JP2009295882A - 導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物およびこれを用いた導電性高分子コンデンサ電解質の製造方法 - Google Patents

導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物およびこれを用いた導電性高分子コンデンサ電解質の製造方法 Download PDF

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孝洋 大石
Akiko Tsujimoto
晶子 辻本
Hiroyuki Ogino
弘幸 荻野
Kazuyuki Tateishi
和幸 立石
Mutsuaki Murakami
睦明 村上
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    • H01G11/54Electrolytes
    • H01G11/56Solid electrolytes, e.g. gels; Additives therein

Abstract

【課題】 導電性高分子とイオン液体からなる導電性高分子コンデンサ電解質は、イオン液体の修復能により耐圧特性に優れるものの、インピーダンス特性の低下および容量発現率が不十分という課題があった。
【解決手段】 特定のアニオン成分を有するイオン液体を1種以上、あるいは特定のアニオン成分を有するイオン液体と塩の組み合わせを用いることにより、高耐圧特性を維持しつつインピーダンス特性低下が少なく、かつ高容量発現率のに導電性高分子電解質を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は導電性高分子モノマーとイオン液体を用いる新規導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物およびこれを用いた導電性高分子コンデンサとその製造方法に関わるものである。
近年、導電性高分子を電解質として用いた導電性高分子コンデンサは、その優れたインピーダンス特性により市場を拡大しつつある。
電解コンデンサは、典型的には、固体であるポリピロールあるいはポリチオフェン誘導体等の導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子は、通常の液体を電解質として用いた電解コンデンサと比べてその電気伝導度(すなわち電子伝導性)がはるかに高いため、該導電性高分子を電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとして優れた特性を発揮する。
しかしながらいずれの導電性高分子コンデンサにおいても、導電性高分子は本質的にイオン伝導性を有していないので、コンデンサの誘電酸化皮膜の修復性(すなわち陽極酸化作用)の点では、従来の電解液を用いたコンデンサに比較して劣るものであった。この結果、導電性高分子コンデンサにおいては高耐電圧のコンデンサを作る事が出来ないという欠点があった。具体的には、通常アルミニウムを陽極として用いた電解コンデンサでは、たとえば40V化成を行った場合、実使用上の電圧は16V程度であり、タンタルを用いた電解コンデンサでは、例えば24V化成を行った場合、実使用上の電圧は12V程度である。ここで、40V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に印加する直流電圧が40Vであることを意味し、理想的には40Vの耐電圧を有するコンデンサが得られるはずである。化成電圧を大きくして実使用上の耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、さらに化成電圧を高くしても実使用上の耐電圧はそれに比例して上昇しないという問題がある。
この様な問題点を解決するために、本発明者らはイオン液体と導電性高分子とからなる電解質をすでに開発している(特許文献1〜3)。これはイオン液体が優れた弁金属の陽極酸化作用を有し、例えばアルミニウムの酸化膜の欠陥を修復できる事を発見して成されたもので、この発明により高耐電圧の導電性高分子コンデンサが実現できた。
しかしながら、これまで用いられているイオン液体では、イオン液体は電子伝導性を有さないため、既存の導電性高分子コンデンサよりも高耐電圧のコンデンサを実現するものの、インピーダンス特性の低下は避けられなかった。さらにイオン液体によっては容量発現率が不十分であり、したがって高容量化が困難であるという問題があった。すなわちイオン液体と導電性高分子とからなる電解質では、高耐電圧、低インピーダンス、高容量発現率の全ての特性を満足する導電性高分子コンデンサは未だ実現されていない。
国際公開WO2005/012599号パンフレット 国際公開WO2005/051897号パンフレット 国際公開WO2006/088033号パンフレット
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、インピーダンス特性および容量発現率の低下を招くことなく、高耐圧を有する導電性高分子コンデンサ電解質およびそれを用いた導電性高分子コンデンサの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記に鑑み鋭意検討を行った結果、導電性高分子モノマーと、特定のアニオン成分を有するイオン液体群から選択される少なくとも1種以上のイオン液体を含有する組成物、または導電性高分子モノマーと、特定のアニオン成分を有するイオン液体群から選択される少なくとも1種以上イオン液体と特定のアニオン成分を持つ塩群から選択される少なくとも1種以上の塩を含有する組成物を用いることによって得られる導電性高分子コンデンサ電解質が、従来にない高耐電圧特性と高容量発現率を示すだけでなく、インピーダンス特性の低下もほとんどないことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、導電性高分子モノマーおよび少なくとも一般式(1);
(式中、RおよびRは、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基(ただしトリフルオロメチル基は含まない)、置換基を有していてもよいC〜C20アリール基、置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基、又はフッ素原子を表し、互いに異なっていても同一であってもよく、またいずれもがフッ素原子でない場合には一緒になって環を形成していてもよい)で表されるアニオンを有するイオン液体を含むことを特徴とする導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物に関する。

