JP2017045868A - 電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ESRが低く、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも、漏れ電流が少ない電解コンデンサを提供する。【解決手段】 スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体、または、上記共重合体とポリスチレンスルホン酸、または、上記共重合体とポリスチレンスルホン酸とスルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオンとが、チオフェンまたはその誘導体をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として電解コンデンサを構成する。また、上記導電性高分子組成物からなる電解質と電解液とを併用して電解コンデンサを構成する。【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性高分子組成物を電解質として用いた電解コンデンサおよび導電性高分子組成物からなる電解質と電解液とを併用した電解コンデンサに関する。
導電性高分子組成物は、その高い導電性により、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサ、アルミニウム電解コンデンサなどの電解コンデンサの電解質として用いられている。
そして、この用途における導電性高分子組成物としては、例えば、チオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーをドーパントの存在下で酸化重合することによって合成したものが用いられている。
上記チオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーの酸化重合、特に化学酸化重合を行う際のドーパントとしては、主として有機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳香族スルホン酸が適しているといわれており、酸化剤としては遷移金属が用いられ、その中でも、第二鉄が適しているといわれていて、通常、芳香族スルホン酸の第二鉄塩がチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーの化学酸化重合にあたっての酸化剤兼ドーパント剤として用いられている。
そして、その芳香族スルホン酸の第二鉄塩の中でも、トルエンスルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩などが特に有用であるとされていて、それらを用いた導電性高分子の合成は、それらの酸化剤兼ドーパントをチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーと混合することにより行うことができ、簡単で、工業化に向いていると報告されている(特許文献1〜2)。
しかしながら、トルエンスルホン酸第二鉄塩を酸化剤兼ドーパントとして用いて得られた導電性高分子組成物は、初期抵抗値や耐熱性において、充分に満足できる特性を有さず、また、メトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩を酸化剤兼ドーパントとして用いて得られた導電性高分子組成物は、トルエンスルホン酸第二鉄塩を用いた導電性高分子組成物に比べれば、初期抵抗値が低く、耐熱性も優れているが、それでも、充分に満足できる特性は得られなかった。
また、得られた導電性高分子組成物を、電解コンデンサの電解質として用いる場合、化学酸化重合法で製造した導電性高分子組成物は、通常、溶剤に対する溶解性がないため、タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有する素子の上に直接導電性高分子組成物の層を形成する必要がある。
しかしながら、このように素子上に直接導電性高分子組成物の層を形成することは、条件的に非常に難しい作業を強いられることになり、再現性良く素子上に導電性高分子組成物の層を形成するには、高度な技術の習得が必要であった。
このような状況をふまえ、可溶化導電性高分子組成物が積極的に検討されている(特許文献3)。この特許文献3によれば、ポリスチレンスルホン酸、過硫酸アンモニウム、鉄塩、エチレンジオキシチオフェンなどを混合して、反応させれば、導電性高分子組成物の分散液が得られると報告されている。しかしながら、それによって得られる導電性高分子組成物は、電解コンデンサの電解質として用いるには、導電性のさらなる向上が必要であると考えられる。
また、ポリアニリンにフェノールスルホン酸ノボラック樹脂をドーピングさせた導電性高分子組成物が報告されている(特許文献4〜5)。しかしながら、それによって得られる導電性高分子組成物も、導電性が充分に高いとはいえず、電解コンデンサの電解質として用いるには、さらなる導電性の向上が必要であると考えられる。
さらに、ポリアニリンに溶剤可溶型ポリエステルスルホン酸をドーピングさせた導電性高分子組成物が報告されている(特許文献6)。しかしながら、それによって得られる導電性高分子組成物も、導電性が充分に高いとはいえず、電解コンデンサの電解質として用いるには、さらなる導電性の向上が必要であると考えられる。
また、ポリスチレンスルホン酸またはスルホン化ポリエステルまたはフェノールスルホン酸ノボラック樹脂をドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で電解酸化重合することによって得られたポリエチレンジオキシチオフェン(特許文献7)や、ポリスチレンスルホン酸と、スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種とをドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を水中または水性液中で酸化重合することによって得られたポリエチレンジオキシチオフェンが報告されている(特許文献8)。
さらに、スチレンスルホン酸とメタクリル酸ヒドロキシアルキルとの共重合体の存在下でチオフェンまたはその誘導体を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することによって得られたポリエチレンジオキシチオフェンも報告されている(特許文献9)。
これらのポリエチレンジオキシチオフェンは、導電性が高く、かつ耐熱性が優れていて、これを電解質として用いて得られた電解コンデンサは、ESR(等価直列抵抗)が低く、かつ高温条件下における信頼性が高いと報告されているが、電子機器の向上に伴ない、ESRがより低く、かつ耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性がより高く、しかも、漏れ電流が少ない電解コンデンサの出現が望まれている。
特開2003−160647号公報 特開2004−265927号公報 特許第2636968号公報 特許第3906071号公報 特開2007−277569号公報 特開平8−41321号公報 国際公開第2009/131011号 国際公開第2009/131012号 特許第5252669号公報
