JPWO2013024532A1 - 固体電解コンデンサ、およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、下記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ下記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層が形成された、固体電解コンデンサ。条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。条件(B):電気容量が95μF/cm2であるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。

Description

本発明は、固体電解コンデンサ、およびその製造方法に関する。
近年、アルミニウム、ニオブ、タンタル、チタン、マグネシウムなどの弁作用を有する多孔質の金属体からなる陽極体(被膜形成金属)の表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を固体電解質として用いてなる固体電解質層、および陰極体が順次形成された固体電解コンデンサが開発されている。
このような固体電解コンデンサは、固体電解質として二酸化マンガンを用いた従来の固体電解コンデンサと比較して、固体電解質の導電率が10〜100倍高く、またESR(等価直列抵抗)を大きく減少させることが可能であり、小型電子機器の高周波ノイズの吸収用など様々な用途への応用が期待されている。
誘電体酸化膜上に固体電解質層を形成する方法としては、化学酸化重合法や、電解重合法が一般的である。
化学酸化重合法は、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、ピロール、アニリンなどの導電性高分子のモノマーと、酸化剤やドーパント(導電補助剤)を含む溶液に、表面に誘電体酸化膜が形成された被膜形成金属を浸漬させ、誘電体酸化膜上においてモノマーと酸化剤とを直接反応させて固体電解質層を形成させる方法である。
一方、電解重合法は、予め誘電体酸化膜上に導電性の下地層を形成しておき、該下地層上に導電性高分子のモノマーおよびドーパントを含む電解質液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜と下地層との間に電圧を印加して固体電解質層を形成する方法である。
例えば、特許文献1には、化学酸化重合法による固体電解質層の形成方法が開示されている。具体的には、EDOTと、酸化剤およびドーパントを兼ねるp−トルエンスルホン酸鉄(III)とを有機溶媒に溶解させた溶液を、表面酸化が施されたアルミニウム電極の表面に塗布して高分子塗膜を形成した上で、有機溶媒を除去して固体電解質層を形成している。
また、特許文献2には、化学酸化重合法により形成されたポリピロールもしくはポリアニリンの固体電解質層を下地とし、該下地の表面に同質の固体電解質層を電解重合法によってさらに形成する方法が開示されている。
しかし、これら化学酸化重合法や電解重合法は、誘電体酸化膜上で重合反応を進行させるため、固体電解質層に不純物が混入しやすく、ショートの原因となることがあった。また、製造工程が煩雑になりやすかった。
そこで、誘電体酸化膜上で化学酸化重合や電解重合を行わずに固体電解質層を形成する方法として、スラリーポリマー塗布法が提案されている。スラリーポリマー塗布法は、予めモノマーを重合させてポリマー(導電性高分子)とし、該ポリマーを含む分散液を誘電体酸化膜上に塗布させて乾燥し、塗膜とすることにより固体電解質層を形成する方法である。
スラリーポリマー塗布法は、化学酸化重合法や電解重合法のように誘電体酸化膜上で重合反応を進行させるのではなく、予めモノマーと酸化剤とドーパントを化学酸化させて重合反応が完了した導電性高分子を用いる。従って、重合反応を誘電体酸化膜上で行う必要がないため、固体電解質層への不純物の混入が少なく、製造工程の制御も比較的容易である。
しかし、スラリーポリマー塗布法の場合、導電性高分子の分散液が誘電体酸化膜の内部まで含浸しにくかった。その結果、誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部(細孔)には固体電解質層が形成されにくく、表層のみに固体電解質層が形成されるため、得られる固体電解コンデンサの容量発現率が低くなるという問題があった。
そこで、水や有機溶媒に可溶な導電性高分子を用いて固体電解質層を形成する方法が提案されている。
例えば特許文献3には、特定の可溶性アニリン系導電性ポリマーを水または含水有機溶媒に溶解したポリマー溶液を、被膜形成金属表面の誘電体酸化膜上に塗布し、乾燥させて固体電解質層を形成する方法が開示されている。
特許第3040113号公報 特公平3−61331号公報 特開平9−22833号公報
しかしながら、近年、固体電解コンデンサの小型化・軽量化・大容量化が進んでいるため、多孔質の被膜形成金属は微細化されていたり、様々な形態の微細孔を有していたりする。従って、このような被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜も内部はより微細で複雑であり、該誘電体酸化膜の内部に導電性高分子を含浸させるには、特許文献3に記載の方法のように、ポリマー溶液を単に用いるだけでは不十分であった。
また、固体電解コンデンサの構造は積層型と巻回型に大別されるが、特に巻回型の固体電解コンデンサの場合は、誘電体酸化膜と陰極との間に設けられた繊維や紙などのセパレータにポリマー溶液を十分に含浸させることは容易ではなかった。特に、セパレータに絶縁油を浸み込ませた場合には、ポリマー溶液が含浸しにくかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、誘電体酸化膜を有する陽極体(被膜形成金属)の内部まで導電性高分子が十分に含浸した固体電解コンデンサ、および誘電体酸化膜を有する陽極体(被膜形成金属)の内部まで導電性高分子が十分に含浸した固体電解コンデンサを簡便に製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、導電性高分子の平均粒子径などを規定することで、誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部への含浸性が著しく改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、下記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ下記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層が形成されたことを特徴とする。
条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
ここで、前記導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量が9質量%以下であることが好ましい。
また、前記導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満であることが好ましい。
