JP4847399B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐電圧特性およびインピーダンス特性に優れる電解コンデンサおよび電解質またその製造方法に関する。
近年、導電性高分子を電解質として用いた電解コンデンサは、その優れたインピーダンス特性により市場を拡大しつつある。
電解コンデンサは一般にアルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁金属を陽極金属とし、その表面に形成された酸化皮膜を誘電体膜とし、さらに誘電体膜上に形成された電解質層を挟んで陰極を形成した構成となっている。この電解コンデンサにおける電解質には二つの重要な作用がある。一つは極めて薄い酸化皮膜を保護・修復する作用であり、他の一つは陽極上の誘電体から静電容量を引き出す役目の事実上の陰極としての作用である。
電解コンデンサは、典型的には、固体であるポリピロールあるいはポリチオフェン誘導体等の導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子は、通常の液体を電解質として用いた電解コンデンサと比べてその電気伝導度(すなわち電子伝導性)がはるかに高いため、該導電性高分子を電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとして優れた特性を発揮する。
しかしながら、導電性高分子は本質的にイオン伝導性は有していないので、電解コンデンサの酸化皮膜の修復性(すなわち陽極酸化作用)の点では、従来の電解液をもちいたコンデンサに比較して劣るものであった。この結果、電解コンデンサにおいては高耐電圧のコンデンサを作る事が出来ない、という欠点があった。具体的には、通常アルミニウムを陽極としてもちいた電解コンデンサでは、たとえば40V化成を行なった場合、実使用上の電圧は16V程度であり、タンタルを用いた電解コンデンサでは、たとえば24V化成を行なった場合、実使用上の電圧は12V程度である。ここで、40V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に印加する直流電圧が40Vであることを意味し、理想的には40Vの耐電圧を有するコンデンサが得られるはずである。化成電圧を大きくして実使用上の耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、さらに化成電圧を高くしても実使用上の耐電圧はそれに比例して上昇しないという問題がある。
典型的な電解コンデンサには、アルミニウムを陽極金属としたアルミ電解コンデンサと、タンタルを陽極金属としたタンタル電解コンデンサとがある。タンタル電解コンデンサには、通常、タンタル粉末を焼結して得られる多孔性電極をもちいる事が多い。一方、アルミ電解コンデンサにはチップ型コンデンサと捲回型コンデンサとの二種類がある。
チップ型電解コンデンサの製造においては、陽極箔上に電解重合法または化学重合法により導電性高分子電解質を形成した後、カーボンペースト・銀ペーストを塗布し、それらを積層・乾燥してコンデンサ素子を作製する。チップ型の電解コンデンサは上記の様な構成で作製されるため非常にすぐれた周波数特性を有しているが、一方で素子作製技術が極めて困難で不良率が高いのが欠点である。
一方、捲回型電解コンデンサは、表面に誘電体酸化皮膜を形成した、アルミ等の弁金属から形成される陽極箔と、陰極箔と、さらに該陰極箔と該陽極箔との間に設けられたセパレ−タと、からなる。コンデンサの作製は、これらを捲回した後に、導電性高分子のモノマーを含浸、重合して電解質を形成する事によって行なう。
セパレータは連通多孔質基材から構成され、合成高分子またはセルロース繊維からなる連通多孔質基材、ガラス繊維からなる連通多孔質基材または不織布等が挙げられる。上記の合成高分子としては、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリオレフィン等が挙げられる。また、上記のセルロース繊維としては、再生セルロース繊維として、ビスコースレーヨン、キュプラレーヨン等、また非木材パルプ繊維として、マニラ麻、紅麻、サイザル麻、エスパルト草等、さらに木材パルプ繊維として、針葉樹パルプ繊維、広葉樹パルプ繊維等、が挙げられる。上記のうち、ポリオレフィンおよびセルロース繊維は特に好ましく用いられる。
セパレータは捲回型コンデンサのショートを防止するために不可欠であるが、コンデンサのインピーダンス特性を悪くするという問題がある。すなわち、捲回型の電解コンデンサは大容量化には有利であるが高周波特性には劣る物となる。
以上のように、電解コンデンサには代表的な二種類の構造があるが、いずれの構造においても耐電圧の課題が大きな課題として存在していた。
この様な問題点を解決するために、本発明者らはイオン性液体(イオン性液体と呼ばれるが本発明ではイオン性液体と記載する)と導電性高分子とからなる電解質をすでに開発した(特許文献1)。これはイオン性液体がすぐれた弁金属の陽極酸化作用を有し、たとえばアルミニウムの酸化膜の欠陥を修復できる事を発見して成されたもので、この発明により高耐電圧の電解コンデンサが実現できた。しかしながら、イオン性液体は優れたイオン伝導性を有しているものの電子伝導性は有していないため、高耐電圧のコンデンサを実現するために多量のイオン性液体を加えた場合にはコンデンサのインピーダンス特性が悪くなるという問題がある。また、イオン性液体の量が少ない場合には良好なインピーダンス特性が得られるが、肝心の耐電圧特性は期待する程度には向上しない。すなわちイオン性液体と導電性高分子とからなる電解質では、良好な耐電圧特性と良好な電気特性とをいかにして両立するかという事が大きな課題であった。
電極箔をあらかじめイオン性液体に含浸させて、しかる後に化学重合法や電解重合法で電解質を形成する方法も開示されている(特許文献2)。しかし、この方法でも比較的良好な耐電圧特性を実現することは困難であるという問題がある。
国際公開第2005/012599号パンフレット 特開2006−24708号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は高耐電圧でインピーダンス特性にも優れた電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、導電性高分子を含む電解質層におけるイオン性液体の存在状態を、該電解質層の厚み方向において不均一にすることで上記課題を解決できることを発見し本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は少なくとも電解質層と前記電解質層を挟んで配置された陽極及び陰極とを備える電解コンデンサであって、前記陽極は陽極金属と誘電体膜からなり、前記電解質層は、イオン性液体と導電性高分子とを少なくとも含有し、前記電解質層中におけるイオン性液体の含有率が不均一である電解コンデンサに関する。
また、本発明は少なくとも電解質層と前記電解質層を挟んで配置された陽極及び陰極とを備える電解コンデンサであって、前記陽極は陽極金属と誘電体膜からなり、前記電解質層は、イオン性液体と導電性高分子とを少なくとも含有し、前記電解質層は、前記誘電体層に接して形成され、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、電解コンデンサに関する。
本発明の電解コンデンサにおいては、前記高イオン伝導性領域が前記誘電体膜の表面の全域を覆うように形成されてなることが好ましい。
本発明の電解コンデンサにおいては、前記誘電体膜と前記電解質層との界面の任意の点から前記陰極と前記電解質層との界面までを最短距離で結ぶ仮想軸において、前記誘電体膜と前記電解質層との界面からの距離が大きくなるに従って前記イオン性駅他の含有率が小さくされてなることが好ましい。
また、本発明は少なくともイオン性液体と導電性高分子を含む電解質であって、イオン性液体の濃度が前記電解質中で不均一であり、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、導電性高分子コンデンサ用電解質に関する。
本発明の電解コンデンサまたは電解質においては、前記イオン性液体のカチオン成分が、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよび誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジン誘導体カチオン、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体、からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。
本発明の電解コンデンサまたは電解質においては、前記イオン性液体のアニオン成分が、カルボン酸アニオン誘導体、スルフォニルイミドアニオン誘導体、フルオロ臭素アニオン誘導体、フルオロホウ素アニオン誘導体、硝酸アニオン誘導体、フッ化ホウ素アニオン誘導体、シアノイミドアニオン誘導体、スルホン酸アニオン誘導体、または、硫酸モノエステルアニオン誘導体、の原子団を含むことが好ましい。
本発明の電解コンデンサまたは電解質においては、前記導電性高分子が、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリキノンまたはその誘導体、の少なくとも一種あるいはそれ以上からなることが好ましい。
本発明の電解コンデンサまたは電解質においては、前記導電性高分子が、ポリ−(2,3−ジヒドロキシチエノ−[3,4−b]−1,4−ジオキシン)、または、ポリピロールからなることが好ましい。
本発明はまた、電解コンデンサを得るための化学重合法による導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、少なくとも、あらかじめ電極箔をイオン性液体を含有する液体に浸漬する工程と、イオン性液体の共存する重合溶液を用いて化学重合を行う工程を有する事を特徴とする、前記の導電性高分子コンデンサを得るための電解質の製造方法に関する。前記化学重合工程は、1回のみ行われ、または、複数回繰り返される事が好ましい。
本発明はまた、化学重合法による導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、少なくとも複数回の化学重合工程によって導電性高分子コンデンサ用電解質を形成し、各重合工程によってイオン性液体と重合性モノマーの比率を変える事を特徴とする、前記の導電性高分子コンデンサを得るための電解質の製造方法に関する。すなわち、電解質層形成工程は、前記イオン性液体と重合性モノマーとを少なくとも含む化学重合用組成物に前記陽極を浸漬した後、前記重合性物質を化学重合法により重合させることによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む電解質を形成する化学重合工程を含み、かつ、その化学重合工程は、前記イオン性液体と前記重合性モノマーとの重量比を変えながら複数回繰り返される、電解コンデンサの電解質の製造方法に関する。
