JP5167333B2 - イオン性液体を用いた金属表面酸化被膜形成法、電界コンデンサ及びその電解質 - Google Patents

イオン性液体を用いた金属表面酸化被膜形成法、電界コンデンサ及びその電解質 Download PDF

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Description

本発明は、陽極酸化による金属表面の酸化皮膜形成方法もしくは金属酸化皮膜の修復方法およびそれらの方法による酸化皮膜の形成、修復原理を応用した電解コンデンサとその電解質に関する。
陽極酸化法は金属を陽極として酸性溶液、あるいは中性溶液中で金属表面に酸化皮膜を形成する方法である。この方法はアルミニウムやタンタルなどの弁金属表面への酸化皮膜形成に使用される事が多く、例えばアルミニウムを例に取ると、硫酸、シュウ酸、リン酸などの酸性溶液中では厚いポーラス型の酸化皮膜が生成し、ホウ酸塩、リン酸塩、アジピン酸塩などの中性溶液中では薄く緻密なバリヤー型の皮膜が生成する。ポーラス型のアルミニウム酸化皮膜は金属の防食、摩擦防止、および着色による装飾などの目的に使用され、バリヤー型の皮膜は電解コンデンサの誘電体として広く用いられている。
電解コンデンサは一般にアルミニウムやタンタルなどの弁金属を陽極、その表面に形成された酸化皮膜を誘電体とし、該誘電体と電解液を挟んで陰極を形成した構成となっている。この電解コンデンサにおける駆動用電解液には二つの重要な役割がある。一つは事実上の陰極としての作用であり、これは陽極上の誘電体から静電容量を引き出す役目を果たしており、高い電気伝導性、すなわち高い電子伝導性が求められている。他の一つは極めて薄い酸化皮膜を保護・修復する作用であり、電解質の有するイオン伝導性に基づきアルミニウムやタンタルの酸化皮膜の欠陥部分に新たに酸化物を形成する化学作用であり、上記陽極酸化法は電解コンデンサにおける誘電体酸化皮膜の形成、および酸化皮膜の欠陥修復の目的に用いられている。そのため、電解コンデンサの電解液には陽極酸化の能力を持つ事が必要である。
一般に、電解コンデンサ用の電解液としては有機酸、無機酸、またはそれらの塩が添加された、エチレングリコールやγ−ブチロラクトンなどの有機溶媒が用いられる。添加される有機酸や無機酸またはそれらの塩として具体的には、リン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸アンモニウム、コハク酸アンモニュウム、三級アミン類、四級アンモニウム塩などが用いられる。この様な複合電解液系が用いられる理由は、イオン伝導性に優れた電解質とするためである。(非特許文献1)
しかしながら、この様な液体電解質は上記の様な添加物を加える事により、伝導度の向上を図っているもののその値はせいぜい10−3S/cm程度であり、低インピーダンスコンデンサの実現には不十分なものであった。またこの様な液体電解質には、用いられた溶媒の蒸発によるドライアップという現象があり、ドライアップが起きると陽極酸化性、伝導性共に失われるために、長期寿命や耐熱性には不十分な特性であった。
この様な特性を改善するために、溶融塩をコンデンサ用電解質として使用する為の検討がなされており、例えば、溶媒を用いずに共役二重結合を有する含窒素複素環カチオンもしくは共役二重結合を有する含窒素複素環からなる電解質塩を、溶融または溶融後固化させてコンデンサ用電解質を構成する検討がなされている(特許文献1)。
また、溶媒を用いずにカルボン酸塩とカルボン酸を混合して溶融状態にした電解コンデンサ用電解質を、単独もしくはセパレータと共に陽極箔と陰極との間に介在させてコンデンサを構成する検討がなされている(特許文献2)。しかし、これらの電解質は常温においては固体のためその陽極酸化の能力が著しく小さくなること、および伝導度特性が悪いことからまだ実用化には至っていない。
一方、近年溶媒を含まない固体状のコンデンサが開発されている。具体的には、ポリピロール、ポリアニリン、あるいはポリチオフェン誘導体などの導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子は上記の従来の電解質及び溶媒からなる電解液に比べてその電気伝導度(電子伝導性)がはるかに高いため、それらを電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとした場合に優れた特性を発揮する。従って、このような導電性高分子コンデンサは電解コンデンサの市場の中で重要な地位を形成しつつある。
しかしながら、導電性高分子は本質的にイオン伝導性は有していないので、電解コンデンサの酸化皮膜の修復性という陽極酸化性作用の点では、従来の電解液をもちいたコンデンサに比較してはるかに劣るものであった。一般に導電性高分子コンデンサにおいては、誘電体皮膜が破損したときに発生するジュール熱によって、その破損部の誘電体表面に存在する導電性高分子がその脱ドープ反応により絶縁化する事によって誘電体皮膜の破壊を防いでいる、と言われている。この様なメカニズムは、従来の電解液を用いたコンデンサの酸化皮膜修復作用において発現しているメカニズムとは、根本的に原理が異なるものである(非特許文献2)。
この結果、導電性高分子コンデンサにおいては高い耐電圧のコンデンサを作る事が出来ないという欠点があった。具体的には、通常アルミニウムを陽極としてもちいた導電性高分子コンデンサでは、例えば70V化成を行った場合、16V程度、タンタルを用いた導電性高分子コンデンサでは、例えば、34V化成を行った場合、12V程度までの耐電圧のコンデンサしか製造できないのが現状である。ここで、70V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に、弁金属に印加する直流電圧つまり化成電圧が70Vであることを意味する。無論、化成電圧を大きくして耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、また、化成電圧を高くしても耐電圧はそれに比例して上昇しないので良い方法であるとは言えない。
この様な導電性高分子コンデンサの耐圧特性を向上させる試みとして、導電性高分子、および有機酸オニウム塩からなる電解質を用いた事を特徴とする電解コンデンサ、が開示されている。(特許文献3)。しかしながらこの有機酸オニウム塩は基本的には固体状態の塩を想定したものと考えられる。そのため耐圧特性を向上させるためには、導電性高分子(A)と有機酸オニウム塩(B)の好ましい比率は(A):(B)=1:0.1〜5、さらに好ましい範囲は(A):(B)=1:0.2〜2であるとされている。しかし、この様な比率の範囲では確かに耐圧特性は向上するもののその伝導度特性は悪くなり、それはコンデンサのインピーダンス特性を劣化させる事となり好ましくない。 以上の様な電解コンデンサに関連した技術とは別に、近年常温で液体状である溶融塩が開発され注目されている。これらはイオン性液体と呼称され、イミダゾリウムやピリジニウム等の四級塩カチオンと適当なアニオン(Br、AlCl、BF 、PF など)との組合せで構成され、ハロゲンを含む事が多い。イオン性液体は、不揮発性、不燃性、化学的安定性、高イオン伝導性などの特徴を持ち、各種合成や触媒反応などの化学反応に用いられる再利用可能なグリーンソルベントとして注目されている。しかしながら、イオン性液体を陽極酸化性の観点、すなわち弁金属表面における酸化皮膜の形成あるいは酸化皮膜の修復性の観点から検討した例は知られていない。
特開平5−13278 特開平5−101983 特開2003−22938 電解蓄電器評論、53巻、No1、101頁(2002年) 電解蓄電器評論、53巻、No1、95頁(2002年)
本発明者は、この様な状況に鑑み、蒸発によるドライアップのないイオン性液体が優れた酸化性を有することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、イオン性液体の存在下に陽極酸化を行い金属表面に酸化皮膜を容易に形成する方法、あるいは既に形成されている金属酸化皮膜の修復方法、およびそれらの方法における酸化皮膜形成能を応用することにより、誘電体形成や誘電体修復性能を格段に向上させた電解コンデンサに関する。さらに、このイオン性液体を導電性高分子電解質やTCNQ塩電解質などの固体電解コンデンサ用電解質と組み合わせることにより、すぐれた電子伝導性と酸化皮膜の修復性を実現でき、低インピーダンスで高耐電圧の電解コンデンサを構成可能としたものである。
本発明は以下の態様を含むものである。
1. イオン性液体の存在下に陽極酸化することを特徴とする金属表面の酸化皮膜形成方法。
2. イオン性液体の存在下に陽極酸化することにより、あらかじめ金属表面に形成された酸化皮膜の欠陥を修復する上記1記載の金属表面の酸化皮膜形成方法。
3. 金属が、アルミニウムおよび/またはその合金、タンタルおよび/またはその合金、ニオブおよび/またはその合金から選ばれる少なくとも1種である上記1、2記載の、陽極酸化による金属表面の酸化皮膜形成方法。
4. イオン性液体のアニオン成分がフッ素を含む原子団であることを特徴とする上記1ないし3記載の金属表面の酸化皮膜形成方法。
5. イオン性液体のアニオン成分がスルホン酸アニオン(−SO )を含む原子団であることを特徴とする上記1ないし3記載の金属表面の酸化皮膜形成方法。
6. イオン性液体のアニオン成分がカルボキシラト(−COO)を含む原子団である事を特徴とする上記1ないし3記載の陽極酸化による金属表面の酸化皮膜形成方法。
7. イオン性液体のカチオン成分が、イミダゾリウム誘導体、アンモニウム誘導体、ピリジニウム誘導体から選ばれる1以上である事を特徴とする、上記1ないし6記載の金属表面の酸化皮膜形成方法。
8. イオン性液体とアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、三級アミン及び有機酸から選択された少なくとも一種とを含む溶液を用いたこと事を特徴とする、上記1ないし7記載の陽極酸化による金属表面の酸化皮膜形成方法。
9. 酸化皮膜を修復するための、上記1〜8に記載の手段を備えた電解コンデンサ。
10. 酸化皮膜を修復するための手段として、少なくとも1種のイオン性液体を含む溶液が電解質として用いられることを特徴とする電解コンデンサ。
11. 溶液が、さらに導電性高分子を含むことを特徴とする、上記10記載の電解コンデンサ。
12. 導電性高分子が、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびこれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする、上記11記載の電解コンデンサ。
13. イオン性液体と導電性高分子の重量比(イオン性液体/導電性高分子)が1/10未満〜1/10000の範囲であることを特徴とする上記11ないし12記載の電解コンデンサ。
14. 溶液が、さらにTCNQ塩を含むことを特徴とする、上記10ないし13記載の電解コンデンサ。
15. TCNQ塩が、N位をアルキル置換した含窒素複素環化合物をドナーとし、TCNQをアクセプタとする塩であることを特徴とする上記14記載の電解コンデンサ。
16. イオン性液体のアニオン成分が、少なくともフッ素を含む原子団であることを特徴とする上記11−15記載の電解コンデンサ。
17. イオン性液体のアニオン成分が、少なくともスルホン酸アニオン(−SO )を含む原子団であることを特徴とする上記10−15記載の電解コンデンサ。
18. イオン性液体のアニオン成分が、少なくともカルボキシラト(−COO)を含む原子団である事を特徴とする上記10−15記載の電解コンデンサ。
19. イオン性液体とTCNQ塩の重量比(イオン性液体/TCNQ塩)が1/2未満〜1/10000の範囲であることを特徴とする上記14−18記載の電解コンデンサ。
20. イオン性液体におけるカチオン成分がイミダゾリウム誘導体、アンモニウム誘導体、ピリジニウム誘導体である事を特徴とする上記10−19記載の電解コンデンサ。
21. 上記1−8に記載のイオン性液体を含む溶液であって、陽極酸化による金属表面の酸化皮膜形成に用いられることを特徴とする電解質。
22. 上記9−21に記載のイオン性液体を含む溶液であって、電解コンデンサに用いられることを特徴とする電解質。
上記第1の手段は、本発明者はイオン性液体がすぐれた金属酸化能力を持つことを見出し完成されたものである。第2の手段により、イオン性液体を含む溶液は予め別の手法で形成された金属酸化皮膜の欠陥を修復することができる。第3ないし7の手段により、弁金属表面における酸化皮膜の形成・修復には特に優れた能力を発揮できる。第8の手段により、弁金属表面の酸化皮膜の形成能力や酸化皮膜の欠陥修復能力を制御する事ができる。第9の手段は、上記いずれかの手段で形成された陽極酸化による金属表面の酸化皮膜形成方法、もしくは酸化皮膜の修復方法を用いた電解コンデンサである。第10の手段は、前記弁金属表面の酸化皮膜の形成方法や酸化皮膜の欠陥修復方法を電解コンデンサに応用したものである。第11ないし13の手段により、前記電解コンデンサは、導電性高分子のすぐれた電子伝導性とイオン性液体のすぐれたイオン伝導性に基づく酸化皮膜修復性を有し、インピーダンス特性に優れた高性能コンデンサとなる。第14ないし15の手段により、TCNQ塩に基づくすぐれた電子伝導性と、イオン性液体のすぐれたイオン伝導性に基づく酸化皮膜修復性を有し、インピーダンス特性に優れた高性能コンデンサとなる。第15ないし20の手段により、弁金属表面における酸化皮膜の形成・修復には特に優れた能力を発揮できる。第21ないし22の手段は、電解コンデンサにおいて弁金属表面における酸化皮膜の形成・修復能力を付与する電解質である。
図1は電解液が金属酸化皮膜に対する修復能力を有する場合に観察される典型的な電流値変化を示す。 図2はILS−1を用い次の条件で再化成(酸化皮膜修復実験)を行なった場合の電流変化を示す。 初期化成電圧200V、電圧上昇速度:1V/秒、測定:室温 図3アジピン酸水溶液(1g/l)を用い次の条件で再化成(酸化皮膜修復実験)を行なった場合の電流変化を示す。 初期化成電圧200V、電圧上昇速度:1V/秒、測定:室温 図4は導電性高分子電解重合装置の概念図を示す。
本発明者は前記の課題を解決するために種々検討を行い、イオン性液体と呼ばれる一連の化合物群が優れた陽極酸化性を示すことを見出し、本発明を完成した。
本発明で使用するイオン性液体は、常温溶融塩とも言われ、アニオン成分とカチオン成分から構成されているにもかかわらず常温で液体である物をいう。イオン性液体は、通常の有機溶媒のように一部がイオン化・解離しているのではなく、イオンのみから形成されている、すなわち100%イオン化していると考えられている。通常イオン性液体は常温で液体であるものを言うが、本発明で用いるイオン性液体は必ずしも常温で液体である必要はなく、コンデンサのエージング処理、あるいは熱処理時に液体となって電解質全体に広がり、酸化皮膜修復時にその発生するジュール熱によって液体となるものであれば良い。 本発明の目的に適当なイオン性液体に用いられるカチオンとしては各種四級化窒素を有するカチオンを用いることができる。例えば、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体を例示する事が出来る。中でもイミダゾリム誘導体、アンモニウム誘導体、ピリジニウム誘導体は本目的に好ましく用いる事が出来る。ここで誘導体とは、水素、および脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、カルボン酸およびエステル基、各種エーテル基、各種アシル基、各種アミノ基などの置換基を持つものを言い、これらは上記カチオン成分の任意の位置に置換される。
本目的に好ましく用いられるアニオン成分としては、フッ素を含むアニオンを挙げる事が出来、BF 、PF 、RSO (ここでRはフッ化脂肪族炭化水素基、フッ化脂環式炭化水素基、フッ化芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含むフッ素化置換基を示す)と記載できる。具体的には、CFSO 、(CFSO、(CFSO、CHFCFCFCFCHOSO 、CHFCFCFCFCHSO 、などを例示する事ができ、これらは本目的に好ましく用いる事が出来る。また、BF も本目的のアニオンとして良好に用いられる。無論、本発明に適したフッ素アニオンはこれらの例に限定されるものではない。
また、本発明に好ましく用いられるアニオン成分としては、スルホン酸アニオン(−SO )を含む原子団を挙げることが出来、RSO (ここでRは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示す)と記載され、無論フッ素を含んでいても良い。具体的には、pCHSO 、CSO 、CHCHOCHCHOSO ,COCHCHOSO 、等であり、フッ素とスルフォン酸アニオンの両方を含むアニオンは特に本発明の目的に好ましく用いられる。具体的には、前記CHFCFCFCFCHOSO 、CHFCFCFCFCHSO 、等を例示する事が出来る。無論、本発明に適した含スルホン酸アニオンはこれらの例に限定されるものではない。
また、本発明に好ましく用いられるアニオン成分としては、カルボキシラト(−COO)を含む原子団を挙げることが出来る。具体的には、RCOOOORCOOH、OOCRCCOO、NHCHRCOO(ここでRは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基をしめす)、を例示する事が出来、無論フッ素を含んでいても良い。具体的にはギ酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、シュウ酸、フタル酸、コハク酸、アミノ酸などを用いて、カルボキシラト(−COO)を含むイオン性液体を合成する事が有効である。無論、本発明に適したカルボキシラトはこれらの例に限定されるものではない。
また、本発明に好ましく用いられる他のアニオンの例としては、NO 、RNO (ここでRは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示し、無論フッ素を含んでいても良い)などを例示する事が出来る。
また、カチオンとアニオンを共有結合で結んだツビッターイオニック型のイオン性液体の中で、スルフォン酸アニオンを含むイオン性液体、あるいはフッ素をふくむイオン性液体は、本発明の目的に好ましく用いる事が出来る。 本発明のイオン性液体は、上記のアニオンと上記のカチオンとを組み合わせた物質であり、公知の方法で合成する事ができる。具体的には、アニオン交換法、酸エステル法、中和法等の方法を用いることができる。
次に本発明のイオン性液体をもちいた陽極酸化法について説明する。陽極酸化法は金属表面に金属酸化皮膜を形成する手段として広く用いられ、酸化皮膜を形成したい金属を陽極として電解質溶液中で電圧、または電流を印加する事によって酸化皮膜を形成する。この方法は特にアルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁金属の表面に酸化皮膜を形成する手段としては最も一般的な手法である。以下本発明の酸化皮膜の形成方法としてアルミニウムの例について説明するが、タンタル、ニオブなどの弁金属についても同じであり、また、アルミニウムおよび/またはその合金、タンタルおよび/またはその合金、ニオブおよび/またはその合金、その他の金属についても基本的には同じである。本発明の範囲もアルミニウムに限定されることなくタンタル、ニオブ等の弁金属にも適用される。
電解液の陽極酸化性能の測定には、電解液中に、アルミニウムを陽極とし、ステンレスや銅あるいは白金などを陰極としたセルを浸漬し、電極間に一定の電圧を印加してその間に流れる電流値の変化を測定する。この時印加電圧を一定速度で上昇させ、その時の電流値変化を測定すればよい。すなわち、電解液に酸化皮膜形成能力があり、金属表面に絶縁体である酸化皮膜が形成されると、電流が流れなくなる。しかし電解液の酸化皮膜形成能力には限界があり、電圧上昇に伴ない形成された酸化皮膜が電圧に耐えられなくなり、ついには破壊にいたる。したがってこの様な電流値変化の測定によってその電解液の陽極酸化能力を推定する事ができる。
一方、電解液の金属酸化皮膜の修復能力の評価には、既存の電解液中であらかじめ一定の電圧で陽極酸化皮膜を作製し、その酸化皮膜を沸騰水中で煮沸するなどの定められた方法でその一部に欠陥を導入したものを用いるのが便利である。この様にして作製した試料を評価すべき電解液に浸漬し、電圧を一定の速度で上昇させながら電流値の変化を測定すればよい。これは再化成評価法とも呼ばれている。この時あらかじめ形成しておく陽極酸化皮膜の形成電圧を選択する事により(すなわち陽極酸化皮膜厚さを変える事により)上記酸化皮膜形成実験と同様の実験を行う事が出来る。すなわち、例えばあらかじめ100Vで酸化皮膜を形成した場合、何Vで破壊に至るかを観察する事で、上記酸化皮膜形成実験と同様の、電解質における陽極酸化能力の評価が出来る。
この様に、後者の金属酸化皮膜修復実験は前者の酸化能力評価実験を兼ねる事ができ、これは発明のコンデンサ用電解液のデバイス評価にも適当であるので、もっぱら後者の手法によって評価した。電解液が金属酸化皮膜に対する修復能力を有する場合に観察される典型的な電流値変化を図1にしめした。
はじめ電流値は酸化皮膜の破壊部分を通って流れるが(領域1)、電解液が陽極酸化性を持つ場合にはその皮膜修復能力によって破壊部分に新しい酸化皮膜が形成されるために電流値は最大値(A)をへて減少する(領域2)。電流値の最小点(B)が修復の完了した時点であり、その後は電圧上昇に比例した直線的なある電流上昇領域が現れる(領域3)。しかしながら、さらに電圧を上昇させると、ある電圧(C)から直線関係からずれて電流が流れ始める(領域4)。これは電解液の事実上の耐圧を示すもので上記の破壊電圧に相当する。むろん陽極酸化能力が無い場合には領域1の部分のみで、そのまま電流が流れ酸化皮膜の破壊にいたる。
アルミニウムの陽極酸化皮膜には緻密なバリヤー性の皮膜と多孔性皮膜の2種類があり、ホウ酸塩やリン酸塩などの中性の溶液では緻密なバリヤー性皮膜が、リン酸、硫酸、シュウ酸水溶液などの酸性溶液中では多孔性の皮膜が生成する。多孔性の皮膜が生成するのは陽極酸化の途中で皮膜の局所的な溶解が生じるためである。この様な局所的な溶解による多孔質皮膜の生成が始まると熱的作用により溶液中のプロトンが電場に逆らって皮膜の内部にはいりこみ大量のイオン電流が流れ始める。図1において(C)点以上の電圧での電流値の増加はこのようなイオン電流の急激な増加によるものであり、この電流増加点が高いほど好ましい。従って、(A)(B)(C)点の出現する電圧を測定すればその電解液の陽極酸化能力を評価できる。
一般に陽極酸化に用いられる電解質としては、ホウ酸系化成液、シュウ酸系化成液、リン酸系化成液、あるいはアジピン酸系化成液がある。例えば、リン酸系化成液はリン酸アンモニウム1.5gを1Lの水に溶解して作製される。またアジピン酸系化成液はアジピン酸アンモニウム1gを1Lの水に溶解させて作製される。これらの電解液を上記再化成法で評価すると、(A)は10V〜100V、(B)は20V〜180V,(C)は60V〜200Vの範囲にある。シュウ酸系化成液のような酸性の化成液では(A)点は低く出現するが(C)点も比較的低い電圧となる。一方、アジピン酸の様な中性の化成液の場合は(C)点は高く出来るが(A)点も高くなるという欠点がある。
上記の本発明に適した含フッ素アニオンイオン性液体や、含スルホン酸(−SO )アニオンイオン性液体、含カルボキシラト(−COO)アニオンイオン性液体は、上記再化成評価法で評価すると、例えば最初の酸化皮膜の形成を200Vで行なった場合、ほとんどが電流最大点(A)は10V〜25Vの範囲、電流最小点(B)は30V〜50Vの範囲にある。一方電流増加点(C)は100V〜200Vの範囲にある事が分かった。これらの特性はイオン性液体の種類、中でもそのアニオンの種類によって変化する。含フッ素アニオンイオン性液体では(C)点の電圧が特に高くなり(160V以上)、耐電圧の特性に優れるという特徴がある。これに対して含スルホン酸(−SO )アニオンイオン性液体、含カルボキシラト(−COO)アニオンイオン性液体における(C)点は60V〜100Vである。
この事は最初の酸化皮膜の形成を200V以下、例えば50Vや100Vで行なった場合にはより顕著に現れる。例えば50Vである場合、スルホン酸(−SO )アニオンイオン性液体、含カルボキシラト(−COO)アニオンイオン性液体で(C)点は30V〜60V付近であるのに対して、含フッ素アニオンイオン性液体では80V〜170Vである。また、最初の酸化皮膜の形成電圧が100Vである場合、フッ素アニオンを含まないスルホン酸(−SO )アニオンイオン性液体、含カルボキシラト(−COO)アニオンイオン性液体で(C)点は50V〜80V付近であるのに対して、含フッ素アニオンイオン性液体では120V〜200Vである。
この事はイオン性液体の場合は、一般的な有機溶媒溶解有機塩電解質に比べて比較的低電圧領域からすぐれた陽極酸化性を示す(すなわち低電圧で(A)点が出現する)ものの、スルホン酸(−SO )アニオンイオン性液体、含カルボキシラト(−COO)アニオンイオン性液体の様に、そのイオン性液体の種類によっては高電圧領域での電解質の耐圧特性(すなわち(C)点の電圧が低い)の改善が必要である事、を示している。
我々は、この様なイオン性液体の特性を改善するためにさらに検討を進めた結果、イオン性液体にアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、三級アミン及び有機酸などの添加物を加える事によりその耐圧特性を改良する事ができる事を発見した。イオン性液体はアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩及び有機酸をよく溶解する事ができる。その例としてはアジピン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩系添加剤、マレイン酸トリエチルアミンなどのアミン塩系添加剤、マレイン酸第四級アンモニウム、フタル酸第四級アンモニウム、などの四級アンモニウム塩系添加剤、リン酸二水素アンモニウムなどのリン酸アンモニウム系添加剤、ホウ酸アンモニウム、四級化イミダゾリウム塩、リンゴ酸、コハク酸などを例示する事ができる。上記ツビッタ−イオニック型イオン性液体に、これらの添加物を添加することは、その融点を低下させさせることができるので、本発明の目的に対して有効である。
本発明の電解質は、その構成成分であるイオン性液体に、さらに溶質を添加する事によって、電解質としての性能を向上させる事が可能である。本発明の電解質において、添加された溶質はイオン性液体が事実上蒸発しないことから常に溶解した状態で存在するので、溶質の陽極酸化性がイオン性液体の陽極酸化性にプラスされる事になり、電解質としての能力はより高いものとなる。その様な溶質としてはホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウムなどを例示する事ができる。このような手法は、特にイオン性液体の陽極酸化能力がそれほど高くない場合には有効な方法となる。また、添加された溶質の凝固点降下作用により、構成成分であるイオン性液体の融点を低下させる事ができるといった、物性の制御も可能となる。
これらのイオン性液体に添加される溶質の添加量は、イオン性液体の液体としての性質が失われない範囲で任意に選択することができる。例えばアジピン酸アンモニウムをイオン性液体に添加する場合イオン性液体の種類にもよるが、一般には陽極酸化性能の改善には1重量%(以下単に%という)以上の添加量である事が好ましく、50%すなわち、アジピン酸アンモン/イオン性液体/=1/1、を越えないことが好ましい。また、ホウ酸アンモニウムの場合には50%を超えない範囲の添加量である事が好ましい。同様にリン酸アンモニウムの場合には10%を超えない添加量である事が好ましい。上記の様な溶質の上述したイオン性液体への溶解性は大きく、比較的大量の溶質を溶かすことができるため、イオン性液体を用いることの有利な点になっている。
また、AlCl、Cl、Brなどをアニオンとするイオン性液体では、イオン性液体自体が酸化膜を腐食・エッチングにより溶解してしまうことがある。しかしながら、アニオンがフッ素を含む分子であるものは、酸化皮膜にエッチングなどの悪影響を与える事がないので好都合である。陽極酸化の能力の程度は分子構造により異なるが、なかでもイオン性液体が親水性であるようなフッ素含有アニオンイオン性液体はすぐれた陽極酸化性を有している。ここで親水性・疎水性の判断は合成したイオン性液体に水を加え両者が完全に混ざり合う物を親水性とし、両者が二層に分離する物を疎水性とした。この様なイオン性液体を形成するアニオンとしてBF を用いた場合には親水性のイオン性液体が得られる事が多く、各種イミダゾリウムカチオンやピリジニウムカチオンとの組み合わせで、得られたイオン性液体は優れた陽極酸化性を示す。
つぎに、イオン性液体を用いた金属表面酸化皮膜形成における実用上の大きな利点について説明する。すなわち、イオン性液体の蒸気圧が極めて低く事実上蒸発しないという点である。すでに述べた様に、一般に陽極酸化に用いられる電解質は水溶液として、あるいは有機溶媒に溶解した形で用いられ、当然、溶媒である水や有機溶媒が蒸発するという問題が生じる。溶媒が蒸発してしまい固体の溶質のみとなった状態ではその金属表面の酸化皮膜形成能力は失われてしまう。すなわち、従来の電解質は溶媒が蒸発するような環境では使用する事ができなかった。これに対してイオン性液体を用いた金属表面の酸化皮膜形成方法は、通常の電解質では使用できない様な条件下においても使用する事ができる。
この様なイオン性液体を用いた金属表面の酸化皮膜形成反応の利点を生かした応用として、イオン性液体をコンデンサ(キャパシタ)用電解質として用いる場合について説明する。本発明のイオン性液体をコンデンサ電解質として用いる場合、すぐれた陽極酸化性を持つことがその利点の第一であるが、第二の利点としてはイオン性液体の蒸気圧が非常に低く、通常の使用状態では事実上蒸発しないこと、を挙げる事ができる。
γ−ブチロラクトンなどの有機溶媒を用いた電解液型の従来の電解コンデンサでは、有機溶媒にさらに溶質を添加したものがその電解液として用いられる。この様な有機溶媒が長期使用によって蒸発してしまうと、有機溶媒が蒸発した後の状態では添加された溶質は固体状態となり、酸化皮膜の修復能力である陽極酸化性を発揮する事ができない。これに対して添加した溶質が液体である場合には有機溶媒が蒸発しても溶質成分は残存し、陽極酸化性能は完全には失われる事がない。従って、本発明のイオン性液体を電解液型のコンデンサに用いる事は本発明の応用の一形態として有用である。
本発明のイオン性液体は固体電解コンデンサにより好ましく用いられる。固体電解コンデンサにおいては、単に陽極酸化性のみを求めるのであれば、有機溶媒にアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩及び有機酸などの溶質を溶解し、それを導電性高分子やTCNQ塩に添加する事で、ある程度はその目的を達成できるが、この様な溶媒は長期使用によって蒸発してしまうために、その添加効果がなくなると言う欠点がある。
本発明による電解質を固体コンデンサ用として用いる場合、導電性高分子電解質やTCNQ塩電解質にイオン性液体を添加して用いる(複合化する)事は特に好ましい。それはイオン性液体の優れた陽極酸化性と、導電性高分子電解質やTCNQ塩電解質の持つ優れた電子伝導性が加わる事で理想的なコンデンサ用電解質が実現できるからである。
最初に電解質として導電性高分子を用いる場合について述べる。導電性高分子としては、特に限定されるものではないが、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体が好ましい。例えば、そうした誘導体の例として、1−4ジオキシチオフェンモノマーから得られるポリチオフェンを挙げる事が出来る。これらの導電性高分子の合成方法としては、化学重合法、電解重合法、有機金属化学的縮重合法が用いられ、特に化学重合法、電解重合法は好ましく用いられる。
電解重合は、例えば、ピロールモノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化する事により脱水素重合する方法で、陽極上に導電性高分子であるポリピロールを析出させることができる。一般的に、ポリマーの酸化還元電位はモノマーに比べて低いため、重合過程でさらにポリマー骨格の酸化が進み、それに伴って支持電解質のアニオンがドーパントとしてポリマー中に取り込まれる。電解重合においては、こうしたメカニズムにより、後でドーパントを加えなくても、導電性を有するポリマーが得られるという利点がある。
一方、化学重合は、適当な酸化剤の存在下で、例えばピロールなどの原料モノマーを酸化脱水することで重合し合成する方法である。酸化剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子も、酸化剤のアニオンがドーパントとして重合過程でポリマー中に取り込まれるため、一段階の反応で導電性を有するポリマーを得る事ができる。
イオン性液体中で化学重合を行なうとイオン性液体のアニオン性分がドーパントとして導電性高分子に取り込まれる場合があり、本発明の目的には特に好ましい。
本発明による電解質の構成要素である導電性高分子のドーパントはその導電性高分子の伝導度や熱安定性に与える影響を考慮して選択される。本発明に好ましく用いられるドーパントとしては、4−フッ化ホウ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、n−プロピルリン酸イオン、過塩素酸イオン、等を例示する事ができる。
これらのドーパントを電解重合法でポリマー中に取り込むには、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−プロピルリン酸エステル、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等の、ナトリウム塩、エステル、アンモニウム塩などの形でドーパントを水や非水溶媒(アセトニトリル、ジメチルフォルムアミド等)などの溶媒に溶かし込み、この溶液中で前述の電解重合を実施すればよい。
電解コンデンサの電解質として用いる場合には、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁金属上に形成された酸化皮膜の表面に電解質は配置される。これらの金属は電解コンデンサの陽極としての機能を持ち、その表面積を増大させるために、エッチング箔として用いたり、金属粉末の焼結体として用いたりする。そのため化学重合法で導電性高分子を合成した場合には、その導電性高分子が、上記エッチング箔の孔や焼結粉体の隙間に充填されるようにしなくてはならない。一方、電解重合法で導電性高分子を合成する場合には、弁金属上の酸化皮膜が誘電体なので、その誘電体上にあらかじめ導電性の皮膜を形成して導電化しておき、給電電源から電流または電圧を印加して電解重合を行う必要がある。この様な目的に用いられる導電性皮膜としては化学重合により合成された導電性高分子や熱分解二酸化マンガンなどを用いる事ができる。
次に、本発明による電解質を構成するためのイオン性液体と導電性高分子との複合化の方法についてのべる。
複合化の最も簡単な方法は、公知の手法で導電性高分子を弁金属酸化皮膜上に形成した後にそれをイオン性液体に浸漬し、しかる後にイオン性液体から引き上げる方法がある。なお、このイオン性液体には、溶質を添加していてもよい。電解コンデンサを形成する場合には、その後陰極形成工程、電極付け工程、外装工程、エージング工程を実施すれば良い。また、捲回型の電解コンデンサのようにアルミケース(アルミニウムケース)などを用いる場合には、アルミケース(アルミニウムケース)にイオン性液体を添加するのが好ましい。
イオン性液体の添加量は、十分な陽極酸化性を有し、かつ導電性高分子の電子伝導性を損なわない範囲で選択される。一般的に、電子伝導性を損なわないという観点からは、イオン性液体の添加量が重量比で導電性高分子の1/10未満である事が好ましい。一方、十分な陽極酸化性という観点からは、イオン性液体の添加量は重量比で導電性高分子の1/10000以上である事が好ましく、1/1000以上である事はより好ましい。すなわち、本発明の電解質におけるイオン性液体と導電性高分子の好ましい重量比(イオン性液体/導電性高分子)は1/10未満〜1/10000の範囲であり、より好ましい範囲は1/10未満〜1/1000の範囲である。
この様な本発明のイオン性液体は、例えば特許文献3に記載されているような導電性高分子と有機酸オニウム塩からなる電解質を用いた電解コンデンサに比べて、その必要量が著しく小さくてもよい。(特許文献3)では耐圧特性を向上させるためには、導電性高分子(A)と有機酸オニウム塩(B)の好ましい比率は(A):(B)=1:0.1〜5、さらに好ましい範囲は(A):(B)=1:0.2〜2であるとされている。しかし、本発明のイオン性液体では上記のごとく導電性高分子に対する好ましい添加量は10%未満であり、イオン性液体の添加によって導電性高分子の高い電気伝導特性が損なわれることはないため、すぐれたインピーダンス特性を持つコンデンサが実現出来るのである。
複合化の第二の方法は、導電性高分子を電解重合または化学重合により合成する際の溶媒としてイオン性液体を用い、その溶媒を、例えば電解コンデンサの電解質形成工程以降において、積極的に残存させる様にする事である。この場合にも、上記と同様にイオン性液体と導電性高分子の好ましい重量比(イオン性液体/導電性高分子)は1/10未満〜1/10000の範囲であり、より好ましい範囲は1/10未満〜1/1000の範囲である。
また、この場合イオン性液体のアニオン種を導電性高分子のドーパントと共通のアニオンとする事は複合化のより好ましい方法である。共通のアニオン種とする事により、電解重合反応と同時に導電性高分子へのドーピングが行われ、優れた電子伝導度と優れたイオン伝導性とを兼ね備えた電解質を得る事ができる化学重合による導電性高分子合成の際に、溶媒としてイオン性液体を用いることや、その重合後にイオン性液体を積極的に残存させたり、重合された導電性高分子にイオン性液体を添加したりする例は知られていない。
次に電解質としてTCNQ塩を用いる場合について述べる。TCNQ塩としては、特に限定されるものではないが、アンモニウムカチオンを用いたTCNQコンプレックス塩は好ましく用いられる。特に、本発明の目的には、N位をアルキル置換した含窒素複素環化合物をドナーとし、TCNQをアクセプタとするTCNQコンプレックス塩である事が好ましい。含窒素複素環化合物の例としては、ピリジン、ルチジンなどのピリジン誘導体、キノリン、イソキノリンなどの誘導体、アクリジン、フェナジン、フェナントロリンなどを例示する事ができる。またN位置換アルキル基としてはブチル、アミル、ヘキシル、フェネチル、などを例示する事ができる。電解質としてこれらの塩は単独で、あるいは複数のTCNQ塩を混合して用いられ、必要に応じてグルコース重合体など添加物を加えても良い。TCNQ塩の合成は、精製・脱水したアセトニトリルなどの溶剤にTCNQを溶解し、これにアンモニウム塩(例えば:沃化N−n−ブチルイソキノリニウム、など)を加え、析出するTCNQ塩を分別・濾過する事によって行う。
例えば、その様なTCNQ塩の例として、N−n−ブチルイソキノリニウム(TCNQ)塩、およびN−イソアミルイソキノリニウム(TCNQ)塩、N,N−ペンタメチレン(ルチジン)(TCNQ)塩、N−フェネチル・ルチジン(TCNQ)塩、あるいはこれらのTCNQ塩の混合物を例示する事ができる。特にこれらのTCNQ塩が好ましく用いられる理由は、これらの塩が比較的高い導電性を持つことと、加熱により溶融するというTCNQ塩としては特異な性質を持つためである。通常のTCNQ塩は加熱により溶融する事は無く、分解あるいは昇華する。電解コンデンサの電解質は、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁金属上に形成された誘電体酸化皮膜の表面に配置される。これらの金属は電解コンデンサの陽極としての機能を持ち、その表面積を増大させるために、エッチング箔として用いたり、金属粉末の焼結体として用いたりする。そのためTCNQ塩が、上記エッチング箔の孔や焼結粉体の隙間に充填されるようにしなくてはならない。溶融するという上記TCNQ塩の性質は、エッチングアルミニウム電極や焼結タンタル電極の内部まで溶融充填させるために用いられ、すぐれた製造方法となる。
イオン性液体の添加量は、十分な陽極酸化性を有し、かつTCNQ塩の電子伝導性を損なわない範囲で選択される。一般的に、電子伝導性を損なわないという観点からは、イオン性液体の添加量が重量比でTCNQ塩の1/2未満である事が好ましく、1/5以下である事はより好ましく、1/10以下である事は最も好ましい。一方、十分な陽極酸化性という観点からは、イオン性液体の添加量は重量比でTCNQ塩の1/10000以上である事が好ましく、1/1000以上である事は最も好ましい。すなわち、本発明の電解質におけるイオン性液体とTCNQ塩の好ましい重量比(イオン性液体/TCNQ塩)は1/2未満〜1/10000の範囲であり、より好ましい範囲は1/5以下〜1/10000の範囲であり、最も好ましい範囲は1/10以下〜1/1000の範囲である
次に、本発明による電解質を構成するためのイオン性液体とTCNQ塩との複合化の方法についてのべる。この複合化により、優れた電子伝導性と陽極酸化性を持つ電解質を得る事ができる。
複合化の最も簡単な方法は、公知の手法でTCNQ塩を弁金属酸化皮膜上に形成した後に、それをイオン性液体に浸漬、引き上げる方法がある。電解コンデンサを形成する場合には、その後陰極形成工程、電極付け工程、外装工程、エージング工程を実施すれば良い。
アルミケース(アルミニウムケース)などを用いる倦回型のコンデンサにおいては、アルミケース(アルミニウムケース)にイオン性液体とTCNQ塩を入れて加熱溶解し、そのアルミニウムケース内部にマニラ麻紙を挟ん巻き取られた陽極・陰極からなるコンデンサ素子を挿入・含浸する。電解コンデンサを形成する場合には、その後、封止、エージング工程を実施すれば良い。倦回型でない場合には、公知の手法でTCNQ塩を弁金属酸化皮膜上に形成した後に、それをイオン性液体に浸漬、引き上げればよい。電解コンデンサを形成する場合には、その後陰付け工程、外装工程、エージング工程を実施する。
次に実施例により本発明をさらに詳細に述べる。
(イオン性液体)
最初に、本発明の電解質の構成要素であるイオン性液体についてのべる。以下、合成方法記載のものは合成して用いた。合成方法記載無いものは市販のものを用いた。用いたイオン性液体の分子式と物性、略称(ILS−1〜ILS−23)を下記に記す。なお、式中Imはイミダゾリウム、Pyはピリジニウムである。
(ILS−1)(1−C−3−C−Im)(p−CH−CSO
乾燥した200ml丸底フラスコに4.02g(41.7mmol)のN−エチルイミダゾールと20mlのDMFとを入れ、よく攪拌した。8.35g(41.7mmol)のエチルp−トルエンスルフォナートを、氷冷下、前記フラスコ中にすばやく加えた。添加終了後、さらに23時間攪拌した。この反応液を氷冷した200mlのエーテル中に滴下した。エーテルをデカンテーションによって取り除き8.1gの黄色の液体を回収した。収率は65.5%であった。H−NMRスペクトルより回収した液体を同定した。得られた生成物は−59.5℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。
[スペクトルデータ]:500MHz、H−NMR(DMSO−d
σ=1.35(triplet、J=5Hz、3H)、2.23(singlet、3H)、4.15(quarlet、J=5Hz、2H)、7.06(doublet、J=5Hz、2H)、7.44(doublet、J=5Hz、2H)、7.74(singlet、2H)、9.04(singlet、3H)
(ILS−2)(1−CH−3−C−Im)(p−CH−CSO
上記方法と同じ方法で1−メチル−3−エチルイミダゾリウムp−トルエンスルフォナートを合成した。生成物は黄色の液体で、収率は74.4%であった。H−NMRスペクトルより回収した液体を同定した。生成物は−85.7℃のガラス転移温度(Tg)、−12.7℃の融点を有していた。
[スペクトルデータ]:500MHz、H−NMR(DMSO−d
σ=1.33(triplet、J=5Hz、3H)、2.22(singlet、3H)、3.77(singlet、3H)、4.12(quarlet、J=5Hz、2H)、7.06(doublet、J=5Hz、2H)、7.44(doublet、J=5Hz、2H)、7.65(singlet、2H)、7.72(singlet、2H)、9.08(singlet、3H)
(ILS−3)(1−nC−3−C−Im)(p−CH−CSO
上記方法と同様な手法で1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムp−トルエンスルフォナートを合成した。生成物は黄色液体で−73.8℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。
(ILS−4)(1−C−Im)(CSO )−
上記と同様の方法で1−エチルイミダゾリウムベンゼンスルフォナートを合成した。生成物は無色透明の液体で−65.1℃のガラス転移点、−9.5℃の融点を有していた。
(1LS−5)(1−C−Im)(CHCOO)
N−エチルイミダゾール10gに99.7%酢酸6mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌し、得た反応生成物を、1000mlのジエチルエーテル中に攪拌しながら滴下した後、ジエチルエーテルを室温で溜去し、さらに真空乾燥を行うことで析出した結晶を回収し、N−エチルイミダゾリウム酢酸塩15.9gを得た。ガラス転移点は−51.7℃であった。
