JP3730860B2 - 電気化学ディバイス用電解質、その電解液または固体電解質並びに電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される優れたサイクル特性を示す電解質、電解液または固体電解質、及びそれを用いた電池に関する。
【0002】
【従来技術】
近年の携帯機器の発展に伴い、その電源として電池やキャパシタのような電気化学的現象を利用した電気化学ディバイスの開発が盛んに行われるようになった。また、電源以外の電気化学ディバイスとしては、電気化学反応により色の変化が起こるエレクトロクロミックディスプレイ(ECD)が挙げられる。
【0003】
これらの電気化学ディバイスは、一般に一対の電極とその間を満たすイオン伝導体から構成される。このイオン伝導体には、溶媒、高分子またはそれらの混合物中に電解質と呼ばれるカチオン(A+)とアニオン(B-)からなる塩類(AB)を溶解したものが用いられる。この電解質は溶解することにより、カチオンとアニオンに解離して、イオン伝導する。ディバイスに必要なイオン伝導度を得るためには、この電解質が溶媒や高分子に十分な量溶解することが必要である。実際は水以外のものを溶媒として用いる場合が多く、このような有機溶媒や高分子に十分な溶解度を持つ電解質は現状では数種類に限定される。例えば、リチウム電池用電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4 、LiAsF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2 、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)およびLiCF3SO3のみである。カチオンの部分はリチウム電池のリチウムイオンのように、ディバイスにより決まっているものが多いが、アニオンの部分は溶解性が高いという条件を満たせば使用可能である。
【0004】
ディバイスの応用範囲が多種多様化している中で、それぞれの用途に対する最適な電解質が探索されているが、現状ではアニオンの種類が少ないため最適化も限界に達している。また、既存の電解質は種々の問題を持っており、新規のアニオン部を有する電解質が要望されている。具体的にはClO4イオンは爆発性、AsF6イオンは毒性を有するため安全上の理由で使用できない。唯一実用化されているLiPF6も耐熱性、耐加水分解性などの問題を有する。LiN(CF3SO2)2、LiN(SO2C2F5)2 、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)およびLiCF3SO3は安定性が高く、イオン伝導度も高いため非常に優れた電解質であるが、電池内のアルミニウムの集電体を電位がかかった状態で腐食するため使用が困難である。
【0005】
【問題点を解決するための具体的手段】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み鋭意検討の結果、新規の化学構造的な特徴を有する電解質と従来のものを組み合わせた系を見出し本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(1)で示される化学構造式よりなる化合物と、Aa+(PF6 -)a 、Aa+(ClO4 -)a、Aa+(BF4 -)a 、Aa+(AsF6 -)a 、またはAa+(SbF6 -)a で示される化合物のうち少なくとも一つよりなるリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解質で、
【0007】
【化2】
【0008】
Mは、B、またはP、Aa+は、Liイオン、aは、1、bは、1、pは、1、mは、1〜2、nは、1〜4、qは、0または1をそれぞれ表し、R1は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリーレン、またはC6〜C20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、また、m個存在するR1はそれぞれが結合してもよい。)で、R2は、ハロゲン、X1、X2は、Oをそれぞれ表すリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解質であり、該電解質を非水溶媒に溶解したものよりなるリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液または該電解質をポリマーに溶解したものよりなるリチウム電池及びリチウムイオン電池用固体電解質、及び少なくとも正極、負極、電解液または固体電解質からなり、該電解液または固体電解質に請求項1に記載の電解質を含む電池を提供するものである。
【0009】
なお、本発明で用いるアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、ハロゲン化アリールは、分岐や水酸基、エーテル結合等の他の官能基を持つものも含む。
【0010】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0011】
ここで、まず本発明で使用される一般式(1)で示される化合物の具体例を次に示す。
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0015】
【化6】
【0016】
ここではAa+としてリチウムイオンが挙げられる。
【0018】
本発明の構成の一部である一般式(1)で示される電解質は、イオン性金属錯体構造を採っており、その中心となるMは、遷移金属、周期律表のIII族、IV族、またはV族元素から選ばれる。好ましくは、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf、またはSbのいずれかであり、さらに好ましくは、B、またはPである。種々の元素を中心のMとして利用することは可能であるが、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf、またはSbの場合、比較的合成も容易であり、さらにB、またはPの場合、合成の容易性のほか、低毒性、安定性、コストとあらゆる面で優れた特性を有する。
【0019】
次に、一般式(1)で示される電解質(イオン性金属錯体)の特徴となる配位子の部分について説明する。以下、ここではMに結合している有機または無機の部分を配位子と呼ぶ。
【0020】
一般式(1)中のR1は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C 6 〜C20のアリーレン、またはC 6 〜C20のハロゲン化アリーレンから選ばれるものよりなるが、これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよい。具体的には、アルキレン及びアリーレン上の水素の代わりにハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基、また、アルキレン及びアリーレン上の炭素の代わりに、窒素、イオウ、酸素が導入された構造等を挙げることができる。さらには、複数存在するR1はそれぞれが結合してもよく、例えば、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
【0021】