本発明はまた、化学重合法と電解重合法からなる導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、少なくともあらかじめイオン性液体と重合性モノマーの共存する溶液を用いて化学重合を行う第一の工程と、少なくとも重合性モノマーを含む重合液中で電解重合を行う第二の工程を有する事を特徴とする、導電性高分子コンデンサを得るための電解質の製造方法である。すなわち、本発明の電解質層形成工程は、イオン性液体と重合性モノマーとを少なくとも含む化学重合用組成物に前記陽極を浸漬した後、前記重合性物質を化学重合法により重合させることによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む電解質層を形成する化学重合工程を含み、かつ、イオン性液体と重合性モノマーとを少なくとも含む重合用組成物に前記陽極を浸漬し、前記重合性物質を電解重合法により重合させることによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む電解質を形成する電解重合工程、とを含む製造方法である。前記重合工程は、1回実施されるのでもよく、また複数回繰り返されても良い。
本発明は、導電性高分子の少なくとも一部が溶解したイオン性液体を含む溶液を用いた導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、少なくとも前記溶液を電極に含浸して電解質層を形成する工程、を有する事を特徴とする本発明の導電性高分子コンデンサを得るための電解質の製造方法である。すなわち、電解質層形成工程は、イオン性液体と導電性高分子とを少なくとも含む導電性高分子溶液に前記陽極を浸漬・乾燥することによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む電解質層を形成する。前記導電性高分子溶液浸漬工程は、前記イオン性液体と導電性高分子の濃度を変えながら複数回繰り返されることが好ましい。前記導電性高分子溶液における、前記イオン性液体の重量(M)と前記導電性高分子の質量(A)との重量比(M/A)は、1/100〜10/1の範囲内とされることが好ましい。
本発明はさらに、導電性高分子の少なくとも一部が溶解したイオン性液体を含む溶液を用いた導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、少なくとも前記溶液を電極に含浸して電解質層を形成する第一の工程と、化学重合により電解質を形成する工程、を含む事を特徴とする事を特徴とする、本発明の導電性高分子コンデンサを得るための電解質の製造方法である。
本発明はまた、導電性高分子の少なくとも一部が溶解したイオン性液体を含む溶液を用いた導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、少なくとも前記溶液を電極に含浸して電解質層を形成する第一の工程と、電解重合により電解質を形成する工程、を含む事を特徴とする事を特徴とする、本発明の導電性高分子コンデンサを得るための電解質の製造方法である。
本発明によれば、電解質層の陽極側の表面近傍に相対的にイオン性液体濃度の高い領域が形成されていることにより、耐電圧特性およびインピーダンス特性が高度に両立された電解コンデンサを得ることが可能となる。
本発明に係る電解コンデンサは、電解質層と、該電解質層を挟んで対向するように配置される陽極および陰極とを少なくとも備え、該陽極は陽極金属と誘電体膜とからなる。すでに述べたように、典型的な導電性高分子電解コンデンサには、アルミニウムを陽極金属としたアルミ電解コンデンサと、タンタルを陽極金属としたタンタル電解コンデンサとがあり、アルミ電解コンデンサにはチップ型コンデンサと捲回型コンデンサとの二種類がある。チップ型電解コンデンサは、陽極箔上に導電性高分子電解質を形成した後、カーボンペースト・銀ペーストを塗布し、それらを積層・乾燥してコンデンサ素子を作製する。一方、捲回型電解コンデンサは、表面に誘電体酸化皮膜を形成した、アルミ等の弁金属から形成される陽極箔と、陰極箔と、さらに該陰極箔と該陽極箔との間に設けられたセパレ−タを捲回した後に、導電性高分子のモノマーを含浸、重合して電解質を形成する事によって行う。本発明の電解コンデンサ、および電解質の形成方法はチップ型、および捲回型の双方に適用されコンデンサの種類によらない。
電解質層はイオン性液体と導電性高分子とを少なくとも含有し、電解質中におけるイオン性液体の濃度が不均一になるようにする。該電解質層は誘電体膜に接して形成され、本発明においては、電解質層における陽極側の表面を含む領域に、電解質層の全体におけるイオン性液体の含有率よりも高い含有率でイオン性液体を含有する領域が形成される様に電解質を作製する。電解質にはイオン性液体および導電性高分子の他の成分として、電解質層形成工程において添加された酸化剤成分等が含有されていても良い。
イオン性液体を相対的に高濃度で含有する領域(以下単に高濃度領域と記載する)は、本発明の電解コンデンサにおける誘電体膜の修復・保護の役割を良好に発揮する。しかしイオン性液体は本質的に電子伝導性を有しないため、電解質層全体のイオン性液体の含有率を高くすると、該電解質層全体の電子伝導性が低いために電解コンデンサのインピーダンス特性を所望の程度得ることが困難となる。本発明では、電解質層の陽極側表面近傍においてイオン性液体を高濃度に偏在させることにより、電解コンデンサにおける誘電体膜の修復・保護作用と電解質層としての電子伝導性とを両立させ、該電解質層が形成された電解コンデンサのインピーダンス特性と耐電圧特性とを高度に両立させることが可能となる。
高濃度領域の典型的な態様を以下に述べる。たとえばアルミニウム電解コンデンサのように、陽極金属として電極箔を形成し、該電極箔にエッチング孔を設け、さらに該電極箔の表面にたとえば陽極酸化で酸化皮膜からなる誘電体膜を形成して陽極を形成する構成の場合、(1)エッチング孔内部のイオン性液体濃度とエッチング孔外部のイオン性液体の濃度とが異なるケース、(2)エッチング孔内で、誘電体膜表面近傍のイオン性液体の濃度とその他の部分のイオン性液体濃度とが異なるケース、等を含む広い態様が含まれる。
高濃度領域の形状は、上記したケースのいずれか一つであっても良く、両方を満足する場合であっても良い。上記はエッチングアルミニウム箔電極についての説明であるが、焼結タンタル粉体電極を用いる場合も同様であり、この場合、タンタル粉体間で形成される空間が上記のエッチング孔に相当する。
本発明の電解コンデンサに用いられる電解質層に含有されるイオン性液体の主な役割は、誘電体膜の修復・保護であるため、電解コンデンサにおいて、イオン性液体が原理上誘電体膜の表面近傍にのみ存在していれば足りる。
誘電体膜表面近傍のイオン性液体の濃度を高くするための典型的な態様について以下に説明する。すなわち、上記(1)のケースであれば、エッチング孔の内部におけるイオン性液体の平均濃度がエッチング孔の外部におけるイオン性液体の平均濃度よりも高いことを意味し、(2)のケースであれば、エッチング孔内で、誘電体膜表面近傍のイオン性液体の濃度が周囲のイオン性液体の濃度より高くされた態様が例示できる。
上記(2)のケースでは、エッチング孔の深さにばらつきがある場合、エッチング孔が比較的深い部位では該エッチング孔の深さに対する径の比、すなわちアスペクト比が小さくなる。よって、高濃度領域を形成する場合にも、該イオン性液体がエッチング孔の外部に流出し難いため、エッチング孔内部におけるイオン性液体の濃度は、よりエッチング孔が浅い部位におけるイオン性液体の濃度よりも高くなる。
本発明においては、高濃度領域が誘電体膜の表面の全域を覆うように形成されることが好ましい。ここで、誘電体膜の表面の全域を覆うとは、たとえばエッチング孔が形成された陽極や、粉体間の空間を有する粉体電極からなる陽極を用いる場合を含むすべての場合において、電解質層の高濃度領域以外の部分と誘電体膜とが、誘電体膜の表面の全域に亘り高濃度領域を介して接するように覆うことを意味する。この場合、誘電体膜の表面の全域に高濃度のイオン性液体が接触していることによって該誘電体膜の修復・保護の作用が良好に発揮され、耐電圧の低下が効果的に抑制される点で有利である。
本発明の電解質層においては、単に導電性高分子とイオン性液体とからなる電解質、あるいは導電性高分子とイオン性液体とが何らかの相互作用を有する電解質(以下、単に複合体とも称する)として形成されることは好ましい。何らかの相互作用を有する場合の典型的な複合体としてはイオン性液体中に導電性高分子が溶解した様な場合を例示できる。この場合、高濃度領域を電解質層の陽極側の表面近傍に均一かつ確実に形成することが比較的容易に実現でき、電解コンデンサに優れた耐電圧の向上効果を付与できる点で有利である。
本発明において電解質層に形成される高濃度性領域は、イオン性液体を電解質層全体における含有率よりも高い含有率で存在させることにより形成されるものであるが、イオン性液体は通常常温付近で液体であるため、たとえばイオン性液体に電極箔を浸漬した後、イオン性液体を含まない導電性高分子層を形成する方法等においては、導電性高分子層の形成時にイオン性液体が流失してしまい、電解質層の陽極側の表面に高イオン伝導性領域を確実に形成することが困難である。
電解質層の少なくとも一部が上記の複合体として形成される場合、たとえば前記の様な電解質層の陽極側の表面にイオン性液体を単独で存在させる場合においても、上記の複合体を併せて用いることによって、製造工程でイオン性液体が一部流失しても流失部分の誘電体膜表面は該複合体が覆うため、電解質層の誘電体膜との界面近傍にイオン性液体を確実に存在させることができる。また、高濃度領域が該複合体からなる場合には、製造工程におけるイオン性液体の流失が生じ難いため電解質層の陽極側の表面を均一な高イオン伝導性領域で覆うことができる。
本発明の電解コンデンサの電解質層においては、導電性高分子の全部がイオン性液体と導電性高分子とを含む複合体として形成されていても良く、また該導電性高分子の一部のみが該複合体として形成され、残りの部分が導電性高分子単独で形成されていても良い。
電解質層の導電性高分子の全部が複合体として形成されている場合には、電解質層の全域にイオン性液体が存在していることとなる。この場合、誘電体膜と電解質層との界面近傍に高イオン伝導性領域がより確実に形成されるため、誘電体膜と導電性高分子とが直接接触することが効果的に防止され、該電解質層が形成された電解コンデンサに良好な耐電圧特性が付与される。
一方、導電性高分子の一部のみが該複合体として形成され、残りの部分が導電性高分子単独で形成されている場合には、高イオン伝導性領域を確実に形成しつつ、電解質層全体のイオン性液体の含有率を低く抑え、電子伝導性を良好に維持することができるため、該電解質層が形成された電解コンデンサに良好なインピーダンス特性を付与することができる。なおこの場合、誘電体膜の保護・修復作用を十分に発揮して電解コンデンサに良好な耐電圧特性を付与することができる。
本発明の電解コンデンサにおいては、誘電体膜と電解質層との界面の任意の点から陰極と電解質層との界面までを最短距離で結ぶ仮想軸において、誘電体膜と電解質層との界面からの距離が大きくなるに従ってイオン性液体の含有率が小さくされていることが好ましい。この様な含有率勾配はチップ型電解コンデンサの場合のように、陽極箔上に多数回の塗布により電解質層を形成する様な場合には容易に形成できる。それは初期の塗布においては、イオン性液体の含有率が高くなる様に重合性モノマーとの比率を設定し、塗布回数が増えるに従って該比率が低くなる様にすればよいからである。この場合、電解質層の陽極側の表面を含む領域に高濃度領域を確実に形成するとともに、電解質層全体のイオン性液体の含有率を低く抑えることができ、該電解質層を形成した電解コンデンサに良好なインピーダンス特性および耐電圧特性を付与することができる。
