JP4104293B2 - 電気化学ディバイス用電解質、その電解液または固体電解質並びに電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される優れたサイクル特性を示す電解質、電解液または固体電解質、及びそれを用いた電池に関する。
【0002】
【従来技術】
近年の携帯機器の発展に伴い、その電源として電池やキャパシタのような電気化学的現象を利用した電気化学ディバイスの開発が盛んに行われるようになった。また、電源以外の電気化学ディバイスとしては、電気化学反応により色の変化が起こるエレクトロクロミックディスプレイ(ECD)が挙げられる。
【0003】
これらの電気化学ディバイスは、一般に一対の電極とその間を満たすイオン伝導体から構成される。このイオン伝導体には、溶媒、高分子またはそれらの混合物中に電解質と呼ばれるカチオン(A+)とアニオン(B-)からなる塩類(AB)を溶解したものが用いられる。この電解質は溶解することにより、カチオンとアニオンに解離して、イオン伝導する。ディバイスに必要なイオン伝導度を得るためには、この電解質が溶媒や高分子に十分な量溶解することが必要である。実際は水以外のものを溶媒として用いる場合が多く、このような有機溶媒や高分子に十分な溶解度を持つ電解質は現状では数種類に限定される。例えば、リチウム電池用電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4 、LiAsF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2 、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)およびLiCF3SO3のみである。カチオンの部分はリチウム電池のリチウムイオンのように、ディバイスにより決まっているものが多いが、アニオンの部分は溶解性が高いという条件を満たせば使用可能である。
【0004】
ディバイスの応用範囲が多種多様化している中で、それぞれの用途に対する最適な電解質が探索されているが、現状ではアニオンの種類が少ないため最適化も限界に達している。また、既存の電解質は種々の問題を持っており、新規のアニオン部を有する電解質が要望されている。具体的にはClO4イオンは爆発性、AsF6イオンは毒性を有するため安全上の理由で使用できない。唯一実用化されているLiPF6も耐熱性、耐加水分解性などの問題を有する。また、LiN(CF3SO2)2、LiN(SO2C2F5)2 、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)およびLiCF3SO3は安定性が高く、イオン伝導度も高いため非常に優れた電解質であるが、電池内のアルミニウムの集電体を電位がかかった状態で腐食するため使用が困難である。
【0005】
【問題点を解決するための具体的手段】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み鋭意検討の結果、新規の化学構造的な特徴を有する電解質と従来の電解質を組み合わせた系により優れた特性が得られることを見出し本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本発明は、下記式(1a)
【化4】
(1a)
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体と、LiN(SO 2 C 2 F 5 ) 2 またはLiN(SO 2 CF 3 )(SO 2 C 4 F 9 )の構造を有するリチウム塩よりなる電気化学ディバイス用電解質であって、
上記ホウ酸リチウム誘導体と上記リチウム塩のモル比が、1:99〜99:1の範囲である、
上記電気化学ディバイス用電解質、
【0007】
下記式(1b)
【化5】
(1b)
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体と、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 の構造を有するリチウム塩よりなる電気化学ディバイス用電解質であって、
上記アルミン酸リチウム誘導体と上記リチウム塩のモル比が、1:99〜99:1の範囲である、
上記電気化学ディバイス用電解質、
または下記式(1c)
【化6】
(1c)
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体と、LiN(SO 2 CF 3 )(SO 2 C 4 F 9 )の構造を有するリチウム塩よりなる電気化学ディバイス用電解質であって、
上記アルミン酸リチウム誘導体と上記リチウム塩のモル比が、1:99〜99:1の範囲である、
上記電気化学ディバイス用電解質であり、
【0008】
該電解質を非水溶媒に溶解したものよりなる電気化学ディバイス用電解液または該電解質をポリマーに溶解したものよりなる電気化学ディバイス用固体電解質、及び少なくとも正極、負極、電解液または固体電解質からなり、該電解液または固体電解質に該電解質を含む電池を提供するものである。
【0010】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0011】
ここで、まず本発明で使用されるホウ酸リチウム誘導体を下記式(1a)、式(1b)、および式(1c)に示す。
【0012】
【化7】
(1a)
【0013】
【化8】
(1b)
【0014】
【化9】
(1c)
【0030】
本発明の構成の一部である上記式(1a)、式(1b)、および式(1c)で示されるホウ酸リチウム誘導体は、イオン性金属錯体構造を採っており、その中心となる金属は、Bである。Bの場合、比較的合成も容易であり、さらにBの場合、合成の容易性のほか、低毒性、安定性、コストとあらゆる面で優れた特性を有する。
【0034】
次に、式(1a)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体と混合して使用される電解質は、LiN(SO 2 C 2 F 5 ) 2 またはLiN(SO 2 CF 3 )(SO 2 C 4 F 9 )の構造を有するリチウム塩である。
また、式(1b)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体と混合して使用される電解質は、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 の構造を有するリチウム塩である。さらには、式(1c)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体と混合して使用されるリチウム塩は、LiN(SO 2 CF 3 )(SO 2 C 4 F 9 )の構造を有するリチウム塩である。これらの電解質は単独で使用すると、電池内のアルミニウムの集電体を電位がかかった状態で腐食するため、充放電サイクルを繰り返すと容量が低下するという問題点を有する。本発明においては、これらのスルホニル基を有する電解質と式(1a)、式(1b)、または式(1c)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体の電解質を混合して使用することで、このアルミニウムの集電体の腐食を防止することが可能となった。その原理の詳細は明らかではないが、式(1a)、式(1b)、または式(1c)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体の電解質が電極表面でわずかに分解してアルミニウム表面にその配位子からなる皮膜が形成され、その腐食を防止するものと推測される。
【0035】
