JP2012151147A - 電解コンデンサ用電解質およびその形成方法 - Google Patents

電解コンデンサ用電解質およびその形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 導電性高分子コンデンサのすぐれた高周波特性を損なうことなく、高耐圧、高耐久性コンデンサを実現する。
【解決手段】 本発明はイオン液体、イオン液体と相溶する高分子および導電性高分子を含有する電解コンデンサ用電解質、および、その電解コンデンサ用電解質の製造方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電解コンデンサに用いられる電解質、およびその形成方法に関する。
電解コンデンサは一般にアルミやタンタル、ニオブなどの弁金属を陽極、その表面に形成された酸化皮膜を誘電体とし、該誘電体と電解質を挟んで陰極を形成した構成となっている。この電解コンデンサにおける電解質には二つの重要な役割がある。一つは極めて薄い酸化皮膜を保護・修復する陽極酸化性であり、電解質の有するイオン伝導性に基づきアルミやタンタルの酸化膜を形成する化学作用である。他の一つは事実上の陰極としての作用であり、これは誘電体から静電容量を引き出す役目であり、この作用には高い電気伝導性、すなわち高い電子伝導性が求められる。
一般に、液体型の電解コンデンサの場合、電解液としては有機酸や無機酸またはそれらの塩が添加された、エチレングリコールやγ―ブチロラクトンなどの有機溶媒が用いられる。有機酸や無機酸またはそれらの塩としてはリン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、三級アミン類、四級アンモニウム塩などが用いられる。この様な複合電解液系が用いられる理由は、イオン伝導性と電子伝導性を兼ね備えた電解質とするためである(非特許文献1〜4)。しかしながら、液体電解質は添加物を加える事で電気伝導度の向上を図っているが、その値はせいぜい10−3S/cm程度であり、低インピーダンスコンデンサの実現には不十分である問題点がある。また、液体電解質には、用いられた溶媒の蒸発によるドライアップがあり、長期寿命や耐熱性には不十分である問題点がある。
この様な問題点を改善するために、例えば、溶媒を用いずに共役二重結合を有する含窒素複素環カチオンもしくは共役二重結合を有する含窒素複素環からなる電解質塩を、溶融または溶融後固化させてコンデンサ用電解質を構成する検討がなされている(特許文献1)。また、溶媒を用いずカルボン酸塩とカルボン酸を混合して溶融状態にした電解コンデンサ用電解質を、単独もしくはセパレータと共に陽極箔と陰極との間に介在させてコンデンサを構成する検討がなされている(特許文献2)。しかし、これらの電解質は電気伝導度特性の観点、あるいは価格の観点から、全く不十分なものであり、実用化には至っていない。
一方、固体型の電解コンデンサはポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、あるいはポリエチレンジオキシチオフェンなどのこれらの誘導体の導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子は上記の電解質及び溶媒からなる電解液に比べてその電気伝導度(電子伝導性)がはるかに高いため、それらを電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとした場合に優れた特性を発揮する。従って、このような導電性高分子コンデンサは電解コンデンサの市場の中で重要な地位を形成している。
しかしながら、導電性高分子は本質的にイオン伝導性を有していないので、電解コンデンサの酸化皮膜の修復性という陽極酸化性作用の点では、従来の電解液をもちいたコンデンサに比較してはるかに劣るものである。一般に導電性高分子コンデンサにおいては、「誘電体皮膜が破損したときに発生するジュール熱によって、その破損部の誘電体表面に存在する導電性高分子がその脱ドープ反応により絶縁化する事によって誘電体皮膜の破壊を防ぐ」と言われている。この様なメカニズムは、従来の電解液を用いたコンデンサの酸化皮膜修復作用において発現しているメカニズムとは、根本的に原理が異なるものである(非特許文献5)。
この結果、導電性高分子コンデンサでは高い耐電圧のコンデンサを作る事ができないという欠点があり、具体的には通常アルミを陽極とした導電性高分子コンデンサでは、例えば50V化成を行った場合、16V程度、タンタルを用いた導電性高分子コンデンサでは、例えば34V化成を行った場合、12V程度までの耐電圧のコンデンサしか製造できないのが現状である。ここで、50V化成とは、弁金属表面に誘電体の酸化皮膜を形成する際に、弁金属に印加する直流電圧つまり化成電圧が50Vであることを意味する。無論、化成電圧を大きくして耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなるのでコンデンサの特性としては悪いものとなり、また、化成電圧を高くしても耐電圧はそれに比例して上昇せず、その結果アルミ電解コンデンサの場合得られるコンデンサの耐圧は最高でも35V程度(化成電圧100V)である。
以上の様な電解コンデンサに関連した技術とは別に、近年常温で液体状である溶融塩が開発され、注目されている。これらはイオン液体と呼称され、イミダゾリウムやピリジニウム等の四級塩カチオンと適当なアニオンとの組合せで構成される。イオン液体は、不揮発性、不燃性、化学的安定性、高イオン伝導性などの特徴を持ち、各種合成や触媒反応などの化学反応に用いられる再利用可能なグリーンソルベントとして注目されている。また、一方でLiイオン電池の電解質としての検討や電気二重層キャパシタ用電解質としての検討もなされている(特許文献3〜9)。
この様な背景から、本発明者らはイオン液体を酸化皮膜の修復性,つまり陽極酸化性の観点から検討し、イオン液体がアルミニウムやタンタルなどの弁金属表面に優れた酸化膜を形成する事を見出し、導電性高分子とイオン液体とから構成される複合体電解質を開発した。この電解質はイオン伝導性と電子伝導性を兼ね備えた極めて高性能の電解質であって、これを用いた電解コンデンサは優れたコンデンサ特性(容量特性、等価直列抵抗特性(ESR)、高周波特性(tanδ)、耐圧特性)を示す(特許文献10〜14)。さらには、従来イオン液体を電子デバイスに用いる場合に大きな問題とされてきた低温での特性低下も、この様な複合電解質にする事によって全く問題とならない。導電性高分子固体電解コンデンサに当該複合体電解質を使用すれば、従来の耐圧35Vをはるかに上回る耐圧特性を実現できる。また、上記化成電圧と使用電圧比を近づける事が可能になり、例えば、50V化成で32Vの使用電圧のコンデンサが作製でき、結果的にコンデンサの大容量化も実現できる。
特開平5−13278 特開平5−101983 特開2000−3620 特開平10−83821 特開平11−100347 特開2002−3478 国際公開WO00/57440号 特開2002−151361 特開平10−168028 国際公開WO2005/012599号 特開2006−228993 特開2006−257288 特開2007−250993 特開2008−016835
電解蓄電器評論、28巻、No1、1頁(1974年) 電解蓄電器評論、47巻、No2、100頁(1997年) 電解蓄電器評論、53巻、No1、101頁(2002年) 電解蓄電器評論、46巻、No1、123頁(1995年) 電解蓄電器評論、53巻、No1、95頁(2002年)
上記のようにイオン液体と導電性高分子からなる電解質を用いれば、優れた特性の電解コンデンサを実現できるが、さらなる高耐圧化の実現や特性向上のための課題として以下の3点がある。