また本発明は、前記式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体に加えて、一般式(2);
(式中、Rは、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基、置換基を有していてもよいC〜C20アリール基、置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基を表す)で表されるアニオンを有するイオン液体または塩を含むことを特徴とする導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物でもある。前記式(2)で表されるアニオンを有するイオン液体または塩の添加は、前記式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体のみではインピーダンス特性及び容量特性が不十分な場合に特に好ましい。
また本発明は下記式(3);
および下記式(4);
および下記式(5);
および下記式(6);
でもあり、これらは本発明者らによりその有用性が確認された新規イオン液体または新規の塩である。
導電性高分子モノマーと特定のアニオン成分を有するイオン液体からなる組成物、または導電性高分子モノマーと特定のアニオン成分を有するイオン液体および特定のアニオン成分を有する塩からなる組成物を用いることによって、高耐電圧の導電性高分子コンデンサ電解質を得る事ができ、性能の向上に寄与することが出来る。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、本発明において用いられるイオン液体について説明する。イオン液体は、常温溶融塩ともいわれ、イオンのみから構成されているにも関わらず常温で液体であるものを指し、イミダゾリウムなどのカチオンと適当なアニオンの組み合わせから構成される。イオン液体は、通常の有機溶媒のように一部がイオン化・解離しているのではなく、イオンのみから形成され100%イオン化していると考えられている。
一般式(1);
で表されるアニオンを有するイオン液体について説明する。前記式(1)で表されるアニオンは後述するカチオンと対になって常温で液体の塩、すなわちイオン液体を形成する。RおよびRは、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基(ただしトリフルオロメチル基は含まない)、置換基を有していてもよいC〜C20アリール基、置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基、又はフッ素原子を表し、互いに異なっていても同一であってもよく、またいずれもがフッ素でない場合には一緒になって環を形成していてもよい。なお、本発明において「置換基を有していてもよい」とは、他の原子あるいは置換基によって置換されていてもよいことを示す。「置換基」とは、反応に悪影響を与えない限り特に限定されるものではなく、具体的には、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
より具体的には、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、などを挙げることができ、またこれらのアルキル基の水素原子が任意の数だけフッ素原子で置換されたものを挙げることができる。置換基を有していてもよいC〜C20のアリール基としては、特に限定されず、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、これらのアリール基においても、水素原子が任意の数だけフッ素原子で置換されたものも例示される。置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基としては、特に限定されず、例えばベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、o−メトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、m−メトキシベンジル基、m−ニトロベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基などを挙げることができ、その水素原子が任意の数だけフッ素原子で置換されたものも挙げられる。またRとRが一緒になって環を形成している例としては、シクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドが挙げられる。
一般的にRおよびRにフッ素原子が導入されると、いずれのイオン液体も粘度が低下する傾向にあり、コンデンサ電解質作製の観点からは好ましい。また、詳細な理由は不明であるが、フッ素原子が導入されているものの方がより高い耐電圧を与える。したがって、RおよびRとして好ましくは、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基であり、RとRは同一であっても異なっていても良い。RとRが一緒になって環を形成しているものとしては、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドが好ましい。RとRがペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基の場合には、高耐圧特性に加え、低インピーダンス特性にも優れることから特に好ましい。無論、この場合もRとRは同一であっても異なっていても良い。
次に一般式(2);
で表されるアニオンを有するイオン液体または塩について説明する。前記式(2)で表されるアニオンは後述するカチオンと対になってイオン液体または塩を形成する。ここでいう塩とは、イオン液体が常温で液体であるのに対し、常温で固体のものをいう。前記式(2)においてRは、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基、置換基を有していてもよいC〜C20アリール基、置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基を表し、これらは前記の説明の通りである。好ましいものとしては、フルオロアルキル基が挙げられ、特に好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基である。
