JP6928534B2 - 有機電界発光素子用材料及び有機電界発光素子 - Google Patents

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本発明は、有機電界発光素子用材料及び有機電界発光素子に関する。より詳しくは、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子に用いられる有機電界発光素子用材料及び有機電界発光素子に関する。
薄く、柔軟でフレキシブルな表示用デバイスや照明に適用できる新しい発光素子として有機電界発光素子(有機EL素子)が期待されており、素子の性能をより高めるための材料について種々検討されている。
そのような材料の1つにピリジンが3つ縮環した構造を有するピリドナフチリジン化合物等があり、有機電界発光素子の電子輸送層等に利用できるピリドナフチリジン化合物について検討されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照。)。
韓国公開特許第2015−0002266号公報 韓国公開特許第2014−0108778号公報
Sarah Fernandez、他7名、「オーガニックレターズ(Organic LETTERS)」、2016年、第18号、p.3158−3161
有機電界発光素子は、陰極と陽極との間に、電子輸送層、発光層、正孔輸送層等の複数の層が積層された構造を有しており、基板上に設置された陽極上にこのような積層構造が形成された、いわゆる順構造の有機電界発光素子と、基板上に設置された陰極上にこのような積層構造が形成された、いわゆる逆構造の有機電界発光素子とに分けられる。逆構造の有機電界発光素子では、陽極からの正孔の注入に比べて陰極からの電子の注入が遅く、陽極から注入される正孔を発光のために充分に活用できていないという課題があり、逆構造の有機電界発光素子において電子の注入性を高め、素子の発光効率や駆動安定性を高めることは解決すべき課題である。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、基板上に陰極が形成された構造を有する有機電界発光素子の発光効率や駆動安定性を高めることができる材料を提供することを目的とするものである。
本発明者は、いわゆる逆構造の有機電界発光素子の発光効率や駆動安定性を高めることができる材料について種々検討したところ、窒素原子を含む3つの複素芳香環が縮環した構造を有する特定の化合物が、LUMOのエネルギー準位が低い化合物であることを見出し、この化合物を逆構造の有機電界発光素子の材料として用いると、素子の発光効率や駆動安定性を高めることができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられた有機電界発光素子において陰極と発光層との間に用いられる材料であって、該材料は、下記式(1);
Figure 0006928534
(式中、X〜Xは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表し、X〜Xの少なくとも1つは窒素原子である。Y〜Yは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表し、Y〜Yの少なくとも1つは窒素原子である。nは、1〜4の整数である。Lは、1価の置換基、2〜4価の連結基、又は、直接結合を表し、nが1の場合、Lは1価の置換基であり、nが2の場合、Lは2価の連結基又は直接結合であり、nが3又は4の場合、Lはn価の連結基である。)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子用材料である。
本発明の有機電界発光素子用材料は上述の構成よりなり、基板上に陰極を有する、いわゆる逆構造の有機電界発光素子を発光効率や駆動安定性が高い素子とすることができる材料である。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を示した概略図である。 ピリジン、キノリン、フェナントロリン、含窒素複素芳香環が3つ縮環した構造を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物(1)〜(12)のHOMO(最高被占軌道)−LUMO(最低空軌道)の分子軌道計算の結果を示す参考図である。 本発明の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物の分子軌道(HOMO軌道/LUMO軌道)の分布を示す図である。 本発明の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物の分子軌道(HOMO軌道/LUMO軌道)の分布を示す図である。 実施例20で製造した、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を用いた有機電界発光素子1の電圧−電流密度特性の測定結果を示した図である。 実施例20で製造した、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を用いた有機電界発光素子の電圧−輝度特性の測定結果を示した図である。 実施例21で製造した、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を用いた有機電界発光素子2の電圧−電流密度特性の測定結果を示した図である。 実施例21で製造した、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を用いた有機電界発光素子2の電圧−輝度特性の測定結果を示した図である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の有機電界発光素子用材料が含む含窒素縮合多環式複素芳香環化合物は、下記式(1);
Figure 0006928534
(式中、X〜Xは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表し、X〜Xの少なくとも1つは窒素原子である。Y〜Yは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表し、Y〜Yの少なくとも1つは窒素原子である。nは、1〜4の整数である。Lは、1価の置換基、2〜4価の連結基、又は、直接結合を表し、nが1の場合、Lは1価の置換基であり、nが2の場合、Lは2価の連結基又は直接結合であり、nが3又は4の場合、Lはn価の連結基である。)で表される化合物である。
上記式(1)で表される化合物を含む有機電界発光素子用材料は、陰極と発光層との間に用いられる材料であり、逆構造有機電界発光素子の電子注入層、電子輸送層、および後述するバッファ層から選択される少なくとも1つの層を形成する材料として使用されることが好ましく、そのようにして用いた場合、逆構造有機電界発光素子を発光効率や駆動安定性が高い素子とすることができる。その理由は、上記式(1)で表される化合物が含窒素複素芳香環が3つ縮環した構造を有することにより、有機電界発光素子中の電子輸送層等に用いられるピリジン、キノリンなどに比べてLUMO(最低空軌道)のエネルギー準位が低いために、陰極からの電子の注入(輸送)を効率的に行うことができるためであると考えられる。
上記一般式(1)中、Lは、1価の置換基、2〜4価の連結基、又は、直接結合を表す。中でも、上記Lが1価の置換基、又は、2〜4価の連結基を表すことが好ましい。また、nが1の場合(上記式(1)で表される化合物が含窒素縮合多環式複素芳香環骨格を1つのみ有する場合)、Lは1価の置換基である。該1価の置換基としては特に限定されず、例えば、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;環状アルキル基;直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;アルケニル基;アルキニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基等が結合されていてもよいアリール基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基が結合されていてもよい複素環基等が挙げられる。
上記2〜4価の連結基は、連結基の価数をn価とすると、上述した1価の置換基から水素原子を(n−1)個脱離した構造のものを用いることができる。
上記1価の置換基、2〜4価の連結基の炭素数は、1〜50であることが好ましい。より好ましくは、4〜50であり、更に好ましくは、5〜40であり、特に好ましくは、5〜30であり、最も好ましくは、6〜30である。
上記式(1)中、Lにおける1価の置換基又は2〜4価の連結基は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を有することが好ましい。中でも、Lにおける1価の置換基又は2〜4価の連結基は、芳香族炭化水素環またはベンゾイミダゾール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環を有することがより好ましい。これにより、分子軌道計算によれば、最低空軌道(LUMO)は含窒素縮合多環式複素芳香環化合物由来の骨格付近に偏在し、最高被占軌道(HOMO)は芳香族炭化水素環付近に偏在してLUMOとHOMOとが分離する。そのような構造の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を含む有機電界発光素子用材料により構成された層に正孔が侵入した場合、正孔に対して不安定な含窒素縮合多環式複素芳香環骨格ではなく、正孔に対して安定な芳香族炭化水素環の側に偏在するHOMOを介して正孔が接触するため、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物の分解を抑制することができ、素子寿命がより長くなると考えられる。
上記式(1)中、Lにおける1価の置換基又は2〜4価の連結基は、複数の芳香族炭化水素環が直接結合した構造を有することがより好ましい。これにより、電荷輸送性を有しながらLUMOとHOMOとがより分離することになり、本発明の有機電界発光素子用材料を用いた素子の素子寿命と駆動特性を両立することができる。Lにおける1価の置換基又は2〜4価の連結基は、3つ以上の芳香族炭化水素環がジグザグに連なって直接結合した構造を有することが更に好ましい。これにより、安定化の効果が顕著なものとなると考えられる。
上記式(1)中、X〜Xは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表す。なお、これを言い換えると、X〜Xは、同一又は異なって、水素原子が結合した炭素原子を表すか、ハロゲン原子が結合した炭素原子を表すか、置換基を有していてもよいアルキル基が結合した炭素原子を表すか、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基が結合した炭素原子を表すか、置換基を有していてもよい芳香族複素環基が結合した炭素原子を表すか、又は、窒素原子を表す。Y〜Yについても同様である。なお、X〜Xの少なくとも1つは窒素原子であり、Y〜Yの少なくとも1つは窒素原子である。X〜Xのうち1つのみが窒素原子であり、かつY〜Yのうち1つのみが窒素原子である場合、上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物は、ピリドナフチリジン由来の骨格を有する化合物(ピリドナフチリジン化合物)ともいうことができる。
以下では、X〜X、Y〜Yが有していてもよいハロゲン原子、アルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基について説明する。
上記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子であることが好ましく、中でもフッ素原子がより好ましい。
上記アルキル基としては、例えば炭素数1〜18の直鎖状アルキル基、炭素数3〜18の分岐鎖状アルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基が好適なものとして挙げられる。