(1)イオン液体の添加量が多いほど高耐圧が実現できるが、イオン液体の添加量を多くするほどESR特性が悪くなってしまう。
(2)電解質形成プロセスにおいては、Ta焼結体素子のように、複数回の導電性高分子の重合を繰り返し、さらにその重合プロセスの間に重合酸化剤の除去を目的とした洗浄工程を行う場合がある。この様な場合には添加されたイオン液体が洗浄工程で流出してしまいその効果を発現する事が難しい。
(3)使用するイオン液体の種類によっては電解質と電極(誘電体および/または陰極)の接着力を弱め、結果としてコンデンサの耐久特性を低下させる(電極からの剥がれによる容量低下など)場合がある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および導電性高分子からなる電解質が有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および導電性高分子を含有する電解コンデンサ用電解質である。
本発明の電解コンデンサ用電解質においては、イオン液体は、アニオン成分が一般式(1)〜(8)で示されるものからなる群から選ばれる少なくとも一種を好ましく使用される。
R−COO (1)
R−CHCOO (2)
R−CNHCOO (3)
R−COHCOO (4)
R−SO (5)
R−CHSO (6)
R−OSO 2− (7)
R−CONHCHCHCOO (8)
(上記一般式(1)〜(8)中のRは水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、およびこれらの基が複数組み合わされたものから選択され、フッ素を含むものであっても良い。)
本発明の電解コンデンサ用電解質においては、イオン液体と相溶する高分子が、水溶性またはアルコール可溶性であるものが好ましい。
本発明の電解コンデンサ用電解質においては、イオン液体と相溶する高分子がポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリ−L−リシン、スルホン化ポリスチレン、グリシジル変性ポリエステル、スルホン酸変性ポリエステル、カルボン酸変性ポリエステル、およびカルボキシメチルセルロース、およびこれらの誘導体よりなる群より選ばれる少なくとも一つを使用されることが好ましい。
本発明の電解コンデンサ用電解質においては、導電性高分子がポリピロール、ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明の電解コンデンサ用電解質においては、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子の重量比が、イオン液体100重量部に対してイオン液体と相溶する高分子が0.01重量部以上30重量部以下であることが好ましい。
本発明の電解コンデンサ用電解質においては、イオン液体および導電性高分子の重量比が、導電性高分子100重量部に対してイオン液体が1重量部以上50重量部以下であることが好ましい。
本発明の第一の電解コンデンサ用電解質の形成方法は、重合酸化剤、導電性高分子モノマー、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を含有する溶液をコンデンサ素子に含浸し、導電性高分子モノマーを化学重合し、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極と陰極との間に導電性高分子を含む電解質を形成する。
本発明の第二の電解コンデンサ用電解質の形成方法は、次のコンデンサ素子に対する工程(1)および(2)
(1)重合酸化剤を含有する溶液を含浸させる工程
(2)導電性高分子モノマーを含む溶液を含浸させる工程
を含む、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極と陰極との間に導電性高分子を含む電解質を形成する方法であって、
前記重合酸化剤を含有する溶液および/または前記導電性高分子モノマーを含む溶液が、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を含有する。
本発明の第三の電解コンデンサ用電解質の形成方法は、次のコンデンサ素子に対する工程(3)および(4)を含む、電解コンデンサ用電解質の形成方法:
(3)イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および溶媒を含有する溶液を含浸後、乾燥させて、誘電体酸化皮膜上にイオン液体と該イオン液体と相溶する高分子を含有する層を形成する工程、
(4)前記工程(3)の後、さらに、導電性高分子モノマーを化学重合して導電性高分子を形成する工程。
本発明の第三の電解コンデンサ用電解質の形成方法において、上記工程(3)の溶液はさらに導電性高分子を含有してもよい。
本発明の第三の電解コンデンサ用電解質の形成方法において、上記(4)工程における化学重合がイオン液体と相溶する高分子を溶解しない溶媒を用いて行われてもよい。
本発明の第四の電解コンデンサ用電解質の形成方法は、イオン液体、イオン液体と相溶する高分子、導電性高分子および溶媒を含有する組成物をコンデンサ素子に含浸後、乾燥して電解質層を形成する。
本発明の第四の電解コンデンサ用電解質の形成方法は、次のコンデンサ素子に対する工程(5)および(6)を含む:
(5)イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および有機溶媒を含有する溶液を含浸後、乾燥させて、誘電体酸化皮膜上にイオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を含有する層を形成する工程、
(6)前記工程(5)の後、さらに、導電性高分子および溶媒を含有する組成物を含浸して導電性高分子を含む層を形成する工程。
本発明のコンデンサは、本発明の電解コンデンサ用電解質を有する。
本発明のコンデンサは、本発明の第一〜第四の電解コンデンサ用電解質の形成方法で得られた電解質を有する。
本発明のコンデンサは、コンデンサの陽極がアルミニウム箔またはタンタル粉末焼結体であることが好ましい。
本発明のコンデンサは、コンデンサ素子が表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極金属箔と陰極箔とをセパレータを介した素子であってもよい。
本発明の電解コンデンサ用電解質によれば、高周波特性にすぐれ、高耐圧で高耐久性の電解コンデンサを実現できる。
ここでは発明実施の形態についてより詳しく説明する。
本発明の電解質はイオン液体、イオン液体と相溶する高分子、および導電性高分子を含有することを特徴とする。
導電性高分子の役割は電解質に電子伝導性を与え電解質の真の陰極としての役割を果たす事であり、イオン液体は電解質にイオン伝導性を付与し、誘電体酸化膜の欠陥の修復を担い、結果として高耐圧特性の実現、使用電圧/化成電圧比を1に近づける事でコンデンサ容量を増加させることができる。
本発明の最も特徴的な構成要素である「イオン液体と相溶する高分子」を用いる目的は、(1)導電性高分子間、あるいは導電性高分子と電極間に接着力を付与しそれによってコンデンサの耐久特性を向上させる、(2)電解質の形成方法を工夫する事によって、電解質中に存在するイオン液体の濃度分布を不均一に、すなわち誘電体表面により高濃度にすることができ、これによってコンデンサのESR特性を損なう事無く、より効果的に耐圧特性を向上させる事ができる、(3)洗浄工程が含まれるプロセスの場合、洗浄によるイオン液体の溶出を防止する効果を持つ、の3点である。
