JP3721857B2 - 不燃性電解液及びこれを用いたリチウム2次電池 - Google Patents

不燃性電解液及びこれを用いたリチウム2次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な電解液及びリチウム2次電池に関わり、特に、引火点をなくした不燃性電解液の導電率の向上、及び、これを用いたリチウム2次電池の電池容量及び電流特性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム2次電池は小型,軽量で、且つ、高い電力容量を持つことから、携帯電話,パーソナルコンピューター等の携帯用電気機器の電源として急速に普及した。
【0003】
リチウム2次電池はその駆動電圧が4V以上となるため、水を溶媒とする水系電解液はその耐電圧性が不足するため使用できない。そこで、4V以上の駆動でも分解することのない有機化合物を溶媒に用いた非水電解液が使用されている。しかし、有機化合物の最大の欠点はその可燃性の高さであり、これを用いることにより電池が高温にさらされた場合に電解液の引火,燃焼が懸念される。そこで、この問題を解決する手段として、電解液に自己不燃性を有するフッ素化溶媒を混合し、電解液を難燃化する技術が検討されている。例えば、特開平10−12272号公報では非水電解液中に、電解液の特性を損なわない範囲(0.5 〜30重量%)で鎖状分子構造のフッ素化アルカンまたはフッ素化エーテルを混合することにより、電解液の引火点を50℃以上とする技術が開示されている。しかし、引火点が存在する限りは、日常生活においてはまだ安全性に不安が残る。この技術の最終目的としては、引火点のない不燃性電解液にすべきと考える。しかしながら、フッ素化溶媒を用いて不燃性とする場合、フッ素化溶媒のフッ素化数を増やすか、または、電解液中の混合量を多くする必要がある。ところが、フッ素化溶媒のフッ素化数を高めると非フッ素化溶媒との相溶性が大きく低下してしまい電解液として調製できなくなる。また、フッ素化溶媒の混合量を多くするとリチウム塩の溶解性が大幅に低下してしまい、良好な導電性を確保することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の技術的な困難性の克服であり、電気特性(導電性)が良好で、且つ、引火点のない不燃性電解液及び電池容量及び電流特性の高いリチウム2次電池を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題は自己不燃性を有するフッ素化溶媒として1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを用いることにより解決できる。この溶媒は化1
【0006】
【化1】
Figure 0003721857
【0007】
に示す環状の分子構造を有し、且つ、部分的にフッ素化されていない部分が存在するため、分子の極性が高くなっており、電解液の誘電率の低下が少なくなって、導電率の低下が抑制される。即ち、フッ素化溶媒の混合量を多くした組成においても導電率の低下が少なくなる次第である。また、不燃性であり導電率の高い電解液を用いることにより、電解液の引火や燃焼の危険が回避され、且つ、従来の不燃性あるいは難燃性の電解液を用いたリチウム2次電池に比べ負荷特性を向上することができる。
【0008】
(電解液)電解液を引火点のない不燃性溶液とするためのフッ素化溶媒として、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(以下HFCPと略記する)を必須成分として用いる。また、フッ素化率が70%以上のフッ素化アルカン、例えば、C614,C716,C818 等をHFCPと混合して用いることができる。また、電解質を溶解,解離させる非フッ素化溶媒には、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等の極性の高い溶媒を用いることができる。また、リチウム塩にはLiPF6 ,LiBF4 ,LiClO4 等を用いることができるが、安全性の点からLiPF6 またはLiBF4 を用いるのが望ましい。
【0009】
(電極・セパレータ)正極材料,負極材料は特に限定する必要はない。正極材料にはLiCoO2 やLiMn24,LiNiO2 等を好適に用いることができる。負極には、難黒鉛性炭素または天然,人造の黒鉛炭素、或いは、リチウム金属またはリチウム合金等を用いることができる。セパレータには微多孔性の高分子フィルムを用いることができる。例えば、ナイロン,セルロース,ニトロセルロース,ポリスルホン,ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリプロピレン,ポリエチレン,モリブテン等が挙げられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0011】
