JP6740579B2 - 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に係り、特に、80WV以上の高圧用途に好適な固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
近年、デジタル化された電気機器に対して電力供給用途として使用される固体電解コンデンサには、小型化および大容量化が強く望まれている。アルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した固体電解コンデンサは、陽極箔としての弁作用金属をエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。
小型、大容量用途の固体電解コンデンサは、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔とをセパレータを介在させて巻回して形成されたコンデンサ素子を有する。固体電解コンデンサは、コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極箔の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1)が存在している。
特開平2−15611号公報
ところで、車載用や一般電源回路用の固体電解コンデンサとしては、25WVや63WV程度の低圧用途のものが用いられている。しかし、近年では、80WV以上の高圧用途に使用すべく、高温でのESR特性が良好な固体電解コンデンサが要望されている。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、80WV以上の高圧用途での特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、種々検討を重ねた結果、80WVを超える高圧領域において、コンデンサ素子に充填する電解液の溶質として脂肪族カルボン酸を用いることでESR特性が良好になるとの知見を得、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、前記脂肪族カルボン酸の分子量が150以上であり、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下であることを特徴とする。
前記多価アルコールが、エチレングリコールであっても良い。前記電解液が、前記溶媒として水を含まない非水系電解液であっても良い。前記電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含んでいても良い
また、前記のような固体電解コンデンサを製造するための方法も本発明の1態様である。
本発明によれば、80WV以上の高圧用途での特性に優れた固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
第1の実施形態の固体電解コンデンサの構成の一例を示す斜視図である。
[1.構成]
以下、本実施形態の固体電解コンデンサについて図1を参照して詳細に説明する。図1に示す通り、固体電解コンデンサは、陽極箔1と陰極箔2と、がセパレータ3を介して巻回されたコンデンサ素子10を有する。固体電解コンデンサは、コンデンサ素子10を電解液とともに、図示しない有底筒状の外装ケースに収納し、封止することにより作製される。
陽極箔1は、表面に誘電体皮膜を有する弁金属箔からなる。弁金属箔としてはアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等を用いることができる。弁金属箔の表面は、塩化物水溶液中で電気化学的なエッチング処理を行い粗面化することで、表面積が拡大されていても良い。また、誘電体皮膜は、例えば酸化アンモニウムやホウ酸アンモニウム等を用いて化成処理を行うことで形成することができる。陰極箔2は、陽極箔1と同様の弁金属箔からなる。陰極箔も、エッチング処理により表面が粗面化されていても良い。また、陰極箔2に、必要に応じて化成処理により薄い誘電体皮膜(1〜10V程度)を形成しても良い。以下、陽極箔1と陰極箔2をまとめて電極箔と表現する場合がある。電極箔の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意に設定することができる。
陽極箔1と陰極箔2には、図1に示す通り、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線4,5が、例えばステッチや超音波溶接等により接続されている。リード線4,5は、アルミニウム等を用いて形成されている。リード線4,5は、陽極箔1と陰極箔2において外部との電気的な接続を行う電極引き出し手段であり、巻回したコンデンサ素子の端面から導出される。
セパレータ3としては、合成繊維を主体とする不織布や、ガラス繊維を用いることができる。合成繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等が挙げられ、これらの繊維を単独または混合して用いても良い。また天然繊維からなるセパレータを用いても良い。セパレータ3は、陽極箔1および陰極箔2の寸法に応じて、これよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。
以上のようにして形成したコンデンサ素子10は、修復化成が行われていても良い。コンデンサ素子の巻回において電極箔に機械的ストレスがかかり、誘電体皮膜に亀裂等の損傷が生じることがある。修復化成において、コンデンサ素子10を化成液中に浸漬して化成することによって、亀裂が発生した部分に誘電体皮膜が形成され、損傷を修復することができる。化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができる。この中でも、特に、リン酸二水素アンモニウムを用いることが好ましい。
コンデンサ素子10には、固体電解質層が形成されている。具体的には、固体電解質層は、セパレータ3と電極箔に形成されている。固体電解質層は、コンデンサ素子10を、導電性高分子分散体に浸漬後、乾燥させることにより形成することができる。導電性高分子分散体への浸漬・乾燥工程を複数回繰り返し行ってもよい。導電性高分子分散体は、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した溶液である。導電性高分子としては、例えばPEDOTの粉末を用いることができる。また、溶媒に、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸の固形分を含めても良い。
導電性高分子分散体の溶媒は、導電性高分子の粒子または粉末が溶解するものであれば良く、主として水が用いられる。ただし、必要に応じて分散体の溶媒としてエチレングリコールを単独又は混合して用いても良い。分散体の溶媒としてエチレングリコールを用いると、製品の電気的特性のうち、特にESRを低減できることが判明している。なお、導電性高分子分散体の含浸性、電導度の向上のため、導電性高分子分散体に各種添加剤を添加したり、カチオン添加による中和を行っても良い。特に、添加剤としてソルビトールまたはソルビトールおよび多価アルコールを用いると、ESRを低減し、鉛フリーリフロー等による耐電圧特性の劣化を防止することができる。
また、導電性高分子の濃度は、水溶液に対して1〜10wt%とすることができる。導電性高分子の粒子には、導電性高分子の一次粒子や、導電性高分子化合物及びドーパントが凝集した凝集物(二次粒子)やそれらの粉末も含まれる。
具体的には、導電性高分子としては、チオフェンまたはその誘導体の粒子と高分子スルホン酸からなるドーパントの固形分を混合したものを用いることが好ましい。導電性高分子分散体は、重合性モノマーであるチオフェンまたはその誘導体をドーパントとなる高分子スルホン酸の存在下で水中または水性液中で酸化重合することによって得られる。導電性高分子であるチオフェンまたはその誘導体におけるチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンなどが挙げられる。そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が適しているが、特に3,4−エチレンジオキシチオフェンが好ましい。また、チオフェンに限らず、ピロールやその誘導体を用いても良い。これらの重合性モノマーから得られた導電性高分子として特に好ましいものは、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロールが挙げられる。
固体電解質層が形成されたコンデンサ素子10は、電解液に浸漬され、コンデンサ素子10内の空隙部に電解液が充填される。電解液をコンデンサ素子10に充填する場合、その充填量は、コンデンサ素子10内の空隙部に電解液を充填できれば任意であるが、コンデンサ素子10内の空隙部の3〜100%が好ましい。
本実施形態の電解液は、溶媒として水を含まない非水系電解液が用いられる。本明細書において、非水系電解液とは電解液作製時に水を添加しない電解液である。非水系電解液を用いると、溶媒として水を含む水系電解液を用いた場合と比較してESRの増加を抑制することができる。ただし、製造工程において空気中やセパレータ中に含まれる水分が固体電解コンデンサに混入するが、この固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下に制御できれば、ESRが増加するおそれはない。
電解液に使用できる溶媒としては、その沸点が120℃以上の溶媒を用いると、電解液が揮発しにくいため好ましい。溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールなどの多価アルコール、スルホラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールなどの低分子量の多価アルコールがよい。特に、エチレングリコールを含む溶媒を用いると、初期のESR特性が良好となり、さらに高温特性も良好となる。また、混合溶媒中におけるエチレングリコールの添加量は、好ましくは5wt%以上、さらに好ましくは40wt%以上、最も好ましくは60wt%以上である。
また、溶媒としてγ−ブチロラクトンを所定量添加させることで、電解液のコンデンサ素子10への含浸性を改善できる。比較的粘性の高いエチレングリコールと粘性が低いγ−ブチロラクトンを用いることで、コンデンサ素子10への含浸性を高められる。よって、初期特性及び長時間の使用での良好な特性を維持するとともに、低温での充放電特性が良好となる。混合溶媒中におけるγ−ブチロラクトンの添加量は、好ましくは、40wt%以下である。
さらに、イオン伝導性物質のエチレングリコール溶媒に、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランから選ばれる少なくとも1種の溶媒を追加的に用いてもよい。これらスルホラン系の溶媒は高沸点であるため、電解液の揮発を抑制し、高温特性が良好になる。混合溶媒中のこれらスルホラン系の溶媒の添加量は、好ましくは、40wt%以下である。
電解液の溶質としては、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を含む。脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いると、耐圧特性が改善されるため良い。この脂肪族カルボン酸としては、アゼライン酸、アジピン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、その他に脂肪族モノカルボン酸や、脂肪族トリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸を用いることができる。これらの脂肪族カルボン酸は、単独で又は混合して用いても良い。また、脂肪族カルボン酸は、分子量が150以上のものを用いることが好ましい。脂肪族カルボン酸の分子量が大きくなると、固体電解コンデンサの耐圧特性がさらに改善される。また、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩以外のものを含んでも良いが、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を主溶質として用いることが好ましい。ここで、主溶質とは溶質全体に対して50wt%以上を占めることを指す。
