JP4711639B2 - 非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池用の非水系電解液の改良技術に関する、およびそれを用いたリチウム二次電池に関する。さらに詳しくは、環状カルボン酸エステル、および不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含む非水溶媒、上記非水溶媒に溶解されるリチウム塩、およびイオン性金属錯体を含む非水系電解液、並びにそれを用いたリチウム二次電池に関する。
近年、携帯電話あるいはノートパソコンなどに代表される携帯用電子端末等の種々小型携帯電子機器の普及にともない、それらの電源として二次電池は重要な役割を果たしている。一般用途の二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム電池等の水溶液系電池、非水電解液電池が挙げられるが、中でも、リチウム等を吸蔵、放出できる正極および負極と非水電解液とからなる非水電解液二次電池は、高電圧で高エネルギー密度を有し、安全性に優れ、環境問題などの点で、他の二次電池と比較して様々な利点を有しており、さらなる特性の向上を図るべく活発に研究開発が進められている。
現在実用化されている非水電解液二次電池としては、例えば、正極活物質としてリチウムと遷移金属との複合酸化物を用い、負極活物質としてリチウムをドープ・脱ドープ可能な材料を用いている。このような負極活物質のうち、現在実用化されている電池の中で、優れたサイクル特性を有する材料としては、炭素材料が挙げられる。炭素材料の中でも、黒鉛材料は単位体積あたりのエネルギー密度を向上できる材料として期待されている。
また、非水電解液電池の特性向上のため、負極/正極の特性のみならず、リチウムイオンの移送を担う非水電解液の特性の向上が求められている。現状の非水電解液二次電池の非水電解液としては、非プロトン性有機溶媒に、LiBF、LiPF、LiClO、LiN(SOCF)やLiN(SOCFCF)などのリチウム塩を混合した非水溶液が用いられている(非特許文献1)。その非プロトン性有機溶媒の代表として、カーボネート類が知られており、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの各種カーボネート化合物の使用が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
すなわち、現状ではエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの高誘電率を有する環状炭酸エステルと、ジエチルカ−ボネ−ト、メチルエチルカ−ボネ−トやジメチルカ−ボネ−トなどの低粘度の鎖状炭酸エステル溶媒との混合溶媒に、上記のリチウム塩を混合した溶液が用いられている。
特に非水溶媒に前記LiBF、LiPFが溶解された非水電解液は、リチウムイオンの移送を表す導電率が高く、かつLiBF、LiPFの酸化分解電圧が高いために高電圧において安定であることが知られており、上述の非水電解液二次電池の有する高電圧、高エネルギー密度という特徴を引き出すことに寄与している。
しかしながら、非水電解液およびそれを用いた非水電解液電池における従来の技術では、
1) 上記リチウム塩に関しての問題
2) 上記非プロトン性有機溶媒(非水溶媒)に関しての問題
が、サイクル特性、高温保存特性を有する非水電解液およびそれを用いた非水電解液電池を提供する妨げとなっている状況にあった。
まず、1) 上記リチウム塩に関しての問題は、以下の通りである。
すなわち、LiBF、LiPFを溶解した前記非水溶媒からなる非水電解液は、これらの電解質の熱安定性が劣るため、60℃以上の高温環境下において前記リチウム塩が分解してフッ化水素(HF)が発生するという問題がある。このフッ化水素は前記負極の前記炭素質物を分解するため、前記非水電解液を備えた二次電池は高温環境下において内部抵抗が増大し、充放電サイクル寿命等の電池性能が大幅に低下するという問題点があった。特に、LiPFは最も熱安定性が劣るため、LiPFを含む電解液を備えた非水電解液二次電池において前述した問題点が特に顕著に表れる傾向にあった。
そこで、同問題点を解決するために、新規のリチウム塩を開発が鋭意検討されている。その代表例として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドやリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドなどが提案されている(特許文献3)。しかしながら、これらのリチウム塩も、LiPFに匹敵する導電率を有しないことと、電池中に使用されるアルミニウム集電体に対して腐食性があるなどの問題があり、LiPFの代替にはなりえていないのが現状である。
そこで従来の技術の欠点を鑑み、例えば、特開平07−65843号公報(特許文献4)には、貯蔵安定性の優れた有機電解液電池を提供するために、有機電解液の電解質として、リチウムボロンジサリチレート〔LiB(−O−C(=O)−C−O−)〕のようなホウ素系アルカリ金属塩を用いることが記載されている。また、特表2002−519352号公報(特許文献5)には電気化学的に安定な新規のリチウム塩としてリチウムビス(オキサレート)ボレート Li[C]B] に代表される、ホウ素含有アルカリ金属塩が提案されている。
