JP4691775B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4691775B2 JP4691775B2 JP2000339172A JP2000339172A JP4691775B2 JP 4691775 B2 JP4691775 B2 JP 4691775B2 JP 2000339172 A JP2000339172 A JP 2000339172A JP 2000339172 A JP2000339172 A JP 2000339172A JP 4691775 B2 JP4691775 B2 JP 4691775B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- secondary battery
- lithium
- negative electrode
- battery
- polycyclic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムの吸蔵・脱離現象を利用したリチウム二次電池に関し、特に、そのリチウム二次電池を構成する非水電解液の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大気汚染などの環境問題から電気自動車やハイブリッド車が普及され始めるなか、電源である電池の高性能化が求められている。リチウム遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、炭素材料を活物質とする負極と、非水電解液とを備えて構成されるリチウム二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴があることから期待の大きい高性能電池である。
【0003】
リチウム二次電池は、その価格が高いことから他の二次電池にも増して長寿命であることが要求される。つまり、繰り返される充放電によっても電池の放電容量が減少しないという、いわゆる良好なサイクル特性が要求される。同様に、リチウム二次電池を充電率を高く保持した状態で保存した場合に容量が減少しないという、いわゆる良好な保存特性も要求される。特に、電池反応が活性化する高温下では一層劣化が進むことから、例えば屋外で使用され、また放置される可能性のある電気自動車用電源等の用途にリチウム二次電池を使用することを想定した場合には、高温下でのサイクル特性、保存特性についても良好であることが、そのリチウム二次電池に求められる重要な特性の一つとなる。
【0004】
しかしながら、炭素材料を活物質とする負極と、非水電解液とを備えて構成されるリチウム二次電池においては、負極活物質である炭素材料と電解液とが反応し、上述した電池特性が著しく低下するという問題があった。特に、プロピレンカーボネートは温度特性に優れ、取り扱いが容易である等の理由から有用な電解液として知られているが、電池充電中に負極表面で炭素材料と激しく反応して、電気分解するために、電池特性を著しく低下させてしまう。
【0005】
このような状況に鑑み、非水電解液中に添加剤を加えて、負極活物質である炭素材料と非水電解液との反応を抑制する試みがなされている。例えば、特開平8−45545号公報では、電解液中にビニレンカーボネートを添加し、電池充電の際この添加剤を電気分解させて負極表面に被膜を形成することで、負極活物質である炭素材料と電解液との反応を抑制することが提案されている。また、同様に特開平10−189043号公報では塩素化エチレンカーボネートを、特開平11−339850号公報ではスルトン化合物を電解液に添加して、同様の効果を得ることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者が追試したところ、上記いずれの添加物も、電池充電の際負極表面に強固な被膜を形成することができず、炭素材料と電解液との反応を充分に抑制し得るものではないことがわかった。すなわち、サイクル特性や保存特性といった電池特性の低下を充分に抑制することはできていない。
【0007】
この問題を解決すべく、本発明者が実験を重ねた結果、多環式スルホン化合物を電解液に添加しておくと、電池充電の際にこの化合物が先に負極表面で電気分解し、負極表面に強固な被膜を形成するとの知見を得た。
【0008】
本発明は、この知見に基づくものであり、リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とし、炭素材料を負極活物質とする非水電解液リチウム二次電池であって、負極活物質である炭素材料と電解液との反応を抑制することで、サイクル特性および保存特性、特に高温下でのサイクル特性および保存特性に優れたリチウム二次電池を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム二次電池は、リチウム遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、炭素材料を活物質とする負極と、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液とを備えてなるリチウム二次電池であって、前記非水電解液は、電池作動電圧内で電気化学的に分解して負極表面に被膜を形成する多環式スルホン化合物を含有しており、前記多環式スルホン化合物は、サッカリンナトリウム塩、サッカリンリチウム塩、又はα−クロロ−α−ヒドロキシ−ο−トルエンスルホン酸スルトンのいずれかであることを特徴とする。
【0010】
つまり、本発明のリチウム二次電池は、所定の多環式スルホン化合物を非水電解液中に添加して、電池の通常の作動状態において、電気化学的に多環式スルホン化合物を負極表面で分解させて被膜を形成させるものである。
【0011】
ここで、「電池作動電圧内」とは、通常の充放電を行う際の電池電圧範囲であることを意味し、過充電時等とは異なり、可逆的に充放電可能な電池電圧の範囲で充放電を行うことを意味する。例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等を正極活物質に用い、かつ炭素材料を負極活物質に用いたリチウム二次電池の場合には、充電終止電圧が4.0〜4.2V程度に、放電終止電圧が3.0V程度になり、この電池電圧範囲での充放電を行うことを意味する。