(比較例1)
フッ素化溶媒としてC614を70容量%,ジエチルカーボネートを30容量%混合した溶媒を調製した。JIS2265 に準拠したクリーブランド開放式の引火試験による評価で、この混合溶媒の引火点はなかった。この溶媒にLiPF6 を可溶限界であった0.1モル/リッター まで溶解し、比較例1の電解液1を調製した。この電解液の交流10kHzで測定した導電率は0.1mS/cm であった。この様に、従来公開されているフッ素化溶媒を混合溶媒の引火点がなくなる範囲まで増加すると、リチウム塩の溶解性が極端に低下し、電解液の導電率が低くなってしまう。
【0012】
(実施例1)
フッ素化溶媒としてHFCP(1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン)を20容量%、C614 を50容量%、ジエチルカーボネートを30容量%混合した溶媒を調製した。この混合溶媒はJIS2265に準拠したクリーブランド開放式の引火試験による評価の結果、引火点はなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、0.2モル/リッターまで溶解させることができた。即ち、比較例1に対して2倍のリチウム塩を溶解させることができ、HFCPが良好な溶解促進の作用を有することが分かった。次に、このリチウム塩濃度で実施例1の電解液Aを調製した。この電解液Aの交流10kHzにおける導電率は0.3mS/cm に達していた。この様に、従来公開されているフッ素化溶媒を用いた不燃性電解液にHFCPをそれよりも低い割合で混合することによって、リチウム塩の溶解性を濃度にして2倍に高めることができ、且つ、導電率を0.2mS/cm も高くすることができた。以上の様に、HFCPをC614 に混合して用いることによって引火点のない程度フッ素化溶媒を大量に含む電解液の導電率を、不燃性を損なうことなく改善することができた。
【0013】
(実施例2)
フッ素化溶媒としてHFCP(1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン)を40容量%,C614 を40容量%,ジエチルカーボネートを20容量%混合した溶媒を調製した。この混合溶媒もJIS2265 に準拠したクリーブランド開放式の引火試験による評価で、引火点のないことを確認した。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、0.3モル/リッター まで溶解させることができた。この濃度で実施例2の電解液Bを調製した。電解液Bの交流10kHzにおける導電率は更に向上し、0.8mS/cm に達していた。この様に、不燃性電解液におけるフッ素化溶媒の混合量を増やし、可燃性の高いジエチルカーボネートの混合量を低減した組成、即ち、リチウム塩を溶解させにくい組成においても、比較例1の電解液1に対してリチウム塩の溶解性を濃度にして3倍に高くすることができ、且つ、導電率を0.7mS/cm も高くすることができた。以上の様に、HFCPを従来公開されているフッ素化溶媒と同割合で混合することにより、引火点のない不燃性を損なうことなく、飛躍的に導電率を更に向上することができた。
【0014】
(実施例3)
フッ素化溶媒としてHFCPを90容量%,エチレンカーボネートを10容量%混合した溶媒を調製した。この溶媒をJIS2265 に準拠したクリーブランド開放式の引火試験により評価した結果、引火点はなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、0.1モル/リッター まで溶解させることができた。この濃度で実施例3の電解液Cを調製した。電解液Cの交流10kHzにおける導電率は1.36mS/cm であった。驚くべきことに、HFCPは従来公開されているフッ素化溶媒ではリチウム塩の溶解性が殆どなくなる90容量%という高い混合量の組成において、リチウム塩の溶解濃度は低いものの導電率は比較例1の電解液1(0.3mS/cm)に比べ4倍以上も高い数値(1.36mS/cm)を示した。この様にHFCPは配合量の高い領域、即ち、自己不燃性の溶媒が大量に存在する組成においても、従来公開されているフッ素化溶媒を用いた電解液に比べて高い導電性を確保することができる。また、HFCPを50容量%以下で用い、不燃性を確保するために従来公開されているフッ素化溶媒と混合して用いた実施例1及び実施例2の電解液A及び電解液Bに比べて、導電率はそれぞれ1mS/cm、及び、0.5mS/cm も向上した。
