JP2008288342A - 電解コンデンサ用電解質の形成方法 - Google Patents

電解コンデンサ用電解質の形成方法 Download PDF

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睦明 村上
Hiroyuki Ogino
弘幸 荻野
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Abstract

【課題】耐電圧特性、容量特性、tanδ、インピーダンス特性にも優れた電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともイオン液体とアルコール類と重合性モノマーとを必須成分として含有してなる重合液中で、前記アルコール類の1気圧での沸点が130℃以上であるアルコール類を使用して、電解コンデンサ用電解質を形成のための重合反応を行う事により、高耐電圧でインピーダンス特性、容量発現率、漏れ電流特性にも優れた電解コンデンサを提供することが出来る。
【選択図】なし

Description

本願発明は、耐電圧特性およびインピーダンス特性に優れる電解コンデンサ用電解質の形成方法に関する。
電解コンデンサは一般にアルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁金属を陽極金属とし、その表面に形成された酸化皮膜を誘電体膜とし、さらに誘電体膜上に形成された電解質層を挟んで陰極を形成した構成となっている。この電解コンデンサにおける電解質には二つの重要な作用がある。一つは極めて薄い酸化皮膜を保護・修復する作用であり、他の一つは陽極上の誘電体から静電容量を引き出す役目の事実上の陰極としての作用である。
近年、導電性高分子を電解質として用いた電解コンデンサは、その優れたインピーダンス特性により市場を拡大しつつある。導電性高分子電解コンデンサは、典型的には、固体であるポリピロールあるいはポリチオフェン誘導体等の導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子は、通常の液体を電解質として用いた電解コンデンサと比べてその電気伝導度(すなわち電子伝導性)がはるかに高いため、該導電性高分子を電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとして優れた特性を発揮する。
しかしながら、導電性高分子は本質的にイオン伝導性を有していないので、電解コンデンサの酸化皮膜の修復性(すなわち陽極酸化作用)の点では、従来の電解液をもちいたコンデンサに比較して劣るものであった。この結果、電解コンデンサにおいては高耐電圧のコンデンサを作る事が出来ない、という欠点があった。具体的には、通常アルミニウムを陽極としてもちいた電解コンデンサでは、たとえば40V化成を行なった場合、実使用上の電圧は16V程度であり、タンタルを用いた電解コンデンサでは、たとえば24V化成を行なった場合、実使用上の電圧は12V程度である。ここで、40V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に印加する直流電圧が40Vであることを意味し、理想的には40Vの耐電圧を有するコンデンサが得られるはずである。化成電圧を大きくして実使用上の耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、さらに化成電圧を高くしても実使用上の耐電圧はそれに比例して上昇しないという問題がある。
アルミ電解コンデンサにはチップ型コンデンサと捲回型コンデンサとの二種類があり、タンタル電解コンデンサには、通常、タンタル粉末を焼結して得られる多孔性電極をもちいる事が多い。
チップ型導電性高分子電解コンデンサの製造においては、陽極箔上に電解重合法または化学重合法により導電性高分子電解質を形成した後、カーボンペースト・銀ペーストを塗布し、それらを積層・乾燥してコンデンサ素子を作製する。チップ型の電解コンデンサは上記の様な構成で作製されるため非常にすぐれた周波数特性を有しているが、一方で素子作製技術が極めて困難で不良率が高いのが欠点である。
一方、捲回型導電性高分子電解コンデンサは、表面に誘電体酸化皮膜を形成した、アルミ等の弁金属から形成される陽極箔と、陰極箔と、さらに該陰極箔と該陽極箔との間に設けられたセパレ−タと、からなる。コンデンサの作製は、これらを捲回した後に、導電性高分子のモノマーを含浸、重合して電解質を形成する事によって行う。セパレータは捲回型コンデンサのショートを防止するために不可欠であるが、コンデンサのインピーダンス特性を悪くするという問題がある。すなわち、捲回型の電解コンデンサは大容量化には有利であるが高周波特性には劣る物となる。
以上の代表的な二種類の電解コンデンサはいずれの構造においても耐電圧が高く出来ないという問題点が存在しており、この様な問題点を解決するために、本願発明者らはイオン液体(イオン性液体と呼ばれる事もあるが本願発明ではイオン液体と記載する)と導電性高分子とからなる電解質をすでに開発した(特許文献1)。これはイオン液体がすぐれた弁金属の陽極酸化作用を有し、たとえばアルミニウムの酸化膜の欠陥を修復できる事を発見して成されたもので、この発明により高耐電圧の電解コンデンサが実現できた。
しかしながら、イオン液体は電子伝導性を有していないため、高耐電圧コンデンサ実現のために多量のイオン液体を添加した場合にはコンデンサのインピーダンス特性や容量発現率が悪くなるという問題がある。また、イオン液体の種類によっては少量の添加によってもコンデンサのインピーダンス特性や容量発現率が悪くなると場合もあった。すなわちイオン液体と導電性高分子とからなる電解質では、良好な耐電圧特性と良好な電気特性とをいかにして両立するかという事が大きな課題であった。
導電性高分子コンデンサにおいては、容量発現率やインピーダンス特性、あるいは再化成による特性の安定性を改良するために、導電性高分子の重合速度やモルフォロジーを制御しようと言う多くの検討が行われており、製造工程でアルコールを用いたり、重合溶媒にアルコールを添加する技術(特許文献2〜6)はその一つとして位置付けられる。例えば、特許文献2、3には、導電性高分子電解質層形成後に水とアルコール混合溶媒中で再化成する方法が記載されている。これは再化成液としてアルコール類を用いる事により特性を安定化させるものである。特許文献4にはポリエチレングリコールなどの非イオン系界面活性剤が添加された化学重合溶液中で導電性高分子電解質を形成する方法が記載されている。導電性高分子を形成する溶液に界面活性剤を添加すると、陽極箔に良く密着した平滑な導電性高分子が形成され、結果として漏れ電流の小さい、容量出現率の高いコンデンサが得られる。特許文献5には二価アルコール、三価アルコール、二価アルコール誘導体のうちから選択した1種または2種の溶媒中で3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合して電解質形成を行う方法が記載されている。これによりインピーダンス特性に優れるコンデンサが得られる。特許文献6には導電性高分子電解質中に導電性高分子を軟化させる目的の多価アルコール、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、フェノール類などの軟化剤を存在させる方法が開示されている。これにより、特性ばらつきの小さな低インピーダンスコンデンサが得られ、導電性高分子電解質の陽極からの剥離を防止する事もできる。