本発明に用いられるイオン液体は、陽極酸化性を持ち高分子と相溶性を有するものであれば特に制限はないが、高い陽極酸化性を有し、しかも各種の高分子と相溶する能力が高い点から、一般式(1)〜(8)から選ばれる少なくとも一つの構造を有するアニオン成分から構成されたイオン液体が好ましい。
R−COO (1)
R−CHCOO (2)
R−CNHCOO (3)
R−COHCOO (4)
R−SO (5)
R−CHSO (6)
R−OSO 2− (7)
R−CONHCHCHCOO (8)
ここで上記一般式(1)〜(8)中のRは水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基から選択される任意の置換基であって、該置換基がフッ素を含むものであっても良い。
具体的には、脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが例示される。具体的に、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、などを挙げることができる。これらのアルキル基の水素原子は任意の数だけフッ素原子で置換されていてもよい。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、スチリル基、イソプロペニル基、シクロプロペニル基、ブテニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチニル基、シクロプロピルエチニル基、ブチニル、ペンチニル、シクロブチルエチニル基、ヘキシニル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えばアリール基、アラルキル基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、テルフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられる。
複素環基としては、例えばヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基が挙げられる。具体的には、ヘテロアリール基としてはピロリニル基、ピリジル基、キノリル基、イミダゾリル基、フリル基、インドリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基などが挙げられる。ヘテロアラルキル基としては、ピリジルメチル基、キノリルメチル基、インドリルメチル基、フルフリル基、チエニルメチル基などが挙げられる。
特にRがベンゼン、トルエン、アルキルベンゼン、ナフタレン、アルキルナフタレン、またはアントラキノンであるアニオン成分から構成されるイオン液体は本発明の目的に好ましく用いられる。
本発明では、上記のアニオン成分に限定される訳ではなく、例えば、R−NO 、R−NHCHR(2)COO、R−SO 2−OOCR(2)COOH、OOCRCOO、R−NHCHR(2)COO(ここで、Rは水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基から選択される任意の置換基であって、該置換基がフッ素を含むものであっても良く、R(2)はアルキル基を示す。)などのアニオン成分を有するイオン液体を使用でき、上記アニオン成分を有するイオン液体に併用してもよい。ここでのRは、上述した一般式(1)〜(8)のR基と同様のものが例示される。また、R(2)のアルキル基は、上記一般式(1)〜(8)のR基のアルキル基と同様である。
次にイオン液体のカチオン成分について説明する。
本発明の陽極酸化性や高分子との相溶性は主にイオン液体のアニオン成分によって決定されるので、イオン液体のカチオン成分は特に制限されない。カチオン成分としては、例えば、アンモニウムおよびその誘導体、イミダゾリウムおよびその誘導体、ピリジニウムおよびその誘導体、ピロリジニウムおよびその誘導体、イミダゾリニウムおよびその誘導体、ピロリニウムおよびその誘導体、ピラジニウムおよびその誘導体、ピリミジニウムおよびその誘導体、トリアゾニウムおよびその誘導体、トリアジニウムおよびその誘導体、トリアジンおよびその誘導体、キノリニウムおよびその誘導体、イソキノリニウムおよびその誘導体、インドリニウムおよびその誘導体、キノキサリニウムおよびその誘導体、ピペラジニウムおよびその誘導体、オキサゾリニウムおよびその誘導体、チアゾリニウムおよびその誘導体、モルフォリニウムおよびその誘導体、ピペラジンおよびその誘導体が挙げられる。ここで誘導体とは化合物の一部を他の原子や原子団に置換した化合物のことを言う。
比較的融点が低い点から、イオン液体のカチオン成分としては、次の一般式(9)〜(13)で表されるイミダゾリウムカチオンおよびその誘導体(9)、ピリジニウムカチオンおよびその誘導体(10)、ピロリジニウムカチオンおよびその誘導体(11)、アンモニウムカチオンおよびその誘導体(12)、トリアジン誘導体カチオンおよびその誘導体(13)が好ましい。
Figure 2012151147
一般式(10)〜(13)中におけるRは水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基から選択される任意の置換基であって、該置換基がフッ素を含むものであっても良い。Rを2個有する場合は、Rは同一でも異なっていても良い。ここでの脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基としては、上述した一般式(1)〜(8)におけるR基の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基と同様である。
中でも、イオン液体が比較的低い粘度を示す点から、イミダゾリウムおよびその誘導体のカチオンが好ましく、エチルメチルイミダゾリウム、エチルブチルイミダゾリウム、ジメチルイミダゾリウムがより好ましく、特に好ましくはメチルブチルイミダゾリウム、メチルオクチルイミダゾリウムである。
本発明に使用されるイオン液体は公知の方法で合成することができる。具体的には、アニオン交換法、酸エステル法、中和法等の方法を用いることができ、これら合成法については大野弘幸監修「イオン性液体」(シーエムシー出版、2003年)に記載されている。
本発明に使用されるイオン液体と相溶する高分子としては、イオン液体に溶解するものであれば特に制限はない。電解質形成時には、水またはアルコールが使用される。製造プロセスの汎用性やプロセス価格の観点から、イオン液体と相溶する高分子としては、水溶性またはアルコール可溶性であるものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリ−L−リシン、スルホン化ポリスチレン、グリシジル変性ポリエステル、スルホン酸変性ポリエステル、カルボン酸変性ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、およびこれらの誘導体があり、イオン液体との相溶性の観点より、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリ−L−リシンおよびこれらの誘導体がより好ましい。ここで誘導体とは化合物の一部を他の原子や原子団に置換した化合物のことを言う。
水やアルコール以外の溶媒が用いられる場合には、軟質塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミン、ポリ塩化ビニリデン、ポリメタアクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエーテル、ポエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、セルロース、エポキシ樹脂およびこれらの誘導体を用いてもよい。ここで誘導体は上述の誘導体と同様である。
