JP7392379B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサに関する。
固体電解コンデンサは、一般に、弁作用金属からなる陽極の表面に、誘電体の酸化皮膜からなる誘電体層を形成し、誘電体層上に固体電解質層を形成し、望ましくは固体電解質層上に導電層を形成することにより作製される。
この種の固体電解コンデンサでは、固体電解質として、従来は二酸化マンガンが広く使用されていた。しかし、近年では、高導電性を有するチオフェン類等を骨格とした導電性高分子を固体電解質として使用することが提案されている(例えば、特許文献1~5参照)。
特開2013-239698号公報 特開2014-27040号公報 特開2005-85947号公報 特開平2-249221号公報 国際公開第2014/061502号
導電性高分子からなる固体電解質層を誘電体層上に形成する方法としては、例えば、重合性モノマーを含む処理液を用いて誘電体層の表面に化学重合により導電性高分子膜(化学重合膜)を形成する方法や、導電性高分子の分散液を誘電体層の表面に塗布して乾燥させることにより導電性高分子膜を形成する方法等が知られている。
しかしながら、導電性高分子からなる固体電解質層と誘電体層との密着性が充分でないと、固体電解質層が誘電体層から剥離しやすくなる。誘電体層から固体電解質層が剥離すると、等価直列抵抗(ESR)が増大する等、信頼性の低下を引き起こすおそれがある。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、誘電体層と固体電解質層との密着性が高く、信頼性に優れた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサは、表面に誘電体層を有する陽極と、上記誘電体層を介して上記陽極に対向する陰極と、を備える固体電解コンデンサであって、上記陰極は、上記誘電体層に接する固体電解質層を含み、上記固体電解質層は、ドーパントとしてスルホン酸を含有する導電性高分子と、ポリビニルアセタールとを含む。
本発明によれば、誘電体層と固体電解質層との密着性が高く、信頼性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す固体電解コンデンサのII-II線断面図である。
以下、本発明の固体電解コンデンサについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の固体電解コンデンサは、表面に誘電体層を有する陽極と、上記誘電体層を介して上記陽極に対向する陰極と、を備える。本発明の固体電解コンデンサでは、上記陰極は、上記誘電体層に接する固体電解質層を含み、上記固体電解質層は、ドーパントとしてスルホン酸を含有する導電性高分子と、ポリビニルアセタールとを含むことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサでは、誘電体層に接する固体電解質層が、ドーパントとしてスルホン酸を含有する導電性高分子と、ポリビニルアセタールとを含むため、誘電体層と固体電解質層との密着性が向上し、誘電体層から固体電解質層が剥離しにくくなる。これは、固体電解質層に含まれるポリビニルアセタールがスルホン酸と反応して加水分解することでアセチル基が発生し、当該アセチル基が誘電体層と結合するためと考えられる。その結果、ESRの増大が抑制され、信頼性が向上する。
なお、固体電解質層にポリビニルアセタールが含まれていることは、例えば、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)により、ポリビニルアセタールの特徴的な部分構造であるビニルアセタール環を検出することで確認することが可能である。
誘電体層と固体電解質層との密着性を向上させる観点から、導電性高分子及びポリビニルアセタールの合計100重量部に対するポリビニルアセタールの含有量は、0.02重量部以上であることが好ましい。一方、ポリビニルアセタールは導電成分ではないため、ポリビニルアセタールの含有量が多すぎると、ESRが増大するおそれがある。そのため、導電性高分子及びポリビニルアセタールの合計100重量部に対するポリビニルアセタールの含有量は、1重量部以下であることが好ましい。なお、導電性高分子の重量には、ドーパントして含有されるスルホン酸の重量も含まれる。
本発明の固体電解コンデンサにおいて、固体電解質層は、誘電体層の細孔(凹部)を充填する内層と、誘電体層を被覆する外層とを含むことが好ましい。
固体電解質層に含まれる導電性高分子としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が挙げられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
固体電解質層に含まれる導電性高分子は、ドーパントとしてスルホン酸を含有する。ドーパントとしては、例えば、有機スルホン酸、無機スルホン酸及びこれらの塩等が挙げられる。一般的には、アリールスルホン酸塩系ドーパントが使用される。例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸又はそれらの置換誘導体等の塩を用いることができる。また、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等の高分子ドーパントを用いてもよい。
固体電解質層に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化したものであれば特に限定されないが、ポリビニルブチラールであることが好ましい。