さらに、前記導電性高分子溶液が界面活性剤を含むことが好ましい。
また、前記導電性高分子が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2013024532
式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基もしくはその塩、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Brまたは−Iであり、R〜Rのうちの少なくとも一つは酸性基もしくはその塩である。ここで、酸性基とはスルホン酸またはカルボキシ基である。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、下記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ下記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布する工程と、塗布した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層を形成する工程とを有することを特徴とする。
条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
ここで、前記導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量が9質量%以下であることが好ましい。
また、前記導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満であることが好ましい。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒を塗布する工程と、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒が塗布された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布する工程と、塗布した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層を形成する工程とを有することを特徴とする。
ここで、前記導電性高分子が下記条件(A)を満たし、前記導電性高分子溶液が下記条件(B)を満たすことが好ましい。
条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
また、前記導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量が9質量%以下であることが好ましい。
さらに、前記導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサは誘電体酸化膜を有する陽極体(被膜形成金属)の内部まで導電性高分子が十分に含浸している。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法によれば、誘電体酸化膜を有する陽極体(被膜形成金属)の内部まで導電性高分子が十分に含浸した固体電解コンデンサを簡便に製造できる。
本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の固体電解コンデンサの他の一例を模式的に示す斜視図である。 動的光散乱法により測定した導電性高分子の粒子分布を模式的に示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「導電性高分子」とは、導電性高分子、又は導電性高分子及びそのドーパントを示し、「導電性高分子溶液」とは、導電性高分子、又は導電性高分子及びそのドーパントを溶解または分散した溶液を示すものである。
また、本発明において、「含浸」とは、導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部に浸漬(浸透)すること、あるいは、該誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部にどの程度浸漬(浸透)しているかを示すものである。
含浸性は、例えば、コンデンサの断面を走査型電子顕微鏡等で観察することにより、相対的に評価することができる。
<固体電解コンデンサ>
本発明の固体電解コンデンサの一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例のコンデンサの構成を模式的に示す。この例の固体電解コンデンサ10は、被膜形成金属11と、被膜形成金属11上に形成された誘電体酸化膜12と、誘電体酸化膜12上に形成された固体電解質層13と、固体電解質層13上に形成されたグラファイト層14と、グラファイト層14上に形成された金属層15とを備えた、積層型固体電解コンデンサである。
(被膜形成金属)
被膜形成金属11は、弁作用を有する多孔質の金属体であり、導電性を有する。このような被膜形成金属11としては、固体電解コンデンサに用いられる通常の電極(弁作用金属体)を使用でき、具体的にはアルミニウム、タンタル、ニオブ、ニッケル等の金属材料からなる電極が挙げられる。その形態としては、金属箔、金属焼結体などが挙げられる。
なお、本発明において「導電性」とは、10Ω・cm以下の体積抵抗率を有することである。
(誘電体酸化膜)
誘電体酸化膜12は、被膜形成金属11を陽極酸化して形成されたものである。
被膜形成金属11を陽極酸化して形成される誘電体酸化膜12は、図1に示すように被膜形成金属11の表面状態を反映し、表面が微細な凹凸状となっている。この凹凸の周期は、被膜形成金属11の種類などに依存するが、通常、200nm以下程度である。また、凹凸を形成する凹部(微細孔)の深さは、被膜形成金属11の種類などに特に依存しやすいので一概には決められないが、例えばアルミニウムを用いる場合、凹部の深さは数十nm〜1μm程度である。
(固体電解質層)
固体電解質層13は、下記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ下記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなるものである。
条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
本発明に用いる導電性高分子の体積平均粒子径は、26nm未満である。体積平均粒子径が26nm未満であれば、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部へ導電性高分子が十分に含浸するので、容量発現率の高い固体電解コンデンサが得られる。含浸性により優れる点で、導電性高分子の体積平均粒子径は、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が特に好ましい。
導電性高分子の体積平均粒子径は、以下のようにして測定される値である。
まず、導電性高分子の濃度が1質量%の導電性高分子溶液を調製し、動的光散乱式粒子径測定装置を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定し、純水の粘度で補正する。そして、得られた1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径を求め、これを導電性高分子の体積平均粒子径とする。