特に、後者のリチウムビス(オキサレート)ボレートに関しては、例えば、グラファイト負極を用いた場合、リチウムビス(オキサレート)ボレートを電解質とすることによりプロピレンカーボネートを用いた電解液でも使用可能であることや、グラファイト負極表面上でリチウムビス(オキサレート)ボレートがグラファイト負極/電解液界面にて安定な被膜(カーボネート構造を有したホウ素含有化合物からなる被膜)を形成することなどが示されている(非特許文献2、非特許文献3)。
しかしながら、リチウムビス(オキサレート)ボレートを電解質として用いることに関しては、例えば、本発明者らの検討によると、単独の溶質では、従来から使用されているLiBF、LiPFと比較して、リチウムイオンの移送を表す導電率が幅広い温度範囲にて確保できない状況にあった。また同特性を改善するために、リチウムビス(オキサレート)ボレートの溶解量を増加させることによって改善を図る検討も実施したが、その場合、溶解する非水溶媒として一般的に使用される鎖状カーボネートには溶解しにくいなどの制約があることがわかった。
次に、2) 上記非プロトン性有機溶媒(非水溶媒)に関しての問題は、以下の通りである。すなわち、非水電解液電池において、良好な電池特性を得るためには、リチウムイオンの移送を担う非水電解液の特性も重要である。この非水電解液を構成する非水溶媒としては、通常、電解質の溶解性の高い高誘電率溶媒と低粘性溶媒とを組み合わせた混合溶媒が用いられている。高誘電率溶媒は粘度が高く、イオン移送が非常に遅いため、その粘度を下げてイオンの移送能力を高める必要があり、低粘性溶媒を高誘電率溶媒と併用する形を採用している。上記に示した通り、高誘電率溶媒であるエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状炭酸エステルと低粘性溶媒であるジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステルとの混合溶媒からなる電解液は、高い導電率が得られるため、通常汎用されている。しかし、エチレンカーボネートは、凝固点が38℃付近と高いため、これを単独で用いると、溶質との混合による凝固点降下を見込んでも0℃程度までしか凝固点が下がらない。そのため、上記のようにエチレンカーボネートを低粘性でかつ低凝固点の溶媒と混合することにより、低温特性を確保しなければならない。
また、上述のような非水電解液としてエチレンカーボネートのような環状炭酸エステルと、ジメチルカーボネートあるいはメチルエチルカーボネートといった鎖状炭酸エステルの混合溶媒を用いた場合、電極上で鎖状炭酸エステルによるエステル交換反応が起こり、その中間体として、メトキシ基、あるいはエトキシ基といったアルコキシドラジカルが生じる。特にメチルエチルカーボネートのような非対称な鎖状炭酸エステルのエステル交換反応は分析によっても明らかになりやすいという状況にあるが、ジメチルカーボネートのような対称な鎖状炭酸エステルはその構造上変化がないために、分析しても明らかとはなりにくいという形となっている。
しかしながら、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートのような対称な鎖状炭酸エステルにおいてもエステル交換は起こっているものと考えられ、このエステル交換により生じたこれらのラジカルは、強力な求核剤であるため、環状炭酸エステルである エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの開環・分解を促進し、ガス発生を生じせしめ、あるいは、正極活物質の金属を溶解し、結晶構造を破壊することにより、特性を低下させる。
さらに、LiPF の熱安定性は、他のリチウム塩と比較して最も劣るため、LiPFを含む電解液を備えた非水電解液電池においては、前述した問題点が特に顕著に表れる。その結果、初充電における充電効率が低下するため、電池容量が低下するという問題点があった。また、ガス発生によって液漏れや、膨れによる電池サイズの変動、サイクル寿命の低下等が生じる。
以上のことから、従来の技術では、上述の通り、1) 上記リチウム塩に関しての問題、および2) 上記非プロトン性有機溶媒(非水溶媒)に関しての問題の全てを満足できる非水電解液は未だ得られておらず、非水電解液構成要素(非水溶媒、リチウム塩など)のそれぞれのマイナス面の効果を現れにくくする組み合わせ、および その処方が重要である。
特開平4−184872号公報 特開平10−27625号公報 特表平01−501822 号公報 特開平07−65843号公報 特表2002−519352号公報 Jean-Paul Gabano編、"Lithium Battery", ACADEMIC PRESS(1983) Electrochemical and Solid-State Letters, 6 (6) A117-A120 (2003) Electrochemical and Solid-State Letters, 6 (7) A144-A148 (2003)
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、サイクル特性、高温保存特性に優れた非水電解液の提供を目的に、従来の系では全く見られない新規の組み合わせを見出し、本発明に到達したものである。また本発明は、その優れた非水電解液を含み、サイクル特性、高温保存特性などを高めた非水電解液電池の提供を目的にする。