【0012】
多環式スルホン化合物は、負極表面で分解し、負極表面に強固な被膜を形成する。被膜形成のメカニズムは明らかではないが、電解液に添加された多環式スルホン化合物は、電池充電の際に負極電位が一定の電位に低下すると、その負極表面で硫黄と、環を形成する他の元素との結合が切断して開環する。そして、硫黄が負極活物質である炭素と結合して、負極表面に被膜を形成すると考えられる。この多環式スルホン化合物は複数の環を有するため、分解して一つの環が開環しても他の環が残り、この残存する環により、形成される被膜はかさ高くなり、強固なものとなる。そして、この被膜は、リチウムイオンの透過率は高いが溶媒の透過率は低いため、溶媒と炭素材料との反応が抑制されると考えられる。
【0013】
上記作用により、本発明のリチウム二次電池は、電解液の分解が充分抑制されるため、充放電を繰り返しても容量低下の小さいサイクル特性に優れた、かつ保存特性も良好なリチウム二次電池となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウム二次電池の実施形態について、以下、多環式スルホン化合物、その他のリチウム二次電池の構成要素の順に説明する。
【0015】
〈多環式スルホン化合物〉
本発明のリチウム二次電池において使用することのできる多環式スルホン化合物は、電気化学的に分解して負極表面に被膜を形成するものであり、入手が容易である等の理由から、以下に示す、サッカリンナトリウム塩、サッカリンリチウム塩、又はα−クロロ−α−ヒドロキシ−ο−トルエンスルホン酸スルトンのいずれかである。また、多環式スルホン化合物として、サッカリン、無水スルホ安息香酸等を用いてもよい。なお、これらの化合物の1種を単独で用いることもでき、または2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
【化2】
【0017】
非水電解液中への多環式スルホン化合物の添加割合は、非水電解液全体の重量を100%とした場合の0.1〜5重量%とするのが望ましい。0.1重量%未満の場合には、その適正な範囲のものに比べて、負極表面に充分な厚さの被膜が形成されにくく、電解液と負極との反応が充分に抑制されないおそれがあるからである。また、5重量%よりも多いと、その適正な範囲のものに比べて電解液の導電率を低下させてしまうおそれがあるからである。特に、負極を充分に覆い、負極と電解液との反応を効果的に抑制するためには、多環式スルホン化合物の添加割合を0.5重量%以上とするのがより望ましい。また、電解液の導電率を高く維持することを考慮する場合には2重量%以下とすることがより望ましい。
【0018】
また、多環式スルホン化合物の添加は、電池作製時に電解液に添加しておけばよい。例えば、電池組付け前に電解液に添加してもよいし、電池組付け後の封缶前に添加してもよい。
【0019】
この電池作製時に添加した多環式スルホン化合物は、充電開始後に負極電位が1.5V(対Li/Li+)付近に低下したところで、電気化学的に分解して負極表面に被膜を形成する。形成方法については、一般的な充電方法によればよい。例えば、4V級の二次電池の場合、一定電流密度で4.1V程度の充電終止電圧まで充電し、その後その電圧において定電圧のまま所定の時間充電を続けるという定電流定電圧方式の充電を行えば、容易に、負極表面に被膜を形成することができる。
【0020】
〈リチウム二次電池のその他の構成要素〉
本発明のリチウム二次電池は、リチウム遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、炭素材料を活物質とする負極と、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液とを備えており、非水電解液に添加する上記多環式スルホン化合物を除き、他の構成要素は特に限定するものではなく、既に存在する通常のリチウム二次電池に従えばよい。以下にその一例を示す。
【0021】
正極は、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる正極活物質に導電材および結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。この場合の塗布、乾燥、プレス等は通常の方法に従えばよい。
【0022】
正極活物質には、リチウム遷移金属複合酸化物を用いる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、4V級の二次電池を構成できるという観点から、基本組成をLiCoO2、LiNiO2とする層状岩塩構造のリチウムコバルト複合酸化物やリチウムニッケル複合酸化物、あるいは基本組成をLiMn2O4とするスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物等を用いることが望ましい。特に、LiCoO2より低価格であり、容量の大きな二次電池を構成できるという点において、基本組成をLiNiO2とする層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物を用いることが望ましい。
【0023】
なお、基本組成とは、上記各複合酸化物の代表的な組成という意味であり、上記組成式で表されるものの他、例えば、リチウムサイトや遷移金属サイトをAl、Fe等の他の1種または2種以上の元素で一部置換したもの等の組成をも含む。また、必ずしも化学量論組成のものに限定されるわけではなく、例えば、製造上不可避的に生じるリチウムや遷移金属等の陽イオン原子が欠損した、あるいは酸素原子が欠損した非化学量論組成のもの等をも含む。さらに、リチウム遷移金属複合酸化物のうち1種類のものを用いることも、また、2種類以上のものを混合して用いることもできる。
【0024】
導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。結着剤は、活物質粒子および導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0025】
負極は、負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、その後にプレスして形成することができる。この場合の塗布、乾燥、プレス等も通常の方法に従えばよい。
