JP6669461B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、導電性高分子と電解液の両方を用いるハイブリッド型電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
電解コンデンサとして、表面に誘電体酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサが知られている。このような固体電解コンデンサは、電解液を用いた液体型の電解コンデンサに比べ、等価直列抵抗(ESR)が低いという特徴を有する。
しかしながら、固体電解コンデンサは、電解液を使用する液体型の電解コンデンサよりも誘電体酸化皮膜の修復性が低いため、コンデンサの漏れ電流が増大するというおそれがある。
このため、導電性高分子による低ESR特性と、電解液による高い誘電体酸化皮膜修復性を併せ持つコンデンサを得るため、導電性高分子と電解液の両方を用いる、いわゆるハイブリッド型電解コンデンサに関する開発が進んでいる(例えば、特許文献1および特許文献2)。
また、特許文献3には、固体電解質層と、電解液とを備えた電解コンデンサであって、ポリアルキレングリコール等の難揮発性溶媒を含む電解液を使用する電解コンデンサが開示されている。
特許文献3に開示された発明によれば、前記難揮発性溶媒が、高温環境下であってもほとんど揮発しないため、高温環境下で長時間使用した場合でも、コンデンサ素子内に電解液を残存させることができる。そのため、誘電体酸化皮膜の修復作用を維持することができ、低漏れ電流と耐ショート性を有する電解コンデンサを提供することが可能である。
しかしながら、高温度環境下での信頼性だけでなく、低温度域における特性を考えると、電解液の溶媒として、低温特性に優れたγ−ブチロラクトン等の揮発性溶媒も使用する必要がある。
それゆえ、前記揮発性溶媒と難揮発性溶媒の両方を含む電解液を使用することが望ましいが、高温負荷時の揮発性を抑制するために難揮発性溶媒の配合比率を高めると、一方で低温度域特性の担保に必要な揮発性溶媒(低粘性溶媒)の配合比率が低くなるため、高温度域対応化と低温度域対応化の両立が困難であるという問題がある。
特開2007−080888 特開2008−010657 WO2011/099261
本発明は、このような従来技術における問題点を解決し、高温度域対応化と低温度域対応化を両立できる電解コンデンサを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために検討を繰り返した結果、導電性高分子と電解液の両方を用いる電解コンデンサにおいて、前記電解液の溶媒として、低粘性溶媒と2種類の難揮発性溶媒を併用することにより、低温度域における容量改善と低ESR化に加え、高温負荷特性を改善することに成功し、本発明を完成した。
本発明は、誘電体酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回してなるコンデンサ素子を有する電解コンデンサであって、前記誘電体酸化皮膜上に形成された導電性高分子層と、前記コンデンサ素子に含浸された電解液とを有し、
前記電解液が、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンから選択される第一溶媒と、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第二溶媒と、数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第三溶媒を含むこと、及び、
前記電解液の溶媒において、前記第一溶媒の割合が20〜60重量%であり、前記第二溶媒の割合が35〜75重量%であり、前記第三溶媒の割合が3〜15重量%であることを特徴とする。
本発明に係る電解コンデンサは、導電性高分子(固体電解質)と電解液を利用するため、固体電解質による低ESR化と、電解液による誘電体酸化皮膜の修復作用を双方実現することができる。そして、前記電解液の溶媒として、特定のラクトン系溶媒から選択される低粘性溶媒(第一溶媒)を含むため、低温度域における特性に優れており、且つ、難揮発性の第二および第三溶媒を含むため、電解コンデンサが高温に長時間さらされた場合にも、電解液が消失しない。また、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第二溶媒と、数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第三溶媒を併用することにより、低温・高温時のESRを低く保ちながら、低温度域における静電容量減少を抑制することができる。
また、前記第一溶媒は、γ−バレロラクトンおよびγ−ブチロラクトンから選択されることが好ましく、前記第二溶媒は、テトラエチレングリコールであることが好ましく、前記第三溶媒は、数平均分子量500〜2000のポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルであることが好ましい。
また、前記電解液中に含まれる電解質は、無機酸またはその塩であることが好ましい。
また、前記導電性高分子は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)であることが好ましい。