本発明は、上記のような事情に鑑み、ESRが低く(小さく)、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも、漏れ電流が少ない電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物が前記目的を達成するのに適していることを見出し、それに基づいて本発明を完成するにいたった。
すなわち、本願の第1の発明は、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
また、本願の第2の発明は、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
本願の第3の発明は、下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
また、本願の第4の発明は、下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
本願の第5の発明は、下記(I)と(II)と(III)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
また、本願の第6の発明は、下記(I)と(II)と(III)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
本願の第7の発明は、下記(I)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とを電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
また、本願の第8の発明は、下記(I)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とからなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
本願の第9の発明は、下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とを電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
また、本願の第10の発明は、下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とからなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサに関する。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
本願の第1の発明では、電解質として用いる導電性高分子組成物が、導電性が高く、かつ、耐熱性が優れていることから、ESRが低く、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも、漏れ電流が少ない電解コンデンサを提供することができる。
また、本願の第2の発明では、第1の発明の場合と同様の導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用しているので、第1の発明の電解コンデンサと同様の特性を有しつつ、ESRがより低く、静電容量がより大きい電解コンデンサを提供することができる。
本願の第3の発明では、電解質として用いる導電性高分子組成物が、第1の発明で用いる導電性高分子組成物と同様の特性を有しつつ、さらに導電性が優れているので、ESRがより低い電解コンデンサを提供することができる。
また、本願の第4の発明では、第3の発明の場合と同様の導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用しているので、第3の発明の電解コンデンサと同様の特性を有しつつ、ESRがより低く、静電容量がより大きい電解コンデンサを提供することができる。
本願の第5の発明では、電解質として用いる導電性高分子組成物が、第3の発明で用いる導電性高分子組成物と同様の特性を有しつつ、第3の発明の導電性高分子組成物より密着性が良好なので、ESRがより低い電解コンデンサを提供することができる。
また、本願の第6の発明では、第5の発明の場合と同様の導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用しているので、第5の発明の電解コンデンサと同様の特性を有しつつ、ESRがより低く、静電容量がより大きい電解コンデンサを提供することができる。
本願の第7の発明では、電解質として用いる導電性高分子が、第1の発明で用いる導電性高分子組成物と同様の特性を有しつつ、第1の発明の導電性高分子組成物より密着性が良好なので、ESRがより低い電解コンデンサを提供することができる。
また、本願の第8の発明では、第7の発明の場合と同様の導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用しているので、第7の発明の電解コンデンサと同様の特性を有しつつ、ESRがより低く、静電容量がより大きい電解コンデンサを提供することができる。
本願の第9の発明では、電解質として用いる導電性高分子組成物が、第3の発明で用いる導電性高分子組成物と同様の特性を有しつつ、第3の発明の導電性高分子組成物より密着性が良好なので、ESRがより低い電解コンデンサを提供することができる。
また、本願の第10の発明では、第9の発明の場合と同様の導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用しているので、第9の発明の電解コンデンサと同様の特性を有しつつ、ESRがより低く、静電容量がより大きい電解コンデンサを提供することができる。
上記本願の第1の発明の電解コンデンサは、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物を電解質として用いることを特徴として製造される。
すなわち、上記のような酸化重合によりチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が酸化重合されてπ共役系高分子が合成されるが、そのチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子の合成時に、上記のスチレンスルホン酸と、非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体が上記π共役系高分子にドーピングして、π共役系高分子に高い導電性が付与され、それによって、導電性高分子組成物が形成される。つまり、上記のπ共役系高分子とそれにドーピングした共重合体とで導電性高分子組成物が構成される。そして、この導電性高分子組成物には、後述するように、導電性付与剤やバインダを含有させるようにしてもよい。
そして、第3の発明などにおけるスチレンスルホン酸も、第5の発明などにおけるスルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオンも、上記共重合体と同様に、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子の合成時に、該π共役系高分子にドーピングしていく。