【0026】
負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる炭素材料を用いる。使用できる炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維等の黒鉛質炭素材料、コークス等の易黒鉛化炭素、フェノール樹脂焼成体等の難黒鉛化炭素が挙げられる。特に、黒鉛質の材料を用いた場合に、多環式スルホン化合物の電解液への添加効果がより顕著となる。なお、結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0027】
正極と負極との間にはセパレータを挟装する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
【0028】
非水電解液は、電解質としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解させたものである。また非水電解液は、サイクル特性の向上を目的とした場合にはラジカル補足剤や界面活性剤等を、安全性を重視した場合には難燃剤等を含んでいてもよい。リチウム塩は有機溶媒に溶解することによって解離し、リチウムイオンとなって電解液中に存在する。使用できるリチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等、およびそれらの複合塩が挙げられる。これらのリチウム塩は、それぞれ単独で用いてもよく、また、これらのもののうち2種以上のものを併用することもできる。
【0029】
リチウム塩を溶解させる有機溶媒には、非プロトン性の有機溶媒を用いる。例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、環状エーテルあるいは鎖状エーテル等の1種または2種以上からなる混合溶媒を用いることができる。環状カーボネートの例示としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が、鎖状カーボネートの例示としてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等が、環状エステルの例示としてはガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等が、環状エーテルの例示としてはテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が、鎖状エーテルの例示としてはジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等がそれぞれ挙げられる。これらのもののうちいずれか1種を単独で用いることも、また2種以上を混合させて用いることもできる。
【0030】
以上の構成要素によって構成されるリチウム二次電池であるが、その形状は円筒型、積層型、コイン型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とする。そして正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用いて接続し、この電極体に上記非水電解液を含浸させ電池ケースに密閉し、リチウム二次電池を完成する。
【0031】
〈その他の形態の許容〉
以上、本発明のリチウム二次電池の実施形態について説明したが、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発明のリチウム二次電池は、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
【0032】
【実施例】
上記多環式スルホン化合物の電解液への添加効果を確認すべく、電解液へ多環式スルホン化合物を添加した二次電池、多環式スルホン化合物以外の化合物を添加した二次電池、および何も添加しない二次電池を作製した。そして、それらの二次電池について、充放電サイクル試験、保存試験を行った。以下、順に説明する。
【0033】
〈リチウム二次電池の作製〉
正極活物質には、組成式LiNiO2で表される層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を用いた。正極は、まず、正極活物質となる上記リチウムニッケル複合酸化物18.5重量部に、導電材としてのアセチレンブラックを1.5重量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを8重量部混合し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを72重量部添加して、ペースト状の正極合材を調製し、次いで、このペースト状の正極合材を幅5.2cm、長さ50cm、厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布し、乾燥させ、その後ロールプレスにて圧縮し、正極合材の厚さが片面当たり160μmのシート状のものを作製した。
【0034】
対向させる負極は、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を活物質として用いた。まず、負極活物質となる黒鉛化メソカーボンマイクロビーズの100重量部に、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを10重量部混合し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを100重量部添加し、ペースト状の負極合材を調製し、次いで、このペースト状の負極合材を幅5.6cm、長さ52cm、厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥させ、その後ロールプレスにて圧縮し、負極合材の厚さが片面当たり100μmのシート状のものを作製した。
【0035】