R2は、ハロゲン、好ましくは電子吸引性の基がよく、特にフッ素がよい。R2がフッ素の場合、その強い電子吸引性による電解質の解離度の向上とサイズが小さくなることによる移動度の向上の効果により、イオン伝導度が非常に高くなる。
【0022】
X1、X2は、それぞれ独立で、O、であり、これらのヘテロ原子を介して配位子がMに結合する。ここで、O、以外で結合することは、不可能ではないが合成上非常に煩雑なものとなる。この化合物の特徴として同一の配位子内にX1とX2によるMとの結合があるため、これらの配位子がMとキレート構造を構成している。このキレートの効果により、この化合物の耐熱性、化学的安定性、耐加水分解性が向上している。この配位子中の定数qは0または1であるが、特に、0の場合はこのキレートリングが五員環になるため、キレート効果が最も強く発揮され安定性が増すため好ましい。
【0024】
また、ここまでに説明した配位子の数に関係する定数mおよびnは、中心のMの種類によって決まってくるものであるが、mは1から2、nは1から4が好ましい。
【0025】
次に、一般式(1)で示される化合物と混合して使用されるAa+(PF6 -)a 、Aa+(ClO4 -)a 、Aa+(BF4 -)a 、Aa+(AsF6 -)a 、Aa+(SbF6 -)a について以下に説明する。Aa+は、一般式(1)の化合物と共通のものが好ましい。これらの電解質は単独で使用すると、60℃以上の高温に於いてアニオンの熱分解が起こりルイス酸を発生してそれが溶媒を分解し、ディバイスの性能及び寿命を悪化させるするという問題が起こる場合がある。また、極微量の水分の混入によりアニオンが加水分解を受けて酸を発生し、これも同様にディバイスの性能及び寿命を悪化させる。本発明ではこれらの電解質と一般式(1)の電解質を混合して使用することで、この熱分解及び加水分解を抑制することが可能となった。その原理の詳細は明らかではないが、一般式(1)の電解質との何らかの相互作用により溶液全体の物性が変化しているものと推測される。
【0026】
これらの電解質の使用割合は、電気化学ディバイスのサイクル特性や保存安定性の向上効果を考慮すると、以下に示す範囲が好ましい。一般式(1)で示される電解質と、Aa+(PF6 -)a 、Aa+(ClO4 -)a 、Aa+(BF4 -)a 、Aa+(AsF6 -)a 、またはAa+(SbF6 -)a から選ばれる電解質のモル比は、5:95〜95:5、好ましくは30:70〜70:30である。一般式(1)の電解質が5より少ない場合は、分解の抑制効果が小さいため、サイクル特性、保存安定性が悪くなるし、また、95より大きい場合は、Aa+(PF6 -)a 、Aa+(ClO4 -)a 、Aa+(BF4 -)a 、Aa+(AsF6 -)a 、Aa+(SbF6 -)a のイオン伝導性の高さ、電気化学的安定性が充分に発揮できない。
【0027】
本発明の電解質を用いて電気化学ディバイスを構成する場合、その基本構成要素としては、イオン伝導体、負極、正極、集電体、セパレーターおよび容器等から成る。
【0028】
イオン伝導体としては、電解質と非水系溶媒又はポリマーの混合物が用いられる。非水系溶媒を用いれば、一般にこのイオン伝導体は電解液と呼ばれ、ポリマーを用いれば、ポリマー固体電解質と呼ばれるものになる。ポリマー固体電解質には可塑剤として非水系溶媒を含有するものも含まれる。
【0029】
非水溶媒としては、本発明の電解質を溶解できる非プロトン性の溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、スルホン類等が使用できる。また、単一の溶媒だけでなく、二種類以上の混合溶媒でもよい。具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、およびγ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
【0030】
ただし、二種類以上の混合溶媒にする場合、一般式(1)のAa+がLiイオンである電解質の場合は、これらの非水溶媒のうち誘電率が20以上の非プロトン性溶媒と誘電率が10以下の非プロトン性溶媒からなる混合溶媒に溶解することにより電解液を調製することが好ましい。特にこのリチウム塩ではジエチルエーテル、ジメチルカーボネート等の誘電率が10以下の非プロトン性溶媒に対する溶解度が低く単独では十分なイオン伝導度が得られず、また、逆に誘電率20以上の非プロトン性溶媒単独では溶解度は高いもののその粘度も高いため、イオンが移動しにくくなりやはり十分なイオン伝導度が得られない。これらを混合すれば、適当な溶解度と移動度を確保することができ十分なイオン伝導度を得ることができる。
【0031】
また、電解質を溶解するポリマーとしては、非プロトン性のポリマーであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー、ポリビニリデンフロライドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルポリマー、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらのポリマーに可塑剤を加える場合は、上記の非プロトン性非水溶媒が使用可能である。これらのイオン伝導体中における本発明の混合電解質濃度は、0.1mol/dm3以上、飽和濃度以下、好ましくは、0.5mol/dm3以上、1.5mol/dm3以下である。0.1mol/dm3より濃度が低いとイオン伝導度が低いため好ましくない。
【0032】
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池の場合、リチウム金属やリチウムと他の金属との合金が使用される。また、リチウムイオン電池の場合、ポリマー、有機物、ピッチ等をを焼成して得られたカーボンや天然黒鉛、金属酸化物等のインターカレーションと呼ばれる現象を利用した材料が使用される。電気二重層キャパシタの場合、活性炭、多孔質金属酸化物、多孔質金属、導電性ポリマー等が用いられる。
【0033】
正極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 等のリチウム含有酸化物、TiO2 、V2 O5 、MoO3 等の酸化物、TiS2 、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、およびポリピロール等の導電性高分子が使用される。電気二重層キャパシタの場合、活性炭、多孔質金属酸化物、多孔質金属、導電性ポリマー等が用いられる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
【0035】
実施例1
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、
【0036】
【化7】
【0037】
の構造を有するホウ酸リチウム誘導体を0.05mol/lとLiPF6を0.95mol/lとを溶解した電解液を調製し、この電解液を用いてLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としてセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。
【0038】
