JP2006228993A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】周波数特性、損失特性、耐圧特性及び漏れ電流特性に優れ、ドライアップの心配の無い捲回型電解コンデンサを提供する。
【解決手段】表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁金属から形成される陽極箔と、金属から形成される陰極箔と、前記陰極箔と前記陽極箔との間に設けられた電解質とを有し、前記電解質が少なくともイオン性液体と導電性高分子から形成するようにし、さらに導電性高分子に一部が溶解した形にする事で、溶媒蒸発によるドライアップを防ぎ、極めて優れた化成性により漏れ電流やショート不良を防ぎ、優れた耐電圧特性を実現する。また導電性高分子の存在によって低インピーダンス化による優れた周波数特性と損失特性を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は電解コンデンサ及びその製造方法に関し、少なくとも表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁金属の陽極箔、陰極箔、および電解質から形成され、電解質を介して両電極箔を捲回して構成される電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
電解コンデンサの構造は捲回型とチップ型に分類できる。チップ型は陽極となる電極箔の表面に電解質を形成し、電解質にさらにグラファイトや銀ペーストで陰極を形成した形になっており、必要に応じてこの様な形の素子を多層に積層して電解コンデンサとする。近年、この様なチップ型のコンデンサ電解質として、導電性高分子をもちいた固体電解コンデンサが開発され高周波特性にすぐれたコンデンサが実現している。
一方、捲回型電解コンデンサは、一般に表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁金属の陽極箔と、陰極箔とを、セパレータを介して捲回した構造である。この様な捲回型の電解コンデンサにおいては、電解質として一般に溶液電解質・液体電解質が用いられている。この溶液電解質・電解質溶液は一般に伝導性が低いために捲回型コンデンサでは大容量で高耐電圧コンデンサが可能であるという特徴はあるものの、その特性はチップ型導電性高分子固体コンデンサに比較して劣るものであった。
捲回型電解コンデンサの特性向上のため、電解液・電解質溶液の電気伝導度向上による低インピーダンス化の試みが数多く行われてきた。しかし、電解液の電気伝導度向上には限界があり、未だ十分な性能を有した捲回型電解コンデンサは実現していない。具体的には、この様な溶液電解質・液体電解質は各種の添加物を加える事により、伝導度の向上を図っているもののその値はせいぜい10-3S/cm程度であり、低インピーダンスコンデンサの実現には不十分なものであった。またこの様な液体電解質には、用いられた溶媒の蒸発によるドライアップという現象があり、ドライアップが起きると陽極酸化性、伝導性共に失われるために、長期寿命や耐熱性には不十分な特性であった(特許文献1)。
当然、捲回型の構造のコンデンサに導電性高分子を電解質として用いて特性向上を図る事が考えられるが、捲回型に用いられる大面積箔のエッチング孔に固体の導電性高分子をきちんと充填することは極めて困難であり、そのような構造の捲回型コンデンサは実現していない。
捲回型コンデンサにおける周波数特性及び損失特性の向上のために行われているその他の試みとしては、セパレータ厚みの低減、低密度化、開孔径の均一化、材質を紙から高分子不織布への変更がある。また、低インピーダンス化の手段として、炭素化による導電化、導電性高分子との複合化の検討がなされている。このような構成として、例えば、ピロールあるいはアニリン等の重合性モノマーから化学重合により電極表面に導電性高分子を形成するもの(非特許文献1)や、導電性高分子で導電化されたセパレータを用いる構成も開示されている(特許文献2)(特許文献3)。しかし、これらの手段を用いても捲回型電解コンデンサの特性はチップ型・積層型導電性高分子固体コンデンサに比較してはるかに劣るものであった。
一方で、チップ型電解コンデンサにおいては、前記のようにすぐれた高周波特性を有しているが、導電性高分子電解質には化成性(誘電体酸化皮膜の修復作用)がほとんどないか、あるいはあってもきわめて低いという問題があった(非特許文献2)。この結果、導電性高分子コンデンサにおいては高い耐電圧のコンデンサを作る事が出来ないという欠点があった。具体的には、通常アルミニウムを陽極としてもちいた導電性高分子コンデンサでは、例えば50〜70V化成を行った場合、16V程度、タンタルを用いた導電性高分子コンデンサでは、例えば、34V化成を行った場合、12V程度までの耐電圧のコンデンサしか製造できないのが現状である。ここで、50〜70V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に、弁金属に印加する直流電圧つまり化成電圧が50〜70Vであることを意味する。無論、化成電圧を大きくして耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、また、化成電圧を高くしても耐電圧はそれに比例して上昇しないので良い方法であるとは言えない。この様な導電性高分子コンデンサの耐電圧特性を向上させる試みとして、導電性高分子、および有機酸オニウム塩からなる電解質を用いた事を特徴とする電解コンデンサが開示されている(特許文献4)。しかし、現在でも、高耐電圧導電性高分子固体電解コンデンサはできていない。