一方、捲回型の電解コンデサにおいては、状況は異なるが同じ手法により誘電体界面近くに高濃度領域を形成する事が可能になる。その原理は以下に説明するとおりである。捲回された陽極アルミ箔と陰極アルミ箔ではエッチング倍率が大きく異なり、陽極アルミ箔の方がエッチング倍率ははるかに大きくなっている。少なくともイオン性液体と重合性モノマーからなる電解液は捲回箔を電解液に浸漬する事で含浸させ、しかる後に熱処理する事によって形成される。このときより多くの電解液が陽極アルミ箔のエッチング孔内部に含浸される。含浸回数が増えると電解液は陽極と陰極の間、あるいはセパレータを充填するために消費される確率が増加する。その結果、工程後半の含浸液におけるイオン性液体の含有率を低くしておけば濃度勾配が生じるのである。
本発明において、電解質層の陽極側の表面を含む領域の高イオン伝導性領域の存在は、たとえばイオン性液体がエチル・メチルイミダゾリウム−BF4である場合、電極断面のフッ素イオンついてのXPS(X線光電子分光)法を用いた元素分析により確認できる。
本発明においては、電解質層全体のイオン性液体の質量(P)と導電性高分子の質量(D)との質量比(P/D)が、0.001〜1である事が好ましく、0.01〜0.5である事はより好ましく、0.05〜0.3の範囲であるものは最も好ましい。質量比(P/D)が0.001以上である場合、高イオン伝導性領域によって誘電体膜と電解質層との界面近傍にイオン性液体を高濃度に存在させることができるため耐電圧の向上効果が良好に得られ、該質量比(P/D)が1以下である場合、電解質層の電子伝導性が良好となり電解コンデンサに良好なインピーダンス特性を付与することができる。
なお、上記の質量比は、たとえば、電解質層形成後、メタノールやブタノール等のアルコール溶液によってイオン性液体を抽出し、その抽出物と電解質層の質量変化とを測定する方法により推定できる。ただし場合によっては、電解質層形成工程で配合された重合酸化剤等の添加剤成分がメタノールやブタノール等の溶媒に溶解することがある。このような場合は、抽出物中の各成分の含有量をイオンクロマトグラフィー等によって算出し、その結果から上記の質量比を算出することができる。
<イオン性液体>
本発明の電解質に含まれるイオン性液体(必要に応じて「ILs」と略す)は、常温溶融塩ともいわれ、イオンのみから構成されているにもかかわらず常温で液体であるものを指し、イミダゾリニウムなどのカチオンと適当なアニオンの組み合わせで構成される。イオン性液体は、通常の有機溶媒のように一部がイオン化・解離しているのではなく、イオンのみから形成され100%イオン化していると考えられている。上述のように、通常イオン性液体は常温で液体であるものをいうが、本発明で用いるイオン性欲体は必ずしも常温で液体である必要はなく、コンデンサのエージング処理、または熱処理時に液体となって電解質全体に広がり、酸化皮膜修復時にその発生するジュール熱によって液体となるものであればよい。これらの中でも、イミダゾリニウムまたはその誘導体、アンモニウムまたはその誘導体、ピリジュウムまたはその誘導体は本目的に好ましく用いることができる。
本発明に用いるイオン性液体はアニオン成分が、いかなるイオン性液体でもその修復化成能を利用できるので何ら制限はないが、望ましくは、イオン性液体のアニオン成分が、カルボン酸アニオン誘導体、スルフフォニルイミドアニオン誘導体、フルオロ臭素アニオン誘導体、フルオロホウ素アニオン誘導体、硝酸アニオン誘導体、フッ化ホウ素アニオン誘導体、シアノイミドアニオン誘導体、スルホン酸アニオン誘導体、または、硫酸アニオン誘導体、の原子団を含むイオン性液体である導電性高分子コンデンサ、であることが好ましい。さらに好ましくは、アニオン成分のスルホン酸アニオン誘導体、または、硫酸アニオン誘導体は、R−SO3 、または、R−OSO3 、等で表されること(ここで、Rは、炭素数が5〜50の1価の脂肪族炭化水素基であり、枝分かれを有していてもよく、O・S・NHCO・CO・OCO等のアルキル基間を結合することが出来る基により置換されていてもよい、また、フッ素原子を1個以上含んでいてもよい。)を特徴とする導電性高分子コンデンサ、であることが好ましい。しかしながら、本発明にとって好ましいイオン性液体は、当業者の一般的な知識によって類推されるものであれば、これらになんら限定されるものではない。
<導電性高分子>
本発明における電解質層に含まれる導電性高分子としては、導電性が高く、耐熱性等の安定性に優れるものであれば、特に制限されるものではないが、ピロールまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、キノンまたはその誘導体、キノリンまたはその誘導体、フランまたはその誘導体から選ばれることが好ましい。少なくともいずれかが特に好ましく用いられる。
たとえば、チオフェンの誘導体としては、1,4−ジオキシチオフェンや、3,4−ジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン(アルキル基としてはブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、フルオロフェニルチオフェン、アリルチオフェンなどを例示できるが、これらに限定されるものではない。
アニリンの誘導体としては、アニリン骨格にアルキル基、シアノ基、スルホン基、カルボキシル基を有するものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
キノンの誘導体としては、置換基を有するベンゾキノンや、置換基を有するナフトキノンや、置換基を有するアントラキノンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ピロールの誘導体としては、ピロール骨格を有し、水酸基、カルボキシル基、アルキル基等の置換基を持つものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に、ピロールまたはその誘導体、ポリ−(2,3−ジヒドロチエノ−[3,4−b]−1,4−ジオキシン)からなる導電性高分子は、導電性、耐熱性の点で好ましく用いられる。
<電解コンデンサ>
本発明の電解コンデンサは、高イオン伝導性領域を設けた電解質層を用いて形成され、電解質層と、該電解質層を挟んで対向するように配置される陽極および陰極と、を少なくとも備える。本発明の電解コンデンサは、チップ型、捲回型のいずれにも形成され得る。チップ型の電解コンデンサは、典型的には、表面に誘電体膜が形成された陽極金属からなる陽極の該誘電体膜の上に、電解質層、陰極がこの順で積層されたコンデンサ素子と、該コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子とを備える構成とされる。一方、捲回型の電解コンデンサは、典型的には、径方向内側から、表面に誘電体膜が形成された陽極金属からなる陽極の該誘電体膜の上に電解質層、セパレータ、陰極、セパレータがこの順で配置されるように積層、捲回されたコンデンサ素子と、該コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子とを備える構成とされる。なおセパレータにおいては、通常、たとえばポリオレフィンやセルロース繊維等からなるセパレータ材料と導電性高分子とが複合化されている。
本発明の電解コンデンサの陽極としては、電解コンデンサにおいて従来公知のものが好ましく使用でき、たとえば陽極金属として、アルミニウム等の電極箔の表面にエッチングを施してエッチング孔を形成したものや、タンタル等からなる粉体電極を用い、該陽極金属の表面に陽極酸化等の方法によって形成された酸化皮膜からなる誘電体膜を組合せることにより、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を形成できる。上記の陽極酸化は、陽極金属をたとえばアジピン酸アンモニウム水溶液等に浸漬して化成電圧を印加することにより行なうことができる。
陰極としてはたとえばカーボンペーストおよび銀ペースト等が従来公知の方法で形成され得る。陽極および陰極はそれぞれ端子に接続される。このようにして陽極と電解質膜と陰極とを少なくとも備える電解コンデンサが形成され得る。
以下、本発明の電解コンデンサの典型的な製造方法の例について説明する。本発明の電解コンデンサにおいて特に言及していないコンデンサの構成要素については特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜適用することができる。なお以下においてはエッチング孔を設けた陽極を用い、チップ型の電解コンデンサを形成する場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<実施の形態1>
本実施の形態においては、イオン性液体浸漬工程および化学重合工程によって電解質層の形成を行なう場合について説明する。本実施の形態における電解コンデンサの製造方法は、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を形成する陽極形成工程と、誘電体膜に接して電解質層を形成する電解質層形成工程と、電解質層の表面に陰極を形成する陰極形成工程とを含む。該電解質層形成工程は、イオン性液体に陽極を浸漬するイオン性液体浸漬工程と、イオン性液体と重合性物質とを少なくとも含む化学重合用組成物に陽極を浸漬した後、重合性物質を化学重合法により重合させることによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する化学重合工程とを含む。化学重合工程は、1回のみ行なわれ、または、複数回繰り返されることができる。
また、該化学重合工程は、化学重合用組成物におけるイオン性液体と重合性物質との質量比を変えながら複数回繰り返されることができる。
本実施の形態の方法では、陽極をまずイオン性液体に浸漬し、誘電体膜の表面近傍にイオン性液体を高濃度で存在させる。続いて、化学重合工程において、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する。すなわち、該複合体においてはイオン性液体の含有率が誘電体膜との界面近傍よりも低くなっている。
たとえばエッチングを施した陽極金属の表面に誘電体膜を形成して陽極を作製し、該陽極をイオン性液体に浸漬した後、該陽極の表面に、導電性高分子の原料モノマーを含む化学重合用組成物を用いて導電性高分子層を形成する方法では、エッチング孔の奥のイオン性液体は完全に溶け出す事無く存在する事が可能であるものの陽極の表面付近ではイオン性液体が化学重合用組成物に溶け出し、誘電体膜と導電性高分子層とが直接接触する可能性が高く、所定の耐電圧向上効果が得られない場合がある。
これに対し、重合性物質を含む化学重合用組成物にイオン性液体を含有させた状態で化学重合工程を行ない、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する場合には、電解質層の陽極側の表面を含む領域に、イオン性液体が高濃度で存在する高イオン伝導性領域を確実に形成することできる。
本実施の形態においては、イオン性液体浸漬工程の後に化学重合工程を行なうため、化学重合工程を1回のみ行なっても電解質層の陽極側の表面に高イオン伝導性領域を形成することができるが、化学重合工程は、化学重合用組成物におけるイオン性液体と重合性物質との質量比を一定とし、または該質量比を変えながら、複数回繰り返されても良い。この場合、化学重合用組成物におけるイオン性液体の含有率を工程毎に下げながら化学重合工程を複数回繰り返すことが好ましい。
(陽極形成工程)