これらの電解質の使用割合は電気化学ディバイスのサイクル特性や保存安定性の向上効果を考慮すると、以下に示す範囲が好ましい。式(1a)、式(1b)、または式(1c)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体の電解質と、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 、LiN(SO 2 C 2 F 5 ) 2 、またはLiN(SO 2 CF 3 )(SO 2 C 4 F 9 )の構造を有するリチウム塩の電解質のモル比は、1:99〜99:1であり、好ましくは20:80〜80:20である。式(1a)、式(1b)、または式(1c)の構造を有するホウ酸リチウム誘導体の電解質が1より少ない場合は、アルミニウムの腐食防止の効果が小さいため、サイクル特性、保存安定性が悪くなるし、また、99より大きい場合は、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 、LiN(SO 2 C 2 F 5 ) 2 、またはLiN(SO 2 CF 3 )(SO 2 C 4 F 9 )の構造を有するリチウム塩のイオン伝導性の高さ、電気化学的安定性が充分に発揮できない。
【0036】
本発明の電解質を用いて電気化学ディバイスを構成する場合、その基本構成要素としては、イオン伝導体、負極、正極、集電体、セパレーターおよび容器等から成る。
【0037】
イオン伝導体としては、電解質と非水系溶媒又はポリマーの混合物が用いられる。非水系溶媒を用いれば、一般にこのイオン伝導体は電解液と呼ばれ、ポリマーを用いれば、ポリマー固体電解質と呼ばれるものになる。ポリマー固体電解質には可塑剤として非水系溶媒を含有するものも含まれる。
【0038】
非水溶媒としては、本発明の電解質を溶解できる非プロトン性の溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、スルホン類等が使用できる。また、単一の溶媒だけでなく、二種類以上の混合溶媒でもよい。具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、およびγ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
【0039】
ただし、二種類以上の混合溶媒にする場合、これらの非水溶媒のうち誘電率が20以上の非プロトン性溶媒と誘電率が10以下の非プロトン性溶媒からなる混合溶媒に溶解することにより電解液を調製することが好ましい。特にリチウム塩ではジエチルエーテル、ジメチルカーボネート等の誘電率が10以下の非プロトン性溶媒に対する溶解度が低く単独では十分なイオン伝導度が得られず、また、逆に誘電率20以上の非プロトン性溶媒単独では溶解度は高いもののその粘度も高いため、イオンが移動しにくくなりやはり十分なイオン伝導度が得られない。これらを混合すれば、適当な溶解度と移動度を確保することができ十分なイオン伝導度を得ることができる。
【0040】
また、電解質を溶解するポリマーとしては、非プロトン性のポリマーであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー、ポリビニリデンフロライドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルポリマー、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらのポリマーに可塑剤を加える場合は、上記の非プロトン性非水溶媒が使用可能である。これらのイオン伝導体中における本発明の混合電解質濃度は、0.1mol/dm3以上、飽和濃度以下、好ましくは、0.5mol/dm3以上、1.5mol/dm3以下である。0.1mol/dm3より濃度が低いとイオン伝導度が低いため好ましくない。
【0041】
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池の場合、リチウム金属やリチウムと他の金属との合金が使用される。また、リチウムイオン電池の場合、ポリマー、有機物、ピッチ等を焼成して得られたカーボンや天然黒鉛、金属酸化物等のインターカレーションと呼ばれる現象を利用した材料が使用される。電気二重層キャパシタの場合、活性炭、多孔質金属酸化物、多孔質金属、導電性ポリマー等が用いられる。
【0042】
正極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 等のリチウム含有酸化物、TiO2 、V2 O5 、MoO3 等の酸化物、TiS2 、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、およびポリピロール等の導電性高分子が使用される。電気二重層キャパシタの場合、活性炭、多孔質金属酸化物、多孔質金属、導電性ポリマー等が用いられる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
【0044】
実施例1
プロピレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、
【0045】
【化19】
【0046】
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体0.05mol/lとLiN(SO2C2F5)20.95mol/lとを溶解した電解液を調製し、この電解液を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。試験用セルは作用極としてアルミニウム、対極及び参照極としてリチウム金属を有するビーカー型のものを用いた。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、全く電流は流れなかった。試験後に作用極表面をSEMで観察したが試験前と比べて変化は認められなかった。
【0047】
さらに、この電解液を用いてLiCoO2を正極材料としてハーフセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。LiCoO2粉末90重量部に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5重量部混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。負極にはリチウム金属を使用した。そして、グラスファイバーフィルターをセパレーターとしてこのセパレータに電解液を浸み込ませてセルを組み立てた。
【0048】
次に、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、118mAh/g(正極の容量)であった。また、100回充放電を繰り返したが100回目の容量は初回の93%という結果が得られた。
【0049】
実施例2
エチレンカーボネート50vol%とジエチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、
【0050】
【化20】
【0051】
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体0.10mol/lとLiN(SO2CF3)20.90mol/lとを溶解した電解液を調製し、実施例1と同様に、この電解液を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、全く電流は流れなかった。試験後に作用極表面をSEMで観察したが試験前と比べて変化は認められなかった。
【0052】
さらに、この電解液を用いてLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としてセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。
【0053】