本発明に使用されるイオン液体と相溶する高分子は1種のみでもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
イオン液体と、イオン液体と相溶する高分子との重量比は、特に限定されるわけでないが、イオン液体100重量部に対して、イオン液体と相溶する高分子を0.01重量部以上30重両部以下である事が好ましく、耐圧特性、寿命特性、ESR特性を含めた特性のバランスを考慮すると0.1重量部以上10重量部以下がより好ましく、0.2重量部以上5重量部以下が最も好ましい。
本発明に用いられる導電性高分子としては、特に限定されるものではないが、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体が好ましく、耐久性の観点よりポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。ここで誘導体とは化合物の一部を他の原子や原子団に置換した化合物のことを言う。
これらの導電性高分子はピロール、チオフェン、アニリン、およびこれらの誘電体モノマーを重合して得られる。導電性高分子モノマーは、特に制限されるものではないが、例えばチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体などが挙げられる。チオフェン誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン(アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、フルオロフェニルチオフェン、アリルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−クロロチオフェン、3−アセチルチオフェンなどが挙げられる。ピロール誘導体としては、3−メチルピロール、1−(ジメチルアミノ)ピロールなどが挙げられる。アニリン誘導体としては、o−トルイジン、m−トルイジン、1,3−ベンゼンジアミン、1,2−ベンゼンジアミン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、2−アミノベンゾニトリル、3−アミノベンゾニトリル、3−ビニルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2−(アミノメチル)アニリン、4−メチル−1,2−ベンゼンジアミン、2−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、2,3−ジアミノフェノール、5−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−5−メチルアニリン、3−フルオロ−2−メチルアニリン、2−クロロアニリンなどが挙げられる。得られた導電性高分子の導電性が高く、かつ空気中で安定であることから3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはピロールが好ましい。また、導電性高分子モノマーは二種類以上用いても良い。
導電性高分子の合成方法としては、化学重合法、電解重合法、有機金属化学的縮重合法が用いられ、合成と同時の電解質形成を行う事が好ましい。このような手法として特に化学重合法、電解重合法は好ましく用いられる。
また、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体からなる導電性高分子を溶媒に溶解したものや微粒子として分散したものを含浸、塗布して電解質を形成しても良く、この様な形成方法も好ましく用いられる。例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(PEDOT・PSS)は本発明の目的に好ましく用いられる。
電解重合は、例えば、ピロールモノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化する事により脱水素重合する方法で、陽極上に導電性高分子であるポリピロールを析出させることができる。一般的に電解重合においては、後でドーパントを加えなくても、導電性を有するポリマーが得られると言う利点がある。
一方、化学重合は、適当な酸化剤の存在下で、例えばピロールなどの原料モノマーを酸化脱水することで重合し合成する方法である。酸化剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子も、酸化剤のアニオンがドーパントとして重合過程でポリマー中に取り込まれるため、一段階の反応で導電性を有するポリマーを得る事ができる。
本発明による電解質の構成要素である導電性高分子のドーパントはその導電性高分子の伝導度や熱安定性に与える影響を考慮して選択される。本発明に好ましく用いられるドーパントとしては、4−フッ化ホウ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、n−プロピルリン酸イオン、過塩素酸イオン、等を例示する事ができる。これらのドーパントを電解重合法でポリマー中に取り込むには、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−プロピルリン酸エステル、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等の、ナトリウム塩、エステル、アンモニウム塩などの形でドーパントを水などの溶媒に溶かし込み、この溶液中で前述の電解重合を実施すればよい。
電解コンデンサの電解質はアルミ、タンタル、ニオブなどの弁金属上に形成された酸化皮膜の表面に配置されるが、これらの弁金属は電解コンデンサの陽極としての機能を持ち、その表面積を増大させるためにエッチング箔として用いたり、金属粉末の焼結体として用いたりする。そのため電解質は、エッチング箔の孔や焼結粉体の隙間に充填されるようにしなくてはならない。
イオン液体と導電性高分子の好ましい重量比は、十分な陽極酸化性を有し、かつ導電性高分子の電子伝導性を損なわない範囲で選択される。電子伝導性の点からは、イオン液体の添加量が導電性高分子100重量部に対して50重量部以下である事が好ましい。一方、十分な陽極酸化性を有する点からは、イオン性液体の添加量は導電性高分子100重量部に対して1重量部以上である事が好ましい。すなわち、導電性高分子100重量部に対してイオン液体が1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、2重量部以上30重量部以下であることがより好ましく、5重量部以上20重量部以下である事が最も好ましい。従って、本発明における電解質中に含まれるイオン液体と相溶する高分子の好ましい含有量は、上記好ましいイオン液体、イオン液体と相溶する高分子の比率から計算される。ここで注目するべきは、電解質中にわずかに添加されたイオン液体と相溶する高分子がコンデンサの熱的な安定性(耐久性)や耐電圧の向上に劇的な効果をもたらすことである。
次に、本発明による電解質の製造方法(形成方法)、すなわち、イオン性液体、イオン液体と相溶する高分子および導電性高分子との複合化の方法について述べる。