なお、本発明において「最小粒子分布」とは、動的光散乱法により粒子分布を測定し、純水の粘度で補正した後、これを解析して得られる1つ以上の粒子分布群のうち、最も粒子径の小さい分布のことである。具体的には図3に示すように、粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークP,P,P,・・・のうち、粒子径が最小となるピークPを含む粒子分布(図3中、符号Sの領域)のことでる。動的光散乱法により粒子分布を測定して得られるピークが1つの場合は、この粒子分布が最小粒子分布となる。また、複数の粒子分布が重なった場合は、汎用ソフト等に組み込まれているGauss関数やLorentz関数等を用いる一般的な解析方法により、波形分離すればよい。
また、本発明の固体電解コンデンサ10の固体電解質層13は、単位面積あたりの電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上となる導電性高分子溶液より形成される。固体電解質層13が、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上となるような導電性高分子溶液より形成されれば、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部へ導電性高分子が十分に含浸するので、容量発現率の高い固体電解コンデンサが得られる。
容量発現率は以下のようにして求められる。
まず、単位面積あたりの電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に陽極酸化被膜を形成した後、濃度3質量%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させ、その液中での電気容量を測定し、これを最大電気容量(Cw)とする。
別途、上述したように積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造してその電気容量(Cs)を測定し、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率を下記式(i)より求める。
容量発現率(%)=(Cs/Cw)×100 ・・・(i)
積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率は、導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量などによって調節できる。具体的には、導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量を減らすと積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率は高くなる傾向にある。
導電性高分子は、水または有機溶媒に可溶であることが好ましい。導電性高分子が可溶性であれば、水または有機溶媒に導電性高分子を溶解させて導電性高分子溶液とし、該導電性高分子溶液を誘電体酸化膜12上に塗布・乾燥するといった簡易な方法で、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部にまで十分に導電性高分子が含浸した固体電解質層13を形成できる。
可溶性の導電性高分子としては、水または有機溶媒に溶解するものであれば特に限定されないが、スルホン酸基(−SOH)および/またはカルボキシ基(−COOH)を有するものが、溶解性の点で好ましく用いられる。なお、可溶性の導電性高分子において、スルホン酸基、カルボキシ基は、それぞれ、酸の状態(−SOH、−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO 、−COO)で含まれていてもよい。
なお、本発明において「可溶」とは、10gの水または有機溶剤(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
このような導電性高分子としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物が好ましい。
Figure 2013024532
式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基もしくはその塩、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Brまたは−Iであり、R〜Rのうちの少なくとも一つは酸性基もしくはその塩である。
ここで、「酸性基」とはスルホン酸またはカルボキシ基である。つまり、式(1)中、R〜Rのうちの少なくとも一つは、−SOH、−SO 、−COOHまたは−COOである。特に、製造が容易な点で、R〜Rのうち、いずれか一つが炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基であり、他のいずれか一つが−SO または−SOHであり、残りがHであるものが好ましい。
また、「酸性基の塩」とは、酸性基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、および置換アンモニウム塩のうち、少なくとも一種を示す。
導電性高分子は、当該導電性高分子を構成する全繰り返し単位(100モル%)のうち、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を20〜100モル%含有することが好ましく、50〜100モル%含有することがより好ましく、pHに関係なく水および有機溶剤への溶解性に優れる点で、100モル%含有することが特に好ましい。
また、導電性高分子は、導電性に優れる観点で、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物としては、溶解性に優れる点で、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)が特に好ましい。
導電性高分子は、質量平均分子量が3000〜1000000であることが好ましく、3000〜300000であることがより好ましく、3000〜100000であることが特に好ましい。導電性高分子の質量平均分子量が3000以上であれば、導電性、成膜性および膜強度に優れる。導電性高分子の質量平均分子量が1000000以下であれば、水および有機溶媒への溶解性に優れる。
なお、導電性高分子の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量を測定し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算した値である。
導電性高分子は、化学重合または電解重合などの各種合成法によって得られる。また、例えば特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成方法により製造することもできる。
上述したように、固体電解質層13は、上記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ上記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を誘電体酸化膜12上に塗布し、乾燥してなるものである。このようにして形成された固体電解質層13は、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部にまで十分に導電性高分子が含浸しているので、得られる固体電解コンデンサ10の容量発現率が向上する。
導電性高分子溶液100質量%中の導電性高分子の含有量は、9質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。導電性高分子の含有量が9質量%以下であれば、誘電体酸化膜12が形成された被膜形成金属11や、後述する巻回型の固体電解コンデンサに備わるセパレータに対する濡れ性が向上するため、導電性高分子は誘電体酸化膜12の表面に堆積することなく、微細な凹凸の内部へ十分に含浸できる。
導電性高分子の含有量の下限値については特に制限されないが、所望の厚さの固体電解質層13を容易に形成できる点で、0.1質量%以上が好ましい。
また、導電性高分子溶液の表面張力は67mN/m未満であることが好ましく、60mN/m以下であることがより好ましい。導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満であれば、誘電体酸化膜12が形成された被膜形成金属11や、後述する巻回型の固体電解コンデンサに備わるセパレータに対する濡れ性が向上するため、導電性高分子は誘電体酸化膜12の表面に堆積することなく、微細な凹凸の内部へ十分に含浸できる。
導電性高分子溶液の表面張力の下限値については特に制限されないが、20mN/m以上が好ましい。
固体電解質層13の形成に用いる導電性高分子溶液は、導電性高分子の他に、該導電性高分子以外の導電性高分子(他の導電性高分子)や、界面活性剤等の添加剤など、他の材料などを含有してもよい。
他の導電性高分子としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリンなどが挙げられる。また、これら他の導電性高分子を用いる場合には、ドーパント(例えばポリスチレンスルホン酸など)を併用するのが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物およびこれらの塩などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば第一〜第三脂肪アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウムおよびこれらの塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアミノカルボン酸類などが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどが挙げられる。
ここで、アルキル基は炭素数1〜24が好ましく、炭素数3〜18がより好ましい。
これら界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子溶液が界面活性剤を含有する場合、導電性高分子溶液100質量%中の界面活性剤の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%以上であれば、導電性高分子溶液の表面張力を低下させることができる。よって、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部への含浸性が向上し、固体電解質層13の導電率が高まる。一方、界面活性剤の含有量が20質量%以下であれば、導電性を良好に維持できる。
(グラファイト層)
グラファイト層14は、グラファイト液を固体電解質層13上に塗布、または誘電体酸化膜12および固体電解質層13が順次形成された被膜形成金属11をグラファイト液に浸漬して形成されたものである。
(金属層)
金属層15としては、接着銀などの銀層の他、アルミニウム電極、タンタル電極、ニオブ電極、チタン電極、ジルコニウム電極、マグネシウム電極、ハフニウム電極などが挙げられる。
以上説明した本発明の固体電解コンデンサ10では、上記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ上記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を用いて固体電解質層13が形成されているので、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部にまで導電性高分子が十分に含浸している。よって、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部にまで固体電解質層13が形成されているため、容量発現率が高い。
<固体電解コンデンサの製造方法>
次に、上記固体電解コンデンサ10の製造方法の一例について説明する。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、被膜形成金属11の表面に形成された誘電体酸化膜12上に、上記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ上記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布する工程(塗布工程)と、塗布した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層13を形成する工程(乾燥工程)とを有する。
本発明においては、固体電解質層13を形成する工程以外の工程は、公知の技術により行われる。例えば、図1に示す固体電解コンデンサ10を製造する場合、アルミニウム箔などの被膜形成金属11の表層近傍をエッチングにより多孔質体化した後、陽極酸化により誘電体酸化膜12を形成する。ついで、誘電体酸化膜12上に固体電解質層13を形成した後、これをグラファイト液に浸漬させて、またはグラファイト液を塗布して固体電解質層13上にグラファイト層14を形成し、さらにグラファイト層14上に金属層15を形成する。さらに、陰極および陽極(いずれも図示略)に外部端子(図示略)を接続して外装し、固体電解コンデンサ10とする。
ここで、固体電解質層13を形成する工程について、詳しく説明する。
固体電解質層13は、被膜形成金属11の表面に形成された誘電体酸化膜12上に、上述した上記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ上記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布し(塗布工程)、誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部に導電性高分子を含浸させた後、乾燥する(乾燥工程)ことで形成できる。
なお、本発明において「塗布」とは、塗膜(層)を形成させることを指し、塗装や浸漬も塗布に含まれる。