しかし、これらの方法はいずれも容量発現率、インピーダンス特性、漏れ電量特性、あるいは再化成により特性の安定性、を目指したもので導電性高分子コンデンサの耐圧を向上させるものではない。
国際公開第2005/012599号パンフレット 特許第3119604号 特開2001−85276号公報 特許第2733618号 特許第3603920号 特開2001−358039号公報
本願発明の目的は高耐電圧でインピーダンス特性、容量発現率、漏れ電流特性、耐久性にも優れた電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
本願発明者らは鋭意研究の結果、少なくともイオン液体とアルコール類と重合性モノマーとを必須成分として含有してなる重合液中で、電解コンデンサ用電解質を形成のための重合反応を行う事により、高耐電圧でインピーダンス特性、容量発現率、漏れ電流特性にも優れた電解コンデンサを提供することが出来た。
すでに述べた様に、導電性高分子モノマー重合時にアルコール類を添加する検討は行われており、容量出現率が向上する事が知られている。また、本願発明者らにより導電性高分子モノマー重合時にイオン液体を添加する事で結果的に得られるコンデンサの耐電圧を向上させる事が出来る事が分かっている。本願発明は、単にこれらの効果がお互いに悪影響を与える事無く発現できる事を示した物ではなく、互いの相乗効果により理想的な電解質形成がされる事を発見してなされたものである。
すなわち、本願発明の第一は、少なくとも、イオン液体とアルコール類と重合性モノマーの存在下で重合反応を行う電解コンデンサ用電解質の形成方法であって、前記アルコール類の1気圧での沸点が130℃以上である電解コンデンサ用電解質の形成方法である。(以下本願発明で沸点と記載した場合、すべて1気圧での沸点を意味する)電解質形成のための重合反応をこの様な組成の電解質を用いて行う事により、高耐電圧性、低インピーダンス特性、高容量発現率、低漏れ電流特性に優れた電解コンデンサを提供することが出来る。アルコール類の沸点が130℃以上であるとは導電性高分子の重合反応の進行過程および重合終了時にアルコール類およびイオン液体が存在している事が必要である事を示している。
本願発明の第二は、前記アルコールを多価アルコール類、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、フェノール類、及びアルコールエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種類である様に選択する事である。この様なアルコール類である場合、イオン液体との相乗効果は特に顕著に表れ優れた特性のコンデンサを実現できる。
本願発明の第三は、前記アルコールが、1,2−エチレンジオール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、電解コンデンサ用電解質の形成方法である。これらのアルコール類は本願発明の目的にとって最も好ましいものである。
本願発明の第四は、前記イオン液体のアニオン成分が、スルホン酸誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸誘導体、スルフォニルイミド誘導体、フッ素化リン誘導体、フッ素化ホウ素誘導体、シアノイミドアニオン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、電解コンデンサ用電解質の製造方法である。これらのイオン液体のアニオン成分は誘電体酸化膜の修復機能と言う観点から好ましく、中でもスルホン酸誘導体、スルホン酸エステル誘導体、は特に好ましいアニオンである。
本願発明の第五は、前記イオン液体のカチオン成分が、四級化アンモニウム塩誘導体である電解コンデンサ用電解質の形成方法である。イオン液体のカチオンの種類については特に制限はないが、四級化アンモニウム塩誘導体である事は取りが容易であるという観点から好ましく、とくにイミダゾリウム塩誘導体は好ましい。
本願発明の第六は、前記重合性のモノマーが、ピロールまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、キノンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類からなる様にする事である。このような重合性モノマーを用いることにより、電気伝導性、コンデンサ容量の出現率共に優れた電解コンデンサ用電解質を得る事ができる。
本願発明の第七は、前記導電性高分子モノマーを、(2,3−ジヒドロキシチエノ−[3,4−b]−1,4−ジオキシン)(EDOTと略す)、またはピロールとする事である。
本願発明の第八は、化学重合法による導電性高分子コンデンサ用電解質の形成方法であって、あらかじめ電極箔を、少なくともイオン液体、アルコール類、重合性高分子モノマーの共存する重合液に浸漬する工程と、電極箔の引き上げ工程と、引き上げ後に加熱により化学重合を行う工程、を有する電解コンデンサ用電解質の形成方法である。イオン液体、アルコール類は重合液に添加しておく事が好ましく、例えば導電性高分子形成後にアルコール類やイオン液体を添加する事は好ましくない。
本願発明の第九は、浸漬する工程、引き上げ工程、化学重合を行う工程が複数回繰り返して実施される前記のコンデンサ用電解質の形成方法である。電解質はアルミやタンタルの陽極にエッチングや粉体プレス法により形成された細孔に充填される必要があり、複数回の繰り返しはこの様な細孔に電解質を充填するために用いられる。
本願発明の第十は、前記化学重合を行う工程が30℃以上、180℃未満の温度雰囲気中で実施されるコンデンサ用電解質の形成方法である。
本願発明の第十一は、化学重合法と電解重合法を併用した導電性高分子コンデンサ用電解質の形成方法であって、少なくともイオン液体と、アルコールと、重合性モノマーとの共存する溶液を用いて化学重合を行う第一の工程と、少なくとも重合性モノマーを含む重合液中で電解重合を行う第二の工程を有する、電解コンデンサ用電解質の形成方法である。第二の電解重合工程は第一の工程で形成された化学重合膜を電極として用いて行なわれる事を特徴とする。
本願発明の手法により、高耐電圧特性、低インピーダンス特性、高容量発現率、漏れ電流特性、高耐久性の電解コンデンサを得ることが可能となる。
本願発明に係る電解コンデンサは、電解質層と、該電解質層を挟んで対向するように配置される陽極および陰極とを少なくとも備え、該陽極は陽極金属と誘電体膜とからなる。典型的な導電性高分子電解コンデンサには、アルミニウムを陽極金属としたアルミ電解コンデンサと、タンタルを陽極金属としたタンタル電解コンデンサとがあり、アルミ電解コンデンサにはチップ型コンデンサと捲回型コンデンサとの二種類がある。チップ型電解コンデンサは、陽極箔上に導電性高分子電解質を形成した後、カーボンペースト・銀ペーストを塗布し、それらを積層・乾燥してコンデンサ素子を作製する。一方、捲回型電解コンデンサは、表面に誘電体酸化皮膜を形成した、アルミ等の弁金属から形成される陽極箔と、陰極箔と、さらに該陰極箔と該陽極箔との間に設けられたセパレ−タを捲回した後に、導電性高分子のモノマーを含浸、重合して電解質を形成する事によって行う。本願発明の電解コンデンサ、および電解質の形成方法はチップ型、および捲回型の双方に適用されコンデンサの種類によらない。
電解質層はイオン液体と導電性高分子とを少なくとも含有し、該電解質層は誘電体膜に接して形成される。電解質にはイオン液体および導電性高分子の他の成分として、アルコール類が残存している事は好ましく、重合剤である酸化剤等の成分が含有されていても良い。
<導電性高分子>