特開平5−13278号公報 特開昭64−90517号公報 特開平7−283086号公報 特開2003−22938号公報 Synthetic Metals、28巻C、823頁(1989)) 電解蓄電器評論、53巻、No1、95頁(2002年)
本発明は、上記の課題を解決し、周波数特性及び損失特性の優れた捲回型電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、電解質としてイオン性液体と導電性高分子を含む電解質・電解液を用いる。
(1)すなわち本発明の第1は、
少なくとも、表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁金属から形成される陽極箔と、
金属から形成される陰極箔と、
前記陰極箔と前記陽極箔との間に設けられた電解質とを含む電解コンデンサであって、前記電解質が少なくともイオン性液体と導電性高分子とを含む事を特徴とする電解コンデンサ、
である。
本発明の電解質の構成要素であるイオン性液体は基本的に不揮発性であるために溶媒蒸発によるドライアップを防ぐだけでなく、極めて優れた化成性を有しているので漏れ電流やショート不良を防ぎ、優れた耐電圧特性を実現する事ができる。また導電性高分子はその優れた伝導性のためにコンデンサのインピーダンス成分の低減に優れた効果を発揮する。
(2)本発明の第2は、
前記陰極箔と前記陽極箔との間に設けられたセパレ−タを含むことを特徴とする、(1)に記載の電解コンデンサ、
である。すなわち、本発明の電解コンデンサは、陰極と陽極の間にセパレータを挟んだ構造とする事ができる。
(3)本発明の第3は、
コンデンサが捲回型である(1)、(2)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
すなわち(1)、(2)記載のコンデンサを捲回型とする事である。この様な構造とする事により容易にコンデンサの大容量化が実現できる。本発明の第3における電解質はイオン性液体を含む液体の部分と、導電性高分子固体との混合物であり、液体部分がエッチング孔の内部に浸透する事で捲回型構造のコンデンサから容易にその容量を引き出す事ができる。
(4)本発明の第4は、
前記導電性高分子の少なくとも一部が、前記イオン性液体に溶解している事を特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
すなわち、イオン性液体と導電性高分子を含む電解質において、少なくとも導電性高分子の一部がイオン性液体溶解した電解質を用いる事である。この様にする事でさらなる特性の向上を実現する事ができる。電解コンデンサにおいてはその容量拡大のために表面エッチングされた弁金属箔が用いられ、本発明のイオン性液体はエッチング孔の中に入り込み容量を引き出す役目を担っている。このようなイオン性液体に導電性高分子が溶解する事によってインピーダンスの低減によりすぐれた効果を発揮する事ができる。
特に、(3)に記載の捲回型の電解コンデンサであって、前記導電性高分子の少なくとも一部が前記イオン性液体に溶解している様な、本発明の第4に記載のコンデンサにおいては、(3)よりもさらに優れている。その理由は、
本発明の第4における電解質が、
イオン性液体を含む液体の部分と、
少なくとも一部がイオン性液体に溶解している導電性高分子を含むような、導電性高分子のイオン性液体溶液の液体の部分とを
含むためである。
(5)本発明の第5は、
前記イオン性液体のアニオン成分がスルホン酸アニオン(−SO3 -)、または硫酸アニオン(−OSO3 -)を含む事を特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
この様なイオン性液体を用いた電解コンデンサ構造とする事により導電性高分子を溶解する事が可能となり、このような電解質は本発明のコンデンサにさらに好ましく用いられる。
(6)本発明の第6は、
前記導電性高分子がポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリキノン、ポリパラフェニレンビニレン、およびこれらの誘導体から選ばれた少なくとも一種類以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
これらの導電性高分子はすぐれた導電性を有しておりコンデンサの低インピーダンス化にすぐれた効果を発揮する事ができる。
(7)本発明の第7は、
(2)記載のセパレ−タが基材と、前記導電性高分子と、前記イオン性液体とを含む複合導電体である事を特徴とする、(2)〜(6)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
セパレータ基材上に、上記イオン性液体と導電性高分子組成物を塗布や印刷法により形成し、複合導電体とする事で電極間のインピーダンスを低減する事が出来る。塗布や印刷の方法については、公知の方法が適用可能で、粘度の関係で実施出来ないものを除き、特に限定されない。
(8)本発明の第8は、
(2)記載のセパレ−タが炭化処理された基材と、前記導電性高分子と、イオン性液体とを含む複合導電体である事を特徴とする、(2)〜(7)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
すなわち、この様な目的に使用されるセパレータ基材に炭化処理を施すことである。この様なセパレータを用いる事によりさらなる低インピーダンス化を実現する事ができる。
(9)本発明の第9は、
弁金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成し陽極箔として用意する工程と、
金属を陰極箔として用意する工程と、