また、本願の第2の発明の電解コンデンサは、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用することを特徴として製造される。
本願の第3の発明の電解コンデンサは、下記(I)と(II)との存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物を電解質として用いることを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
また、本願の第4の発明の電解コンデンサは、下記(I)と(II)との存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用することを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
本願の第5の発明の電解コンデンサは、下記(I)と(II)と(III)との存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物を電解質として用いることを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
また、本願の第6の発明の電解コンデンサは、下記(I)と(II)と(III)との存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用することを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
本願の第7の発明の電解コンデンサは、下記(I)の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子と、下記(III)の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物とを電解質として用いることを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
また、本願の第8の発明の電解コンデンサは、下記(I)の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物と、下記(III)の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物とからなる電解質と、電解液とを併用することを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
本願の第9の発明の電解コンデンサは、下記(I)と(II)との存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物と、下記(III)の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物とを電解質として用いることを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
また、本願の第10の発明の電解コンデンサは、下記(I)と(II)との存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物と、下記(III)の存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物とからなる電解質と、電解液とを併用することを特徴として製造される。
(I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
(II):ポリスチレンスルホン酸
(III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
本発明の基礎をなす第1の発明において、電解質として用いる導電性高分組成物は、前記のように、その製造にあたって、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体をドーパントとして用いていることから、導電性が高く、かつ、耐熱性が優れている。従って、この導電性高分子組成物を電解質として用いることによって、ESRが低く、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも、漏れ電流の少ない電解コンデンサを提供することができる。
上記導電性高分子組成物を製造するにあたってドーパントとして用いる共重合体は、その合成にあたってモノマーの一方の成分としてスチレンスルホン酸を用いているが、これは、そのスルホン酸部分でドーパントとして必要なアニオンを提供するためと共重合体に水溶性を付与するためである。
そして、このスチレンスルホン酸と共重合させるモノマーとしては、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーを用いるが、これはスチレンスルホン酸が文字通りスルホン酸系モノマーであるのに対して、非スルホン酸系の重合性モノマーであり、スルホン酸系モノマーとこれらの非スルホン酸重合性モノマーとを共重合させるのは、それによって得られる共重合体の方が、スチレンスルホン酸のホモポリマー(つまり、ポリスチレンスルホン酸)より、ドーパントとして用いたときに、導電性が高く、かつ、耐熱性が優れた導電性高分子組成物が得られ、それによって、ESRが低く、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下での信頼性の高い電解コンデンサが得られるようになるからである。そして、スチレンスルホン酸をモノマー状態で用いるのではなく、高分子化して用いるのは、高分子ドーパントを用いて導電性高分子組成物を合成した場合、水または溶剤に対する分散性または溶解性が良好であり、かつ、脱ドープされにくいからである。
このスチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーの共重合体の、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの比率としては、モル比で、9.9:0.1〜0.1:9.9であることが好ましく、9.5:0.5〜4:6であることがより好ましく、9:1〜5:5であることがさらに好ましく、9:1〜7:3であることがさらに好ましい。つまり、スチレンスルホン酸の比率が上記より少なくなると、導電性高分子組成物の導電性が低下して、電解コンデンサのESRが高くなるおそれがあり、逆にスチレンスルホン酸の比率が上記より多くなると、導電性高分子組成物の耐熱性が低下して、電解コンデンサの耐熱性が悪くなるおそれがあるためである。
そして、上記スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体は、その分子量が、重量平均分子量で5,000〜500,000程度のものが、水溶性およびドーパントとしての特性上から好ましく、重量平均分子量で40,000〜200,000程度のものがより好ましい。すなわち、上記共重合体の重量平均分子量が上記より小さい場合は、ドーパントとしての機能が低下し、その結果、導電性が高く、かつ耐熱性が優れた導電性高分子組成物が得られにくくなるおそれがあり、重量平均分子量が上記より大きくなると、水溶性が低下して、取扱性が悪くなるおそれがある。