上記それぞれ正極および負極を、それらの間に厚さ25μm、幅60mmのポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロール状の電極体を形成した。そして、その電極体を18650型円筒形電池ケース(外径18mmφ、長さ65mm)に挿設し、非水電解液を注入し、その電池ケースを密閉して円筒型リチウム二次電池を作製した。非水電解液は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1:1に混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解し、多環式スルホン化合物としてサッカリンを1.0重量%の割合で添加したものを用いた。このようにして作製したリチウム二次電池を参考例1の二次電池とした。
【0036】
同様にして、電解液へ添加する多環式スルホン化合物の種類のみが異なる二次電池を種々作製した。すなわち、参考例1の二次電池において、サッカリンを添加する代わりにサッカリンリチウム塩を添加した電解液を用いた二次電池を作製し、実施例1の二次電池とした。また、サッカリンを添加する代わりにα−クロロ−α−ヒドロキシ−ο−トルエンスルホン酸スルトンを添加した電解液を用いた二次電池を作製し、実施例2の二次電池とした。また、サッカリンを添加する代わりに無水スルホ安息香酸を添加した電解液を用いた二次電池を作製し、参考例2の二次電池とした。
【0037】
さらに、参考例1の二次電池において、電解液への添加物の種類と添加量が異なる二次電池も比較例として作製した。すなわち、多環式スルホン化合物を添加しない電解液を用いた二次電池を作製して比較例1の二次電池とした。また、サッカリンを1.0重量%の割合で添加する代わりにプロパンスルトンを1.0重量%の割合で添加した電解液を用いた二次電池を作製し、比較例2の二次電池とした。また、サッカリンを1.0重量%の割合で添加する代わりにビニレンカーボネートを2.0重量%の割合で添加した電解液を用いた二次電池を作製し、比較例3の二次電池とした。また、サッカリンを1.0重量%の割合で添加する代わりに塩素化エチレンカーボネートを2.0重量%の割合で添加した電解液を用いた二次電池を作製し、比較例4の二次電池とした。これら実施例、参考例および比較例の各二次電池における電解液への添加物の種類および添加量をまとめて表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
〈充放電サイクル試験〉
上記実施例1、2、参考例1、2、比較例1〜4の各二次電池に対して、充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験は、電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下で、電流密度1.0mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、10分間の休止の後、電流密度1.0mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行い、さらに10分間休止した。このような充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計300サイクル行うものとした。そして、各サイクルごとに、それぞれのリチウム二次電池について放電容量を測定した。
【0040】
充放電サイクル試験前の放電容量を初期放電容量として、{各サイクル後の放電容量/初期放電容量×100%}という式を用いて、各二次電池の容量維持率を計算した。各二次電池の容量維持率のサイクル依存性を図1〜図4に示す。ここで、図1は、参考例1の二次電池と各比較例の二次電池とを比較して示したグラフであり、図2は、実施例1の二次電池と各比較例の二次電池とを比較して示したグラフであり、図3は、実施例2の二次電池と各比較例の二次電池とを比較して示したグラフであり、図4は、参考例2の二次電池と各比較例の二次電池とを比較して示したグラフである。
【0041】
図1〜4から明らかなように、実施例、参考例および比較例の各二次電池は共に、サイクルを経るにつれ容量維持率が低下する。しかし、実施例1,2及び参考例1、2の二次電池は添加した化合物の種類によらず、比較例1〜4の二次電池と比較して容量維持率の低下は小さく、300サイクル後の容量維持率は、約85〜89%と高い値であった。特に、電解液に何も添加しなかった比較例1の二次電池と比較すると、充放電サイクルを繰り返した後の容量維持率の差は極めて大きく、多環式スルホン化合物を電解液へ添加することによって、サイクル特性、特に高温下でのサイクル特性が著しく改善されたことがわかる。
【0042】
したがって、本発明のリチウム二次電池は、サイクルを繰り返しても容量低下が少なく、特に高温下でもサイクル特性に優れたリチウム二次電池であることが確認できた。
【0043】
〈保存試験〉
上記参考例1および比較例1と同様の電池を作製し、これらの二次電池を用いて、保存試験を行った。まず、室温である20℃の温度条件下で、電流密度1.0mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、さらに4.1Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間になるまで充電を続けた。その後、電流密度1.0mA/cm2の定電流で3.0Vまで放電を行った後、容量を測定して初期容量とした。再び、電流密度1.0mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、4.1Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間になるまで充電を続けた。そして、この充電状態の二次電池を60℃の高温槽に入れ、そのまま3週間保存した。3週間後、室温である20℃の温度条件下で、電流密度1.0mA/cm2の定電流で3.0Vまで放電を行い、容量を測定して残存容量とした。その後、10分間の休止を経て、電流密度1.0mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、さらに4.1Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間になるまで充電を続けた。10分間の休止の後、電流密度1.0mA/cm2の定電流で3.0Vまで放電を行い、容量を測定して回復容量とした。