本願発明における電解質層に含まれる導電性高分子としては、導電性が高く、耐熱性等の安定性に優れるものであれば、特に制限されるものではないが、ピロールまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、キノンまたはその誘導体、キノリンまたはその誘導体、フランまたはその誘導体から選ばれることが好ましい。
たとえば、チオフェンの誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン(アルキル基としてはブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、フルオロフェニルチオフェン、アリルチオフェンなどを例示できるが、これらに限定されるものではない。アニリンの誘導体としては、アニリン骨格にアルキル基、シアノ基、スルホン基、カルボキシル基を有するものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。キノンの誘導体としては、置換基を有するベンゾキノンや、置換基を有するナフトキノンや、置換基を有するアントラキノンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ピロールの誘導体としては、ピロール骨格を有し、水酸基、カルボキシル基、アルキル基等の置換基を持つものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特に、ピロール、または、EDOTからなる導電性高分子は、導電性、耐熱性の点で特に好ましく用いられる。
<イオン液体>
本願発明の電解質に含まれるイオン液体(必要に応じて「ILs」と略す)は、常温溶融塩ともいわれ、イオンのみから構成されているにもかかわらず常温で液体であるものを指し、適当なカチオンと適当なアニオンの組合せで構成される。一般に蒸気圧が極めて低く蒸発しないと言う特徴を持つ。
イオン液体は基本的に修復化成能を有しているので、本願発明の目的にはいかなるイオン液体も用いる事が出来、特に制限はない。しかしながら、カチオン成分としては、イミダゾリウムまたはその誘導体、アンモニウムまたはその誘導体、ピリジニウムまたはその誘導体は本目的に好ましく用いることができる。
イオン液体のアニオン成分にも制限はないが、本願発明の目的には、カルボン酸アニオン誘導体、スルフォニルイミドアニオン誘導体、フルオロホウ素アニオンおよびその誘導体、硝酸アニオンおよびその誘導体、フッ化ホウ素アニオンおよびその誘導体、シアノイミドアニオン誘導体、スルホン酸アニオン誘導体、またはスルホン酸エステルアニオン誘導体であることが好ましい。
さらに、スルホン酸アニオン誘導体を、R−SO3 、またスルホン酸エステル誘導体を、R−OSO3 、と表すと、Rは、炭素数が1〜18個の脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基は枝分かれを有していてもよく、またフッ素原子を1個以上含んでいてもよい、であることが好ましい。
しかしながら、本願発明にとって好ましいイオン液体は、当業者の一般的な知識によって類推されるものであれば、これらになんら限定されるものではない。
電解質中に存在するイオン液体は、本願発明の電解コンデンサにおける誘電体膜の修復・保護の役割を良好に発揮する。しかしイオン液体は本質的に電子伝導性を有しないため、電解質層全体のイオン液体の含有率を高くなり過ぎると、電解コンデンサのインピーダンス特性を所望の程度得ることが困難となる。また、イオン液体の含有量が少なすぎると誘電体の修復・保護機能を発揮できなくなり、高耐圧のコンデンサが実現出来なくなる。電解質中の導電性高分子の重量(D)とイオン液体の重量(I)の好ましい比率(D/I)は1/1〜1000/1の範囲であり、2/1〜100/1の範囲である事はより好ましく、5/1〜50/1の範囲である事は最も好ましい。
なお、上記の質量比は、たとえば電解質層形成後、メタノールやブタノール等のアルコール溶液によってイオン液体を抽出し、その抽出物と電解質層の質量変化とを測定する方法により推定できる。ただし場合によっては、電解質層形成工程で配合された重合酸化剤等の添加剤成分がメタノールやブタノール等の溶媒に溶解することがある。このような場合は、抽出物中の各成分の含有量をイオンクロマトグラフィー等によって算出し、その結果から上記の質量比を算出することができる。
<アルコール類>
本願発明のアルコール類はとしては1気圧での沸点(bpと略す)が130℃以上である事が好ましく、150℃以上である事はより好ましい。沸点が130℃以上である事が好ましい理由は、化学重合時や電解重合時に反応系に必要十分な量のアルコール類が存在している事が必要であるためである。重合時の反応系に必要量のアルコール類が存在する場合、導電性高分子のモルフォロジーやその電気伝導度に影響を与え、電解コンデンサにおける容量出現率が向上し、また高い電気伝導度が得られる事からインピーダンス特性に優れたコンデンサを得る事ができる。本願発明の電解質形成のための重合溶液にはすでにILsが添加されているので、重合時にはその反応系にILsとアルコール類が共存している事になる。このような状況を作り出す事で、本願発明の相乗効果が発揮され電気特性に優れた電解コンデンサを作製できる。
例えば、EDOTの化学重合には、しばしば、n−ブタノール(bp:117℃)やi−プロパノール(bp:82.2℃)が重合溶媒として使用されてきた。しかしながら、化学重合は陽極箔を重合溶液に浸漬後、引き上げ、大気中で80〜120℃に加熱する事によって行なわれるため、これらの溶媒の場合加熱時に溶媒は蒸発してしまい、本願発明の効果を得る事が出来ない。例え反応を低温で行ったとしても、重合時間が長くなるために結果的にこれらの溶媒が蒸発してしまう事に変りはない。
本発明のアルコール類は、多価アルコール類、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、フェノール類、及びアルコールエーテル類からなる少なくとも1種類である事が好ましい。本願発明のアルコール類は前記のn−ブタノールの様な溶媒の代わりとして単独で用いて良く、n−ブタノールやi−プロパノール溶媒と混合して(すなわち添加剤として)用いても良い。
好ましいアルコール類の具体的な例として、1,2−エチレンジオール(bp:197℃)、1,2−プロパンジオール(bp:187℃)、ジエチレングリコール(bp:244.8℃)、トリエチレングリコール(bp:288℃)、2−エトキシエタノール(bp:135.6℃)、2−ブトキシエタノール(bp:170.2℃)、フルフリルアルコール(bp:170℃)、シクロヘキサノール(bp:161.1℃)、ベンジルアルコール(bp:184.3℃)、フェノール(bp:181.8℃)、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール、bp:290℃)などを列挙する事が出来る。
しかしながら、本願発明にとって好ましいアルコール類は、当業者の一般的な知識によって類推されるものであれば、これらになんら限定されるものではない。
<電解質形成方法−1>
次に、少なくとも上記導電性高分子モノマー、イオン液体、アルコール類存在する重合溶液を用いた、本願発明の代表的な電解質層形成方法について記載する。