LiCoO2粉末90重量部に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5重量部混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。また、天然黒鉛粉末90重量部に、バインダーとして10重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状にした。このスラリーを銅箔上に塗布して、150℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。そして、ポリエチレン製セパレータに電解液を浸み込ませてセルを組み立てた。
【0039】
次に、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0Vまで、試験温度は70℃で行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の85%という結果が得られた。
【0040】
実施例2
プロピレンカーボネート50vol%とジエチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、実施例1と同様の構造を有するホウ酸リチウム誘導体を0.10mol/lとLiPF6を0.90mol/lとを溶解した電解液を調製した。
【0041】
この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としたセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで試験温度は70℃で行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の83%という結果が得られた。
【0042】
実施例3
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、実施例1と同様の構造を有するホウ酸リチウム誘導体を0.05mol/lとLiBF4を0.95mol/lとを溶解した電解液を調製した。
【0043】
この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としたセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで試験温度は70℃で行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の80%という結果が得られた。
【0044】
実施例4
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、実施例1と同様の構造を有するホウ酸リチウム誘導体を0.95mol/lとLiBF4を0.05mol/lとを溶解した電解液を調製した。
【0045】
この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としたセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで試験温度は70℃で行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の85%という結果が得られた。
【0046】
実施例5
平均分子量10000のポリエチレンオキシド80重量部にアセトニトリルを添加して溶液を調整し、この溶液に実施例1と同様の構造を有するホウ酸リチウム誘導体を10重量部、LiPF6を10重量部加え、これをガラス上にキャストし、乾燥して溶媒のアセトニトリルを除去することにより高分子固体電解質膜を作製した。
【0047】
次にこの高分子固体電解質膜を電解液とセパレータの代わりとして用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としたセルを作製し、70℃で以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.1mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、120mAh/g(正極の容量)であった。また、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の87%という結果が得られた。
【0048】
比較例1
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、LiPF6を1.0mol/lを溶解した電解液を調製した。
【0049】
この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としたセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで試験温度は70℃で行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の64%という結果が得られた。
【0050】
比較例2
エチレンカーボネート50vol%とジメチルカーボネート50vol%の混合溶媒中に、LiBF4を1.0mol/lを溶解した電解液を調製した。
【0051】
この電解液を用いて実施例1と同様にLiCoO2を正極材料、天然黒鉛を負極材料としたセルを作製し、以下のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで試験温度は70℃で行った。その結果、500回充放電を繰り返したが500回目の容量は初回の46%という結果が得られた。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される従来の電解質に比べ、優れたサイクル特性、保存特性を有する電解質であり、その電解液または固体電解質並びにこれらを用いた電池を可能としたものである。
Claims (5)
- 一般式(1)で示される化学構造式よりなる化合物と、Aa+(PF6 -)a 、Aa+(ClO4 -)a、Aa+(BF4 -)a 、Aa+(AsF6 -)a 、またはAa+(SbF6 -)a で示される化合物のうち少なくとも一つよりなるリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解質。
Aa+は、Liイオン、
aは、1、
bは、1、
pは、1、
mは、1〜2、
nは、1〜4、
qは、0または1をそれぞれ表し、
R1は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリーレン、またはC6〜C20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またm個存在するR1はそれぞれが結合してもよい。)、
R2は、ハロゲン、
X1、X2は、Oをそれぞれ表す。 - 請求項1記載の電解質を非水溶媒に溶解したものよりなることを特徴とするリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液。
- 非水溶媒が、誘電率が20以上の非プロトン性溶媒と誘電率が10以下の非プロトン性溶媒からなる混合溶媒であることを特徴とする請求項2記載のリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液。
- 請求項1記載の電解質をポリマーに溶解したものよりなることを特徴とするリチウム電池及びリチウムイオン電池用固体電解質。
- 少なくとも正極、負極、電解液または固体電解質からなり、該電解液または固体電解質に請求項1に記載の電解質を含むことを特徴とする電池。
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