JP3730830B2 - 電気化学ディバイス用電解液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される安全性の改良された電解液に関する。
【0002】
【従来技術】
近年の携帯機器の発展に伴い、その電源として電池やキャパシタのような電気化学的現象を利用した電気化学ディバイスの開発が盛んに行われるようになった。また、電源以外の電気化学ディバイスとしては、電気化学反応により色の変化が起こるエレクトロクロミックディスプレイ(ECD)が挙げられる。
【0003】
これらの電気化学ディバイスは、一般に一対の電極とその間を満たす電解液から構成される。この電解液には溶媒と電解質と呼ばれるカチオン(A+)とアニオン(B-)からなる塩類(AB)を溶解したものが用いられる。この溶媒としては、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメトキシエタンなどの有機溶媒がよく用いられているが、これらは引火点が低く、引火のおそれがあることから、最近では火災等に対する安全性の問題より、かかる可燃性電解液を用いることは、好まれない状況になってきている。
【0004】
一方、フロンなどのように分子中にフッ素原子を持つ含フッ素有機溶媒は、不燃性、または難燃性であるため、安全性の面では優れた溶媒ではあるが、一般に誘電率が低いため、電解質として用いられる塩類(例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3SO3 、LiN(CF3SO2)2 、LiSbF6 およびLiClO4 等)を全く溶解する能力がないため、電解液としての使用は困難であった。
【0005】
【問題点を解決するための具体的手段】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み鋭意検討の結果、新規の化学構造的な特徴を有する電解質と含フッ素有機溶媒を組み合わせることにより優れたディバイス性能を有する難燃性の電解液を見出し本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本発明は、有機電解液を使用する電気化学ディバイスにおいて、有機電解液の主溶媒として含フッ素有機溶媒を用い、かつ電解質が一般式(1)で示される化学構造式よりなる化合物を含み、
【0007】
【化2】
【0008】
この式中のAa+は、Liイオン、Mは、B、またはP、aは、1、bは、1、pは、1、mは、1〜3、nは、0〜4、qは、0または1をそれぞれ表し、X1は、O、R1とR2は、それぞれ独立で、H、C1〜C10のアルキル、またはC1〜C10のハロゲン化アルキル、R3は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリール、またはC6〜C20のハロゲン化アリール、R4は、ハロゲン、をそれぞれ表し、さらには、主溶媒である含フッ素有機溶媒が、フッ素を含有するカーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、またはスルホン類のうちの少なくとも一つからなり、また、電解質の解離促進剤として、誘電率1以上のヘテロ元素を含有する有機化合物を含有したことを特徴とするリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液を提供するものである。
【0009】
なお、本発明で用いるアルキル、フッ素化アルキル、アリール、ハロゲン化アリール、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、フッ素化アリーレンは、分岐や水酸基、エーテル結合等の他の官能基を持つものも含む。
【0010】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0011】
本発明は、新規の化学構造的な特徴を有する電解質と含フッ素有機溶媒を組み合わせにより成り立つものであるが、ここで、まず、電解質として使用される一般式(1)で示される化合物の具体例を次に示す。
【0012】
【化3】
【0013】
ここではAa+としてリチウムイオンが挙げられる。
【0015】
本発明で用いる電解質は、イオン性金属錯体構造を採っており、その中心となるMは、遷移金属、周期律表のIII族、IV族、またはV族元素から選ばれる。好ましくは、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf、またはSbのいずれかであり、さらに好ましくは、B、またはPである。種々の元素を中心のMとして利用することは可能であるが、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf、またはSbの場合、比較的合成も容易であり、さらにB、またはPの場合、合成の容易性のほか、低毒性、安定性、コストとあらゆる面で優れた特性を有する。
【0016】
次に、本発明で用いる電解質(イオン性金属錯体)の特徴となる配位子の部分について説明する。以下、ここではMに結合している有機または無機の部分を配位子と呼ぶ。
【0017】
一般式(1)中のX1は、O、であり、これらのヘテロ原子を介してMに結合する。ここで、O、以外で結合することは、不可能ではないが合成上非常に煩雑なものとなる。この化合物の特徴として同一の配位子内にX1以外のカルボキシル基(−COO−)によるMとの結合があるため、これらの配位子がMとキレート構造を構成している。このキレートの効果により、この化合物の耐熱性、化学的安定性、耐加水分解性が向上している。この配位子中の定数qは、0または1であるが、特に、0の場合はこのキレートリングが五員環になるため、キレート効果が最も強く発揮され安定性が増すため好ましい。また、カルボキシル基による電子吸引効果により中心のMの負電荷が分散し、アニオンの電気的安定性が増すため、非常にイオン解離しやすくなり、溶媒への溶解度やイオン伝導度、触媒活性などが大きくなる。また、その他の耐熱性、化学的安定性、耐加水分解性も向上する。