導電性高分子溶液は、導電性高分子、および必要に応じて他の導電性高分子やドーパント、界面活性剤などの添加剤を溶媒に溶解することで得られる。
本発明の一実施態様において、導電性高分子溶液は、導電性高分子の含有量が導電性高分子溶液100質量%中、9質量%以下、より好ましくは5質量%以下になるように調整する。
導電性高分子の含有量が9質量%以下であれば、誘電体酸化膜12が形成された被膜形成金属11や、後述する巻回型の固体電解コンデンサに備わるセパレータに対する濡れ性が向上するため、導電性高分子は誘電体酸化膜12の表面に堆積することなく、微細な凹凸の内部へ十分に含浸できる。
導電性高分子の含有量の下限値については特に制限されないが、所望の厚さの固体電解質層13を容易に形成できる点で、0.1質量%以上が好ましい。
また、本発明の他の実施態様において、導電性高分子溶液は、表面張力が67mN/m未満、より好ましくは60mN/m以下になるように調整する。
導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満であれば、誘電体酸化膜12が形成された被膜形成金属11や、後述する巻回型の固体電解コンデンサに備わるセパレータに対する濡れ性が向上するため、導電性高分子は誘電体酸化膜12の表面に堆積することなく、微細な凹凸の内部へ十分に含浸できる。
導電性高分子溶液の表面張力の下限値については特に制限されないが、20mN/m以上が好ましい。
導電性高分子溶液の表面張力は、導電性高分子の種類や含有量、溶媒の種類などによって調整できる。
導電性高分子溶液に用いる溶媒としては、詳しくは後述するが、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒を用いる。例えば溶媒として混合溶媒を用いる場合、有機溶媒の割合が多くなるに連れて、導電性高分子溶液の表面張力は低くなる傾向にある。
また、導電性高分子溶液の表面張力は、前記界面活性剤を配合することでも調整できる。特に、溶媒として水のみを用いる場合は、導電性高分子溶液の表面張力が高くなる傾向にある。そのような場合は、界面活性剤を配合することで表面張力を低下させることができる。
なお、導電性高分子溶液の表面張力は、自動表面張力計を用いて、プレート法(ウィルヘルミ法)で測定される値である。
すなわち、測定子(白金プレート)を測定溶液につけて、測定子が溶液に引っ張られる力(表面張力)と測定子を固定しているバネの力がつりあったときの、測定子が溶液に沈んだ変位から、表面張力を測定する。
導電性高分子溶液に用いる溶媒としては、上述したように、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類やγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これら有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水への可溶性および取り扱いの点で、アルコール類が好ましく、特にメタノールやイソプロプルアルコールが好ましい。
溶媒として混合溶媒を用いる場合、混合溶媒100質量%中の有機溶媒の含有量は、4〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。有機溶媒の含有量が上記範囲内であれば、導電性高分子が良好に溶解する。
導電性高分子溶液の塗布方法としては、ディップコート法、刷毛塗り法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、スプレーコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等などが挙げられる。特に、操作が容易である点で、ディップコート法(浸漬法)が好ましい。
ディップコート法により導電性高分子溶液を塗布する場合、作業性の点で、導電性高分子溶液への浸漬時間は、1〜30分が好ましい。また、ディップコートする際に、減圧時にディップさせて常圧に戻す、あるいは、ディップ時に加圧するなどの方法も有効である。
ところで、スプレーコート法などは、外部からの物理的な力によって導電性高分子を誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部に含浸させることが可能であるが、機械装置の初期投資が嵩んだり、導電性高分子溶液が誘電体酸化膜12以外の部分に飛び散りやすく導電性高分子の利用率が低下したりしやすい。
しかし、本発明であれば、上述し導電性高分子溶液を用いて塗布を行うので、導電性高分子が誘電体酸化膜12の微細な凹凸の内部に含浸しやすい。従って、スプレーコート法などを用いなくても、操作が容易で、初期投資がかかりにくく、しかも導電性高分子を無駄なく利用できるディップコート法を使用でき、経済的にも有益である。
導電性高分子溶液を塗布した後の乾燥方法としては加熱乾燥が好ましいが、例えば、風乾や、スピンさせて物理的に乾燥させる方法などを用いてもよい。
また、乾燥条件は、導電性高分子や溶媒の種類により決定されるが、通常、乾燥温度は、乾燥性の観点から、20〜190℃が好ましく、乾燥時間は1〜30分が好ましい。
以上説明した本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、被膜形成金属上に形成された誘電体酸化膜上に、上記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ上記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布して固体電解質層を形成するので、導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部にまで十分に含浸する。よって、誘電体酸化膜上に高導電率の固体電解質層を形成でき、容量発現率が高い固体電解コンデンサを容易に製造できる。
特に、導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量や、導電性高分子溶液の表面張力を特定の値に調整すれば、導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部にまでより含浸しやすくなる。
また、近年は、多孔質の被膜形成金属はさらに微細化されていたり、様々な形態の微細孔を有していたりするので、誘電体酸化膜も内部はより微細で複雑になっているが、本発明であれば、より微細で複雑な誘電体酸化膜の内部にも、十分に導電性高分子を含浸できる。
よって、本発明により得られる固体電解コンデンサは、誘電体酸化膜上に、その微細な凹凸の内部にまで十分に導電性高分子が含浸した固体電解質層が形成されているので、容量発現率が高く、コンデンサとしての性能に優れる。
また、本発明は、誘電体酸化膜上で化学酸化重合や電解重合を行わずに固体電解質層を形成できるので、固体電解質層中の不純物が少なく、製造工程も煩雑になりにくい。
なお、被膜形成金属には、上記ではアルミニウムを例に説明したが、その他タンタル、ニオブ、ニッケルめっき品等特にアルミニウムに限定されるものではない。
<他の実施形態例>
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は上述した実施形態例に限定されない。