本発明の電解質の形成方法において、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子の取り扱いは、特に限定するわけではないが、両者と相溶する溶媒中に溶解して用いる事が好ましい。特に限定するわけではないが、公知の溶媒を使用してよく、例えば、水、アルコール系溶媒、有機溶媒などが挙げられる。製造プロセスの汎用性やプロセス価格の観点からは、水、アルコール系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどを例示する事ができる。有機溶媒としては、非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒のどちらでも良い。例えば、エーテル系、二トリル系、ケトン系、アミド系、カーボネート系、エステル系、ラクトン系、硫黄含有溶剤、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は一種のみで使用してもよいが、二種以上用いてもよい。
イオン性液体、イオン液体と相溶する高分子および導電性高分子の複合化の代表的な方法として化学重合法があげられ、化学重合の第1の方法としては重合酸化剤、導電性高分子モノマー、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を混合した溶液を陽極箔または、コンデンサ素子内に含浸させ、加熱により導電性高分子を含む電解質を形成する方法である。ここでのコンデンサ素子とは陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して捲回した捲回型コンデンサ、タンタル焼結体またはニッケル焼結体を指す。
この形成方法では、電解質内が均一組成となり、一回のプロセスで表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極と陰極との間に導電性高分子を含む電解質を形成することができる。
化学重合法の第2の方法としては、コンデンサ素子内に重合酸化剤を含有する溶液を含浸させる工程(1)と導電性高分子モノマーを含む溶液を含浸させる工程(2)を含む方法であり、重合酸化剤と導電性高分子モノマーを別々にコンデンサ素子内に含浸させ、加熱により導電性高分子を含む電解質を形成する方法である。
この形成方法では工程が2回となり煩雑となるが、第1の方法と違い材料のポットライフに依存されないため、材料を効率的に使用することができる。
イオン液体およびイオン液体中に相溶した高分子は工程(1)の重合酸化剤を含有する溶液、および/または工程(2)の導電性高分子モノマーを含む溶液に添加される。工程(1)にイオン液体およびイオン液体中に相溶した高分子が添加される場合は、高分子によりイオン液体が電解質全体に広がる事を妨ぐ、または全体に拡散する速度を遅くする効果があり、電解質中において誘電体酸化膜側により多くのイオン液体を存在させる事ができる。また、工程(1)、工程(2)の両方に添加する場合には、均一な電解質組成を持つ電解質を得る事ができる。イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子は、予め工程(1)の溶液および/または工程(2)の溶液に添加しておいてもよいが、工程(1)、工程(2)中にイオン液体、イオン液体と相溶する高分子のいずれか、または両方を添加してもよい。
複合化の別の方法として、次に示す事前含浸漬処理を行う方法も有効である。すなわち、イオン液体、イオン液体と相溶する高分子を、例えば水、アルコール系溶媒、有機溶媒などの適当な溶媒に溶解させた溶液を調製し、誘電体の形成された陽極箔あるいは陽極焼結体に含浸、乾燥させて誘電体表面にイオン液体、イオン液体と相溶する高分子からなる層を形成させる。ここで溶媒は、上述した水、アルコール系溶媒、有機溶媒と同様のものが使用できる。本方法は、一度の実施で良く、比較的簡易に電解質を形成する方法として有効である。この様に形成された層はイオン液体のみからなる層と比べて皮膜性にすぐれ、導電性高分子電解質を形成する過程において溶出がある程度抑えられるために、電解質形成後に誘電体酸化膜表面に有効に存在させる事が出来る。
上記イオン液体、イオン液体と相溶する高分子からなる層の形成後、導電性高分子モノマーの化学重合によって電解質が形成され、形成される電解質中において誘電体酸化膜側により多くのイオン液体を存在させる事ができる。
事前含浸処理を行う方法において、イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および溶媒を含有する溶液にさらに導電性高分子を加えると、誘電体酸化膜近傍の導電高分子濃度が高まり、電子伝導性が向上するためコンデンサのESR特性を向上させることができる。
導電性高分子モノマーの化学重合工程をイオン液体と相溶する高分子を溶解しない溶媒を用いて行う事により、高分子を溶解する溶媒を用いない場合に比べ、誘電体酸化膜側により多くのイオン液体を存在させる事ができる。
以上の複合化法は化学重合により電解質形成を行う方法であるが、あらかじめ重合された導電性高分子を用いても、同様にすぐれた特性の電解質を形成する事ができる。
具体的には、イオン液体と、イオン液体と相溶する高分子と、導電性高分子と、溶媒とからなる組成物をコンデンサ素子に含浸後、乾燥して表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極と陰極との間に導電性高分子を含む電解質を形成することができる。この方法に用いられる導電性高分子は溶媒中に溶解しているか、あるいは溶媒中に微粒子として分散しているものが好ましい。適した導電性高分子としてH.C.Stark社のポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)を例示する事が出来る。PEDOT−PSSは水分散した形で得られ、巻回型アルミニウム電解コンデンサに好ましく用いる事ができる。
上記の形成方法では電解質中のイオン液体、イオン液体と相溶する高分子、導電性高分子はほぼ均一な組成となる。複合化プロセスの工夫によって、電解質中のイオン液体、イオン液体と相溶する高分子、導電性高分子を不均一に存在させることが可能である。
その方法の一つとして、イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および例えばエタノール、ブタノール等の有機溶媒を含有する溶液を含浸後、乾燥させて、誘電体酸化被膜上にイオン液体、イオン液体と相溶する高分子を含有する層を形成する工程、その後、さらに導電性高分子および溶媒を含有する組成物を含浸して導電性高分子を含む層を形成する工程、を含む方法が挙げられる。通常、後者の含浸、乾燥工程を複数回行い電解質形成するが、この方法においては高耐圧コンデンサの製造方法として極めて有効である。
本発明の電解質の形成方法は、陽極がアルミニウム箔である積層型、巻回型コンデンサおよび、陽極がタンタル粉末焼結体、ニオブ粉末焼結体であるコンデンサに適用することができる。特にコンデンサ素子が表面に誘電体酸化被膜を形成した陽極金属箔と陰極箔とをセパレータを介した素子である巻回素子では簡易的に素子作製ができるため好ましい。
電解コンデンサの陰極形成工程、電極付け工程、外装工程、エージング工程については公知の方法で実施すれば良い。
以下、実施例において本発明を具体的に示すが、今回開示した実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<イオン液体>
本発明の実施例において使用したILsは以下の8種類である。合成、あるいは入手方法、室温における粘度を併せて記載する。
(1)ILS−1:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート(アルドリッチ社製)、粘度 130mPa・s
(2)ILs−2:N−エチル−3−メチルイミダゾリウム ラクテート(アルドリッチ社製)、粘度 430mPa・s
(3)ILS−3:N−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ベンゾエート(アルドリッチ社製)、粘度 1500mPa・s