上記電解液においては、後述する実施例の結果からも明らかなとおり、溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.6mol/kg以下とすることが好ましい。溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.6mol/kg以下とすることで、80WV以上の高圧において、負荷試験における静電容量やESRの変化を抑制することができる。
さらに、電解液の添加剤として、ポリオキシエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)、リン酸エステルなどが挙げられる。この中でも、特にホウ酸およびマンニットを添加することで、負荷試験において静電容量やESRの変化をさらに抑制することができるため好適である。
[2.固体電解コンデンサの製造方法]
上記のような本実施形態の固体電解コンデンサの製造方法は、以下の工程を含む。
(1)コンデンサ素子を形成する工程
(2)コンデンサ素子に、固体電解質層を形成する工程
(3)コンデンサ素子内の空隙部に、電解液を充填させる工程
(4)固体電解コンデンサを形成する工程
以下、各工程について、詳細に説明する。
(1)コンデンサ素子を形成する工程
コンデンサ素子10を形成する工程では、陽極箔1と陰極箔2と、をセパレータ3を介して巻回したコンデンサ素子10を形成する。陽極箔1は、例えば、アルミニウムなどの平板状の弁作用金属箔をエッチング処理し、さらに化成処理により誘電体皮膜を形成したエッチング箔により形成する。陰極箔2は、例えば陽極箔1と同様に平板状の金属箔をエッチング処理したエッチング箔により形成する。陽極箔1と陰極箔2には、それぞれリード線4,5が接続される。コンデンサ素子10は、以上のような陽極箔1と陰極箔2とを、セパレータ3を間に挟むようにして巻き取ることで形成されている。なお、形成されたコンデンサ素子10を、修復液に浸漬して修復化成を行っても良い。浸漬時間は、5〜120分とすることが好ましい。
(2)コンデンサ素子に、固体電解質層を形成する工程
コンデンサ素子10を、導電性高分子分散体に浸漬後、乾燥させ、固体電解質層7を形成する。コンデンサ素子10を導電性高分子分散体に浸漬する時間は、コンデンサ素子10の大きさによって決まるが、直径5mm×高さ3mm程度のコンデンサ素子では5秒以上、直径9mm×高さ5mm程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。導電性高分子分散体の含浸ならびに乾燥は、必要に応じて複数回行ってもよい。
コンデンサ素子10に導電性高分子分散体を浸漬した後、所定温度でコンデンサ素子10を乾燥する。乾燥温度は100〜160℃、乾燥時間は0.5〜3時間が好ましい。この乾燥工程を経ることで、導電性高分子を含む固体電解質層がコンデンサ素子10中、特にエッチング箔のエッチングピット内の誘電体皮膜の上に形成される。
(3)コンデンサ素子内の空隙部に、電解液を充填させる工程
固体電解質層7が形成されたコンデンサ素子10を電解液に浸漬し、コンデンサ素子10内の空隙部に電解液を充填させる。
(4)固体電解コンデンサを形成する工程
コンデンサ素子10は、電解液とともに外装ケースに挿入され、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止する。その後、エージングを行い、固体電解コンデンサを作製する。また外装ケース以外にも、コンデンサ素子10をエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂により外装を被覆し、エージングを行い固体電解コンデンサを作製することもできる。
[3.作用効果]
(1)本実施形態の固体電解コンデンサは、陽極箔1と陰極箔2と、がセパレータ3を介して巻回されたコンデンサ素子10を有し、コンデンサ素子10は、固体電解質層を有し、コンデンサ素子10内の空隙部には、電解液が充填され、電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、溶媒に対する溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下である。
以上の通り、電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含む。溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いた場合、80WV以上の高圧において耐圧特性が改善される。また、溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.6mol/kg以下とすることで、80WV以上の高圧において、静電容量やESRの変化を抑制することができる。
エチレングリコールなどの多価アルコールを含む溶媒を用いた場合、エチレングリコールを含まない溶媒を用いた場合と比較して、初期のESRが低下するとともに、長時間の使用において静電容量の変化率(ΔCap)が小さいことが判明している。その理由は、エチレングリコールなどの多価アルコールは、導電性ポリマーのポリマー鎖の伸張を促進する効果があるため、電導度が向上し、ESRが低下すると考えられる。
特に、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用い、溶媒としてエチレングリコールなどの多価アルコールを用いた電解液においては、固体電解コンデンサが熱雰囲気下に晒されることで電解液中のエステル化反応によって多価アルコールとカルボン酸のエステルが生成される。アミン塩などにおいては、このエステル化反応によってアミニウムイオンがプロトンを失ってガス化するが、沸点が高いため、コンデンサケース内に残留し、この結果電解液のpHが過剰に変化することになり、導電性高分子の劣化が生じ易くなる。しかし、本発明のように溶質として用いた脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩においては、エステル化によってアンモニウムイオンがプロトンを失ってガス化して蒸散していくため、熱雰囲気下に晒されることで電解液のpHの過剰な変化が生じにくく、導電性高分子の劣化が低減されると考えられる。