前記式(2)で表されるアニオン成分を有するイオン液体または塩は、前記式(1)で表されるアニオン成分を有するイオン液体と併用してもよいし、併用しなくてもよい。導電性高分子モノマーを化学重合し電解質を形成する場合においては、重合速度の制御が良好なコンデンサ特性を得るためには重要となるが、前記式(1)で表されるアニオン成分を有するイオン液体の添加は、本発明者らの検討において、添加しない系に比べ重合速度を加速する傾向にあることが認められた。これに対し、前記式(2)で表されるアニオン成分を有するイオン液体または塩を添加すると、前記式(1)で表されるアニオン成分を有するイオン液体による重合速度加速効果を緩和することが可能であった。したがって、コンデンサ作製プロセスにおいて、重合速度の制御が必要な場合には前記式(2)で表されるアニオン成分を有するイオン液体を併用することが好ましい。重合速度を適正に制御することは、高容量発現率化、低インピーダンス化につながっていると考えている。
前記式(2)で表されるアニオン成分を有するイオン液体または塩の併用により、インピーダンス特性が向上する別の要因としては、アニオン成分のドーパントとしての機能が考えられる。イオン液体または塩の存在下で導電性高分子モノマーを重合すると、化学重合、電解重合にかかわらずイオン液体または塩のアニオン成分の一部がドーパントとして導電性高分子中に取り込まれることが知られているが、取り込まれる割合、また取り込まれたときの導電性高分子の導電性に及ぼす影響はアニオン種によって異なる。推測であるが、前記式(1)で表されるアニオンは、前記式(2)で表されるアニオンと比較してドーパントとして取り込まれた場合に導電性高分子の導電性を低下させる効果が大きく、前記式(2)で表されるアニオンを併用することで前記式(1)で表されるアニオンのドーパントとして取り込まれる量が減るために低インピーダンス化が実現されているのではないかと考えている。
前記式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体と、前記式(2)で表されるアニオンを有するイオン液体または塩は、任意の割合で添加すればよく、その配合比は特に制限されるものではない。高耐圧特性をより重視する場合には、前記式(1)で表されるアニオン成分を有するイオン液体を多く使用すればよいし、逆に低インピーダンス特性が重視される場合には前記式(2)で表されるアニオン成分を有するイオン液体または塩の比率を増やせばよく、要求されるコンデンサ特性を満たす配合比を選択すればよい。
また本発明において使用されるイオン液体または塩は、必ずしも前記式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体と前記式(2)で表されるアニオンを有するイオン液体または塩に限定されるものではなく、さらに異なるイオン液体または塩を1種以上併用することができる。使用されるイオン液体または塩の種類や量は特に制限されるものではないが、イオン液体または塩はイオン伝導性はあるが電子伝導性を有さないため、コンデンサ電解質においては絶縁体として振舞う。したがって、あまりに多くのイオン液体または塩を添加するとインピーダンス特性が悪化してしまうため、添加されるイオン液体または塩の総量は導電性高分子モノマーに対して1モル当量以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.8モル当量以下である。
次にイオン液体または塩のカチオン成分について説明する。カチオン成分としては、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾニウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジンおよびその誘導体、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体が挙げられるが、得られるイオン液体が比較的低い粘度を示すことから、イミダゾリウム誘導体が好ましく、イミダゾリウム誘導体としてはジエチルイミダゾリウム、エチルブチルイミダゾリウム、ジメチルイミダゾリウムが好ましく、特に好ましくはエチルメチルイミダゾリウム、メチルブチルイミダゾリウムである。
本発明において用いられる導電性高分子モノマーは、特に制限されるものではないが、例えばチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体などが挙げられる。チオフェン誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン(アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、フルオロフェニルチオフェン、アリルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−クロロチオフェン、3−アセチルチオフェンなどが挙げられ、ピロール誘導体としては、3−メチルピロール、1−(ジメチルアミノ)ピロールなどが挙げられ、アニリン誘導体としては、o−トルイジン、m−トルイジン、1,3−ベンゼンジアミン、1,2−ベンゼンジアミン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、2−アミノベンゾニトリル、3−アミノベンゾニトリル、3−ビニルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2−(アミノメチル)アニリン、4−メチル−1,2−ベンゼンジアミン、2−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、2,3−ジアミノフェノール、5−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−5−メチルアニリン、3−フルオロ−2−メチルアニリン、2−クロロアニリンなどが挙げられる。ポリマー形成時の導電性が高く、かつ空気中で安定であることから3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはピロールが好ましく、得られた導電性高分子の導電性および耐熱性の観点から3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。また、導電性高分子モノマーは二種類以上用いても良い。
なお、本発明の組成物は、任意成分として溶媒(分散媒)を含有していてもよい。導電性高分子モノマー、イオン液体、塩、溶媒(分散媒)は互いに相溶していなくても勿論よいが、塩を併用する場合には塩が固体として存在せず、少なくとも導電性高分子モノマー、イオン液体、溶媒のいずれかに溶解していることが好ましい。用いる溶媒としては公知のもので良く、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、THF、DMF、アセトニトリル、DMSO、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどが挙げられ、特に好ましくはブタノールである。