(4)ILS−4:N−ブチル−3−メチルイミダゾリウム マンデレート、粘度 3000mPa・s
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート 50%水溶液(5000mg,12.48mmol)を加え、0℃に冷却した。その後、マンデル酸(1899mg,12.48mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、目的化合物を薄褐色の油状物として3622.3mg得た。(収率100%)
H NMR(CDCl、300MHz)δ0.93(t、3H)、1.29−1.34(m、2H)、1.74−1.79(m、2H)、3.84(s、3H)、4.10(t、2H)、4.92(s、1H)、7.04(s、1H)、7.14−7.26(m、1H)、7.23−7.26(m、3H)、7.54(d、2H)、10.74(s、1H)
(5)ILS−5:N−ブチル−3メチル−イミダゾリウム フェニルグリシン(STREM CHEMICAL社製)、粘度 6000mPa・s
(6)ILs−6:N−ブチル−3メチル−イミダゾリウム (CHOSO)(MERCK社製)、粘度 1000mPa・s
(7)ILs−7:N−エチル−3メチル−イミダゾリウム (H(CH(CHOSO))(MERCK社製)、粘度 2100mPa・s
(8)ILs−8:N−エチル−3メチル−イミダゾリウム (p−TsO)(STREM CHEMICAL社製)、粘度 1500mPa・s
<イオン液体と相溶する高分子>
以下の4種類の高分子を用いた。
ポリビニルアルコール(PVA)
ポリ酢酸ビニル(PVAc)
ポリビニルピロリドン(PVP)
ポリビニルブチラール(PVB)
<コンデンサ素子>
陽極箔として電圧(95V)で陽極酸化を施したアルミニウムエッチド箔U157(KDK販売(株)製)、陰極箔としてアルミニウムエッチド箔C208(KDK販売(株)製)を用いた。陽極箔と陰極箔との間にポリエチレンテレフタレート製不織布セパレータ(厚さ50μm)を介在させて巻回することにより捲回型のアルミニウム素子を作製した。陽極箔の長さ90mm、幅2.2mmである。
作製された捲回型のアルミニウム素子を、1%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず20mV/secの速度で0Vからそれぞれの化成電圧(Vfs)まで上げ、つづけてVfsの定電圧を40分間印加し修復化成した。
修復化成後の捲回型のアルミニウム素子の平均液中容量は30μFであった。
<初期容量およびTanδの測定>
実施例および比較例で得られた電解コンデンサの初期容量を測定した。容量測定装置としてAgilent社のE4980ALCRメータを用いた。DC Potential:0V、AC Amplitude:100mV、120Hzの値を初期容量とTanδとした。
<インピーダンス(ESR)測定>
実施例および比較例で得られた電解コンデンサのインピーダンスを測定した。装置には、Agilent社のE4980ALCRメータを用い、DC Potential:32V、AC Amplitude:100mVの条件で、1Hzから1MHzの範囲で測定を行った。10kHzのインピーダンス値をコンデンサ素子のインピーダンスとした。
<LC測定>
実施例および比較例で得られた電解コンデンサに対し、100℃の環境下で電圧を20mV/secの速度で0Vからそれぞれのエージング電圧(Veg)まで上昇させ、つづいてVegの定電圧を40分間印加する事でエージングを実施した。エージング処理後に6.3V印加し続け、印加開始から5分後のLCを測定した(測定装置:北斗電工社製「HA−3001A」)。一般的にLCは、エージング処理後のLCを言い、本実施例においてもエージング処理後のLCを示す。
コンデンサ素子の規定電流を10mAと定義し、電圧上昇の過程あるいは電圧保持の過程でこの電流値を越えた素子はエージング不良とする。
<耐電圧測定>
実施例および比較例で得られた電解コンデンサの耐電圧(V)を、20mV/秒の速度で電圧を上昇させて測定した。装置には、アドバンテスト社製の型番「TR6143」を用い、10mAの電流が流れたときの電圧値を耐電圧値とした。
<耐久性試験>
実施例および比較例で得られた電解コンデンサをアルミニウム缶による外装、封止した後、145℃の環境下で35Vの電圧を印加し、500時間後の容量およびESR(測定機器:Agilent社のE4980ALCRメータ)を測定した。測定条件は初期容量測定、インピーダンス(ESR)測定と同じ条件で行った。
コンデンサの耐久性として、初期値に対する容量変化(ΔC/C(%))、およびΔESR(倍)を算出し評価した。
(実施例1)
95V化成した捲回型アルミニウム素子(平均液中容量30μF)を用い、化学重合によって電解質を形成し、モデル電解コンデンサを試作し、得られた電解コンデンサのコンデンサ特性を測定した。コンデンサ特性の測定結果は表1に記す。
電解質形成の方法は以下の通りである。まず、ILs−1(100重量部)、PVB(2重量部)、エタノール(100重量部)よりなる溶液(溶液A)を調製した。溶液Aと3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと略す。H.C.Starck−V TECH社製)とを、溶液A:EDOT=20(重量部):100(重量部)の比率で混合し、95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸した。さらに、パラトルエンスルホン酸第二鉄(40wt%1−ブタノール溶液)酸化剤溶液(B)を含浸した。その後、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに80℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させて電解質を形成し、電解コンデンサを作製した。
(実施例2)
実施例1と同じ捲回型アルミニウム素子を用いた。まず、ILs−1(100重量部)、PVB(2重量部)よりなる溶液(溶液A)を調製した。溶液AとEDOTとパラトルエンスルホン酸第二鉄(40wt%1−ブタノール溶液)酸化剤溶液(溶液B)を、溶液A:EDOT:溶液B=20(重量部):100(重量部):500(重量部)の比率で混合し、捲回型アルミニウム素子に含浸した。その後、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに80℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させて電解質を形成し、電解コンデンサを作製した。
コンデンサ特性の測定結果は表1に記す。
(比較例1)
PVBを含まない以外は実施例1と同じ方法で電解コンデンサを作製した。コンデンサ特性の測定結果は表1に記す。
(比較例2)
PVBを含まない以外は実施例2と同じ方法で電解コンデンサを作製した。コンデンサ特性の測定結果は表1に記す。
Figure 2012151147
実施例1、2におけるコンデンサ特性には大きな差は認められず、化学重合の異なる製法においてもすぐれたコンデンサ特性が得られることが分かった。イオン液体とポリマーを組合せた実施例1はポリマーを用いない比較例1に比べ、ESR特性を維持しながら、耐電圧特性および耐久性を向上できる事が確認でき、これらの特性改善はイオン液体とポリマーを組合せた相乗効果により得られることが分かった。製法が異なる実施例2と比較例2の比較においても同様の傾向が確認された。
(実施例3〜9)
イオン液体の種類を変更した以外は実施例2と同様にし電解コンデンサを作製し、その特性を測定した。その結果を表2にしめす。