前記陽極箔及び陰極箔のいずれか一方又は双方の表面に前記電解質層を形成する工程と、
両電極箔を捲回する工程とを
含む電解コンデンサの製造方法、
である。
(10)本発明の第10は、
弁金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成し陽極箔として用意する工程と、
金属を陰極箔として用意する工程と、
前記陽極箔と前記陰極箔との間に(7)〜(8)のいずれかに記載の複合導電体セパレ−タを設置する工程と、
両電極箔と該セパレータを捲回する工程とを、
含む電解コンデンサの製造方法、
である。
(11)本発明の第11は、
弁金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成し陽極箔として用意する工程と、
金属を陰極箔として用意する工程と、
前記陽極箔及び陰極箔のいずれか一方又は双方の表面に電解質を形成する工程と、
前記陽極箔と前記陰極箔との間に(7)〜(8)のいずれかに記載の複合導電体セパレ−タを設置する工程と、
両電極箔と該セパレータを捲回する工程とを、
含む電解コンデンサの製造方法、
である。
(12)本発明の第12は、
陽極箔の誘電体酸化皮膜と陰極箔の間に、
少なくともイオン性液体と導電性高分子とを含む溶液、又は
イオン性液体の導電性高分子分散体を含浸することで、電解質層を形成することを特徴とする電解コンデンサの製造方法、
である。
(13)本発明の第13は、
(9)〜(12)のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とする、電解コンデンサ。
(14)本発明の第14は、
(9)〜(12)のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の電解コンデンサ、
である。
本発明は、少なくとも表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁金属から形成される陽極箔と、弁金属から形成される陰極箔と、前記陰極箔と前記陽極箔との間に設けられた電解質とを含む捲回型電解コンデンサであって、前記電解質が少なくともイオン性液体と導電性高分子から形成されており、さらにイオン性液体に導電性高分子の少なくとも一部が溶解した電解質をもちいる事を特徴とするコンデンサであり、この様な構成とする事により高周波域での損失係数及びインピーダンスが大きく低減され、周波数特性、損失特性の優れた電解コンデンサが得られる。
<イオン性液体>
最初に本発明の構成要素であるイオン性液体(必要に応じてILSと略す)についてのべる。本発明に使用するイオン性液体は、常温溶融塩とも言われ、アニオン成分とカチオン成分から構成されているにもかかわらず常温で液体である物をいう。イオン性液体は、通常の有機溶媒のように一部がイオン化・解離しているのではなく、イオンのみから形成され100%イオン化していると考えられている。上記のごとく、通常イオン性液体は常温で液体であるものを言うが、本発明で用いるイオン性液体は必ずしも常温で液体である必要はなく、コンデンサのエージング処理、あるいは熱処理時に液体となって電解質全体に広がり、酸化皮膜修復時にその発生するジュール熱によって液体となるものであれば良い。
本発明の目的に適当なイオン性液体に用いられるカチオンとしては、各種四級化窒素を有するカチオンを用いることができる。例えば、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよび誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジン誘導体カチオン、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体を例示する事が出来る。中でもイミダゾリム誘導体、アンモニウム誘導体、ピリジニウム誘導体は本目的に好ましく用いる事が出来る。ここで誘導体とは、水素、および脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、カルボン酸およびエステル基、各種エーテル基、各種アシル基、各種アミノ基などの置換基を持つものを言い特に限定はされない。これらは上記カチオン成分の任意の位置に置換される。
本発明に好ましく用いられるアニオン成分としては、スルホン酸アニオン(RASO3 -)や硫酸アニオン(RAOSO3 -)を代表例とする原子団を挙げることが出来る(ここで、RAは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示し、フッ素を含んでいても良い)。アニオン成分として、スルホン産アニオンや硫酸アニオンを含むイオン性液体は導電性高分子に対する溶解性が高く本発明の目的には特に好ましく用いる事が出来る。具体的にはpCH364SO3 -、C65SO3 -、CH3CH2OCH2CH2OSO3 -,C65OCH2CH2OSO3 -、CHF2CF2CF2CF2CH2SO3 -、CF3SO3 -等を例示する事ができる。無論、本発明に適した含スルホン酸アニオン、または硫酸アニオンはこれらの例に限定されるものではない。
また、本目的に好ましく用いられるアニオン成分としては、フッ素を含む各種アニオンを挙げる事が出来る。本目的に好ましく用いる事が出来る含フッ素アニオンとして、BF4 -、(RBSO22-、(RBSO23-、などを例示する事ができる(ここでRBはCF3、CF3CF2,CF3CF2CH2などの含フッ素置換基を占めす)。無論、本発明に適した含フッ素アニオンはこれらの例に限定されるものではない。
