JP4014418B2 - 電気化学ディバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、エレクトクロミックディスプレイ等の電気化学ディバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯機器の発展に伴い、その電源として電池やキャパシタ、湿式の太陽電池のような電気化学的現象を利用した電気化学ディバイスの開発が盛んに行われるようになった。また、電源以外の電気化学ディバイスとしては、電気化学反応により色の変化が起こるエレクトロクロミックディスプレイ(ECD)が挙げられる。
【0003】
これらの電気化学ディバイスは、一般に一対の電極とその間を満たすイオン伝導体から構成される。この電極の材料としては酸化還元を可逆的に行うことが可能な金属類、遷移金属の酸化物、窒化物、硫化物、カーボン材料等、非常に多種類のものが正極と負極で組み合わされて使用されるが、一般に金属類やカーボン材料を負極に、そして遷移金属の化合物を正極に使う場合が多い。しかしながら、遷移金属は資源量的に問題がある上に、廃棄する際に環境を汚染する恐れがある。
【0004】
そして、これらのディバイスのイオン伝導体には溶媒中に電解質と呼ばれる塩類を溶解したものが用いられる。この電解質は溶解することにより、カチオンとアニオンに解離して、イオン伝導する。ディバイスに必要なイオン伝導度を得るためには、この電解質が溶媒に十分な量、溶解することが必要である。この溶媒として水や有機溶媒を用いる場合が多い。有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等が用いられている。しかしながら、水は酸化還元に弱いため、使用できる電極材料に限りがあり、上記のような有機溶媒は一般に揮発しやすく、引火性も高いために可燃性物質に分類されるものであるので電力貯蔵用、電気自動車用電源等のように比較的大型のディバイスにおいては特に過充電、過放電時、ショート時のような非定常時、さらには高温環境下において安全性が低いという問題点があった。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み、環境への負荷が少なく、安全性の高い電気化学ディバイスを構成するために鋭意検討を行った。その結果、正極または負極の電極材料として、特定のイオン液体中で重合性化合物を電解重合して合成された導電性高分子を使用し、かつ電極間のイオン伝導体に特定のイオン液体を使用する場合に、有用な電気化学ディバイスを構成できることを見いだした。
【0006】
すなわち本発明者らは、導電性高分子の電極材料としての使用、および電解液としての、特定のイオン液体の使用という、2つの異なる概念を組み合わせた電気化学ディバイスにおいて、上記導電性高分子を、イオン液体中で重合性化合物を電解重合して合成すると、容量が高く、長寿命の電気化学ディバイスを構成できることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】
このように、本発明は、少なくとも正極、負極及びその間を満たすイオン伝導体からなり、該正極、負極のいずれか一方もしくは両方に導電性高分子を使用し、イオン伝導体にはイオン液体を使用する電気化学ディバイスであって、
上記、イオン液体のアニオン部が、一般式[1 ] 、一般式[2]、一般式[3]で示される化学構造式よりなるもの、
【化7】
【化8】
【化9】
(但し、x、y、zはそれぞれ独立で、1から8の整数を表す。)、及びPF 6 - 、BF 4 - 、ClO 4 - から選ばれた少なくとも一つよりなり、
上記、導電性高分子が、上記イオン液体中で重合性化合物を電解重合して合成されたものである、
ことを特徴とする、電気化学ディバイスを提供する。
さらに本発明は、導電性高分子がポリピロール若しくはその誘導体、またはポリチオフェン若しくはその誘導体であることを特徴とする、前記の電気化学ディバイスを提供する。
また本発明は、イオン液体のカチオン部が、4級アルキルアンモニウムまたは一般式[4]で示されるイミダゾリウムから選ばれた少なくとも一つよりなることを特徴とする前記、電気化学ディバイスを提供する。
【化10】
但しR 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 はそれぞれ独立で、炭素数が1〜20のアルキル基または水素原子を表す。
また本発明は、電解重合が、イオン液体中における重合性化合物(モノマー)の濃度が0.01〜5.0mol/dm 3 の条件で行なわれる、前記の電気化学ディバイスを提供する。
また本発明は、少なくとも正極、負極及びその間を満たすイオン伝導体からなり、少なくとも該正極に導電性高分子を使用し、イオン伝導体にはイオン液体を使用する電気化学ディバイスであって、
ディバイスを構成する上記イオン液体が、式[5]に表される1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレート
【化11】
又は、式[6]で表されるトリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化12】
であり、かつ、