(ILS−6)(1−nC−2−CH−3−CH−Im)(COCOSO、褐色液体、融点−4.2℃。
(ILS−7)(1−nC−3−CH−Im)(CHFCFCFCFCHSO、黄色液体、融点−62℃。
(ILS−8)(1−C−Im)(BF、無色液体、融点−53.3℃。
(ILS−9)(1−C−3−CH−Im)((CFSON)、無色液体、融点−18.2℃。
(ILS−10)(1−nC13−Py)((CFSON)、黄色液体。
(ILS−11)(1−CH−2−CH−3−C−4−COCOCHN)((CFSON)、無色液体。
(ILS−12)(1−CH−3−C−Im)((CFSOC)、黄色液体。
(ILS−13)(1−C−Im)(CHCHCHCHSO
まず、5.30g(55.1mmol)のN−エチルイミダゾールを50mlのアセトンに溶解した。次に、7.61g(55.9ml)のプロパンサルトンを100mlのアセトンに溶解した後、これを室温下前記N−エチルイミダゾールのアセトン溶液に滴下し、さらに攪拌しながら室温で91時間反応させた。得られた反応混合物を、ガラスフィルターを取り付けた吸引ヌッチェ上で吸引・ろ別した。ガラスフィルター上にろ別された生成物を過剰のアセトンで十分に洗浄した後、真空乾燥し、1.42gの生成物を得た。収率は11.1%であった。1H−NMRスペクトルより生成物は1−(N−エチルイミダゾリオ)ブタン−4−スルフォネートと同定できた。また、示差走査熱量分析(DSC)で測定した結果、融点は−10℃であった。
[スペクトルデータ]:500MHz、1H−NMR(DMSO−d6)
σ=1.36(triplet、3H)、1.48(triplet、2H)、1.84(triplet、2H)、2.36(triplet、2H)、4.13(multiplet、4H)、7.77(d.d.、2H)、9.20(singlet、1H)
(ILS−14)(1−C−Im)(CSO
4.02g(41.7mmol)のN−エチルイミダゾールを50mlのエタノールに溶解した。次に、8.35g(41.7mmol)のp−トルエンスルフォン酸・一水和物を、氷冷下、前部N−エチルイミダゾールエタノール溶液中にすばやく加え、23時間攪拌した。エタノールをエバポレーターで留去したのち、残った反応液をドライアイスで冷却した200mlのエーテル中に滴下した。混合物をガラスフィルターを取り付けた吸引ヌッチェ上ですばやく吸引し、ガラスフィルター上にろ別することで、8.10gの生成物を回収した。収率は65.5%であった。1H−NMRスペクトルより、生成物は1−エチル−イミダゾリウム−pトルエンスルフォナートと同定できた。得られたイミダゾリウム塩は、4.3℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。
[スペクトルデータ]:500MHz、1H−NMR(DMSO−d6、σ)
σ=1.35(triplet、J=5Hz、3H)、2.23(singlet、3H)、4.15(quarlet、J=5Hz、2H)、7.06(doublet、J=5Hz、2H)、7.44(doublet、J=5Hz、2H)、7.74(singlet、2H)、9.04(singlet、1H)
(ILS−15)(1−nC−Im)(p−CH−CSO
3.80g(30.6mmol)のN−ブチルイミダゾールを20mlのDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解した。次に、5.20g(30.6mmol)のp−トルエンスルフォン酸・一水和物を、氷冷下、前部N−ブチルイミダゾール−DMF溶液中にすばやく加え、23時間攪拌した。この反応液をドライアイスで冷却した200mlのエーテル中に滴下した。混合物をガラスフィルターを取り付けた吸引ヌッチェ上で吸引し、ガラスフィルター上にろ別することで、6.40gの白色固体を回収した。収率は70.6%であった。1H−NMRスペクトルより、回収した生成物は、1−ブチル−イミダゾリウムp−トルエンスルフォナートと同定できた。得られたイミダゾリウム塩は、−38.4℃のガラス転移温度(Tg)、2.6℃の結晶化温度(Tc)を有していた。
[スペクトルデータ]:500MHz、1H−NMR(DMSO−d6)
σ=0.84(triplet、J=5Hz、3H)、1.16(multiplet、2H)、1.71(multiplet、2H)、2.23(singlet、3H)、4.11(trilet、J=5Hz、2H)、7.07(doublet、J=5Hz、2H)、7.44(doublet、J=5Hz、2H)、7.60(singlet、1H)、7.71(singlet、1H)、9.04(singlet、3H)
(ILS−16)(1−CH=CH−Im)(CHSO
N−ビニルイミダゾール10gにメタンスルホン酸7mlを加え、これを0℃に維持しながら3時間攪拌したのち、ドライアイスで冷却したジエチルエーテル中に滴下した。この混合物をガラスフィルターを取り付けた吸引ヌッチェ上ですばやく吸引し、ガラスフィルター上にろ別することで結晶を回収し、乾燥してN−ビニルイミダゾリウムメタンスルホン酸塩19.2gを得た。収率は95%であった。融点は5℃であった。
(ILS−17)N−ビニルイミダゾリウム溶融塩ポリマー
1.0gの上記ILS−16をメタノール10mlに溶解し、これらに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをILS−16のビニル基単位に対して1%のモル比率で加え、65℃の温度で3時間ラジカル重合させて、N−ビニルイミダゾリウム溶融塩ポリマー(ILS−17)を得た。
(ILS−18)(1−nC−3−CH−Im)(BF
1−Butyl−3−methylimidazolium tetrafluoroborate(mp−71℃)関東化学製。
(ILS−19)(1−nC−Py)(BF
1−Butylpyridinium tetrafluoroborate(mp−88℃)関東化学製。
(ILS−20)(1−nC13−3−CH−Im)(PF
1−Hexyl−3−methylimidazolium hexafluor ophosphate(mp−73℃)関東化学製。
(ILS−21)(1−C−3−CH−Im)(CFSO
1−Ethyl−3−methylimidozolium trifluoro methansulfonate(mp−9℃)関東化学製。
(ILS−22)(1−nC13−3−CH−Im)(Br)
1−Hexyl−3−methylimidazolium bromide(mp−52℃)関東化学製。
(ILS−23)(1−nC13−3−CH−Im)(Cl)
1−Hexyl−3−methylimidazolium chloride(mp−85℃)関東化学製。
(ILS−24)(1−C−3−CH−Im)(Cl)
1−Ethyl−3−MethylImidazolium chloride、関東化学製。
(ILS−25)(1−C−3−CH−Im)(Br)
1−Ethyl−3−MethylImidazolium bromide、関東化学製。
(TCNQ塩の合成)
本発明の電解質の構成要素であるTCNQ塩合成例についてのべる。
(塩A)N−n−ブチルイソキノリニウム(TCNQ)
還流冷却器を取り付けたフラスコに市販の沃化n−ブチル(20mmol)とイソキノリン(20mmol)を加え、80℃に加熱した。黄色オイル状生成物が液相から分離するので、生成物が生じ始めたら加熱を中止し、温水(約40℃)を使用して、反応が徐々に進行するように調整した。反応はほぼ100%近く進行するので、全体がオイル状になった時点で反応を中止した。生成物は加熱を中止すると直ちに結晶化(固体化)した。エチルエーテルを用いて洗浄後、メタノールを用いて再結晶による精製を行なった。
上記の方法で得られた沃化n−ブチルイソキノリン(25mmol)をアセトニトリル30mlに、TCNQ(30mmol)をアセトニトリル60mlに加熱溶解し、両液を穏やかに沸騰させながら混合した。混合後、還流させながら1時間加熱し反応を完了させた。反応終了後、1時間室温中に放置、5℃で一昼夜冷却後、生じた黒紫色結晶をろ過分離した。得られた結晶を少量の冷却アセトニトリルで洗浄し、さらにエチルエーテルで洗浄した。得られた塩の電気伝導度は3.4Ωcm、融点は210℃、収率は80%であった。
(塩B)N−イソアミルイソキノリニウム(TCNQ)
沃化nブチルの代わりに沃化nイソアミルを用いた以外は、(A)と同じ方法でN−イソアミルイソキノリニウム(TCNQ)塩を合成した。得られたれ塩の電気伝導度は4.2Ωcm、融点は213℃、収率は78%、であった。
(陽極酸化能力の評価)
イオン性液体を用いたアルミニウムの陽極酸化実験について説明する。陽極酸化性の評価は、純度が99.9%のアルミ板(アルミニウム板)をあらかじめアジピン酸溶液を用いて200Vで陽極酸化した皮膜の一部を、沸騰水をもちいて破壊し、その様な試料をイオン性液体中で再化成(再陽極酸化)した結果で評価した。測定は電圧を印加して流れる電流の変化を測定する事によって行った。
[実施例1]
純度99.99%のアルミニウムワイヤ(1.5mm直径)を70%HNO(15部)と85%HPO(85部)からなる混液に2分間浸漬後、純水で洗浄した。次に1N,NaOH溶液で10分間エッチング、純水で洗浄後アセトン浸漬、乾燥した。
次にアルミニウムワイヤをアジピン酸水溶液(1g/L)中で化成処理した。化成は10mA/cmの定電流で行い、電圧が200Vに達した後、10分間200V定電圧で保持する事によって行った。次に上記化成皮膜を100Vに直流をAl(アルミニウム)側が+極になるように印加しつつ沸騰水で3分間処理した。この処理によって化成皮膜の一部が破壊される。
次にこの様な処理を行った化成皮膜をイオン性液体に浸漬し、室温中1V/秒の速度で電圧上昇させた時の電流値の変化を測定した。ILS−1を用いた場合の電流変化を図2に示す。
はじめ電流値は酸化皮膜の破壊部分を通って流れる(領域1)が、電解液が陽極酸化性を持つ場合にはその皮膜修復能力によって破壊部分に新しい酸化皮膜が形成されるために電流値は最大値(A点:15V付近)をへて減少する(領域2)。電流値が最小値(B点:40V付近)が修復の完了した時点であり、その後は電圧上昇に比例したイオン伝導に基づく直線的なある電流上昇領域が現れる(領域3)。しかしながら、さらに電圧を上昇させるとある電圧(C点:80〜100V付近)から直線関係からずれて電流が流れ始める(領域4)。これは電解液の事実上の耐圧を示すものである。むろん陽極酸化能力が無い場合には領域1の部分のみで、そのまま電流が流れ酸化皮膜の破壊にいたる。この事からILS−1が優れた陽極酸化性を有している事が確認できた。
比較例1
同じ再化成(再陽極酸化)の実験をアジピン酸水溶液を用いて行なった。実験結果を図3にしめす。アジピン酸水溶液はアジピン酸アンモニウム1gを1Lの蒸留水に溶解したもので70℃における伝導度は400Ωcm、pH=6.8である。
アジピン酸の場合には45V付近で電流値の最大を示し(A点)、その後120V付近で電流値は減少し(B点)、電流値は増加する電圧は(C点)は180Vである。
以上述べた、ILS−1とアジピン酸との化成特性を比較すると、ILS−1は低い電圧から陽極酸化性(再化成)を示す優秀な材料ではあるが、一方、ILS−1中では200V化成した皮膜でも、80〜100V程度までの耐圧しか実現できない事がわかる。これに対して、アジピン酸では180Vまでの優れた耐圧特性を持つものの、40V以下の低電圧領域では再化成能力がなく、その様な電圧領域の修復には対応できないという欠点がある事がわかった。