上記炭素数1〜18の直鎖状アルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
上記炭素数3〜18の分岐鎖状アルキル基としては具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
上記炭素数3〜18のシクロアルキル基としては具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基又は炭素数5〜18の分岐鎖状アルキル基が好ましく、これらの中でも炭素数の上限が14であることが好ましく、10であることがより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基が特に好ましい。
上記芳香族炭化水素環基としては、炭素数6〜18のものが好適なものとして挙げられ、具体的にはベンゼン、ナフタレン、アントラセン等がより好適なものとして挙げられる。
上記芳香族炭化水素環基の炭素数の上限は、14であることが好ましく、10であることがより好ましく、8であることが更に好ましく、具体的にはベンゼンが特に好ましい。
上記芳香族複素環基としては、炭素、水素以外の原子であるヘテロ原子を環構成原子として含有するものであり、炭素数0〜12のものが好適なものとして挙げられ、具体的にはペンタゾール等の五員環窒素含有環基;トリアゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピロール、インドール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン等の五員環複素環基;ピリジン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、チアジン等の六員環複素環基が好適なものとして挙げられる。上記芳香族複素環基としては、これらの中でも炭素数の上限が8であることが好ましく、6であることがより好ましく、5であることが更に好ましい。また、該炭素数の下限が1であることが好ましく、2であることがより好ましく、3であることが更に好ましい。上記芳香族複素環基としては、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、ピロリドン等の窒素原子を有するものが特に好適なものとして挙げられる。
上記X〜X、Y〜Yが有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、又は、芳香族複素環基は、更に置換基をもつものであってもよい。該置換基としては、例えば、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノ基、又は、炭素数7〜18のアリールアミノ基が挙げられる。また、上記X〜X、Y〜Yが有していてもよい芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基は、置換基としてアルキル基をもつものであってもよい。
上記置換基としてのアルキル基、芳香族炭化水素環、芳香族複素環基、ハロゲン原子としては、上述したものと同様のものが好ましい。
上記炭素数1〜12のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状のものが好適なものとして挙げられる。
上記炭素数1〜12のアルコキシ基の炭素数は、1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
上記炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
上記炭素数6〜12のアリールオキシ基は、上述したもののうち、その炭素数が6〜10であることが好ましい。より好ましくは、6〜8である。更に好ましくは、6である。
上記炭素数2〜12のアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロジニル基、モルホリニル基等の炭素数2〜12の非環状又は環状ジアルキルアミノ基が好適なものとして挙げられる。
上記炭素数2〜12のアルキルアミノ基の炭素数は、2〜8であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜5であることが更に好ましい。
上記炭素数7〜18のアリールアミノ基としては、N−メチル−N−フェニルアミノ基等のN−アルキル−N−アリールアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基等の炭素数12〜18のジアリールアミノ基等が好適なものとして挙げられる。
上記炭素数7〜18のアリールアミノ基の炭素数は、8〜18であることが好ましく、12〜18であることがより好ましく、12であることが更に好ましい。
その他、上記置換基は、ジオキサボロラニル基、スタニル基、シリル基、ヒドロキシル基、スルホ基、スルホニル基、ホスホリル基等であってもよい。
なお、上記置換基は、本発明の効果を発揮できる限り、ハロゲン原子やヘテロ原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、芳香環等で更に置換されていてもよい。置換基が結合する位置や数は特に限定されない。
これらの中でも、上記置換基は、上記炭素数6〜18の芳香族炭化水素環であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、ベンゼン環であることが更に好ましい。
上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物におけるX〜X、Y〜Yについて詳細に説明したが、上記X〜Xの少なくとも1つが窒素原子であって、かつ、上記X〜Xが、同一又は異なって、水素原子と結合した炭素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基と結合した炭素原子、又は、窒素原子を表すことが本発明の1つの好ましい形態である。中でも、上記X〜Xが、同一又は異なって、水素原子と結合した炭素原子又は窒素原子を表すことが特に好ましい。また、上記Y〜Yの少なくとも1つが窒素原子であって、かつ、上記Y〜Yが、同一又は異なって、水素原子と結合した炭素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基と結合した炭素原子、又は、窒素原子を表すことが本発明の1つの好ましい形態である。中でも、上記Y〜Yが、同一又は異なって、水素原子と結合した炭素原子又は窒素原子を表すことが特に好ましい。
上記式(1)中、X〜Xの少なくとも1つは窒素原子である。言い換えれば、X〜Xの1〜4つは窒素原子である。中でも、X〜Xの1〜3つが窒素原子であることが好ましく、X〜Xの1つ又は2つが窒素原子であることがより好ましく、X〜Xの1つが窒素原子であることが更に好ましい。
また、X〜Xの1つが窒素原子である場合、X〜Xのいずれが窒素原子であってもよいが、X、X又はXが窒素原子であることが好ましい。
上記式(1)中、Y〜Yの少なくとも1つは窒素原子である。言い換えれば、Y〜Yの1〜4つは窒素原子である。中でも、Y〜Yの1つ又は2つが窒素原子であることが好ましく、Y〜Yの1つが窒素原子であることがより好ましい。
また、Y〜Yの1つが窒素原子である場合、Y〜Yのいずれが窒素原子であってもよいが、Y又はYが窒素原子であることが好ましい。
上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物では、上記X〜Xが有していてもよい置換基同士や、上記Y〜Yが有していてもよい置換基同士が、互いに結合して環構造を形成していてもよく、環構造を形成していなくてもよいが、環構造を形成していないことが好ましい。
上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物は、例えば、原料としてピリジンを用いてビピリジンを合成し、このビピリジンの置換基を環化したうえでハロゲン化反応に供し、必要に応じて置換基を付与したり二量体化や多量体化したりすることにより合成することができる。
具体的には、先ず、下記反応式に示すように、原料としてピリジンを用いてビピリジンを合成する。
Figure 0006928534
上記α及びβは、同一又は異なって、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子を表す。Mはボリル基、トリアルキルスタニル基、ハロゲン化亜鉛等の通常クロスカップリング反応で用いられる金属置換基を表す。上記X〜X、上記Y〜Yは、式(1)において上述したものと同様である。パラジウム触媒としては、例えば、Pd(PPhが好ましい。
次いで、下記反応式に示すように、塩基性条件下でビピリジンの置換基であるシアノ基及びハロゲン原子を環化し、環状アミド化合物を合成する。
Figure 0006928534
上記α、X〜X、及び、Y〜Yは、上述したものと同様である。
得られた環状アミド化合物を、例えばアミン触媒存在下で、下記反応式に示すように、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン等のハロゲン化ホスホリルと反応させ、ハロゲン原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を合成する。
Figure 0006928534
上記γは、塩素、臭素等のハロゲン原子を表す。上記X〜X、及び、Y〜Yは、上述したものと同様である。
得られたハロゲン原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を、下記反応式に示すように、パラジウム触媒の存在下でボロン酸エステルと反応させ、本発明の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を合成することができる。なお、下記反応式ではボロン酸基を2つもつボロン酸エステルを用いているが、ボロン酸エステル1分子中のボロン酸基の数を変更することにより、得られる含窒素縮合多環式複素芳香環化合物の含窒素縮合多環式複素芳香環骨格の数を適宜変更することができる。
Figure 0006928534
上記Lは、式(1)において上述したものと同様である。上記X〜X、及び、Y〜Yは、上述したものと同様である。
ただし、本発明の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物の製造方法は、上述したものに制限されない。
本発明はまた、本発明の有機電界発光素子用材料を用いて構成される、基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられた有機電界発光素子でもある。陰極と発光層との間や、発光層と陽極との間には、1または2以上のその他の層を設けても良い。上述したように、本発明の有機電界発光素子用材料を用いることで、逆構造の有機電界発光素子を発光効率や駆動安定性が高い素子とすることができる。
上記有機電界発光素子を構成する層には、陽極、陰極の他、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層等があり、これらの層が適宜選択されて積層され、有機電界発光素子が構成される。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された構造を有するものである限り、積層される層の構成は特に制限されないが、陰極、電子注入層、必要に応じて電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子が後述するバッファ層を有する場合、バッファ層が電子注入層又は電子輸送層として機能するものであることが好ましい。本発明の有機電界発光素子が電子注入層又は電子輸送層として機能するバッファ層を有する場合、陰極、バッファ層、必要に応じて電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子(第1の素子構造の素子)であることが好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子がバッファ層とは別に独立した層として電子注入層又は電子輸送層を有していてもよく、この場合、陰極、電子注入層、バッファ層、必要に応じて電子輸送層、発光層、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層がこの順に隣接して積層された素子(第2の素子構造の素子)であることが好ましい。