上記メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーにおけるメタクリル基またはアクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとしては、例えば、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、次の一般式(1)
Figure 2017045868
(式中、Rは水素またはメチル基であり、n=3〜6である)
で表されるフェノキシポリエチレングリコールアクリレートまたはフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ネオペンチルグリコールメタクリレートベンゾエート、ネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、アミノフェニルアクリル酸、フェニルアクリル酸、2−シアノ−3−フェニルアクリル酸、3−(1−ナフチル)アクリル酸、アクリル酸ペンチルフルオロフェニルなどを用いることができる。そして、このメタクリル基またはアクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとしては、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、前記一般式(1)で表されるフェノキシポリエチレングリコールアクリレートまたはフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどが好ましい。
上記メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーにおけるメタクリル基またはアクリル基とテトラヒドロフラン環を含む非スルホン酸系重合性モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどを好適に用いることができる。
そして、上記メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーにおけるメタクリル基またはアクリル基とリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとしては、例えば、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートなどを好適に用いることができる。
導電性高分子組成物の製造にあたって、ドーパントとして使用する上記スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体の使用量は、チオフェンまたはその誘導体に対して質量比で1:0.01〜1:20であることが好ましく、1:0.1〜1:2であることがより好ましい。つまり、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体の使用量が上記より少ない場合は、上記共重合体のドーパントとしての機能が充分に発揮できなくなるおそれがあり、また、上記共重合体の使用量が上記より多くなっても、その使用量の増加に伴なう効果の増加がほとんど見られなくなるだけでなく、得られる導電性高分子組成物の導電性が低下してしまうおそれがある。
本願の第3の発明などに関しては、ドーパントとして、前記のように、(I)で示したスチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体と、(II)で示したポリスチレンスルホン酸とを併用するが、このポリスチレンスルホン酸としては、重量平均分子量が10,000〜1,000,000のものが好ましい。
すなわち、上記ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が10,000より小さい場合は、得られる導電性高分子組成物の導電性が低くなるおそれがある。また、上記ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が1,000,000より大きい場合は、導電性高分子組成物の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの製造にあたって、使用しにくくなるおそれがある。そして、上記ポリスチレンスルホン酸としては、その重量平均分子量が上記範囲内で、20,000以上のものが好ましく、40,000以上のものがより好ましく、また、800,000以下のものが好ましく、300,000以下のものがより好ましい。
上記のように、ドーパントとして、スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体と、ポリスチレンスルホン酸とを併用することによって、上記共重合体の奏する特性に加えて、導電性高分子組成物の導電性をさらに向上させるが、それらの併用にあたって、上記共重合体と、ポリスチレンスルホン酸との比率としては、質量比で1:0.01〜0.1:1が好ましい。
そして、このスチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体と、ポリスチレンスルホン酸とを併用する場合も、それらの使用量は、両者の合計で、チオフェンまたはその誘導体に対して、質量比で1:0.01〜1:20であることが好ましく、1:0.1〜1:2であることがより好ましい。
また、本願の第5の発明などに関するように、(I)で示した「スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体」と、(II)で示した「ポリスチレンスルホン酸」と、(III)で示した「スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン」との存在下で、チオフェンまたはその誘導体を酸化重合する場合、それら(I)と(II)と(III)との使用割合としては、(I)が5〜60質量%、(II)が10〜40質量%、(III)が10〜70質量%が好ましい。
本発明において、導電性高分子組成物を酸化重合によって製造するための重合性モノマーとしては、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるが、そのチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンや、上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が好ましく、特に1〜4が好ましい。上記のチオフェンやその誘導体は、それぞれ単独で用いることができ、また、2種類以上を併用することもできる。そして、上記のチオフェンの誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンやアルキル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンについて詳しく説明すると、上記3,4−エチレンジオキシチオフェンやアルキル化エチレンジオキシチオフェンは、下記の一般式(2)で表される化合物に該当する。
Figure 2017045868
(式中、Rは水素またはアルキル基である)