[実施例2〜12]
実施例1と同じ実験をILS−2〜ILS−12を用いて行なった。実験結果を表1に示す。なお表中で数値の記載していない部分(−と示した部分)は明確な電圧値が観察されなかったことを示している。
Figure 0005167333
表1には上記A点、B点、C点の電圧を記載した。なお表中で数値の記載していない部分(−と示した部分)は明確な電圧値が観察されなかったことを示している。
ここで、ILS−2〜ILS−12はいずれも本発明になるILS、および含フッ素アニオンILSである。この結果からいずれのILSもすぐれた陽極酸化能力を有している事が分かった。しかしながら、この結果から明らかな様にA点、B点、C点の電圧はそれぞれのILSによって異なりその性能はそれぞれのILSにより異なる事が分かる。含フッ素アニオンから形成されるILSはいずれも高い耐電圧(C点)を有しており、スルホン酸アニオン(−SO )を含む原子団や、カルボキシラト(−COO)を含む原子団からなるアニオンから形成されるILSでは、耐圧特性は含フッ素アニオンILSに劣るものの、優秀な陽極酸化能力(すなわち低いA、B点)を有している。一方、カチオン成分についてはイミダゾリウムであってもピリジニウムであっても、あるいはアンモニウムであってもあまりその陽極酸化特性には影響しない事がわかる。
比較例2〜3
1−エチル−3メチルイミダゾリウムクロライド(ILS−24)、1−エチル−3メチルイミダゾリウムブロマイド(ILS−25)の2種類のイオン性液体を用いて実施例1と同じ実験をおこなった。アニオンがクロルやブロムである場合にはA点、B点、C点が明瞭に出現せず。著しく耐圧特性が劣る事(すなわちC点は20V以下)が分かった。これはクロルやブロムなどのアニオン成分が金属酸化皮膜をエッチングしてしまうためであろうと考えられる。したがって、クロルやブロムを含むイオン性液体は本発明の目的には相応しくない、と考えられる。
[実施例13〜22]
実施例1と同じ実験を最初の化成電圧を50V、および100Vとして実験をおこなった。その結果を表2に示す。なお表中で数値の記載していない部分(−と示した部分)は明確な電圧値が観察されなかったことを示している。
Figure 0005167333
50V化成の場合にはスルホン酸アニオン(−SO )を含む原子団からなるアニオンから形成されるILS(ILS−2、ILS−3)で55〜60Vの破壊電圧(C点)、含フッ素アニオンILS(ILS−7、ILS−8、ILS−10)では120〜160Vの破壊電圧を持つ事が分かる。なおILS−7は含フッ素スルフォン酸アニオンであるが耐圧の観点からはフッ素を含むアニオンであるILS−8、ILS−10に近い値になる。50V化成したサンプルで50V以上の破壊電圧を持つということは、これらのILSが初期化成無しのアルミニウム電極を用いても同様の破壊電圧を持つことを示しており、これらのILSが優れた陽極酸化能力を持つ事が分かる。
100V化成の場合にはILS−2、ILS−3の破壊電圧はそれぞれ、85V、80Vであり化成電圧より低くなっている。一方、ILS−7、ILS−8、ILS−10では、それぞれ150V、180V,200Vであり、含フッ素アニオンイオン性液体がすぐれた耐圧特性を持つ事がわかる。
[実施例23〜27]
同じ再化成(陽極酸化)の実験をイオン性液体にアジピン酸を10重量%溶解添加した電解液を用いて行なった実験結果を表3に示す。なお表中で数値の記載していない部分(−と示した部分)は明確な電圧値が観察されなかったことを示している。
Figure 0005167333
イオン性液体にアジピン酸を10重量%添加した系では、イオン性液体単独の場合に比較して、C点を高くする(すなわち電解質の耐圧を向上させる)事ができる。この効果はもともと耐圧特性にすぐれている含フッ素アニオンイオン性液体(ILS−7、ILS−10)ではあまり顕著でないが、スルホン酸アニオン(−SO )を含む原子団からなるアニオンから形成されるイオン性液体(ILS−1、ILS−2、ILS−3)の場合には顕著に現れる。この様な複合イオン性液体では、アジピン酸水溶液電解質に比較して低電圧領域からの陽極酸化能力を発揮させる事ができるという特徴は失われない。すなわち、この様な複合電解質は低電圧領域からすぐれた皮膜修復能力を持ち、高電圧領域ですぐれた耐圧特性を示す電解質となる。この様な手法は広くイオン性液体に適用する事ができ、その酸化皮膜形成特性を制御する事が出来る。
[実施例28〜44]
アルミニウムの酸化皮膜上に電解重合によって導電性高分子を形成することで電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサに上記イオン性液体を添加してそのコンデンサ特性を測定した。
即ち、陽極リードをつけた縦7mm×横10mmのエッチング処理により表面に細孔を形成したアルミニウム箔(アルミニウムエッチド箔)を、3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、70℃で印加電圧70Vの条件で陽極酸化を行ない、前記アルミニウム箔の表面に酸化皮膜である誘電体皮膜を形成した。ついで、これを硝酸マンガンの30%水溶液に浸漬し、自然乾燥させたのち、300℃で30分間熱分解処理を行い、誘電体皮膜上にマンガン酸化物層からなる導電層を形成した。
次に、この箔上に電解重合ポリピロール層を形成した。用いた装置の概念図を図4にしめす。重合に用いた電解液(6)はピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1M)の30%アルコール溶液、および水からなる電解液である。図4に示したように電解重合液中にアルミニウム箔(2)を配置し、重合開始電極(1)を二酸化マンガン導電層(4)に近接させ、重合開始用電極(1)と陰極(7)との間に1.5Vの定電圧を50分間印加して電解重合反応をおこない、電解重合ポリピロール層(5)を前記導電層上に形成した。
これを水洗、乾燥後、イオン性液体のメタノール溶液に浸漬しその後乾燥してメタノールを除く、という方法でイオン性液体を電解重合ポリピロール層に添加し本発明の電解質を得た。添加量は導電性高分子の0.5〜5重量%となるようにした。次に、この本発明の電解質上にカーボン層、銀ペースト層を設けコンデンサを作製した。この様にして得られた本発明のコンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(120Hz)、および耐電圧(V)を測定した。
得られたコンデンサの特性を表4に示す。イオン性液体を添加しない比較例4と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値には、いずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、導電性高分子にイオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することによりコンデンサ耐電圧特性の向上が実現できる事が分かった。
Figure 0005167333
中でも含フッ素アニオンイオン性液体(ILS−7〜12)では著しい耐圧特性の向上が観察できた。
[実施例45〜48]
電解重合膜作製時において、電解液の組成を、「ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1M)の30%アルコール溶液、および水からなる電解液」に代えて、「メトキシフェノール(0.15M)、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムのアルコール溶液(0.1M)および水からなる電解液」とした以外は、実施例28〜44と同様にして、得られたコンデンサの特性を表5に示す。
Figure 0005167333
ILS−18〜20では、イオン性液体を添加しない比較例4と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体添加によりコンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。一方、ILS−21ではコンデンサ特性への影響はほとんど認められず、耐圧特性の改善も大きくなかった。これは、ILS−21における陽極酸化能力がほとんど無いかあっても極めて小さいためだと思われる。
(比較例5〜6)
実施例45と同じ方法によって電解重合によってアルミ電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサに上記イオン性液体ILS−22,ILS−23を添加してそのコンデンサ特性を測定した。得られたコンデンサの特性を表1にしめす。塩素、臭素を含むイオン性液体を添加した場合にはコンデンサ特性は著しく悪くなる事が分かった。
[実施例49〜65]
タンタルの酸化皮膜上に化学重合によって得られた導電性高分子を配置することで導電性高分子電解コンデンサの作製を行い、得られた電解コンデンサに上記イオン性液体を添加してそのコンデンサ特性を測定した。
すなわち、陽極リードをつけた直方体のタンタル焼結体(長さ2mm、高さ1.5mm、幅1mm)を0.05%リン酸水溶液中で、85℃、60分間、印加電圧33.9Vの条件で陽極酸化し、酸化皮膜である誘電体皮膜を前記タンタル焼結体上に形成したサンプルを作製した。
このサンプルをピロール0.75mol/l水溶液に2分間浸漬し、つづいて硫酸第二鉄0.1mol/l水溶液に10分間浸漬した。この操作を約20回繰り返し、サンプル表面全体が化学重合によるポリピロールで覆われる様にした。このサンプルを水洗、乾燥後、イオン性液体のメタノール溶液に浸漬しその後乾燥してメタノールを除くという方法でイオン性液体を化学重合ポリピロール層に添加し本発明の電解質を得た。添加量は導電性高分子の0.5〜5重量%となるようにした。 次に、この電解質上にカーボン層、銀ペースト層を設けコンデンサを作製した。銀ペースト膜に陰極リードを設け、エージングを印加電圧12.5Vで1時間行い、樹脂で外装して電解コンデンサを得た。この様にして得られた本発明のコンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、もれ電流値、および耐電圧(V)を測定した。
得られたコンデンサの特性を表6に示す。イオン性液体を添加しない比較例7と比べて初期容量、tanδの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、もれ電流値と耐電圧特性には大きな改善が認められ、導電性高分子にイオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することによりコンデンサ耐電圧特性の向上が実現できる事が分かった。
Figure 0005167333
中でも含フッ素アニオンイオン性液体(ILS−7〜12)では著しい耐圧特性の向上が観察でき、本発明のイオン性液体がタンタル金属表面における酸化皮膜の形成、その修復においても有効である事が分かった。
[実施例66〜82]
アルミニウムの酸化皮膜上にチオフェンの化学重合よって得られた導電性高分子を配置することで導電性高分子アルミ電解コンデンサ(アルミニウム電解コンデンサ)の作製をおこなった。
すなわち、アルミニウムエッチド箔4×3.3mmを、3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず10mV/secの速度で0から10Vまで上げ、つづけて10Vの定電圧を40分間印加し、前記アルミニウムエッチド箔の表面に誘電体皮膜を形成した。次にこの箔を脱イオン水の流水により10分洗浄してから105℃で5分乾燥を行った。この時得られた、アルミニウムエッチド箔の液中容量は18μFであった。
次に、ベンゼンスルフォン酸イオンをアニオンとする遷移金属塩のベンゼンスルフォン酸第二鉄と、トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸イオンをアニオンとする遷移金属塩のトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸第二鉄と、のエタノール溶液を酸化剤として用い、この溶液に1、4ジオキシチオフェンを混合し攪拌して重合溶液を作製した。上記、陽極酸化したアルミニウム箔をこの溶液に浸漬し、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに70℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させ、さらに脱イオン水による洗浄、乾燥をおこなった。この操作を目視上箔全体がポリチオフェンで覆われるように10回以上繰り返した。次に、洗浄、乾燥後、実施例28と同じ方法でイオン性液体を添加した。(すなわち、上記のとおり電解重合ポリチオフェン層を導電層上に形成し、これを水洗、乾燥後、イオン性液体のメタノール溶液に浸漬しその後乾燥してメタノールを除く、という方法でイオン性液体を電解重合ポリピロール層に添加し本発明の電解質を得た。添加量は導電性高分子の0.5〜5重量%となるようにした。)その後、この本発明の電解質上にカーボン層、銀ペースト層を設けコンデンサを作製した。得られたコンデンサの特性を表7にしめす。
Figure 0005167333
イオン性液体を添加しない比較例8と比べて初期容量、tanδの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、もれ電流値と耐電圧特性には大きな改善が認められ、導電性高分子にイオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することによりコンデンサ特性の向上が実現できる事が分かった。中でも含フッ素アニオンイオン性液体(ILS−7〜12)では著しい耐圧特性の向上が観察でき、初期化成電圧に相当する10Vの耐圧特性が得られた。
[実施例83〜87]
イオン性液体(ILS−2)と下記の溶質の重量比が2:1になるように、それぞれイオン性液体に下記の溶質を添加した系を使って、コンデンサ特性を評価した。添加する溶質として、市販の以下の溶質を用いた。
上記の重量比で、下記の溶質を添加したILS−2のメタノール溶液を準備し、実施例28〜44と同じ方法でコンデンサを作製した。すなわち、実施例29におけるILS−2メタノール溶液浸漬工程が、上記溶質を添加したILS−2のメタノール溶液による浸漬工程となったものである。得られたコンデンサの特性を表8に示す。
Figure 0005167333
以下、SA〜SHは、溶質である。実施例83〜87では、SA〜SEを使用するが、さらに以降の実施例・比較例で、SF〜SHを使用する。
アジピン酸アンモニウム(Diammonium adipate、=(NHOOC−(CH−COO)(NH、SAと略す)。
マレイン酸トリエチルアミン(Triethylammmonium hydrogen maleate=((CN−H)(HOOC−CH=CH−COO)、SBと略す)。
マレイン酸テトラエチルアンモニウム(Triethylammmonium hydrogen maleate=((CN)(HOOC−CH=CH−COO)、SCと略す)。
フタル酸テトラエチルアンモニウム(((CN)(HOOC−C−COO)、SDと略す)。
安息香酸テトラエチルアンモニウム(((CN)(C−COO)、SEと略す)。
マレイン酸トリエチルメチルアンモニウム(Triethylmethylammonium hydrogen maleate=((CN−CH(HOOC−CH=CH−COO)、SFと略す)
フタル酸トリエチルメチルアンモニウム(Triethylmethylammonium hydrogen phthalate=((CN−CH(1−HOOC−C−2−COO)、SGと略す)
リン酸(HPO、SHと略す)
表8に示すごとく、導電性高分子にこれら溶質を含むイオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することにより、さらに耐圧の向上したコンデンサを得る事ができた。
[実施例88〜91]
下記(1)と(2)以外は、実施例28〜44と同様にして、得られたコンデンサの特性を表9に示す。
Figure 0005167333
(1)イオン性液体をILS−18〜21までとし、イオン性液体(ILS−18〜21)と下記の溶質の重量比が85:15(それぞれのイオン性液体に溶質SAを15%溶解)になるように、それぞれイオン性液体に下記の溶質を添加した。すなわち、実施例28〜44のコンデンサ作製工程において、実施例28におけるILS−1メタノール溶液浸漬工程が、上記溶質を添加したILS−18〜21のメタノール溶液による浸漬工程となったものである。
かつ、(2)電解重合膜作製時において、電解液の組成を、「ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1M)の30%アルコール溶液、および水からなる電解液」に代えて、「メトキシフェノール(0.15M)、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムのアルコール溶液(0.1M)および水からなる電解液」とした。
得られたコンデンサの特性を表9にしめす。イオン性液体を添加しない比較例4と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体添加によりコンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。
[実施例92〜94]
実施例88と同様の方法で電解重合によってアルミ電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサに上記イオン性液体ILS−18にそれぞれ溶質SB、SF、SGを15%溶解し、その溶液を添加してそのコンデンサ特性を測定した。得られたコンデンサの特性を表9の下段にしめす。イオン性液体を添加しない比較例4と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体に添加された溶質の種類によらずコンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。
(比較例9〜10)
実施例88〜91と同様の方法で、イオン性液体ILS22〜23(それぞれSAを15%溶解)を添加してそのコンデンサ特性を測定した。その結果を表9の下に示す。結果から明らかな様に、tanδ特性、耐圧特性共に著しく悪くなっていた。これはイオン性液体中に存在するブロム、クロルによるものと考えられる。
[実施例95〜98]
化学重合によるタンタル導電性高分子電解コンデンサの作製を行い、得られた電解コンデンサに上記イオン性液体ILS−18〜21(それぞれ溶質SAを15%溶解)を添加してそのコンデンサ特性を測定した。
すなわち、陽極リードをつけた直方体のタンタル焼結体(長さ2mm、高さ1.5mm、幅1mm)を0.05%リン酸水溶液中で85℃、60分間、印加電圧33.9Vの条件で陽極酸化し、誘電体皮膜を形成した。この素子をピロール0.75mol/l水溶液に2分間浸漬し、つづいて硫酸第二鉄0.1mol/l水溶液に10分間浸漬した。この操作を約20回繰り返し、素子全体が化学酸化重合による導電性高分子ポリピロールで覆われる様にした。次に、実施例45とおなじ方法でイオン性液体を添加した。
次にカーボンペースト膜、銀ペースト膜を通常の方法で形成し、銀ペースト膜に陰極リードを設け、エージングを印加電圧12.5Vで行い、樹脂で外装して電解コンデンサを得た。この様にして得られた本発明のコンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、もれ電流値、および耐電圧(V)を測定した。
得られたコンデンサの特性を表10にしめす。イオン性液体を添加しない比較例11と比べて初期容量、tanδの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、もれ電流値と耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体添加によりコンデンサ特性の向上が実現できる事が分かった。
Figure 0005167333
[実施例99〜102]
チオフェンの化学重合による導電性高分子アルミ電解コンデンサの作製をおこない、得られた電解コンデンサに上記イオン性液体ILS−18〜20(それぞれ溶質SAを15%溶解)を添加してそのコンデンサ特性を測定した。
すなわち、アルミニウムエッチド箔4×3.3mmを、3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず10mV/secの速度で0から10Vまで上げ、つづけて10Vの定電圧を40分間印加し、誘電体皮膜を作製した。次に脱イオン水の流水により10分洗浄してから、105℃で5分乾燥を行った。この時の液中容量は18μFであった。
次に、ベンゼンスルフォン酸イオンをアニオンとする遷移金属塩のベンゼンスルフォン酸第二鉄とトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸イオンをアニオンとする遷移金属のトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸第二鉄のエタノール溶液を酸化剤として用い、この溶液に1、4ジオキシチオフェンを混合し攪拌して重合溶液を作製した。上記、陽極酸化したアルミ箔をこの溶液に浸漬し、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに70℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させ、さらに脱イオン水による洗浄、乾燥をおこなった。この操作を繰り返してアルミ箔全体がポリチオフェンで覆われるようにした。次に、洗浄、乾燥後、実施例1とおなじ方法でイオン性液体を添加し、その後カーボンペースト銀ペイントをもちいて陰極を形成し、コンデンサを作製した。
得られたコンデンサの特性を表11にしめす。イオン性液体を添加しない比較例12と比べて初期容量、tanδの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、もれ電流値と耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体添加によりコンデンサ特性の向上が実現できる事が分かった。
Figure 0005167333
[実施例103〜119]
アルミニウムの酸化皮膜上に溶融含浸によってTCNQ塩を形成することで電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサにイオン性液体を添加してそのコンデンサ特性を測定した。