本願発明の実施形態は、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を形成する陽極形成工程と、誘電体膜に接して電解質層を形成する電解質層形成工程と、電解質層の表面に陰極を形成する陰極形成工程とを含む。該電解質層形成工程は、前記イオン液体と前記アルコール重合性高分子モノマーとを少なくとも含む化学重合用組成物に陽極を浸漬した後、重合性物質を化学重合法により重合させることによって、イオン液体と導電性高分子とを含む電解質層を形成する化学重合工程とを含む。化学重合工程は、複数回繰り返されることができる。
陽極形成工程は、たとえばアルミニウム箔等の陽極金属の表面をエッチングしてエッチング孔を形成した後、陽極酸化による酸化皮膜からなる誘電体膜を形成する工程である。陽極酸化は、陽極金属をアジピン酸ナトリウム水溶液やホウ酸、等の酸化剤に浸漬し、所定の化成電圧を印加して行う方法等の公知の方法で行うことができる。得られた陽極の液中容量を溶液中で測定し陽極容量とする。なお、箔の液中容量は、充放電測定装置(たとえば東陽テクニカ(株)製のSolartron、型番1480)を用いて測定できる。
次に、陽極の誘電体膜表面に化学重合法によって電解質層を形成する。すなわち、イオン液体と、アルコール類と、重合性高分子モノマーと、酸化剤を少なくとも含む化学重合用組成物に前記陽極箔を浸漬し、引き上げた後、該重合性物質を化学重合法により重合させ、イオン液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する。
化学重合用組成物に配合するイオン液体としては、前述したような本願発明において好適に用いられる種々のイオン液体を使用できる。また、化学重合用組成物に配合される溶媒としては、前述したような本願発明において好適に用いられる種々のアルコール類を使用できる。このアルコール類は通常化学重合に使用される溶媒に添加されて使用される。通常化学重合に使用される溶媒としては、特に制限されるものではないが、n−ブタノール、i−プロピルアルコール、エタノール、水などを例示できる。前記イオン液体と前記アルコール類はこれらの溶媒と相溶している事が好ましい。
化学重合法で好ましく形成される導電性高分子を与える原料モノマーとしては、ピロールモノマーが例示でき、ポリチオフェン類の高分子を与えるモノマーとしては、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー、チオフェンモノマー、3−ヘキシルチオフェンモノマー、3−オクチルチオフェンモノマー、3−ブチルチオフェンモノマー、3−シクロヘキシルチオフェンモノマー等が例示できる。
化学重合法におけるイオン液体と原料モノマーとの好ましい組合せとしては、たとえば、イミダゾリウムカチオンおよびスルホン酸アニオンからなるイオン液体と3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーとの組合せが例示できる。該組合せは、イオン液体の誘電体膜に対する修復能力が高く、一方で重合によって得られるポリチオフェンの電気伝導度が高いので、優れた耐電圧特性およびインピーダンス特性を持つ電解コンデンサが実現できる点で好ましい。
化学重合用組成物における重合性高分子モノマーの質量(M)とイオン液体の質量(I)との好ましい質量比(M/I)は、100/1〜1/10の範囲内であり、より好ましい質量比は20/1〜1/2の範囲内であり、最も好ましい質量比は10/1〜1/1の範囲内である。上記の質量比(M/I)で100/1よりもイオン液体が少ない場合、耐電圧向上効果が小さくなる傾向がある。一方、上記の質量比(M/I)で1/10よりもイオン液体が多い場合、過剰なイオン液体の存在により得られる電解コンデンサのインピーダンス特性が低下する傾向がある。
なお、ここで示した好ましい範囲とは、化学重合用組成物における組成を示したものであり、実際の電解質層におけるイオン液体の好ましい範囲を示したものではない。実際に形成された電解質層中に存在するイオン液体の量は、化学重合用組成物中の比率に比べて少なくなっていると予想される。それは、化学重合した導電性高分子は化学重合工程において用いる溶媒に溶解しないのに対して、イオン液体は該溶媒に通常溶解するため、化学重合工程や洗浄過程等においてイオン液体が抜け出してしまう現象が生じる場合がある事による。すでに記載した様に、最終的に形成された電解質中の導電性高分子の重量(D)とイオン液体の重量(I)の好ましい比率(D/I)は1/1〜1000/1の範囲であり、2/1〜100/1の範囲である事はより好ましく、5/1〜50/1の範囲である事は最も好ましい。
本願発明のアルコール類はイオン液体、重合性高分子モノマー、酸化剤などと共に化学重合組成物を形成する。すでに述べた様に、アルコール類は従来の反応溶媒としてn−ブタノールの代りに用いても良く、添加剤として用いても良い。通常、化学重合用組成物に含まれる溶媒(n−ブタノール等)は、化学重合工程の加熱プロセスにおいて順次蒸発して無くなるが、本願発明のアルコール類は少なくとも化学重合が進行する加熱プロセスにおいて重合液中に存在し、導電性高分子のモルフォロジーや電気伝導特性に影響を与える。化学重合工程の終了時にその一部が電解質中に存在していても良い。従って、化学重合組成物中における本願発明のアルコール類の最適添加量は加熱温度や時間などの化学重合条件、あるいは添加されるアルコール類の沸点により影響され一義的には決まらない。しかしながら、アルコール類を1,2−エチレンジオール、重合性高分子モノマーをEDOTとし、さらに重合条件を120℃、1時間とした場合、重合性高分子モノマーの質量(M)と1,2−エチレンジオール(E)との好ましい質量比(M/E)は、1/10〜10/1であり、1/2〜2/1である事はより好ましい。
なお、ここで示した好ましい範囲とは、化学重合用組成物における組成を示したものであり、実際の電解質層におけるアルコール類の好ましい範囲を示したものではない。最終的に形成された電解質層中に存在するアルコール類の量は、化学重合工程においてアルコール類の一部が蒸発する事により、化学重合用組成物中のアルコール類の存在比率に比べてはるかに少なくなっていると予想される。アルコール類は化学重合工程において存在しておれば良いのであって、最終的に形成された電解質中には存在していても、あるいは存在していなくても良い。
化学重合用組成物には、イオン液体、アルコール類、および重合性高分子モノマー以外に、酸化剤や界面活性剤等を含有していてもよい。酸化剤は化学重合触媒として使用されるが、その例としてパラトルエンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、n−ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄等が挙げられる。中でもドーパントとしてのパラトルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として用いるのが好ましい。
化学重合用組成物における重合性高分子モノマーと酸化剤との混合比率は、特に制限されるものではないが、原料モノマー:酸化剤の混合割合はモル比で、1:0.1〜1:5の範囲内であるのが好ましく、1:0.2〜1:3の範囲内であるのがより好ましい。このような混合比率で化学重合用組成物を調製することで、特に電子伝導性の高い電解質層が得られる。
上述したイオン液体、アルコール類、重合性高分子モノマー、酸化剤を含む化学重合用組成物を用いる場合、たとえば導電性高分子がPEDOTの場合では、加熱処理を、30以上180℃未満の範囲とする事が好ましく、120〜150℃の温度で10分〜10時間行う事は特に好ましい。温度が30℃以上である場合、重合反応が良好に進行し、また温度が150℃以下である場合、反応が速く進みすぎることがなく緻密な化学重合層を形成できる。また、180℃以上の温度電解質の熱劣化によりコンデンサ特性が低下する事がある。化学重合工程は、1回のみ行なわれても良く、または該質量比を変えながら複数回繰り返されても良い。