また、本発明に好ましく用いられるアニオン成分として、カルボキシラト(−COO-)を含む原子団を挙げることが出来る。具体的には、RCCOO--OOCRCCOOH、-OOCRCCCOO-、NH2CHRCCOO-(ここでRBは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基をしめす)を例示する事が出来る。具体的にはギ酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、シュウ酸、フタル酸、コハク酸、アミノ酸などを用いて、カルボキシラト(−COO-)を含むイオン性液体である事が有効である。無論、本発明に適したカルボキシラトはこれらの例に限定されるものではない。
また、本発明に好ましく用いられる他のアニオンの例としては、NO3 -、RdNO3 -(ここでRdは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示し、フッ素を含んでいても良い)などを例示する事が出来る。
<導電性高分子>
次に本発明に用いられる導電性高分子について述べる。
本発明に用いられる導電性高分子は、本発明の溶媒に分散及び/又は溶解している部分を含む限りにおいては特に限定されるものではないが、溶解部分を含むことは特に好ましい。具体的には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリキノン、及びこれらの誘導体が好ましく用いられる。例えば該誘導体の代表的例として、ポリ3−4ジオキシチオフェン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリ3アルキルチオフェン(アルキル基としてはブチル基、へキシル基、オクチル基、ドデシル基、等)、ポリフルオロフェニルチオフェン、ポリ1,5ジアミノアントラキノン、等を挙げることができる。これらの導電性高分子の合成法としては、化学重合法、電解重合法が好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる導電性高分子のドーパントとしては、特に制限はないが、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、n−プロピルリン酸イオン、過塩素酸イオン、4−フッ化ホウ酸イオン、等を例示する事ができる。
電解重合は、例えば、ピロールモノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化する事により脱水素重合する方法で、陽極上に導電性高分子であるポリピロールを析出させることができる。一般的に、ポリマーの酸化還元電位はモノマーに比べて低いため、重合過程でさらにポリマー骨格の酸化が進み、それに伴って支持電解質である。アニオンがドーパントとしてポリマー中に取り込まれる。
一方、化学重合は、適当な酸化剤の存在下でピロールなどの原料モノマーを酸化脱水することで重合し合成する方法である。酸化剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子も、酸化剤のアニオンがドーパントとして重合過程でポリマー中に取り込まれるため、一段階の反応で導電性を有するポリマーを得る事ができる。
<溶解操作・分散操作と電解質作製、イオン性液体の導電性高分子分散体>
導電性高分子の本発明のILSへの溶解・分散は通常の手法によって行われる。
上記課題を解決する為に、鋭意検討の結果、我々はイオン性液体に着目し、イオン性液体の導電性高分子溶解性について検討した。その結果、ある種のイオン性液体がポリピロール、ポリチオフェンなど従来溶媒不溶と考えられて来た導電性高分子を溶解する事ができる事を発見し、本発明を成すに至った。
例えば、導電性高分子の一つであるポリピロールをILSに溶かす工程は30℃以上、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、100℃以上、更には150℃以上に加熱してポリピロールを溶解させる事が好ましい。イオン性液体の特徴は沸点が非常に高く、150℃の高温での加熱が可能である点である。イオン性液体は温度を上げるとその導電性高分子の溶解性は高くなるが、それを室温に戻しても導電性高分子が析出する事はない。このことはイオン性液体における導電性高分子の溶解現象が通常の溶媒における溶解ではなく、導電性高分子におけるドーピング作用のような強い相互作用に基づくものであることを示唆している。
上記のような導電性高分子の溶解は他の導電性高分子においても同様で、例えばポリチオフェンをイオン性液体に溶解させる工程においても、50℃以上でイオン性液体にチオフェンを溶解させる事が好ましく、さらに好ましくは100℃以上、150℃以上とする事は最も好ましい。
なお、ILSが混合溶媒に溶解したかどうかの確認は以下の4つの方法で行った。すなわち、(1)ろ紙によるろ過で残渣のない事、(2)遠心分離により分離されない事、(3)可視・紫外スペクトルで導電性高分子による吸収強度が、導電性高分子の添加量と比例する事、(4)溶媒の蒸発操作で導電性高分子の結晶・あるいは粉体が析出すること、である。(3)は可視・紫外吸収は基本的に分子吸収によるものであり、もしも導電性高分子の溶解度が飽和に達し、ろ過や遠心分離による分離ができないほどの微粒子として存在しているとしても、その吸収強度は分子状に溶解した場合に比較して小さくなる、と言う原理によっている。
本発明の「イオン性液体の導電性高分子分散体」とは、
(a)上記のような、導電性高分子のイオン性液体に対する溶解度が飽和に達し、ろ過や遠心分離による分離ができないほどの微粒子として存在しているような高分子分散体や、
(b)従来のような、イオン性液体と高分子固体との単なる混合物(混合操作だけを施したもの)、
の両方の概念を包含するような、広い概念の分散体である。
電解質として用いる場合は上記の様に、導電性高分子を溶解したイオン性液体と導電性高分子粉末を混合し、さらにローラーや攪拌羽根を用いて練り、ペースト状とする。この時イオン性液体に溶解した導電性高分子と粉体(固体)として添加される導電性高分子は同じであっても異なっていても良い。また、ペーストとしての取り扱いを容易にするために、バインダーとしての役割を持つ高分子を添加しても良い。
<コンデンサの作製、(陽極・陰極、誘電体酸化皮膜の形成、セパレータ、弁金属、金属)>
次に、本発明の電解コンデンサの一般的な作製方法について説明する。
電解コンデンサの陽極に用いられる、弁金属とはアルミニウム、タンタル、ニオブなどの金属をいうが、本発明の陽極に適した弁金属としては、少なくとも弁金属を含む合金、すなわち、アルミニウムおよび/またはその合金、タンタルおよび/またはその合金、ニオブおよび/またはその合金から選ばれる少なくとも1種以上の金属をも含まれる、広い概念である。これらの弁金属箔はその表面に酸化膜を形成した形で使用される。
これに対して陰極に用いられる箔は必ずしも弁金属である必要はなく、陽極箔と同じ弁金属である必要はない。しかし、コンデンサ特性上、陰極は陽極と同程度の表面積を有している事が好ましく、陽極と同一の金属が用いられる事が多い。特に陰極としてエッチングアルミ箔は好ましく用いられる。
陽極表面への酸化膜形成は以下の様に行う。例えば、エッチドアルミニウム箔である陽極箔の表面に誘電体酸化皮膜を形成する場合、酸化膜形成のための標準的な方法は、アジピン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩を溶解した水溶液中で定電圧を印加、陽極酸化により酸化膜を形成する方法である。次に、エッチドアルミニウム箔である陰極箔と表面に誘電体酸化皮膜形成した陽極箔とを、上記、電解質を介して捲回した後、再化成を行う。さらに、陽極箔の表面に形成された誘電体酸化皮膜の修復を行った後に外装を施してコンデンサ素子を作製する。なお、詳しい作製条件については実施例において記述する。
前記ペースト状とした本発明の電解質は、誘電体酸化膜を形成した陽極箔に印刷や塗布などの方法で形成し、しかるのちに陰極箔と捲回しても良く、あらかじめ陰極側に電解質層を形成し、しかる後に捲回処理をしても良い。無論、陽極箔、陰極箔の両方に電解質層を形成して、しかる後に捲回処理をしても良い。
なお、従来の液状電解質・溶液電解質・液体電解質を使用した電解コンデンサでは、セパレータは必須であった。しかしながら、本発明では、セパレータが存在しない形態も実現可能である。絶縁体であるセパレータが存在しないことで、電解コンデンサ全体としてのインピーダンスを低減できる。
また、本発明の電解コンデンサはセパレータを用いる構造にする事もできる。上記のような陽極箔、陰極箔、電解質層を捲回処理する場合に、一緒にセパレータを捲回すればよい。
無論、セパレータの両面に電解質を塗布し、それを陽極箔、陰極箔と共に捲回処理してもよい。セパレータの例としては、合成高分子製の連通多孔質基材(ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリオレフィン、ポリエチレン多孔膜のアクリル酸やメタアクリル酸グラフト重合物、ポリアミド不織布とポリプロピレン不織布のラミネート物、など)、セルロース繊維(再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン、キュプラレーヨン、など)、非木材パルプ繊維製の連通多孔質基材(マニラ麻、紅麻、サイザル麻、など)、木材パルプ繊維およびガラス繊維製の連通多孔質基材や不織布が挙げられる。これらのうちで好ましい基材はポリオレフィンおよびセルロース繊維を使用したものである。特に、マニラ麻製コンデンサ用低密度セパレータ紙は好ましく用いられる。連通多孔質基材の孔径は、通常0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmであり、厚みは、通常0.01〜1mm、好ましくは0.01〜0.5mmである。
<炭化処理された基材>
セパレータの基材の炭化処理は、基材のインピーダンス低減を目的として行われ、不活性ガス中での炭化熱処理や大気中での炭化熱処理法を用いる事ができる。処理条件は、基材の種類によって異なり必ずしも炭化条件は限定されないが、例えばマニラ麻製コンデンサ用低密度セパレータ紙大気中での処理の場合、大気中300℃で、30分程度暴露する方法は好ましく用いられる。
<複合導電体>
本発明における複合導電体とは、
基材及び/又は炭化処理された基材と、導電性高分子と、イオン性液体と、
などのような複数の導電体を含む導電体のことを表す。
<含浸>
含浸とは、岩波理化学事典第4版(岩波書店1987年)にあるような、多孔質に液状物質をしみこませることのような通常の意味で用いられる。1)液状物質をそのまま保持させる、2)液状を利用して多孔質内部へ物質を運び、液体を除去してしまう、などの概念を含む。
含浸の方法は、公知の方法が用いられ得る。単なる浸漬や、真空含浸などが好適に用いられる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は、実施例だけに限定されるものではない。
<イオン性液体>
最初に、本発明の実施において用いたイオン性液体についてのべる。用いたイオン性液体の分子式と物性([ILS−1]〜[ILS−11])を下記に記す。なお、式中Imはイミダゾリウム、Pyはピリジニウムである。
[ILS−1] (1−C25−3−C25−Im)+(p−CH3−C64SO3-