【0015】
(実施例4)
フッ素化溶媒としてHFCPを70容量%、エチレンカーボネートを30容量%混合した溶媒を調製した。この溶媒をJIS2265 に準拠したクリーブランド開放式の引火試験により評価した結果、引火点はなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、0.5 モル/リッターまで溶解させることができた。この濃度で実施例4の電解液Dを調製した。電解液Dの交流10kHzにおける導電率は3.3mS/cm であった。この様に、HFCPは消火性も高く70容量%の混合量でも引火点はなく、非フッ素化溶媒の混合量を増やせるために、リチウム塩の溶解量が実施例3の電解液Cに比べても5倍に高くすることができ、導電率を2mS/cm も向上させることができることが分かった。
【0016】
(実施例5)
そこで、更にHFCPの量を低減した組成を検討した。フッ素化溶媒としてHFCPを50容量%、エチレンカーボネートを50容量%混合した溶媒を調製した。この様に低いHFCPの配合量の混合溶媒でも、JIS2265 に準拠したクリーブランド開放式の引火試験で引火点がなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、1.0モル/リッター まで溶解させることができた。この濃度で実施例5の電解液Eを調製した。電解液Cの交流10kHzにおける導電率は5.1mS/cm と驚異的に向上していた。この様に、HFCPとエチレンカーボネートを混合しただけの簡単な組成であっても、HFCPを50容量%混合することにより電解液溶媒を不燃化でき、且つ、比較例1の電解液1に比べてリチウム塩の溶解濃度を10倍,導電率を50倍以上に向上することができた。また、実施例4の電解液Dに比べても、非フッ素化溶媒の配合量を増加させることができたために、リチウム塩濃度を2倍、導電率を1.7mS/cm 向上させることができた。
【0017】
以上の様に、HFCPはこれまで公開されたフッ素化溶媒と異なり、誘電率及び引火点の高い環状カーボネートを単独で広い範囲で相溶することができるため、HFCPを50容量%以上混合することによって溶媒を不燃化でき、且つ、これらの溶媒の高い極性によりリチウム塩を多量に溶解でき、導電率の向上した不燃性電解液を得ることができる。
【0018】
(実施例6)
次に、鎖状カーボネートを混合した3成分系の溶媒を検討した。フッ素化溶媒としてHFCPを70容量%,エチレンカーボネートを27容量%,ジメチルカーボネートを3容量%混合した溶媒を調製した。鎖状カーボネートはそれ自体の引火点が低いため多量に混合することはできないが、この組成の混合溶媒では引火点はなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、HFCPの配合量が同一の実施例4の電解液Dと同じ濃度、0.5モル/リッター まで溶解させることができた。この濃度で実施例6の電解液Fを調製した。電解液Fの交流10kHzにおける導電率は3.4mS/cm であった。この様に、ジメチルカーボネートを少量配合することによって引火点のない電解液の導電率を更に向上することができた。
【0019】
(実施例7)
次に、鎖状カーボネートの種類を変えた溶媒系を検討した。フッ素化溶媒としてHFCPを70容量%,エチレンカーボネートを25容量%,エチルメチルカーボネートを5容量%混合した溶媒を調製した。エチルメチルカーボネートはデメチルカーボネートよりも蒸気圧が低いためにこの配合量まで混合しても引火点はなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、0.5モル/リッターまで溶解させることができた。この濃度で実施例7の電解液Gを調製した。この電解液Gの交流10kHzにおける導電率は3.5mS/cm であった。エチルメチルカーボネートでは、引火点のない範囲でその配合量を更に増やせたことにより、導電率を実施例6の電解液Fに比べ更に0.1mS/cm 向上することができた。
【0020】
(実施例8)