化学重合工程を2回以上繰り返す場合、イオン液体、アルコール類、重合性高分子モノマー、酸化剤を含む化学重合用組成物の組成比を変えて実施しても良い。例えば、2回目の化学重合工程をイオン液体を含まない化学重合用組成物を用いて実施しても良い。
上記のような方法によって電解質層を形成した後、従来公知の方法で、カーボンペースト、銀ペーストの塗布等により陰極を形成する(陰極形成工程)。なお、電解コンデンサの大容量化のため、必要に応じてカーボンペーストや銀ペーストが乾燥する前に、陽極、電解質層、陰極からなる素子を複数積層してコンデンサ素子を形成しても良い。
上記の陰極形成工程の後、陽極および陰極にそれぞれ端子を接続して、本願発明の電解コンデンサを得ることができる。
例えば、陽極金属がアルミニウムである電解コンデンサでは、42V化成を行なった場合、イオン液体を用いない通常の化学重合法で電解質層を形成した場合には、コンデンサの破壊電圧はたとえば20V〜35Vの間にばらつき、安全性を考慮した実使用上の電圧はたとえば16V程度となる。これに対して、イオン液体を含むがアルコール類を含まない化学重合組成物を用いて、本実施形態の方法で電解質層を形成した電解コンデンサでは、コンデンサの耐電圧はたとえば38V〜45Vの狭い範囲で安定して得られ、安全性を考慮しても、従来の電解コンデンサの約2倍の耐電圧、すなわち32Vの実使用耐電圧を得る事が可能となる。この時、静電容量特性、tanδ特性、ESR特性はイオン液体なしで作製した電解コンデンサとほぼ同等の特性である。このような傾向は、タンタルを陽極金属に用いた電解コンデンサでも同様に見られる。
これに対して、本願発明のイオン液体とアルコール類の両方を含む化学重合組成物を用いた場合、耐電圧特性は前述のイオン液体を含むがアルコール類を含まない化学重合組成物を用いた場合と同じであるが、静電容量、tanδ、ESR特性はイオン液体なしで作製した電解コンデンサに比べてはるかに優れた特性となる。例えば、容量は1〜5%増加し、120Hzでのtanδ値は10〜20%低下、ESR値は1/2となった。その結果、耐圧、静電容量、tanδ、ESR特性などの特性にすぐれたバランスの良いコンデンサが作製できた。このような傾向は、タンタルを陽極金属に用いた電解コンデンサでも同様に見られた。
<電解質形成方法−2>
本実施の形態では、本願発明の化学重合組成物をもちいて捲回型電解コンデンサを作製する場合について説明する。
まず、エッチング処理したアルミニウム箔をホウ酸水溶液を用いて化成処理し、陽極箔を得た。このアルミニウム化成箔を陽極とし、エッチング処理した化成箔を陰極としてセパレータを挟んで捲回し、コンデンサ素子を作製した。
次に本願発明のイオン液体、アルコール類、重合性高分子モノマー、酸化剤からなる化学重合組成物に素子を浸漬する。化学重合組成物は毛細管現象によってセパレータを伝って吸い上げられ陽極、陰極間を満たす様になる。この様な浸漬処理後、素子を引き上げ、大気中100℃で30分間処理して化学重合を行う。完全に陽極、陰極間を完全に電解質で満たすためには同様の工程を2〜5回繰り返す事が望ましい。
本実施の形態は、化学重合組成物の各成分組成比がほぼそのまま電解質の組成として取り込まれるの。したがって、本形成法における、最終的に形成された化学重合組成物、および、形成される電解質中の導電性高分子の重量(D)とイオン液体の重量(I)の好ましい比率(D/I)は1/1〜1000/1の範囲であり、2/1〜100/1の範囲である事はより好ましく、5/1〜50/1の範囲である事は最も好ましい。
<電解質形成方法−3>
本実施の形態においては、電解質形成工程が化学重合工程と電解重合工程とからなる例について説明する。本願発明において、電解重合は典型的には下記のように行なわれる。すなわち、陽極金属、誘電体膜からなる陽極の表面に、たとえば化学重合層からなる導電層を形成し、該導電層が形成された陽極を電解重合液に浸漬し、該導電層に重合開始電極を近接させ、陰極との間で電解重合を行う。電解重合液は少なくともイオン液体と、アルコール類と重合性高分子モノマー含んでいる。重合開始電極と陰極との間に所定の電圧を印加して重合性高分子モノマーを該化学重合層の表面で重合させ、その表面に電解重合層を形成する。
電解質層形成工程が電解重合工程を含む場合、まず誘電体膜の表面に何らかの方法で下地電極として作用する導電層を形成する必要がある。本願発明においては、該導電層として、化学重合工程で形成される、イオン液体を含む複合体からなる化学重合層を用いる事が好ましく、無論化学重合工程でアルコール類を含む化学重合組成物を用いることは好ましい。すなわち、導電層を形成するための化学重合は、たとえば<電解質形成方法−1>記載の化学重合工程において説明したような方法で実施でき、1回でも複数回繰り返されても良い。
導電層形成後、重合開始電極を設け、この電極を利用して電解重合を行う。電解重合で得られる導電性高分子および該導電性高分子を与える原料モノマーとしては、たとえば、ポリピロールの原料モノマーとしてピロール、ポリチオフェンの原料モノマーとしてチオフェン、等が例示でき、ピロールモノマーは最も好ましい重合性高分子モノマーの例である。
例えば、ピロールモノマーを用いて電解重合を行う場合、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの30質量%アルコール溶液および水からなる電解液を用いて電解重合層としてのポリピロール層を形成することができる。
本願発明のイオン液体は該電解液に添加される事が好ましい。電解液中のイオン液体の質量(I)と重合性モノマーの質量(M)との質量比(I/M)は、1/20〜100/1の範囲内、より好ましくは1/5〜20/1の範囲内とすることが好ましい。この様な電解液中の組成比(I/M)は最終的に形成される電解質中の導電性高分子の重量(D)とイオン液体(I)の重量比を意味しない事は言うまでもない。
本願発明のアルコール類は該電解液に添加される事が好ましい。電解液中のアルコール類の質量は、1,2−エチレンジオール(E)を例に取ると、重合性モノマーの質量(M)との質量比(E/M)は、1/20〜20/1の範囲内、より好ましくは1/5〜5/1の範囲内とすることが好ましい。この様な、電解液中の組成比(E/M)は最終的に形成される電解質中の導電性高分子の重量(D)とイオン液体(I)の重量比を意味しない事は言うまでもない。
イオン液体は蒸気圧が極めて低いので、電解重合後の乾燥処理によって溶媒が取り除かれた後もイオン液体のまま電解質層中に存在する。すなわち、ポリピロールからなる導電性高分子とイオン液体とを含む電解重合層が形成される。一方、アルコール類も乾燥処理によって完全に蒸発する事は無く電解質重合層中に残存する。
これにより、本実施の形態においては、化学重合層および電解重合層からなる電解質層を形成できる。
<電解コンデンサ素子作製>
本願発明の電解用電解質の形成方法は、チップ型、捲回型のいずれにも形成され得る。チップ型の電解コンデンサは、典型的には、表面に誘電体膜が形成された陽極金属からなる陽極の該誘電体膜の上に、電解質層、陰極がこの順で積層されたコンデンサ素子と、該コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子とを備える構成とされる。一方、捲回型の電解コンデンサは、典型的には、径方向内側から、表面に誘電体膜が形成された陽極金属からなる陽極の該誘電体膜の上に電解質層、セパレータ、陰極、セパレータがこの順で配置されるように積層、捲回されたコンデンサ素子と、該コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子とを備える構成とされる。なおセパレータにおいては、通常、たとえばポリオレフィンやセルロース繊維等からなるセパレータ材料と導電性高分子とが複合化されている。