乾燥した200ml丸底フラスコに4.02g(41.7mmol)のN−エチルイミダゾールと20mlのDMFとを入れ、よく攪拌した。8.35g(41.7mmol)のエチルp−トルエンスルフォナートを、氷冷下、前記フラスコ中にすばやく加えた。添加終了後、さらに23時間攪拌した。この反応液を氷冷した200mlのエーテル中に滴下した。エーテルをデカンテーションによって取り除き8.1gの黄色の液体を回収した。収率は65.5%であった。1H−NMRスペクトルより回収した液体を同定した。得られた生成物は−59.5℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。
[ILS−2] (1−C25−Im)+(C65SO3-
上記と同様の方法で1−エチルイミダゾリウムベンゼンスルフォナートを合成した。生成物は無色透明の液体で−65.1℃のガラス転移点、−9.5℃の融点を有していた。
[ILS−3] (1−C25−Im)+(CH3CH2CH2CH2SO3-
まず、5.30g(55.1mmol)のN−エチルイミダゾールを50mlのアセトンに溶解した。次に、7.61g(55.9ml)のプロパンサルトンを100mlのアセトンに溶解した後、これを室温下前記N−エチルイミダゾールのアセトン溶液に滴下し、さらに攪拌しながら室温で91時間反応させた。得られた反応混合物を、ガラスフィルターを取り付けた吸引ヌッチェ上で吸引・ろ別した。ガラスフィルター上にろ別された生成物を過剰のアセトンで十分に洗浄した後、真空乾燥し、1.42gの生成物を得た。収率は11.1%であった。1H−NMRスペクトルより生成物は1−(N−エチルイミダゾリオ)ブタン−4−スルフォネートと同定できた。また、示差走査熱量分析(DSC)で測定した結果、融点は−10℃であった。
[1LS−4] (1−C25−Im)+(CH3COO)-
N−エチルイミダゾール10gに99.7%酢酸6mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌し、得た反応生成物を、1000mlのジエチルエーテル中に攪拌しながら滴下した後、ジエチルエーテルを室温で溜去し、さらに真空乾燥を行うことで析出した結晶を回収し、N−エチルイミダゾリウム酢酸塩15.9gを得た。ガラス転移点は−51.7℃であった。
[ILS−5] (1−nC49−2−CH3−3−CH3−Im)+(C25OC24OSO3-、褐色液体、融点−4.2℃。
[ILS−6] (1−nC49−3−CH3−Im)+(CHF2CF2CF2CF2CH2SO3-、黄色液体、融点−62℃。
[ILS−7] (1−C25−Im)+(BF4-、無色液体、融点−53.3℃。
[ILS−8] (1−C25−3−CH3−Im)+((CF3SO22N)-、無色液体、融点−18.2℃。
[ILS−9] (1−nC613−Py)+((CF3SO22N)-、黄色液体。
[ILS−10] (1−CH3−2−CH3−3−C25−4−C24OC24OCH3N)+((CF3SO22N)-、無色液体。
[ILS−11] (1−CH3−3−C25−Im)+((CF3SO23C)-、黄色液体。
<導電性高分子>
本発明の実施に際して用いた導電性高分子についてのべる。本発明では導電性高分子の例としてポリピロール(PPy)とポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDT)を用いたが、本発明はこれらの導電性高分子に限定されるものではない。
[ポリピロールの重合方法]
重合方法はSynthetic Metals 79 (1996)17−22に記載されている方法を参考とした。
3.3重量%の界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)100mlに2.2gの硫酸第二鉄を溶解した酸化剤水溶液に、3.3重量%の界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)100mlに20.1gのピロールを溶解した水溶液を加え、80℃で、24時間良く攪拌した。それを濾紙(東洋濾紙製、No.2)にて濾過、洗浄し、乾燥させてポリピロールを得た。
[ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合方法]
重合方法は、特開平1−313521号公報の実施例1に記載されている方法を参考とした。
8.11gの塩化第二鉄を100mlのアセトニトリルを溶解させたアセトニトリル溶液に2.84gの3,4−エチレンジオキシチオフェンを加え、0℃で、24時間良く攪拌した。それを濾紙(東洋濾紙製、No.2)にて濾過、洗浄し、乾燥させてポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンを得た。
(実施例1、2)(比較例1)
本実施例における電解コンデンサの部分断面図を図1に示す。1は陽極箔、2は陰極箔、3は誘電体酸化皮膜、4は電解質、5はセパレータである。本実施例においては、表面に誘電体酸化皮膜3が形成された陽極箔1と、表面に誘電体酸化皮膜3がない陰極箔2の間にセパレータ6がはさまれ、これを介して電解質5として電解液が誘電体酸化皮膜3と導電性高分子層4の間に含浸された構成である。
以下、本実施例の電解コンデンサの作製方法について詳細に説明する。まず、化学重合によって得られたポリピロールと[ILS−1]が重量比で1:2になるように秤量し、これを3本ローラーで混錬してペーストを作製した。ポリピロールのおよそ0.2重量はILS−1に溶解した状態で存在し、残りは微粒子状態で存在している。このペーストを、マニラ麻製コンデンサ用低密度セパレータ紙(0.03g/cm2)の両面に、塗布し電解質とセパレータを含む導電性複合物を得た。