上記導電性高分子が、1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレート中で、ピロールまたはチオフェンを電解重合して合成されたものであることを特徴とする、電気化学ディバイスを提供する。
また本発明は、前記何れかのイオン液体中で重合性化合物を電解重合し、導電性高分子を電極上に析出させることを特徴とする、前記の電気化学ディバイスに使用する導電性高分子の合成法を提供する。
【0008】
以下に、本発明をより詳細に説明する。本発明の電気化学ディバイスにおいては、正極、負極のいずれか一方もしくは両方の活物質として導電性高分子を用いている。この導電性高分子は、高い電気伝導度を持つことに加え、安定な酸化還元が可逆的になされ、しかも有害な重金属類を含まない。このため、本発明の電気化学ディバイスは、重金属類の資源量に左右されにくく、安定に安価に供給でき、しかも、廃棄する際も環境に与える負荷が小さいという優れた特徴を有している。さらにイオン伝導体である電解液として、従来のように有機溶媒を用いることなく、代わりにイオン液体を使用している。イオン液体は蒸気圧もほとんどなく、そのために引火性もほとんどないので、本発明の電気化学ディバイスは、電力貯蔵用、電気自動車用電源等のように比較的大型のディバイスにおいては80℃程度の高温時においてもディバイスの内部よりの加圧等がなく、特に過充電、過放電時、ショート時のような非定常時、さらなる高温環境下において安全性が高く、発火、爆発等の事故を起こしにくいという特徴を有する。
【0009】
電極材料として用いる導電性高分子としては、共役系高分子であるポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体等が挙げられる。誘導体とは、それぞれの高分子の基本骨格の一部にアルキル基、アリール基等の官能基が結合したものを表し、これらは特に限定するものではないが、ハロゲンやヘテロ元素を含んでいても良い。導電性高分子の合成は、従来からのモノマーの水溶液や有機溶媒溶液に一対の電極により電位をかけ、モノマーを酸化重合させ電極上に析出させる電解重合法や、モノマーの水溶液や有機溶媒溶液にラジカル発生剤、酸または塩基などの重合開始剤を加え、化学的に重合する方法を適用して合成した導電性高分子では、ディバイスは作動するものの、活性が低く、十分な容量がとれないという問題点がある。種々検討の結果、原因は明らかではないが、モノマーをイオン液体に溶かし、この溶液に一対の電極により電位をかけてモノマーを酸化重合させ、電極上に析出させる電解重合法によって得られる導電性高分子は非常に活性が高く、高容量を示すことが判明した。しかもこの方法により得られた導電性高分子を用いたディバイスは充放電サイクル特性が非常に優れており、長寿命の電気化学ディバイスを得ることができることが分かった。
【0010】
本発明の導電性高分子の合成法(電解重合法)について説明する。電解重合時の溶媒兼支持電解質としては、後述する種類のイオン液体、もしくはイオン液体に他の支持電解質を添加したものを使用するのが好ましい。添加する支持塩としてはClO4 -、PF6 - 、BF4 - 、CF3SO3 -、N(CF3SO2)2 - およびSbF6 -等のアニオンを含有する金属塩、オニウム塩等が用いられる。
【0011】
重合する重合性化合物(モノマー)の濃度は、0.01〜5.0mol/dm3、好ましくは0.05〜1.0mol/dm3で行う。0.01mol/dm3より濃度が低い場合は反応速度が遅く、しかも副反応が起こりやすく、効率的な重合が行えず、5.0mol/dm3より濃度が高い場合は、電解重合で高分子になる前のオリゴマー状態の中間体がモノマーに溶解するため、電極上に析出、定着できず高分子量にならず、特性を劣化させる問題が生ずるので好ましくない。
【0012】
電解重合に用いられる電極は、特に限定するものではないが、電気化学反応に用いられる白金、パラジウム、金、銀、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属またはこれらに類した導電性材料や炭素材料の電極が用いられる。
【0013】
電解重合の方式は、特に限定するものではないが、一般の定電位電解重合法、定電流電解重合法、電位走査電解重合法等が行われる。また、参照電極を使用せず2極式で行っても良いし、参照電極を使用した3極式で行っても良い。どの方式を採用するにしても電位をモニターして印加されている電位が上限電位を越えないように電解重合をコントロールする必要がある。上限電位を越えると導電性高分子の酸化分解が起こるため、伝導度が下がったり活性が落ちる等の問題が起こる。上限電位はモノマーの酸化還元電位により異なってくるが、SCE(飽和カロメル電極)を参照電極とした場合、+3.0V、好ましくは+2.0V、さらに好ましくは+1.5Vである。定電位電解重合、電位走査電解重合法の場合は上限電位以下の電位に設定して電解を行えばよいし、定電流電解重合の場合は電位をモニターしながら上限を越えないように電流値を設定して電解を行えばよい。
【0014】
以上のような方法で得られる導電性高分子を用いて電気化学ディバイスを構成する場合、その基本構成要素は、イオン伝導体、負極、正極、集電体、セパレーターおよび容器等である。本発明の電気化学ディバイスは、具体的にはリチウム電池、リチウムイオン電池、キャパシター、エレクトロクロミックディスプレー、湿式太陽電池、センサー等が挙げられる。
【0015】
本発明で用いる導電性高分子は、正極、負極のどちらに用いてもよいが、好ましくは導電性高分子を正極として用いて、負極には、酸化還元電位が卑な方向にあるアルカリ金属やアルカリ土類金属、若しくはそれらの合金を、カーボン、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物等に挿入(インターカレート)した材料を用いると良い。そうすることによりディバイスの電圧を高くし、エネルギー密度を上げることが可能となる。
【0016】
本発明において電気ディバイスを構成するイオン伝導体として、また導電性高分子の重合時の溶媒として用いるイオン液体とは、100℃以下で液体となり得る、全体がカチオン部とアニオン部からなるイオン性化合物であって、かつ、そのアニオン部が一般式[1]で示されるパーフルオロアルカンスルホン酸イオン、一般式[2]で示されるパーフルオロアルカンスルホン酸イミドイオン、一般式[3]で示されるパーフルオロアルカンスルホン酸メチドイオン、及びPF 6 - 、BF 4 - 、ClO 4 - から選ばれた少なくとも一つからなるイオン性化合物をいう。
【0017】
カチオン部としては、4級アルキルアンモニウムイオンまたは一般式[4]で示されるイミダゾリウムイオンから選ばれた少なくとも一つからなるものが好ましい。
【0018】
【化13】
【0019】
【化14】
【0020】
【化15】
【0021】
但し、x、y、zはそれぞれ独立で、1から8の整数を表す。
【0022】
【化16】
【0023】
但し、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立で、炭素数が1から20のアルキル基または水素原子を表す。
これらのイオン液体のアニオンの具体例としては、CF3SO3 -、C2F5SO3 -、C4F9SO3 -、PF6 -、BF4 -、ClO4 -の他、以下に示すイミドやメチドアニオン類が挙げられる。ただし、これらの具体例に限定されるものではない。
【0024】
【化17】
【0025】
次にこれらのイオン液体のカチオンの具体例を以下に示す。ただし、これらの具体例に限定されるものではない。
【0026】
【化18】
【0027】
これらのイオン液体は単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いても良い。また、電気化学ディバイスに使用される電極の種類によって電極間のイオン伝導体中に必要とされるイオンが決まってくるが、電極の種類に合わせてそれらのイオンを含有する電解質塩を適宜イオン液体に添加して使用する。例えば、正極にポリピロール、負極にリチウム金属を用いる場合は、このディバイスの充放電反応により正極中にはいかなる種類のアニオンでも挿入、脱離が可能であるが、負極上ではリチウムの析出、溶解を起こす必要があるため、適当なイオン液体中にリチウムを含有するLiClO4、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3SO3 、LiN(CF3SO2)2、またはLiSbF6等の電解質塩を添加して使用する必要がある。これらの電解質塩は特に限定するものではなく、電極に必要なカチオンを含有しているものであれば良い。これらは単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いても良い。これらの添加する電解質塩の濃度は、0.1から3.0mol/dm3の範囲であるのが好ましい。0.1mol/dm3未満であると有効なカチオン量が不足するために電荷移動抵抗が大きくなりすぎて、電気化学ディバイスの効率が低下し十分に作動しない。逆に、3.0mol/dm3を越えると、溶液の粘度が上昇し、液体状態を保つことが困難となる。以上の点から、特にこの濃度は0.5から2.0mol/dm3の範囲であることが好ましい。ただし、イオン液体の有するイオンのみで作動する電極の組み合わせの場合はこの限りではない。
【0028】
また、電気化学ディバイスを構成するイオン伝導体としては、ディバイスに必要とされる特性に合わせて、イオン液体のみに限らず有機溶媒等を混合して粘性を下げて使用することも可能である。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、バレロラクトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、リン酸エステル等が用いられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いても良い。ただし、蒸気圧が高く、引火性も強いものを多量に混合すると、本発明の利点を損なうことになるため、注意が必要である。
【0029】
さらに、これらのイオン液体を用いて該電気化学ディバイスを構成する場合は、液体状態での使用に限らず、高分子化合物を複合化させることによって、ゲル状に固体化して用いても良い。この高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン等や各種アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、アクリルアミド系モノマー、アリル系モノマー、スチレン系モノマー、エポキシ系モノマー等の重合体が用いられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いても良い。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
ピロールを0.1mol/dm3の濃度になるように、式[5]に表される1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに溶解した。
【0031】
【化19】
【0032】
得られた溶液を、作用極、対極として一対の白金電極(1×1cm2)、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を備えたビーカー型セルに入れて、走査速度100mV/s、走査幅−0.8から+1.2V(vs.SCE)、走査回数20サイクルで電位走査電解重合を行った。作用極上に生成したポリピロールをアセトニトリルで十分に洗浄した後、減圧乾燥して、白金上にコートされた状態のポリピロールフィルムを得た。
【0033】
次に電極の電気化学的な活性を調べるために、得られたポリピロール(白金上にコートされた状態で用いた)を作用極、白金電極を対極、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに浸して、走査速度100mV/s、走査幅−0.6から+1.0V(vs.SCE)で電位走査を行った。
その結果、可逆的に酸化還元され、酸化ピークが約+0.2V、還元ピークが約−0.2Vに観察された。1サイクル目の酸化ピーク電流値は6.0mA、50サイクルで5.0mAで、劣化もなく安定に酸化還元が繰り返された。
[実施例2]
ピロールを0.2mol/dm3の濃度になるように1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに溶解した。この溶液を、作用極、対極として一対のアルミニウム電極(3×3cm2)、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を備えたビーカー型セルに入れて、電位+1.2V(vs.SCE)で定電位電解重合を行った。作用極上に生成したポリピロールをアセトニトリルで十分に洗浄した後、減圧乾燥して、アルミニウム上にコートされた状態のポリピロールフィルムを得た。
【0034】
次に得られたポリピロールを正極材料、天然黒鉛を負極材料、式[6]に示すトリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【0035】
【化20】
【0036】
を溶媒、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを支持電解質としてセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。
【0037】
正極のポリピロールは上記、重合の時点でアルミニウム電極板上に析出しているので、正極としてそのまま使用した。一方、天然黒鉛粉末と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:10の重量比で混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状にした。このスラリーを銅箔上に塗布して、150℃で12時間乾燥させ、得られたものを負極体とした。セパレータとしては、ポリエチレン製セパレータを用い、予め1.0mol/dm3のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを溶解させたトリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド溶液を浸み込ませてから、セルを組み立てた。
【0038】
次に、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。環境温度25℃で充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、+4.2V、放電は、+3.0V(vs.Li/Li+)まで行った。その結果、初回の容量は乾燥ポリマー重量あたりで69mAh/gであった。500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の87%という結果が得られた。
【0039】
また、ここで用いた電解液をろ紙にしみ込ませ、炎をあてて燃焼試験を行ったが全く燃焼しなかった。
[実施例3]
チオフェンを1.0mol/dm3の濃度になるように1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに溶解した。この溶液を、作用極、対極として一対の白金電極(1×1cm2)、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を備えたビーカー型セルに入れて、走査速度100mV/s、走査幅−0.4から+2.1V(vs.SCE)、走査回数20サイクルで電位走査電解重合を行った。作用極上に生成したポリチオフェンをアセトニトリルで十分に洗浄した後、減圧乾燥して、白金上にコートされた状態のポリチオフェンフィルムを得た。
【0040】
次に電極の電気化学的な活性を調べるために、上記得られたポリチオフェン(白金上に析出したまま用いた)を作用極、白金電極を対極、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに浸して、走査速度100mV/s、走査幅−0.4から+1.7V(vs.SCE)で電位走査を行った。
【0041】
その結果、可逆的に酸化還元され、酸化ピークが約+1.6V、還元ピークが約+0.3Vに観察された。1サイクル目の酸化ピーク電流値は20.0mA、50サイクルで20.0mAで、劣化もなく安定に酸化還元が繰り返された。
[比較例1]
ピロールを0.1mol/dm3の濃度になるように、また1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートを支持電解質として0.1mol/dm3の濃度になるように、それぞれアセトニトリルに溶解した。この溶液を作用極、対極として一対の白金電極(1×1cm2)、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を備えたビーカー型セルに入れて、走査速度100mV/s、走査幅−0.8から+1.2V(vs.SCE)、走査回数20サイクルで電位走査電解重合を行った。作用極上に生成したポリピロールをアセトニトリルで十分に洗浄した後、減圧乾燥して、白金上にコートされた状態のポリピロールフィルムを得た。
【0042】
次に電極の電気化学的な活性を調べるために、得られたポリピロール(白金上にコートされた状態で用いた)を作用極、白金電極を対極、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに浸して、走査速度100mV/s、走査幅−0.6から+1.0V(vs.SCE)で電位走査を行った。
【0043】
その結果、酸化還元電流は流れたもののピーク位置のはっきりとしない可逆性の低い酸化還元波が観察され、1サイクル目の酸化電流値は0.1mAで、50サイクル後はほとんど電流が流れていなかった。
[比較例2]
チオフェンを1.0mol/dm3の濃度になるように、また1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートを支持電解質として0.1mol/dm3の濃度になるように、それぞれアセトニトリルに溶解した。この溶液を作用極、対極として一対の白金電極(1×1cm2)、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を備えたビーカー型セルに入れて、走査速度100mV/s、走査幅−0.4から+2.1V(vs.SCE)、走査回数20サイクルで電位走査電解重合を行った。作用極上に生成したポリチオフェンをアセトニトリルで十分に洗浄した後、減圧乾燥して、白金上にコートされた状態のポリチオフェンフィルムを得た。
【0044】
次に電極の電気化学的な活性を調べるために、得られたポリチオフェン(白金上にコートされた状態で用いた)を作用極、白金電極を対極、参照極として塩橋で接続されたSCE(飽和カルメル電極)を1,3−エチルメチルイミダゾリウムトリフレートに浸して、走査速度100mV/s、走査幅−0.4から+1.7V(vs.SCE)で電位走査を行った。
【0045】
その結果、可逆的に酸化還元され、酸化ピークが約+1.6V、還元ピークが約+0.3Vに観察された。1サイクル目の酸化ピーク電流値は7.0mAと、やや小さい値であったが、50サイクル後においても7.0mAで、劣化はなく安定に酸化還元が繰り返された。
【0046】
【発明の効果】
本発明の電解質は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される電極およびイオン伝導体に関するものであり、安全性が高く、優れた性能を有する電気化学ディバイスを提供する。
Claims (6)
- 導電性高分子がポリピロール若しくはその誘導体、またはポリチオフェン若しくはその誘導体であることを特徴とする、請求項1記載の電気化学ディバイス。
- 電解重合が、イオン液体中における重合性化合物(モノマー)の濃度が0.01〜5.0mol/dm 3 の条件で行なわれる、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電気化学ディバイス。
- 請求項1乃至請求項5の何れかに記載のイオン液体中で重合性化合物を電解重合し、導電性高分子を電極上に析出させることを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電気化学ディバイスに使用する導電性高分子の合成法。
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