【0018】
R1とR2は、それぞれ独立で、H、ハロゲン、C1〜C10のアルキル、またはC1〜C10のハロゲン化アルキルから選ばれるものよりなるが、好ましくはR1とR2の少なくとも一方がフッ素化アルキルであり、さらに好ましくは、R1とR2の少なくとも一方がトリフルオロメチル基である。R1とR2に電子吸引性のハロゲンやハロゲン化アルキルが存在することにより、中心のMの負電荷が分散し、アニオンの電気的安定性が増すため、非常にイオン解離しやすくなり、溶媒への溶解度やイオン伝導度、触媒活性などが大きくなる。また、その他の耐熱性、化学的安定性、耐加水分解性も向上する。特にこのハロゲンがフッ素の場合がより効果が大きく、さらにはトリフルオロメチル基の場合が最も効果が大きくなる。
【0019】
R3は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C 6 〜C20のアリール、またはC 6 〜C20のハロゲン化アリールから選ばれるものよりなるが、好ましくは中心のMとキレートリングを形成したとき、5〜10員環を作るものが好ましい。10員環よりも大きい場合はキレート効果が小さくなるため、好ましくない。また、R3が水酸基やカルボキシル基を構造内に有する場合は、この部分でさらに、中心のMに結合を作ることも可能である。
【0020】
R4は、ハロゲンよりなるが、好ましくはフッ素が好ましい。
【0024】
また、ここまでに説明した配位子の数に関係する定数mおよびnは、中心のMの種類によって決まってくるものであるが、mは1から3、nは0から4が好ましい。
【0025】
以上のような電解質はその構造から由来する特性により、従来の電解質がほとんど溶解しなかった含フッ素有機溶媒に対して非常に高い溶解度を有する。このことを利用することにより、従来は不可能であった難燃性の電解液を構成することが可能となる。
【0026】
次に、本発明で用いる含フッ素有機溶媒としては、引火点が100℃以上のものであればよく、好ましくは、フッ素を含有するカーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、またはスルホン類が挙げられ、さらに好ましくはフッ素含有量が50%以上のものであり、さらに好ましくは使用する電解質が有する配位子と共通の部分を持つものがよい。本発明の目的である電気化学的ディバイスを安全に使用するには、含フッ素有機溶媒の引火点が100℃であることが必要であり、また、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、またはスルホン類のようにヘテロ元素を含有するもののほうが溶解力が高く、さらには、電解質が有する配位子と共通の部分を持つものがより溶解力が高いため好ましい。
【0027】
具体的には、CH3OCOOCH2CF3、CH3OCOOCH2CF2CF3、CH3OCOOCH(CF3)2、C2H5OCOOCH2CF3、C2H5OCOOCH2CF2CF3、C2H5OCOOCH(CF3)2、(CF3)2CHOCOOCH(CF3)2、CF3CH2OCOOCH2CF3等の鎖状の含フッ素カーボネート、
【0028】
【化4】
【0029】
等の環状の含フッ素カーボネート、
(CF3)2CHOCH3 、C4F9OCH3、CF3CFHCF2OCH3 、CF3CF2CH2OCF2CF2H、HCF2CF2OCH3、HCF2CF2OC2H5 、CF3CH2OCH2CF3、C3F7OCHFCF3 、(CF3)2CHOCH2F、CF3CH2OC2H4OCH2CF3等の鎖状の含フッ素エーテル、
【0030】
【化5】
【0031】
等の環状の含フッ素エーテル、
CF3COOC2H5 、C4F9COOCH3、C3F7COOCH3、等の含フッ素エステル、
【0032】
【化6】
【0033】
等の含フッ素ラクトン、
CF3CONHCH2CH2CF3、C3F7CON(CH3)2、等の含フッ素アミド、
CH2FCN、CF3CHFCN、(CF2)4(CN)2等の含フッ素ニトリル、等が利用できる。
【0034】
これらの含フッ素有機溶媒に対して、本発明の電解質は、非常に高い溶解度を持つが、フッ素含量の高い含フッ素有機溶媒は、一般に誘電率及びドナー性が低いため、イオン解離を阻害することにより、電気化学的ディバイスに必要なイオン伝導度が低くなるという問題点がある。そこで、本発明の電解液中に電解質の解離促進剤として、誘電率1以上のヘテロ元素を含有する有機化合物を添加する方法を採れば、伝導度を向上させることが可能となる。この解離促進剤としては非プロトン性の有機化合物が好ましく、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、またはスルホン類等が使用できる。また、単一の化合物だけでなく、二種類以上の混合でもよい。具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー、メタクリル酸エステルポリマー、ポリアクリロニトリル等を挙げることができる。ただし、これらの解離促進剤は、可燃性の物質であるため、添加量としては電解液中に50vol%以下が好ましい。これらの誘電率の高い解離促進剤を添加すると一般的に使用されるLiPF6 、LiBF4 、LiCF3SO3 、LiN(CF3SO2)2 、LiSbF6 およびLiClO4 等の電解質も含フッ素有機溶媒中に溶解するように思われるが、電解質のない状態では混合可能な場合でもこれらの電解質を加えることにより、含フッ素有機溶媒と解離促進剤が相分離するため、電解液として使用できない。