固体電解質層は、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等の重合性モノマーを含む処理液を用いて、誘電体層の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の重合膜を形成する方法によって形成される。この方法では、重合性モノマー、例えば3,4-エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含む処理液を付着させて、化学重合により導電性高分子膜を形成する。この導電性高分子膜が固体電解質層となる。
固体電解質層を形成する方法は特に限定されず、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子の分散液を誘電体層の表面に塗布して乾燥させる方法等によって固体電解質層となる導電性高分子膜を形成してもよい。
以下、本発明の固体電解コンデンサの具体的な構成について説明する。なお、本発明の固体電解コンデンサは、以下の構成に限定されるものではない。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す固体電解コンデンサ1は、直方体状の樹脂成形体9と、第1外部電極11と、第2外部電極13とを備える。
樹脂成形体9は、長さ方向Lにおいて相対する第1端面9a及び第2端面9bと、厚さ方向Tにおいて相対する底面9c及び上面9dと、幅方向Wにおいて相対する第1側面9e及び第2側面9fとを有している。樹脂成形体9の第1端面9aには第1外部電極11が形成され、第2端面9bには第2外部電極13が形成されている。
図2は、図1に示す固体電解コンデンサのII-II線断面図である。
樹脂成形体9は、複数のコンデンサ素子20を含む積層体30と、封止樹脂8とを備える。複数のコンデンサ素子20が積層されて積層体30となり、積層体30の周囲が封止樹脂8で封止されて樹脂成形体9となっている。積層体30において、積層されたコンデンサ素子20の間は、導電性接着剤(図示しない)を介して互いに接合されていてもよい。
なお、積層体30は、複数のコンデンサ素子20を含むことが好ましいが、1つのコンデンサ素子20を含んでいてもよい。
コンデンサ素子20は、表面に誘電体層5を有する陽極3と、誘電体層5を介して陽極3に対向する陰極7とを備える。第1外部電極11は、樹脂成形体9の第1端面9aに形成されていて、第1端面9aから露出する陽極3と電気的に接続されている。第2外部電極13は、樹脂成形体9の第2端面9bに形成されていて、第2端面9bから露出する陰極7と電気的に接続されている。
コンデンサ素子20を構成する陽極3は、弁作用金属基体3aを中心に有し、エッチング層等の多孔質層(図示しない)を表面に有している。多孔質層の表面には誘電体層5が設けられている。
弁作用金属基体3aを構成する弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、ケイ素等の金属単体、又は、これらの金属を含む合金等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
弁作用金属基体3aの形状は特に限定されないが、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。また、多孔質層は塩酸等によりエッチング処理されたエッチング層であることが好ましい。
陽極3は、樹脂成形体9の第1端面9aに引き出されて第1外部電極11に電気的に接続される。
誘電体層5は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、弁作用金属基体3aとしてアルミニウム箔が用いられる場合、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、又は、それらのナトリウム塩、アンモニウム塩等を含む水溶液中で陽極酸化することにより、誘電体層5となる酸化皮膜を形成することができる。
誘電体層5は多孔質層の表面に沿って形成されることにより細孔(凹部)が形成されている。誘電体層5の厚さは、固体電解コンデンサに要求される耐電圧、静電容量に合わせて設計される。
コンデンサ素子20を構成する陰極7は、例えば、誘電体層5上に形成される固体電解質層7aと、固体電解質層7a上に形成される導電層7bと、導電層7b上に形成される陰極引き出し層7cとを含む。
固体電解質層7aは、誘電体層5に接している。固体電解質層7aは、上述したように、ドーパントとしてスルホン酸を含有する導電性高分子と、ポリビニルアセタールとを含む。固体電解質層7aの厚さは、2μm以上であることが好ましく、20μm以下であることが好ましい。
導電層7bは、固体電解質層7aと陰極引き出し層7cとを電気的に及び機械的に接続させるために設けられる。導電層7bは、例えば、カーボンペースト、グラフェンペースト又は銀ペーストのような導電性ペーストを付与することによって形成されてなるカーボン層、グラフェン層又は銀層であることが好ましい。また、導電層7bは、カーボン層やグラフェン層の上に銀層が設けられた複合層や、カーボンペーストやグラフェンペーストと銀ペーストを混合する混合層であってもよい。
導電層7bは、カーボンペースト等の導電性ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって固体電解質層7a上に形成することにより形成することができる。なお、導電層7bが乾燥前の粘性のある状態で、次工程の陰極引き出し層7cを積層することが好ましい。
陰極引き出し層7cは、金属箔又は印刷電極層により形成することができる。