すなわち本発明は、リチウムの吸蔵・放出が可能な正極および負極と組み合わせて使用する非水電解液電池用の非水電解液であって、(1)プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、鎖状炭酸エステル及びビニレンカーボネート誘導体を含む非水溶媒(2)該非水溶媒に溶解されるリチウム塩、(3)一般式(I)で表されるイオン性金属錯体を少なくとも含む非水電解液であり、且つ、該イオン性金属錯体を該非水電解液に0.01〜2重量%の範囲で含有し、該非水溶媒に該ビニレンカーボネート誘導体が0.1〜5重量%の範囲で含有されており、該イオン性金属錯体と該プロピレンカーボネートの重量比率0.03〜0.30の範囲該イオン性金属錯体と該エチレンカーボネートの重量比率0.008〜0.15の範囲であることを特徴とする非水電解液であって、
一般式(I):
ただし、Mは、BまたはP、mは、、nは、MがBの場合2、Pの場合4、qは、0または1をそれぞれ表し、Rは、メチレン、Rは、F、 Oをそれぞれ表し、また、該リチウム塩が、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSOLiN(CFSO)(CSO)の群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩であることを特徴とする非水電解液を提供するものである。
さらに本発明は、上記非水電解液と、リチウムの吸蔵・放出が可能な正極および負極を備えた非水電解液電池であって、該正極が、正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物材料よりなり、該負極が、負極活物質として、(a) X線回折における格子面(002)面面間隔(d002)のd値が0.340nm以下の炭素質材料、および/または、(b) Sn、SiおよびAlから選ばれる1種以上の金属の酸化物、および/または(c) Sn、SiおよびAlから選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金を少なくとも含む負極活物質よりなることを特徴とするリチウム二次電池を提供するものである。
上記電池特性を改善できる理由は、以下によるものと推測される。即ち、上記イオン性金属錯体は、非水電解液と負極との界面において分解し、より抵抗の低い反応被膜層を形成する。これにより電池の内部抵抗を下げ、サイクル特性の向上に寄与できるものと考えられる。この効果は、不飽和結合を有する環状炭酸エステルである、例えばビニレンカーボネート誘導体を含有されることによって、さらに良好となる。これは、イオン性金属錯体と不飽和結合を有する環状炭酸エステルがそれぞれ負極表面上で異なる分解電位を有し、段階的に良好な被膜を生成しているためと考えられる。
また、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートを混合した非水電解液を使用することにより、広い温度範囲にわたって安定に液体状態を保てるため、High Rate特性や良好な低温特性も期待できる。その一方で、高結晶度の炭素質材料を負極に使用した際に、プロピレンカーボネートが含有することによって生じる、炭素質材料の剥離や、負荷逆容量の増大に関しては、本発明の上記一般式(I)で示されるイオン性金属錯体を含有させることにより、環状炭酸エステル、すなわちエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートの分解を抑制することが可能となるため、本発明の組み合わせにより、良好な初期特性、サイクル特性に優れた二次電池用非水電解液を提供することができる。
加えて、上記一般式(I)で示されるイオン性金属錯体の場合、上述のリチウムビス(オキサレート)ボレートなどのように、非水溶媒として一般的に使用される鎖状カーボネートに溶解しにくいなどの制約がなく、種々の非水溶媒に対して非常に良好な溶解性を示すため、上記イオン性金属錯体を含有することによって、リチウムイオンの移送を表す導電率が幅広い温度範囲にて確保できないという問題も生じない。
本発明により、サイクル特性、高温保存特性、ガス発生抑制に優れた二次電池用非水電解液として、非常に好適な非水電解液が提供される。すなわち、本発明に示す通り、従来の系では全く見られない新規の組み合わせの非水電解液を使用することにより、初期容量が向上し、非水電解液が高温下での安定性を有するため、高温保存特性も良好となるだけでなく、電池内部でのガス発生が抑制可能な非水電解液電池が提供できる。さらに、非水溶媒であるEC、PCと上記イオン性金属錯体との比率が、本発明の範囲内で調製することにより最良の効果が得られ、従来の問題点を改善することが可能となる。加えて充放電サイクルを繰り返しても 前記の初期効率、初期容量を維持することができ、良好なサイクル特性を有する非水電解液電池が提供できる。
本発明に係る非水電解液およびこの非水電解液を用いた非水電解液電池について詳細に説明する。
非水溶媒