そして、上記一般式(2)中のRが水素の化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであり、これをIUPAC名称で表示すると、「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2,3−Dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、この化合物は、IUPAC名称で表示されるよりも、一般名称の「3,4−エチレンジオキシチオフェン」で表示したり、さらに、簡略化して、「エチレンジオキシチオフェン」と表示されることが多いので、本書では、この「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を「3,4−エチレンジオキシチオフェン」または「エチレンジオキシチオフェン」と表示している。そして、上記一般式(2)中のRがアルキル基の場合、該アルキル基としては、炭素数が1〜4のもの、つまり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、それらを具体的に例示すると、一般式(2)中のRがメチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−メチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Methyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「メチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(2)中のRがエチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−エチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Ethyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「エチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(2)中のRがプロピル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−プロピル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Propyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「プロピル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、一般式(2)中のRがブチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−ブチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Butyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「ブチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。また、「2−アルキル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を、以下、簡略化して「アルキル化エチレンジオキシチオフェン」で表わす。そして、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの中でも、メチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
上記スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体を用いてのチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化重合や、上記共重合体と、ポリスチレンスルホン酸とを用いてのチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化重合、さらには、上記共重合体と、ポリスチレンスルホン酸と、前記(III)で示したポリマーアニオンとを用いてのチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化重合は、水中または水と水混和性溶剤との水溶液中で行われる。
上記水性液を構成する水混和性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられ、これらの水混和性溶剤の水との混合割合としては、水性液全体中の50質量%以下が好ましい。
導電性高分子組成物を製造するにあたっての酸化重合は、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれも採用することができる。
化学酸化重合を行うにあたっての酸化剤としては、例えば、過硫酸塩が用いられるが、その過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カルシウム、過硫酸バリウムなどが用いられる。
化学酸化重合において、その重合時の条件は、特に限定されることはないが、化学酸化重合時の温度としては、5℃〜95℃が好ましく、10℃〜30℃がより好ましく、また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、8時間〜24時間がより好ましい。
電解酸化重合は、定電流でも定電圧でも行い得るが、例えば、定電流で電解酸化重合を行う場合、電流値としては0.05mA/cm〜10mA/cmが好ましく、0.2mA/cm〜4mA/cmがより好ましく、定電圧で電解酸化重合を行う場合は、電圧としては0.5V〜10Vが好ましく、1.5V〜5Vがより好ましい。電解酸化重合時の温度としては、5℃〜95℃が好ましく、特に10℃〜30℃が好ましい。また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、8時間〜24時間がより好ましい。なお、電解酸化重合にあたっては、触媒として硫酸第一鉄または硫酸第二鉄を添加してもよい。
上記のようにして得られる導電性高分子組成物は、重合直後、水中または水性液中に分散した状態で得られ、酸化剤としての過硫酸塩や触媒として用いた硫酸鉄塩やその分解物などを含んでいる。そこで、その不純物を含んでいる導電性高分子組成物の分散液を超音波ホモジナイザーや高圧ホモジナイザーや遊星ボールミルなどの分散機にかけて不純物を分散させた後、カチオン交換樹脂で金属成分を除去することが好ましい。このときの導電性高分子組成物の粒径としては、動的光散乱法により測定した粒径で、100μm以下が好ましく、特に10μm以下が好ましく、10nm以上が好ましく、特に100nm以上が好ましい。その後、エタノール沈殿法、限外濾過法、陰イオン交換樹脂などにより、酸化剤や触媒の分解により生成したものを除去し、後述するように、必要に応じて、導電性向上剤やバインダを添加してもよい。