【0044】
そして、容量残存率と容量回復率を以下の式で求めた。
[容量残存率(%)=残存容量/初期容量×100],[容量回復率(%)=回復容量/初期容量×100]
参考例1および比較例1の二次電池の容量残存率と容量回復率の値を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2から明らかなように、電解液に何も添加しなかった比較例1の二次電池では、容量残存率と容量回復率が共に低い値であるのに対して、多環式スルホン化合物を電解液に添加した参考例1の二次電池は、60℃で3週間保存した後も容量残存率が77.1%と高く、さらにその後の充放電後には容量回復率が92.7%であり、容量低下の極めて少ない保存特性に優れた電池であることがわかった。
【0047】
したがって、本発明のリチウム二次電池は、長期保存によっても容量低下が少なく、特に高温下での保存特性に優れたリチウム二次電池であることが確認できた。
【0048】
【発明の効果】
本発明のリチウム二次電池は、多環式スルホン化合物を非水電解液中に添加して、その分解物により負極表面に被膜を形成し、電解液と負極との反応を抑制することで、充放電を繰り返しても容量低下の小さいサイクル特性に優れた、かつ保存特性も良好なリチウム二次電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1および比較例1〜4の二次電池の容量維持率のサイクル依存性を示す図である。
【図2】 実施例1および比較例1〜4の二次電池の容量維持率のサイクル依存性を示す図である。
【図3】 実施例2および比較例1〜4の二次電池の容量維持率のサイクル依存性を示す図である。
【図4】 参考例2および比較例1〜4の二次電池の容量維持率のサイクル依存性を示す図である。
Claims (2)
- リチウム遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、炭素材料を活物質とする負極と、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液とを備えてなるリチウム二次電池であって、
前記非水電解液は、電池作動電圧内で電気化学的に分解して負極表面に被膜を形成する多環式スルホン化合物を含有しており、
前記多環式スルホン化合物は、サッカリンナトリウム塩、サッカリンリチウム塩、又はα−クロロ−α−ヒドロキシ−ο−トルエンスルホン酸スルトンのいずれかであることを特徴とするリチウム二次電池。 - 前記多環式スルホン化合物の添加割合は0.1〜5重量%である請求項1に記載のリチウム二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000339172A JP4691775B2 (ja) | 2000-11-07 | 2000-11-07 | リチウム二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000339172A JP4691775B2 (ja) | 2000-11-07 | 2000-11-07 | リチウム二次電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002151144A JP2002151144A (ja) | 2002-05-24 |
JP4691775B2 true JP4691775B2 (ja) | 2011-06-01 |
Family
ID=18814279
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000339172A Expired - Fee Related JP4691775B2 (ja) | 2000-11-07 | 2000-11-07 | リチウム二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4691775B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101584850B1 (ko) * | 2013-02-04 | 2016-01-13 | 주식회사 엘지화학 | 리튬 이차 전지용 비수 전해액 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지 |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004012284A1 (ja) | 2002-07-25 | 2004-02-05 | Kabushiki Kaisha Toshiba | 非水電解質二次電池 |
JP5066807B2 (ja) * | 2005-12-21 | 2012-11-07 | ソニー株式会社 | リチウム二次電池用電解質およびリチウム二次電池 |
JP4706528B2 (ja) * | 2006-03-22 | 2011-06-22 | ソニー株式会社 | リチウムイオン二次電池用電解液およびリチウムイオン二次電池 |
JP5109359B2 (ja) * | 2006-12-13 | 2012-12-26 | ソニー株式会社 | 非水電解質二次電池 |
JP2008147118A (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-26 | Sony Corp | 電池 |
JP5417852B2 (ja) * | 2008-01-11 | 2014-02-19 | ソニー株式会社 | 正極活物質、並びにこれを用いた正極および非水電解質二次電池 |
JP5256798B2 (ja) * | 2008-03-17 | 2013-08-07 | ソニー株式会社 | 二次電池用電解液、二次電池および電子機器 |
JP5428274B2 (ja) * | 2008-10-09 | 2014-02-26 | 宇部興産株式会社 | 非水電解液及びそれを用いたリチウム電池 |