本発明において使用する非水溶媒としては、以下に示す環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステルを含むものと、さらに不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含むもののほか、従来 二次電池非水電解液において用いられているような各種の溶媒を使用することができ、これらは2種以上を混合して用いてもよい。また、特に本発明の非水電解液は、非水溶媒として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート誘導体を必ず含むとともに、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートのいずれか1つを必ず含むことが好ましい。
環状炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、等が挙げられる。この中で、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートがより好ましく、プロピレンカーボネートを使用することにより、幅広い温度範囲にて安定した非水電解液を提供することができるが、特に限定されるものではない。またこれら環状炭酸エステルは2種類以上混合しても良い。
鎖状炭酸エステルとしては、例えば、総炭素数が3〜9の鎖状カーボネートが挙げられる。具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、n−ブチルイソブチルカーボネート、n−ブチル−t−ブチルカーボネート、イソブチル−t−ブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート、n−ブチル−n−プロピルカーボネート、イソブチル−n−プロピルカーボネート、t−ブチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルイソプロピルカーボネート、イソブチルイソプロピルカーボネート、t−ブチルイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。これらの中で、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましいが、特に限定されるものではない。またこれら鎖状炭酸エステルは2種類以上混合しても良い。
不飽和結合を有する環状炭酸エステル
次に、不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、上述の一般式(II)で表されるビニレンカーボネート誘導体が挙げられる。
一般式(II):
[一般式(II)において、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、また、RおよびRは、互いに同一の場合でもよく、あるいは互いに異なっていてもよいものとする。]
ビニレンカーボネート誘導体の具体例として、以下の化合物を挙げられる。すなわち、ビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、フルオロメチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、ブチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネートなどであるが、これらに限定されるものではない。 これらの化合物の中でも、ビニレンカーボネートが一番安価で、かつ効果的な化合物である。なお、上記ビニレンカーボネート誘導体に関しては、少なくとも1種であり、単独または、混合していることも可能である。
その他の各種溶媒として、例えば、総炭素数3〜9の鎖状エステルや、総炭素数3〜6の鎖状エーテル、およびベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼンを挙げることができるが、特のこれらに限定されるものではない。
また、環状カルボン酸エステル(総炭素数が3〜9のラクトン化合物)としては、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等を挙げることができる。 これらの中で、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンがより好ましいが、特に限定されるものではない。またこれら環状カルボン酸エステルは2種類以上混合しても良い。
また、総炭素数3〜9の鎖状エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸−イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチルを挙げることができる。これらの中で、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルが好ましいができるが、特のこれらに限定されるものではない。
また、総炭素数3〜6の鎖状エーテル:ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等を挙げることができる。これらの中で、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましいができるが、特にこれらに限定されるものではない。
非水電解液の溶質(リチウム塩)
本発明で使用される非水電解液の溶質として、リチウム塩が用いられる。リチウム塩については、溶質として使用し得るものであれば特に限定はされない。その具体例として例えば、以下の通りである。