即ち、高倍率アルミニウムエッチド箔を、3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、70℃で印加電圧50Vの条件で陽極酸化を行ない、アルミニウム箔の表面に酸化皮膜である誘電体皮膜を形成した。これを陽極箔・陰極箔としてリード線を取り付け、マニラ麻紙からなるセパレータを介して巻き取り、倦回型のコンデンサ素子を形成した。次に、溶融したTCNQ塩が含浸され易くするために、このコンデンサ素子を加熱してセパレータ紙を炭化した。
N−n−ブチルイソキノリニウム(TCNQ)塩と各種イオン性液体(2%)を外装用のアルミニウムケースに充填し、210℃で溶融した。このケースに予熱した上記コンデンサ素子を挿入し、挿入後ただちに液体窒素を用いてアルミニウムケースを冷却した。
次に、このケース上部にエポキシ樹脂を注入・加熱硬化させて封止した。この様にして得られた本発明のコンデンサを20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(120Hz)、および耐電圧(V)を測定した。なお耐圧の測定は、電圧を一定速度で上昇させた時、漏れ電流が増加し始める電圧とした。耐圧測定は測定誤差が大きいので、10個以上の素子を作製しその平均値とした。得られたコンデンサの特性を表12に示す。イオン性液体は、ILS−1〜17である。
Figure 0005167333
イオン性液体を添加しない比較例13と比べて、初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、TCNQ塩にイオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することによりコンデンサ耐電圧特性の向上が実現できる事が分かった。
[実施例120〜123]
実施例103〜119と同様にして、溶融含浸によってTCNQ塩電解質を形成することでアルミニウム電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサにイオン性液体ILS−18〜21を添加してそのコンデンサ特性を測定した。
得られたコンデンサの特性を表13にしめす。
Figure 0005167333
親水性のイオン性液体ILS−18、19では、イオン性液体を添加しない(TCNQ塩を電解質とする)比較例14と比べて、初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、これらのイオン性液体添加によりコンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。
一方、疎水性液体である、ILS−20、21ではコンデンサ特性への影響はほとんど認められず、耐圧特性の改善も大きくなかった。これはILS−18、19と比較して、ILS−20、21における陽極酸化能力が小さいためだと思われる。
(比較例15〜16)
実施例120と同じ方法でイオン性液体ILS−22、23を添加して、そのコンデンサ特性を測定した。測定結果を表13下段にしめす。塩素、臭素を含むイオン性液体を添加した場合には、コンデンサ特性は著しく悪くなる事が分かった。
[実施例124〜131]
N−n−ブチルイソキノリニウム(TCNQ)塩の代わりにN−イソアミルイソキノリニウム(TCNQ)塩を用いる以外は、実施例103と同じ方法で電解コンデンサを作製した。溶融・含浸温度は215℃とした。得られたコンデンサの特性を表14に示す。イオン性液体ILS−1〜5、10、13、14について、実験した。
Figure 0005167333
イオン性液体を添加しない比較例と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値には、いずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、TCNQ塩が代わっても、イオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することによりコンデンサ耐電圧特性の向上が実現できる事が分かった。
[実施例132〜135]
実施例124〜131と同様に、N−n−ブチルイソキノリニウム(TCNQ)塩の代わりにN−イソアミルイソキノリニウム(TCNQ)塩を用いる以外は、実施例103と同じ方法で、溶融含浸によってイオン性液体ILS−18〜21を2%添加したTCNQ塩電解質を形成することでアルミニウム電解コンデンサを試作し、そのコンデンサ特性を測定した。ただし、N−イソアミルイソキノリニウム(TCNQ)塩(塩B)を溶融・含浸する温度は215℃である。得られたコンデンサの特性を表15に示す。
Figure 0005167333
親水性のイオン性液体であるILS−18、19ではイオン性液体を添加しない比較例17と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体添加によりコンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。一方、疎水性のイオン性液体である、ILS−20、21ではコンデンサ特性への影響はほとんど認められず、耐圧特性の改善も大きくなかった。これは、ILS−18、19と比較して、ILS−20、21における陽極酸化能力が小さいためだと思われる。
[実施例136〜140]
イオン性液体(ILS−2)と下記の溶質の重量比が4:1(それぞれのイオン性液体に溶質SAを20%溶解)になるように、それぞれイオン性液体に、上述の溶質(SA〜SE)を添加した。実施例103と同じ方法でコンデンサを作製した。得られたコンデンサの特性を表16に示す。
Figure 0005167333
表に示すごとく、TCNQ塩にこれら溶質を含むイオン性液体を添加した本発明の電解質を電解コンデンサに適用することにより、さらに耐圧の向上したコンデンサを得る事ができた。
[実施例141〜144]
実施例120と同じ方法で溶融含浸によってイオン性液体ILS−18〜21(それぞれ溶質SAを15%溶解)を5%添加したTCNQ塩電解質を形成することで、アルミニウム電解コンデンサを試作し、そのコンデンサ特性を測定した。
得られたコンデンサの特性を表17にしめす。イオン性液体を添加しない比較例17と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、これらの溶質を溶解したイオン性液体添加によりコンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。
Figure 0005167333
[実施例145〜147]
実施例120と同様の方法でアルミ電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサにおいて、上記イオン性液体ILS−18にそれぞれ上述の溶質SB、SG、SFを15%溶解し、その溶液を添加して得たそのコンデンサ特性を測定した。得られたコンデンサの特性を表18にしめす。イオン性液体を添加しない比較例17と比べて初期容量、tanδ、インピーダンスの値にはいずれも大きな違いは認められなかったが、耐電圧特性には大きな改善が認められ、イオン性液体に添加された溶質の種類によらず、コンデンサ耐圧特性の向上が実現できる事が分かった。
Figure 0005167333
[実施例148〜159]
実施例28および実施例37と同じ方法で添加されるイオン性液体の添加量を変えて実験を行なった。その結果を表19に示す。
Figure 0005167333
この結果から明らかなように導電性高分子(ポリピロール)に対して添加されるイオン性液体の量は、導電性高分子100重量部に対して0.01重量部であってもその耐圧特性の向上に効果が認められ、0.1重量部以上であればその効果は顕著である。しかし、添加量が10重量部以上となると、そのインピーダンス特性が悪くなり、また容量も減少傾向を示す事が分かった。
なお同様な傾向は、電極としてタンタルをもちいた場合でも、また導電性高分子としてチオフェンの様なピロール以外の導電性高分子を用いても、また電解重合法であっても化学重合法であっても、いずれの場合でも同じ傾向であった。これらの結果から導電性高分子とイオン性液体とからなる電解質において、最も好ましいイオン性液体の添加量は、導電性高分子100重量%に対して10%未満から0.01%の範囲である事が分かった。
[実施例160〜169]
実施例103および実施例112と同じ方法で、TCNQ塩を用いた場合の添加されるイオン性液体の添加量を変えて実験を行なった。その結果を表20に示す。
Figure 0005167333
この結果から明らかなようにTCNQ塩に対して添加されるイオン性液体の量は、TCNQ塩100重量部に対して0.01重量部であってもその耐圧特性の向上に効果が認められ、0.1重量部以上であればその効果は顕著である。しかし、添加量が10重量部以上となると、そのインピーダンス特性が悪くなり、また容量も減少傾向を示す事が分かった。
これらの結果からTCNQ塩とイオン性液体とからなる電解質において、最も好ましいイオン性液体の添加量は、TCNQ塩100重量%に対して10%未満から0.01%の範囲である事が分かった。
本発明の方法を用いる事により容易に弁金属上に酸化皮膜を形成する事ができる。さらに本発明の方法を電解コンデンサの電解質として用いる事により、そのイオン性液体の不揮発性や優れた酸化皮膜修復能力を生かして、高周波特性にすぐれかつ高耐圧である高性能の電解コンデンサを得る事ができる。
A:再化成反応により電流が減少し始める点
B:再化成終了点
C:電解液の耐圧を示す点
1:重合開始電極
2:アルミ箔
3:誘電体層
4:二酸化マンガン導電層
5:導電性高分子層
6:電解液
7:陰極

Claims (4)

  1. 弁金属の正電極と、前記弁金属上に形成された陽極酸化膜の誘電体と、前記陽極酸化膜に接している電解質を含む負電極とを含み、
    前記電解質は前記陽極酸化膜の欠陥を修復し得るイオン性液体を含み、前記イオン性液体はBF 、PF 、スルホン酸アニオン(−SO )、およびカルボン酸アニオン(−COO)から選択されたアニオン成分を含むことを特徴とするコンデンサであって、
    前記電解質が、さらにアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、三級アミンまたは有機酸を含有するコンデンサ。
  2. 前記イオン性液体は、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリウム誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体からなる群から選択された1種以上のカチオン成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
  3. 前記弁金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、およびそれらの合金から選択された一種であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ。
  4. 前記負電極は、前記電解質に接する金属部分をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ。
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