金属箔の場合は、Al、Cu、Ag及びこれらの金属を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。金属箔が上記の金属からなると、金属箔の抵抗値を低減させることができ、ESRを低減させることができる。また、金属箔として、表面にスパッタや蒸着等の成膜方法によりカーボンコートやチタンコートがされた金属箔を用いてもよい。カーボンコートされたAl箔を用いることがより好ましい。金属箔の厚みは特に限定されないが、製造工程でのハンドリング、小型化及びESR低減の観点からは、20μm以上であることが好ましく、50μm以下であることが好ましい。
印刷電極層の場合は、電極ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって導電層7b上に形成することにより、所定の領域に陰極引き出し層7cを形成することができる。電極ペーストとしては、Ag、Cu又はNiを主成分とする電極ペーストが好ましい。印刷電極層は金属箔よりも薄くすることが可能であり、スクリーン印刷の場合、陰極引き出し層7cを20μm以下の厚さとすることも可能である。
陰極引き出し層7cは、樹脂成形体9の第2端面9bに引き出されて第2外部電極13に電気的に接続される。
樹脂成形体9を構成する封止樹脂8は、少なくとも樹脂を含み、好ましくは樹脂及びフィラーを含む。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー等を用いることが好ましい。封止樹脂8の形態は、固形樹脂、液状樹脂いずれも使用可能である。また、フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等を用いることが好ましい。固形エポキシ樹脂とフェノール樹脂にシリカ粒子を含む材料を用いることがより好ましい。
樹脂成形体9の成形方法としては、固形封止材を用いる場合は、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等の樹脂モールドを用いることが好ましく、コンプレッションモールドを用いることがより好ましい。また、液状封止材を用いる場合は、ディスペンス法や印刷法等の成形方法を用いることが好ましい。中でも、コンプレッションモールドによりコンデンサ素子20の積層体30を封止樹脂8で封止して樹脂成形体9とすることが好ましい。
樹脂成形体9は、樹脂モールド後のバレル研磨等により、角部に丸みが付けられていることが好ましい。
第1外部電極11は、例えば、内層めっき層11aと、樹脂電極層11bと、外層めっき層11cとを含む。第2外部電極13は、例えば、内層めっき層13aと、樹脂電極層13bと、外層めっき層13cとを含む。
陽極3の表面に形成される内層めっき層11aは、ジンケート処理により形成されることが好ましい。すなわち、樹脂成形体9の第1端面9aから露出する陽極3のアルミニウム箔の表面をアルカリエッチングし、陽極3の酸化膜を除去した後、Znめっきを行う。次に無電解Niめっきによる置換めっきを行うことにより、内層めっき層11aを形成することが好ましい。
陰極引き出し層7cの表面に形成される内層めっき層13aも、陽極3の表面に形成される内層めっき層11aと同様の方法で形成することができるが、ジンケート処理は行わなくてもよい。ただし、陰極引き出し層7cにAlが含まれる場合はジンケート処理を行うことが好ましい。
内層めっき層11a、13aとしては、例えば、Niめっき層、Cuめっき層、Agめっき層が挙げられる。内層めっき層11a、13aは、2層以上であってもよい。
樹脂電極層11b、13bは、導電成分と樹脂成分とを含む。
樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを主成分として含むことが好ましい。
導電成分は、Ni、Cu及びAgからなる群から選択される1種以上の金属であることが好ましい。導電成分は、Ni、Cu及びAgからなる群から選択される1種以上の金属を含む合金であってもよい。
樹脂電極層11b、13bは、電極ペーストのスクリーン印刷により形成された印刷樹脂電極層であることが好ましい。樹脂電極層11b、13bを電極ペーストのスクリーン印刷により形成する場合には、電極ペーストのディップにより形成する場合と比べて、第1外部電極11及び第2外部電極13を平坦にすることができる。すなわち、第1外部電極11及び第2外部電極13の膜厚を均一にすることができる。
樹脂電極層11b、13bの表面には、外層めっき層11c、13cが設けられていてもよい。
外層めっき層11c、13cとしては、Niめっき層又はSnめっき層であることが好ましい。外層めっき層11c、13cは、2層以上であってもよい。
図1に示す固体電解コンデンサ1は、例えば、以下の方法により製造することができる。
[コンデンサ素子の作製]
エッチング層等の多孔質層を表面に有する、アルミニウム箔等の弁作用金属基体3aを準備し、多孔質層の表面に陽極酸化を行って誘電体層5を形成する。
誘電体層5上にスクリーン印刷により固体電解質層7aを形成し、続けて固体電解質層7a上にスクリーン印刷によりカーボン層等の導電層7bを形成し、さらに導電層7b上に陰極引き出し層7cをシート積層又はスクリーン印刷により形成する。
上記工程により、コンデンサ素子20が得られる。
[コンデンサ素子の積層、樹脂封止]
複数のコンデンサ素子20を積層体30として、コンプレッションモールドにより封止樹脂8で封止して樹脂成形体9とする。
[外部電極の形成]