A)LiPF、LiAsF、LiBF等の無機フッ化物塩、LiClO、LiBrO、LiIO、等の過ハロゲン酸塩などの無機リチウム塩。
B)以下に示す有機リチウム塩が挙げられる。
LiCFSO等の有機スルホン酸塩、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルキルスルホン酸イミド塩、LiC(CFSO等のパーフルオロアルキルスルホン酸メチド塩、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(C、LiPF(n−C、LiPF(n−C、LiPF(n−C、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C、LiB(CF、LiBF(CF、LiBF(CF、LiBF(CF)、LiB(C、LiBF(C、LiBF(C、LiBF(C)、LiB(n−C、LiBF(n−C、LiBF(n−C、LiBF(n−C)、LiB(iso−C、LiBF(iso−C、LiBF(iso−C、LiBF(iso−C)等の一部のフッ素をパーフルオロアルキル基で置換した無機フッ化物塩フルオロホスフェート、パーフルオロアルキルの含フッ素有機リチウム塩が挙げられる。これらの中、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)がより好ましいが、特に限定されるものではない。またこれらリチウム塩は2種類以上混合しても良い。
なおこれらの溶質は2種類以上混合して用いても良い。非水電解液中の溶質のリチウム塩モル濃度は、0.5〜3モル/リットルであることが望ましい。この濃度が低すぎると、絶対的な濃度不足により非水電解液のイオン伝導率で不十分であり、濃度が濃すぎると、粘度上昇のため イオン伝導率が低下し、また低温での析出が起こりやすくなるなども問題も生じるため、非水電解液電池の性能が低下し好ましくない。
イオン性金属錯体
本発明に用いられるイオン性金属錯体を単独又は混合して非水電解液中に溶解する場合、それぞれの濃度は、0.01〜2重量%の範囲で、さらに好ましくは0.05〜1重量%の範囲であることが望ましい。0.01重量%未満では、充放電特性などの改善効果、特にサイクル特性の改善効果が充分でなく、一方、2重量%を超えた場合では、4.2V満充電の状態で85℃以上の高温にすると、電池特性が大幅に低下し、また その高温時にて、電池内部にてガス発生により膨れが生じるといった問題がある。
また、上記イオン性金属錯体と使用される環状炭酸エステルとの比率も重要であり、環状炭酸エステルがプロピレンカーボネートでは、イオン性金属錯体/プロピレンカーボネート重量比率が0.03〜0.30、環状炭酸エステルがエチレンカーボネートでは、イオン性金属錯体/エチレンカーボネートの重量比率が0.008〜0.15であることが望ましい。イオン性錯体/プロピレンカーボネート重量比率が0.03未満では、プロピレンカーボネートの分解抑制効果が十分でなく、一方、0.30を越えた場合では、イオン性金属錯体の過剰な分解によるガス発生の影響で特に4.2V満充電の状態で85℃以上の高温にした際に電池特性が大幅に低下し、また その高温時にて、電池内部にてガス発生により膨れが生じるといった問題がある。また、イオン性錯体/エチレンカーボネート比率が0.008未満では、充放電特性などの改善効果、特にサイクル特性の改善効果が充分でなく、一方、0.15を超えた場合では、4.2V満充電の状態で85℃以上の高温にすると、電池特性が大幅に低下し、また その高温時にて、電池内部にてガス発生により膨れが生じるといった問題がある。
また本発明に用いられるイオン性金属錯体としては、例えば下記式(III)、式(IV)、式(V)にて表されるものでなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(III):
式(IV):
式(V):
上記イオン性金属錯体に関しては、少なくとも1種であり、単独または、混合していることも可能である。本発明の非水電解液は、例えば、非水溶媒を撹拌しながら、その中に電解質としてリチウム化合物を添加して溶解させ、上記イオン性金属錯体を添加して溶解させることにより製造することができる。
なお、本発明で用いるイオン性金属錯体、不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含有する非水電解液を用いる場合は、特に限定はしないが、必要によっては、乾燥雰囲気下にて 未封口状態の非水電解液電池を予備充電し、初期充電時にて発生するガスを電池内から除去することも可能である。同処方を実施することによって、より安定した品質の非水電解液電池を提供することが可能となり、かつ高温放置時の電池特性の低下を防ぐことが可能となる。予備充電の設定としては、全体の電池容量に対して、0.1%〜20%の範囲であり、好ましくは、5.0%〜15%の範囲であることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、この予備充電設定に関しては、含有させる非水溶媒、添加剤の正極材料、負極材料での分解電圧によっても異なるため、特に限定されるものではない。
負極を構成する負極活物質としては、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な炭素材料、金属リチウム、リチウム含有合金、またはリチウムとの合金化が可能なシリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な酸化スズ、酸化シリコン、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属窒素化合物、あるいはこれらの混合物のいずれをも用いることができる。なお、負極は、銅製の箔やエキスパンドメタルなどの集電体上に、負極活物質が形成された構成が一般的である。負極活物質の集電体への接着性を向上させるために例えば、ポリフッ化ビニリデン系バインダー、およびラテックス系のバインダーなどを含有してもよく、導電助剤としてカーボンブラック、アモルファスウイスカーカーボンなどを加えて使用してもよい。
負極活物質を構成する炭素材料としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。当該炭素材料は、黒鉛化したものでもよい。同炭素材料としては、特にX線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましく、真密度が1.70g/cm3以上である黒鉛またはそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が望ましい。このような炭素材料を使用すると、非水電解液電池のエネルギ−密度を高くすることができる。さらに、同炭素材料中にホウ素を含有するものや、金、白金、銀、銅、Sn、Si等金属で被覆したもの、あるいは非晶質炭素で被覆したもの等を使用することができる。これらの炭素材料は、1種類を使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせ混合使用してもよい。なお、導電助剤としてカーボンブラック、アモルファスウイスカーカーボンなどを加えて使用してもよい。
また、リチウムとの合金化が可能なシリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な酸化スズ、酸化シリコン、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物を用いた場合は、いずれも上述の炭素質材料よりも重量あたりの理論容量が高く、好適な材料である。
一方、正極を構成する正極活物質は、充放電が可能な種々の材料から形成することができ、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnOなどのLixMO(ここで、Mは1種以上の遷移金属であり、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.20である)で表される、リチウムと一種以上の遷移金属との複合酸化物や、FeS、TiS、V、MoO、MoSなどの遷移元素のカルコゲナイドあるいはポリアセチレン、ポリピロール等のポリマー等を使用することができるが、本発明請求項記載の通り、Liのドープおよび脱ドープが可能なリチウム遷移金属複合酸化物材料を用いることが最も好ましい。また正極は、アルミニウムやチタンやステンレス製の箔、エキスパンドメタルなどの集電体上に、正極活物質が形成された構成が一般的である。正極活物質の集電体への接着性を向上させるために、例えば、ポリフッ化ビニリデン系バインダー、およびラテックス系のバインダー、正極内の電子伝導性を向上させるためにカーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどを含有してもよい。
セパレ−タは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が好ましく、例えば、微多孔性高分子フィルムなどの多孔性膜が使用される。微多孔性高分子フィルムとしては、特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、さらに具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、または多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムなどが好ましい。さらにセパレ−タとして、高分子電解質を使用することもできる。高分子電解質としては、例えばリチウム塩を溶解した高分子物質や、電解液で膨潤させた高分子物質なども使用できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の非水電解液は、高分子物質を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよく、また、多孔性ポリオレフィンフィルムと高分子電解質を併用した形のセパレータに非水電解液をしみこませてもよい。
本発明の非水電解液を使用した二次電池の形状については 特に限定されることはなく、円筒型、角型、アルミラミネート型、コイン型、ボタン型など種々の形状にすることができる。
以下に示す実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜、比較例1〜16
まず、基準非水電解液1として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(容量比2:1:7)に、リチウム塩としてLiPFを1.2mol/リットル、LiN(SOCFを0.1mol/リットルの濃度にて含有、溶解させて調製した。次に、この基準電解液1に、表1に記載した化合物を所定量添加し、種々の非水電解液を調製した。