フッ素化溶媒としてHFCPを70容量%,エチレンカーボネートを23容量%,ジエチルカーボネートを7容量%混合した溶媒を調製した。ジエチルカーボネートはエチルメチルカーボネートよりも更に蒸気圧が低いので、この組成でも引火点はなかった。この溶媒に対するLiPF6 の溶解性を調べた結果、0.5モル/リッターまで溶解させることができた。この濃度で実施例8の電解液Hを調製した。この電解液Hの交流10kHzにおける導電率は3.6mS/cm であった。これは、実施例7の電解液Gに比べ更に0.1mS/cm 高い値となっている。以上の様に、HFCPの配合量が50容量%以上の高い組成において、鎖状カーボネートを加えた3成分系の溶媒にすることによって、同一のHFCP配合量において導電率を更に向上させることができる。また、HFCPは50容量%以上配合量の組成において、フッ素溶媒として単独で用いても引火点をなくす作用と導電率を高める作用を有することが分かった。従って、HFCPを用いて不燃性電解液を得るには50容量%以上の配合量における使用がより効果的である。
【0021】
(比較例2)
比較例1で作製した電解液1(即ち、フッ素化溶媒としてC614 を70容量%、ジエチルカーボネートを30容量%混合した溶媒に、LiPF6を0.1モル/リッター溶解した組成の電解液)を用いて図1に示す円筒型の電池を作製し、電池容量を評価した。以下にこの作製方法を示す。負極材料とした人造黒鉛を90重量%、結着剤としたポリビニリデンフロライド(PVDF)を10重量%の割合で塗布溶媒N−メチルピロリドン(NMP)に溶解後、十分に混練し負極材のペーストを得た。このペーストを幅56mm,長さ460mm(タブ端子溶接部を20mm残す),厚み25μmの集電体として用いた銅箔1の両面に塗布,乾燥し、ローラーでプレスし、更に、真空乾燥して負極層2を形成した。更に、この負極の未塗布部に幅5mmのニッケル箔で負極タブ端子3を電気溶接により成形した。正極材料であるLiCoO2 を85重量%、導電助剤としたアセチレンブラックを8重量%、結着剤としたPVDFを7重量%の割合で塗布溶媒NMPに溶解後、十分に混練し正極材のペーストを得た。この正極ペーストを幅55mm,長さ440mm(タブ端子溶接部を40mm残す),厚み20μmの集電体として用いたアルミ箔4の両面に塗布,乾燥し、ローラーでプレスし、更に、真空乾燥して正極層5を形成した。更に、この正極の未塗布部に幅5mmのニッケル箔で正極タブ端子6を電気溶接により形成した。これら負極と正極を、セパレータを介して捲回して電極群を形成した。この電極群を、負極タブ端子3を缶底にして電池缶9にポリイミド製のインシュレータ8を挟んで挿入し、缶底に負極タブ端子3を電気溶接して接続した。また、正極タブ端子6は、インシュレータ12を介して、ゴム製ガスケット10を蓋外周に具備した正極蓋11の電池側内向面に電気溶接して接続した。次に、先に調製した比較例1の電解液1を真空注液機により約3.5ml 注入し、正極蓋11を電池缶9に挿入し、カシメ機により電池缶9をカシメて比較例2の電池1を得た。
【0022】
この電池を電流値100mA定電流、4.1V 定電圧で終止電流値30mAの条件で充電し、定電流100mAで終止電圧2.8V の条件で放電した。この時の放電容量は800mAhであった。次に、電流値を1Aとして他は同じ条件で、充放電した。この電流値での放電容量は300mAhとなった。従って、電池1の1Aでの100mAに対する容量維持率は38%であった。この様に、従来のフッ素化溶媒ではこれを多量に用いて引火点を無くした組成では、電池の放電容量が低く、また、大電流で放電した際の容量の低下が激しいという問題がある。
【0023】
(実施例9)
次に、電解液として実施例1で作製した電解液A(即ち、HFCPを20容量%,C614 を50容量%、ジエチルカーボネートを30容量%混合した溶媒にLiPF6を0.2モル/リッター溶解した電解液)を用いて、比較例2で示したと同じ仕様の実施例9の電池Aを、上記と同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1030mAhで、比較例2の電池1よりも230mAhも放電容量が向上していた。また、1Aでの放電容量は570mAhあり、1Aで比較すると放電容量は270mAhもの容量の向上が見られた。また、容量維持率は58%であり、比較例2の電池1に比べて17%もの向上が認められる。この様に、HFCPを混合し導電率を向上した電解液を用いることにより、電池の放電容量が改善され、更に、大電流に対する容量維持率も大幅に改善されることが分かった。
【0024】
(実施例10)
次に、電解液として実施例2で作製した電解液B(即ち、HFCPを40容量%,C614 を40容量%,ジエチルカーボネートを20容量%混合した溶媒にLiPF6を0.3モル/リッター溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例10の電池Bを、上記と同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1120mAhで、比較例2の電池1よりも320mAhも放電容量が向上した。また、1Aでの放電容量は740mAhあり、1Aで比較すると放電容量は440mAhも向上していることが分かった。また、容量維持率は66%であり、比較例2の電池1に比べて28%も向上した。これらの数値は、実施例9の電池Aに対しても、100mAで90mAh,1Aで170mAhの放電容量の向上になっており、電流値の高い動作での放電容量が大幅に向上している。また、維持率で比較すると11%もの向上となっている。
