JP2011108880A - 導電性高分子電解コンデンサ用電解質の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高いブレークダウン電圧を有する導電性高分子コンデンサが得られる製造方法を提供する。
【解決手段】イオン液体の存在下で導電性高分子モノマーを酸化重合して電解質を形成する工程において、導電性高分子モノマーに対して0.25〜1.0モル倍量の酸化剤を使用する、導電性高分子コンデンサの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】イオン液体の存在下で導電性高分子モノマーを酸化重合して電解質を形成する工程において、導電性高分子モノマーに対して0.25〜1.0モル倍量の酸化剤を使用する、導電性高分子コンデンサの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は高いブレークダウン電圧を有する導電性高分子電解コンデンサ用電解質の形成方法及びその形成方法を含む導電性高分子コンデンサの製造方法に関する。
近年、導電性高分子を電解質として用いた導電性高分子電解コンデンサは、その優れたESR特性により市場を拡大しつつある。導電性高分子電解コンデンサは、典型的には、固体であるポリピロールあるいはポリチオフェン誘導体等の導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子電解質は、通常の液体を電解質として用いた電解コンデンサと比べてその電気伝導度(すなわち電子伝導性)がはるかに高いため、該導電性高分子を電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとして優れた特性を発揮する。
しかしながらいずれの導電性高分子電解コンデンサにおいても、導電性高分子は本質的にイオン伝導性を有していないので、コンデンサの誘電酸化皮膜の修復性(すなわち陽極酸化作用)の点では、従来の電解液を用いたコンデンサに比較して大きく劣る。この結果、導電性高分子電解コンデンサにおいてはブレークダウン電圧(コンデンサが破壊に至る電圧)の高いコンデンサが実現できず、規格電圧(実使用上の電圧)も低く設定せざるを得ないという欠点がある。具体的には、通常アルミニウムを陽極として用いた導電性高分子電解コンデンサでは、たとえば40V化成を行った場合、規格電圧は16V程度であり、タンタルを用いた電解コンデンサでは、例えば24V化成を行った場合、規格電圧は12V程度である。ここで、40V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に印加する直流電圧が40Vであることを意味し、理想的には40Vのブレークダウン電圧を有するコンデンサが得られるはずである。化成電圧を大きくしてブレークダウン電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、さらに化成電圧を高くしてもブレークダウン電圧はそれに比例して上昇しないという問題がある。
この様な問題点を解決するために、本発明者らはイオン液体と導電性高分子とからなる電解質をすでに開発している(特許文献1〜3)。これはイオン液体が優れた弁金属の陽極酸化作用を有し、例えばアルミニウムの酸化膜の欠陥を修復できる事を発見して成されたもので、この発明によりイオン液体を添加しない場合に比べ高いブレークダウン電圧を有する導電性高分子電解コンデンサが実現できる。
本発明の課題は、高いブレークダウン電圧を有する導電性高分子電解質の形成方法ならびに、その形成方法で作成された導電性高分子コンデンサを提供することである。
本発明者らは、イオン液体と導電性高分子とからなる電解質をさらに詳細に検討したところ、導電性高分子モノマーを酸化重合させて電解質を形成させる際に、酸化剤の使用量によってはイオン液体の効果が必ずしも発現されず、高いブレークダウン電圧が得られない場合があることに気づいた。そこで、このような問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、酸化剤の使用量を導電性高分子モノマーに対して0.25〜1.0モル倍量に設定することで、イオン液体の陽極酸化能力が効果的に発現し、高いブレークダウン電圧を有する導電性高分子電解コンデンサが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、イオン液体の存在下で導電性高分子モノマーを酸化重合して電解質を形成する工程において、導電性高分子モノマーに対して0.25〜1.0モル倍量の酸化剤を使用する、導電性高分子コンデンサの製造方法(以下、「本発明の製法」と称することがある。)である。
上記導電性高分子モノマーは、チオフェン、チオフェン誘導体、ピロール、ピロール誘導体、アニリンおよびアニリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
上記イオン液体は、アニオン成分がカルボキシレートイオンであることが好ましい。
上記イオン液体は、カチオン成分が、アンモニウムイオン、イミダゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾニウムイオン、トリアジニウムイオン、トリアジンイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、モルフォリニウムイオン、ピペラジンイオン及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の導電性高分子コンデンサの製造方法は、アルミ捲回型のコンデンサに好適である。
本発明の製法によれば、高いブレークダウン電圧を有する導電性高分子電解コンデンサを実現できる。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明において用いられる導電性高分子モノマーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体、キノンまたはその誘導体、キノリンまたはその誘導体、フランまたはその誘導体などの公知の導電性高分子モノマーを使用できるが、ポリマー形成時の導電性が高く、かつ空気中で安定であることから、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体から選ばれることが好ましい。導電性高分子モノマーは1種のみを使用してよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
チオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと略す)、3−アルキルチオフェン(アルキル基としてはブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、3−フルオロフェニルチオフェン、3−アリールチオフェンなどを例示できるが、これらに限定されるものではない。
ピロールの誘導体としては、ピロール骨格を有し、水酸基、カルボキシル基、アルキル基等の置換基を持つものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アニリンの誘導体としては、アニリン骨格にアルキル基、シアノ基、スルホン基、カルボキシル基を有するものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
キノンの誘導体としては、置換基を有するベンゾキノンや、置換基を有するナフトキノンや、置換基を有するアントラキノンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
導電性、耐熱性の点から、EDOTまたはピロールが、特に好ましく用いられる。
次に本発明において用いられるイオン液体について説明する。イオン液体は、常温溶融塩ともいわれ、イオンのみから構成されているにも関わらず常温で液体であるものを指し、イミダゾリウムなどのカチオンと適当なアニオンの組み合わせから構成される。イオン液体は、通常の有機溶媒のように一部がイオン化・解離しているのではなく、イオンのみから形成され100%イオン化していると考えられている。
本発明で使用できるイオン液体は、特に限定されないが、アニオン成分がカルボキシレートアニオン、スルホネートアニオン、イミドアニオンなどであるイオン液体を使用でき、なかでも陽極酸化能力および合成・入手の容易さの観点から、アニオン成分がカルボキシレートアニオンであるイオン液体を好ましく用いることができる。より具体的には、ギ酸アニオンを有するイオン液体および/または一般式(1);
で表されるアニオンを有するイオン液体を好ましく用いることができる。前記式(1)で表されるアニオンは後述するカチオンと対になって常温で液体の塩、すなわちイオン液体を形成する。
前記式(1)においてR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、保護または無保護の水酸基、保護または無保護のアミノ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC2〜C20のアルケニル基、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC2〜C20のアルキニル基、置換基を有していてもよいC6〜C20のアリール基、置換基を有していてもよいC4〜C20のヘテロアリール基、置換基を有していてもよいC7〜C20のアラルキル基、置換基を有していてもよいC4〜C20のヘテロアラルキル基を表し、互いに同じであっても異なっていてもよく、また一緒になって環を形成してもよい。
なお、本発明において「置換基を有していてもよい」とは、他の原子あるいは置換基によって置換されていてもよいことを示す。「置換基」とは、反応に悪影響を与えない限り特に限定されるものではなく、具体的には、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えばメチル基、ヒドロキシメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、などを挙げることができ、またこれらのアルキル基の水素原子が任意の数だけフッ素原子で置換されたものを挙げることができる。
直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC2〜C20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、スチリル基、イソプロペニル基、シクロプロペニル基、ブテニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
直鎖または分岐もしくは環を形成していても良く置換基を有していてもよいC2〜C20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチニル基、シクロプロピルエチニル基、ブチニル基、ペンチニル基、シクロブチルエチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基などが挙げられる。
置換基を有していても良いC6〜C20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、テルフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基などが挙げられる。
置換基を有していても良いC4〜C20のヘテロアリール基としては、例えば、ピロリニル基、ピリジル基、キノリル基、イミダゾリル基、フリル基、インドリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、2−フェニルチアゾリル、2−アニシルチアゾリル基などが挙げられる。
置換基を有していても良いC7〜C20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、サリチル基、α−ヒドロキシベンジル基、フェネチル基、α−ヒドロキシフェネチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、3,5−ジフルオロベンジル基、トリチル基などが挙げられる。
置換基を有していても良いC4〜C20のヘテロアラルキル基としては、例えば、ピリジルメチル基、ジフルオロピリジルメチル基、キノリルメチル基、インドリルメチル基、フルフリル基、チエニルメチル基などが挙げられる。
R1とR2が一緒になって環を形成していてもよく、シクロヘキシル基、フェニル基などが例示される。
R1または/およびR2が水酸基あるいはアミノ基である、または置換基として水酸基またはアミノ基を有する場合には、水酸基またはアミノ基は保護されていても無保護でもよく、保護されている場合には保護基は特に制限されるものではないが、例えば一般的な保護基を使用すればよく、例えば「PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS THIRD EDITION」(17ページ WILEY−INTERSCIENCE)記載のものが挙げられる。水酸基の保護基としては、具体的には、メチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのエーテル系保護基や、アセチル基、クロロアセチル基などのエステル系保護基を挙げることができる。またアミノ基の保護基としてはベンジル基、トリチル基、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、テトラクロロアセチル基、テトラフルオロアセチル基、ベンゾイル基、フェニルアセトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。導入及び脱保護の容易さの観点から、上記の群の中で好ましくは、ベンジル基、トリチル基、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、テトラクロロアセチル基、テトラフルオロアセチル基、ベンゾイル基、フェニルアセトキシ基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基である。
陽極酸化能力の観点からは、上記に例示されたアニオンの中で好ましいものとしては、R1が水酸基、アミノ基、または水素であり、R2がメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、フェニル基,ナフチル基、ベンジル基であるアニオンを挙げることができる。これらの組み合わせから成るアニオンを有するイオン液体は優れた陽極酸化能力を有する。これらの中でも特に好ましくは、酢酸アニオン、乳酸アニオン、マンデル酸アニオン、安息香酸アニオン、アラニンアニオン、フェニルアラニンアニオンなどである。
イオン液体のカチオン成分としては、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、イミダゾリウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよび誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジンおよびその誘導体、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体が挙げられるが、アミノ酸とから得られるイオン液体が比較的低いTgを示すことから、イミダゾリウム誘導体が好ましく、イミダゾリウム誘導体としてはジエチルイミダゾリウム、エチルブチルイミダゾリウム、ジメチルイミダゾリウムが好ましく、特に好ましくはエチルメチルイミダゾリウム、メチルブチルイミダゾリウムである。
イオン液体は、イオン伝導性はあるが電子伝導性を有さないため、コンデンサ電解質においては絶縁体として振舞う。あまりに多くのイオン液体を添加するとESR特性が悪化する傾向があるため、添加されるイオン液体の総量は導電性高分子モノマーの2倍モル倍量以下であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0モル倍量であり、さらに好ましくは0.1〜0.5モル倍量である。
本発明における酸化重合とは、適切な酸化剤の存在下で、例えばピロールなどの導電性高分子モノマーを重合し合成する方法である。
本発明において用いられる酸化剤としては、例えばパラトルエンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、n−ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄、過硫酸塩、過酸化水素、ジアゾニウム塩、ハロゲン及びハロゲン化物、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子は、酸化剤のアニオンがドーパントとして重合過程でポリマー中に取り込まれることにより、一段階の反応で導電性を有し得る。そのため、ドーパントとしての移動度の高いパラトルエンスルホン酸イオンを含むパラトルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として用いることが好ましい。
酸化剤の使用量は、導電性高分子モノマーに対して0.25〜1.0倍モル量である。酸化剤の使用量が1.0倍モル量を超えると、電解質中に残存する酸化剤残渣および電解質ポリマーにイオン液体が吸収されてしまい、酸化皮膜と接触する状態になりにくいためイオン液体の陽極酸化能力が効果的に発揮されず、結果として高いブレークダウン電圧を得ることが難しくなる。また酸化剤残渣が多く電解質中に存在すると、それ自身が酸化皮膜の欠陥生成の要因となることからも好ましくない。逆に0.25倍モル量よりも少ないと、導電性高分子モノマーの酸化重合が充分進行せず、結果として良好な電解質が形成されない。このことは、出来上がったコンデンサが本来の機能を発現しないことを意味する。
酸化重合に使用できる溶媒としては、公知のもので良く、特に限定されるものではない。例えばメタノール、エタノール、ブタノール、ジエチレングリコール、2−プロパノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、THF、DMF、アセトニトリル、DMSO、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどが挙げられ、イオン液体および導電性高分子モノマーとの相溶性の観点から、特に好ましくはブタノールである。
酸化重合の重合条件は公知の重合条件で良く、温度範囲は−50℃〜200℃で、特に好ましくは0℃〜180℃である。重合時間は、1分〜24時間であり、特に好ましくは1分〜5時間である。また、該重合は複数回繰り返してもよい。
本発明は、チップ型、捲回型の何れのコンデンサ素子にも適用可能である。いずれにおいてもブレークダウン電圧の高圧化が実現できる。ここでいうコンデンサ素子とは、電解質を形成する前の状態のコンデンサのことを示す。すなわち、コンデンサ素子に電解質を形成した後に、必要な外装処理を行い、最終製品であるコンデンサが完成する。外装処理としては公知の方法を適用できる。
チップ型としては、タンタル/ニオブコンデンサに代表される。典型的には、タンタル/ニオブの微粉末を焼結させた陽極に誘電体皮膜を形成し、該誘電体膜の上に電解質層、陰極がこの順で積層されたコンデンサ素子と、該コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子とを備える構成が挙げられる。
捲回型としては、アルミ電解コンデンサに代表される。典型的には、径方向内側から、表面に誘電体膜が形成された陽極金属からなる陽極の該誘電体膜の上に電解質層、セパレータ、陰極、セパレータがこの順で配置されるように積層、捲回されたコンデンサ素子と、該コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子とを備える構成が挙げられる。陽極としては、従来公知のものが好ましく使用でき、例えば陽極金属として、アルミニウム等の電極箔の表面にエッチングを施してエッチング孔を形成したものの表面に陽極酸化等の方法によって形成された酸化被膜からなる誘電体膜を組合せることにより、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を形成できる。陽極酸化は、陽極金属を例えばアジピン酸アンモニウム水溶液等に浸漬して化成電圧を印加することにより行うことができる。なお、セパレータにおいては、通常、例えばポリオレフィンやセルロース繊維等からなるセパレータ材料と導電性高分子とが複合化されている。本発明は捲回型アルミ電解コンデンサにより好ましく適用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は捲回型コンデンサを模擬したコンデンサ素子での結果であるが、これらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(イオン液体)イオン液体および塩の合成法または入手先を以下に述べる。
・[emim][AcO](1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、アルドリッチ社製)
・[emim][LA](1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ラクテート、アルドリッチ社製)
・[emim][MA](1−エチル−3−メチルイミダゾリウム マンデレート)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート 50%水溶液(6000mg、17.42mmol)を0℃に冷却した。その後、マンデル酸(2615mg、17.42mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、目的化合物を薄褐色の油状物として4560mg得た。(収率100%)
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ1.38(t、3H)、3.81(s、3H)、4.16(q、2H)、4.39(s、1H)、7.11−7.22(m、2H)、7.33−7.36(m、3H)、7.69(s、1H)、7.77(s、1H)、9.24(s、1H)
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ1.38(t、3H)、3.81(s、3H)、4.16(q、2H)、4.39(s、1H)、7.11−7.22(m、2H)、7.33−7.36(m、3H)、7.69(s、1H)、7.77(s、1H)、9.24(s、1H)
実施例および比較例で製造された高分子電解質アルミ電解コンデンサの容量発現率、ESR、およびブレークダウン電圧は次の方法により測定した。
<容量測定方法>
図1に示す水銀セルを用いて、容量の測定を行なった。装置には、日置電気社製のLCRメータ3522−50を用い、120Hzの容量値をデータとした。
図1に示す水銀セルを用いて、容量の測定を行なった。装置には、日置電気社製のLCRメータ3522−50を用い、120Hzの容量値をデータとした。
<ESR測定方法>
初期容量測定後、図1に示す水銀セルを用いて、ESRの測定を行った。日置電気社製のLCRメータ3522−50を用い、100kHzのESR値をデータとした。
初期容量測定後、図1に示す水銀セルを用いて、ESRの測定を行った。日置電気社製のLCRメータ3522−50を用い、100kHzのESR値をデータとした。
<ブレークダウン電圧測定方法>
ブレークダウン電圧は、図1に示す水銀セルを用いて測定した。装置には、アドバンテスト社製の型番「TR6143」を用い、20mV/秒の速度で電圧を上昇させて測定したが、ブレークダウン電圧値は、10mAの電流が流れた電圧と定義した。
ブレークダウン電圧は、図1に示す水銀セルを用いて測定した。装置には、アドバンテスト社製の型番「TR6143」を用い、20mV/秒の速度で電圧を上昇させて測定したが、ブレークダウン電圧値は、10mAの電流が流れた電圧と定義した。
(実施例1)
有効面積が10mm×10mmのアルミニウムエッチド箔を、1%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず20mV/secの速度で0から45Vまで上げ、つづけて45Vの定電圧を40分間印加し、前記アルミニウムエッチド箔の表面に誘電体皮膜を形成した。次に、この箔を脱イオン水の流水により3分洗浄してから120℃で1時間乾燥を行った。この時得られたアルミニウムエッチド箔の液中容量は25μFであった。
有効面積が10mm×10mmのアルミニウムエッチド箔を、1%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず20mV/secの速度で0から45Vまで上げ、つづけて45Vの定電圧を40分間印加し、前記アルミニウムエッチド箔の表面に誘電体皮膜を形成した。次に、この箔を脱イオン水の流水により3分洗浄してから120℃で1時間乾燥を行った。この時得られたアルミニウムエッチド箔の液中容量は25μFであった。
さらに、EDOT(H.C.Starck−V TECH社製)と[emim][AcO]とをモル比=1:0.3となるように配合し、酸化剤としてはパラトルエンスルホン酸鉄の50wt%1−ブタノール溶液を用い、上記EDOT/[emim][AcO]からなる組成物にパラトルエンスルホン酸鉄がEDOTに対し0.25モル倍量となる量を加えて、化学重合組成物を調製した。この重合組成物に11mm×11mmの合成繊維セパレーター(日本高度紙工業社製)を二枚浸漬させ、上記で得たアルミニウムエッチド箔の両面に貼り付け、さらに150℃で30分加熱処理を行い、箔の表面に電解質を形成させた。
得られた導電性高分子アルミ電解コンデンサを用いて容量発現率、ESR、ブレークダウン電圧を測定した。結果を表1に示す。表中、酸化剤とイオン液体の使用量はEDOTに対するモル倍量であり、容量発現率は、コンデンサ容量を液中容量に対して規格化して換算した。なお結果はいずれも10個の電極の平均値である。
(実施例2〜11)
酸化剤使用量、イオン液体種、イオン液体使用量を表1に記載の内容とした以外は、実施例1と同じ方法で、導電性高分子アルミ電解コンデンサを作製した。結果を表1に示す。
酸化剤使用量、イオン液体種、イオン液体使用量を表1に記載の内容とした以外は、実施例1と同じ方法で、導電性高分子アルミ電解コンデンサを作製した。結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
酸化剤使用量、イオン液体種、イオン液体使用量を表1に記載の内容とした以外は、実施例1と同じ方法で、導電性高分子アルミ電解コンデンサを作製した。結果を表1に示す。
酸化剤使用量、イオン液体種、イオン液体使用量を表1に記載の内容とした以外は、実施例1と同じ方法で、導電性高分子アルミ電解コンデンサを作製した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- イオン液体の存在下で導電性高分子モノマーを酸化重合して電解質を形成する工程において、導電性高分子モノマーに対して0.25〜1.0モル倍量の酸化剤を使用する、
導電性高分子コンデンサの製造方法。 - 導電性高分子モノマーが、チオフェン、チオフェン誘導体、ピロール、ピロール誘導体、アニリンおよびアニリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の導電性高分子コンデンサの製造方法。
- イオン液体のアニオン成分がカルボキシレートイオンである、請求項1または2に記載の導電性高分子コンデンサの製造方法。
- イオン液体のカチオン成分が、アンモニウムイオン、イミダゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾニウムイオン、トリアジニウムイオン、トリアジンイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、モルフォリニウムイオン、ピペラジンイオン及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性高分子コンデンサの製造方法。
- コンデンサがアルミ捲回型である、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性高分子コンデンサの製造方法。
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