また、本願の第7の発明などに関しては、前記のように、(I)で示したスチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体をドーパントとして得られた導電性高分子組成物の分散液と、(III)で示したスルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオンの存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物の分散液とを混合することによって、ドーパントとして上記共重合体を用いて得られる特性とドーパントとして上記ポリマーアニオンを用いて得られる特性とを併有する導電性高分子組成物の有する特性を受け継いだ電解コンデンサを得ることができる。
さらに、本願の第9の発明などに関しては、ドーパントとして、前記のように、(I)で示した上記スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体と、(II)で示したポリスチレンスルホン酸との存在下で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物の分散液と、(III)で示したスルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオンの存在下で、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子組成物の分散液とを混合することによって、ドーパントとして上記共重合体とポリスチレンスルホン酸とを用いて得られる特性とドーパントとして上記ポリマーアニオンを用いて得られる特性とを併有する導電性高分子組成物の有する特性を受け継いだ電解コンデンサを得ることができる。
上記スルホン化ポリエステルは、スルホイソフタル酸エステルやスルホテレフタル酸エステルなどのジカルボキシベンゼンスルホン酸ジエステルとアルキレングリコールとを酸化アンチモンや酸化亜鉛などの触媒の存在下で縮重合させたものであり、このスルホン化ポリエステルとしては、その重量平均分子量が5,000〜300,000のものが好ましい。
すなわち、スルホン化ポリエステルの重量平均分子量が5,000より小さい場合は、得られる導電性高分子組成物の導電性が低くなるおそれがある。また、スルホン化ポリエステルの重量平均分子量が300,000より大きい場合は、導電性高分子組成物の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの製造にあたって使用しにくくなるおそれがある。そして、このスルホン化ポリエステルとしては、その重量平均分子量が上記範囲内で、10,000以上のものが好ましく、20,000以上のものがより好ましく、また、100,000以下のものが好ましく、80,000以下のものがより好ましい。
また、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、例えば、次の一般式(3)
Figure 2017045868
(式中のRは水素またはメチル基である)
で表される繰り返し単位を有するものが好ましく、このようなフェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、その重量平均分子量が5,000〜500,000のものが好ましい。
すなわち、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量が5,000より小さい場合は、得られる導電性高分子組成物の導電性が低くなるおそれがある。また、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量が500,000より大きい場合は、導電性高分子組成物の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの製造にあたって使用しにくくなるおそれがある。そして、このフェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、その重量平均分子量が上記範囲内で、10,000以上のものがより好ましく、また、400,000以下のものが好ましく、80,000以下のものがより好ましい。
そして、上記スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオンを用いてのチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化重合は、前記スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体をドーパントとして用いての酸化重合と同様に、水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液で行なわれ、同様に、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれも採用でき、それらの重合時の条件も、上記共重合体をドーパントとしてチオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を酸化重合する場合と同様の条件を採用することができる。
上記のようにして得られた導電性高分子組成物の分散液には、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または糖類を導電性向上剤として含有させてもよい。このように、導電性高分子組成物の分散液中に導電性向上剤を含有させておくと、該導電性高分子組成物の分散液を乾燥して得られる導電性高分子組成物の被膜などの導電性を向上させ、該導電性高分子組成物を電解質として用いた電解コンデンサのESRを低くすることができる。
これは、電解コンデンサの製造にあたって、コンデンサ素子を導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、取り出して乾燥したときに、導電性高分子組成物の厚み方向の層密度を高くさせ、それによって、導電性高分子組成物間の面間隔が狭くなり、導電性高分子組成物の導電性が高くなって、該導電性高分子組成物を電解コンデンサの電解質として用いたときに、電解コンデンサのESRを低くさせるものと考えられる。
上記の導電性向上剤としては、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または糖類が用いられるが、その沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ブタンジオール、γ一ブチロラクトン、スルホラン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが好ましく、また、糖類としては、例えば、エリスリトール、グルコース、マンノース、プルランなどが挙げられるが、この導電性向上剤としては、特にジメチルスルホキシドやブタンジオールが好ましい。なお、上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤における沸点とは、常圧(つまり、1atm=1013.25hPa)下での沸点をいう。
このような導電性向上剤の添加量としては、分散液中の導電性高分子組成物に対して質量基準で5〜3,000%(すなわち、導電性高分子組成物100質量部に対して導電性向上剤が5〜3,000質量部)が好ましく、特に20〜700%が好ましい。導電性向上剤の添加量が上記より少ない場合は、導電性を向上させる作用が充分に発揮されなくなるおそれがあり、導電性向上剤の添加量が上記より多い場合は、分散液の乾燥に時間を要するようになり、また、かえって、導電性の低下を引き起こすおそれがある。