Figure 2012151147
(実施例10〜12)
イオン液体に相溶する高分子としてPVBを使用する代わりに、表3に示すようにPVA、PVAc、PVPを用いた以外は実施例2と同じ方法で電解コンデンサを作製し、その特性を測定した。結果を表3にしめす。
Figure 2012151147
(実施例13〜15)
ILs−1(100重量部)、PVBよりなり、PVBの添加量を各々5重量部、10重量部、30重量部とした3種類の溶液(溶液A)を調製した。溶液AとEDOTとパラトルエンスルホン酸第二鉄(40wt%1−ブタノール溶液)酸化剤溶液(溶液B))を、溶液A:EDOT:溶液B=20(重量部):100(重量部):500(重量部)の比率で混合し、95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸した。その後、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに80℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させて電解質を形成し、電解コンデンサを作製した。得られたコンデンサの特性を表4にしめす。
Figure 2012151147
(実施例16〜19)
まず、ILs−1(100重量部)、PVB(2重量部)よりなる溶液(溶液A)を調製した。溶液AとEDOTとを、溶液A/EDOTの重量比を、5/100、10/100、30/100、50/100の比率で混合した4種類の溶液を準備し、パラトルエンスルホン酸第二鉄(40wt%1−ブタノール溶液)(酸化剤溶液B)を、溶液A:EDOT:溶液B=5〜50(wt%):100(wt%):500(wt%)の比率で混合し、95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸した。その後、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに80℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させて電解質を形成し、電解コンデンサを作製した。得られた4種類のコンデンサ素子の特性を表5にしめす。
Figure 2012151147
(実施例20)
まず、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水性分散液(シグマアルドリッチ社製高導電率コーティングタイプ 分散物濃度1.5wt%、以下、PEDOT−PSS分散液と略す)を準備した。次に、ILs−1(100重量部)、PVA(4重量部)、水(100重量部)よりなる溶液(溶液A)を準備し、PEDOT−PSS分散液/溶液Aの重量比が1000/3となるように添加した。得られた分散液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させた。その後、150℃で5分間乾燥して電解質層を形成した。この操作を20回繰り返しアルミニウム素子に電解質層を形成した。得られた電解コンデンサの特性を測定し、その結果を表6に記す。
(実施例21)
まず、ILs−1(100重量部)、PVB(4重量部)、エタノール(100重量部)よりなる溶液Bを準備し、得られた溶液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、150℃で5分間乾燥して陽極表面に電解質層を形成した。続いてPEDOT−PSS分散液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、その後150℃で5分間乾燥して電解質層を形成した。PEDOT−PSS分散液を含浸させ、乾燥する操作を20回繰り返しアルミニウム素子に電解質層を形成した。得られた電解コンデンサの特性を測定し、その結果を表6に記す。PVBは水にはほとんど溶解しないため実施例20の方法での電解質形成プロセスにおいて溶解しないと考えられる。
(実施例22)
ILs−1(100重量部)、PVA(4重量部)、水(100重量部)よりなる溶液Aを準備し、得られた溶液Aを95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、さらに150℃で5分間乾燥して陽極表面に電解質層を形成した。この操作を2回繰り返した。続いてPEDOT−PSS分散液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、その後150℃で5分間乾燥して電解質層を形成した。PEDOT−PSS分散液を含浸させ、乾燥する操作を20回繰り返しアルミニウム素子に電解質層を形成した。得られた電解コンデンサの特性を測定し、その結果を表6に記す。
(実施例23)
ILs−1(100重量部)、PVA(4重量部)、水(100重量部)よりなる溶液(溶液A)を準備し、PEDOT−PSS分散液/溶液Aの重量比が1000/3となるように混合し分散液を作製した。得られた分散液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、さらに150℃で5分間乾燥して電解質層を形成した。つぎに実施例2と同じくILs−1(100重量部)、PVB(2重量部)よりなる溶液(溶液A)を調製した。溶液AとEDOTとパラトルエンスルホン酸第二鉄(40wt%1−ブタノール溶液)酸化剤溶液(溶液B)を、溶液A:EDOT:溶液B=20(重量部):100(重量部):500(重量部)の比率で混合し、捲回型アルミニウム素子に含浸した。その後、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに80℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させて電解質を形成し、電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
PEDOT−PSS分散液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、さらに150℃で5分間乾燥して電解質層を形成した。この操作を20回繰り返し電極素子に電解質層を形成した。得られた電解コンデンサの特性を測定し、その測定結果を表6に記す。
(比較例4)
ILs−1(100重量部)、水(100重量部)よりなる溶液(溶液C)を準備し、PEDOT−PSS分散液/溶液Cの重量比が1000/3となるように分散液を作製した。得られた分散液を95V化成した捲回型アルミニウム素子に含浸させ、さらに150℃で5分間乾燥して電解質層を形成した。この操作を20回繰り返し電極素子に電解質層を形成した。得られた電解コンデンサの特性を測定し、その測定結果を表6に記す。
Figure 2012151147
ILsを用いた実施例20〜23は比較例3に比べて高い耐電圧特性を示しておりPEDOT−PSSを用いた場合でもすぐれた耐電圧特性を示すことがわかった。また、ILsと相溶する高分子を用いた実施例20〜23は相溶する高分子を用いなかった比較例4と比較して耐久特性の著しい向上ができる事がわかった。さらに、実施例21と22の比較から、電解質形成の過程で水に溶解しないPVBを用いることにより高い耐電圧特性が実現できることがわかる。
(実施例24)
陽極リードをつけた直方体のタンタル焼結体(長さ3mm、高さ3mm、幅1mm)を0.05%リン酸水溶液中で、85℃、60分間、印加電圧33.9Vの条件で陽極酸化し、酸化被膜である誘電体皮膜をタンタル焼結体上に形成したサンプルを作成した。