【0035】
電解質の濃度は、0.1mol/dm3以上、飽和濃度以下が好ましく、より好ましくは、0.5〜1.5mol/dm3である。0.1mol/dm3より濃度が低いとイオン伝導度が低いため好ましくない。
【0036】
本発明の電解液を用いて電気化学ディバイスを構成する場合、その基本構成要素としては、電解液、負極、正極、集電体、セパレーターおよび容器等から成る。
【0037】
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池の場合、リチウム金属やリチウムと他の金属との合金が使用される。また、リチウムイオン電池の場合、ポリマー、有機物、ピッチ等をを焼成して得られたカーボンや天然黒鉛、金属酸化物等のインターカレーションと呼ばれる現象を利用した材料が使用される。電気二重層キャパシタの場合、活性炭、多孔質金属酸化物、多孔質金属、導電性ポリマー等が用いられる。
【0038】
正極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 等のリチウム含有酸化物、TiO2 、V2 O5 、MoO3 等の酸化物、TiS2 、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、およびポリピロール等の導電性高分子が使用される。電気二重層キャパシタの場合、活性炭、多孔質金属酸化物、多孔質金属、導電性ポリマー等が用いられる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
【0040】
実施例1
ホウ酸リチウム誘導体
【0041】
【化7】
【0042】
を10%のジメチルカーボネートを含有するジ(ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート
【0043】
【化8】
【0044】
に溶解して、濃度0.3mol/dm3の電解液を調製し、交流二極式セルによりイオン伝導度を測定した。その結果、25℃でのイオン伝導度は、0.91mS/cmであった。また、この電解液をろ紙にしみ込ませ、炎をあてて燃焼試験を行ったが全く燃焼しなかった。
【0045】
次にこの電解液を用いてLiCoO2を正極材料としてハーフセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。重量割合で、LiCoO2粉末90%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5%、導電材としてアセチレンブラック5%を混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。負極にはリチウム金属を使用した。そして、グラスファイバーフィルターをセパレーターとしてこのセパレータに電解液を浸み込ませてセルを組み立てた。
【0046】
定電流充放電試験は、以下のような条件で実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、112mAh/g(正極の容量)であった。また、20回充放電を繰り返したが20回目の容量は初回の91%という結果が得られた。
【0047】
さらに、この電解液を用いて天然黒鉛を負極材料としてハーフセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。天然黒鉛粉末90%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)10%を混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状にした。このスラリーをニッケルメッシュ上に塗布して、150℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。対極にはリチウム金属を使用した。そして、グラスファイバーフィルターをセパレーターとしてこのセパレータに電解液を浸み込ませてハーフセルを組み立てた。次のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.3mA/cm2 で行い、充電は0.0V、放電は1.5V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、330mAh/gであった。また、20回充放電を繰り返したが20回目の容量は初回の93%という結果が得られた。
【0048】
実施例2
実施例1で用いたホウ酸リチウム誘導体を5%のプロピレンカーボネートを含有する2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン
【0049】
【化9】
【0050】
に溶解して、濃度0.5mol/dm3の電解液を調製し、交流二極式セルによりイオン伝導度を測定した。その結果、25℃でのイオン伝導度は、1.02mS/cmであった。また、この電解液をろ紙にしみ込ませ、炎をあてて燃焼試験を行ったが全く燃焼しなかった。
【0051】
実施例3
以下に示したホウ酸リチウム誘導体
【0052】
【化10】
【0053】
を10%のジメチルカーボネートを含有するジ(ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネートに溶解して、濃度0.5mol/dm3の電解液を調製し、交流二極式セルによりイオン伝導度を測定した。その結果、25℃でのイオン伝導度は、0.80mS/cmであった。また、この電解液をろ紙にしみ込ませ、炎をあてて燃焼試験を行ったが全く燃焼しなかった。