電解コンデンサの陽極は、たとえばアルミニウム箔等の陽極金属の表面をエッチングしてエッチング孔を形成した後、陽極酸化による酸化皮膜からなる誘電体膜を形成して作製する。陽極酸化は、陽極金属をアジピン酸ナトリウム水溶液等の酸化剤に浸漬し、所定の化成電圧を印加して行なう方法等、従来公知の方法で行なうことができる。
次に、上述のような方法で形成した陽極の誘電体膜表面に電解質層を形成する。
(電解質層形成工程)
1.イオン性液体浸漬工程
上記の陽極形成工程で得た陽極を、前述したような本発明において好適に用いられるイオン性液体に浸漬することによって、陽極の表面にイオン性液体を付着させる(イオン性液体浸漬工程)。
イオン性液体浸漬工程においては、イオン性液体を陽極のエッチング孔の奥まで侵入させる事が望ましい。よって、陽極をイオン性液体に浸漬したのち、必要に応じて真空含浸、液加熱、超音波等の処理を行なうことが好ましい。この時イオン性液体がエッチング孔の内部まで入ったかどうかは、陽極の液中容量を測定する事により見積もることが出来る。
すなわち、上記のイオン性液体の含浸によって得られた検体箔の液中容量をイオン性液体中で測定し、この値を上記の陽極形成工程であらかじめ得られている箔容量と比較する。この時イオン性液体含浸箔の容量が陽極形成工程で得られた箔容量の95%以上である場合、イオン性液体が陽極のエッチング孔の内部まで浸入したと判定することができる。なお、箔の液中容量は、充放電測定装置(たとえば東陽テクニカ(株)製のSolartron、型番1480)を用いて測定できる。
陽極をイオン性液体から引き上げた後、陽極のエッチング孔に最適量のイオン性液体を存在させる目的で、必要に応じて余分なイオン性液体を滴下させて除いても良い。この場合、加熱によってイオン性液体の粘度を下げる事で滴下を促進しても良い。また、余分なイオン性液体を濾紙等に吸収させて取り除いても良い。
イオン性液体浸漬工程で用いられるイオン性液体には、必要に応じて高分子や結着剤等のバインダーが添加されていても良い。バインダーとしては、皮膜形成性に優れ、イオン性液体、あるいはイオン性液体と有機溶媒との混合溶媒に溶解するものが好ましい。具体的な例として、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリエステル、水溶性アクリル樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルブチラ−ル、酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、等が例示される。
2.化学重合工程
次に、上記でイオン性液体を付着させた陽極を、イオン性液体と重合性物質とを少なくとも含む化学重合用組成物に浸漬し、引き上げた後、該重合性物質を化学重合法により重合させ、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する(化学重合工程)。
化学重合用組成物に配合するイオン性液体としては、前述したような本発明において好適に用いられる種々のイオン性液体を使用できる。イオン性液体としては、前述のイオン性液体浸漬工程において用いられたものと同じ種類のイオン性液体を用いても良く、また異なる種類のイオン性液体を用いても良い。化学重合用組成物に溶媒が配合される場合には、該溶媒と相溶するイオン性液体を用いることが好ましい。この場合、より均一な構造の電解質層を形成することができる。
重合性物質としては、電解質層における目的の導電性高分子を与える原料モノマー、原料オリゴマー等が例示できる。たとえば、電解質層に含有される導電性高分子としてポリチオフェンを与えるモノマーとしては、1,4−ジオキシチオフェンモノマー、チオフェンモノマー、3−ヘキシルチオフェンモノマー、3−オクチルチオフェンモノマー、3−ブチルチオフェンモノマー、3−シクロヘキシルチオフェンモノマー等が例示できる。また、化学重合法で好ましく形成される導電性高分子を与える原料モノマーとしては、ピロールモノマー、アニリンモノマー、1,4−フェニレンビニレンモノマー等を例示できる。
化学重合法におけるイオン性液体と原料モノマーとの好ましい組合せとしては、たとえば、イミダゾリウムカチオンおよびスルホン酸アニオンからなるイオン性液体と1,4−ジオキシチオフェンモノマーとの組合せが例示できる。該組合せは、イオン性液体の誘電体膜に対する修復能力が高く、一方で重合によって得られるポリチオフェンの電気伝導度が高いので、優れた耐電圧特性およびインピーダンス特性を持つ電解コンデンサが実現できる点で好ましい。
化学重合用組成物には、溶媒を含有させることが好ましく、この場合化学重合をより均一に進行させることができる。溶媒としては、特に制限されるものではないが、たとえば、水、ブタノール、エタノール、メタノール、アセトン等を挙げることができる。
化学重合用組成物におけるイオン性液体の質量(N)と重合性物質の質量(B)との好ましい質量比(N/B)は、1/100〜10/1の範囲内であり、より好ましい質量比は1/20〜5/1の範囲内であり、最も好ましい質量比は1/10〜2/1の範囲内である。上記の質量比(N/B)で1/100よりもイオン性液体が少ない場合、耐電圧向上効果が小さくなる傾向がある。一方、上記の質量比(N/B)で10/1よりもイオン性液体が多い場合、過剰なイオン性液体の存在により電解コンデンサにおける電解質層の電気伝導度が低下し、得られる電解コンデンサのインピーダンス特性が低下する傾向がある。
なお、ここで示した好ましい範囲とは、化学重合用組成物における組成を示したものであり、実際の電解質層におけるイオン性液体の好ましい範囲を示したものではない。化学重合用組成物中に含有されるイオン性液体の最適範囲は上記の通りであるが、実際に形成された電解質層中に存在するイオン性液体の量は、化学重合用組成物中の比率に比べて少なくなっていると予想される。それは、化学重合した導電性高分子は化学重合工程において用いる溶媒に溶解しないのに対して、イオン性液体は該溶媒に通常溶解するため、化学重合工程や洗浄過程等においてイオン性液体が抜け出してしまう現象が生じることによる。
化学重合用組成物に含まれる溶媒は、化学重合工程の加熱プロセスにおいて順次蒸発するため、化学重合工程の終了時には、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体が形成される。
化学重合用組成物には、イオン性液体および重合性物質以外に、酸化剤や界面活性剤等を含有していてもよい。酸化剤は重合触媒として使用されるが、その例としてパラトルエンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、n−ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄等が挙げられる。中でもドーパントとしてのパラトルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として用いるのが好ましい。
化学重合用組成物における重合性物質と酸化剤との混合比率は、特に制限されるものではないが、原料モノマー:酸化剤の混合割合はモル比で、1:0.1〜1:5の範囲内であるのが好ましく、1:0.2〜1:3の範囲内であるのがより好ましい。このような混合比率で化学重合用組成物を調製することで、特に電子伝導性の高い電解質層が得られる。
上述したイオン性液体、重合性物質、酸化剤を含む化学重合用組成物を用いる場合、たとえば導電性高分子がPEDOTの場合では、加熱処理を、20〜140℃、特に20〜120℃の温度で0.5〜10時間行なうのが好ましい。温度が20℃以上である場合、重合反応が良好に進行し、また温度が140℃以下である場合、反応が速く進みすぎることがなく緻密な化学重合層を形成できる。
化学重合工程は、1回のみ行なわれても良く、また、化学重合用組成物におけるイオン性液体と重合性物質との質量比を一定とし、または該質量比を変えながら複数回繰り返されても良い。特に、工程毎に、化学重合用組成物中のイオン性液体の濃度を段階的に低くする事によって、電解質層の陽極側の表面に、イオン性液体が高濃度で存在する高イオン伝導性領域を確実に形成し、かつ、電解質層全体でのイオン性液体の含有率を低く抑えることができる。これにより、インピーダンス特性および耐電圧特性に優れた電解コンデンサを得る事が出来る。
化学重合工程を複数回繰り返す場合の化学重合用組成物のイオン性液体の質量(N)と重合性物質の質量(B)との質量比(N/B)としては、たとえば化学重合工程を2回繰り返す場合を例にし、1回目は2/1程度、2回目は1/2程度とする条件が例示できる。この場合、2回目の化学重合工程の後、重合性物質を含みかつイオン性液体を含まない重合用溶液を用いて化学重合工程と同様の処理を行ない、イオン性液体を含まない導電性高分子層を形成する後工程を設けても良い。この場合、電解質層の電子伝導性が向上し、電解コンデンサのインピーダンス特性がより良好となる。
(陰極形成工程)
上記のような方法によって電解質層を形成した後、従来公知の方法で、カーボンペースト、銀ペーストの塗布等により陰極を形成する(陰極形成工程)。なお、電解コンデンサの大容量化のため、必要に応じてカーボンペーストや銀ペーストが乾燥する前に、陽極、電解質層、陰極からなる素子を複数積層してコンデンサ素子を形成しても良い。
上記の陰極形成工程の後、陽極および陰極にそれぞれ端子を接続して、本発明の電解コンデンサを得ることができる。
陽極金属がアルミニウムである電解コンデンサでは、たとえば40V化成を行なった場合、イオン性液体を用いない通常の化学重合法で電解質層を形成した場合には、コンデンサの破壊電圧はたとえば20V〜35Vの間にばらつき、安全性を考慮した実使用上の電圧はたとえば16V程度となる。これに対して、本実施の形態の方法で電解質層を形成した電解コンデンサでは、コンデンサの耐電圧はたとえば38V〜45Vの狭い範囲で安定して得られ、安全性を考慮しても、従来の電解コンデンサの約2倍の耐電圧、すなわち32Vの実使用耐電圧を得る事が可能となる。しかも、インピーダンス特性はイオン性液体なしで作製した電解コンデンサとほぼ同等の特性とする事が出来る。このような傾向は、タンタルを陽極金属に用いた電解コンデンサでも同様に見られる。
<実施の形態2>
本実施の形態では、実施の形態1において説明したようなイオン性液体浸漬工程を経ず、イオン性液体と重合性物質とを少なくとも含む化学重合用組成物に陽極を浸漬した後、重合性物質を化学重合法により重合させる化学重合工程により、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する例について説明する。本実施の形態における化学重合工程は、化学重合用組成物におけるイオン性液体と重合性物質との質量比を変えながら複数回繰り返される。なお、特に言及しない工程については実施の形態1と同様の材料、方法が好ましく採用される。
本実施の形態で実施される方法は、電解質層形成工程において、実施の形態1の化学重合工程のみを複数回繰り返して実施する方法と考えることができる。本実施の形態において化学重合工程を複数回繰り返す場合の化学重合用組成物のイオン性液体の質量(N)と重合性物質の質量(B)との質量比(N/B)としては、たとえば2回繰り返す場合を例にし、1回目は2/1程度、2回目は1/2程度とする条件が例示できる。この場合、2回目の化学重合工程の後、重合性物質を含みかつイオン性液体を含まない重合用溶液を用いて化学重合工程と同様の処理を行ない、イオン性液体を含まない導電性高分子層を形成する後工程を設けても良い。この場合、電解質層の電子伝導性が向上し、電解コンデンサのインピーダンス特性がより良好となる。