さらに本発明は、電解コンデンサを製造する方法に関し、
誘電体酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回してなるコンデンサ素子を、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)を含むポリマー分散液に含浸および乾燥させる工程と、
前記コンデンサ素子に、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンから選択される第一溶媒と、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第二溶媒と、数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第三溶媒とを含む電解液を含浸させる工程を含むこと、及び
前記電解液の溶媒において、前記第一溶媒の割合が20〜60重量%であり、前記第二溶媒の割合が35〜75重量%であり、前記第三溶媒の割合が3〜15重量%であることを特徴とする。
本発明によれば、低温度域特性と高温度域特性のどちらにも優れたハイブリッド型の電解コンデンサを提供することができる。
コンデンサ素子の概要を示す分解斜視図である。
本発明に係る電解コンデンサは、図1に示すように、陽極電極箔1と陰極電極箔3がセパレータ2を介して巻回されたコンデンサ素子4を有し、該コンデンサ素子4が有底円筒形状の外装ケース(図示せず)に収納された構造を有することが好ましい。陽極電極箔1としては、所定の幅の箔状の弁作用金属の表面をエッチング処理で粗面化した後に化成酸化処理を行って、表面上に誘電体酸化皮膜が形成されたものを用いる。この弁金属作用としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンから選択される少なくとも一つを含む金属が好ましく、中でもアルミニウムが好ましい。
また、陰極電極箔3も陽極電極箔1と同様にアルミニウム等の弁作用金属で形成されており、エッチング処理により表面が粗面化されたもの(粗面化箔)が使用される。この陰極電極箔3としては、他にエッチング処理を施さないプレーン箔も使用でき、また、前記粗面化箔もしくはプレーン箔の表面に、チタンやニッケルやその炭化物、窒化物、炭窒化物又はこれらの混合物からなる金属薄膜や、カーボン薄膜を形成したコーティング箔も使用することができる。
エッチング処理および化成酸化処理は公知の方法で行うことが可能であり、購入品を用いることもできる。例えば、化成酸化処理に用いる化成液は、カルボン酸基を有する有機酸塩類、リン酸等の無機酸塩類から選択される溶質を有機溶媒又は無機溶媒に溶解した化成液が使用できる。
本発明の電解コンデンサにおけるセパレータ2としては、加水分解性を有さないセパレータ、例えば、ポリアクリロニトリル、アラミド、エスパルトパルプを主体とするセパレータが好ましく、このようなセパレータを用いることで、特に高温領域において、より耐久性に優れた電解コンデンサを得ることができる。
なお、図1に示されるように、陽極電極箔1および陰極電極箔3からは、それぞれ陽極リード線5および陰極リード線6が引き出されている。
本発明の電解コンデンサは、電解質として導電性高分子を有し、当該導電性高分子は、前記誘電体酸化皮膜と接触している。前記導電性高分子としては、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等を使用することができるが、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)がより好ましく、特にポリスチレンスルホン酸(PSS)をドーパントに用いたPEDOT/PSSが好ましい。コンデンサ素子内にPEDOT/PSSを形成する好ましい方法として、上記巻回型コンデンサ素子を、PEDOTとPSSを含むポリマー分散液に少なくとも1回含浸させ、乾燥を行って溶媒を除去し、導電性高分子層(PEDOT/PSS層)を形成させる方法が挙げられる。
本発明の電解コンデンサは、前記コンデンサ素子に含浸された電解液を有する。前記電解液は、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンから選択される第一溶媒と、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第二溶媒と、数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第三溶媒を含む。
本発明の第一溶媒である、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチロラクトンは、エチレングリコールやスルホラン等の他の低粘性溶媒と比べても、さらに粘度が低い溶媒であり、且つ、その低い凝固点により低温度域での特性を担保するのに有用である。
より好ましい第一溶媒はγ−バレロラクトンおよびγ−ブチロラクトンであり、特にγ−バレロラクトンが好ましい。