次に本発明における導電性高分子コンデンサ電解質の製造方法について説明する。まず化学重合による方法について説明する。化学重合法は、適切な酸化剤の存在下で、例えばピロールなどの導電性高分子モノマーを重合し合成する方法である。酸化剤としては、例えばパラトルエンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、n−ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄、過硫酸塩、過酸化水素、ジアゾニウム塩、ハロゲン及びハロゲン化物、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子は、酸化剤のアニオンがドーバントとして重合過程でポリマー中に取り込まれることにより、一段階の反応で導電性を有するポリマーを得る事ができることから、ドーパントとしての移動度の高いパラトルエンスルホン酸イオンを含むパラトルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として用いることが好ましい。
該重合の場合、導電性高分子モノマー及び前記イオン性液体を含有する溶液に酸化剤を加えることが好ましい。この場合には溶剤を加えて粘度、濃度を調整してもよい。該重合で用いられる重合溶媒としては上記組成物に含まれる溶媒から少なくとも1種類または2種類以上が選ばれるが、組成物に含まれる溶媒と同様でも異なっていても良い。
重合条件は公知の重合条件で良く、温度範囲は−100℃〜200℃で、特に好ましくは−30℃〜150℃である。重合時間は、1分〜120時間であり、特に好ましくは1分〜1440分間である。また、該重合は複数回繰り返してもよい。
次に電解重合により電解質を形成する方法について説明する。電解重合法とは、導電高分子モノマーを溶媒に溶解し、陽極酸化することにより導電性高分子を脱水素重合する方法である。電解重合は、例えば、ピロールモノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化する事により脱水素重合する方法で、陽極上に導電性高分子であるポリピロールを析出させることができる。一般的に、ポリマーの酸化還元電位はモノマーに比べて低いため、重合過程でさらにポリマー骨格の酸化が進み、それに伴って支持電解質のアニオンがドーパントとしてポリマー中に取り込まれる。電解重合においては、こうしたメカニズムにより、後でドーパントを加えなくても、導電性を有するポリマーが得られるという利点がある。また、イオン性液体中で電解重合を行うとイオン性液体のアニオン成分がドーパントとして導電性高分子に取り込まれる場合があり、本発明の目的には特に好ましい。電解重合法で導電性高分子を合成する場合には、弁金属上の酸化皮膜が誘電体なので、その誘電体上にあらかじめ導電性の皮膜を形成して導電化しておき、給電電源から電流または電圧を印加して電解重合を行う。この様な目的に用いられる導電性皮膜としては化学重合により合成された導電性高分子や熱分解二酸化マンガンなどを用いる事ができる。
かくして得られた導電性高分子コンデンサ電解質は、イオン液体またはイオン液体と塩を含有し、また含有されたイオン液体および/または塩のアニオン成分の一部はドーパントとして導電性高分子中に存在する。イオン液体は主に高耐圧化、高容量発現率化、低インピーダンス化に寄与し、ドーパントとして取り込まれたアニオン成分は主に低インピーダンス特性に寄与しているものと推測している。
次に本発明の導電性高分子コンデンサ電解質を用いた導電性高分子コンデンサについて説明する。本発明の電解質及び電極を含む導電性高分子コンデンサは、特に限定されておらず、例えば巻き取り形の導電性高分子アルミ電解コンデンサにおける表面に誘電酸化皮膜を形成した弁作用金属からなる陽極箔と、陰極箔をその間にセパレータを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサ素子であって良く、陽極箔と陰極箔との間に導電性高分子及びイオン液体からなる電解質を設け、前記素子をたとえば、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口剤で密封してアルミニウム電解コンデンサを構成することができる。
本発明の導電性高分子コンデンサの陽極としては、コンデンサにおいて従来公知のものが好ましく使用でき、例えば陽極金属として、アルミニウム等の電極箔の表面にエッチングを施してエッチング孔を形成したものや、タンタル等からなる粉体電極を用い、該陽極金属の表面に陽極酸化等の方法によって形成された酸化皮膜からなる誘電体を組み合わせることにより、陽極金属と誘電酸化皮膜とからなる陽極を形成できる。上記の陽極酸化は、陽極金属をたとえばアジピン酸アンモニウム水溶液等に浸漬して化成電圧を印加することにより行うことができる。
陰極としてはたとえばカーボンペーストおよび銀ペースト等が従来公知の方法で形成され得る。陽極および陰極はそれぞれ端子に接続される。このようにして陽極と電解質と陰極とを少なくとも備える導電性高分子コンデンサが形成され得る。
上記方法により形成された電解質を用いた本発明の導電性高分子コンデンサにおいて、特に言及していないコンデンサの構成要素については特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜適用することができる。
最後に下記式(3);
および下記式(4);
および下記式(5);
および下記式(6);
で表されるイオン液体または塩について説明する。前記式(3)および(4)はイオン液体であり、主に耐電圧特性に寄与する。また前記式(5)および(6)は塩であり、これらは主に低インピーダンス特性および高容量発現率化に寄与する。これらはいずれも本発明者らによりその有用性が発見された新規のイオン液体および塩である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
<イオン液体および塩>
最初に、実施例として用いたイオン液体および塩の合成法または入手先について述べる。
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド([EMIm][PFSI])
ソルベントイノベーション社から購入した。