【0054】
次にこの電解液を用いてLiCoO2を正極材料としてハーフセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。LiCoO2粉末90%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5%、導電材としてアセチレンブラック5%を混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。負極にはリチウム金属を使用した。そして、グラスファイバーフィルターをセパレーターとしてこのセパレータに電解液を浸み込ませてセルを組み立てた。
【0055】
定電流充放電試験は、以下のような条件で実施した。充電、放電ともに電流密度0.35mA/cm2 で行い、充電は、4.2V、放電は、3.0V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、108mAh/g(正極の容量)であった。また、20回充放電を繰り返したが20回目の容量は初回の87%という結果が得られた。
【0056】
さらに、この電解液を用いて天然黒鉛を負極材料としてハーフセルを作製し、実際に電池の充放電試験を実施した。試験用セルは以下のように作製した。天然黒鉛粉末90%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)10%を混合し、さらにN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状にした。このスラリーをニッケルメッシュ上に塗布して、150℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。対極にはリチウム金属を使用した。そして、グラスファイバーフィルターをセパレーターとしてこのセパレータに電解液を浸み込ませてハーフセルを組み立てた。次のような条件で定電流充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.3mA/cm2 で行い、充電は0.0V、放電は1.5V(vs.Li/Li+ )まで行った。その結果、初回の放電容量は、310mAh/gであった。また、20回充放電を繰り返したが20回目の容量は初回の94%という結果が得られた。また、この電解液をろ紙にしみ込ませ、炎をあてて燃焼試験を行ったが全く燃焼しなかった。
【0057】
比較例1
LiPF6をジ(ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネートに溶解させるために添加したが、全く溶解しなかった。
【0058】
次に、20%のプロピレンカーボネートを含有するジ(ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネートに濃度0.2mol/dm3になるようにLiPF6を添加したところ、LiPF6は溶解したものの溶液が2相分離した。それぞれの相を分析したところ、一方はジ(ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネートで、もう一方はLiPF6/プロピレンカーボネート溶液であった。
【0059】
比較例2
LiPF6、LiN(CF3SO2)2、LiBF4 、LiCF3SO3 、LiSbF6 およびLiClO4 をそれぞれ、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソランに対する溶解テストを行った。その結果、どの電解質も全く溶解しなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の電解液は、難燃性の溶媒が使用できるため、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用として利用される従来の電解液に比べ、安全性の面で非常に優れている。
Claims (3)
- 有機電解液を使用する電気化学ディバイスにおいて、有機電解液の主溶媒として含フッ素有機溶媒を用い、かつ電解質が一般式(1)で示される化学構造式よりなる化合物を含むことを特徴とするリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液。
Mは、B、またはP、
aは、1、
bは、1、
pは、1、
mは、1〜3、
nは、0〜4、
qは、0または1をそれぞれ表し、
X1は、O、
R1とR2は、それぞれ独立で、H、C1〜C10のアルキル、またはC1〜C10のハロゲン化アルキル、
R3は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリール、またはC6〜C20のハロゲン化アリール、
R4は、ハロゲン、をそれぞれ表す。 - 含フッ素有機溶媒が、フッ素を含有するカーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、アミド類、またはスルホン類のうちの少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液。
- 有機電解液に電解質の解離促進剤として、誘電率1以上のヘテロ元素を含有する有機化合物を含有したことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載のリチウム電池及びリチウムイオン電池用電解液。
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