LiCoO2粉末90重量部に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5重量部混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。また、天然黒鉛粉末90重量部に、バインダーとして10重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状にした。このスラリーを銅箔上に塗布して、150℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。そして、ポリエチレン製セパレータに電解液を浸み込ませてセルを組み立てた。
【0054】
次に、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0Vまで、行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の91%という結果が得られた。
【0055】
実施例3
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、
【0056】
【化21】
【0057】
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体0.70mol/lとLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)0.30mol/lとを溶解した電解液を調製し、実施例1と同様に、この電解液を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、全く電流は流れなかった。試験後に作用極表面をSEMで観察したが試験前と比べて変化は認められなかった。
【0058】
さらに、この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料としたハーフセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、120mAh/g(正極の容量)であった。また、100回充放電を繰り返したが100回目の容量は初回の87%という結果が得られた。
【0059】
実施例4
平均分子量10000のポリエチレンオキシド70重量部にアセトニトリルを添加して溶液を調整し、この溶液に実施例1と同様の構造を有するホウ酸リチウム誘導体を5重量部、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)を25重量部加え、これをガラス上にキャストし、乾燥して溶媒のアセトニトリルを除去することにより高分子固体電解質膜を作製した。
【0060】
次に、この高分子固体電解質膜を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。この膜を作用極のアルミニウム電極とリチウム電極で挟み、圧着し測定を行った。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、全く電流は流れなかった。試験後に作用極表面をSEMで観察したが試験前と比べて変化は認められなかった。
【0061】
次に、この高分子固体電解質膜を電解液とセパレータの代わりとして用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料としたハーフセルを作製し、70℃で以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.1mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、120mAh/g(正極の容量)であった。また、100回充放電を繰り返したが100回目の容量は初回の87%という結果が得られた。
【0062】
比較例1
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、LiN(SO2C2F5)2を1.0mol/l溶解した電解液を調製し、実施例1と同様に、この電解液を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、腐食電流が観察された。また、試験後に作用極表面をSEMで観察したところ、その表面に腐食によるものと思われるピットが多数観察された。
【0063】
次に、この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料としたハーフセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、117mAh/g(正極の容量)であった。また、100回充放電を繰り返したが100回目の容量は初回の69%という結果が得られた。
【0064】
比較例2
プロピレンカーボネート50vol%とジエチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、LiN(SO2CF3)2を1.0mol/l溶解した電解液を調製し、実施例1と同様に、この電解液を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、腐食電流が観察された。また、試験後に作用極表面をSEMで観察したところ、その表面に腐食によるものと思われるピットが多数観察された。
【0065】
次に、この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料としたハーフセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、112mAh/g(正極の容量)であった。また、100回充放電を繰り返したが100回目の容量は初回の61%という結果が得られた。
【0066】
比較例3
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)を1.0mol/l溶解した電解液を調製し、実施例1と同様に、この電解液を用いてアルミニウム集電体の腐食試験を実施した。作用極を5V(Li/Li+)に保持したところ、腐食電流が観察された。また、試験後に作用極表面をSEMで観察したところ、その表面に腐食によるものと思われるピットが多数観察された。
【0067】
次に、この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料としたハーフセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、118mAh/g(正極の容量)であった。また、100回充放電を繰り返したが100回目の容量は初回の72%という結果が得られた。
【0068】
【発明の効果】
本発明は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される従来の電解質に比べ、優れたサイクル特性、保存特性を有する電解質であり、その電解液または固体電解質並びにこれらを用いた電池を可能としたものである。
Claims (7)
- 請求項1、請求項2、または請求項3記載の電解質を非水溶媒に溶解したものよりなることを特徴とする電気化学ディバイス用電解液。
- 非水溶媒が、誘電率が20以上の非プロトン性溶媒と誘電率が10以下の非プロトン性溶媒からなる混合溶媒であることを特徴とする請求項4記載の電気化学ディバイス用電解液。
- 請求項1、請求項2、または請求項3記載の電解質をポリマーに溶解したものよりなることを特徴とする電気化学ディバイス用固体電解質。
- 少なくとも正極、負極、電解液または固体電解質からなり、該電解液または固体電解質に請求項1、請求項2、または請求項3に記載の電解質を含むことを特徴とする電池。
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