以下、本願発明の電解質形成方法を用いた典型的なコンデンサ製造方法の例について説明する。本願発明の電解コンデンサにおいて特に言及していないコンデンサの構成要素については特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜適用することができる。
以下、実施例を挙げて本願発明をより詳細に説明するが、本願発明はこれらに限定されるものではない。
<イオン液体>
本実施例で用いた5種類のイオン液体は以下の通りである。
(1)ILs−1:化学式(1−nC−3−CH−Im)(CHSO)。関東化学(株)より購入。なおImはイミダゾリウムの略である。
(2)ILs−2(化学式:(1−C−3−CH−Im)(BF)。関東化学(株)より購入。
(3)ILs−3:化学式(1−C−3−CH−Im)(p−TsO))。関東化学(株)より購入。なおp−TsOはパラトルエンスルホン酸の略である。
(4)ILs−4:化学式(1−C−3−CH−Im)(n−CSO)。関東化学(株)より購入。
(5)ILs−5(化学式:(1−C−3−CH−Im)((CFSON))。関東化学(株)より購入。
<アルコール類>
本願発明の実施例で用いたアルコール類およびその沸点、は以下の5種類(それぞれ、A−1〜A−5と略記する)である。1,2−エチレンジオール(A−1)、ジエチレングリコール(A−2)、トリエチレングリコール(A−3)、2−ブトキシエタノール(A−4)、フェノール(A−5)、グリセロール(A−6)
<コンデンサ特性の測定>
本願発明の実施例で用いた電解コンデンサの、液中容量、初期容量、tanδ、インピーダンスの測定装置は、東洋テクニカ製のsolartron、型番「1480」であり、耐電圧の測定装置はアドバンテスト社製の型番「TR6143」である。なお耐電圧の値は、20mV/秒の速度で電圧を上昇させ、10mAの電流が流れた電圧を耐電圧と定義した。
(実施例1)
陽極金属としてのアルミニウムエッチド箔(サイズ:4×3.3mm)を、3質量%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、10mV/secの速度で0から40Vまで上げ、つづけて20Vの定電圧を40分間印加して化成処理し、該アルミニウムエッチド箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成した。これを脱イオン水の流水により10分洗浄してから105℃で5分乾燥を行ない、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を作製した。得られた陽極の液中容量は8.4μFであった。
まず、導電性高分子モノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(H.C.Starck−V TECH社製)、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄、溶媒として1−ブタノール、イオン液体としてILs−1、アルコール類として1,2−エチレンジオールを用い、以下の配合割合で配合して、電解質層の形成に用いる化学重合用組成物を調製した。
・導電性高分子モノマー(EDOT) 1g
・酸化剤(パラトルエンスルホン酸第二鉄) 2g
・溶媒(1−ブタノール) 2.5g
・イオン液体(ILs−1) 0.9g
・アルコール類(1,2−エチレンジオール) 0.2g
この化学重合用組成物を、よく乾燥したビーカーで混合し、次に該化学重合用組成物中に、上記のイオン液体で含浸処理した陽極を浸漬し、引き上げた後、120℃で1時間加熱処理を行なった。浸漬および加熱処理を3回繰り返し、陽極の表面が均一に電解質で覆われる様にした(化学重合工程)。以上により電解質層を形成した。
上記で得られた電解質層の上に、カーボンペースト(日本黒鉛(株)製の「バニーハイトFU」)を塗布、乾燥後、さらに銀ペースト(日本黒鉛(株)製の「エブリオームME」)を塗布乾燥し、陰極を形成した。銀ペーストからリード線を引き出し、端子に接続した。この様にして得られた本願発明の電解コンデンサを、8Vで1時間エージングした後、初期容量出現率、tanδ(120Hz)、100KHzにおけるESR(mΩ)、および耐電圧(V)を測定した。
得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。なお表1の結果はいずれも10個の素子の平均値である。初期容量は8.1μF(液中容量値8.4μFと比較すると容量出現率は96.4%である)、tanδは0.012、ESR(100KHz)は0.42Ω、耐電圧(V)は18Vでありいずれも優れたコンデンサ特性を示した。特に耐電圧特性については化成電圧が20Vであるのに対して18Vであり、後述の比較例1と比べて極めて優れた特性であった。
(実施例2〜5)
イオン液体の種類を前述のILs−1からILs−2〜ILs−5にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、本願発明の電解コンデンサを作製し、得られた本願発明の電解コンデンサを、10Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、ESR(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。電解コンデンサの特性を表1に示す。いずれのイオン液体を用いた場合にも優れた電気特性と耐電圧特性とが両立できている事が分かる。
(比較例1)
化学重合工程において用いる化学重合用組成物に、イオン液体および1,2−エチレンジオールを含有させないこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製した。すなわちこの比較例における重合性組成物は、導電性高分子モノマー:1g、酸化剤:2g、溶媒:2.5g、から成っている。
得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。得られた電解コンデンサの容量発現率は実施例1に比べて小さく、電気特性(tanδ、ESR)も実施例1に比べて劣るものであった。また、耐電圧は7Vであり、所望の耐電圧特性を有していなかった。
(比較例2)
化学重合工程において用いる化学重合用組成物に、イオン液体を含有させないこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製した。すなわちこの比較例における重合性組成物は、導電性高分子モノマー:1g、酸化剤:2g、溶媒:2.5g、アルコール類:0.2gから成っている。得られた電解コンデンサの容量は実施例1と比べてほぼ同等で、電気特性(tanδ、ESR)も実施例1とほぼ同等の値であった。しかしながら、耐電圧は9Vであり、所望の耐電圧特性を有していなかった。
(比較例3)