【0025】
以上の様に、HFCPを不燃性電解液のフッ素化溶媒として用いることによって、フッ素化溶媒を多量に含有する電解液の欠点であった容量の低下と電流値に対する容量低下、所謂、負荷特性を大幅に改善できることが示された。
【0026】
(実施例11)
次に、電解液として実施例3で作製した電解液C(即ち、HFCPを90容量%、エチレンカーボネートを10容量%混合した溶媒にLiPF6 を0.1 モル/リッター溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例11の電池Cを、同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1240mAhで、比較例2の電池1よりも440mAh放電容量が向上した。また、1Aでの放電容量は1080mAhあり、1Aで比較すると放電容量は780mAhも向上していることが分かった。また、容量維持率は87%にも達し、比較例2の電池1に比べて49%も向上した。これらの数値は、実施例9の電池Aに対しても、100mAで210mAh,1Aで510mAhの放電容量の向上になっており、維持率でも32%の向上となっている。更に、実施例10の電池Bに対しても、100mAで120mAh,1Aで340mAhの放電容量の向上になっており、維持率でも21%の向上となっている。この様に、HFCPを用いれば電解液の導電率を高くすることができるために、この溶媒を90容量%含む組成においても電池容量の低下が少ない良好な電池が得られることが分かった。
【0027】
(実施例12)
次に、電解液としてHFCPの混合量を低減した実施例4で作製した電解液D(即ち、HFCPを70容量%,エチレンカーボネートを30容量%混合した溶媒にLiPF6を0.5モル/リッター溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例12の電池Dを、上記と同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1280mAhで、比較例2の電池1よりも480mAhも放電容量が向上した。また、1Aでの放電容量は1120mAhあり、1Aで比較すると放電容量は820mAhも向上した。また、容量維持率は88%であり、比較例2の電池1に比べて50%も向上している。これらの数値は、実施例9の電池Aに対しても、100mAで250mAh,1Aで300mAhの放電容量の向上になっており、維持率でも33%もの向上となっている。更に、実施例10の電池Bに対しても、100mAで160mAh,1Aで380mAhの放電容量の向上になっており、容量維持率でも22%の向上となっている。また、電池Cに対しても100mAで40mAh,1Aで40mAhの容量向上がある。
【0028】
(実施例13)
次に、電解液として実施例5で作製した電解液E(即ち、HFCPを50容量%,エチレンカーボネートを50容量%混合した溶媒にLiPF6を1.0モル/リッター溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例13の電池Eを、上記と同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1320mAhで、1Aでの放電容量は1220mAhと最も高い放電容量を示した。また、容量維持率は92%にも達した。これは比較例1の電池1と比べると、100mAで520mAh,1Aで920mAhもの容量の向上になる。容量維持率では、54%の向上になっている。更に、電池Dと比べても100mAで40mAh,1Aで100mAhもの容量の向上になり、容量維持率では4%の向上になっている。
【0029】
以上の様に、HFCPは引火点の高い環状カーボネートを広い範囲で相溶させることができるため引火点のない範囲が広がり、HFCPを50容量%以上含む2成分系の混合溶媒で高い導電率を実現することができ、上述した様に従来のフッ素化溶媒を用いた電池に比べ、電池容量と負荷特性を飛躍的に改善することができた。
【0030】
(実施例14)