[負極の作製]
MCMB25−28(大阪ガスケミカル製)93重量部と結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)6重量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリドンに分散させ、負極合剤スラリーを調製した。そして、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの銅箔製の負極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧縮成型し、この負極合剤の厚さは95μmであった。
[正極の作製]
LiCoO(日本化学工業製 C-5)94重量部と、導電剤としてアセチレンブラック3重量部と結着剤のポリフッ化ビニリデン3重量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリドンに分散させ、LiCoO合剤スラリーを調製した。このLiCoO合剤スラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布、乾燥させ、圧縮成型し、正極を作製した。このLiCoO合剤の厚さは105μmであった。
[ラミネート電池の作製]
上述の電極を、寸法55mm×90mmの負極、寸法50mm×80mmの正極を切り出し、微多孔性ポリエチレンフィルムからできたセパレータを介して対向させて電極群とした。この電極群を、アルミニウムラミネートフィルム(住友電工製)で作製した筒状の袋に、正極、負極の両リード端子が片方の開放部から引き出されるように収容した。その後、まず、リード端子が引き出された側を熱融着して閉じた。次に、残った開口部を上にして、非水電解液1.2gを電極群に注入し含浸させた後、15mAの定電流にて、90min充電した。
その後、残った開口部を上にした状態で、さらに非水電解液0.3gを注入し、含浸させた後、同開口部を熱融着して電極群を袋中に密封し、ラミネート電池を得た。
上述の工程で作製したラミネート電池を、室温にて1週間放置した後、以下のように充放電特性を測定した。
a) 室温にて1週間放置後の充電(1サイクル目の充電); 同充電は、30mAで4.2Vまで充電し、4.2Vから定電圧充電に移行し全体で5時間経過した時点で充電を終了した。
b) 1サイクル目の放電; 上述の充電後、30mAで2.75Vまで放電した。
c) 2サイクルめ以降の充電;
b)の放電終了後、同充電は、30mAで4.2Vまで充電し、4.2Vから定電圧充電に移行し全体で6時間経過した時点で充電を終了した。
d) 2サイクルめ以降の放電;
c)の充電後、30mAで2.75Vまで放電した。同じ方法により、2.75Vから4.2V間の充放電を3回繰り返した。
上述の工程で作製したラミネート電池の25℃サイクル特性に関しては、3サイクル目まで上述の充放電試験を実施した後、以下のHigH Rateでの充放電試験条件を実施した。すなわち25℃で以下の充放電条件にて100サイクル実施後の容量維持率を次式により算出した。
・充電; 100mAで4.2Vまで充電し、4.2Vから定電圧充電に移行し全体で2.5時間経過した時点で充電を終了。
・放電;上述の充電後、100mAで2.75Vまで放電した。
・25℃100サイクル後の容量維持率=(100サイクル目の放電容量/3サイクル目の放電容量)×100 (%)
上述の工程で作製したラミネート電池の1サイクル目の充放電効率に関しては、次式により算出した。
・1サイクル目の充放電効率=(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100 (%)
ここで、1サイクル目の充電容量は、次式により算出した。
・1サイクル目の充電容量=(ラミネート電池試作時に非水電解液に注入、含浸させた後の90min定電流充電した時の充電量+室温にて1週間放置後の充電)
ラミネート電池の高温保存後の特性に関しては、上述と同一充電条件にて、充電後 85℃24時間保存後、25℃にて放電を同一放電条件で放電して容量維持率を次式により算出した。
・容量維持率=(4サイクル目の放電容量/3サイクル目の放電容量)×100 (%)
更に、常温にて初期3サイクルと同一条件で1サイクル充放電して容量回復率を次式により算出した。
・容量回復率=(5サイクル目の放電容量/3サイクル目の放電容量)×100 (%)
[高温保存中のセルの膨れ評価]
ラミネート電池でのセルの膨れの測定方法は、シリコーンオイル中に同セルを浸漬したときの体積変化により計測した。ラミネート電池の体積を、高温保存試験の前後に室温状態まで冷却した後に測定し、その体積変化率を保存中のセルの膨れとした。
[ラミネート電池での電池特性の比較]
上述の表1に示した種々の非水電解液を用いたラミネート電池の1サイクル目の充放電効率、高温保存後の特性評価結果と、25℃サイクル特性結果を表2に示す。

表2に示すように、本発明の上記イオン性金属錯体と不飽和結合を有する環状炭酸エステルとを本発明の所定範囲の添加量にて調製した非水電解液を用いたラミネート電池(実施例1〜)では、いずれの組み合わせにおいても、基準非水電解液(比較例1)と比較して、優れた特性を示していることがわかる。特に85℃、24時間保存後では、同電池の容量維持率、容量回復率、およびセルの膨れにて明らかな改善効果を示すことが確認できる。