上述した実施形態例では、被膜形成金属上に形成された誘電体酸化膜上に直接、導電性高分子溶液を塗布して固体電解質層を形成させているが、導電性高分子溶液を塗布する前に、誘電体酸化膜上に有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒を塗布する工程(先漬け工程)を行ってもよい。
先漬け工程に用いる有機溶媒としては、導電性高分子溶液に用いる溶媒として先に例示した有機溶媒が挙げられる。先漬け工程において混合溶媒を用いる場合、混合溶媒100質量%中の有機溶媒の含有量は、10質量%以上が好ましい。
また、先漬け工程における有機溶媒または混合溶媒の塗布方法としては、導電性高分子溶液の塗布方法として先に例示した各種塗布方法が挙げられる。
この実施形態例では、先漬け工程を行った後、有機溶媒または混合溶媒が塗布された誘電体酸化膜上に、導電性高分子溶液を含む導電性高分子溶液を塗布し(塗布工程)、ついで、塗布した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層を形成する(乾燥工程)。
先漬け工程を行う場合、塗布工程に用いる導電性高分子溶液に含まれる導電性高分子は上記条件(A)を必ずしも満たす必要はないし、導電性高分子溶液も上記条件(B)を必ずしも満たす必要はない。これは、先漬け工程を行うことで、誘電体酸化膜が形成された被膜形成金属や、後述する巻回型の固体電解コンデンサに備わるセパレータに対する導電性高分子溶液の濡れ性が向上するため、上記条件(A)を満たさない導電性高分子を含む導電性高分子溶液を用いたり、上記条件(B)を満たさない導電性高分子溶液を用いたりしても、導電性高分子は誘電体酸化膜の表面に堆積することなく、微細な凹凸の内部へ含浸できるためであると考えられる。ただし、導電性高分子の含浸性をより高めるためには、上記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ上記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を用いることが好ましく、さらに、導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量を9質量%以下に調整したり、導電性高分子溶液の表面張力を67mN/m未満に調整したりすることがより好ましい。
また、本発明の固体電解コンデンサは、上述した実施形態例に限定されない。
上述した固体電解コンデンサは積層型の固体電解コンデンサであるが、例えば本発明の固体電解コンデンサは、誘電体酸化膜が形成された被膜形成金属(陽極)と、グラファイト層および金属層(陰極)との間に、セパレータを設けることができる。陽極と陰極との間にセパレータが設けられた固体電解コンデンサとしては、図2に示すような巻回型の固体電解コンデンサ20が挙げられる。
なお、図2において符号21は「陽極」であり、符号22は「陰極」であり、符号23は「セパレータ」である。
巻回型の固体電解コンデンサ20は、陽極21と陰極22との間にセパレータ23を設け、これらを巻き回して巻回体とした後、上述した積層型の固体電解コンデンサと同様にして被膜形成金属上に形成された誘電体酸化膜上に固体電解質層(図示略)を形成し、さらに陽極21と陰極22に外部端子24を接続して外装を施すことで得られる。誘電体酸化膜上に導電性高分子溶液を塗布する際は、ディップコート法が好適である。
また、陽極21と陰極22との間にセパレータ23を設けた後、上述した積層型の固体電解コンデンサと同様にして被膜形成金属上に形成された誘電体酸化膜上に固体電解質層を形成してから、これらを巻き回して巻回体としてもよい。
巻回型の固体電解コンデンサ20に使用されるセパレータ23の材質としては、繊維、紙、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
また、セパレータ23として、絶縁油を染み込ませたセパレータが用いられることもある。上記絶縁油としては、鉱油、ジアリルエタン油、アルキルベンゼン油、脂肪族エステル油(レイン酸エステル、フマル酸エステルなど)、芳香族エステル油(フタル酸エステルなど)、多環芳香族油、シリコーン油等の電気絶縁油またはこれらの混合物などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<導電性高分子の製造>
・A−1:ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)の製造
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを、25℃で100mmolのトリエチルアミンを含む水に攪拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄した。その後、乾燥し、粉末状のポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)(A−1)15gを得た。得られたA−1の体積平均粒子径は0.95nm、体積抵抗値は9.0Ω・cmであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で求めた質量平均分子量は約10000であった。
A−1の体積平均粒子径は、以下のようにして求めた。
まず、A−1の濃度が1質量%の導電性高分子溶液を調製し、動的光散乱式粒子径測定装置(日機装株式会社製、「ナノトラックUPA−UT」)を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定し、純水の粘度で補正した。得られた1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径を求め、これを導電性高分子の体積平均粒子径とした。
なお、動的光散乱法によるA−1の粒子分布は1つのピークを有していたので、純水の粘度で補正した後、この粒子分布をそのまま最小粒子分布として、体積平均粒子径を求めた。
<導電性高分子溶液(B−1〜B−21)の調製>
・B−1:A−1(3質量%)と、溶媒として水(97質量%)とを混合した。
・B−2:A−1(3質量%)と、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王株式会社製、「ペレックスOT−P」)(0.1質量%)と、溶媒として水(96.9質量%)とを混合した。
・B−3:A−1(3質量%)と、溶媒として水およびイソプロピルアルコール(IPA)の混合溶媒(質量比4:1)(97質量%)とを混合した。
・B−4:A−1(5質量%)と、溶媒として水およびIPA(質量比4:1)の混合溶媒(95質量%)とを混合した。
・B−5:A−1(8質量%)と、溶媒として水(92質量%)とを混合した。
・B−6:A−1(10質量%)と、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(0.1質量%)と、溶媒として水(89.9質量%)とを混合した。
・B−7:A−1(5質量%)と、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(0.5質量%)と、溶媒として水(94.5質量%)とを混合した。
