JP2007250994A - 極性デバイスとして使用する導電性高分子レドックス型電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性高分子へのドープ・脱ドープ反応の繰り返し安定性が改良された新規な電気化学素子を提供する。
【解決手段】両極性の導電性高分子を含む電極と電解質を持つ電気化学素子を、片側の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用する。これにより電気化学素子の充放電サイクル寿命を大幅に長くする。
【選択図】なし
【解決手段】両極性の導電性高分子を含む電極と電解質を持つ電気化学素子を、片側の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用する。これにより電気化学素子の充放電サイクル寿命を大幅に長くする。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気化学素子に関し、特に、両極性の導電性高分子のドープ・脱ドープ反応を用いたレドックスキャパシターに関する。
電気化学素子は電気化学反応を利用した素子であり、電池、コンデンサ、燃料電池などのエネルギー蓄積に用いられる素子を含む。このような素子において古くから導電性高分子のドープ・脱ドープ反応を利用することが考えられてきた。しかしながら、導電性高分子のドープ・脱ドープ反応は、繰り返し安定性に欠け、反応を繰り返しているうちにドーピングが起きなくなるという問題があり、このような原理に基づく電気化学素子は実用上大きな問題がある。
電気二重層キャパシターは、電圧を加えたときに電極と電解質との界面に生じる電気二重層容量を利用した蓄電用電気化学素子である。この電気二重層容量による蓄電のメカニズムは、電気化学反応を伴う二次電池に比較してより早い充放電が可能で、繰り返し寿命特性にも優れているという特徴を有している。しかしながら、電気二重層キャパシターは二次電池に比べてそのエネルギー密度がはるかに小さいという欠点がある。電気二重層容量は電極の表面積に比例することから、表面積の大きな賦活した活性炭が一般に電極として用いられている。しかしながら、このように表面積が大きな活性炭電極を用いても、電気二重層キャパシターのエネルギー密度は5Wh/kg程度に留まっており、その容量密度は二次電池に比較して1/10以下である。
そのような現状に鑑み、電気二重層キャパシターよりも容量密度を飛躍的に向上させるために、導電性高分子による擬似容量を用いた蓄電器が提案されている。擬似容量は、電気二重層容量とは異なり、電極界面での電子移動過程(ファラデー過程)を伴って蓄えられる。また、擬似容量が発現する過程でも、界面で電気二重層が形成されるため、電気二重層容量と擬似容量とが並行して発現し、結果として大容量化につながる。このような擬似容量は導電性高分子を用いる場合には導電性高分子のレドックス反応、すなわちドープ・脱ドープ反応によって発現する。このレドックス反応によって発現する擬似容量は、理論的には電気二重層容量の106倍と見積もられ、したがって、擬似容量を利用したキャパシター(レドックスキャパシターという)は、電気二重層容量のみを利用する従来の電気二重層キャパシターに比べて、飛躍的に高容量なキャパシターとなる。一例として、たとえば特許文献1には、導電性高分子膜によって構成されるキャパシターが開示されている。
以上に述べたように、擬似容量を用いたキャパシター(レドックスキャパシター)は画期的な特性を発現できる素子ではあるが、二つの大きな技術的な問題のために実用化には至っていない。
第一には、導電性高分子が脱ドープ状態では絶縁体であるために電極として動作しないという問題が挙げられる。この問題については、高比表面積を有する炭素材料の表面が導電性高分子によって被覆された構造の炭素/導電性高分子複合体からなる蓄電素子用電極に関する提案がある(たとえば、特許文献2を参照。)。
また第二には、導電性高分子のドープ・脱ドープ反応の繰り返し安定性が悪いという問題がある。この第二の問題については、基本的な解決がなされていないのが実情である。
以上のような電気化学素子に関連した技術とは別に、近年常温で液体状である溶融塩が開発され注目されている。これらはイオン性液体と呼称され、イミダゾリウムやピリジウムなどの四級塩カチオンと適当なアニオン(Br-、AlCl4 -、BF4 -、PF6 -など)との組み合わせで構成される。イオン性液体は、不揮発性、不燃性、化学的安定性、高イオン伝導性などの特徴をもち、各種合成や触媒反応などの化学反応に用いられ再利用可能なグリーンソルベントとして注目されている。イオン性液体は、電位窓が大きく、耐電圧性に優れており、イオン濃度も高い。また、難燃性で揮発しないため、蒸発する心配が無く、安全性にも優れている。このため、イオン性液体は、電気二重層キャパシターの電解液としての応用が検討されている(特許文献3)。
特開平6−104141号公報
特開2003−109875号公報
特開2004−273832号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ドープ・脱ドープ反応の繰り返し安定性が改良された新規な電気化学素子を提供することである。
本発明の電気化学素子は、両極性の導電性高分子を含む電極と、電解質とを有する電気化学素子であって、片方の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用する(極性デバイスとして使用する)ことを特徴とする。「片方の電極は正極としてのみ使用し、もう一方の電極は負極としてのみ使用する」とは、以下の意味である。
「片方の電極は正極としてのみ使用」とは、正極として使うと決めた電極は、ずっと正極として使うことであり、負極として使わない即ち逆バイアスを生じないように使用するという意味である。
「片方の電極は負極としてのみ使用」とは、負極として使うと決めた電極は、ずっと負極として使うことであり、正極として使わない即ち逆バイアスを生じないように使用するという意味である。
「片方の電極は正極としてのみ使用」とは、正極として使うと決めた電極は、ずっと正極として使うことであり、負極として使わない即ち逆バイアスを生じないように使用するという意味である。
「片方の電極は負極としてのみ使用」とは、負極として使うと決めた電極は、ずっと負極として使うことであり、正極として使わない即ち逆バイアスを生じないように使用するという意味である。
本発明で言う両極性の導電性高分子とは、Pドープ・脱ドープ(アニオンのドープ・脱ドープ)とNドープ・脱ドープ(カチオンのドープ・脱ドープ)の両方が行える導電性高分子のことである。本発明者らは、導電性高分子の中でも、高い放電電圧を持つなどの特に高性能な電気化学素子を実現できる両極性の導電性高分子に関して鋭意検討を重ね、両極性の導電性高分子はPドープ・脱ドープ(アニオンのドープ・脱ドープ)のみ、またはNドープ・脱ドープ(カチオンのドープ・脱ドープ)のみのどちらかを繰り返すほうが、Pドープ・脱ドープおよびNドープ・脱ドープの両方を行う場合よりも、飛躍的にドープ・脱ドープのサイクル寿命を延ばせることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は両極性の導電性高分子を含む電極を、片方の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用する(極性デバイスとして使用する)ことにより大幅に充放電寿命を長くした電気化学素子である。
また、本発明の一態様としては、前記の電解質の成分として有機溶媒が含まれる電気化学素子、であることが好ましい。
また、本発明の一態様としては、前記の電解質がアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及びγ−ブチルラクトンからなる群から選ばれる少なくともいずれか1つを成分として含む電気化学素子であることが好ましい。
また、本発明の一態様としては、前記の電解質がイオン性液体である電気化学素子であることが好ましい。
また、本発明の一態様としては、前記の電解質がイオン性液体と有機溶媒との混合物である電気化学素子であることが好ましい。
また、イオン性液体を含む電解質を用いることは本発明の電気化学素子の寿命を長くする観点から効果的である。ここで本明細書における「イオン性液体」とは、「イオン液体」や「常温溶融塩」ともいい、イオンのみから構成されているにもかかわらず常温で液体であるものを指し、イミダゾリウムなどのカチオンと適当なアニオンの組み合わせで構成される。このようなイオン性液体は難燃性、不揮発性であるため、電解質がイオン性液体を含むことで、通常の有機溶媒のみからなる電解質を用いた場合と比較して、耐久性および安全性に優れた電気化学素子を実現することができる。また、従来技術において、電解質中で繰り返しドープ、脱ドープ反応を行っている間に次第にドーピング反応が起きなくなる原因の1つは、脱ドープされたドーパントが電解質中に拡散して、ドーピング時に導電性高分子の近傍に有効なドーパントが存在しなくなるためである。そこで我々は、導電性高分子とイオン性液体との組み合わせについても検討した。イオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分として導電性高分子のドーパントともなり得る成分を選択すれば、ドーパントを常に導電性高分子の近傍に存在させることができる。このようなイオン性液体中ではドープ、脱ドープ反応を繰り返している間にイオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分が導電性高分子のドーパントとして取り込まれ、イオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分と導電性高分子のドーパントの一部とが同一成分であるイオン性液体・導電性高分子複合体を形成し、このイオン性液体・導電性高分子複合体は、優れたドープ・脱ドープ反応の繰り返し安定性の発現に寄与することが可能である。
上記イオン性液体を含む電解質としてはイオン性液体単体、または複数のイオン性液体の混合物を使用することが出来るが、イオン性液体と有機溶媒との混合物であるのが好ましく、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンの中から選ばれる少なくともいずれか1つと、イオン性液体とを1:3〜10:1の体積比で混合したものであるのがより好ましい。
本発明の電気化学素子において、両極性の導電性高分子がさらにイオン性液体を含むのが好ましい。
本発明に用いるイオン性液体は、BF4 -アニオン、PF6 -アニオンまたはスルホン酸アニオンを含むイオン性液体であるのが好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトシレートから選ばれる少なくとも1つであるのがより好ましい。
また、本発明の一態様としては、
前記の両極性の導電性高分子が、ドープ状態と脱ドープ状態で電気伝導度が1000倍以上変化し、ドープ状態での導電率が0.01S/cm以上である電気化学素子、
であることが好ましい。
前記の両極性の導電性高分子が、ドープ状態と脱ドープ状態で電気伝導度が1000倍以上変化し、ドープ状態での導電率が0.01S/cm以上である電気化学素子、
であることが好ましい。
また本発明に用いる両極性の導電性高分子は、ポリチオフェン誘導体であるのが好ましく、ポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−t−ブチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(3,4−ジフルオロフェニル)チオフェン、およびポリ−3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チオフェンからなる群から選ばれる少なくとも1つであるのがより好ましい。
また、本発明の一態様としては、
前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の両極性の導電性高分子を含む電極を2つ持ち、これらの2つの電極に接するようにして電解液を持つことを特徴とするレドックスキャパシターである、
電気化学素子、
であることが好ましい。
前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の両極性の導電性高分子を含む電極を2つ持ち、これらの2つの電極に接するようにして電解液を持つことを特徴とするレドックスキャパシターである、
電気化学素子、
であることが好ましい。
また本発明の電気化学素子は、対向する2つの電極と、該電極間に挟まれたイオン性液体を含む電解質とを備え、該電極の少なくとも表面には、両極性の導電性高分子が前記電解質に接するように存在するものであることが好ましい。
本発明の電気化学素子は、レドックスキャパシターであるのが好ましい。
また、本発明の一態様としては、
前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷の差が、前記の充電の際に貯まる電荷の5%以内であるようにして、繰り返し充放電して使用することを特徴とするレドックスキャパシターである、
前記に記載の電気化学素子、
であることが好ましい。
前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷の差が、前記の充電の際に貯まる電荷の5%以内であるようにして、繰り返し充放電して使用することを特徴とするレドックスキャパシターである、
前記に記載の電気化学素子、
であることが好ましい。
また、本発明の一態様としては、
前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の正極と、前記の負極との間の電圧が3.5〜2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧が2.0V〜0.5Vの間になるまで放電することを繰り返して使用することを特徴とするレドックスキャパシターである、
電気化学素子、
であることが好ましい。
前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の正極と、前記の負極との間の電圧が3.5〜2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧が2.0V〜0.5Vの間になるまで放電することを繰り返して使用することを特徴とするレドックスキャパシターである、
電気化学素子、
であることが好ましい。
本発明の電気化学素子は、極性デバイスとして使用する導電性高分子レドックス型電気化学素子であることが好ましい。
また、本発明の一態様としては、
前記のいずれかに記載の電気化学素子を、下記(1)、(2)および(3)に記載のとおりに使用する、電気化学素子の使用方法、であることが好ましい。
(1)片方の電極は正極としてのみ使用し、もう一方の電極は負極としてのみ使用する。
(2)両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷の差が、前記の充電の際に貯まる電荷の5%以内であるようにして、繰り返し充放電して使用する。
(3)前記の正極と、前記の負極との間の電圧が3.5〜2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧が2.0V〜0.5Vの間になるまで放電することを繰り返して使用する。
前記のいずれかに記載の電気化学素子を、下記(1)、(2)および(3)に記載のとおりに使用する、電気化学素子の使用方法、であることが好ましい。
(1)片方の電極は正極としてのみ使用し、もう一方の電極は負極としてのみ使用する。
(2)両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷の差が、前記の充電の際に貯まる電荷の5%以内であるようにして、繰り返し充放電して使用する。
(3)前記の正極と、前記の負極との間の電圧が3.5〜2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧が2.0V〜0.5Vの間になるまで放電することを繰り返して使用する。