化学重合工程において用いる化学重合用組成物に、アルコール類(1,2−エチレンジオール)を含有させないこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製した。すなわちこの比較例における重合性組成物は、導電性高分子モノマー:1g、酸化剤:2g、溶媒:2.5g、イオン液体:0.9gから成っている。耐電圧は17Vであり、所望の耐電圧特性を有していたが、得られた電解コンデンサの容量発現率は実施例1と比べて小さく、電気特性(tanδ、ESR)も実施例に比較して劣るものであった。
(実施例6)
イオン液体の添加量を0.45g(すなわち実施例1の半分量)とした以外は、実施例1と同様にして化学重合用組成物を調製し、該化学重合用組成物中に、該イオン液体で含浸処理した陽極を浸漬し、引き上げた後、120℃で1時間の加熱処理を行なった。上記の浸漬および加熱処理を3回繰り返し、陽極の表面が均一に電解質で覆われる様にした。
こうして得られた電解質層の上に、実施例1と同様の方法で、カーボンペーストを塗布、乾燥後さらに銀ペーストを塗布乾燥して陰極を形成し、銀ペーストからリード線を引き出し、端子に接続した。この様にして得られた本願発明の電解コンデンサを、10Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。電解質層形成時のイオン液体の添加量は実施例1に比較して半分である。しかし、実施例1と比較して耐電圧特性に若干の低下が見られるもののESR特性、tanδ特性は改良され、バランスの取れたコンデンサ特性が実現できた。
(実施例7)
化学重合用組成物におけるイオン液体の添加量を1.8g(すなわち実施例1の2倍量)とした以外は実施例1と同様にして、本願発明の電解コンデンサを作製し、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。この実施例では、耐電圧は化成電圧である20Vより高くなっているが、これは20mV/秒で電圧を上昇させた時20V付近で次第に増加し始め10mAの電流が流れた時点では21Vであった事によるものである。この様に耐電圧特性は向上するが実施例1と比較して容量出現率、tanδ、ESR特性は悪くなる傾向にあった。
(実施例8〜12)
アルコール類種類を前述の1,2−エチレンジオールから、ジエチレングリコール(実施例8)、トリエチレングリコール(実施例9)、2−ブトキシエタノール(実施例10)、フェノール(実施例11)、グリセロール(実施例12)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、本願発明の電解コンデンサを作製し、得られた本願発明の電解コンデンサを、10Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、ESR(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。ただし、A−4における重合温度条件は120℃、1時間とした。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。いずれのアルコール類を用いた場合にも優れた電気特性と耐電圧特性とが両立できている事が分かった。
(実施例13)
エッチングアルミ二ウム箔の表面に、ホウ酸水溶液を用いて55Vの化成電圧で参加皮膜を形成した。このアルミ二ウム化成箔を陽極とし、エッチング処理した箔を陰極としてセパレータを挟んで捲回し、捲回型コンデンサ素子を作製した。用いたセパレータはセルロース系の連通多孔質フィルム(ニッポン高度紙工業(株)製の商品名「EBAV3540」)である。
次に、導電性高分子の原料モノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(H.C.Starck−V TECH社製)、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄、溶媒として1−ブタノール、イオン液体としてILs−1、アルコール類として1,2−エチレンジオールを用い、以下の配合割合で配合して、電解質層の形成に用いる化学重合用組成物を調製した。
・導電性高分子モノマー(EDOT) 1g
・酸化剤(パラトルエンスルホン酸第二鉄) 1g
・溶媒(1−ブタノール) 1.0g
・イオン液体(ILs−3) 0.6g
・アルコール類(1,2−エチレンジオール) 0.2g
この溶液中に捲回型コンデンサ素子を浸漬して、陽極、陰極間に挟まれたセパレータの毛細管現象を利用して、素子内部に化学重合組成物を進入させた。コンデンサ素子を引き上げ後120℃で1時間熱処理し、さらに150℃、1時間加熱して重合反応を促進させた。この様な操作を3度繰り返してコンデンサ素子の内部が電解質で充填されるようにした。この様にして得られた電解コンデンサを、10Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、ESR(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表2に示す。なお表3の結果はいずれも10個の電解コンデンサの平均値である。捲回コンデンサにおいても電気特性と耐電圧特性とが両立できている事が分かった。
(比較例4)
化学重合組成物にイオン液体およびアルコール類(1,2−エチレンジオール)を含まず、溶媒(1−ブタノールの量)を1.8gとした以外は、実施例13と同様の操作を行い、捲回型コンデンサ素子を作製した。容量、tanδ特性、ESR特性、耐電圧特性のいずれも実施例13に比較して劣るものであった。
(比較例5)
化学重合組成物にイオン液体を含まず、溶媒(1−ブタノールの量)を1.6gとした以外は、実施例13と同様の操作を行い、捲回型コンデンサ素子を作製した。容量出現率、tanδ特性、ESR特性は実施例13に比べてやや劣るものであり、耐電圧特性は大きく劣っていた。
(比較例6)
化学重合組成物にアルコール類(1,2−エチレンジオール)を含まず、溶媒(1−ブタノールの量)を1.2gとした以外は、実施例13と同様の操作を行い、捲回型コンデンサ素子を作製した。耐電圧特性は実施例13に比べ同等であったが。容量出現率、tanδ特性は実施例13に比べてやや劣るものであり、ESR特性は劣っていた。
(実施例14)
タンタル粉末を加圧成型し、タンタルリードを取り付けた後、高温・真空乾燥した2.0mm×2,4mmの陽極体をリン酸水溶液中で60Vを印加して陽極酸化し、タンタル酸化膜を形成した。次に、導電性高分子の原料モノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(H.C.Starck−V TECH社製)、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄、溶媒として1−ブタノール、イオン液体としてILs−1、アルコール類として1,2−エチレンジオールを用い、以下の配合割合で配合して、電解質層の形成に用いる化学重合用組成物を調製した。
・導電性高分子モノマー(EDOT) 1g
・酸化剤(パラトルエンスルホン酸第二鉄) 2g
・溶媒(1−ブタノール) 2.0g
・イオン液体(ILs−1) 0.9g
・アルコール類(1,2−エチレンジオール) 0.2g
前記タンタル陽極体を、前記化学重合組成物に浸漬して引き上げ後、120℃で1時間加熱して重合反応を促進させた。この様な操作を3回実施し電解質層を形成した。上記で得られた電解質層の上に、カーボンペースト(日本黒鉛(株)製の「バニーハイトFU」)を塗布、乾燥後、さらに銀ペースト(日本黒鉛(株)製の「エブリオームME」)を塗布乾燥し、陰極を形成した。銀ペーストからリード線を引き出し、端子に接続した。この様にして得られた本願発明の電解コンデンサを、8Vで1時間エージングした後、初期容量出現率、tanδ(120Hz)、100KHzにおけるESR(mΩ)、および耐電圧(V)を測定した。得られた結果を表3に示した。容量出現率、tanδ特性、ESR特性、耐電圧特性のいずれも優れた特性であった。