<実施の形態3>
本実施の形態においては、電解質形成工程が化学重合工程と電解重合工程とからなる例について説明する。図4は、電解重合に用いられる電解重合装置について説明する概念図である。本発明において、電解重合は、典型的には下記のように行なわれる。すなわち、陽極金属2、誘電体膜3からなる陽極の表面に、たとえば化学重合層からなる導電層4を形成し、該導電層が形成された陽極を電解液6に浸漬し、該導電層4に重合開始電極1を近接させ、該電解液6に陰極7を浸漬する。電解液には、電解重合で形成される電解重合層に含有させるイオン性液体と、該電解重合層に含有させる導電性高分子を与える重合性物質とが溶解されている。重合性物質としては、該導電性高分子を与える原料モノマー、原料オリゴマー等が用いられる。重合開始電極1と陰極7との間に所定の電圧を印加して重合性物質を該導電層4の表面で重合させ、該導電層4の表面に電解重合層5を形成する。
すなわち、本発明において電解質層形成工程が電解重合工程を含む場合、まず誘電体膜の表面に何らかの方法で下地電極として作用する導電層を形成する必要がある。本発明においては、該導電層として、図4に示すように、化学重合工程で形成される、イオン性液体を含む複合体からなる化学重合層を用いても良く、また、イオン性液体を含む導電性高分子溶液を用いて形成された、イオン性液体を含む複合体からなる重合体層を用いても良い。本実施の形態では、導電層として化学重合層を用いる場合について説明する。
導電層を形成するための化学重合は、たとえば実施の形態1の化学重合工程において説明したような方法で実施でき、1回でも複数回繰り返されても良い。たとえば、化学重合用組成物として、イオン性液体の質量(N)と重合性物質の質量(B)との質量比(N/B)が1/20〜5/1の範囲内、さらに好ましくは1/5〜2/1の範囲内とされた化学重合用組成物を用いることができる。
導電層形成後、重合開始電極を設け、この電極を利用して電解重合を行なう。電解重合で得られる導電性高分子および該導電性高分子を与える原料モノマーとしては、たとえば、ポリピロールの原料モノマーとしてピロール、ポリチオフェンの原料モノマーとしてチオフェン、ポリフランの原料モノマーとしてフラン、等が例示できる。
たとえばピロールモノマーを用いて電解重合を行なう場合、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの30質量%アルコール溶液および水からなる電解液を用いて電解重合層としてのポリピロール層を形成することができる。
イオン性液体は該電解液に添加される事が好ましい。電解液中のイオン性液体の質量(O)と重合性モノマーの質量(C)との質量比(O/C)は、たとえば1/20〜100/1の範囲内、より好ましくは1/5〜20/1の範囲内とすることが好ましい。上記の質量比(O/C)で1/20よりもイオン性液体が少ない場合は、耐電圧向上効果が小さくなる傾向にあり、上記の質量比で100/1よりもイオン性液体が多い場合は、電解コンデンサのインピーダンス特性が低下する傾向にある。
イオン性液体は蒸気圧が極めて低いので、重合熱処理や乾燥処理によって溶媒が取り除かれた後もイオン性液体のまま電解重合層中に存在する。すなわち、ポリピロールからなる導電性高分子とイオン性液体とを含む複合体からなる電解重合層が形成される。これにより、本実施の形態においては、化学重合層および電解重合層からなる電解質層を形成できる。
本実施の形態においては、化学重合層、電解重合層からなる電解質層全体で、誘電体膜と電解質層との界面の任意の点から陰極と電解質層との界面までを最短距離で結ぶ仮想軸において、誘電体膜と電解質層との界面からの距離が大きくなるに従ってイオン性液体の含有率が小さくされていることが好ましい。この場合、耐電圧特性とインピーダンス特性とが良好である点で有利である。
たとえば従来の電解重合法では、熱分解による二酸化マンガン層や化学重合による導電性高分子層が導電層として用いられるが、この導電層を形成する際には誘電体膜が損傷しコンデンサの漏れ電流の増大、耐電圧の低下という不具合が起こる場合がある。本実施の形態では、導電層である化学重合層にイオン性液体を存在させることにより誘電体膜を保護・修復する事が出来る。これにより、電解コンデンサに耐電圧の向上効果が付与される。
なお、化学重合の場合でも電解重合の場合でも、陽極表面に最初にイオン性液体を含まない導電性高分子層を形成し、しかる後にイオン性液体を含浸させる方法では耐電圧向上効果は得られ難い。これは、後からイオン性液体を含浸・添加する方法においては、誘電体膜と電解質層との界面の全域にイオン性液体を存在させることが困難であり、誘電体膜の修復・保護作用を有しない導電性高分子層が誘電体膜と直接接してしまうためである。
また、たとえば、あらかじめ陽極をイオン性液体に浸漬処理し、その後に化学重合法や電解重合法、またはこれらの組合せによりイオン性液体を含まない導電性高分子層を形成する方法でも、耐電圧の顕著な向上は実現困難である。その理由は、イオン性液体を用いて浸漬処理をしても、その後の重合工程の際に陽極表面のイオン性液体は流出してしまうために、電解質層と誘電体膜との界面近傍に高イオン伝導性領域を確実に形成することができず、導電性高分子と誘電体膜とが直接接触する部分が出来てしまうためである。
本実施の形態においては、化学重合層と電解重合層とからなる電解質層を形成する例について説明したが、本発明においては、本実施の形態の化学重合工程の前に、イオン性液体に陽極を浸漬するイオン性液体浸漬工程をさらに設けることも好ましい、この場合、イオン性液体、化学重合層および電解重合層からなる電解質層が形成される。
<実施の形態4>
本実施の形態においては、電解質層形成工程が、イオン性液体と導電性高分子とを含む導電性高分子溶液に陽極を浸漬する導電性高分子溶液浸漬工程を含む例について説明する。なお、特に言及しない工程については実施の形態1と同様の材料、方法が好ましく採用される。
本実施の形態においては、電解質層形成工程が、イオン性液体に陽極を浸漬するイオン性液体浸漬工程と、イオン性液体と導電性高分子とを少なくとも含む導電性高分子溶液に陽極を浸漬することによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する、導電性高分子溶液浸漬工程とを含む。導電性高分子溶液浸漬工程は、1回のみ行なわれ、または、導電性高分子溶液におけるイオン性液体と導電性高分子との質量比を一定とし、または該質量比を変えながら複数回繰り返されることができる。
本実施の形態においては、イオン性液体浸漬工程の後に導電性高分子溶液浸漬工程を行なうため、該導電性高分子溶液浸漬工程を1回のみ行なっても電解質層の陽極側の表面に高イオン伝導性領域を形成することができる。
本発明において導電性高分子溶液浸漬工程により電解質層を形成する場合、化学重合の場合に問題となる金属酸化触媒の除去の必要がない点で有利である。
本実施の形態では、陽極形成工程の後、実施の形態1と同様のイオン性液体浸漬工程を経て、イオン性液体と導電性高分子とを少なくとも含む導電性高分子溶液に陽極を浸漬することによって、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を形成する(導電性高分子溶液浸漬工程)。導電性高分子溶液浸漬工程が複数回繰り返される場合には、上記の導電性高分子溶液中のイオン性液体の濃度が工程毎に低くされていくことが好ましい。
導電性高分子溶液におけるイオン性液体の質量(M)と導電性高分子の質量(A)との好ましい質量比(M/A)は、1/100〜10/1の範囲内であり、より好ましい質量比は1/20〜5/1の範囲内であり、最も好ましい質量比は1/10〜2/1の範囲内である。上記の質量比(M/A)で1/100よりもイオン性液体が少ない場合、耐電圧向上効果が小さくなる傾向がある。一方、上記の質量比(M/A)で10/1よりもイオン性液体が多い場合、過剰なイオン性液体の存在により電解コンデンサにおける電解質層の電気伝導度が低下し、得られる電解コンデンサのインピーダンス特性が低下する傾向がある。
導電性高分子溶液に配合するイオン性液体としては、前述したような本発明において好適に用いられる種々のイオン性液体を使用できる。イオン性液体としては、前述のイオン性液体浸漬工程において用いられたものと同じ種類のイオン性液体を用いても良く、また異なる種類のイオン性液体を用いても良い。導電性高分子溶液に溶媒が配合される場合には、該溶媒と相溶するイオン性液体を用いることが好ましい。この場合、より均一な構造の電解質層を形成することができる。
導電性高分子溶液に用いる好ましい導電性高分子としては、導電性高分子モノマーの共成分としては、特に制限されるものではないが、ポリマー形成時の導電性が高く、かつ空気中で安定であることから、ピロールまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、キノンまたはその誘導体、キノリンまたはその誘導体、フランまたはその誘導体から選ばれることが好ましい。
より具体的には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ1,4−ジオキシチオフェン、ポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ3−オクチルチオフェン、ポリ3−ブチルチオフェン、ポリ3−シクロヘキシルチオフェン、ポリ3−ニトロチオフェン等が例示できる。
上記の導電性高分子溶液は、導電性高分子をイオン性液体に溶解させることにより調製することが好ましいが、導電性高分子溶液には、たとえば、DMF、THF、アセトン、フッ素化アルコール、メタノール、アセトニトリル等の溶媒が含まれても良い。
本発明においては、導電性高分子溶液浸漬工程と、化学重合工程とが組合されても良い。この場合、典型的には、まず、イオン性液体を含む導電性高分子溶液を用いた導電性高分子溶液浸漬工程を行ない、続いて化学重合工程を行なうことができる。化学重合工程は、1回でも、化学重合用組成物におけるイオン性液体の含有率を変えながら複数回繰り返されても良い。導電性高分子溶液浸漬工程の後には、イオン性液体を含有する化学重合用組成物を用いた化学重合工程が行なわれることが好ましいが、イオン性液体を含有しない化学重合用組成物を用いて化学重合による導電性高分子層の形成が行なわれても良い。
また、本発明においては、導電性高分子溶液浸漬工程と、電解重合工程とが組合されても良い。この場合、典型的には、まず、イオン性液体を含む導電性高分子溶液を用いた導電性高分子溶液浸漬工程を行ない、続いて電解重合工程を行なうことができる。導電性高分子溶液浸漬工程の後には、イオン性液体を含有する電解液を用いた電解重合工程が行なわれることが好ましいが、イオン性液体を含有しない電解液を用いて電解重合による導電性高分子層の形成が行なわれても良い。
また、本発明においては、導電性高分子溶液浸漬工程と、上記の電解重合工程および上記の化学重合工程とが組み合わされても良い。この場合、高イオン伝導性領域と陰極との間の領域に、イオン性液体を含有しない導電性高分子層がさらに形成されても良い。
<実施の形態5>
実施の形態4では、イオン性液体浸漬工程の後に導電性高分子溶液浸漬工程を行なう場合について説明したが、本実施の形態では、該イオン性液体浸漬工程を経ずに導電性高分子溶液浸漬工程を直接行なう場合について説明する。なお、特に言及しない工程については実施の形態1と同様の材料、方法が好ましく採用される。