なお、バッファ層とは、有機電界発光素子が無機化合物層を有する場合に、無機化合物表面の凹凸を平滑化して(つまり無機化合物層の活性部位を被覆して)、有機化合物層(例えば発光層)の劣化を抑制する層である。上記のとおりバッファ層は、電子注入層および/又は電子輸送層として機能してもよい。
なお、これらの各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
本発明の有機電界発光素子において、陽極及び陰極としては、公知の導電性材料を適宜用いることができるが、光取り出しのために少なくともいずれか一方は透明であることが好ましい。公知の透明導電性材料の例としてはITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)などが上げられる。不透明な導電性材料の例としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、錫、インジウム、銅、銀、金、白金やこれらの合金などが挙げられる。
陰極としては、この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
陽極としては、これらの中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記のように、一般に陽極に用いられる金属を陰極及び陽極に用いる事ができる事から、上部電極からの光の取り出しを想定する場合(トップエミッション構造の場合)も容易に実現でき、上記電極を種々選んでそれぞれの電極に用いる事ができる。例えば、下部電極としてAl、上部電極にITOなどである。
上記陰極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200nmである。陰極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
上記陽極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極として使用することができる。
陽極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に金属酸化物層を有することが好ましい。
陽極と陰極との間の積層構造の材料として金属酸化物を用いると、金属酸化物からなる層を有さない有機電界発光素子に比べて連続駆動寿命や保存安定性に優れたものとなる。
より好ましくは、陰極と発光層との間に第1の金属酸化物層を有し、陽極と発光層との間に第2の金属酸化物層を有することである。
なお、金属酸化物層の重要性は、第1の金属酸化物層の方が高く、第2の金属酸化物層は、最低非占有分子軌道の極端に深い有機材料、例えば、HATCNでも置き換える事ができる。
上記第1の金属酸化物層は、陰極の一部又は電子注入層として機能し、第2の金属酸化物層は、正孔注入層として機能する層である。
第1の金属酸化物層を陰極の一部と考えれば、第1の金属酸化物層を有する素子は、上述した第1の素子構造の素子であることが好ましく、第1の金属酸化物層を電子注入層と考えれば、第1の金属酸化物層を有する素子は、上述した第2の素子構造の素子であることが好ましい。
第1の金属酸化物層は、単体の金属酸化物膜の一層からなる層、もしくは、単体又は二種類以上の金属酸化物を積層及び/又は混合した層である半導体もしくは絶縁体積層薄膜の層である。金属酸化物を構成する金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、インジウム、ガリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ケイ素からなる群から選ばれる。これらのうち、積層又は混合金属酸化物層を構成する金属元素の少なくとも一つが、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、チタン、亜鉛からなる層であることが好ましく、その中でも単体の金属酸化物ならば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛からなる群から選ばれる金属酸化物を含むことが好ましい。
上記単体又は二種類以上の金属酸化物を積層及び/又は混合した層の例としては、酸化チタン/酸化亜鉛、酸化チタン/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化ケイ素、酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化カルシウム/酸化アルミニウムなどの金属酸化物の組合せを積層及び/又は混合したものや、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化インジウム/酸化ガリウム/酸化亜鉛などの三種の金属酸化物の組合せを積層及び/又は混合したものなどが挙げられる。これらの中には、特殊な組成として良好な特性を示す酸化物半導体であるIGZOやエレクトライドである12CaO7Alも含まれる。
なお、本発明においては、シート抵抗が100Ω/□より低い物は導電体、シート抵抗が100Ω/□より高い物は半導体または絶縁体として分類される。従って、透明電極として知られているITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)等の薄膜は、導電性が高く半導体または絶縁体の範疇に含まれないことから本発明の第1の金属酸化物層を構成する一層に該当しない。
上記第2の金属酸化物層を形成する金属酸化物としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化タングステン(WO)、酸化ルテニウム(RuO)等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とするものが好ましい。第2の金属酸化物層が酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とするものにより構成されると、第2の金属酸化物層が陽極から正孔を注入して発光層又は正孔輸送層へ輸送するという正孔注入層としての機能により優れたものとなる。また、酸化バナジウム又は酸化モリブテンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、陽極から発光層又は正孔輸送層への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止することもできるという利点がある。より好ましくは、酸化バナジウム及び/又は酸化モリブテンから構成されるものである。
上記第1の金属酸化物層の平均厚さは、1nmから数μm程度まで許容できるが、低電圧で駆動できる有機電界発光素子とする点から、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。
上記第2の金属酸化物層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。
第1の金属酸化物層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
第2の金属酸化物層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、陰極上または金属酸化物層と発光層との間に、上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物等の有機化合物を含むバッファ層を有することが好ましい。
有機電界発光素子の金属酸化物層は、後述するようにスプレー熱分解法、ゾルゲル法、スパッタ法等の方法で成膜され、表面は平滑ではなく凹凸を持つ。この金属酸化物層の上に、真空蒸着等の方法で発光層を成膜した場合、発光層の原料となる成分の種類によっては、金属酸化物層の表面の凹凸が結晶核となり、金属酸化物層に接する発光層を形成する材料の結晶化が促進される。このため、有機電界発光素子を完成させたとしても、大きなリーク電流が流れ、発光面が不均一化して、素子の性能が低下する場合がある。
しかし、バッファ層を形成すると、表面の平滑な層を形成することができるため、素子の性能が向上する傾向にある。さらに、金属酸化物層と発光層との間に上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物等の有機化合物を含む溶液を塗布してバッファ層を形成すると、発光層を形成する材料の結晶化がより抑制され、これによって、金属酸化物層を有する有機電界発光素子が発光層等として結晶化が起こりやすい材料を用いた場合でも、リーク電流の抑制と、均一な面発光を得ることができることになる。
上記式(1)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物由来の骨格を有する化合物は、上述したとおり、LUMOのエネルギー準位が低い化合物であることから、第1の金属酸化物層の仕事関数と発光層のLUMOのエネルギー準位とのギャップが大きい場合でも、本発明の有機電界発光素子用材料を金属酸化物層と発光層との間に配置し、電子注入層又は電子輸送層の材料として用いることで、有機電界発光素子の陰極から発光層への電子の流れを円滑にすることができ、素子を発光効率や駆動安定性に優れたものとすることができる。またこの化合物を含む本発明の有機電界発光素子用材料を塗布により成膜してバッファ層を形成した場合、有機電界発光素子を発光効率や駆動安定性に優れたものとするだけでなく、更に、リーク電流が抑制され、より均一な面発光の素子とすることができる。
このように、本発明の有機電界発光素子が、本発明の有機電界発光素子用材料の塗膜の層であるバッファ層を陰極もしくは金属酸化物上に有することは、本発明の好適な実施形態の1つである。なお、ここで「バッファ層を陰極もしくは金属酸化物上に有する」とは、陰極上に隣接して、又は、金属酸化物上に隣接してバッファ層を有することを意味する。
上記バッファ層は、平均厚さが5〜100nmであることが好ましい。平均厚さがこのような範囲であることで、発光層の結晶化を抑制する効果を充分に発揮することができる。バッファ層の平均厚さが5nmより薄いと、酸化物表面に存在する凹凸を十分に平滑化できず、リーク電流が大きくなってバッファ層を形成することの効果を充分に発揮することができないおそれがある。また、バッファ層の平均厚さが100nmより厚いと、駆動電圧が上昇し実用上好ましくない。また、バッファ層の材料として、本発明の有機電界発光素子用材料を用いた場合には、バッファ層は電子注入層としての機能も充分に発揮することができる。上記バッファ層の平均厚さは、より好ましくは、10〜60nmである。また、本発明の有機電界発光素子の連続駆動寿命の点も考えると、上記バッファ層の平均厚さは、10〜30nmであることが更に好ましい。
バッファ層の平均厚さは触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、発光層を形成する材料としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
上記発光層を形成する高分子材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物;更には特開2011−184430号、特開2012−151148号に記載のホウ素化合物系高分子材料等が挙げられる。
上記発光層を形成する低分子材料としては、後述するホストとして機能する金属錯体、及び、リン光発光材料の他、8−ヒドロキシキノリン アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート) アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン 亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン プラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物、ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物、コロネンのようなコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物、ピレンのようなピレン系化合物、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物、アクリジンのようなアクリジン系化合物、スチルベンのようなスチルベン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)、4、4’−ビス(9−エチルー3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)のようなカルバゾール系化合物、2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物、ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物、クマリンのようなクマリン系化合物、ペリノンのようなペリノン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009−155325号公報および特許第5660371号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記正孔輸送層の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
またこれらの化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
上記p型の低分子材料としては、1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサンのようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、TPTEのようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)のようなフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾールのようなカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベンのようなスチルベン系化合物、OxZのようなオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、m−MTDATAのようなトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンのようなピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロールのようなピロール系化合物、フルオレンのようなフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリンのようなポルフィリン系化合物、キナクリドンのようなキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニンのような金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジンのようなベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、α−NPD、TPTEのようなアリールアミン系化合物が好ましい。
本発明の有機電界発光素子が独立した層として正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。
正孔輸送層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
上記電子輸送層の材料としては、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、Alqのような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体が好ましい。
本発明の有機電界発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。
電子輸送層の平均厚さは、低分子化合物の場合は水晶振動子膜厚計により、高分子化合物の場合は接触式段差計により測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、金属酸化物層、陰極、陽極、発光層、正孔輸送層、電子輸送層を形成する方法は特に制限されず、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができ、材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。
これらの方法は各層の材料の特性に応じて選択するのが好ましく、層ごとに作成方法が異なっていても良い。第2の金属酸化物層は、これらの中でも、気相製膜法を用いて形成するのがより好ましい。気相製膜法によれば、有機化合物層の表面を壊すことなく清浄にかつ陽極と接触よく形成することができ、その結果、上述したような第2の金属酸化物層を有することによる効果がより顕著なものとなる。
本発明の有機電界発光素子において、上述したバッファ層は、有機化合物を含む溶液を塗布することで形成される層であることが好ましい。塗布により所定の厚みのバッファ層を形成することでバッファ層上に成膜する層を形成する材料の結晶化を効果的に抑制することが可能となる。
上記有機化合物を含む溶液を塗布する方法は特に制限されず、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、バーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法を用いることができる。このうち、膜厚をより制御しやすいという点でスピンコート法やスリットコート法が好ましい。
バッファ層を塗布成膜することで、酸化物層表面に存在する凹凸が平滑化されるため、次にバッファ層上に成膜する層を形成する材料の結晶化が抑制される。
上記有機化合物を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
上記有機化合物を含む溶液は、溶媒中の有機化合物の濃度が0.05〜10質量%であることが好ましい。このような濃度であると、塗布した時の塗りムラや凹凸の発生を抑えることができる。溶媒中の有機化合物の濃度はより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
本発明の有機電界発光素子は、有機化合物層の材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。このため、表示装置や照明装置の材料として好適に用いることができるものである。
このような、本発明の有機電界発光素子を用いて形成される表示装置もまた、本発明の1つであり、本発明の有機電界発光素子を用いて形成される照明装置もまた、本発明の1つである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例において合成した化合物についての各種測定は、以下のように行った。
H−NMR測定)
試料をテトラメチルシランを含有する重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドに溶解し、核磁気共鳴装置(Gemini2000、400MHz、Varian社製)により測定した。
(実施例1)
ビピリジン化合物1の合成
Figure 0006928534
1000mL三ツ口フラスコに2−クロロ−3−シアノピリジン(10.0g,72.2mmol)、2−フルオロ−3−ピリジンボロン酸(12.2g,86.6mmol)、DME(360ml)に溶解させ、炭酸ナトリウム(23.0g,216mmol)の水溶液(180ml)を加えた。1時間窒素ガスをバブリングさせた後、Pd(PPh3)4(2.5g,2.17mmol)を加え、100℃で23時間加熱攪拌した。2−フルオロ−3−ピリジンボロン酸(12.2g,86.6mmol)、Pd(PPh3)4(2.5g,2.17mmol)を追加し、Pd(PtBu3)2(50mg)を加え、100℃で24時間加熱攪拌した。室温まで放冷し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりビピリジン化合物1を9.2g(46.2mmol)得た。(収率64%)
環状アミド2の合成
Figure 0006928534
300mlナスフラスコに、ビピリジン化合物1(9.2g,46.2mmol)を入れ、t−ブチルアルコール(180ml)に溶解させた。これに水酸化カリウム(12.8g,228mmol)を一度に加え、100℃で終夜加熱攪拌した。t−ブチルアルコールをロータリーエバポレータで留去し、残渣に水を加え溶解させた。2N塩酸で中和し、析出する固体をろ取、水で洗浄した。得られた白色固体を真空下乾燥させることにより環状アミド化合物2を6.0g(30.4mmol)得た。(収率66%)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物3の合成
Figure 0006928534
フラスコに環状アミド化合物2(1.0g,5.1mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.46ml,2.6mmol)、アセトニトリル(15ml)を入れ、攪拌しながらオキシ塩化リン(0.70ml,7.7mmol)を加えた。95℃で終夜加熱攪拌した後、室温まで放冷し水を加え、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣にクロロホルムを加え、水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物3を780mg(3.6mmol)得た。(収率71%)
物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.44(dd,1H),9.23(dd,1H),9.15(dd,1H),8.79(dd,1H),7.77(dd,1H),7.72(dd,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物4の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物3(280mg,1.3mmol)、ボロン酸エステル(484mg,1.6mmol)、Pd(PPh3)4(231mg,0.06mmol)、ジオキサン(6.5ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,1.6ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してろ液を濃縮、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物4を360mg(0.99mmol)得た。(収率76%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.53(dd,1H),9.20−9.22(m,2H),8.72(d,1H),8.64(dd,1H),8.22−8.25(m,1H),8.04(d,1H),7.89−7.92(m,2H),7.71(dd,1H),7.66(dd,1H),7.47−7.53(m,2H).
(実施例2)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物5の合成
Figure 0006928534
50ml二口フラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物3(518mg,2.4mmol)、ボロン酸エステル(330mg,1.0mmol)、Pd(PPh(139mg,0.12mmol)、トルエン(12ml)、エタノール(3.8ml)、炭酸ナトリウム水溶液(1.22gを水5.8mlに溶解させたもの)を加え、還流させながら終夜加熱攪拌した。室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物5を368mg(0.84mmol)得た。収率(84%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.53(dd,2H),9.20―9.21(m,4H),8.61(dd,2H),8.22−8.23(m,1H),8.06(dd,2H),7.83(t,1H),7.73(dd,2H),7.67(dd,2H).
(実施例3)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物6の合成
Figure 0006928534
50ml二口ナスフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物3(863mg,4.0mmol)、ボロン酸エステル(731mg,1.8mmol)、Pd(PPh(231mg,0.20mmol)、ジオキサン(20ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,8.8ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してろ液を濃縮、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物6を680mg(1.33mmol)得た。(収率74%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.52(dd,2H),9.18−9.21(m,4H),8.61(dd,2H),8.15−8.16(m、2H),7.90(d,2H),7.84(d,2H),7.64−7.72(m,6H).
(実施例4)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物7の合成
Figure 0006928534
50ml二口ナスフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物3(776mg,3.6mmol)、ボロン酸エステル(921mg,1.62mmol)、Pd(PPh(208mg,0.18mmol)、ジオキサン(18ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,3.9ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してろ液を濃縮、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物7を435mg(0.64mmol)得た。(収率40%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.51(dd,2H),9.22(dd,2H),9.18(dd,2H),8.73(dd,2H),8.43(d,2H),7.92(d,2H),7.69−7.72(m,4H),7.65(dd,2H),7.45(t,2H),7.22(t,2H),7.00(d,2H),6.91(d,2H).
(実施例5)
ビピリジン8の合成
Figure 0006928534
1000ml三口フラスコに2−クロロ−3−シアノピリジン(6.0g,43.3mmol)、4−トリブチルスタニル−3−フルオロピリジン(18.4g,47.7mmol)、CuI(825mg,4.3mmol)、Pd(PPh3)4(1.5g,1.3mmol)、ジオキサン(220ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。室温まで放冷後、濃縮し、得られる残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりビピリジン8を7.7g(38.7mmol)得た。(収率89%)
環状アミド9の合成
Figure 0006928534
ナスフラスコにビピリジン8(7.7g,38.7mmol)、水酸化カリウム(10.9g,193mmol)、t−ブチルアルコール(155ml)を入れ、還流させながら終夜加熱攪拌した。濃縮し、水を加えて溶解させた後、2N塩酸で中和した。析出した固体をろ取し、水、アセトンで洗浄後、減圧下乾燥させ、環状アミド9を7.5g(38.0mmol)得た。(収率98%)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10の合成
Figure 0006928534
300ml三口フラスコに環状アミド9(7.5g,38.0mmol)、アセトニトリル(270ml)を入れ、ジイソプロピルエチルアミン(3.45ml,19.8mmol)、オキシ臭化リン(16.4g,57.1mmol)を加えた。この反応溶液を還流させながら終夜加熱攪拌した後、室温まで放冷し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10を7.4g(28.5mmol)得た。(収率75%)
物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.51(s,1H),9.24(dd,1H),8.92(d,1H),8.40(d,1H),8.76(dd,1H),7.85(dd,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物11の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10(936mg,3.6mmol)、ボロン酸エステル(840mg,1.62mmol)、Pd(PPh(208mg,0.18mmol)、ジオキサン(16ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,3.9ml,7.8mmol)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、さらにメタノールで洗浄し含窒素縮合多環式複素芳香環化合物11を510mg(0.98mmol)得た。(収率61%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.65(s、2H),9.26(dd,2H),8.91−8.95(m,4H),8.65(dd,2H),8.16(s,1H),8.12(d,2H),7.73(dd,2H),7.54−7.56(m,3H),1.38(s,18H).
(実施例6)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物12の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10(832mg,3.2mmol)、ボロン酸エステル(628mg,1.44mmol)、Pd(PPh(185mg,0.16mmol)、ジオキサン(16ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,3.5ml,76.91mmol)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、さらにメタノールで洗浄し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物12を540mg(1.0mmol)得た。(収率69%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.62(s,2H),9.25(dd,2H),8.89−8.91(m,4H),8.63(d,2H),8.57(dd,2H),8.16(d,2H),7.91(dd,2H),7.73(dd,2H).
(実施例7)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物13の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10(936mg,3.6mmol)、ボロン酸エステル(872mg,1.62mmol)、Pd(PPh(208mg,0.18mmol)、ジオキサン(18ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,3.9ml,7.78mmol)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、さらにメタノールで洗浄し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物13を845mg(1.31mmol)得た。(収率81%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.62(s,2H),9.23−9.27(m,2H),8.87−8.93(m,4H),8.53(d,2H),8.00(s,2H),7.85(d,2H),7.68−7.77(m,9H).
(実施例8)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物14の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10(520mg,1.99mmol)、ボロン酸エステル(509mg,2.4mmol)、Pd(PPh3)4(116mg,0.10mmol)、ジオキサン(10ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,2.4ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してろ液を濃縮、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物14を563mg(1.62mmol)得た。(収率81%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.68(s,1H),9.26(dd,1H),8.93−8.98(m,2H),8.23(dd,1H),8.19(d,1H),8.05(d,1H),7.82(d,1H),7.59−7.677(m,2H),7.38−7.46(m,3H).
(実施例9)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物15の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物10(643mg,2.47mmol)、ボロン酸エステル(484mg,2.97mmol)、Pd(PPh3)4(116mg,0.10mmol)、ジオキサン(12ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,3.0ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してろ液を濃縮、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。さらにメタノールで分散洗浄し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物15を1.08g(2.40mmol)得た。(収率97%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.57(s,1H)9.23(dd,1H),8.87−8.90(m,2H),8.27(dd,1H),8.02(m,1H),7.90(d,1H)7.78−7.79(m,2H),7.65(dd,1H),7.54−7.59(m,2H),7.28−7.42(m,3H).
(実施例10)
ビピリジン化合物16の合成
Figure 0006928534
1000mL三ツ口フラスコに2−シアノ−3−ブロモピリジン(10.0g、54.6mmol)、2−フルオロ−3−ピリジンボロン酸(9.24g,65.6mmol)を入れ、トルエン(220ml)とエタノール(60ml)に溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,60ml,120mmol)を加えた。これにPd(PPh(1.89g,1.64mmol)を加え、還流させながら終夜加熱攪拌した。これを室温まで放冷し、水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりビピリジン化合物16を3.2g(15.8mmol)得た(収率29%)。
物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.78(d,J=3.2Hz,1H),8.39(dd,J=2.0,1H)7.97−8.02(m、1H),7.93(d,J=8.0Hz,1H),7.64(dd,J=3.2Hz,1H),7.39−7.42(m,1H).
環状アミド化合物17の合成
Figure 0006928534
ナスフラスコにビピリジン化合物16(3.2g、15.8mmol)水酸化カリウム(4.4g,79.1mmol)、t−ブチルアルコール(63ml)を入れ、還流させながら終夜加熱攪拌した。これを濃縮し、水を加えて溶解させた後、2N塩酸で中和した。析出した固体をろ取し、水、メタノールで洗浄後、減圧下乾燥させ、環状アミド化合物17を1.83g(9.3mmol)得た(収率59%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ12.28(s,1H),8.99(d,1H),8.93(d,1H),8.85(d,1H),8.54(dd,1H),7.88(dd,1H),7.36(dd,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物18の合成
Figure 0006928534
200ml二ツ口フラスコに環状アミド化合物17(1.83g,9.3mmol)、アセトニトリル(70ml)を入れ、ジイソプロピルエチルアミン(0.84ml,4.8mmol)、オキシ臭化リン(4.0g,13.9mmol)を加えた。この反応溶液を還流させながら終夜加熱攪拌した後、室温まで放冷し、濃縮した。これにクロロホルムを加え、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。これをろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物18を546mg(2.10mmol)得た(収率23%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.23(dd,1H),9.14(dd,1H),8.91(dd,1H),8.88(dd,1H),7.90(dd,1H),7.73(dd,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物19の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに臭素原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物18(546mg,2.10mmol)、ボロン酸エステル(410mg,0.95mmol)、Pd(PPh(121mg,0.11mmol)、ジオキサン(11ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,4.6ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。これを濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物19を410mg(0.75mmol)得た(収率80%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.22(dd,J=1.2,1.6Hz,2H),9.18(dd,J=1.6Hz,2H),8.99(dd,J=1.6Hz,2H),8.91(dd,J=1.6,2.0Hz、2H),8.31(s,2H),8.23(dd,J=1.6,2.0Hz,2H),7.86(dd,J=4.0Hz,2H),7.68(dd,J=4.4Hz,2H)7.61(d,J=8.0Hz,2H),2.30(s,6H).
(実施例11)
ビピリジン化合物20の合成
Figure 0006928534
300mL三ツ口フラスコに4−シアノ−3−ブロモピリジン(3.9g、21.3mmol)、3−フルオロ−4−トリブチルスタニルピリジン(9.05g,23.4mmol)、CuI(406mg,2.1mmol)を入れ、ジオキサン(106ml)に溶解させた。これにPd(PPh(739g,0.64mmol)を加え、還流させながら終夜加熱攪拌した。室温まで放冷後濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりビピリジン化合物20を3.9g(19.6mmol)得た(収率92%)。
物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.90(d,1H),8.87(s,1H),8.71(s,1H),8.64(d,1H),7.72(d,1H),7.43(t,1H).
環状アミド化合物21の合成
Figure 0006928534
ナスフラスコにビピリジン化合物20(3.9g、19.6mmol)、水酸化カリウム(5.49g,97.9mmol)、t−ブチルアルコール(80ml)を入れ、還流させながら終夜加熱攪拌した。濃縮し、水を加えて溶解させた後、2N塩酸で中和した。析出した固体をろ取し、水、メタノールで洗浄後、減圧下乾燥させ、環状アミド化合物21を4.36g得た(不純物含む)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ12.2(s,1H),9.96(s,1H),8.94(d,1H),8.70(s,1H),8.51−8.61(m,2H),8.16(d,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物22の合成
Figure 0006928534
300ml二ツ口フラスコに環状アミド化合物21(4.36g)、アセトニトリル(170ml)を入れ、ジイソプロピルエチルアミン(2.0ml,11.5mmol)、オキシ臭化リン(9.51g,33.2mmol)を加えた。この反応溶液を還流させながら終夜加熱攪拌した後、室温まで放冷し、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物22を340mg(1.31mmol)得た(ビピリジン化合物5に対し収率6.6%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ10.02(s,1H),9.50(s,1H),9.10(d,1H),8.92(d,1H),8.44(d,1H),8.25(d,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物23の合成
Figure 0006928534
二ツ口フラスコに臭素原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物22(340mg,1.31mmol)、ボロン酸エステル(622mg,1.57mmol)、Pd(PPh(76mg,0.065mmol)、ジオキサン(6.5mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,1.6mL)を入れ、100℃で終夜攪拌した。室温まで放冷後、濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で分液洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物23を30mg(0.067mmol)得た(収率5.1%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.57(s,1H)9.23(dd,1H),8.87−8.90(m,2H),8.27(dd,1H),8.02(m,1H),7.90(d,1H)7.78−7.79(m,2H),7.65(dd,1H),7.54−7.59(m,2H),7.28−7.42(m,3H).
(実施例12)
ビピリジン化合物24の合成
Figure 0006928534
300mL三ツ口フラスコに2−シアノ−3−ブロモピリジン(5.0g、27.3mmol)、3−フルオロ−2−トリブチルスタニルピリジン(12.6g,32.8mmol)、CuI(520mg,2.7mmol)を入れ、ジオキサン(140ml)に溶解させた。これにPd(PPh(947mg,0.82mmol)を加え、還流させながら終夜加熱攪拌した。室温まで放冷し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりビピリジン化合物24を4.1g(20.3mmol)得た。(収率74%)
物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.80(d,J=6.0Hz,1H),8.64(d,1H),8.10(dd,1H),7.50−7.65(m,2H),7.47−7.50(m,1H).
環状アミド化合物25の合成
Figure 0006928534
ナスフラスコにビピリジン化合物24(4.1g、20.3mmol)、水酸化カリウム(5.7g,101.7mmol)、t−ブチルアルコール(100ml)を入れ、還流させながら終夜加熱攪拌した。濃縮し、水を加えて溶解させた後、2N塩酸で中和した。析出した固体をろ取し、水、メタノールで洗浄後、減圧下乾燥させ、環状アミド化合物25を3.75g(19mmol)得た(収率93%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ12.00(s,1H),9.09(dd,1H),9.00(dd,1H),8.56(dd,1H),7.91(dd、1H),7.75(dd,1H),5.56−7.59(m,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物26の合成
Figure 0006928534
300ml二ツ口フラスコに環状アミド化合物25(3.75g,19.0mmol)、アセトニトリル(140ml)を入れ、ジイソプロピルエチルアミン(1.7ml,9.9mmol)、オキシ臭化リン(8.18g,28.5mmol)を加えた。この反応溶液を還流させながら終夜加熱攪拌した後、室温まで放冷し、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物26を546mg(2.10mmol)得た(収率23%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.51(dd,1H),9.27(dd,1H),9.07(dd,1H),8.48(dd,1H),7.93(dd,1H),7.76(dd,1H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物27の合成
Figure 0006928534
二ツ口フラスコに臭素原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物26(1.04g,4.0mmol)、ボロン酸エステル(1.90g,4.80mmol)、Pd(PPh(231mg,0.20mmol)、ジオキサン(20mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,6.0mL)を入れ、100℃で終夜攪拌した。室温まで放冷後、濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で分液洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物27を1.64g(3.64mmol)得た(収率91%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.53(d,1H),9.09(dd,1H),9.02(dd,1H),8.55−8.57(m,1H),8.49(dd,1H),8.21(d,1H),7.88(d,1H),7.83(dd,1H),7.74(dd,1H),7.66(d,1H),7.41−7.52(m,6H),7.30−7.43(m,1H),7.24−7.26(m,2H).