また、種々の溶質を評価した結果、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩は、電解液としての化成性の向上に加え、導電性高分子との相性が良く、高温耐久試験における固体電解質層を劣化させにくいものと考えられ、これは溶質濃度が低いほど固体電解質層の劣化が抑制されるものと考えられる。以上のように、本実施形態によれば、80WV以上の高圧用途での特性に優れた固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
(2)多価アルコールが、エチレングリコールであっても良い。
γ−ブチロラクトンやスルホランよりも、エチレングリコールのようなヒドロキシル基を有するプロトン性溶媒の方がセパレータや電極箔、導電性ポリマーとの親和性が高い。そのため、固体電解コンデンサ使用時の電解液が揮発する過程において、セパレータや電極箔、導電性高分子と電解液との間で電荷の受け渡しが行われやすく、静電容量変化率(ΔCap)が小さくなると考えられる。
(3)電解液が、溶媒として水を含まない非水系電解液であっても良い。
溶媒として水を含む水系電解液を用いると、電極箔や固体電解質層の導電性高分子に劣化が生じ、ESRが上昇するおそれがある。本実施形態では溶媒として水を含まない非水系電解液を用いているため、水系電解液を用いた場合と比較してESRの増加を抑制することができる。
(4)電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含んでいても良い。
電解液にホウ酸およびマンニットを添加することにより、負荷試験において静電容量やESRの変化をさらに抑制することができる。
(5)脂肪族カルボン酸の分子量が150以上であっても良い。
分子量が150以上の脂肪族カルボン酸を用いることで、80WVを超える高圧における耐圧特性をさらに改善することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(1)固体電解コンデンサの耐圧試験(定格電圧80WV)
まず、定格電圧80WVの固体電解コンデンサの耐圧試験を行うため、以下の固体電解コンデンサを作製した。
<実施例1の固体電解コンデンサの作製>
表面に誘電体皮膜層が形成された陽極箔と、陰極箔と、に電極引き出し手段であるリード線を接続し、両電極箔をマニラ系セパレータを介して巻回し、素子形状が直径8mm×高さ10mmのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
その後、PEDOTの粒子と、ポリスチレンスルホン酸と、を水溶液に分散した導電性高分子分散体を作製した。コンデンサ素子を導電性高分子分散体に浸漬し、コンデンサ素子を引き上げて150℃で30分間乾燥した。コンデンサ素子は、導電性高分子分散体への浸漬および乾燥が複数回繰り返され、コンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した。
次に、エチレングリコールに対して、アゼライン酸アンモニウム塩を添加して電解液を作製した。アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳は、溶媒に対しアゼライン酸を0.09mol/kg、アンモニウムイオンを0.09mol/kgであった。また、添加剤として、電解液中にリン酸エステルおよびp−ニトロ安息香酸を合計2wt%添加した。コンデンサ素子を作製した電解液に浸漬した後、有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後、電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格容量は39μFである。
<実施例2の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.26mol/kg、アンモニウムイオンを0.26mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
<実施例3の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.37mol/kg、アンモニウムイオンを0.37mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
<実施例4の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.60mol/kg、アンモニウムイオンを0.60mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
<実施例5の固体電解コンデンサの作製>
電解液の添加剤として、リン酸エステル、p−ニトロ安息香酸、ホウ酸、およびマンニットを合計2.8wt%添加したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
<実施例6の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩を、アジピン酸アンモニウム塩とした。アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.06mol/kg、アンモニウムイオンを0.06mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
<実施例7の固体電解コンデンサの作製>
アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.10mol/kg、アンモニウムイオンを0.10mol/kgとしたこと以外は、実施例6と同様に作製した。
<実施例8の固体電解コンデンサの作製>
アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.16mol/kg、アンモニウムイオンを0.16mol/kgとしたこと以外は、実施例6と同様に作製した。
<実施例9の固体電解コンデンサの作製>
アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.20mol/kg、アンモニウムイオンを0.20mol/kgとしたこと以外は、実施例6と同様に作製した。
<実施例10の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩を、1,6−デカンジカルボン酸アンモニウム塩とした。1,6−デカンジカルボン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、1,6−デカンジカルボン酸を0.09mol/kg、アンモニウムイオンを0.09mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。なお、この固体電解コンデンサの定格容量は22μFである。
<実施例11の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩を、1,7−オクタンジカルボン酸アンモニウム塩、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸アンモニウム塩、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸アンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸アンモニウム塩とした。溶質の添加量の内訳を、1,7−オクタンジカルボン酸を0.05mol/kg、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸を0.01mol/kg、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸を0.01mol/kg、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸を0.02mol/kg、アンモニウムイオンを0.09mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。なお、この固体電解コンデンサの定格容量は22μFである。
<比較例1の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩を、フタル酸トリエチルアミン塩とした。フタル酸トリエチルアミン塩の添加量の内訳を、フタル酸を0.60mol/kg、トリエチルアミンを0.47mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
<比較例2の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩を、アゼライン酸トリエチルアミン塩とした。アゼライン酸トリエチルアミン塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.60mol/kg、トリエチルアミンを0.47mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
<比較例3の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.81mol/kg、アンモニウムイオンを0.81mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
以上のようにして作製した固体電解コンデンサに電圧を印加し、80WVの固体電解コンデンサに必要な誘電体皮膜の皮膜耐圧まで電圧が上昇するかを確認した結果を表1に示す。表1において、マル印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した固体電解コンデンサである。また、バツ印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした固体電解コンデンサである。
Figure 0006740579
表1からも明らかな通り、アゼライン酸を用いた実施例1〜5、アジピン酸を用いた実施例6〜9、1,6−デカンジカルボン酸を用いた実施例10、および複数の脂肪族カルボン酸の混合溶質を用いた実施例11の全てにおいて、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した。また、実施例1から11と同様に、脂肪族カルボン酸を用いた比較例2および3についても、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した。しかし、芳香族カルボン酸であるフタル酸を用いた比較例1では、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした。
(2)固体電解コンデンサの耐圧試験(定格電圧100WV)
次に、定格電圧100WVの固体電解コンデンサの耐圧試験を行うため、以下の固体電解コンデンサをさらに作製した。
<実施例12の固体電解コンデンサの作製>
固体電解コンデンサの定格容量を18μFとした以外は、実施例4と同様に作製した。
<実施例13の固体電解コンデンサの作製>
アゼライン酸アンモニウム塩を、アジピン酸アンモニウム塩とした。アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.60mol/kg、アンモニウムイオンを0.60mol/kgとした。それ以外は、実施例12と同様に作製した。
以上のようにして作製した固体電解コンデンサに電圧を印加し、100WVの固体電解コンデンサに必要な誘電体皮膜の皮膜耐圧まで電圧が上昇するかを確認した結果を表2に示す。表2において、マル印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した固体電解コンデンサである。また、バツ印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした固体電解コンデンサである。