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド([BMIm][PFSI])
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート 50%水溶液(4000mg, 9.98mmol)を加え、0℃に冷却した。その後、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド(3807mg, 9.98mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して得られた残渣をアルミナカラムクロマトグラフィー(5.5g)で精製した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタン(5.0mL)を加え、これを水(5.0mL)で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、目的化合物を無色透明の油状物として4662.9mg得た。(収率90%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.96(t、3H)、1.33−1.40(m、2H)、1.80−1.90(m、2H)、 3.95(s、3H)、4.18(t、2H)、7.26(brs、2H)、8.84(s、1H)

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド([BMIm][NDFSI])
ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドの代わりにビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドを用いたこと以外、[BMIm][PFSI]と同様の条件で合成を行い、目的化合物を無色透明の油状物として6191.3mg得た。(収率86%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.95(t、3H)、1.32−1.39(m、2H)、1.81−1.86(m、2H)、3.94(s、3H)、4.17(t、2H)、7.27(d、2H)、8.84(s、1H)

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム (パーフルオロプロピルスルホニル)(パーフルオロメチルスルホニル)イミド([BMIm][DFSI])
ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドの代わりにビス(パーフルオロプロパンスルホニル)(パーフルオロメタンスルホニル)イミドを用いたこと以外、[BMIm][PFSI]と同様の条件で合成を行い、目的化合物を無色透明の油状物として3962.6mg得た。(収率76%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.97(t、3H)、1.34−1.41(m、2H)、1.81−1.88(m、2H)、3.96(s、3H)、4.19(t、2H)、7.25(brs、2H)、8.88(s、1H)