本発明は両極性の導電性高分子を含む電極を、片方の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用する(極性デバイスとして使用する)ことにより、大幅に充放電サイクル寿命を長くした電気化学素子である。
本発明の電気化学素子は、片側の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用する方が本発明のキャパシターのサイクル寿命を大幅に長く出来るので、正極と負極を区別して使う極性デバイスとして使用する。これは両極性の導電性高分子においてアニオンまたはカチオンの一方のドープ・脱ドープのみを繰り返すほうが、アニオンとカチオンの両方のドープ・脱ドープを繰り返すよりも、ドープ・脱ドープ特性の劣化が大幅に少ないためである。本発明の電気化学素子は極性デバイスとして使用する以外には使用方法に特に制限はなく、通常の電気2重層キャパシターと同様に1対の電極間に電圧を印加することや、電流を流すことにより行うことが可能である。
また、本発明の電気化学素子は適正な電圧範囲で、過充電状態または過放電状態にならないようにして使用することがサイクル寿命を延ばす観点から好ましい。これは、ドーパントを過剰にドーピングすれると導電性高分子が強く酸化または還元されるため導電性高分子自体が劣化し、ドープ・脱ドープを繰り返す電極としての機能が低下するからである。また、ドーピングによる導電性高分子の膨張によって電極材料が剥離するなどの問題が生じる可能性があるからである。具体的には、両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷がほぼ同じであるようにして使用することが好ましい。充電電荷と放電電荷の差が許容量を超えて大きい場合には、充電・放電のサイクルを繰り返すたびにポリマーに余分な電荷が徐々に蓄積されることになり、上記の過充電状態または過放電状態になってしまうためである。具体的にはキャパシターなどの電気化学素子を、過充電状態にならないような一定電圧の範囲まで充電した後、充電された電荷をちょうど放電し切る電圧範囲まで放電することを繰り返すのが好ましい。もし充電された電荷が放電の際に完全には放出しきれなければ、充放電サイクルを繰り返すと僅かずつながら余分な電荷が電極に蓄積して過充電状態になり、電極の導電性高分子の一部が少しずつ劣化する。これを防止するには、充電電圧の上限をある程度低めにし、放電電圧の下限もある程度低めにするのが好ましい。また、正極と負極の電位が完全に等しくなる(電圧0.0V)まで放電すれば、正極と負極の容量が僅かでも異なれば、容量の小さい側の電極が意図しているのとは逆の電荷のイオンでドーピングされてしまい、一部分ではあるが充放電の過程で結局PドープとNドープの両方がされることになり、僅かながら電極の劣化が進む(過放電)。例えば正極の容量が負極に比べて小さければ、0.0Vまで放電した際に正極がNドープされてしまうので、正極は本来のPドープ・脱ドープ以外に一部Nドープ・脱ドープもすることになってしまう。これを防止するためには放電電圧の下限を0.0Vよりはある程度高くするのが好ましい。例えば本発明で例に挙げる両極性のポリチオフェン誘導体を両方の電極に使用するレドックスキャパシターでは、正極の負極に対する電位が+3.5〜+2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧を+2.0V〜+0.5Vの間になるまで放電することにより、充放電サイクルを繰り返しても導電性高分子を含む電極が過充電状態または過放電状態になるのを避けることができる。
本発明における両極性の導電性高分子とは、Pドープ、Nドープの両方が可能な導電性高分子(アニオン・カチオン両ドープ型の導電性高分子)である。図2には、2つの電極に両極性の導電性高分子を用いた系の充放電の様子を、縦軸に電流、横軸に電圧をとって模式的に表してある。図2の矢印は、放電の場合の電圧および電流の変化の向きを表している。図2に示すように、両極性の導電性高分子を各電極の活物質としてそれぞれ用いた系では、充電の場合には、一方の導電性高分子はPドープされ(アニオンがドープされ)、他方の導電性高分子はNドープ(カチオンがドープ)される。その結果、充電後の系の電圧(2つの電極間の電圧)はV1となる。放電の場合には、充電の場合と逆に、一方の導電性高分子はアニオンが脱ドープされ、他方の導電性高分子はカチオンが脱ドープされ、ドーピング電荷Q1が放出される。そして、放電完了後には、両方の導電性高分子はアニオンおよびカチオンがドープされていない状態に戻る。本発明においては、導電性高分子の中でも、このような両極性のものを用いることによって、放電電圧、蓄積電荷、エネルギー密度などの特性において特に高性能な電気化学素子を実現することができる。
両極性の導電性高分子としては、特に限定はなく、たとえば様々なポリチオフェン誘導体を挙げることができる。
本発明に用いる両極性の導電性高分子であるポリチオフェン誘導体として好適な例としては、ポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チオフェン、から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。中でも、モノマーユニットあたりのフッ素原子数が1〜4個のポリチオフェン誘導体は、Nドープ状態のポリマーが適度に安定化されるため、好ましい。すなわち、ポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−t−ブチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(2、4−ジフルオロフェニル)チオフェンから選ばれる少なくとも1つを用いるのが好ましい。
本発明に使用する両極性の導電性高分子は、多くのドーパントをドープ・脱ドープできるものが、キャパシターの静電容量を大きくする観点から好ましい。このためにはドープ・脱ドープによる電気伝導度の変化が1000倍以上である導電性高分子を用いることが好ましいが、例えば上にあげたポリチオフェン誘導体は問題なく使用することができる。
なお、上記ドープ・脱ドープによる電気伝導度の変化は、たとえば、以下のようにして知ることが出来る。すなわち、電解重合法によりSnO2ガラスなどの導電性基板上に導電性高分子膜を形成し、作製した導電性高分子膜つきの導電性基板を、参照電極(例えばBAS株式会社製 RE−5参照電極)および対極(例えば白金板)とともにドーパントとなるイオンを含む電解液(例えば1mol/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液)に浸し、この電解液中で導電性高分子膜つきの導電性基板を、導電性高分子のドーピングが起こる電位に一定時間保つことにより導電性高分子膜に十分なドーピングを行う。次に導電性高分子膜つき導電性基板を溶液から取り出して、導電性高分子膜を導電性基板からはがし、メタノールなどで洗浄し乾燥させる。得られたドープ状態の導電性高分子膜の電気伝導度は4端子法などの一般的な電気伝導度測定方法によって測定する。次に、上と同様にして導電性高分子膜を電解重合し、これを電解液中で脱ドープが起こる電位に一定時間保つことにより脱ドープ状態の導電性高分子膜を作製し、脱ドープ状態の導電性高分子膜の電気伝導度を測定する。これらの2つの電気伝導度測定によって導電性高分子のドープ状態と脱ドープ状態の電気伝導度の変化がわかる。導電性高分子が化学重合などで粉末状サンプルとして得られる場合には、導電性高分子粉末をプレスして固めてペレット状とし、このペレット状導電性高分子を上記と同様にしてドーパントとなるイオンを含む電解液中で一定電位に一定時間保つことによってドープ状態、および脱ドープ状態の導電性高分子ペレットを作製する。4端子法などによりこれらのペレットの電気伝導度を測定すれば、ドープ状態と脱ドープ状態における導電性高分子の電気伝導度の変化がわかる。例えば、0.1mol/Lのモノマーと1mol/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを含むプロピレンカーボネート溶液中においてSnO2ガラスをRE−5参照極に対して+1.2Vに120秒間保つことにより電解重合したポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェンは、1mol/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液中で、RE−5参照極に対し電位を+1.0Vに600秒間保てば、十分なPドープがされた状態となる。また、RE−5参照極に対して−1.0Vに600秒間保てば十分な脱ドープ状態となり、−2.0Vに600秒間保てば十分なNドープがされた状態になる。
また、本発明に使用する導電性高分子は、電気伝導度が高いものが、キャパシターの内部抵抗を低くする観点から好ましい。このためにはドープ状態で0.01 S/cm以上の導電率を示す導電性高分子を用いることが好ましく、1.0 S/cm以上のものを用いることがより好ましいが、例えば上に挙げたポリチオフェン誘導体は問題なく使用することができる。なお、上記ドープ状態での導電率は、上で述べた方法を用いて測定することができる。
本発明の電気化学素子で2つの電極に両極性の導電性高分子を用いる場合、両方の電極に必ずしも同一種類の導電性高分子を用いる必要は無く、異なる種類のものを用いてもよい。この場合はデバイスの作動電圧、エネルギー密度を向上させる観点から、Pドープ・脱ドープが起こる電位がより貴である導電性高分子を正極材料として、Nドープ・脱ドープが起こる電位がより卑である導電性高分子を負極材料として用いるのが好ましい。
本発明における両極性の導電性高分子は、容易に薄く均一な導電性高分子膜が作製でき、膜厚の制御も可能であるとの理由から、電解重合により得られることが好ましい。電解重合では、たとえば、モノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化することにより脱水素重合する方法で、陽極上に両極性の導電性高分子を析出させることができる。一般的に、ポリマーの酸化還元電位はモノマーに比べて低いため、重合過程でさらにポリマー骨格の酸化が進み、それに伴って支持電解質であるアニオンがドーパントとしてポリマー中に取り込まれる。電解重合においては、こうしたメカニズムにより、後でドーパントを加えなくても、導電性を有するポリマーが得られるという利点がある。また後述するように、電解重合に炭素電極を用いその表面に導電性高分子を析出させることは、そのような電極をそのままレドックスキャパシターなどの電極として使用できるので好ましい。
電解重合で良質の膜が得られにくい導電性高分子に関しては、化学重合にて粉状の導電性高分子粉末を作り、これをカーボンブラックなどの導電補助剤およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのバインダーと混合し、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒に溶かしてアルミニウム箔などの集電体上に塗布、乾燥させて電極を作製してもよい。
本発明に好ましく用いられる両極性の導電性高分子のドーパントとしては、それが両極性の導電性高分子の伝導度や熱安定性、ドープ・脱ドープの容量、安定性、速度に与える影響を考慮して選択される。本発明の両極性の導電性高分子に好ましく用いられるドーパントとしては、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、n−プロピルリン酸イオン、過塩素酸イオン、四フッ化ホウ酸イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンなどを例示することができる。ドーパントは、その大きさの小さい方がドープ・脱ドープの性能に優れている傾向が見られ、中でもp−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、四フッ化ホウ酸イオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンが好ましい。
アニオン成分および/またはカチオン成分がドーパントとしてポリマー中に取り込まれる支持電解質としては、たとえば、アルキルスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、n−プロピルリン酸エステル、イソプロピルリン酸エステル、n−ブチルリン酸エステル、n−ヘキシルリン酸エステル、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、四フッ化ホウ素テトラエチルアンモニウム、四フッ化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。中でも、容易に入手可能なイオン性液体とアニオン成分が共通である、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、四フッ化ホウ素テトラエチルアンモニウム、四フッ化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウムなどが好ましい。
本発明で使用する電解質としては、有機溶媒であるプロピレンカーボネート、アセトニトリル、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンなどに、ドーパントとなり得るイオンを含む支持電解質を溶解させた溶液が、高イオン(ドーパント)濃度、広電位窓などの観点から好適に用いられる。
また、本発明の電気化学素子に用いられる電解質は、イオン性液体を含んでいても良い。
本発明に好適に用いられるイオン性液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジウムカチオン、アンモニウムカチオン、トリアジン誘導体カチオンなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。中でもイミダゾリウムカチオンは使い易さの観点から好ましく用いられる。
イオン性液体を構成するアニオン成分としては、Br-、AlCl4 -、PF6 -、NO3 -、RANO3 -、NH2CHRACOO-、(CF3SO2)2N-、SO4 2-などを例示することができるが、これに限定されるものではない。ここで、RAは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示し、フッ素を含んでいてもよい。
さらに、カルボキシラト(−COO−)を含むアニオンである、RBCOO-、-OOCRBCOOH、-OOCRBCCOO-、NH2CHRBCOO-(ここで、RBは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示し、フッ素を含んでいてもよい。)は、本発明に好ましく用いられる。
また、スルホン酸アニオン(−SO3 -)を含むアニオンである、RCSO3 -、RCOSO3 -(ここで、RCは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基、エステル基、アシル基などを含む置換基を示し、フッ素を含んでいてもよい。)、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオンなどは、本発明に好ましく用いられる。
また、さらに、アニオンとしてBF4 -を用いると、低粘度のイオン性液体が得られ、本発明に好ましく用いることができる。
本発明におけるイオン性液体は、ドープ・脱ドープの繰り返し安定性に優れている理由から、上述した中でもBF4 -アニオン、PF6 -アニオンまたはスルホン酸アニオンを含むイオン性液体であるのが好ましい。
本発明に好ましく用いられるイオン性液体として、具体的には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトシレートから選ばれる少なくとも1つが挙げられる。中でも、ドープ・脱ドープによる蓄積電荷が大きく、ドープ・脱ドープの繰り返し安定性に優れている理由から、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを電解質として用いるのが好ましい。
イオン性液体は、両極性の導電性高分子に対して、1:3〜1:10000の比率となるように含有されるのが好ましく、1:5〜1:100の比率となるように含有されるのがより好ましい。当該イオン性液体が両極性の導電性高分子に対して1:10000未満であると、イオン性液体の割合が少な過ぎてドープ・脱ドープ性能の向上に寄与できない傾向にあるためであり、またイオン性液体が両極性の導電性高分子に対して1:3を超えると、導電性高分子膜の強度が弱くなる問題があるためである。
本発明に好ましく用いられるイオン性液体は、公知の方法を用いて、上記のアニオンとカチオンを組み合わせることで合成することができる。具体的な合成方法としては、アニオン交換法、酸エステル法、中和法などを挙げることができる。
本発明に用いられる電解質は、イオン性液体を含んでいなくてもよいし、イオン性液体のみから構成されていてもよいし、イオン性液体と有機溶媒との混合物であってもよいが、イオン性液体と有機溶媒との混合物を電解質として用いることで、適度なバランスで高イオン濃度、低粘度を実現できるため、これを電解液として用いることで非常にドープ・脱ドープの容量、応答速度を稼ぐことができ、好ましい。
前記混合物に用いられる有機溶媒としては、たとえば、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンなど、当分野において従来より広く用いられてきた有機溶媒を特に制限されることなく用いることができる。中でも、様々のイオン性液体と任意の割合でよく混合し、混合液の粘度が低くなるという理由から、アセトニトリルを用いることが好ましい。
電解質をイオン性液体と有機溶媒の混合物とする場合、その混合比率は特に制限されるものではないが、上述したように有機溶媒としてアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンの中から選ばれる少なくともいずれかを用いる場合、有機溶媒:イオン性液体=1:3〜10:1(体積比)であるのが好ましく、1:3〜3:1であるのがより好ましい。イオン性液体の有機溶媒に対する体積比1:10未満であると、イオン濃度が薄くなり、ドープ・脱ドープに有利でなくなる傾向にあるためであり、また、イオン性液体の有機溶媒に対する体積比が3:1を超えると、混合液の粘度が高くなり、電気伝導度が低くなってしまう傾向にあるためである。
また、本発明における両極性の導電性高分子は、イオン性液体中で重合するようにしてもよい。これにより、予めイオン性液体を含む両極性の導電性高分子を作製することができる。
本発明の電気化学素子において、両極性の導電性高分子がイオン性液体をさらに含むのが好ましい。ここで、イオン性液体を含む両極性の導電性高分子は、当該導電性高分子に後からイオン性液体を含浸させることによって作製されてもよいし、また、当該導電性高分子の重合過程からイオン性液体を共存させることによって作製されてもよい。なお、両極性の導電性高分子に含まれるイオン性液体としては、上述したものを特に制限なく用いることができる。このイオン性液体を構成するカチオン成分やアニオン成分は、両極性の導電性高分子のドーパントとなり得る成分であってもよく、また導電性高分子のドーパントとなり得ない成分であってもよい。導電性高分子のドーパントとならない場合であっても、導電性高分子の中に含まれる(導電性高分子と共存する)ことは可能である。このように、イオン性液体をさらに含む両極性の導電性高分子を用いることで、より一層電荷蓄積、放出能力の向上された電気化学素子を実現することができる。
イオン性液体を構成するカチオン成分やアニオン成分は、両極性の導電性高分子のドーパントとなり得る成分である場合、両極性の導電性高分子の脱ドープ反応が起きた場合でも、両極性の導電性高分子に対して有効にドーパントとなり得るアニオン成分および/またはカチオン成分が常に導電性高分子の近傍に存在する状態を実現することが可能となる。したがって、イオン性液体中でドープ・脱ドープ反応を実施し、さらにその際、イオン性液体を構成するアニオン成分を両極性の導電性高分子のドーパントとなり得る成分としておくことは、ドープ・脱ドープ反応の繰り返し安定性の向上に著しい効果をもたらすものとなる。
なお、本発明の電気化学素子でドープ・脱ドープ反応を繰り返した後では、両極性の導電性高分子のドーパントとイオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分の一部とが、共通成分であるイオン性液体−導電性高分子複合体が形成される。すなわち、ドープ・脱ドープ反応の開始時点では、両極性の導電性高分子のドーパントとイオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分とが必ずしも同一である必要はないが、繰り返しドープ・脱ドープ反応が進行した後の時点では、少なくともイオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分の一部が両極性の導電性高分子のドーパントとして取り込まれ、イオン性液体を構成するアニオン成分、カチオン成分および導電性高分子のドーパントの少なくとも一部が同一の成分を有することになる。無論、たとえば四フッ化ホウ酸イオン(BF4 -)などを用いて最初からアニオン成分および/またはカチオン成分とドーパントを同一の成分とすることがより好ましい。
また本発明では、イオン性液体を含む有機溶媒中で電解重合した両極性の導電性高分子を含む電解重合膜と、電極とからなる電極複合体と、イオン性液体を含む電解質とを組み合わせた電気化学素子としてもよい。この場合、ドープ・脱ドープ反応を実施し、さらにその際、イオン性液体を構成するアニオン成分および/またはカチオン成分を両極性の導電性高分子のドーパントになり得る成分としておくことは、ドープ・脱ドープ反応の繰り返し安定性の向上に著しい効果をもたらすものとなる。
本発明における「電気化学素子」は、導電性高分子のドープ・脱ドープ反応を繰り返し利用する素子全般を指し、レドックスキャパシターなどのキャパシター、電池、エレクトロクロミック素子、センサーなどを包含する。中でも、本発明の電気化学素子は、レドックスキャパシター(タイプIIIレドックスキャパシター)で実現されるのが好ましい。
図1は、本発明の電気化学素子の好ましい一例であるレドックスキャパシター1の構成を模式的に示す図である。ここで、レドックスキャパシターとは、擬似容量を利用して、電気二重層キャパシターの容量拡大をしたキャパシターである。本発明のレドックスキャパシターは、電気エネルギの貯蔵と放出に、電極材料の酸化還元、電気二重層における充放電、電極表面でのイオンの脱吸着の全てあるいは一部を利用するものであり、金属酸化物電極系、可逆レドックス溶液系、アンダーポテンシャル系などを含めた電気化学キャパシターの1種である。一般的に、活物質レベルで容量密度120Wh/kg、出力密度が20kw/kg程度以上で、数秒以内に高速度充放電可能な電気化学キャパシターが開発されている。
図1に示す例のレドックスキャパシター1は、たとえば、2枚の板状の電極2,3をセパレータ4を間に介して配置してなり、電極2,3にのみそれぞれ電極素子5,6を当接させた構造を備える。電極2、セパレータ4、電極3で構成される積層構造体は、電極素子5,6が互いに接触しないようにガスケット7で電極素子5,6間に固定される。
電極2,3を形成する材料としては、レドックスキャパシター用として用いることができる限りにおいては、特に素材を限定されるものではない。たとえば、両極性の導電性高分子のみで形成された電極、炭素材料と両極性の導電性高分子との複合材料電極、金属材料と両極性の導電性高分子との複合材料電極、金属材料と炭素材料および両極性の導電性高分子との複合材料電極などを用いることができる。
炭素材料と両極性の導電性高分子との複合材料電極は、たとえば、エタノールやメタノール、1−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒に、電極材料である両極性の導電性高分子と炭素材料と、さらに結着剤を加えて分散液とし、これを金属集電体の表面に塗布した後乾燥することにより作製することができる。結着剤としてはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂が好ましく用いられる。結着剤の前記電極材料に対する使用量は5〜20重量%程度であることが好ましい。前記金属集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、タンタルなどの金属が好ましく用いられ、これらの金属に金や白金メッキを施したものでもよく、高分子フィルムに金属層を形成したものでもよい。また、前記金属集電体は圧延箔、パンチング箔、エッチド箔、エキスパンドメタル箔などのかたちで用いられることがより好ましい。分極電極を、集電体とせずシート状とする場合には、導電性高分子/炭素複合材料を上記結着剤とともに混合し、さらに潤滑剤を加えてペースト状としてから、押出し成形して、これを圧延ロールで圧延して電極シートとすることができる。
また、両極性の導電性高分子の重合液に炭素材料を分散させておいて化学重合を行い、炭素材料の表面を両極性の導電性高分子によって被覆する方法によっても、炭素材料と両極性の導電性高分子との複合材料電極を作製することができる。このようにして作製した両極性の導電性高分子で被覆された炭素材料を用いて、上述と同様に電極を作製する。
炭素材料と両極性の導電性高分子との複合材料電極はまた、次のようにしても作製することができる。まずエタノールやメタノール、1−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒に炭素材料および結着剤を加えて分散液とし、これを金属集電体の表面に塗布後乾燥することにより炭素電極を作製する。次にこれを電極として用いて電解重合を行い炭素電極の表面に導電性高分子の薄膜を形成し、炭素材料の表面に導電性高分子が薄く被覆された構成とすることである。この方法で作製された電極は導電性高分子の層を極めて薄くできるので、インピーダンスの低減には有益な方法である。
上記炭素材料と両極性の導電性高分子との複合材料電極に用いられる炭素材料としては、当分野において電極形成用に用いられる炭素材料であれば特に制限されるものではないが、活性炭粉末、および/またはグラファイト粉末を含むものであることが好ましい。活性炭粉末やグラファイト粉末を添加することにより、電極抵抗の低減と表面積の拡大とを図ることができるためである。したがって、炭素材料として、表面積の大きなアセチレンブラックやファーネストブラックなどのカーボンブラック、細孔径の比較的大きな活性炭粒子、粒径の比較的小さなカーボンファイバー、グラファイトファイバー、カーボンナノチューブなどが、特に好ましいものとして挙げられる。なお、炭素材料は、比表面積(液体窒素温度での窒素の吸着等温線のデータを解析して求めたBET比表面積)の値が、20m2/g以上のものを用いるのが好ましい。
図1に示す電極2、セパレータ4、電極3の積層構造物には、上述したイオン性液体を含む(好ましくは、イオン性液体と有機溶媒との混合物である)電解質が含浸される。なお、セパレータ4としては、キャパシター用として従来より用いられてきたものを特に制限されず用いることができ、多孔質のものを用いるのが好ましい。また、電極素子5,6、ガスケット7もキャパシター用として従来より用いられてきたものを特に制限されず用いることができる。ガスケット7としては、電気絶縁性を有するものを用いる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(比較例1)
図3に模式的に示すセルを用いて、電解重合によって、SnO2ガラス上に両極性の導電性高分子であるポリ−3−(2、4−ジフルオロフェニル)チオフェン(p2、4DFPT)の膜を形成した。なお、図3に示すセルを用いた操作は、大気中の水分、酸素の影響を排除するため、すべて高純度アルゴンガスで置換したグローブボックス中で行った。
図3に模式的に示すセルを用いて、電解重合によって、SnO2ガラス上に両極性の導電性高分子であるポリ−3−(2、4−ジフルオロフェニル)チオフェン(p2、4DFPT)の膜を形成した。なお、図3に示すセルを用いた操作は、大気中の水分、酸素の影響を排除するため、すべて高純度アルゴンガスで置換したグローブボックス中で行った。
電解重合溶液はモノマーとして3−(2、4−ジフルオロフェニル)チオフェン(2、4DFPT)0.1M、支持塩として四フッ化ホウ素テトラエチルアンモニウム(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4))1Mを含むプロピレンカーボネート(PC)溶液を用いた。ここで使用したTEA・BF4の1Mプロピレンカーボネート溶液は三和油化工業株式会社から購入したものである。
作用極としては、3×3cmのSnO2ガラス板を用いた。また対極としては、3×4cmの白金板を用いた。なお、作用極であるSnO2ガラス板には、片面にSnO2コーティングを予め施してなるものを用い、このSnO2コーティングした側が対極と対向するように配置した。また、参照極としては、BAS社製RE−5参照電極(Ag/Ag+参照極、参照極内の溶液は過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Bu4N・ClO4)を0.1M、硝酸銀(AgNO3)を0.01M含むアセトニトリル溶液)を用いた。この参照電極の電位は標準水素電極(NHE)に比べて+490mV(+0.49V)である。
図3に示すように、容器内に上記電解重合液を収容し、参照極と対極との間にそれぞれ1cmの間隔をあけて作用極を配置させた状態で、これらを電解重合液に浸漬させた。なお、作用極は、端辺から1cmの領域のみが電解重合液に浸漬するようにした(すなわち、作用極の電解重合液に漬かった面積は片面で3×1cm)。この状態で、作用極の電位を参照極に対して+1.2Vに120秒間保持し、SnO2ガラスの一部にp2、4DFPTの膜を形成した。この時点でp2、4DFPT膜はPドープ(この場合BF4アニオンがドープ)された状態にある。次に、p2、4DFPTの膜が一部形成されたSnO2ガラス(作用極)の電位をRE−5参照極に対して0.0Vに240秒間保ち、p2、4DFPT膜の脱ドープを行った。
上述のようにして形成したp2、4DFPTの脱ドープ膜をSnO2ガラス(作用極)に形成したままプロピレンカーボネートで軽く洗い流した後、支持塩としてTEA・BF4を1M含むPC溶液(三和油化製)を収容した容器を用意し、この溶液に上述と同様にして参照極、作用極および対極を浸漬し(作用極は端辺から1cmの領域のみが浸漬)、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。CV測定は、p2、4DFPTの脱ドープ膜の自然電位からプラス側に向かって電位スイープを開始した。電位スイープの幅はRE−5参照極に対して−2.1V〜+0.8V、電位スイープ(掃引)速度は5mV/sとした。得られたサイクリックボルタモグラムを図4に示す。
ここで、図4に示すサイクリックボルタモグラムにおいて、横軸は、参照極の電位を0Vの基準とした作用極の電位を示し、当該グラフにおける横軸の0VはNHEの+490mV(+0.49V)に相当する。また図4における右側の上向きのピーク(横軸0V以上の領域の、+方向に電流の絶対値が増大する方向の電流のピーク)はPドープ(BF4 -のドーピング)に相当し、右側の下向きのピーク(横軸0V以上の領域の、−方向に電流の絶対値が増大する方向の電流のピーク)はP脱ドープ(BF4 -の脱ドープ)に相当する。また、図4における左側の下向きのピーク(横軸−1.5V以下の領域の、−方向に電流の絶対値が増大する方向の電流のピーク)はNドープ(テトラエチルアンモニウムカチオンのドーピング)に相当し、左側の上向きのピーク(横軸0V以上の領域の、+方向に電流の絶対値が増大する方向の電流のピーク)はN脱ドープ(テトラエチルアンモニウムカチオンの脱ドープ)に相当する。
図4に示すグラフの電流値の時間積分によって算出された1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0124Cおよび0.0131Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0015Cおよび0.0101Cであった。サイクル経過による容量変化の割合をS=Qn/Q1(ここでQnおよびQ1はそれぞれNサイクル目の脱ドープ電荷および1サイクル目の脱ドープ電荷である。)で定義する。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.12であり、N脱ドープに関してはS=0.77である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の1割程度まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
実施例1〜14および比較例1〜6のデータを表1にまとめて示す。
実施例1〜14および比較例1〜6のデータを表1にまとめて示す。
CV測定においてp2、4DFPT膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例1と同様の実験を行った。この測定結果を図5に示す。図5に示すサイクリックボルタモグラムの電流値の時間積分によって算出された1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0264Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0262Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。
(実施例2)
CV測定において作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例1と同様の実験を行った。この測定結果を図6に示す。図6に示すサイクリックボルタモグラムの電流値の時間積分によって算出された1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0171Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0146Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.85であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
CV測定において作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例1と同様の実験を行った。この測定結果を図6に示す。図6に示すサイクリックボルタモグラムの電流値の時間積分によって算出された1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0171Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0146Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.85であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
(比較例2)
CV測定時に用いる電解液を、イオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、比較例1と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0167Cおよび0.0140Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0048Cおよび0.0102Cであった。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.29であり、N脱ドープに関してはS=0.73である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の29%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
CV測定時に用いる電解液を、イオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、比較例1と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0167Cおよび0.0140Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0048Cおよび0.0102Cであった。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.29であり、N脱ドープに関してはS=0.73である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の29%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
(実施例3)
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例2と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0290Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0288Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。また、実施例1のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例2と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0290Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0288Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。また、実施例1のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
(実施例4)
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例2と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0198Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0177Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.89であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。また、実施例2のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例2と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0198Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0177Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.89であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。また、実施例2のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
(比較例3)
CV測定時に用いる電解液を、イオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とした他は、比較例1と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0025Cおよび0.0023Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0015Cおよび0.0009Cであった。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.60であり、N脱ドープに関してはS=0.39である。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
CV測定時に用いる電解液を、イオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とした他は、比較例1と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0025Cおよび0.0023Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0015Cおよび0.0009Cであった。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.60であり、N脱ドープに関してはS=0.39である。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
(実施例5)
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例3と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0028Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0027Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.96であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例3と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0028Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0027Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.96であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。
(実施例6)
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例3と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0028Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0026Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.93であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例3と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0028Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0026Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.93であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
(比較例4)
電解重合溶液に入れるモノマーを0.1Mの3−(3、4−ジフルオロフェニル)チオフェンとし、電解重合時の作用極への電圧印加としてRE−5参照極に対して+0.85Vから始めて+0.85V〜+1.0Vの間を1V/sの速さで500往復スイープした他は、比較例1と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0094Cおよび0.0084Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0014Cおよび0.0061Cであった。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.15であり、N脱ドープに関してはS=0.73である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の15%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
電解重合溶液に入れるモノマーを0.1Mの3−(3、4−ジフルオロフェニル)チオフェンとし、電解重合時の作用極への電圧印加としてRE−5参照極に対して+0.85Vから始めて+0.85V〜+1.0Vの間を1V/sの速さで500往復スイープした他は、比較例1と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0094Cおよび0.0084Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0014Cおよび0.0061Cであった。5サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.15であり、N脱ドープに関してはS=0.73である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の15%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような電気化学素子は電極が比較的早く劣化するために実際上使用できなくなってしまう。
(実施例7)
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例4と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0101Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0098Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.97であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して0.0Vから始めて、0.0V〜+0.8Vの範囲でスイープした他は、比較例4と同様の実験を行った。1サイクル目の0V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は、0.0101Cであった。また同様に5サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0098Cであった。5サイクル目において、P脱ドープについてS=0.97であり、P脱ドープ容量の劣化は殆ど見られない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大きく伸ばすことが可能である。
(実施例8)
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例4と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0083Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0072Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.86であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
CV測定において導電性高分子膜つき作用極の電位をRE−5参照極に対して−1.0Vから始めて、−2.1V〜−1.0Vの範囲でスイープした他は、比較例4と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.0Vの範囲でのN脱ドープ容量は、0.0083Cであった。また同様に5サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0072Cであった。5サイクル目においてN脱ドープについてS=0.86であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
(比較例5)
<炭素電極の作製>
レゾルシノール9.00g、ホルムアルデヒド37%含有水溶液(安定剤としてメタノールを5〜10%含む)を12.2ml、純水32.6ml、炭酸ナトリウム5.78mgを秤量し、ビーカーに入れて1分間撹拌棒で撹拌し、直径10.0mmのプラスチック試験管に入れ、ゴム栓をした。このプラスチック管を恒温水槽に入れ、7日間20℃で一定に保った後、4日間50℃に保ち、ゲル状の物質を得た。プラスチック管を切って中のゲルを形を崩さずに取り出し、24時間アセトンに浸漬した後、24時間大気中、室温で自然乾燥させた。乾燥させた円柱状ゲルを電気炉の中に入れて、窒素ガスフロー中で2℃/分の速度で室温から1500℃まで昇温し、1500℃に到達後は加熱をやめて自然に室温まで温度が下がるのを待った。これにより直径6.0mmの円柱状の炭素電極が得られた。得られた円柱状炭素電極をカッターナイフで切断し、長さ5.0mmおよび10.0mmの円柱状電極を作製した。
<炭素電極の作製>
レゾルシノール9.00g、ホルムアルデヒド37%含有水溶液(安定剤としてメタノールを5〜10%含む)を12.2ml、純水32.6ml、炭酸ナトリウム5.78mgを秤量し、ビーカーに入れて1分間撹拌棒で撹拌し、直径10.0mmのプラスチック試験管に入れ、ゴム栓をした。このプラスチック管を恒温水槽に入れ、7日間20℃で一定に保った後、4日間50℃に保ち、ゲル状の物質を得た。プラスチック管を切って中のゲルを形を崩さずに取り出し、24時間アセトンに浸漬した後、24時間大気中、室温で自然乾燥させた。乾燥させた円柱状ゲルを電気炉の中に入れて、窒素ガスフロー中で2℃/分の速度で室温から1500℃まで昇温し、1500℃に到達後は加熱をやめて自然に室温まで温度が下がるのを待った。これにより直径6.0mmの円柱状の炭素電極が得られた。得られた円柱状炭素電極をカッターナイフで切断し、長さ5.0mmおよび10.0mmの円柱状電極を作製した。
<CV測定用ポリマー膜つき作用極の作製>
以下の電気化学実験はすべてアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
3−(4−フルオロフェニル)チオフェン(4FPT)のPCの飽和溶液を、上で作製した炭素電極(直径6.0mm、長さ5.0mmの円柱状)に1時間真空含浸させた。図7に示すように4FPTのPC飽和溶液を含浸させた炭素電極を作用極、白金板を対極、BAS株式会社製RE−5参照極を参照極とし、ポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェン(p4FPT)の電解重合を行った。電解液には1.0M TEA・BF4のPC溶液(三和油化工業株式会社製)を用い、重合は電流値が0.1mA以下になるまで、作用極を参照極に対して1.05Vに保つことにより行った。重合完了後は1mV/sで作用極の電位を自然電位から参照極に対して0Vまで下げ、重合したp4FPT膜を脱ドープした。脱ドープ後、炭素電極をアセトニトリルで洗浄し、一晩真空乾燥させた。作製したPFPT膜つきの炭素電極に1M TEA・BF4のPC溶液(三和油化工業株式会社製)を1時間真空含浸させた。
以下の電気化学実験はすべてアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
3−(4−フルオロフェニル)チオフェン(4FPT)のPCの飽和溶液を、上で作製した炭素電極(直径6.0mm、長さ5.0mmの円柱状)に1時間真空含浸させた。図7に示すように4FPTのPC飽和溶液を含浸させた炭素電極を作用極、白金板を対極、BAS株式会社製RE−5参照極を参照極とし、ポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェン(p4FPT)の電解重合を行った。電解液には1.0M TEA・BF4のPC溶液(三和油化工業株式会社製)を用い、重合は電流値が0.1mA以下になるまで、作用極を参照極に対して1.05Vに保つことにより行った。重合完了後は1mV/sで作用極の電位を自然電位から参照極に対して0Vまで下げ、重合したp4FPT膜を脱ドープした。脱ドープ後、炭素電極をアセトニトリルで洗浄し、一晩真空乾燥させた。作製したPFPT膜つきの炭素電極に1M TEA・BF4のPC溶液(三和油化工業株式会社製)を1時間真空含浸させた。
<CV測定用ポリマー膜つき対極の作製>
10.0mmの長さの円柱状炭素電極を用いる以外は、上記のCV測定用作用極の作製と同様にして、p4FPT膜つきの長さ10.0mmの円柱状炭素電極を作製した。
10.0mmの長さの円柱状炭素電極を用いる以外は、上記のCV測定用作用極の作製と同様にして、p4FPT膜つきの長さ10.0mmの円柱状炭素電極を作製した。
<p4FPT膜のCV測定>
図8のように、上で作製した長さ5.0mmのp4FPT膜つき円柱電極を作用極、長さ10.0mmのp4FPT膜つき円柱電極を対極、RE−5参照極を参照極とし、1M TEA・BF4のPC溶液(三和油化製)を電解液とし、CV測定を行った。作用極の電位スイープは、自然電位からプラス側に向かって開始した。電位スイープの幅はRE−5参照極に対して−2.1V〜+0.8V、スイープ(掃引)速度は100mV/sとした。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.2Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0564Cおよび0.0548Cであった。また同様に5000サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0102Cおよび0.0213Cであった。5000サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.18であり、N脱ドープに関してはS=0.39である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の18%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような素子は電極が比較的早く劣化しするために実際上使用できなくなってしまう。
図8のように、上で作製した長さ5.0mmのp4FPT膜つき円柱電極を作用極、長さ10.0mmのp4FPT膜つき円柱電極を対極、RE−5参照極を参照極とし、1M TEA・BF4のPC溶液(三和油化製)を電解液とし、CV測定を行った。作用極の電位スイープは、自然電位からプラス側に向かって開始した。電位スイープの幅はRE−5参照極に対して−2.1V〜+0.8V、スイープ(掃引)速度は100mV/sとした。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.2Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0564Cおよび0.0548Cであった。また同様に5000サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0102Cおよび0.0213Cであった。5000サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.18であり、N脱ドープに関してはS=0.39である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の18%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような素子は電極が比較的早く劣化しするために実際上使用できなくなってしまう。
(実施例9)
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して0.0V〜+0.8Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の0.0V〜+0.8Vの範囲でのPドープ容量、P脱ドープ容量はそれぞれ0.0494Cおよび0.0200Cであった。1サイクル目のPドープ容量に対するP脱ドープ容量の割合は0.40であり、充電された電荷の4割が放電の際に放出されたことになる。10000サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0124Cであった。10000サイクル目においてP脱ドープについてS=0.62であり、比較例5に比べてP脱ドープ容量の劣化はかなり少ない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して0.0V〜+0.8Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の0.0V〜+0.8Vの範囲でのPドープ容量、P脱ドープ容量はそれぞれ0.0494Cおよび0.0200Cであった。1サイクル目のPドープ容量に対するP脱ドープ容量の割合は0.40であり、充電された電荷の4割が放電の際に放出されたことになる。10000サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0124Cであった。10000サイクル目においてP脱ドープについてS=0.62であり、比較例5に比べてP脱ドープ容量の劣化はかなり少ない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
(実施例10)
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−1.6Vから電位スイープを始め、電位スイープ幅を−2.1V〜−1.6Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.6Vの範囲でのNドープ容量、N脱ドープ容量はそれぞれ0.0511Cおよび0.0275Cであった。1サイクル目のNドープ容量に対するN脱ドープ容量の割合は0.54であり、充電された電荷の約半分が放電の際に放出されたことになる。10000サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0154Cであった。10000サイクル目においてN脱ドープについてS=0.56であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−1.6Vから電位スイープを始め、電位スイープ幅を−2.1V〜−1.6Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.6Vの範囲でのNドープ容量、N脱ドープ容量はそれぞれ0.0511Cおよび0.0275Cであった。1サイクル目のNドープ容量に対するN脱ドープ容量の割合は0.54であり、充電された電荷の約半分が放電の際に放出されたことになる。10000サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0154Cであった。10000サイクル目においてN脱ドープについてS=0.56であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。
(実施例11)
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−0.6V〜+0.8Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのPドープ容量、P脱ドープ容量はそれぞれ0.0535Cおよび0.0529Cであった。1サイクル目のPドープ容量に対するP脱ドープ容量の割合は0.99であり、充電された電荷がほぼ完全に放電で放出されたことになる。120000サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0524Cであった。120000サイクル目においてP脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化はほとんどない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大幅に伸ばすことが可能である。また、実施例9との比較より、充電と放電の際にそれぞれ蓄積、放出される電荷をほぼ同じにすることは電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばす観点から好ましいことがわかる。
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−0.6V〜+0.8Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのPドープ容量、P脱ドープ容量はそれぞれ0.0535Cおよび0.0529Cであった。1サイクル目のPドープ容量に対するP脱ドープ容量の割合は0.99であり、充電された電荷がほぼ完全に放電で放出されたことになる。120000サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0524Cであった。120000サイクル目においてP脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化はほとんどない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大幅に伸ばすことが可能である。また、実施例9との比較より、充電と放電の際にそれぞれ蓄積、放出される電荷をほぼ同じにすることは電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばす観点から好ましいことがわかる。
(実施例12)
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−1.2Vから電位スイープを始め、電位スイープ幅を−2.1V〜−1.2Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.2Vの範囲でのNドープ容量、N脱ドープ容量はそれぞれ0.0593Cおよび0.0565Cであった。1サイクル目のNドープ容量に対するN脱ドープ容量の割合は0.95であり、充電された電荷がほぼ完全に放電で放出されたことになる。20000サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0368Cであった。20000サイクル目においてN脱ドープについてS=0.65であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。また、実施例10との比較より、充電と放電の際にそれぞれ蓄積、放出される電荷をほぼ同じにすることは電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばす観点から好ましいことがわかる。
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−1.2Vから電位スイープを始め、電位スイープ幅を−2.1V〜−1.2Vとした以外は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.2Vの範囲でのNドープ容量、N脱ドープ容量はそれぞれ0.0593Cおよび0.0565Cであった。1サイクル目のNドープ容量に対するN脱ドープ容量の割合は0.95であり、充電された電荷がほぼ完全に放電で放出されたことになる。20000サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0368Cであった。20000サイクル目においてN脱ドープについてS=0.65であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。また、実施例10との比較より、充電と放電の際にそれぞれ蓄積、放出される電荷をほぼ同じにすることは電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばす観点から好ましいことがわかる。
(比較例6)
p4FPT膜つきの炭素電極に含浸させる電解液およびCV測定の電解液として、イオン性液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートとPCの混合液(体積比で1:1の混合液)を用いた他は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.2Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0632Cおよび0.0559Cであった。また同様に5000サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0153Cおよび0.0245Cであった。5000サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.24であり、N脱ドープに関してはS=0.44である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の24%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような素子は電極が比較的早く劣化しするために実際上使用できなくなってしまう。
p4FPT膜つきの炭素電極に含浸させる電解液およびCV測定の電解液として、イオン性液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートとPCの混合液(体積比で1:1の混合液)を用いた他は、比較例5と同様の実験を行った。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープおよび−2.1V〜−1.2Vの範囲でのN脱ドープの容量は、それぞれ0.0632Cおよび0.0559Cであった。また同様に5000サイクル目のP脱ドープおよびN脱ドープの容量は、それぞれ0.0153Cおよび0.0245Cであった。5000サイクル目において、P脱ドープに関してはS=0.24であり、N脱ドープに関してはS=0.44である。特にP脱ドープに関しては5サイクル目で1サイクル目の容量の24%まで落ち込んでいる。このように1つの電極をPドープ・脱ドープとNドープ・脱ドープの両方をさせる使い方をすれば、このような素子は電極が比較的早く劣化しするために実際上使用できなくなってしまう。
(実施例13)
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−0.6V〜+0.8Vとした以外は、比較例6と同様の実験を行った。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は0.0651Cであった。また同様に200000サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0646Cであった。200000サイクル目においてP脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化はほとんどない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大幅に伸ばすことが可能である。また、実施例9のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−0.6V〜+0.8Vとした以外は、比較例6と同様の実験を行った。1サイクル目の−0.6V〜+0.8Vの範囲でのP脱ドープ容量は0.0651Cであった。また同様に200000サイクル目のP脱ドープ容量は、0.0646Cであった。200000サイクル目においてP脱ドープについてS=0.99であり、P脱ドープ容量の劣化はほとんどない。このようにPドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を大幅に伸ばすことが可能である。また、実施例9のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
(実施例14)
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−2.1V〜−1.2Vとした以外は、比較例6と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.2Vの範囲でのN脱ドープ容量は0.0662Cであった。また同様に50000サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0480Cであった。50000サイクル目においてN脱ドープについてS=0.73であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。また、実施例10のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
CV測定における作用極の電位スイープ幅を、参照極に対して−2.1V〜−1.2Vとした以外は、比較例6と同様の実験を行った。1サイクル目の−2.1V〜−1.2Vの範囲でのN脱ドープ容量は0.0662Cであった。また同様に50000サイクル目のN脱ドープ容量は、0.0480Cであった。50000サイクル目においてN脱ドープについてS=0.73であり、N脱ドープ容量の劣化は少ない。このようにNドープ・脱ドープのみを繰り返せば電極、電気化学素子のサイクル寿命を伸ばすことが可能である。また、実施例10のようにドープ・脱ドープを行う際の電解液として有機溶媒に固体の支持塩を溶解させた溶液を用いる場合に比べると、イオン性液体と有機溶媒の混合液を電解液に用いた場合には高イオン濃度、低粘度をバランスよく両立できるため脱ドープ容量、サイクル寿命がともに向上する。
(比較例7)
<レドックスキャパシターのモデルセルの電極作製>
以下の操作はすべて大気中の水分、酸素の影響を排除するため、高純度アルゴンガスで置換したグローブボックス中で行った。図9に模式的に示すセルを用いて、電解重合によって、直径16mmの白金円板上に両極性の導電性高分子であるp2、4DFPTの膜を形成した。なお、電解重合溶液はモノマーとして2、4DFPTを0.1M、支持塩としてTEA・BF4を1M含むPC溶液を用いた。作用極としては、直径16mmの白金円板を用いた。また対極としては、3×4cmの白金板を用いた。また、参照極としては、BAS社製RE−5参照電極を用いた。 図9に示すように、容器内に上記電解重合液を収容し、参照極と対極との間にそれぞれ1cmの間隔をあけて作用極を配置させた状態で、これらを電解重合液に浸漬させた。この状態で、作用極の電位を参照極に対して+1.2Vに120秒間保持し、白金円板上にp2、4DFPTの膜を形成した。この時点でp2、4DFPT膜はPドープ(この場合BF4アニオンがドープ)された状態にある。次に、p2、4DFPTの膜が形成された白金円板(作用極)の電位をRE−5参照極に対して0.0Vに240秒間保ち、p2、4DFPT膜の脱ドープを行った。脱ドープしたp2、4DFPT膜つき白金円板をアセトニトリルで洗浄した。ここで得られた脱ドープされたp2、4DFPT膜つき白金円板は次に述べるレドックスキャパシターのモデルセルの電極として使用した。
<レドックスキャパシターのモデルセルの電極作製>
以下の操作はすべて大気中の水分、酸素の影響を排除するため、高純度アルゴンガスで置換したグローブボックス中で行った。図9に模式的に示すセルを用いて、電解重合によって、直径16mmの白金円板上に両極性の導電性高分子であるp2、4DFPTの膜を形成した。なお、電解重合溶液はモノマーとして2、4DFPTを0.1M、支持塩としてTEA・BF4を1M含むPC溶液を用いた。作用極としては、直径16mmの白金円板を用いた。また対極としては、3×4cmの白金板を用いた。また、参照極としては、BAS社製RE−5参照電極を用いた。 図9に示すように、容器内に上記電解重合液を収容し、参照極と対極との間にそれぞれ1cmの間隔をあけて作用極を配置させた状態で、これらを電解重合液に浸漬させた。この状態で、作用極の電位を参照極に対して+1.2Vに120秒間保持し、白金円板上にp2、4DFPTの膜を形成した。この時点でp2、4DFPT膜はPドープ(この場合BF4アニオンがドープ)された状態にある。次に、p2、4DFPTの膜が形成された白金円板(作用極)の電位をRE−5参照極に対して0.0Vに240秒間保ち、p2、4DFPT膜の脱ドープを行った。脱ドープしたp2、4DFPT膜つき白金円板をアセトニトリルで洗浄した。ここで得られた脱ドープされたp2、4DFPT膜つき白金円板は次に述べるレドックスキャパシターのモデルセルの電極として使用した。
<レドックスキャパシターのモデルセルの組み立て>
上の手順で作製したp2、4DFPT膜つき白金円板2枚を、間に厚さ85−90μm、直径1.8mmの円形の絶縁性不織布をセパレーターとしてはさんで、電解重合時に対極側に向いていた面同士を向かい合わせ、宝泉株式会社製のステンレス製HSセル(以下、UFOセルと称するが、全てHSセルのことである)に入れた。次に電解液としてTEA・BF4の1MのPC溶液(三和油化株式会社製)をUFOセルに0.20ml入れ、UFOセルの蓋を閉め、これをレドックスキャパシターのモデルセルとした。
上の手順で作製したp2、4DFPT膜つき白金円板2枚を、間に厚さ85−90μm、直径1.8mmの円形の絶縁性不織布をセパレーターとしてはさんで、電解重合時に対極側に向いていた面同士を向かい合わせ、宝泉株式会社製のステンレス製HSセル(以下、UFOセルと称するが、全てHSセルのことである)に入れた。次に電解液としてTEA・BF4の1MのPC溶液(三和油化株式会社製)をUFOセルに0.20ml入れ、UFOセルの蓋を閉め、これをレドックスキャパシターのモデルセルとした。
<レドックスキャパシターのモデルセルの充放電サイクル試験>
作製したレドックスキャパシターモデルセルの両電極の電位差を0Vに保って放電させ、2つの電極の電位差が0.01V以下になるようにした。次に1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極電位が、もう一方の電極の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行い、続けて1mAの一定電流で放電、充電を繰り返した。モデルセルの片側の電極電位が、もう一方の電極の電位に対して+3.0Vまたは−3.0Vになれば直ちに電流の方向を逆転させるようにし、両電極の電位差が−3.0V〜+3.0Vの間を往復するように1mAの一定電流で充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮しない無極性デバイスとして使用することに対応しており、両方の電極の導電性高分子はPドープ・脱ドープおよびNドープ・脱ドープの両方を繰り返すことになる。1回目の充電が完了した後(片側の電極の電位がもう一方の電極の電位に対して初めに、+3.0Vまたは−3.0Vになった後)の放電の際、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲における放電電荷は0.0193Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0031Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.16である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
作製したレドックスキャパシターモデルセルの両電極の電位差を0Vに保って放電させ、2つの電極の電位差が0.01V以下になるようにした。次に1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極電位が、もう一方の電極の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行い、続けて1mAの一定電流で放電、充電を繰り返した。モデルセルの片側の電極電位が、もう一方の電極の電位に対して+3.0Vまたは−3.0Vになれば直ちに電流の方向を逆転させるようにし、両電極の電位差が−3.0V〜+3.0Vの間を往復するように1mAの一定電流で充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮しない無極性デバイスとして使用することに対応しており、両方の電極の導電性高分子はPドープ・脱ドープおよびNドープ・脱ドープの両方を繰り返すことになる。1回目の充電が完了した後(片側の電極の電位がもう一方の電極の電位に対して初めに、+3.0Vまたは−3.0Vになった後)の放電の際、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲における放電電荷は0.0193Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0031Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.16である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
実施例15〜26および比較例7〜15のデータを表2にまとめて示す。
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、1mAの一定電流で正極の電位が負極に対して2.0Vになるまで放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは+2.0Vになれば直ちに電流の方向を逆転させるようにし、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+2.0Vの範囲における放電電荷は0.0198Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0125Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.63である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の6割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(実施例16)
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、100mV/sの一定速度で正極の電位が負極に対して2.5Vになるまで電位のスイープをして放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは+2.5Vになれば直ちに逆方向に100mV/sの一定速度で電位のスイープを行うことにより、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+2.5Vの範囲における放電電荷は0.0086Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0036Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.42である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の4割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も1サイクル目の半分程度の容量で使用することができる。
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、100mV/sの一定速度で正極の電位が負極に対して2.5Vになるまで電位のスイープをして放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは+2.5Vになれば直ちに逆方向に100mV/sの一定速度で電位のスイープを行うことにより、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+2.5Vの範囲における放電電荷は0.0086Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0036Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.42である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の4割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も1サイクル目の半分程度の容量で使用することができる。
(実施例17)
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、100mV/sの一定速度で正極の電位が負極に対して0.0Vになるまで電位のスイープをして放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは0.0Vになれば直ちに逆方向に100mV/sの一定速度で電位のスイープを行うことにより、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、基本的には正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+0.0Vの範囲における放電電荷は0.0188Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0055Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.29である。このように、極性デバイスとして使用した場合には、無極性デバイスとして使用した場合に比べてサイクル劣化を抑えることができる。
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、100mV/sの一定速度で正極の電位が負極に対して0.0Vになるまで電位のスイープをして放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは0.0Vになれば直ちに逆方向に100mV/sの一定速度で電位のスイープを行うことにより、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、基本的には正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+0.0Vの範囲における放電電荷は0.0188Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0055Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.29である。このように、極性デバイスとして使用した場合には、無極性デバイスとして使用した場合に比べてサイクル劣化を抑えることができる。
(実施例18)
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、100mV/sの一定速度で正極の電位が負極に対して+2.0Vになるまで電位のスイープをして放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは+2.0Vになれば直ちに逆方向に100mV/sの一定速度で電位のスイープを行うことにより、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+2.0Vの範囲における放電電荷は0.0181Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0109Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.60である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の6割を維持しており、100サイクルの充放電後も1サイクル目の6割の容量で使用することができる。本実施例では、実施例16および実施例17に比べて容量のサイクル劣化が少なく、好ましい。これは、本実施例の電圧範囲で充放電をすれば、各充放電サイクルにおいて充電電荷をほぼ完全に放電するため、過充電状態になるのを防止できるからである。また、厳密に片側の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用できるためである。実施例16では放電電圧の下限が2.5Vと高めであるために、充電された電荷が放電の際に完全には放出しきれておらず、充放電サイクルを繰り返すと僅かずつながら余分な電荷が蓄積して過充電状態になり、導電性高分子の一部が少しずつ劣化する。これを防止するには、本実施例のように放電電圧の下限をある程度低め(例えば2.0V)にするのが好ましい。(実施例17)では、放電電圧の下限である0.0Vでは正極と負極の電位が完全に等しくなるが、正極と負極の容量が僅かでも異なれば、容量の小さい側の電極が、意図しているのとは逆の電荷のイオンでドーピングされてしまい、一部分ではあるが充放電の過程で結局PドープとNドープの両方がされることになり、僅かながら電極の劣化が進む。例えば正極の容量が負極に比べて小さければ、0.0Vまで放電した際に正極がNドープされてしまうので、正極は本来のPドープ・脱ドープ以外に一部Nドープ・脱ドープもすることになってしまう。これを防止するためには本実施例のように放電電圧の下限を0.0Vより高く(例えば2.0V)するのが好ましい。
比較例7においてモデルセルの充放電サイクル試験の際に、充放電の条件を以下のように変えて実験を行った。すなわち、初めに1mAの一定電流でモデルセルの片側の電極(この電極を正極とする)の電位が、もう一方の電極(この電極を負極とする)の電位に対して+3.0Vになるまで充電を行った後、100mV/sの一定速度で正極の電位が負極に対して+2.0Vになるまで電位のスイープをして放電を行い、その後は正極の負極に対する電位が+3.0Vまたは+2.0Vになれば直ちに逆方向に100mV/sの一定速度で電位のスイープを行うことにより、充放電を繰り返した。これはモデルセルを、極性を考慮する極性デバイスとして使用することに対応しており、正極の導電性高分子はPドープ・脱ドープのみを繰り返し、負極の導電性高分子はNドープ・脱ドープのみを繰り返すことになる。
1回目の充電が完了した後(正極の電位が負極の電位に対して初めに、+3.0Vになった後)の放電の際、正極の負極に対する電位が+3.0〜+2.0Vの範囲における放電電荷は0.0181Cであった。100回目の放電における同様の放電電荷は0.0109Cであり、100サイクル後の放電容量の割合はS=0.60である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の6割を維持しており、100サイクルの充放電後も1サイクル目の6割の容量で使用することができる。本実施例では、実施例16および実施例17に比べて容量のサイクル劣化が少なく、好ましい。これは、本実施例の電圧範囲で充放電をすれば、各充放電サイクルにおいて充電電荷をほぼ完全に放電するため、過充電状態になるのを防止できるからである。また、厳密に片側の電極は正極としてのみ、もう一方の電極は負極としてのみ使用できるためである。実施例16では放電電圧の下限が2.5Vと高めであるために、充電された電荷が放電の際に完全には放出しきれておらず、充放電サイクルを繰り返すと僅かずつながら余分な電荷が蓄積して過充電状態になり、導電性高分子の一部が少しずつ劣化する。これを防止するには、本実施例のように放電電圧の下限をある程度低め(例えば2.0V)にするのが好ましい。(実施例17)では、放電電圧の下限である0.0Vでは正極と負極の電位が完全に等しくなるが、正極と負極の容量が僅かでも異なれば、容量の小さい側の電極が、意図しているのとは逆の電荷のイオンでドーピングされてしまい、一部分ではあるが充放電の過程で結局PドープとNドープの両方がされることになり、僅かながら電極の劣化が進む。例えば正極の容量が負極に比べて小さければ、0.0Vまで放電した際に正極がNドープされてしまうので、正極は本来のPドープ・脱ドープ以外に一部Nドープ・脱ドープもすることになってしまう。これを防止するためには本実施例のように放電電圧の下限を0.0Vより高く(例えば2.0V)するのが好ましい。
(比較例8)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0246Cおよび0.0059Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.24である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0246Cおよび0.0059Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.24である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例19)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0244Cおよび0.0199Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.82である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の8割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0244Cおよび0.0199Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.82である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の8割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(比較例9)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とアセトニトリル(AN)の体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0228Cおよび0.0055Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.24である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とアセトニトリル(AN)の体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0228Cおよび0.0055Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.24である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例20)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とANの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0211Cおよび0.0176Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.83である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の8割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とANの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0211Cおよび0.0176Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.83である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の8割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(比較例10)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0032Cおよび0.0003Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.09である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0032Cおよび0.0003Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.09である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例21)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0034Cおよび0.0027Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.79である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の7割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0034Cおよび0.0027Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.79である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の7割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(比較例11)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(EMIm−PF6)とエチレンカーボネート(EC)の体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0231Cおよび0.0040Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.17である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(EMIm−PF6)とエチレンカーボネート(EC)の体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0231Cおよび0.0040Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.17である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例22)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(EMIm−PF6)とエチレンカーボネート(EC)の体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0232Cおよび0.0166Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.72である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の7割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(EMIm−PF6)とエチレンカーボネート(EC)の体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0232Cおよび0.0166Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.72である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の7割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(比較例12)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIm−BF4)とγ−ブチルラクトンの体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0227Cおよび0.0040Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.18である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIm−BF4)とγ−ブチルラクトンの体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0227Cおよび0.0040Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.18である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例23)
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIm−BF4)とγ−ブチルラクトンの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0223Cおよび0.0166Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.74である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の7割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIm−BF4)とγ−ブチルラクトンの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0223Cおよび0.0166Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.74である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の7割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(比較例13)
電解重合時に用いるモノマーを2、4DFPTの代わりに3−フェニルチオフェン(3PT)にしてポリ−(3−フェニル)チオフェン(p3PT)の重合膜を白金円板上に形成し、UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0110Cおよび0.0008Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.07である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
電解重合時に用いるモノマーを2、4DFPTの代わりに3−フェニルチオフェン(3PT)にしてポリ−(3−フェニル)チオフェン(p3PT)の重合膜を白金円板上に形成し、UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、比較例7と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0110Cおよび0.0008Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.07である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例24)
電解重合時に用いるモノマーを2、4DFPTの代わりに3−フェニルチオフェン(3PT)にしてポリ−(3−フェニル)チオフェン(p3PT)の重合膜を白金円板上に形成し、UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0123Cおよび0.0083Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.67である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の6割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
電解重合時に用いるモノマーを2、4DFPTの代わりに3−フェニルチオフェン(3PT)にしてポリ−(3−フェニル)チオフェン(p3PT)の重合膜を白金円板上に形成し、UFOセルに入れる電解液をイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とPCの体積比1:1の混合液とした他は、実施例13と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0123Cおよび0.0083Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.67である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の6割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。
(比較例14)
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とした他は、比較例8と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0272Cおよび0.0092Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.34である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とした他は、比較例8と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0272Cおよび0.0092Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.34である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例25)
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とした他は、実施例14と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0272Cおよび0.0253Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.93である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の9割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。また、充放電時に用いるのと同じイオン性液体を重合溶液にも含ませて電解重合を行う事によって、導電性高分子膜に充放電の際に出入りするドーパントを予めなじませておくことができるので、実施例14に比べて放電電荷が大きく、サイクル劣化が少ない。
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIm−BF4)とした他は、実施例14と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0272Cおよび0.0253Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.93である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の9割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。また、充放電時に用いるのと同じイオン性液体を重合溶液にも含ませて電解重合を行う事によって、導電性高分子膜に充放電の際に出入りするドーパントを予めなじませておくことができるので、実施例14に比べて放電電荷が大きく、サイクル劣化が少ない。
(比較例15)
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、比較例9と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0275Cおよび0.0089Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.32である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、比較例9と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0275Cおよび0.0089Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.32である。このように、無極性のデバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクル程度で劣化し、殆ど充放電しなくなってしまう。
(実施例26)
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、実施例20と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0271Cおよび0.0249Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.92である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の9割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。また、充放電時に用いるのと同じイオン性液体を重合溶液にも含ませて電解重合を行う事によって、導電性高分子膜に充放電の際に出入りするドーパントを予めなじませておくことができるので、実施例20に比べて放電電荷が大きく、サイクル劣化が少ない。
電解重合液に添加する支持塩をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF4)の代わりにイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート(EMIm−pTSO)とした他は、実施例20と同様の実験を行った。1サイクル目および100サイクル目における、電極間の電圧が3.0〜2.0Vの範囲の放電電荷は0.0271Cおよび0.0249Cであった。1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の割合はS=0.92である。このように、極性デバイスとして使用した場合にはレドックスキャパシターのモデルセルは100サイクルまで初期の容量の9割以上を維持しており、100サイクルの充放電後も使用することができる。また、充放電時に用いるのと同じイオン性液体を重合溶液にも含ませて電解重合を行う事によって、導電性高分子膜に充放電の際に出入りするドーパントを予めなじませておくことができるので、実施例20に比べて放電電荷が大きく、サイクル劣化が少ない。
1 レドックスキャパシター、
2 電極
3 電極
4 セパレータ、
5 電極素子
6 電極素子
7 ガスケット
2 電極
3 電極
4 セパレータ、
5 電極素子
6 電極素子
7 ガスケット
Claims (16)
- 両極性の導電性高分子を含む電極と、電解質とを有する電気化学素子であって、片方の電極は正極としてのみ使用し、もう一方の電極は負極としてのみ使用する極性デバイスである電気化学素子。
- 前記の電解質の成分として有機溶媒が含まれる、請求項1に記載の電気化学素子。
- 前記の電解質がアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及びγ−ブチルラクトンからなる群から選ばれる少なくともいずれか1つを成分として含む、請求項2に記載の電気化学素子。
- 前記の電解質がイオン性液体である、請求項1に記載の電気化学素子。
- 前記の電解質がイオン性液体と有機溶媒との混合物である、請求項1に記載の電気化学素子。
- 前記の電解質がアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンからなる群から選ばれる少なくともいずれか1つと、イオン性液体とを1:3〜10:1の体積比で混合したものである、請求項5に記載の電気化学素子。
- 前記の両極性の導電性高分子がさらにイオン性液体を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電気化学素子。
- 前記のイオン性液体がBF4 -アニオン、PF6 -アニオンおよびスルホン酸アニオンからなる群から選ばれる1以上を含むイオン性液体である、請求項4〜7のいずれかに記載の電気化学素子。
- 前記のイオン性液体が1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトシレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項8に記載の電気化学素子。
- 前記の両極性の導電性高分子が、ドープ状態と脱ドープ状態で電気伝導度が1000倍以上変化し、ドープ状態での導電率が0.01S/cm以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の電気化学素子。
- 前記の両極性の導電性高分子がポリチオフェン誘導体である、請求項10に記載の電気化学素子。
- 前記の両極性の導電性高分子が、
ポリ−3−(4−フルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−t−ブチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)チオフェン、ポリ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)チオフェン、ポリ−3−(3,4−ジフルオロフェニル)チオフェン、およびポリ−3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チオフェンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項11に記載の電気化学素子。 - 前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の両極性の導電性高分子を含む電極を2つ持ち、これらの2つの電極に接するようにして電解液を持つことを特徴とするレドックスキャパシターである、
請求項1〜12のいずれかに記載の電気化学素子。 - 前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷の差が、前記の充電の際に貯まる電荷の5%以内であるようにして、繰り返し充放電して使用することを特徴とするレドックスキャパシターである、
請求項13に記載の電気化学素子。 - 前記の電気化学素子であって、該電気化学素子が、
前記の正極と、前記の負極との間の電圧が3.5〜2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧が2.0V〜0.5Vの間になるまで放電することを繰り返して使用することを特徴とするレドックスキャパシターである、
請求項14に記載の電気化学素子。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の電気化学素子を、下記(1)、(2)および(3)に記載のとおりに使用する、電気化学素子の使用方法。
(1)片方の電極は正極としてのみ使用し、もう一方の電極は負極としてのみ使用する。
(2)両極性の導電性高分子を含む電極を、充電の際に貯まる電荷と放電の際に放出される電荷の差が、前記の充電の際に貯まる電荷の5%以内であるようにして、繰り返し充放電して使用する。
(3)前記の正極と、前記の負極との間の電圧が3.5〜2.5Vの間になるまで充電し、なおかつその後は正極と負極の間の電圧が2.0V〜0.5Vの間になるまで放電することを繰り返して使用する。
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