一方で、約70℃のアジピン酸アンモニウム(3重量部)水溶液中で定電圧を印加し、陽極酸化により、エッチドアルミニウム箔の陽極箔1の表面に24Vで誘電体酸化皮膜3を形成した。次に、エッチドアルミニウム箔の陰極箔2と表面に誘電体酸化皮膜3を備えた陽極箔1とを、導電性複合物を含む導電性複合体を介して捲回した後、再化成を行って陽極箔1の表面に形成された誘電体酸化皮膜3の修復を行った。
この後、さらにILS−1を減圧含浸させ、修復化成、外装を施して定格16V、12μFの電解コンデンサを10個完成させた。最後にILS−1を含浸させたのはエッチドアルミ箔の孔を完全に電解液で満たすためである。得られたコンデンサについて120Hz及び1kHzでの容量及び損失係数、及び400kHzでのインピーダンスを測定した。これらの特性の平均値を実施例1(表1)に示す。
ポリピロールの代わりにポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンをもちい、同じ方法で電解コンデンサを試作した結果を合わせて実施例2(表1)に示す。
また、比較例1として、セパレータ紙を介して、誘電体酸化皮膜3を形成した陽極箔1と陰極箔2を捲回し、γ−ブチロラクトンを溶媒としてフタル酸モノメチルトリエチルアンモニウム(20重量部)を含有する電解液を減圧含浸させ、修復化成、外装を施して定格16V、12μFの電解コンデンサを10個作製した。これらの特性の平均値を比較例1(表1)に示す。
Figure 2006228993
この結果から明らかように、本実施例1、2による捲回型電解コンデンサは、導電性高分子が溶解したイオン性液体を用いることにより低インピーダンス化が実現でき、その効果として高周波域での周波数特性、損失特性の優れた電解コンデンサが得られていることがわかる。
また、このコンデンサは陽極酸化電圧が24Vであるにもかかわらず、十分に定格16Vコンデンサとして使用することが可能である。これは(背景技術)の項で述べたように、導電性固体高分子コンデンサにおいては定格16Vのコンデンサを得るためには50〜70Vの陽極酸化電圧が必要であった事と比較すると、イオン性液体のすぐれた陽極酸化能力により高耐圧化が実現出来た事になる。
(実施例3〜12)
ILS−2〜11のイオン性液体とポリピロールをもちいて、実施例1と同じ方法で捲回型コンデンサを作製した。得られたコンデンサ特性を実施例3〜13(表2)に示す。
Figure 2006228993
いずれのイオン性液体を用いてもすぐれたコンデンサ特性が得られた。中でも、ILS−2,3,4,5の各イオン性液体を用いた場合には特にすぐれたインピーダンス特性と容量特性を示した。これらのILSはいずれもアニオン成分がスルホン酸アニオン(−SO3 -)を含む事イオン性液体であり、これらは特に導電性高分子に対するすぐれた溶解性を持つことが分かっている。この事が低インピーダンス化および容量引出しに寄与したものと考えられる。
ILS−6,7,8,9,10,11の各ILSを用いた場合にも比較例1と比べるとはるかにすぐれた特性ではあるが、インピーダンス特性はILS−1,2,3,4、5を用いた場合に比較するとやや劣るものとなる。これらのILSのポリピロールに対する溶解度は、ILS−1、2,3,4,5に比較すると低く、そのことが特性に影響しているものと考えられる。この事から、イオン性液体の中に導電性高分子の溶解した様な電解質を用いるという本発明の構成がすぐれたものである事がわかる。
(実施例13−16)
実施例1でと同じ方法で作製したILS−1と、ポリピロールまたはポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンを含む電解質を、実施例1で記載した表面に酸化膜を形成した陽極箔の両面に全体が覆われるように塗布した。次にこれを陰極箔と共にセパレータを介さずに捲回し、修復化成、外装を施して定格16V、10μFの電解コンデンサを10個作製した。これらの特性の平均値を実施例13、14(表3)に示す。
Figure 2006228993
同様に陰極箔に実施例1と同じ方法で作製した電解質を塗布し、上記方法と同じ方法で定格16V、10μFの電解コンデンサを10個作製した。これらの特性の平均値も実施例15,16(表3)に示す。
実施例13〜16は、セパレータが存在しない捲回型電解コンデンサである。
この結果から明らかように、本実施例による捲回型電解コンデンサは、導電性高分子が溶解したイオン性液体を用いることにより低インピーダンス化が実現でき、さらにイオン性液体のすぐれた陽極酸化能力により高耐圧化、低漏れ電流化が実現され、その効果として高周波域での周波数特性、損失特性の優れた電解コンデンサが得られていることがわかる。以上のように、本実施例によれば、電極箔のいずれか一方、又は双方の表面に導電性高分子とイオン性液体を含む電解質層を形成する事で、電解コンデンサの高周波域での損失係数及びインピーダンスを低減することができる。
(実施例17)
マニラ麻製コンデンサ用低密度セパレータ紙(0.03g/cm2)を300℃の高温大気中に30分暴露して炭化処理を施したセパレータを用いた以外は実施例1と同じ方法でコンデンサを作製した。得られたコンデンサ特性を実施例17(表3)に示す。
セパレータに炭素化による導電化処理することによりコンデンサのさらなる低インピーダンス化が実現できる。なおこの実施例ではあらかじめ炭素化処理をしたセパレータを用いたが、セパレータの炭素化はアルミ箔との捲回が終わってから実施しても良い。
(実施例18)(比較例2)