本発明の電解液の溶媒の全量を100重量%とした場合、前記第一溶媒の割合は、20重量%以上であることが好ましい。他方、前記ラクトン系溶媒は揮発性の有機溶剤であるため、高温負荷時における電解液の減少を抑制するためには60重量%以下であることが好ましい。より好ましい第一溶媒の割合は30〜55重量%である。
本発明の第二溶媒である、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体は、第一溶媒に比べて難揮発性であるため、高温負荷時における電解液の減少を防ぐことができる。また、これらの溶媒を使用することにより、低温時および高温時の低ESR化を図ることができる。第二溶媒の好ましい例として、ジエチレングリコール(分子量:約106)、トリエチレングリコール(分子量:約150)、テトラエチレングリコール(分子量:約194)等のポリエチレングリコールや、ジプロピレングリコール(分子量:約134)、トリプロピレングリコール(分子量:約192)等のポリプロピレングリコール等が挙げられる。特に好ましい第二溶媒はポリエチレングリコールであり、その中でもテトラエチレングリコールが好ましい。
本発明の電解液の溶媒の全量を100重量%とした場合、前記第二溶媒の割合は、35〜75重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましく、40〜60重量%であることが特に好ましい。
本発明の第三溶媒である数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体は、第二溶媒よりもさらに難揮発性であるため、高温負荷時における電解液の減少を防ぐことができる。また、低温度域における静電容量の減少を抑制する作用がある。第三溶媒としては、数平均分子量600〜1800のポリアルキレングリコールまたはその誘導体を使用することがより好ましく、数平均分子量700〜1700のポリアルキレングリコールまたはその誘導体を使用することが特に好ましい。また、低温度域における容量減少の抑制と低ESR化を図るためには、数平均分子量600〜1000程度のポリアルキレングリコールまたはその誘導体を使用することが好ましい。
前記第三溶媒としては、ポリエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルやポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル等のポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のグリセリルエステル等が挙げられる。より好ましい第三溶媒はポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルであり、特にポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルが好ましい。好ましいポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルの例として、ポリオキシエチレン(10〜40)ジグリセリルエーテルが挙げられ、特にポリオキシエチレン(13〜30)ジグリセリルエーテルが好ましい。ここで、()内の数字は、化合物に含まれるオキシエチレン基の数である。
前記第三溶媒は少なすぎると前述した効果が得られないため、本発明の電解液の溶媒の全量を100重量%とした場合、3重量%以上の割合で含まれていることが好ましい。しかしながら、多すぎるとESRが高くなるため、15重量%以下であることが好ましい。より好ましい割合は4〜10重量%である。
本発明の好ましい電解液の例として、前記第三溶媒1重量部に対し、前記第一溶媒を7〜11重量部、前記第二溶媒を8〜12重量部含む電解液が挙げられる。
また、本発明の電解液は、前記第一溶媒〜第三溶媒以外の他の溶媒を含んでもよいが、他の溶媒の割合は、前記第一溶媒〜第三溶媒の合計重量の1割以下であることが好ましく、0.5割以下であることがより好ましい。特に好ましい電解液は、溶媒として前記第一溶媒〜第三溶媒のみを含む。
本発明の電解液は、有機酸およびその塩や、無機酸およびその塩やから選択される電解質を含む。有機酸としては、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸や、フタル酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等が挙げられる。
なお、電解コンデンサ用電解液の電解質に使用される代表的な有機酸であるフタル酸を使用した場合、高温度域にてフタル酸無水物を生成するため、酸・塩基の比が崩れ、電解液のpHが塩基性側に片寄るおそれがある。導電性高分子にとって塩基性は脱ドープを引き起こし、特性劣化を招く要因となる。したがって、高温度域における使用を想定する場合、導電性高分子の特性劣化を招くことがないよう、無機酸またはその塩を電解質として使用することがより好ましい。特に、ホウ酸またはその塩を電解質として使用することが好ましい。
前記有機酸または無機酸の塩としては、アンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の1級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム等のイミダゾリニウム塩等が挙げられる。特に、3級アミン塩が好ましい。
本発明の電解液中における前記電解質の濃度は、電解質の種類等によって適宜調節すればよいが、通常0.1〜5重量%程度が適切であり、0.3〜3重量%がより好ましく、0.5〜2重量%が特に好ましい。
次に、上記の電解コンデンサを製造するための本発明の好ましい一例について説明する。
まず、所定の幅に切断された陽極電極箔及び陰極電極箔に外部引き出し電極用のタブ端子を接続し、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を作製する。陽極電極箔としては、表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁金属箔を用いる。
次に、このコンデンサ素子に化成液中で電圧を印加して切り口化成(素子化成)を行い、誘電体酸化皮膜の修復を行う。この際、使用される化成液としては、アジピン酸および/またはアジピン酸塩(例えば0.5〜3重量%のアジピン酸アンモニウム)を含む水溶液が挙げられる。
次に、上記工程で得られたコンデンサ素子を、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)とを含むポリマー分散液に少なくとも1回含浸させ、乾燥を行って溶媒を除去し、導電性高分子層(PEDOT/PSS層)を形成する。このようにPEDOT/PSSの分散液を使用した場合には、誘電体酸化皮膜上で重合反応を行う場合よりも均一に導電性高分子層を形成することが可能であり、また、コンデンサ素子内に未反応モノマーや酸化剤等の不要物質が残存することがないため、特に高温度下における誘電体酸化皮膜の劣化が抑えられ、高温度下においてもコンデンサの特性変化が少ない電解コンデンサを得ることができる。
ポリマー分散液は溶媒として水を使用したものが好ましい。また、PEDOT/PSSの濃度は1〜5重量%が適切である。このような導電性高分子層を形成する工程において、含浸は常圧で行ってもよいが、減圧下(例えば、80〜100kPa)で行うことがより好ましい。また、含浸及び乾燥は、2回以上繰り返して行うことができる。乾燥条件は、溶媒である水を除去可能かつコンデンサ素子に悪影響を及ぼさない限り制限されないが、例えば室温で20〜40時間静置することによって、あるいは85〜200℃で30〜120分間静置することによって、乾燥させることができる。
次に、前記コンデンサ素子に本発明の電解液を含浸させる。適切な含浸方法として、有底筒状の外装ケース内にあらかじめ本発明の電解液を注入しておき、この電解液を含む外装ケースの中に、前記コンデンサ素子を挿入して、コンデンサ素子に電解液を含浸させる方法が挙げられる。コンデンサ素子挿入後は、前記外装ケースの開口端部をカーリングして封止する。この外装ケースとしては、アルミニウム製のものが好ましい。外装ケースに注入する電解液の量は特に限定されないが、通常、外装ケースの容積の2〜4割程度を目安に注入する。
続いて、90℃程度の温度条件にてコンデンサに定格電圧を印加してエージング処理を施すことにより、本発明のハイブリッド型電解コンデンサが得られる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
所定の幅に切断された陽極電極箔及び陰極電極箔に外部引き出し電極用のタブ端子を接続した。陽極電極箔は、弁金属としてアルミニウム箔を用い、弁金属の表面にエッチング処理及び化成処理を施すことによって、誘電体酸化皮膜が形成されたものを用いた。
前記の陽極電極箔及びアルミニウムからなる陰極電極箔を、エスパルトパルプを主体としたセパレータを介して巻回し、巻回素子を完成した。
続いて、陽極電極箔の切り口や外部引き出し電極取り付け時に欠損した誘電体酸化皮膜の修復、いわゆる化成処理を行った。アジピン酸アンモニウムを水溶媒に溶解させた2wt%の化成液を用いて、誘電体酸化皮膜の化成電圧値に近似した電圧を印加し、化成処理を行った。
次に、ハイブリッド型電解コンデンサの陰極層である導電性高分子層の形成を行った。
巻回素子に2.6wt%のPEDOT/PSSを含むポリマー分散液を90kPaの減圧下で30分間浸漬・含浸させ、25℃で24時間静置することによって水分を除去し導電性高分子層を形成させた。
一方、表1に示す溶媒に、ホウ酸とトリエチルアミンを添加して電解液を調製し(電解液中のホウ酸トリエチルアミンの濃度が約1wt%となるように添加した)、準備したアルミニウム製の有底筒状のケース(φ6.3×6.1L)内に、電解液を35〜40mg注入した。
そして、ケース内にコンデンサ素子を挿入してコンデンサ素子に電解液を含浸させると共に、ケースの開口部をカーリングした。
続いて、90℃程度の温度条件にてコンデンサに定格電圧を印加しエージング処理を施し、ハイブリッド型コンデンサ(φ6.3×6.1L 35V−47μF 保証温度125℃)を完成した。
[電解コンデンサの評価]
実施例、比較例および従来例の電解コンデンサについて下記の評価方法にて評価を行った。
1.低温試験
−55℃の静電容量(Cap)を測定し、25℃の静電容量に対する変化率(減少率)を計算した。また、−55℃における初期等価直列抵抗(ESR)を測定した(測定時周波数:100kHz)
2.高温加速劣化試験
135℃、35V印加、500時間後のESRを測定し、初期ESRと比較した(測定温度:25℃、測定時周波数:100kHz)。