また、サイクル特性の結果でも、本発明の上記イオン性金属錯体、あるいは上記イオン性金属錯体と不飽和結合を有する環状炭酸エステルとを本発明の所定範囲の添加量含有した非水電解液を用いた場合において、良好な特性が得られていることを確認した。特に本実施例1〜の範囲においては、上記イオン性金属錯体2重量%以下の範囲にて良好な特性を示すことがわかった。
参考例1〜5
基準非水電解液2として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(容量比2:1:7)に、リチウム塩としてLiPFを1.0mol/リットル、LiN(SOを0.05mol/リットルの濃度にて含有、溶解させて調製した。
次に、この基準電解液2に、イオン性金属錯体:式(III)を所定量添加し、表3に示す種々の非水電解液を調製した。

参考例6〜10
基準非水電解液3として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(容量比1:2:7)に、リチウム塩としてLiPFを1.0mol/リットル、LiN(SOを0.05mol/リットルの濃度にて含有、溶解させて調製した。次に、この基準電解液3に、イオン性金属錯体:式(III)を所定量添加し、表4に示す種々の非水電解液を調製した。
[ラミネート電池での電池特性の比較]
上述の表3、表4に示した種々の非水電解液を用いたラミネート電池の1サイクル目の充放電効率、高温保存後の特性評価結果と、25℃サイクル特性結果を表5に示す。

表5に示すように、本発明の上記イオン性金属錯体と非水溶媒であるEC、PCとの比率を本発明の所定範囲にて調製した非水電解液を用いたラミネート電池(参考例2〜4、8)は、参考例1、5〜7、9、10よりも優れた特性を示すことがわかる。一方、参考例1参考例6の場合は、1サイクル目の充放電効率、85℃、24時間保存後の特性、25℃サイクル特性のいずれも劣っている。参考例1参考例6の場合は、PCとイオン性金属錯体:式(III)との比率が0.03より低いため、EC、PCの負極中の炭素質材料上での分解が抑制できず、1サイクル目初期にEC、PCの分解によって電池内部でガスが発生し、その結果として各種特性を悪化させたものと考えられる。
また、参考例5の場合は、PCとイオン性金属錯体:式(III)との重量比率が0.30より高い状況であり、イオン性金属錯体:式(III)自体が必要以上に添加されることによって、85℃、24時間保存後の特性や膨れなどに悪影響をもたらしているものと考えられる。参考例910の場合は、ECとイオン性金属錯体:式(III)との重量比率が0.15より高い状況であり、このEC含有率が低い環境下でも、イオン性金属錯体:式(III)自体が必要以上に添加されることによって、85℃、24時間保存後の特性や膨れなどに悪影響をもたらしているものと考えられる。すなわち、非水溶媒であるEC、PCと上記イオン性金属錯体との比率が、本発明の範囲内の場合、表5に示す特性が得られることが明らかとなった。

Claims (3)

  1. リチウムの吸蔵・放出が可能な正極および負極と組み合わせて使用する非水電解液電池用の非水電解液であって、(1)プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、鎖状炭酸エステル及びビニレンカーボネート誘導体を含む非水溶媒(2)該非水溶媒に溶解されるリチウム塩、(3)一般式(I)で表されるイオン性金属錯体を少なくとも含む非水電解液であり、且つ、該イオン性金属錯体を該非水電解液に0.01〜2重量%の範囲で含有し、該非水溶媒に該ビニレンカーボネート誘導体が0.1〜5重量%の範囲で含有されており、該イオン性金属錯体と該プロピレンカーボネートの重量比率が0.03〜0.30の範囲、該イオン性金属錯体と該エチレンカーボネートの重量比率が0.008〜0.15の範囲であることを特徴とする非水電解液。
    一般式(I):
    ただし、Mは、BまたはP、mは、、nは、MがBの場合2、Pの場合4、qは、0または1をそれぞれ表し、Rは、メチレン、Rは、F、 Oをそれぞれ表す。
  2. 該リチウム塩が、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSOLiN(CFSO)(CSO)の群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の非水電解液と、リチウムの吸蔵・放出が可能な正極および負極を備えた非水電解液電池であって、該正極が、正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物材料よりなり、該負極が、負極活物質として、(a) X線回折における格子面(002)面の面間隔(d002)のd値が0.340nm以下の炭素質材料、および/または、(b) Sn、SiおよびAlから選ばれる1種以上の金属の酸化物、および/または(c) Sn、SiおよびAlから選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金を少なくとも含む負極活物質よりなることを特徴とするリチウム二次電池。
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