まず、マニラ麻製コンデンサ用低密度セパレータ紙(0.03g/cm2)を介し、約70℃のアジピン酸アンモニウム(3重量部)水溶液中で定電圧を印加する陽極酸化の方法により作製した誘電体酸化皮膜を備えたエッチドアルミニウム箔の陽極箔と、エッチドアルミニウム箔の陰極箔と、を捲回して電解コンデンサ素子を用意した。洗浄乾燥後、ILS−1にポリピロールが5%溶解した電解質溶液を減圧含浸させ、外装を施して定格16V、10μFの電解コンデンサを5個完成させた。
これらの測定値の平均値を実施例18(表3)に示す。なお比較例2としてILS−1のみを含浸させて完成した同じ定格のコンデンサの特性も(表3)にしめす。
この結果から明らかように、本実施例によるコンデンサは導電性高分子を溶解したILSを用いる事により電解コンデンサの持つ等価直列抵抗が低減され、その効果として高周波域での損失係数及びインピーダンスが大きく低減され、周波数特性、損失特性の優れた電解コンデンサが得られていることがわかる。
なお、以上の実施例では、捲回型の電解コンデンサについて述べたが、平板状等に積層したチップ型電解コンデンサにおいても同様の効果を得ることができることはもちろんである。本発明は、上記実施例に記載の化合物や処理工程に限定されるものではなく、例示以外の代替可能な化合物や処理工程を用いてもよいことはいうまでもない。
本発明の実施例における電解コンデンサの部分断面図
符号の説明
1 陽極箔
2 陰極箔
3 誘電体酸化皮膜
4 電解質
5 セパレータ



Claims (14)

  1. 少なくとも、表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁金属から形成される陽極箔と、
    金属から形成される陰極箔と、
    前記陰極箔と前記陽極箔との間に設けられた電解質とを含む電解コンデンサであって、前記電解質が少なくともイオン性液体と導電性高分子とを含む事を特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記陰極箔と前記陽極箔との間に設けられたセパレ−タを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. コンデンサが捲回型である請求項1、2のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  4. 前記導電性高分子の少なくとも一部が、前記イオン性液体に溶解している事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  5. 前記イオン性液体のアニオン成分がスルホン酸アニオン(−SO3 -)、または硫酸アニオン(−OSO3 -)を含む事を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  6. 前記導電性高分子がポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリキノン、ポリパラフェニレンビニレン、およびこれらの誘導体から選ばれた少なくとも一種類以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  7. 請求項2記載のセパレ−タが基材と、前記導電性高分子と、前記イオン性液体とを含む複合導電体である事を特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  8. 請求項2記載のセパレ−タが炭化処理された基材と、前記導電性高分子と、イオン性液体とを含む複合導電体である事を特徴とする、請求項2〜7のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  9. 弁金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成し陽極箔として用意する工程と、
    金属を陰極箔として用意する工程と、
    前記陽極箔及び陰極箔のいずれか一方又は双方の表面に前記電解質層を形成する工程と、
    両電極箔を捲回する工程とを
    含む電解コンデンサの製造方法。
  10. 弁金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成し陽極箔として用意する工程と、
    金属を陰極箔として用意する工程と、
    前記陽極箔と前記陰極箔との間に請求項7〜8のいずれかに記載の複合導電体セパレ−タを設置する工程と、
    両電極箔と該セパレータを捲回する工程とを、
    含む電解コンデンサの製造方法。
  11. 弁金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成し陽極箔として用意する工程と、
    金属を陰極箔として用意する工程と、
    前記陽極箔及び陰極箔のいずれか一方又は双方の表面に電解質を形成する工程と、
    前記陽極箔と前記陰極箔との間に請求項7〜8のいずれかに記載の複合導電体セパレ−タを設置する工程と、
    両電極箔と該セパレータを捲回する工程とを、
    含む電解コンデンサの製造方法。
  12. 陽極箔の誘電体酸化皮膜と陰極箔の間に、
    少なくともイオン性液体と導電性高分子とを含む溶液、又は
    イオン性液体の導電性高分子分散体を含浸することで、電解質層を形成することを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とする、電解コンデンサ。
  14. 請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の電解コンデンサ。
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