[BMIm][DDFSI]

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(メタンスルホニル)イミド
([BMIm][ZFSI])
ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドの代わりにビス(メタンスルホニル)イミドを用いたこと以外、[BMIm][PFSI]と同様の条件で合成を行い、目的化合物を無色透明の油状物として2008.8mg得た。(収率43%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.97(t、3H)、1.35−1.43(m、2H)、1.82−1.92(m、2H)、3.05(s、6H)、4.06(s、3H)、4.32(t、2H)、7.19(d、2H)、9.90(s、1H)
ビス(メタンスルホニル)イミドは以下の方法にて合成したものを用いた。
メタンスルホンアミド(11.0g、 0.115mol)、水酸化カリウム(12.98g、 0.231mol)および水(24.0mL)を反応容器に入れ、0℃に冷却した。その後、メタンスルホニルクロライド(13.24g、0.115mol)をゆっくり滴下した後、室温で5時間攪拌した。再度反応溶液を0℃に冷却し、溶液のpHが0.01になるまで濃塩酸を滴下した。そして、−20℃になるまで反応溶液を冷やし、析出してきた白色固体をろ取した。得られた固体をアセトンで再結晶することにより、目的化合物を白色固体として16.10g得た。(収率80%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ1.60(brs、1H)、3.34(s、6H)

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム 4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホイミド([BMIm][HFCSI])
ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドの代わりに4、4、5、5、6、6−ヘキサフルオロプロパン−1、3−ジスルホイミドを用いたこと以外、[BMIm][PFSI]と同様の条件で合成を行い、目的化合物を無色透明の油状物として3820.4mg得た。(収率89%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.97(t、3H)、1.34−1.42(m、2H)、1.81−1.89(m、2H)、3.96(s、3H)、4.19(t、2H)、7.25(brs、2H)、8.79(s、1H)

[BMIm][TFSA]
関東化学から購入した。

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム 1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホネート([BMIm][NFSA])
ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドの代わりに1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホン酸を用いたこと以外、[BMIm][PFSI]と同様の条件で合成を行い、目的化合物を無色透明の油状物として9299.7mg得た。(収率85%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.96(t、3H)、1.33−1.41(m、2H)、1.84−1.89(m、2H)、3.99(s、3H)、4.20(t、2H)、7.24(s、1H)、7.28(s、1H)、9.27(s、1H)

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム 1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン−1−スルホネート([BMIm][HDFSA])
ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドの代わりに1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸を用いたこと以外、[BMIm][PFSI]と同様の条件で合成を行い、目的化合物を薄黄色の固体として8933.9mg得た。(収率93%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.93(t、3H)、1.31−1.39(m、2H)、1.82−1.87(m、2H)、3.97(s、3H)、4.18(t、2H)、7.33(s、1H)、7.37(s、1H)、9.14(s、1H)