結果を表1に示す。
Figure 0006669461
表1の実験結果に示される通り、γ−ブチロラクトンを、ポリエチレングリコール(数平均分子量300)のみ、または、γ−バレロラクトンを、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(数平均分子量750および1500)のみと併用した場合(従来例1〜3または比較例4〜9)、ESRが非常に高くなる傾向が観察された。これに対し、γ−バレロラクトンとテトラエチレングリコールを併用した場合(比較例1〜3)は、ESRを低く保つことができたが、低温における容量変化率が全般的に高い傾向にあり、γ−バレロラクトンを50重量%まで増やした場合でも、高い傾向にあった。
一方、γ−バレロラクトンを、テトラエチレングリコールとポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルと併用した場合(実施例1〜5)、比較例1〜3と比べて、低温、室温におけるESRは同等であり、低温における容量変化率が明らかに改善し、さらに高温加速劣化試験におけるESRも同等であることが確認できた。
特に数平均分子量が750のポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルとテトラエチレングリコールを併用し、γ−バレロラクトンを半量近く含む溶媒を使用した場合(実施例4、5)、容量変化率の改善が顕著であることが分かる。
上記実験の結果から、低粘度のラクトン系溶媒(第一溶媒)を、分子量の低いポリアルキレングリコールまたはその誘導体(第二溶媒)と併用することにより、ESRの増加を抑制でき、さらに分子量の高いポリアルキレングリコールまたはその誘導体(第三溶媒)を添加することにより、高温時のESRを低く保ちながら、低温における容量変化を抑制できることが分かった。
なお、本発明において、具体的な構成は上記実施例に限定されない。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 陽極電極箔
2 セパレータ
3 陰極電極箔
4 コンデンサ素子
5 陽極リード線
6 陰極リード線

Claims (5)

  1. 誘電体酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回してなるコンデンサ素子を有する電解コンデンサであって、前記誘電体酸化皮膜上に形成された導電性高分子層と、前記コンデンサ素子に含浸された電解液とを有し、
    前記電解液が、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンから選択される第一溶媒と、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第二溶媒と、数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第三溶媒を含むこと、及び
    前記電解液の溶媒において、前記第一溶媒の割合が20〜60重量%であり、前記第二溶媒の割合が35〜75重量%であり、前記第三溶媒の割合が3〜15重量%であること
    を特徴とする、電解コンデンサ。
  2. 前記第一溶媒がγ−バレロラクトンおよびγ−ブチロラクトンから選択され、前記第二溶媒がテトラエチレングリコールであり、前記第三溶媒が数平均分子量500〜2000のポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルである、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記電解液中に含まれる電解質が、無機酸またはその塩である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記導電性高分子が、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
  5. 誘電体酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回してなるコンデンサ素子を、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)を含むポリマー分散液に含浸および乾燥させる工程と、
    前記コンデンサ素子に、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンから選択される第一溶媒と、数平均分子量100〜250のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第二溶媒と、数平均分子量500〜2000のポリアルキレングリコールおよびその誘導体から選択される第三溶媒とを含む電解液を含浸させる工程を含むこと、及び
    前記電解液の溶媒において、前記第一溶媒の割合が20〜60重量%であり、前記第二溶媒の割合が35〜75重量%であり、前記第三溶媒の割合が3〜15重量%であることを特徴とする、電解コンデンサの製造方法。
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