・B−8:A−1(8質量%)と、溶媒として水およびメタノール(MeOH)の混合溶媒(質量比1:1)(92質量%)とを混合した。
・B−9:A−1(10質量%)と、溶媒として水(90質量%)とを混合した。
・B−10:A−1(9.1質量%)と、溶媒として水(90.9質量%)とを混合した。
・B−11:A−1(4.8質量%)と、溶媒として水およびIPA(質量比1:1)の混合溶媒(95.2質量%)とを混合した。
・B−12:A−1(4.8質量%)と、溶媒として水およびアセトン(質量比1:1)の混合溶媒(95.2質量%)とを混合した。
・B−13:A−1(4.8質量%)と、溶媒として水およびMeOH(質量比1:1)の混合溶媒(95.2質量%)とを混合した。
・B−14:A−1(4.8質量%)と、溶媒として水およびMeOH(質量比9:1)の混合溶媒(95.2質量%)とを混合した。
・B−15:A−1(4.8質量%)と、溶媒として水およびMeOH(質量比3:1)の混合溶媒(95.2質量%)とを混合した。
・B−16:A−1(4.8質量%)と、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(0.5質量%)と、溶媒として水(94.7質量%)とを混合した。
・B−17:A−1(4.8質量%)と、溶媒として水(95.2質量%)とを混合した。
・B−18:A−1(2.9質量%)と、溶媒として水およびMeOH(質量比4:1)の混合溶媒(97.1質量%)とを混合した。
・B−19:A−1(2.9質量%)と、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(0.1質量%)と、溶媒として水(97.0質量%)とを混合した。
・B−20:A−1(2.9質量%)と、溶媒として水およびIPA(質量比4:1)の混合溶媒(97.1質量%)とを混合した。
・B−21:PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))水溶液(Clevios社製、「PH510」、PEDOTの体積平均粒子径26.7nm、濃度1.2質量%)。
なお、B−1〜B−20はA−1が溶媒に溶解したが、B−21はPEDOTが溶媒に溶解せず、分散した。また、PEDOTの体積平均粒子径については、A−1と同様にして求めた。
(導電性高分子溶液の表面張力の測定)
導電性高分子溶液(B−1〜B−21)の表面張力について、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製、「CBVP−Z型」)を用い、プレート法(ウィルヘルミ法)により、以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
すなわち、測定子(白金プレート)を測定溶液につけて、測定子が溶液に引っ張られる力(表面張力)と測定子を固定しているバネの力がつりあったときの、測定子が溶液に沈んだ変位から、表面張力を測定した。
Figure 2013024532
<実施例1>
(試験片1の作製:積層型Ta基材)
誘電体酸化膜を有するタンタル素子(株式会社高純度物質研究所製、「タンタルコンデンサ陽極素子(ペレット)」)を、導電性高分子溶液(B−2)に5分間浸漬させた。その後、タンタル素子を取出し、130℃×15分の条件で加熱乾燥させて、誘電体酸化膜上に固体電解質層(誘電体酸化膜の表面からの厚さは10μm程度)を形成し、これを試験片1とした。
(試験片2の作製:積層型Al基材)
巻回型アルミニウムコンデンサを旗状に切り出し、濃度3質量%のアジピン酸アンモニウム水溶液中で、電圧5.7V、温度70℃の条件で120分間陽極酸化を行い、アルミニウム箔表面に誘電体酸化膜を形成し、アルミニウム素子を得た。このアルミニウム素子を、導電性高分子溶液(B−2)に5分間浸漬させた。その後、アルミニウム素子を取出し、105℃×30分の条件で加熱乾燥させて、誘電体酸化膜上に固体電解質層(誘電体酸化膜の表面からの厚さは10μm程度)を形成し、これを試験片2とした。
(試験片3の作製:巻回型Al基材)
巻回型アルミニウム素子を導電性高分子溶液(B−2)に5分間浸漬させた。その後、巻回型アルミニウム素子を取出し、105℃×30分の条件で加熱乾燥させて、誘電体酸化膜上に固体電解質層を形成し、これを試験片3とした。
(容量発現率の測定)
まず、単位面積あたりの電気容量が95μF/cmのアルミニウム箔を用い、試験片2と同様にしてアルミニウム箔表面に誘電体酸化膜を形成した。これを濃度3質量%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させ、LCRメーター(アジレント・テクノロジー株式会社製、「E4980A プレシジョンLCRメーター」)を用い、120Hzでの液中電気容量(最大電気容量(Cw))を測定した。その結果、最大電気容量(Cw)は94μFであった。
別途、単位面積あたりの電気容量が95μF/cmのアルミニウム箔を用い、試験片2と同様にしてアルミニウム箔表面に誘電体酸化膜を形成し、該誘電体酸化膜上に固体電解質層(誘電体酸化膜の表面からの厚さは10μm程度)を形成した。ついで、固体電解質層上にグラファイト層およびアルミニウム電極を形成し、アルミニウム電極に陰極リード端子を接続し、定格電圧6.3Vである積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
得られた積層型のアルミニウム固体電解コンデンサについて、LCRメーター(アジレント・テクノロジー株式会社製、「E4980A プレシジョンLCRメーター」)を用い、120Hzでの電気容量(Cs)を測定した。そして、下記式(i)より、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率を求めた。結果を表2に示す。
容量発現率(%)=(Cs/Cw)×100 ・・・(i)
(含浸性の評価)
得られた試験片1〜3をそれぞれ縦方向(積層方向)に切断し、これらを走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、「S−4300SE/N」、)にて、観察倍率1000〜30000倍で観察して、誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部への導電性高分子の含浸状態を確認し、以下に示す評価基準にて含浸性の評価を行った。そして、「◎」の場合を5点、「○」の場合を3点、「△」の場合を1点、「×」の場合を0点として、試験片1〜3の結果を集計し、総合評価とした。これらの結果を表2に示す。
◎:導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部に十分含浸している。
○:導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部に含浸している。
△:導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部への含浸がやや不十分である。
×:導電性高分子の誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部への含浸が不十分である。