[BMIm][PTSA]
和光純薬から購入した。

1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート([EMIm][TFBSA])
反応容器にエチル4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート(2000mg、7.86mmol)、1−メチルイミダゾール(645mg, 7.86mmol)、1,1,1−トリクロロエタン(8.0mL)を順次加え、8時間加熱還流した。反応溶液をそのまま濃縮した後、得られた固体を1,1,1−トリクロロエタンで洗浄した。その後、ジクロロメタン(6.0mL)加え、これを水(3.0mL)で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで目的化合物を白色固体として2321.9mg得た。(収率88%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ1.53(t、3H)、4.02(s、3H)、4.29(q、2H)、7.30(brs、2H)、7.63(d、2H)、8.02(d、2H)、9.80(s、1H)
エチル 4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネートは以下の方法にて合成したものを用いた。
エタノール/ジクロロメタン溶液(703mg、 15.27mmol/5.0mL)を反応容器に入れ、0℃にしてトリエチルアミン(2317mg、 22.90mmol)、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロライド/ジクロロメタン溶液(3736mg、 15.27mmol/10mL)を順次滴下した。室温で1時間攪拌した後、氷水を加えて反応を停止させた。ジクロロメタンで抽出後、水、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1、シリカゲル30g)で精製し、目的化合物を無色透明の油状物として3299.0mg得た。(収率85%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ1.34(t、3H)、4.19(q、2H)、7.83(d、2H)、8.05(d、2H)

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム 4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート([BMIm][TFBSA])
反応容器にブチル4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート(500mg、 1.77mmol)、1−メチルイミダゾール(145mg、 1.77mmol)、1,1,1−トリクロロエタン(1.8mL)を順次加え、6時間加熱還流した。反応溶液をそのまま濃縮した後、得られた固体を1,1,1−トリクロロエタンで洗浄した。その後、ジクロロメタン(3.0mL)加え、これを水(2.0mL)で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで目的化合物を薄褐色固体として660.4mg得た。(収率100%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.92(t、3H)、1.29−1.36(m、2H)、1.78−1.88(m、2H)、4.04(s、3H)、4.23(t、2H)、7.23(s、1H)、7.30(s、1H)、7.63(d、2H)、8.03(d、2H)、9.85(s、1H)
ブチル4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネートは以下の方法にて合成したものを用いた。
ブタノール/ジクロロメタン溶液(302mg、4.08mmol/1.0mL)を反応容器に入れ、0℃にしてトリエチルアミン(620mg、6.13mmol)、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロライド/ジクロロメタン溶液(1000mg、 4.08mmol/3.0mL)を順次滴下した。室温で1時間攪拌した後、氷水を加えて反応を停止させた。ジクロロメタンで抽出後、水、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1、シリカゲル10g)で精製し、目的化合物を無色透明の油状物として992.5mg得た。(収率84%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.88(t、3H)、1.32−1.39(m、2H)、1.61−1.71(m、2H)、4.11(t、2H)、7.83(d、2H)、8.05(d、2H)

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート([BMIm][ PF6])
ソルベントイノベーションより購入した。

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([BMIm][BF4])
ソルベントイノベーションより購入した。