次に、ILs−1(100重量部)、PVB(2重量部)、エタノール(100重量部)よりなる溶液(溶液A)を調製した。溶液AとEDOTとを、溶液A:EDOT=20(重量部):100(重量部)の比率で混合し、サンプルに含浸した。さらに、パラトルエンスルホン酸第二鉄(40wt%1−ブタノール溶液)酸化剤溶液(B)を含浸した。次に、105℃の電気炉で5秒加熱、さらに80℃の電気炉で10分間加熱し化学重合を進行させて電解質を形成した。この操作を約20回繰り返した。
次に、形成された電解質上にカーボン層、銀ペースト層を設け、銀ペースト膜に陰極リードを設け、エージングを印加電圧12.5Vで1時間行い、樹脂で外装した。20Vで1時間エージングして、電解コンデンサを得た。得られた電解コンデンサの初期容量、tanδ、ESR値、LC値、および耐電圧(V)を測定し、その結果を表7に示す。
(比較例5)
PVB(2重量部)を用いないようにした以外は実施例24と同じ方法で電解コンデンサを作製した。得られた電解コンデンサの特性を測定し、その結果を表7に記す。
Figure 2012151147
実施例24のコンデンサは、PVB(2重量部)を添加しない比較例5と比べて、初期容量、tanδの値にはいずれも大きな違いを生じないで、耐久性と耐電圧特性には大きな改善が認められ、本発明の手法がタンタルコンデンサにおいても有効である事が分かった。

Claims (18)

  1. イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および導電性高分子を含有する、電解コンデンサ用電解質。
  2. イオン液体は、アニオン成分が一般式(1)〜(8)で示されるものからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の電解コンデンサ用電解質。
    R−COO (1)
    R−CHCOO (2)
    R−CNHCOO (3)
    R−COHCOO (4)
    R−SO (5)
    R−CHSO (6)
    R−OSO 2− (7)
    R−CONHCHCHCOO (8)
    (上記一般式(1)〜(8)中のRは水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、およびこれらの基が複数組み合わされたものから選択され、フッ素を含むものであっても良い。)
  3. イオン液体と相溶する高分子が、水溶性またはアルコール可溶性である、請求項1〜2のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質。
  4. イオン液体と相溶する高分子がポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリ−L−リシン、スルホン化ポリスチレン、グリシジル変性ポリエステル、スルホン酸変性ポリエステル、カルボン酸変性ポリエステル、およびカルボキシメチルセルロース、およびこれらの誘導体よりなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質。
  5. 導電性高分子がポリピロール、ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質。
  6. イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子の重量比が、イオン液体100重量部に対してイオン液体と相溶する高分子が0.01重量部以上30重量部以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質。
  7. イオン液体および導電性高分子の重量比が、導電性高分子100重量部に対してイオン液体が1重量部以上50重量部以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質。
  8. 重合酸化剤、導電性高分子モノマー、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を含有する溶液をコンデンサ素子に含浸し、導電性高分子モノマーを化学重合し、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極と陰極との間に導電性高分子を含む電解質を形成する、電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  9. 次のコンデンサ素子に対する工程(1)および(2)
    (1)重合酸化剤を含有する溶液を含浸させる工程
    (2)導電性高分子モノマーを含む溶液を含浸させる工程
    を含む、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極と陰極との間に導電性高分子を含む電解質を形成する方法であって、
    前記重合酸化剤を含有する溶液および/または前記導電性高分子モノマーを含む溶液が、イオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を含有する、
    電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  10. 次のコンデンサ素子に対する工程(3)および(4)を含む、電解コンデンサ用電解質の形成方法:
    (3)イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および溶媒を含有する溶液を含浸後、乾燥させて、誘電体酸化皮膜上にイオン液体と該イオン液体と相溶する高分子を含有する層を形成する工程、
    (4)前記工程(3)の後、さらに、導電性高分子モノマーを化学重合して導電性高分子を形成する工程。
  11. 前記工程(3)の溶液がさらに導電性高分子を含有する、請求項10に記載の電解コンデンサ用電解質の製造方法。
  12. 前記(4)工程における化学重合がイオン液体と相溶する高分子を溶解しない溶媒を用いて行われる、請求項10または11に記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  13. イオン液体、イオン液体と相溶する高分子、導電性高分子および溶媒を含有する組成物をコンデンサ素子に含浸後、乾燥して電解質層を形成する、
    電解コンデンサ用電解質の形成方法。
  14. 次のコンデンサ素子に対する工程(5)および(6)を含む、電解コンデンサ用電解質の形成方法:
    (5)イオン液体、イオン液体と相溶する高分子および有機溶媒を含有する溶液を含浸後、乾燥させて、誘電体酸化皮膜上にイオン液体およびイオン液体と相溶する高分子を含有する層を形成する工程、
    (6)前記工程(5)の後、さらに、導電性高分子および溶媒を含有する組成物を含浸して導電性高分子を含む層を形成する工程。
  15. 請求項1〜7のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質を有する、コンデンサ。
  16. 請求項8〜14のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解質の形成方法で得られた電解質を有する、コンデンサ。
  17. コンデンサの陽極がアルミニウム箔またはタンタル粉末焼結体である、請求項15または16に記載のコンデンサ。
  18. コンデンサ素子が表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極金属箔と陰極箔とをセパレータを介した素子である、請求項15または16に記載のコンデンサ。
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