JP2013145712A (ja) * | 2012-01-16 | 2013-07-25 | Denso Corp | 非水電解液二次電池 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002008718A (ja) * | 2000-06-27 | 2002-01-11 | Mitsui Chemicals Inc | 非水電解液およびそれを用いた二次電池 |
JP2002134166A (ja) * | 2000-10-20 | 2002-05-10 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 非水電解液とそれを用いた非水電解液二次電池 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3383454B2 (ja) * | 1995-03-03 | 2003-03-04 | 新神戸電機株式会社 | リチウム二次電池 |
JP4106856B2 (ja) * | 2000-06-13 | 2008-06-25 | 新神戸電機株式会社 | 非水電解液二次電池 |
-
2000
- 2000-11-07 JP JP2000339172A patent/JP4691775B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002008718A (ja) * | 2000-06-27 | 2002-01-11 | Mitsui Chemicals Inc | 非水電解液およびそれを用いた二次電池 |
JP2002134166A (ja) * | 2000-10-20 | 2002-05-10 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 非水電解液とそれを用いた非水電解液二次電池 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101584850B1 (ko) * | 2013-02-04 | 2016-01-13 | 주식회사 엘지화학 | 리튬 이차 전지용 비수 전해액 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002151144A (ja) | 2002-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4407205B2 (ja) | リチウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP5899442B2 (ja) | 非水電解質二次電池用負極およびそれを用いた非水電解質二次電池 | |
JP2009048981A (ja) | 非水電解液二次電池 | |
JP2009277597A (ja) | 非水電解質二次電池 | |
KR20130142387A (ko) | 첨가제를 포함하는 리튬 이차 전지용 전해질 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지 | |
JP2005251456A (ja) | リチウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JPH11339850A (ja) | リチウムイオン二次電池 | |
JP5141582B2 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
KR20100041028A (ko) | 이차전지용 비수전해액 및 이를 포함하는 이차전지 | |
JP2015018713A (ja) | 非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池 | |
JPH09147913A (ja) | 非水電解質電池 | |
JP4691775B2 (ja) | リチウム二次電池 | |
US20230013168A1 (en) | Positive electrode for secondary batteries, and secondary battery | |
JP2004031131A (ja) | 非水電解液二次電池 | |
JP2010186689A (ja) | 非水電解液二次電池 | |
JP2009004357A (ja) | 非水電解液リチウムイオン二次電池 | |
JP4573098B2 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
WO2020158223A1 (ja) | 非水電解質二次電池およびこれに用いる電解液 | |
JP2010123300A (ja) | リチウム二次電池及びその使用方法 | |
JP4042083B2 (ja) | 非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 | |
JPH11214001A (ja) | 非水電解液二次電池 | |
JP4016497B2 (ja) | 非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP2022534525A (ja) | リチウム二次電池用非水電解液及びこれを含むリチウム二次電池 | |
JP2002260726A (ja) | 非水電解質二次電池 | |
JP3610898B2 (ja) | 非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070907 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100616 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100622 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100823 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110125 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110207 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |