントロリン、フェノチアジン、フラボン、トリフェニルアミン、アセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ピコリン酸、シロール、ポルフィリン、イリジウム等の金属配位化合物、又は、それらが置換基を有している誘導体、それら誘導体の構造を含むポリマー若しくはオリゴマー等が挙げられる。
なお、上記置換基としては、上記R及びRにおける置換基と同様のものを用いることができる。
上記式(6)で表される化合物において、X及びXは、上述したX及びXにおける反応性基を有する置換基と同様のものを用いることができる。
本発明におけるホウ素含有重合体は、上記式(2)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合することにより製造される。該単量体成分は、上記式(2)で表されるホウ素含有化合物を含む限り、その他の単量体を含んでいてもよいが、単量体成分全体100質量%に対して、上記式(2)で表されるホウ素含有化合物を0.1〜99.9質量%含んでいることが好ましい。より好ましくは、10〜90質量%である。
本発明におけるホウ素含有重合体は、重量平均分子量が10〜10であることが好ましい。重量平均分子量がこのような範囲であると、良好に薄膜化できる。より好ましくは、10〜10であり、更に好ましくは10〜10である。
上記重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC装置、展開溶媒;クロロホルム)によって以下の装置、及び、測定条件で測定することができる。
高速GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて測定した。
展開溶媒 クロロホルム
カラム TSK−gel GMHXL ×2本
溶離液流量 1ml/min
カラム温度 40℃
[発光層を含む有機化合物層]
本発明の有機電界発光素子が有する、発光層を含む有機化合物層は、有機化合物によって形成される1つの層又は有機化合物によって形成される複数の層が積層されたものであって、その中の1つの層が発光層であるものである。すなわち、発光層を含む有機化合物層とは、有機化合物によって形成される発光層、又は、有機化合物によって形成される発光層と有機化合物によって形成されるその他の層とが積層されたもの、のいずれかである。該有機化合物は、低分子材料であっても、高分子材料であっても良く、特に制限されない。有機化合物によって形成されるその他の層は、1層であってもよく2層以上であってもよい。また、発光層とその他の層の積層される順番は特に制限されない。有機化合物によって形成されるその他の層は、正孔輸送層又は電子輸送層であることが好ましい。すなわち、有機化合物層が複数の層からなるものである場合、発光層以外のその他の層として、正孔輸送層および/又は電子輸送層を有することが好ましい。このように、有機電界発光素子が、発光層とは異なる独立した層として正孔輸送層および/又は電子輸送層を有することは、本発明の有機電界発光素子の好適な実施形態の1つである。
本発明の有機電界発光素子が電子輸送層を独立した層として有する場合、有機化合物から形成される有機バッファ層と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。本発明の有機電界発光素子が正孔輸送層を独立した層として有する場合、有機化合物から形成される発光層と正孔注入層との間に正孔輸送層を有することが好ましい。本発明の有機電界発光素子が独立した層として電子輸送層もしくは正孔輸送層を有さない場合、本発明の有機電界発光素子の必須の構成として有する層のいずれかが、これらの層の機能を兼ねることになる。
上記発光層の材料としては、発光層の材料として通常用いることができるいずれの低分子化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。低分子系のものとしては、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、クリセン系化合物、ペリレン系化合物、コロネン系化合物、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、ピラン系化合物、アクリジン系化合物、スチルベン系化合物、カルバゾール系化合物、チオフェン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ナフタルイミド系化合物、クマリン系化合物、ペリノン系化合物、オキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、シクロペンタジエン系化合物、キナクリドン系化合物、ピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、金属または無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009−155325号公報、特願2010−28273号、特願2010−230995号および特願2011−6458号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記発光層は、ドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、ドーパントとして通常用いることができるいずれの化合物も用いることができる。ドーパントとして用いることができる化合物の例としては、イリジウム化合物;4、4’−ビス(9−エチルー3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)等の低分子有機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記発光層がドーパントを含む場合、ドーパントの含有量は、発光層を形成する材料100質量%に対して、0.5〜20質量%であることが好ましい。このような含有量であると、発光特性をより良好なものとすることができる。より好ましくは、0.5〜10質量%であり、更に好ましくは、1〜6質量%である。
上記発光層を形成する高分子材料としては、例えば、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキルフェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)のようなポリシラン系化合物;更には特願2010−230995号、特願2011−6457号に記載のホウ素化合物系高分子材料等が挙げられる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。更に好ましくは、40〜100nmである。
発光層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
上記電子輸送層の材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの低分子化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。電子輸送層の材料として用いることができる低分子化合物の例としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、シロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、Alq3のような金属錯体、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体が好ましい。
本発明の有機電界発光素子が独立した層として電子輸送層を有する場合、電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmであり、更に好ましくは、40〜100nmである。
電子輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
上記正孔輸送層の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることかができるいずれの低分子化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。低分子化合物としては、リールシクロアルカン系化合物、アリールアミン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、カルバゾール系化合物、スチルベン系化合物、オキサゾール系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、アントラセン系化合物、フルオレノン系化合物、アニリン系化合物、シラン系化合物、ピロール系化合物、フローレン系化合物、ポルフィリン系化合物、キナクリドン系化合物、金属または無金属のフタロシアニン系化合物、金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、ベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、TPTEのようなアリールアミン系化合物が好ましい。
本発明の有機電界発光素子が独立した層として正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmであり、更に好ましくは、40〜100nmである。
正孔輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
[正孔注入層]
上記正孔注入層としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化タングステン(WO)、酸化ルテニウム(RuO)等の1種又は2種以上を用いた金属酸化物が好適に用いられる。これらの中でも、酸化バナジウム又は酸化モリブデンを主成分とするものが好ましい。より好ましくは、酸化バナジウムおよび/又は酸化モリブデンから構成されるものである。また、LUMOが真空準位4eVよりも大きなアクセプター性の強い有機化合物を用いることができる。例えば、FTCNQやHATCNなどが例として挙げられる。
上記正孔注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。
正孔注入層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により製膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、陰極および陽極、有機バッファ層、発光層、正孔輸送層、電子輸送層を形成する方法は特に制限されず、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾルゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術、原子層堆積(ALD)法等を用いることができ、材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.合成例
(合成例1)
(ホウ素化合物1の合成)
アルゴン雰囲気下、5−ブロモ−2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(94mg、0.30mmol)を含むジクロロメタン溶液(0.3ml)に、エチルジイソプロピルアミン(39mg、0.30mmol)を加えた後、0℃で三臭化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液、0.9ml、0.9mmol)を加え、室温で9時間攪拌した。反応溶液を0℃まで冷却した後、飽和炭酸カリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、生成した白色固体を濾取し、ヘキサンで洗浄することにより、ホウ素化合物1(40mg、0.082mmol)を収率28%で得た。この反応は、下記式(7)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl):7.57−7.59(m,2H),7.80(dd,J=8.4,0.6Hz,1H),7.99(s,1H),8.27(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),9.01(d,J=1.5Hz,1H).
Figure 0006475909
(ホウ素化合物2の合成)
50mL2口フラスコにマグネシウム(561mg,23.1mmol)を入れ反応容器内を窒素雰囲気下にした後、シクロペンチルメチルエーテル(10mL)を入れ、ヨウ素をひとかけら投入し、着色がなくなるまで攪拌した。これに2,2‘−ジブロモビフェニル(3.0g,9.6mmol)のシクロペンチルメチルエーテル溶液(9mL)を滴下し、室温で12時間、50℃で1時間攪拌しGrignard試薬を調整した。別の200mL3つ口フラスコにホウ素化合物1(3.71g,7.7mmol)を入れ窒素雰囲気下にした後、トルエン(77mL)を入れた。これを−78℃にて攪拌しながら上記Grignard試薬をキャヌラーで一度に加えた。10分攪拌後、室温まで昇温しさらに12時間攪拌した。この反応溶液に水をくわえ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した。ろ液を濃縮し残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりホウ素化合物2を3.0g(収率82%)得た。この反応は、下記式(8)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl):6.85(d,J=7.04Hz,2H),7.05(t,J=7.19Hz,2H),7.32(t,J=7.48Hz,2H),7.47(s、1H)7.49−7.57(m、1H),7.74−7.84(m,3H),7.90−8.00(m,2H),8.07−8.20(m,1H).
Figure 0006475909
(ホウ素含有化合物Aの合成)
100mL2口フラスコにホウ素化合物2(2.0g,4.2mmol)、Pd(PPh(240mg,0.21mmol)を入れ、反応容器内を窒素雰囲気下にした。これにトルエン(21mL)、トリブチル(2−ピリジル)スズ(3.7g,10.1mmol)を入れ、120℃で終夜攪拌した。反応終了後、濃縮し、残差をカラムクロマトグラフィーで精製することによりホウ素含有化合物Aを800mg得た(収率40%)。この反応は、下記式(9)の反応である。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl):6.93(m,J=7.04Hz,2H),7.03(t,J=7.19Hz,2H),7.13−7.20(m,1H),7.21−7.26(m,1H),7.30(t,J=7.48Hz,2H),7.51(d,J=7.92Hz,1H),7.60−7.74(m,3H),7.82(m,J=7.63Hz,2H),7.87(s,1H),8.12(d,J=8.22Hz,1H),8.18(d,J=7.92Hz,1H),8.22(d,J=8.51Hz,1H),8.39(s,1H),8.59−8.69(m,2H),8.76(dd,J=8.51,1.17Hz,1H).
Figure 0006475909
(合成例2)
(2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(ホウ素含有化合物B)の合成)
100mL二口ナスフラスコに、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ブロモピリジン(2.6g、6.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−9,9’−スピロフルオレン(1.5g、2.7mmol)、Pd(PtBu(170mg、0.32mmol)を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気下にし、THF(65mL)を加え、攪拌した。
これに、2Mリン酸三カリウム水溶液(11mL、22mmol)を加え、70℃で還流させながら加熱攪拌した。12時間後、室温まで冷却し、反応溶液を分液ロートに移して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した濾液を濃縮して、得られた固体をメタノールで洗浄し、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(ホウ素含有化合物B)を収率47%で得た(1.2g、1.3mmol)。その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl):δ6.67(d,J=7.6Hz,2H),6.75(d,J=1.2Hz,2H),6.82(d,J=7.2Hz,4H),6.97(dt,J=7.2,1.2Hz,4H),7.09(dt,J=7.2,0.8Hz,2H),7.24−7.40(m,14H),7.74−7.77(m,6H),7.84−7.95(m,10H)
また、合成例2の反応は、下記反応式(10)のように表される。
Figure 0006475909
2.発光素子の製造
(実施例1)
有機無機ハイブリッドLEDの作製方法および測定方法を具体的に示す。
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO付き透明ガラス基板を用意した。
[2]この基板をイソプロパノール、アセトンで洗浄後、UVオゾン洗浄を20分行った。
[3]このITO電極上に、亜鉛金属をターゲットとし、反応ガスとして酸素をキャリアガスとしてアルゴンを用いたスパッタ法(圧力0.5Pa、雰囲気中の酸素濃度14体積%)により、平均厚さ10nmの酸化亜鉛(ZnO)層(電子注入性金属酸化物層)を形成した。
[4]ここまでで得られた基板を大気に曝すことなく、ホウ素含有化合物Aを10−5Paで真空蒸着法により20nmの膜厚になるよう製膜した。
[5]さらに続けて[4]で得られた基板にトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)をそれぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−4Paまで減圧し、Alq3を35nm蒸着し、発光層を製膜した。次に、α−NPDを60nm蒸着し、正孔輸送層を製膜した。
[6]続けて、正孔注入性金属酸化物層および陽極の作製を行う。有機化合物層の上に酸化モリブテン(MoO)層(正孔注入性金属酸化物層)を平均厚さ10nmで蒸着し、平均厚さ30nmでアルミニウム(Al)(陽極)を蒸着し、有機EL素子を作製した。
(実施例2)
実施例1の[3]を以下の[3a]に置き換えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[3a]このITO電極上に、亜鉛金属をターゲットとし、反応ガスとして酸素をキャリアガスとしてアルゴンを用いたスパッタ法(圧力0.5Pa、雰囲気中の酸素濃度14体積%)により、平均厚さ10nmの酸化亜鉛(ZnO)層(電子注入性金属酸化物層)を形成した。その基板を大気下に1日暴露し、イソプロパノール、アセトンで洗浄を行った。
(実施例3)
実施例1の[3]を以下の[3b]に置き換えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[3b]アセチルアセトナト亜鉛錯体(Zn(acac))のエタノール溶液を作製し、[2]で得られたITO電極上に、スピンコートし製膜した。本基板を、窒素下で加熱し、酸化亜鉛膜を得た。
(実施例4)
実施例1の[3]を上記[3a]に、[4]を以下の[4c]に置き換えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[4c]ホウ素含有化合物Bの0.2%、N−DMBIの0.002%の1,2−ジクロロエタン混合溶液を作製した。工程[3a]で作製した金属酸化物層上にスピンコートによりホウ素含有化合物Bからなる有機バッファ層を形成した。有機バッファ層の平均厚さは30nmであった。
(実施例5)
実施例1の[4]を以下の[4d]に置き換えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[4d]ここまでで得られた基板を大気に曝すことなく、ホウ素含有化合物Aを10−5Paで真空蒸着法により20nmの膜厚になるよう製膜した。その後、大気に曝すことなく窒素下で125℃1時間アニールを行った。
(比較例1)
実施例1の[3]を以下の[3e]に置き換えた以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
[3e]このITO電極上に、亜鉛金属をターゲットとし、反応ガスとして酸素をキャリアガスとしてアルゴンを用いたスパッタ法(圧力0.5Pa、雰囲気中の酸素濃度14体積%)により、平均厚さ10nmの酸化亜鉛(ZnO)層(金属酸化物層)を形成した。その基板を大気下に1日暴露し、イソプロパノール、アセトンで洗浄を行った。さらに、本基板を大気下でホットプレートにより400℃1時間アニールを行った。
(比較例2)
実施例1の[3]を以下の[3f]に置き換えた以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
[3f]このITO電極上に、酸化亜鉛をターゲットとし、スパッタ法により、平均厚さ10nmの酸化亜鉛(ZnO)層(金属酸化物層)を形成した。
(比較例3)
実施例1の[3]を上記[3e]に、[4]を上記[4c]に置き換えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
3.有機電界発光素子の発光特性測定
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。コニカミノルタ社製の「LS−100」により、発光輝度を測定した。また、目視により発光面の均一性を確認した。実施例1〜5および比較例1〜3で作製した有機電界発光素子を、窒素雰囲気下で0V〜12Vまでの直流電圧を印加した時の電圧−電流効率特性をそれぞれ図2−1〜6−1および図7−1〜9−1に記載した。
4.有機電界発光素子の寿命特性測定
システム技研社製の「有機EL寿命測定装置」により、相対輝度測定を行った。この装置では素子に一定電流が流れるように電圧を自動的に調整しながら、フォトダイオードによる相対輝度測定が行える。測定開始時の輝度が1000cd/mになるように素子ごとに電流値を設定した。実施例1、2、4および5の結果を図2−2、3−2、5−2および6−2に、比較例1および3の結果を図7−2および図9−2に一定時間内の相対輝度の変化を記載した。
5.金属酸化物層の表面エネルギー準位測定
実施例1で形成された金属酸化物表面について紫外光電子分光測定および光電子収量分光測定を行った。3.5eVから立ち上がる大きな状態密度を示唆する光電子を観測した。
図2−1より、実施例1で作製した素子は低電圧から発光が見られ、高輝度を実現していることがわかる。このことは、全く同種でありながら、表面状態の異なる、ここでは、酸素欠損量が少ない比較例1の結果(図7−1)と比較すると明らかである。比較例1では、大気下で高温でアニールをすることにより欠損した酸素を補っている。一方、初期より酸素欠損量が化学量論比に近い比較例2の結果(図8−1)と比較してもまた、実施例1が高特性、つまり低電圧下で高輝度を実現できていることがわかる。実施例1では、1000cd/m達成が8V程度であるのに対して、比較例1では12Vで未達、比較例2に至っては、100cd/mすら12V下で達成できていない。寿命についても同様で、一定時間内の減衰が実施例1の方が小さい。比較例2は、1000cd/mでの駆動が、電流値が大きすぎたため検討できなかった。
