JP6795054B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例は、以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す(第1の工程)。続いて、このコンデンサ素子に、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した導電性高分子分散体を含浸させて固体電解質層を形成する(第2の工程)。その後、このコンデンサ素子を所定の電解液に浸漬して、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子内の空隙部にこの電解液を充填する(第3の工程)。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する(第4の工程)。
陽極箔としては、アルミニウム等の弁作用金属からなり、その表面をエッチング処理により粗面化して多数のエッチングピットを形成している。更にこの陽極箔の表面には、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成している。陰極箔としては、陽極箔と同様にアルミニウム等からなり、表面にエッチング処理が施されているものを用いる。また、必要に応じて、化成処理を施したものや、金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物からなる層を蒸着法により形成したもの、あるいは表面に炭素を含有したものを用いても良い。
セパレータとしては、合成繊維を主体とする不織布からなるセパレータや、ガラス繊維からなるセパレータを用いることができる。合成繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等が好適である。また、天然繊維からなるセパレータを用いてもよい。
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
導電性高分子分散体は、PEDOTの粉末とポリスチレンスルホン酸からなるドーパントの固形分を混合したものが好ましい。また、導電性高分子分散体の溶媒は、導電性高分子の粒子または粉末が溶解するものであれば良く、主として水が用いられる。ただし、必要に応じて分散体の溶媒としてエチレングリコールを単独で又は混合して用いてもよい。分散体の溶媒としてエチレングリコールを用いると、製品の電気的特性のうち、特にESRを低減できることが判明している。
コンデンサ素子を導電性高分子分散体に含浸する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、直径5mm×長さ3mm程度のコンデンサ素子では5秒以上、直径9mm×長さ5mm程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は含浸することが必要である。なお、長時間含浸しても特性上の弊害はない。また、このように含浸した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。また、導電性高分子分散体の含浸ならびに乾燥は、必要に応じて複数回行ってもよい。
電解液に使用できる溶媒としては、その沸点が、寿命試験温度である120℃以上の溶媒を用いることが好ましい。溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールなどの多価アルコール、スルホラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールなどの低分子量の多価アルコールがよい。特に、エチレングリコールなどの低分子量の多価アルコールおよびγ−ブチロラクトンからなる混合溶媒を用いると、初期のESR特性が良好となり、さらに高温特性も良好となる。
上記のような電解液をコンデンサ素子に充填する場合、その充填量は、コンデンサ素子内の空隙部に充填できれば任意であるが、コンデンサ素子内の空隙部の3〜100%が好ましい。
上記のように、コンデンサ素子内に導電性ポリマーを形成した後、このコンデンサ素子を所定の電解液に含浸させて、コンデンサ素子内の空隙部にこの電解液を充填することにより、高温でのESR特性が良好になる。
このため、ボロジサリチル酸アンモニウムの量を9wt%未満、特に7wt%以下とすることにより、耐電圧が飛躍的に向上することが判明した。
まず、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が直径10mm×長さ12.5mmのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。その後、PEDOTの微粒子とポリスチレンスルホン酸をエチレングリコールを5wt%含む水溶液に分散した導電性高分子分散体に浸漬し、コンデンサ素子を引き上げて約150℃で乾燥した。さらに、このコンデンサ素子の導電性高分子分散体への浸漬−乾燥を複数回繰り返して、コンデンサ素子に導電性高分子からなる導電性高分子層を形成した。その後、このコンデンサ素子に、表3に示すように、電解液の種類と溶媒の配合比を変化させた電解液を充填した(実施例9〜18、および参考例2)。なお、表3に示す電解液の配合比は重量部で示している。そして、これらのコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は100WV、定格容量は33μFである。
まず、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が直径10mm×長さ12.5mmのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。その後、PEDOTの微粒子とポリスチレンスルホン酸をエチレングリコールを5wt%含む水溶液に分散した導電性高分子分散体に浸漬し、コンデンサ素子を引き上げて約150℃で乾燥した。さらに、このコンデンサ素子の導電性高分子分散体への浸漬−乾燥を複数回繰り返して、コンデンサ素子に導電性高分子からなる導電性高分子層を形成した。その後、このコンデンサ素子に、表4に示すように、エチレングリコールとボロジサリチル酸アンモニウムの配合比を変化させた電解液を充填した(実施例19〜21、および比較例3)。各電解液に、添加剤としてリン酸エステルおよびニトロ化合物を添加した。添加剤の添加量は、リン酸エステルとニトロ化合物の電解液中の合計量が2.5wt%となるように調製した。そして、これらのコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は100WV、定格容量は33μFである。
Claims (5)
- 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した導電性高分子分散体を用いて固体電解質層を形成するとともに、該固体電解質層が形成されたコンデンサ素子内の空隙部に、溶質としてボロジサリチル酸のアンモニウム塩のみを1以上9wt%未満含有した電解液を充填させたことを特徴とする固体電解コンデンサ。
- 前記電解液の溶媒としてエチレングリコール及び/又はポリオキシエチレングリコールを用いることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記電解液の溶媒として前記エチレングリコールを溶媒中20wt%以上含有することを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記導電性高分子分散体にソルビトール又はソルビトール及び多価アルコールを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した導電性高分子分散体を含浸させて固体電解質層を形成する工程と、該固体電解質層が形成されたコンデンサ素子内の空隙部に、溶質としてボロジサリチル酸のアンモニウム塩のみを1以上9wt%未満含有した電解液を含浸させる工程と、を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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