次に、電解液として実施例6で作製した電解液F(即ち、HFCPを70容量%,エチレンカーボネートを27容量%,ジメチルカーボネートを3容量%混合した溶媒にLiPF6を0.5モル/リッター溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例14の電池Fを、同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1290mAhで、1Aでの放電容量は1150mAhであった。これらの数値は、HFCPを同一容量含む電解液Dの電池Dに比べて、100mAで10mAh,1Aで30mAhの容量の向上になっており、維持率でも1%の向上があった。HFCPを70容量%と多量に含む組成の不燃性電解液に鎖状カーボネート溶媒を少量配合することによって、電池容量及び負荷特性を更に改善することができる。
【0031】
(実施例15)
次に、電解液として実施例7で作製した電解液G(即ち、HFCPを70容量%,エチレンカーボネートを25容量%,エチルメチルカーボネートを5容量%混合した溶媒にLiPF6 を0.5モル/リッター 溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例15の電池Gを、同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1300mAhで、1Aでの放電容量は1170mAhであった。また、容量維持率は90%であった。これらの値は、電池Fを更に100mAで10mAh,1Aで20mAh上回った。
【0032】
(実施例16)
次に、電解液として実施例8で作製した電解液H(即ち、HFCPを70容量%,エチレンカーボネートを23容量%,ジエチルカーボネートを7容量%混合した溶媒にLiPF6を0.5モル/リッター溶解した電解液)を用いて、同じ仕様の実施例16の電池Hを、同様の方法で作製し、電池の充放電特性を評価した。この電池の100mAでの放電容量は1305mAhで、1Aでの放電容量は1180mAhであった。また、容量維持率は90%であった。これらの値は、電池Gを、更に、100mAで5mAh,1Aで10mAh上回っている。
【0033】
以上の様に、HFCPを50容量%以上、引火点の高い環状カーボネートと混合することにより引火点をなくし、導電率を向上した不燃性電解液を用いることによって不燃性電解液を用いた電池の欠点であった電池容量の低下と負荷特性の低下を改善することができた。また、鎖状カーボネートを不燃性の維持できる範囲で少量混合することにより、これら不燃性電解液を用いた電池の課題を更に改善することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上、実施例により詳述した様に、本発明の1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを含む電解液は、引火点のない不燃性の領域で使用しても従来公開されているフッ素化溶媒に対してリチウム塩を多量に溶解することができ、また、導電率を向上できる。また、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを含む電解液を用いることにより、引火点のない範囲の電解液であっても従来のフッ素化溶媒を含む電解液に比べ電池容量が高く、且つ、大電流での容量低下の少ない電池を得ることができる。更に、HFPCは引火点の高い環状カーボネートを広い範囲で相溶でき、リチウム塩を溶解し、導電性を向上するための非フッ素化溶媒を多く含む組成においても引火点をなくすことができるので、HFCPを50容量%以上含む組成において良好な導電率の不燃性電解液を得ることができた。また、この電解液を用いることにより電池容量及び負荷特性を大きく改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す試験電池の断面図である。
【符号の説明】
1…負極集電体、2…負極活物質層、3…負極タブ端子、4…正極集電体、5…正極活物質層、6…正極タブ端子、7…セパレータ、8,12…インシュレーター、9…負極缶、10…ガスケット、11…正極蓋。

Claims (1)

  1. リチウムを吸蔵放出可能な負極と、リチウムを吸蔵放出可能な正極と、非水電解液とを備えたリチウム2次電池において、前記非水電解液が1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン及びフッ素化率が70%以上のフッ素化アルカンを含むことを特徴とするリチウム2次電池。
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