Figure 0006740579
表2からも明らかな通り、100WVの耐圧試験では、アゼライン酸を用いた実施例12では、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した。一方、アジピン酸を用いた実施例13では、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした。アジピン酸を用いた固体電解コンデンサは、80WVの耐圧試験では皮膜耐圧まで電圧が上昇したが、100WVでは電圧が上昇せずショートした。これは、アジピン酸の分子量が146.1であることに原因があると考えられる。100WVの耐圧試験においても結果が良好であったアゼライン酸の分子量は188.22である。よって、脂肪族カルボン酸の分子量が大きくなると、固体電解コンデンサの耐圧特性が向上することが分かる。特に、分子量が150以上であると耐圧特性が向上されることがわかった。
(3)初期および負荷試験後のコンデンサ特性
上記実施例1〜11、比較例2および3の固体電解コンデンサについて、初期のESRおよび誘電損失(tanδ)を測定した。なお、誘電損失は120kHz(20℃)、ESR特性は100kHz(20℃)における値を示す。また、上述の通り、実施例1〜9、比較例2および3の容量は39μF、実施例10および11の容量は22μFである。
さらに、各固体電解コンデンサについて、125℃において定格電圧80WVで高温負荷試験を行い、500時間経過後および1500時間経過後のESR変化率(ΔESR)、および誘電損失変化率(Δtanδ)を算出した。表3に500時間経過後の結果を示す。
Figure 0006740579
表3からも明らかな通り、負荷試験500時間経過後の結果では、ホウ酸およびマンニットを添加した実施例5において、ESR変化率および誘電損失変化率が最も低い値となった。実施例1〜4より、溶質の酸の添加量が増加するにつれ、誘電損失変化率およびESR変化率が大きくなることがわかった。また、アゼライン酸を0.81mol/kg添加した比較例3において、ESRの変化率が高くなった。一方、溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下の実施例1〜11、および比較例2では、ESR変化率が比較例3よりも小さい値となった。
次に、表4に、1500時間経過後の結果を示す。
Figure 0006740579
表4からも明らかな通り、負荷試験1500時間経過後の結果においても、他の実施例および比較例と比較して、ホウ酸およびマンニットを添加した実施例5において、ESR変化率および誘電損失変化率が最も低い値となった。さらに、実施例1〜4より、溶質の酸の添加量が増加するにつれ、誘電損失変化率およびESR変化率が増大することがわかった。また、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いず、トリエチルアミン塩を用いた比較例2において、誘電損失変化率およびESR変化率の値が著しく上昇した。一方、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いた実施例1〜9では、ESR変化率および誘電損失変化率が比較例2よりも小さい値となった。
また、アゼライン酸を0.81mol/kg添加した比較例3において、ESR変化率に加え、誘電損失変化率も高い結果となった。一方、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を添加し、かつ、溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下の実施例1〜9では、ESR変化率および誘電損失変化率が比較例3よりも小さい値となった。
1 陽極箔
2 陰極箔
3 セパレータ
4,5 リード線
10 コンデンサ素子

Claims (5)

  1. 陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
    前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
    前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
    前記電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、
    前記脂肪族カルボン酸の分子量が150以上であり、
    前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記多価アルコールが、エチレングリコールであることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記電解液が、前記溶媒として水を含まない非水系電解液であることを特徴とする請求項1又は2記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の固体電解コンデンサ。
  5. 陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、
    前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、
    前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として分子量が150以上である脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含む電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、
    を含み、
    前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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