本実施の形態では、陽極形成工程の後、実施の形態4と同様の導電性高分子溶液を用いて導電性高分子溶液浸漬工程を行なうことにより、陽極表面に、イオン性液体と導電性高分子とを含む複合体を直接形成する。
陽極を直接導電性高分子溶液に浸漬する場合、イオン性液体のみを陽極に含浸させる場合と比べて、導電性高分子の存在によりイオン性液体の溶出をある程度防止する事が出来る点、および、化学重合の場合に問題となる金属酸化触媒の除去の必要がない点で有利である。
本実施の形態ではイオン性液体浸漬工程を経ないため、高イオン伝導性領域を確実に形成するためには、導電性高分子溶液浸漬工程が複数回繰り返されるか、導電性高分子溶液浸漬工程と、電解重合工程および/または化学重合工程が組み合されることが好ましい。またこの場合、高イオン伝導性領域と陰極との間の領域に、イオン性液体を含有しない導電性高分子層がさらに形成されても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<イオン性液体の合成>
まず、イオン性液体の合成法および入手先について述べる。
(1) (ILs−1)(1−C25−3−CH3−Im)+(BF4-
関東化学(株)より購入した(なおImはイミダゾリウムの略である)。
(2) (ILs−2):(1−C25−3−CH3−Im)+(p−TsO)-
よく乾燥した200ml丸底フラスコに2.30g(28.0mmol)のN−メチルイミダゾールと20mlのDMFとを入れ、よく攪拌した。5.61g(28.0mmol)のエチルp−トルエンスルフォナートを、氷冷下、該フラスコ中にすばやく加えた。添加終了後、さらに23時間攪拌した。この反応液を氷冷した200mlエーテル中に滴下し、エーテルをデカンテーションにより取り除き、5.90gの黄色の液体を回収した。収率は74.4%であった。1H−NMRスペクトルより、回収した液体は、イミダゾリウム塩と同定できた。得られたイミダゾリウム塩は、−85.7℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。
(3) (ILs−3)(1−nC49−3−CH3−Im)+(BF4-
関東化学(株)より購入した。
(4) (ILs−4)(1−C49−3−C25−Im)+(p−TsO)-
0.60g(4.83mmol)のN−ブチルイミダゾールを20mlのDMFに溶解し、0.97g(4.83mmol)のエチルp−トルエンスルフォナートを、氷冷下すばやく加えた。添加終了後、さらに23時間攪拌した。この反応液を氷冷した200mlエーテル中に滴下し、エーテルをデカンテーションで取り除く事により、0.36gの黄色の液体を回収した。収率は0.26%であった。1H−NMRスペクトルより、回収した液体は、イミダゾリウム塩と同定できた。得られたイミダゾリウム塩は、−73.8℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。
(5) (ILs−5)(1−C25−3−CH3−Im)+((CF3SO22N)-
関東化学(株)より購入した。
(6) (ILs−6)(1−C49−3−C25−Im)+(CH3OSO-
MERCK社より購入した。
(7) (ILs−7)(1−C25−3−CH3−Im)+ (H(CH26OSO-
SOLVENT INOVATION社より購入した。
(8) (ILs−8)(1−C25−3−CH3−Im)+ (H(CH24OSO-
SOLVENT INOVATION社より購入した。
(実施例1)
(陽極形成工程)
陽極金属としてのアルミニウムエッチド箔(サイズ:4×3.3mm)を、3質量%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、10mV/secの速度で0から40Vまで上げ、つづけて40Vの定電圧を40分間印加して化成処理し、該アルミニウムエッチド箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成した。これを脱イオン水の流水により10分洗浄してから105℃で5分乾燥を行ない、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を作製した。得られた陽極の液中容量は4.2μFであった。
(電解質層形成工程)
まず、上記の陽極をイオン性液体としての(ILs−1)に浸漬し(イオン性液体浸漬工程)、真空含浸・乾燥させた。次に、導電性高分子の原料モノマー、すなわち重合用物質として、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(H.C.Starck−V TECH社製)、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄、溶媒として1−ブタノール、イオン性液体としてILs−1を用い、以下の配合割合で配合して、電解質層の形成に用いる化学重合用組成物を調製した。
・導電性高分子の原料モノマー 1g
・酸化剤 2g
・溶媒 3g
・イオン性液体 1g
この化学重合用組成物を、よく乾燥した30cm3のビーカーで混合し、次に該化学重合用組成物中に、上記のイオン性液体で含浸処理した陽極を浸漬し、引き上げた後、100℃で1時間、さらに140℃で1時間の加熱処理を行なった。浸漬および加熱処理を3回繰り返し、陽極の表面が均一に電解質で覆われる様にした(化学重合工程)。以上により電解質層を形成した。
上記で得られた電解質層の上に、カーボンペースト(日本黒鉛(株)製の「バニーハイトFU」)を塗布、乾燥後、さらに銀ペースト(日本黒鉛(株)製の「エブリオームME」)を塗布乾燥し、陰極を形成した。銀ペーストからリード線を引き出し、端子に接続した。この様にして得られた本発明の電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、100KHzにおけるインピーダンス、および耐電圧(V)を測定した。初期容量、tanδ、インピーダンスの測定装置は、いずれも、東洋テクニカ製のsolartron、型番「1480」であり、耐電圧の測定装置はアドバンテスト社製の型番「TR6143」である。
なお耐電圧の値は、20mV/秒の速度で電圧を上昇させ、10mAの電流が流れた電圧を耐電圧と定義した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。なお表1の結果はいずれも10個の素子の平均値である。初期容量は4.0μF、tanδは1.0%、インピーダンス(100KHz)は1.8Ω、耐電圧(V)は38Vでありいずれも優れたコンデンサ特性を示した。特に耐電圧特性については、化成電圧が40Vであるのに対して38Vであり、後述の比較例1と比べて極めて優れた特性であった。
電解質層中のイオン性液体の分布を調べるため、実施例1で形成した電解質層の試料に関してXPS(X線光電子分光)分析によりC元素とF元素の深さ方向への分布の評価を行なった。またSEM(走査型電子顕微鏡)にて電解質層の断面観察を行なった。SEM観察は日立製「S4800」で加速電圧10kVの条件で実施した。XPS測定はファイ社製「Quantum2000」でX線強度:Alkα/15kV・12.5W、X線ビーム経:50μmφ、パスエネルギー:93.9eVで実施した。
図1は、実施例1で作製した電解コンデンサの電解質層の断面形態を示す図である。図1において、(A)はエッチングされたアルミニウム層の芯の部分(以下、単に(A)層とも称する)、(B)はエッチング孔と該エッチング孔に充填された電解質層からなる部分(以下、単に(B)層とも称する)、(C)はエッチング孔の外部の電解質層の部分(以下、単に(C)層とも称する)である。
図2は、実施例1で作製した電解コンデンサのXPS分析の結果を示す図である。実施例1で形成した電解質層においては、C元素は導電性高分子とイオン性液体とに由来し、F元素はイオン性液体のアニオン成分に由来すると考えられる。図2は、電解質層中におけるイオン性液体の相対的濃度分布を示している。なお、図2においては、ピーク強度からC元素とF元素との合計が100%となるように換算してあるが、これは必ずしも両元素のモル分率を示すものではない。
図2の結果から明らかなように、(B)層と(C)層とにおけるF元素の濃度を比較すると、(C)層のF元素の相対濃度が約4atm%であるのに対して、(B)層のエッチング孔内部ではそれよりもF元素の相対濃度が高い傾向がある。また、(B)層のエッチング孔の深い部分(すなわち(A)層により近い部分)のF元素の相対濃度は約18%であり、(B)層のエッチング孔の浅い部分(すなわち(C)層により近い部分)の濃度の約8%より高くなっている。すなわち、(B)層ではエッチング孔の浅い部分に近づくにつれてF元素の相対濃度が減少している。これらの結果から、実施例1で作製した電解コンデンサにおいては、電解質層中でイオン性液体が不均一に存在し、誘電体膜との界面近傍のイオン性液体の含有率が、電解質層全体での平均含有率より高くなっている事が実証できた。本発明の手法で得られた電解コンデンサにおいて優れた電気特性と耐電圧特性とを得られる理由は、電解質層の陽極側の表面を含む領域の高イオン伝導性領域によって、濃度勾配を有するイオン性液体の分布状態が形成されることによると考えられる。
(実施例2〜8)
イオン性液体の種類を前述のILs−1からILs−2〜ILs−8にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の電解コンデンサを作製し、得られた本発明の電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。いずれのイオン性液体を用いた場合にも優れた電気特性と耐電圧特性とが両立できている事が分かる。特にアニオン成分に(TsO)-、(OSO-を含む実施例2、4、6、7、8では、耐電圧特性は40V以上であり、化成電圧と変わらない耐電圧が実現できた。
(比較例1)
イオン性液体(ILs−1)による陽極の含浸処理を行なわず、さらに化学重合工程において用いる化学重合用組成物にイオン性液体を含有させないこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。得られた電解コンデンサの電気特性(tanδ、インピーダンス)は優れたものであったが、耐電圧は19Vであり、所望の耐電圧特性を有していなかった。
(比較例2)
比較例1と同様の方法で、陽極の形成、および化学重合工程までを行なった素子を用い、該素子をイオン性液体である(ILs−1)のメタノール溶液に浸漬し、その後乾燥してメタノールを除くという方法で、イオン性液体を導電性高分子の表面に付着させ、電解質層を形成した。イオン性液体の添加量は素子の質量変化から導電性高分子の5質量%であると見積もられた。その後、実施例1と同様の方法でカーボンペースト・銀ペーストを塗布して陰極を形成し、電解コンデンサを得た。これを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。耐電圧は23Vであり、イオン性液体の添加により比較例1と比べて耐電圧に関して若干の向上が見られたが、tanδ特性、インピーダンス特性は比較例1と比べて悪くなった。
比較例2の電解コンデンサにおける電解質層に関して、電解質層中のイオン性液体の分布を調べるためXPS線分析によりC元素およびF元素の深さ方向への分布の評価を行なった。図3は、比較例2で作製した電解コンデンサのXPS分析の結果を示す図である。測定装置は実施例1と同じ装置を用いて行った。
図3に示すように、比較例2で作製した電解コンデンサの(C)層においては、F元素の相対濃度は表面に近い程、すなわち(B)層からの距離が大きい程高く、(C)層の内部程、すなわち(B)層に近い程低くなっている。(B)層においては、エッチング孔の浅い部分にはF元素が存在するものの、エッチング孔の深い部分ではF元素が殆ど存在していない事がわかった。これらの結果から、比較例2の電解コンデンサで耐電圧向上が実現できなかった理由は、エッチング孔の深い部分に誘電体膜と導電性高分子とが直接接触する部分が存在するためであると考えられる。
(比較例3)
陽極箔をあらかじめイオン性液体(ILs−1)に浸漬・真空含浸させる事無く電解コンデンサを作製した。なお、電解コンデンサ作製に用いた重合液は実施例1と同じである。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。イオン性液体の添加により耐電圧は34Vであり、比較例1に比べると耐圧は向上したが実施例1の特性(38V)に比べると悪くなっていた。また、tanδ特性は1.6%、インピーダンス(100KHz)特性は4.6Ωでありこれも実施例1に比べて悪くなっていた。比較例3で作製された電解コンデンサでは、実施例1と同じ様に3回の重合を繰り返しているが用いた重合液の組成は同じであるので電解質層中におけるイオン性液体の分布状態は、(B)層でも(C)層でも均一であると考えられる。
(比較例4)
化学重合用組成物にイオン性液体を配合しない以外は実施例1と同様にしてコンデンサ素子を作製した。すなわち、化成処理により形成した陽極をイオン性液体(ILs−1)に浸漬し真空含浸・乾燥させ、次に、導電性高分子の原料モノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(1g)、パラトルエンスルホン酸第二鉄(2g)、1−ブタノール(3g)、からなる化学重合用組成物を用いて電解質層を形成した。その後、実施例1と同様の方法でカーボンペースト・銀ペーストを塗布して陰極を形成し、得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。耐電圧は26Vであり、イオン性液体の添加により比較例1と比べて若干の向上が見られたが、tanδ特性、インピーダンス特性は比較例1よりもさらに劣っていた。
(実施例9)
陽極として、実施例1と同じ化成処理を施したアルミニウム箔を準備し、実施例1と同様に該陽極をイオン性液体(ILs−1)に浸漬し真空含浸させた。次に、イオン性液体の添加量を0.5g(すなわち実施例1の半分量)とした以外は、実施例1と同様にして化学重合用組成物を調製し、この化学重合用組成物をよく乾燥した30cm3のビーカーで混合し、次に、該化学重合用組成物中に、該イオン性液体で含浸処理した陽極を浸漬し、引き上げた後、120℃で1時間、さらに160℃で1時間の加熱処理を行なった。上記の浸漬および加熱処理を3回繰り返し、陽極の表面が均一に電解質で覆われる様にした(化学重合工程)。
こうして得られた電解質層の上に、実施例1と同様の方法で、カーボンペーストを塗布、乾燥後さらに銀ペーストを塗布乾燥して陰極を形成し、銀ペーストからリード線を引き出し、端子に接続した。この様にして得られた本発明の電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表1に示す。電解質層形成時のイオン性液体の添加量は実施例1に比較して半分である。しかし、実施例1と比較して耐電圧特性に若干の低下が見られるもののインピーダンス特性、tanδ特性は改良され、バランスの取れたコンデンサ特性が実現できた。
(実施例10)
化学重合用組成物におけるイオン性液体の添加量を2g(すなわち実施例1の2倍量)とした以外は実施例1と同様にして、本発明の電解コンデンサを作製し、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表2に示す。この実施例では、耐電圧は化成電圧である40Vより高くなっているが、これは20mV/秒で電圧を上昇させた時40V付近で次第に増加し始め10mAの電流が流れた時点では43Vであった事によるものである。
(実施例11)
化学重合用組成物におけるイオン性液体の添加量を実施例2の半分量とした以外は実施例2と同様にして、本発明の電解コンデンサの作製、特性評価を行なった。得られた電解コンデンサの特性(初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V))を表2に示す。電解質層形成時のイオン性液体の添加量は実施例2に比較して半分であるが、耐電圧は40Vであり、優れた耐電圧特性が実現し、優れたインピーダンス特性(2.2Ω)、tanδ特性(1.2%)との両立が実現できた。
(実施例12)
実施例1と同様の方法で陽極を準備し、次に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(1g)、パラトルエンスルホン酸第二鉄(2g)、1−ブタノール溶媒(3g)からなる化学重合用組成物を調製した。この化学重合用組成物を9A液とした。また、9A液の6gにイオン性液体としてILs−1を0.5g添加した重合液(9B液とする)、および、9A液の6gにILs−1を2g添加した重合液(9C液とする)を準備した。
まず、9C液中に上記の陽極を浸漬し、引き上げた後、120℃で1時間、さらに160℃で1時間の加熱処理を行った。つぎに9B液を用いて同じ条件で浸漬、加熱処理を行ない、最後に、9A液を用いて同じ条件で浸漬、加熱処理を行なって、陽極の表面が均一に電解質で覆われる様にし、電解質層を形成した(化学重合工程)。
こうして得られた電解質層の上に、実施例1と同様の方法で、カーボンペーストを塗布、乾燥後さらに銀ペーストを塗布乾燥して陰極を形成し、銀ペーストからリード線を引き出した。この様にして得られた電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表3に示す。なお表3の結果はいずれも10個の電解コンデンサの平均値である。
(実施例13、14)
化学重合用組成物に添加するイオン性液体の種類をILs−2、ILs−6にした以外は実施例12と同じ方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表3に示す。
(実施例15)
本実施例では、電解重合法によって電解質層を形成した。エッチング処理を施し、陽極リードをつけた縦7mm×横10mmのアルミニウム箔を、3質量%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、70℃で印加電圧70Vの条件で陽極酸化を行ない、アルミニウム箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成し、陽極を作製した。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(1g)、パラトルエンスルホン酸第二鉄(2g)、1−ブタノール(3g)、イオン性液体であるILs−2(1g)からなる化学重合用組成物を準備し、上記の陽極を該化学重合用組成物に浸漬、引き上げ後、100℃で1時間、120℃で1時間の加熱処理を行ない、陽極表面に薄い化学重合層を形成した(化学重合工程)。
この化学重合層を導電層として用い、図4に示すような構成の装置を用い、電解重合法により電解重合層5としてのポリピロール層を形成した。電解重合に用いた電解液6は、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1M)の30質量%アルコール水溶液、およびイオン性液体であるILs−1(0.3M)からなる電解液である。該電解液6中に、上記で導電層4としての化学重合層を形成した陽極を配置し、重合開始電極1を導電層4に近接させ、重合開始電極1と陰極7との間に1.5Vの定電圧を50分間印加して電解重合反応をおこない、電解重合層5としてポリピロール層を形成した。
以上の方法により、化学重合層および電解重合層からなる電解質層を形成した。この電解質層の上に、実施例1と同様の方法で、カーボンペーストおよび銀ペーストを塗布、乾燥して陰極を形成し、実施例1と同様の方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを、20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表4に示す。なお表4の結果はいずれも10個の素子の平均値である。
(実施例16〜22)
イオン性液体の種類をそれぞれ、実施例16ではILs−2、実施例17ではILs−3、実施例18ではILs−4、実施例19ではILs−5、実施例20ではILs−6、実施例21ではILs−7、実施例22ではILs−8とした以外は実施例15と同じ方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表4に示す。
(比較例5)
化学重合用組成物および電解重合の際の電解液にイオン性液体(ILs−1)を配合しない他は実施例15と同様の方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表4に示す。
(比較例6)
比較例5で作製した電解コンデンサを水洗、乾燥した後、イオン性液体のメタノール溶液に浸漬し、その後乾燥してメタノールを除くという方法で、イオン性液体を電解重合層であるポリピロール層の表面に付着させ、電解コンデンサを作製した。質量測定により、イオン性液体の付着量は導電性高分子の4.6質量%と推定された。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表4に示す。
(比較例7)
化学重合用組成物にイオン性液体を配合しない以外は実施例15と同様にして電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表4に示す。
(実施例23)
エッチング処理を施したアルミニウム箔(サイズ:100×3.3mm)を、3質量%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず10mV/secの速度で0から40Vまで上げ、つづけて40Vの定電圧を40分間印加し、該アルミニウム箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成した。これを脱イオン水の流水により10分洗浄してから105℃で5分乾燥を行ない、陽極を作製した。この時得られた陽極の液中容量は102μFであった。
該陽極をイオン性液体(ILs−2)に含浸し、その後セルロース系の連通多孔質フィルム(ニッポン高度紙工業(株)製の商品名「EBAV3540」)および陽極酸化処理を施していないアルミニウム箔と重ねて捲回し、捲回型の素子を作製した。
次に、化学重合により電解質層を形成した。すなわち、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(1g)、パラトルエンスルホン酸鉄(2g)、1−ブタノール(3g)、およびイオン性液体であるILs−2(1g)からなる化学重合用組成物を準備し、該化学重合用組成物中に、上記の捲回型の素子を浸漬し、引き上げた後、100℃で1時間、さらに120℃で1時間の加熱処理を行なった。上記の浸漬および加熱処理を2回繰り返し、捲回型の電解コンデンサを作製した。
得られた本発明の電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性は、初期容量が98μF、tanδが2.9、インピーダンスが20Ω、耐電圧が38Vであり、優れた耐電圧特性とインピーダンス特性とを示した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。この結果から、捲回型の電解コンデンサにおいても、陽極にイオン性液体による含浸処理を行ない、さらに化学重合用組成物にイオン性液体を添加してイオン性液体と導電性高分子との複合体の形成を行なう事により、優れた耐電圧特性を有する電解コンデンサを作製できる事が分かった。
(実施例24)
ILs−2に代えて、ILs−2に15質量%のポリピロールを溶解させた導電性高分子溶液に素子を浸漬したこと以外は実施例23と同じ処理を行ない、電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が102μF、tanδが2.8、インピーダンス(100KHz)が16Ω、耐電圧が40Vであり、優れた耐電圧特性とインピーダンス特性とを示した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。この結果から、導電性高分子を溶解させたイオン性液体を用いて導電性高分子溶液浸漬工程を行ない、さらに化学重合工程によりイオン性液体と導電性高分子とを含む複合体の形成を行なう事により優れた耐電圧特性を有する電解コンデンサを作製できる事が分かった。
(実施例25)
実施例15と同じ陽極を準備し、まず、イオン性液体であるILs−2に15質量%のポリピロールを溶解させた導電性高分子溶液を用いて該陽極の含浸処理を行ない、陽極表面に重合体層を形成した。次に、該重合体層を導電層として用い、実施例15と同じ方法の電解重合法により電解重合層としてポリピロール層を形成し、該重合体層および電解重合層からなる電解質層を形成した。
次に、この電解質層の上に実施例15と同様の方法でカーボンペーストおよび銀ペーストの塗布、乾燥を行なって陰極を形成し、実施例15と同様の方法で電解コンデンサを作製した。この様にして得られた本発明の電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後測定した特性は、初期容量が4.6μF、tanδが1.0、インピーダンス(100KHz)が1.5Ω、耐電圧が70Vであり、優れた耐電圧特性を示した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。この結果から、導電性高分子を溶解させたイオン性液体を用いて導電性高分子溶液浸漬工程を行ない、さらに電解重合工程によりイオン性液体と導電性高分子とを含む複合体の形成を行なう事により優れた耐電圧特性を有する電解コンデンサを作製できる事が分かった。
(実施例26)
電解重合用組成物にイオン性液体を配合しない以外は実施例15と同様にして電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。
(実施例27)
化学重合用組成物に実施例12と同じように濃度勾配が発生するように、また、かつ、電解重合用組成物に化学重合用組成物と同じように濃度勾配が発生するように、それぞれイオン性液体を配合した以外は実施例15と同様にして電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。
(実施例28)
電解重合を行わない以外は実施例24と同様にして電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が96μF、tanδが2.6、インピーダンス(100KHz)が18Ω、耐電圧が41Vであり、優れた耐電圧特性とインピーダンス特性とを示した。
(実施例29)
ILs−2を用いて実施例1のようにILs浸漬工程を追加した以外は実施例24と同様にして電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が106μF、tanδが1.8、インピーダンス(100KHz)が12Ω、耐電圧が46Vであり、優れた耐電圧特性とインピーダンス特性とを示した。
(実施例30)
ILs−2を用いて実施例1のようにILs浸漬工程を追加した以外は実施例23と同様にして電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が104μF、tanδが2.6、インピーダンス(100KHz)が14Ω、耐電圧が42Vであり、優れた耐電圧特性とインピーダンス特性とを示した。
(比較例8)
イオン性液体(ILs−2)をブタノールに変えてポリピロールの懸濁液を調整した中に浸漬し、かつ、電解重合を行わないこと以外は、実施例23と同様に電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が84μF、tanδが5.6、インピーダンス(100KHz)が64Ω、耐電圧が22Vであった。
(比較例9)
イオン性液体(ILs−2)をブタノールに変えてポリピロールの懸濁液を調整した中に浸漬したこと以外は、実施例23と同様に電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が100μF、tanδが2.5、インピーダンス(100KHz)が16Ω、耐電圧が32Vであった。
(比較例10)
イオン性液体(ILs−2)をブタノールに変えてポリピロールの懸濁液を調整した中に浸漬したこと以外は、実施例24と同様に電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。得られた電解コンデンサの特性は,初期容量が95μF、tanδが2.7、インピーダンス(100KHz)が21Ω、耐電圧が30Vであった。
(比較例11)
イオン性液体(ILs−2)をブタノールに変えてポリピロールの懸濁液を調整した中に浸漬したこと以外は、実施例27と同様に電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサを20Vで1時間エージングした後、実施例1と同様の方法で、初期容量、tanδ、インピーダンス(100KHz)、および耐電圧(V)を測定した。得られた電解コンデンサの特性を表5に示す。
なお、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施例1で作製した電解コンデンサの電解質層の断面形態を示す図である。 実施例1で作製した電解コンデンサのXPS分析の結果を示す図である。 比較例2で作製した電解コンデンサのXPS分析の結果を示す図である。 電解重合に用いられる電解重合装置について説明する概念図である。
符号の説明
1 重合開始電極、
2 陽極金属
3 誘電体膜
4 導電層
5 電解重合層
6 電解液
7 陰極

Claims (9)

  1. 少なくともイオン性液体と導電性高分子を必須成分として含む電解質であって、イオン性液体の濃度が前記電解質中で不均一であり、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、化学重合法による導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、
    少なくとも、あらかじめ電極箔をイオン性液体を含有する液体に浸漬する工程と、イオン性液体の共存する重合溶液を用いて化学重合を行う工程を有する事を特徴とする、電解質の製造方法。
  2. 少なくともイオン性液体と導電性高分子を必須成分として含む電解質であって、イオン性液体の濃度が前記電解質中で不均一であり、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、化学重合法による導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、
    少なくとも複数回の化学重合工程によって導電性高分子コンデンサ用電解質を形成し、各重合工程によってイオン性液体と重合性モノマーの比率を変える事を特徴とする、電解質の製造方法。
  3. 少なくともイオン性液体と導電性高分子を必須成分として含む電解質であって、イオン性液体の濃度が前記電解質中で不均一であり、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、導電性高分子の少なくとも一部が溶解したイオン性液体を含む溶液を用いた導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、
    少なくとも前記溶液を電極に含浸して電解質層を形成する第一の工程、を有する事を特徴とする、電解質の製造方法。
  4. 少なくともイオン性液体と導電性高分子を必須成分として含む電解質であって、イオン性液体の濃度が前記電解質中で不均一であり、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、導電性高分子の少なくとも一部が溶解したイオン性液体を含む溶液を用いた導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、
    少なくとも前記溶液を電極に含浸して電解質層を形成する第一の工程と、化学重合により電解質を形成する工程、を含む事を特徴とする、電解質の製造方法。
  5. 少なくともイオン性液体と導電性高分子を必須成分として含む電解質であって、イオン性液体の濃度が前記電解質中で不均一であり、前記電解質層における誘電体界面近傍領域に、前記電解質層の全体における前記イオン性液体の含有率より高い含有率で前記イオン性液体を含有する領域が形成されてなる、導電性高分子の少なくとも一部が溶解したイオン性液体を含む溶液を用いた導電性高分子コンデンサ用電解質の製造方法であって、
    少なくとも前記溶液を電極に含浸して電解質層を形成する第一の工程と、電解重合により電解質を形成する工程、を含む事を特徴とする、電解質の製造方法。
  6. 前記イオン性液体のカチオン成分が、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよび誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジン誘導体カチオン、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の電解質の製造方法
  7. 前記イオン性液体のアニオン成分が、カルボン酸アニオン誘導体、スルフォニルイミドアニオン誘導体、フルオロ臭素アニオン誘導体、フルオロホウ素アニオン誘導体、硝酸アニオン誘導体、フッ化ホウ素アニオン誘導体、シアノイミドアニオン誘導体、スルホン酸アニオン誘導体、または、硫酸モノエステルアニオン誘導体、の原子団を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電解質の製造方法
  8. 前記導電性高分子が、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリキノンまたはその誘導体の少なくとも一種類からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の電解質の製造方法
  9. 前記導電性高分子が、ポリ−(2,3−ジヒドロキシチエノ−[3,4−b]−1,4−ジオキシン)、または、ポリピロールからなる、請求項1〜8のいずれかに記載の電解質の製造方法
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