(実施例13)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物28の合成
Figure 0006928534
フラスコに臭素原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物26(2.32g,8.91mmol)、ボロン酸エステル(1.70g,4.05mmol)、Pd(PPh(231mg,0.20mmol)、ジオキサン(88mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,10.2mL)を入れ、90℃で終夜攪拌した。室温まで放冷後、濃縮し、クロロホルム、THF、水を加え、析出固体をろ取した。得られた固体をTHF、水で洗浄後、クロロホルムに投入した。この溶液を熱ろ過し、ろ液を濃縮、アセトンを加えて濾過し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物28を0.72g(1.37mmol)得た(収率34%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.59(d,2H),9.20−9.21(m,2H),9.04−9.05(m,2H),8.90(s,2H),8.61(d,2H),8.36(d,2H),7.75−7.89(m,6H).
(実施例14)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物29の合成
Figure 0006928534
二ツ口フラスコに臭素原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物26(390mg,1.50mmol)、ベンゾチオフェンボロン酸(401mg,2.25mmol)、Pd(PPh(87mg,0.075mmol)、ジオキサン(7.5mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,1.8mL)を入れ、100℃で終夜攪拌した。室温まで放冷後、濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で分液洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物29を370mg(1.18mmol)得た(収率79%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.54(dd,1H),9.30(s,1H),9.27(dd,1H),8.99(d,1H),8.53(d,1H),7.92−8.98(m,2H),7.89(dd,1H)7.39−7.42(m,2H).
(実施例15)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物30の合成
Figure 0006928534
二ツ口フラスコに臭素原子を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物26(520mg,2.00mmol)、ボロン酸(547mg,2.4mmol)、Pd(PPh(116mg,0.10mmol)、ジオキサン(10mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,3.0mL)を入れ、100℃で加熱攪拌した。室温まで放冷後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物30を300mg(0.83mmol)得た(収率41%)。
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.62(d,1H),9.19(dd,1H),9.09(dd,1H),8.70(dd,1H),8.64(d,1H),8.35(d,1H),8.23−8.26(m,1H),7.80−7.90(m,3H),7.72(t,1H),7.45−7.52(m,2H).
(実施例16)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物33の合成
Figure 0006928534
1000ml三ツ口フラスコに2−クロロ−3−シアノピリジン(4.15g,30.0mmol)、2−トリブチルスタニル−3−フルオロピリジン(17.4g,45mmol)、CuI(571mg,3.0mmol)、Pd(PPh(1.73g,1.5mmol)、ジオキサン(150ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。室温まで放冷後、濃縮し、得られる残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによりビピリジン31を5.5g(27.6mmol)得た。(収率92%)
ナスフラスコにビピリジン6(5.5g,27.7mmol)、水酸化カリウム(7.78g,138.6mmol)、t−ブチルアルコール(110ml)を入れ、90℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、水を加え、2N塩酸で中和した。析出した固体をろ取し、水で洗浄後、減圧下乾燥させ、環状アミド32を5.5g得た。
300ml三口フラスコに環状アミド7(4.5g,22.8mmol)、アセトニトリル(170ml)を入れ、ジイソプロピルエチルアミン(2.1ml,12.9mmol)、オキシ臭化リン(9.8g,34.2mmol)を加えた。この反応溶液を還流させながら終夜加熱攪拌した後、室温まで放冷し、水を加えた。クロロホルムで抽出し、有機層を水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過してろ液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物33を5.3g(20,5mmol)得た。(収率90%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.36−9.37(m,1H),9.20−9.21(m,1H),8.74(dd,1H),8.46(dd,1H),7.78−7.85(m,2H).
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物34の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物33(572mg,2.2mmol)、ボロン酸エステル(430mg,0.99mmol)、Pd(PPh(127mg,0.11mmol)、ジオキサン(15ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,5.3ml)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物34を442mg(0.79mmol)得た。(収率88%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.41(dd,2H),9.23(dd,2H),8.64(dt,4H),7.86(dd,2H)7.76−7.78(m,2H),7.67(dd,2H),7.42(d,2H).
(実施例17)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物35の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物33(780mg,3.0mmol)、ボロン酸エステル(767mg,1.35mmol)、Pd(PPh(173mg,0.15mmol)、ジオキサン(15ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,6.6ml,13.2mmol)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物35を657mg(0.97mmol)得た。(収率72%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.27(dd,2H),9.14(dd,2H),8.47(dd,2H),8.24(dd,2H),8.19(d,2H),7.87(dd,2H),7.74−7.79(m,4H),7.54(dd,2H),7.36(t,2H),7.15−7.20(m,4H),6.96(d,2H).
(実施例18)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物36の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物33(187mg,0.72mmol)、ボロン酸エステル(122mg,0.30mmol)、Pd(PPh(42mg,0.036mmol)、ジオキサン(5ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,1.7ml,3.4mmol)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。析出した固体をろ取し、ジオキサン、水、メタノールの順に洗浄して含窒素縮合多環式複素芳香環化合物36を135g(0.27mmol)得た。((収率90%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.41(d,2H),9.23(d,2H),8.60−8.64(m,4H),7.91−7.94(m,8H),7.85(dd,2H),7.76(dd,2H).
(実施例19)
含窒素縮合多環式複素芳香環化合物37の合成
Figure 0006928534
シュレンクフラスコに含窒素縮合多環式複素芳香環化合物33(1.04mg,4.0mmol)、ボロン酸エステル(868mg,1.80mmol)、Pd(PPh(231mg,0.20mmol)、ジオキサン(20ml)、炭酸ナトリウム水溶液(2.0M,8.8ml,17.6mmol)を入れ、100℃で終夜加熱攪拌した。濃縮し、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過してろ液を濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより含窒素縮合多環式複素芳香環化合物37を580g(0.99mmol)得た。(収率55%)
その物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ9.36(dd,2H),9.21(dd,2H),8.57(dd,2H),8.52(dd,2H),8.03(s,2H),7.96(s,1H),7.80−7.87(m,4H),7.67−7.74(m,8H),7.56−7.60(m,1H).
(HOMO−LUMOの分子軌道計算)
図2は、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、含窒素複素芳香環が3つ縮環した構造を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物(1)〜(12)のHOMO(最高被占軌道)−LUMO(最低空軌道)の分子軌道計算の結果を示す参考図である。該含窒素縮合多環式複素芳香環化合物(1)〜(12)は、それぞれ、本発明の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物が有する含窒素縮合多環式複素芳香環に相当する。図2の計算結果から、ピリジンやキノリン、フェナントロリンに比べて、該含窒素縮合多環式複素芳香環化合物(1)〜(12)のLUMOのエネルギー準位が低いことが示されている。この結果から、含窒素複素芳香環が3つ縮環した構造を有する含窒素縮合多環式複素芳香環化合物は陰極からの電子の注入(輸送)を効率的に行うことができると考えられる。
(分子軌道(HOMO軌道/LUMO軌道)の分布)
図3−1及び図3−2は、本発明の含窒素縮合多環式複素芳香環化合物の分子軌道(HOMO軌道/LUMO軌道)の分布を示す図である。
いずれの化合物でも、最低空軌道(LUMO)は含窒素縮合多環式複素芳香環化合物由来の骨格付近に偏在し、最高被占軌道(HOMO)は芳香族炭化水素環付近に偏在していることが確認できる。中でも、参考例1(Lが2価のベンゼン環1つだけのもの)に比べて、参考例4(Lが2価のジベンゾチオフェン環のもの)、参考例5(Lが2価のカルバゾール環のもの)、参考例6(Lが1価のベンゾイミダゾール環のもの)は、それぞれ、含窒素縮合多環式複素芳香環へのHOMOの分布がより少なく、LUMOとHOMOとがより分離している。また、上述した参考例1に対し、参考例2(Lが2個の芳香族炭化水素環が直接ジグザグ構造で結合した構造のもの)、参考例3(Lが3個の芳香族炭化水素環が直接ジグザグ構造で結合した構造のもの)は、含窒素縮合多環式複素芳香環へのHOMOの分布がより少なく、LUMOとHOMOとがより分離している。更に、上記参考例2は、参考例7(Lが2つの芳香族炭化水素環が直接直線状に結合した構造のもの)に対し、含窒素縮合多環式複素芳香環へのHOMOの分布がより少なく、LUMOとHOMOとがより分離している。LUMOとHOMOとが分離する程、含窒素縮合多環式複素芳香環化合物がより安定化すると考えられる。
(実施例20)
有機電界発光素子1の製造
以下に示す方法により、有機EL素子1を製造した。
[工程1]
基板2として、ITOからなる厚み150nmのパターニングされた電極(陰極3)が形成されている平均厚さ0.7mmの市販されている透明ガラス基板を用意した。そして、陰極3を有する基板2を、アセトン中、イソプロパノール中で超音波洗浄し、その後、UVオゾン洗浄を20分間行った。
[工程2]
[工程1]で作製したITO電極(陰極3)上に、亜鉛金属をターゲットとし、反応ガスとして酸素をキャリアガスとしてアルゴンを用いたスパッタ法により、平均厚さ10nmの酸化亜鉛(ZnO)層を形成した。その後、イソプロパノール、アセトンで洗浄を行った。さらに、本基板をスピンコーターにセットし、1重量%酢酸マグネシウム溶液(水/エタノール=1/3)を毎分1600回転で60秒スピンコートし、大気下でホットプレートにより400℃1時間アニールを行った。続いて本基板を水で洗浄した後、大気下でホットプレートにより250℃30分間乾燥させ、酸化物層4を形成した。
[工程3]
次に、以下に示す方法により、酸化物層上に、有機化合物を含む電子注入層5を形成した。まず、実施例5で合成した化合物11をシクロペンタノンに溶解し、1重量%のシクロペンタノン溶液を作製した。次に、[工程2]で作製した陰極3および酸化物層4の形成されている基板2をスピンコーターに設置した。そして、化合物11の1重量%シクロペンタノン溶液を酸化物層4上に滴下しながら、基板2を毎分3000回転で90秒間回転させて電子注入層5を形成した。電子注入層5の膜厚が10nm程度となるようにシクロペンタノン溶液濃度、スピンコート条件を設定した。
[工程4]
次に、電子注入層5までの各層が形成された基板2を、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、下記式(38)で示されるビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ))と、下記式(39)で示されるトリス[1−フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq))と、下記式(40)で示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)と、下記式(41)で示されるN4,N4’−ビス(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−N4,N4’−ジフェニルビフェニルー4,4’−ジアミン(DBTPB)と、Alとを、それぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。そして、真空蒸着装置内を約1×10−5Paの圧力となるまで減圧して、Zn(BTZ)をホスト、Ir(piq)をドーパントとして20nm共蒸着し、発光層6を成膜した。この時、ドープ濃度は、Ir(piq)が発光層6全体に対して6重量%となるようにした。 次に、発光層6まで形成した基板2上に、DBTPBとα−NPDをそれぞれ10nmと30nmをそれぞれ蒸着することにより、正孔輸送層7を成膜した。さらに、三酸化モリブデンMoOを真空一貫で蒸着することにより成膜し、膜厚が10nmの正孔注入層8を形成した。
[工程5]
次に、正孔注入層8まで形成した基板2上に、アルミニウム(陽極9)を膜厚が100nmとなるように蒸着して、本発明の有機電界発光素子である「素子1」を得た。
(実施例21)
有機電界発光素子2の製造
上記[工程3]において、実施例5で合成した化合物11の1重量%のシクロペンタノン溶液を用いる代わりに、実施例9で合成した化合物15の0.5重量%のシクロペンタノン溶液を用い、毎分3000回転で90秒間回転させたこと以外は実施例20と同様にして、本発明の有機電界発光素子である「素子2」を得た。
(比較例1)
比較有機電界発光素子の製造
上記[工程3]において、実施例5で合成した化合物11の1重量%のシクロペンタノン溶液を用いる代わりに、下記式(42)で示されるBCPの0.1重量%のシクロペンタノン溶液を用い、毎分1000回転で120秒間回転させたこと以外は実施例20と同様にして、本発明の有機電界発光素子に該当しない「比較素子」を得た。
Figure 0006928534
有機電界発光素子の発光特性測定
実施例20、21及び比較例1で作製した素子1、2及び比較素子について、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。また、トプコン社製の「BM−7」により、発光輝度を測定した。更に目視により発光面の均一性を確認した。これらの結果を、比較素子を基準とする相対値として表1に示した。また、素子1、2の電圧−電流密度測定結果及び電圧−輝度測定結果を図4−1〜5−2に示した。なお、表1中、LT95は素子の初期発光強度が5%減少するまでの時間を意味する。
表1の結果から、有機電界発光素子の電子輸送材料として一般的に用いられるBCPと比較し、本発明の有機電界発光素子用材料を用いた逆構造有機電界発光素子1、2は、発光効率が高く、長寿命であることが確認された。
Figure 0006928534
1:有機電界発光素子(逆構造有機電界発光素子)
2:基板
3:陰極
4:無機の酸化物層
5:電子注入層
6:発光層
7:正孔輸送層
8:正孔注入層
9:陽極

Claims (8)

  1. 基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられた有機電界発光素子において陰極と発光層との間に用いられる材料であって、
    該材料は、下記式(1);
    Figure 0006928534
    (式中、X〜Xは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表し、X〜Xいずれか1つが窒素原子である。Y〜Yは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、芳香族炭化水素環基、若しくは、芳香族複素環基のいずれかが結合した炭素原子、又は、窒素原子を表し、Y〜Yいずれか1つが窒素原子である。nは、〜4の整数である。Lは、2〜4価の連結基、又は、直接結合を表し、nが2の場合、Lは2価の連結基又は直接結合であり、nが3又は4の場合、Lはn価の連結基である。)で表される含窒素縮合多環式複素芳香環化合物(ただし、下記式で表される骨格構造を含むものを除く)を含むことを特徴とする有機電界発光素子用材料。
    Figure 0006928534
    (式中、X 及びX はそれぞれ独立的にN又はC(R )であり、X 及びX のうち少なくとも1つはNである。R は水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C 〜C 40 のアルキル基、C 〜C 40 のアルケニル基、C 〜C 40 のアルキニル基、C 〜C 40 のシクロアルキル基、核原子数3乃至40個のヘテロシクロアルキル基、C 〜C 60 のアリール基、核原子数5乃至60個のヘテロアリール基、C 〜C 40 のアルキルオキシ基、C 〜C 60 のアリールオキシ基、C 〜C 40 のアルキルシリル基、C 〜C 60 のアリールシリル基、C 〜C 40 のアルキルボロン基、C 〜C 60 のアリールボロン基、C 〜C 60 のアリールホスフィン基、C 〜C 60 のモノ又はジアリールホスフィニル基及びC 〜C 60 のアリールアミン基からなる群から選択される。L 乃至L はそれぞれ独立的に単一結合、C 〜C 30 のアリーレン基及び核原子数5乃至30個のヘテロアリーレン基からなる群から選択される。)
  2. 前記式(1)中、Lにおける2〜4価の連結基は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子用材料。
  3. 前記式(1)中、Lにおける2〜4価の連結基は、複数の芳香族炭化水素環が直接結合した構造を有することを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子用材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子用材料を用いて構成されることを特徴とする有機電界発光素子。
  5. 前記有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に金属酸化物層を有することを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記有機電界発光素子は、前記有機電界発光素子用材料の塗膜の層であるバッファ層を陰極もしくは金属酸化物上に有することを特徴とする請求項4又は5に記載の有機電界発光素子。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子を含む表示装置。
  8. 請求項4〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子を含む照明装置。
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