樹脂成形体9の第1端面9a及び第2端面9bに、ジンケート処理、置換めっきを行って内層めっき層11a及び13aをそれぞれ形成する。続いて、樹脂成形体9の第1端面9a及び第2端面9bに、樹脂電極層11b及び13bをそれぞれ形成する。さらに、樹脂電極層11b及び13bの表面に、外層めっき層11c及び13cをそれぞれ形成する。以上により、第1外部電極11及び第2外部電極13が形成される。
上記工程により、固体電解コンデンサ1が得られる。
本発明の固体電解コンデンサは、図1及び図2に示す構成に限定されるものではなく、固体電解コンデンサの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
以下、本発明の固体電解コンデンサをより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[コンデンサの作製]
(比較例1)
弁作用金属基体として、表面にエッチング層を有するアルミニウム化成箔を準備した。アルミニウム化成箔の表面をアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させて陽極酸化処理することにより、アルミニウム化成箔の切断面に誘電体層を形成した。
次に、誘電体層上に、有機スルホン酸第2鉄塩の溶液と、3,4-エチレンジオキシチオフェンの溶液を順次浸漬し、乾燥して、導電性高分子膜を形成した。
その後、導電性高分子膜を形成した上記基体を純水に浸漬し、反応残渣を洗浄によって取り除くことで、固体電解質層とした。
固体電解質層の表面にカーボンペーストをスクリーン印刷してカーボン層を形成した後、さらに銀ペーストをカーボン層上にスクリーン印刷して銀層を形成することで、コンデンサ素子を得た。
得られたコンデンサ素子を積層し、積層体を得た。その後、エポキシ樹脂を用いて上記積層体の封止を行い、外部電極を形成することで、コンデンサの完成品を得た。
(実施例1)
誘電体層上に、ポリビニルブチラール(PVB)を含有した有機スルホン酸第2鉄塩の溶液と、3,4-エチレンジオキシチオフェンの溶液を順次浸漬し、乾燥して、導電性高分子膜を形成したことを除いて、比較例1と同様の方法によりコンデンサの完成品を得た。実施例1では、表1に示すように、コンデンサの完成品において、導電性高分子及びPVBの合計100重量部に対するPVBの含有量が0.01重量部となるようにPVBを含有した有機スルホン酸第2鉄塩の溶液を使用した。
(実施例2~11)
導電性高分子及びPVBの合計100重量部に対するPVBの含有量が表1に示す値となるようにPVBを含有した有機スルホン酸第2鉄塩の溶液を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法によりコンデンサの完成品を得た。
[初期ESR]
比較例1及び実施例1~11のコンデンサについて、LCRメーターを用いて、100kHzにおけるESRを測定し、この値を初期ESRとした。比較例1の初期ESRを1.00とした場合の相対値を表1に示す。
[高温試験でのESR変化率]
比較例1及び実施例1~11のコンデンサについて、105℃で1000時間放置する高温試験を行った後、100kHzにおけるESRを測定した。試験前後でのESR変化率(初期比)を表1に示す。
[耐湿試験中の固体電解質層の剥離率]
比較例1及び実施例1~11のコンデンサについて、85℃85%で1000時間放置する耐湿試験を行った後、固体電解質層が誘電体層から剥離しているかどうかを目視で判定し、剥離が発生した割合を剥離率として求めた。耐湿試験中の固体電解質層の剥離率を表1に示す。
Figure 0007392379000001
表1より、固体電解質層にPVBが含まれる実施例1~11では、固体電解質層にPVBが含まれない比較例1と比べて、ESR変化率が低くなっている。
また、実施例1~11では、比較例1と比べて、耐湿試験中に固体電解質層の剥離が発生した割合も低くなっている。
PVBの含有量が少なくなるほど耐湿試験中に固体電解質層の剥離が発生した割合が高くなり、一方、PVBの含有量が多くなるほど初期ESRが高くなることを考慮すると、導電性高分子及びPVBの合計100重量部に対するPVBの含有量は、0.02重量部以上1重量部以下であることが好ましいと考えられる。
1 固体電解コンデンサ
3 陽極
3a 弁作用金属基体
5 誘電体層
7 陰極
7a 固体電解質層
7b 導電層
7c 陰極引き出し層
8 封止樹脂
9 樹脂成形体
9a 樹脂成形体の第1端面
9b 樹脂成形体の第2端面
9c 樹脂成形体の底面
9d 樹脂成形体の上面
9e 樹脂成形体の第1側面
9f 樹脂成形体の第2側面
11 第1外部電極
11a、13a 内層めっき層
11b、13b 樹脂電極層
11c、13c 外層めっき層
13 第2外部電極
20 コンデンサ素子
30 積層体

Claims (2)

  1. 表面に誘電体層を有する陽極と、
    前記誘電体層を介して前記陽極に対向する陰極と、を備える固体電解コンデンサであって、
    前記陰極は、前記誘電体層に接する固体電解質層を含み、
    前記固体電解質層は、ドーパントとしてスルホン酸を含有する導電性高分子と、ポリビニルアセタールとを含み、
    前記導電性高分子及び前記ポリビニルアセタールの合計100重量部に対する前記ポリビニルアセタールの含有量が0.02重量部以上1重量部以下である、固体電解コンデンサ。
  2. 前記ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラールである、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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