実施例2では、一度大気に曝すものの、高温下での酸素導入がない金属酸化物層について検討した。導入酸素量は、実施例1<実施例2<比較例1<比較例2の順である。つまり、比較例2は化学量論比に十分近く、実施例1が最も酸素欠損量が大きい。実施例2は、実施例1ほどではないにせよ、高酸素欠損、言い換えれば、反応活性点が多く含まれている酸化物であるといえる。図3−1の結果からは、実施例1よりは発光閾値電圧は上昇しているものの、比較例1や2よりは十分に小さく、例えば、1000cd/m達成電圧は11V程度であることがわかる。寿命についても、実施例1には少し劣るもの、十分比較例1よりは信頼性が高いことがわかる。これらの結果は、酸素欠損量がデバイス特性と相関があることを示唆する結果であるといえる。
実施例4では、実施例2で用いた金属酸化物層に大気下で有機バッファ層を塗布することを検討している。この検討においても、比較例1および2よりも高特性が確認できている。加えて、寿命の観点からは、実施例1よりも長寿命が確認されている。これは、反応活性点を多く含んだ金属酸化物層上に有機バッファ層を塗布層で作る系が寿命には好適であることを示している。
ここで、比較例3により、塗布型有機バッファ層間での金属酸化物層の比較を検討する。この比較は、蒸着型有機バッファ層における、実施例2と比較例1との比較に相当する。蒸着型有機バッファ層の場合よりは差が小さいものの、初期特性(図5−1)および寿命特性(図5−2)の両方において、比較例3よりも実施例4の素子の方が高特性および長寿命であることがわかる。
実施例3では、金属酸化物層を液相プロセスにより作製している。但し、酸化物膜にする工程において、酸素の導入を意図的に制御した。本系では、実施例1に次ぐ、低発光閾値電圧を実現している。1000cd/mの発光を10Vで実現している。
実施例5では、実施例1で作製した金属酸化物層に不活性雰囲気下で加熱処理することにより反応活性点の環境(量および膜構造)を制御している。その結果、図6−1より初期特性はやや実施例1よりも劣ったものの、図6−2より寿命特性が大きく変化、この場合、輝度減衰という観点からは改善している。これは、本工程による反応活性点の調整程度が、ここで用いた上部有機バッファ層に適していたと考えられる。つまり、本工程のような処理により、各種有機バッファ層の特性に調整することができることがわかる。
1、基板
2、陰極
3、金属酸化物層
4、有機化合物層
5、正孔輸送層
6、正孔注入層
7、陽極
8、有機バッファ層

Claims (7)

  1. 複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子の製造方法であって、該有機電界発光素子は、基板上に陰極を有し、その直上に反応活性点を有する金属酸化物層を有し、該金属酸化物層上に有機化合物によって形成されるバッファ層を有し、該バッファ層上に積層された発光層を含む有機化合物層を有し、
    製造方法は、反応活性点を有する金属酸化物層、酸素濃度1〜20体積%の雰囲気下での金属単体をターゲットとした気相製膜か、又は、酸素濃度0〜10体積%の雰囲気下での液相製膜により形成する工程を含む
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法
  2. 前記有機電界発光素子において、反応活性点を有する金属酸化物層が、酸素量が化学量論比から欠損し、かつ該金属と酸素以外の元素を有しないことにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法
  3. 前記金属酸化物層が、素子形成完了まで大気に暴露されることがないことを特徴とする請求項1または2記載の有機電界発光素子の製造方法
  4. 前記金属酸化物層が大気に暴露されることなく不活性雰囲気下での加熱処理により反応活性点を調整し、素子形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法
  5. 前記金属酸化物層が、真空準位から3.5eV以下に不純物準位を有することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法で得られた有機電界発光素子を用いることを特徴とする表示装置の製造方法
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法で得られた有機電界発光素子を用いることを特徴とする照明装置の製造方法
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