<実施例2〜15、18〜20、比較例1〜3>
表2に示す種類の導電性高分子溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片1〜3を作製し、容量発現率の測定、および含浸性の評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例16>
導電性高分子溶液(B−1)を用い、かつ、タンタル素子、アルミニウム素子、および巻回型アルミニウム素子をそれぞれ導電性高分子溶液に浸漬させる前に、IPAに1分間浸漬させた以外は、実施例1と同様にして試験片1〜3を作製し、容量発現率の測定、および含浸性の評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例17>
導電性高分子溶液(B−1)を用い、かつ、タンタル素子、アルミニウム素子、および巻回型アルミニウム素子をそれぞれ導電性高分子溶液に浸漬させる前に、MeOHに1分間浸漬させた以外は、実施例1と同様にして試験片1〜3を作製し、容量発現率の測定、および含浸性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2013024532
表2の結果より明らかなように、各実施例の場合、導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部に概ね含浸していた。
また、実施例16〜18を比較すると、先漬け工程を行った実施例16、17の方が、含浸性の評価が良好であった。
一方、条件(B)を満たさない導電性高分子溶液を用いた比較例1、2の場合、および条件(A)を満たさない導電性高分子を含み、かつ条件(B)を満たさない導電性高分子溶液を用いた比較例3の場合、導電性高分子が誘電体酸化膜の微細な凹凸の内部に含浸しにくかった。
10 固体電解コンデンサ
11 被膜形成金属
12 誘電体酸化膜
13 固体電解質層
14 グラファイト層
15 金属層
20 固体電解コンデンサ
21 陽極
22 陰極
23 セパレータ
24 外部端子

Claims (12)

  1. 被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、下記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ下記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層が形成された、固体電解コンデンサ。
    条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
    条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
  2. 前記導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量が9質量%以下である、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満である、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記導電性高分子溶液が界面活性剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記導電性高分子が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
    Figure 2013024532
    (式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基もしくはその塩、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Brまたは−Iであり、R〜Rのうちの少なくとも一つは酸性基もしくはその塩である。ここで、酸性基とはスルホン酸またはカルボキシ基である。)
  6. 被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、下記条件(A)を満たす導電性高分子を含み、かつ下記条件(B)を満たす導電性高分子溶液を塗布する工程と、塗布した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層を形成する工程とを有する、固体電解コンデンサの製造方法。
    条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
    条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
  7. 前記導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量が9質量%以下である、請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満である、請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 被膜形成金属の表面に形成された誘電体酸化膜上に、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒を塗布する工程と、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒が塗布された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布する工程と、塗布した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層を形成する工程とを有する、固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記導電性高分子が下記条件(A)を満たし、前記導電性高分子溶液が下記条件(B)を満たす、請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
    条件(A):導電性高分子を1質量%含む導電性高分子溶液を用いて動的光散乱法により粒子分布を測定して得られる1つ以上のピークのうち、粒子径が最小となるピークを含む最小粒子分布の体積平均粒子径が26nm未満である。
    条件(B):電気容量が95μF/cmであるアルミニウムの表面に形成された誘電体酸化膜上に、導電性高分子を含む導電性高分子溶液を塗布し、乾燥してなる固体電解質層を形成して、積層型のアルミニウム固体電解コンデンサを製造したときの、該積層型のアルミニウム固体電解コンデンサの容量発現率が70%以上である。
  11. 前記導電性高分子溶液中の導電性高分子の含有量が9質量%以下である、請求項9または10に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  12. 前記導電性高分子溶液の表面張力が67mN/m未満である、請求項9または10に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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