1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート([BMIm][TFA])
メルクより購入した。

(修復化成アルミ箔の液中容量の測定)
液中容量は、東洋テクニカ製のsolartron、型番「1480」を用い、0〜4V間の50μAの定電流充放電試験において得られるグラフの傾きから算出した。
(電極の初期容量の測定)
上記の得られた箔を試料とし、20Vで1時間エージングした後、図1に示す水銀セルを用いて、初期容量の測定を行った。装置には、東洋テクニカ製のsolartron、型番「1480」を用い、0〜4Vの範囲において、50μAの定電流充放電試験を行い、得られるグラフの傾きから容量を算出した。
(容量発現率)
(液中容量/初期容量)×100を「容量発現率(%)」と定義し、用いる修復化成アルミ箔の液中容量のばらつきを規格化した。
(インピーダンス測定)
初期容量測定後、図1に示す水銀セルを用いて、インピーダンスの測定を行った。装置には、Electrochemical Analyzer Model 608B(ALS/[H]CH Instruments)を用い、DC Potential:0V、AC Amplitude:100Vの条件で1Hzから1MHzの範囲で測定を行った。10kHzのインピーダンス値を電極のインピーダンスと定義した。
(耐電圧測定)
インピーダンスの測定後、図1に示す水銀セルを用いて、耐電圧(V)を測定した。装置には、アドバンテスト社製の型番「TR6143」を用い、20mV/秒の速度で電圧を上昇させて測定したが、耐電圧値は、10mAの電流が流れた電圧と定義した。
(実施例1)
アルミの酸化皮膜上に3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学重合よって得られた導電性高分子を形成することで導電性高分子アルミ電解コンデンサの作製を行った。
すなわち、有効面積が10mm×10mmのアルミニウムエッチド箔を、1%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず20mV/secの速度で0から45Vまで上げ、つづけて45Vの定電圧を40分間印加し、前記アルミニウムエッチド箔の表面に誘電体皮膜を形成した。この箔を脱イオン水の流水により3分洗浄してから120℃で1時間乾燥を行った。この時得られた、アルミエッチド箔の液中容量は25μFであった。
次に導電性高分子のモノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと略す。H.C.Starck−V TECH社製)、酸化剤としてはパラトルエンスルホン酸鉄(40wt%1−ブタノール溶液)、イオン液体として[EMIm][PFSI]をモル比でEDOT:酸化剤:イオン液体=1:0.5:0.5の配合割合で混合し、電解質形成に用いる化学重合組成物を調製した。
この化学重合組成物をよく乾燥したビーカーで混合させ、次にその重合溶液中に前記アルミエッチド箔を重合溶液に浸漬し、引き上げ後120℃で1時間加熱処理を行った。同じ処理を4回繰り返し、箔表面が均一に電解質で覆われる様にした。
こうして得られた箔を図1に示す水銀セルを用いて、初期容量を測定し容量発現率に変換した。また、インピーダンス、および、耐電圧(V)を測定した。得られた電極の特性を表1に示す。なお、表1の結果はいずれも3個の電極の平均値である。
(実施例2〜24)
イオン液体および/または塩を表1に示した種類と配合比とした以外は実施例1と同様にして作製し、得られたコンデンサの特性を表1に示す。
(比較例1)
イオン液体も塩も加えない以外は実施例1と同様にして、本発明のコンデンサを作製し、得られたコンデンサの特性を表1に示す。
(比較例2〜6)
イオン液体および/または塩を表1に示した種類と配合比とした以外は実施例1と同様にして作製し、得られたコンデンサの特性を表1に示す。
電極の測定を行う水銀セル

Claims (13)

  1. 導電性高分子モノマーおよび少なくとも一般式(1);

    (式中、RおよびRは、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基(ただしトリフルオロメチル基は含まない)、置換基を有していてもよいC〜C20アリール基、置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基、又はフッ素原子を表し、互いに異なっていても同一であってもよく、またいずれもがフッ素原子でない場合には一緒になって環を形成していてもよい)で表されるアニオンを有するイオン液体を含むことを特徴とする導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  2. 前記式(1)において、RおよびRのいずれもがC〜C20のフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  3. 前記式(1)において、RおよびRが同じであることを特徴とする請求項1または2記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  4. 前記式(1)において、RおよびRが異なることを特徴とする請求項1または2記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  5. 前記式(1)において、RおよびRがともにフッ素ではなく、一緒になって環を形成していることを特徴とする請求項1または2記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  6. 一般式(2);

    (式中、Rは、置換基を有していてもよいC〜C20のアルキル基、置換基を有していてもよいC〜C20アリール基、置換基を有していてもよいC〜C20のアラルキル基を表す)で表されるアニオンを有するイオン液体または塩を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  7. 前記式(2)においてRがフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項6記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  8. イオン液体または塩のカチオン成分が、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジンおよびその誘導体、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  9. 導電性高分子モノマーがチオフェン、ピロール、アニリンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類または2種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の導電性高分子コンデンサ電解質形成用組成物。
  10. 下記式(3);

    で表されるイオン液体。
  11. 下記式(4);

    で表されるイオン液体。
  12. 下記式(5);

    で表される塩。
  13. 下記式(6);

    で表される塩。
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