(比較例7)
化学重合組成物にイオン液体およびアルコール類を含まず、溶媒(1−ブタノールの量を3.1gとした以外は、実施例14と同様の操作を行い、タンタルコンデンサ素子を作製した。容量出現率、tanδ特性は実施例14に比べてやや劣るものであり、ESR特性、耐電圧特性は大きく劣っていた。
(実施例15)
本実施例では、電解重合法によって電解質層を形成した。エッチング処理を施し、陽極リードをつけたアルミニウム箔を、3質量%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、70℃で印加電圧50Vの条件で陽極酸化を行ない、アルミニウム箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成し、陽極を作製した。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(1g)、パラトルエンスルホン酸第二鉄(2g)、1−ブタノール(2.5g)、イオン液体であるILs−1(0.9g)、1,2−エチレンジオール(0.2g)からなる化学重合用組成物を準備し、上記の陽極を該化学重合用組成物に浸漬、引き上げ後、100℃で1時間、120℃で1時間の加熱処理を行ない、陽極表面に薄い化学重合層を形成した。
この化学重合層を導電層として用い、電解重合法によりポリピロール層を形成した。電解重合に用いた電解液6は、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1M)の30質量%アルコール水溶液、およびイオン液体であるILs−1(0.2M)、1,2−エチレンジオール(0.2M)からなる電解液である。該電解液中に、上記の化学重合層を形成した陽極を配置し、重合開始電極を化学重合層に近接させ、重合開始電極と陰極との間に1.5Vの定電圧を50分間印加して電解重合反応をおこない、電解重合ポリピロール層を形成した。
以上の方法により、化学重合層および電解重合層からなる電解質層を形成した。この電解質層の上に、実施例1と同様の方法で、カーボンペーストおよび銀ペーストを塗布、乾燥して陰極を形成し、実施例1と同様の方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、ESR(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表3に示す。なお表3の結果はいずれも10個の素子の平均値である。容量、tanδ特性、ESR特性、耐電圧特性いずれも優れたものであった。
(比較例8)
化学重合用組成物および電解重合の際の電解液にイオン液体(ILs−1)および1,2−エチレンジオールを配合しない他は実施例15と同様の方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表3に示す。容量、tanδ特性、ESR特性、耐電圧特性のいずれも劣るものであった。
(比較例9)
化学重合用組成物および電解重合の際の電解液にイオン液体(ILs−1)を配合しない他は実施例15と同様の方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、ESR(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表3に示す。容量、tanδ特性、ESR特性は実施例15に比べてほぼ同等であったが、耐電圧特性は大きく劣っていた。
(比較例10)
化学重合用組成物および電解重合の際の電解液に1,2−エチレンジオールを配合しない他は実施例15と同様の方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、ESR(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表3に示す。耐電圧特性は実施例15に比べ同等であったが。容量、tanδ特性は実施例15に比べてやや劣るものであり、ESR特性は劣っていた。

Claims (11)

  1. 少なくとも、イオン液体と、アルコール類と、重合性モノマーとの存在下で重合反応を行う電解コンデンサ用電解質の形成方法であって、前記アルコール類の1気圧での沸点が130℃以上である電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  2. 前記アルコール類が、多価アルコール類、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、フェノール類、及びアルコールエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  3. 前記アルコール類が1,2−エチレンジオール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  4. 前記イオン液体のアニオン成分が、スルホン酸誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸誘導体、スルフォニルイミド誘導体、フッ素化リン誘導体、フッ素化ホウ素誘導体、シアノイミドアニオン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質の製造方法。
  5. 前記イオン液体のカチオン成分が、四級化アンモニウム塩誘導体である請求項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  6. 前記重合性のモノマーが、ピロールまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、キノンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  7. 前記導電性高分子が、ポリ−(2,3−ジヒドロキシチエノ−[3,4−b]−1,4−ジオキシン)、または、ポリピロールである、請求項1〜6のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  8. 化学重合法による導電性高分子コンデンサ用電解質の形成方法であって、あらかじめ電極箔を、少なくともイオン液体と、アルコール類と、重合性高分子モノマーとの共存する重合液に浸漬する工程と、電極箔の引き上げ工程と、引き上げ後に加熱により化学重合を行う工程、を有する電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  9. 前記、浸漬する工程、引き上げ工程、化学重合を行う工程が複数回繰り返して実施される請求項8記載のコンデンサ用電解質の形成方法。
  10. 前記化学重合を行う工程が30℃以上、180℃未満の温度雰囲気中で実施される、請求項8または請求項9記載のコンデンサ用電解質の形成方法。
  11. 化学重合法と電解重合法を併用した導電性高分子コンデンサ用電解質の形成方法であって、少なくともあらかじめイオン液体と、アルコール類と、重合性モノマーとの共存する溶液を用いて化学重合を行う第一の工程と、少なくとも重合性モノマーを含む重合液中で電解重合を行う第二の工程を有する、電解コンデンサ用電解質の形成方法。
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