なお、分散液中における導電性高分子組成物の含有量は、コンデンサ素子を導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、取り出す時などの作業性に影響を与えるので、通常0.5〜15質量%程度が好ましい。つまり、導電性高分子組成物の含有量が上記より少ない場合は、乾燥に時間を要するようになるおそれがあり、また、導電性高分子組成物の含有量が上記より多い場合は、分散液の粘度が高くなって、電解コンデンサの製造にあたっての作業性が低下するおそれがある。
上記の導電性高分子組成物の分散液は、電解コンデンサの製造にあたって用いるのに適しているが、これは、上記の導電性高分子組成物の分散液を乾燥して得られる導電性高分子組成物が導電性が高く、かつ、耐熱性が優れているので、それを電解質として用いたときに、ESRが低く、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下での使用に際して信頼性が高い電解コンデンサが得られるからである。
上記の導電性高分子組成物の分散液を電解コンデンサの製造にあたって用いる際は、乾燥して得られた導電性高分子組成物を電解コンデンサの電解質として用いてもよいが、分散液の状態で用い、その導電性高分子組成物の分散液をコンデンサ素子に含浸し、乾燥して得られる導電性高分子組成物を電解質として使用に供する方が好ましい。
そして、その際、導電性高分子組成物とコンデンサ素子との密着性を高めるために、導電性高分子組成物の分散液にバインダを添加してもよい。そのようなバインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック樹脂、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアリル、スルホン化ポリビニル、スルホン化ポリスチレン、シランカップリング剤などが挙げられ、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアリル、スルホン化ポリビニル、スルホン化ポリスチレンなどが好ましく、特にスルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアリル、スルホン化ポリビニル、スルホン化ポリスチレンのように、スルホン基が付加されていると、導電性高分子組成物の導電性を向上させることができるのでより好ましい。
次に、上記の導電性高分子組成物の分散液を電解コンデンサの製造にあたって用いる例を説明する。
まず、上記の導電性高分子組成物の分散液をタンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサ、積層型アルミニウム電解コンデンサなどの製造にあたって用いる場合、例えば、タンタル、ニオブ、アルミニウムから選択される弁金属の多孔体からなる陽極と、それらの弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子を、上記導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、取り出した後、乾燥して、導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成するか、または、必要に応じて、上記の分散液への浸漬と乾燥する工程を繰り返すことによって、導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成した後、カーボンペースト、銀ペーストを塗布し、乾燥した後、外装することによって、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサ、積層型アルミニウム電解コンデンサなどを製造することができる。
また、非鉄塩系の有機スルホン酸塩をドーパントとして用い、重合性モノマー、酸化剤を含む液に、上記のコンデンサ素子を浸漬し、取り出した後、乾燥して重合を行い、その後、水に浸漬し、取り出し、洗浄した後、乾燥することによって、いわゆる「その場重合」で導電性高分子組成物を製造した後、それら全体を上記の導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、取り出して乾燥する操作を繰り返して上記の導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成してもよく、また、その逆の形態にしてもよい。
そして、そのようにして導電性高分子組成物で覆われたコンデンサ素子をカーボンペースト、銀ペーストで覆った後、外装することによって、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサ、積層型アルミニウム電解コンデンサなどを製造することもできる。
また、上記の導電性高分子組成物の分散液を巻回型アルミニウム電解コンデンサの製造にあたって用いる場合、例えば、アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して作製したコンデンサ素子を上記の導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、取り出した後、乾燥して、導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成するか、または、必要に応じて、上記の分散液への浸漬と乾燥する工程を繰り返すことによって、導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成したのち、外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造することができる。
上記のように、導電性高分子組成物の分散液を乾燥して得られる導電性高分子組成物(前記のように、これを簡略化して「上記の導電性高分子組成物」という場合がある)は、電解コンデンサの電解質として用いるのに適した高い導電性と優れた耐熱性を有している上に、透明性も高いので、電解コンデンサの電解質として用いる以外に、導電性フィルム(帯電防止フィルム)の作製にあたって用いることができるし、また、帯電防止布、帯電防止樹脂などの帯電防止材の導電体として用いることもできる。また、上記の導電性高分子組成物は、そのような特性を利用して、それらの用途以外にも、バッテリーの正極活物質、耐腐食用塗料の基材樹脂などとしても用いることができる。
本発明の電解コンデンサの製造にあたっては、上記のような導電性高分子組成物を電解質として用いる以外に、上記導電性高分子組成物からなる電解質と電解液とを併用することができる。
上記電解液としては、特に特定のものに限られることなく、例えば、10質量%アジピン酸トリメチルアミンのエチレングリコール溶液(アジピン酸トリメチルアミンが10質量%溶解しているエチレングリコール溶液)などの従来から電解コンデンサの電解液として用いられているものをはじめ、各種のものを用いることができる。
そして、この電解液を導電性高分子組成物からなる電解質と併用して電解コンデンサを製造するときは、通常、コンデンサ素子に導電性高分子組成物からなる電解質層を形成した後、その導電性高分子組成物からなる電解質を形成したコンデンサ素子を電解液に浸漬するか、あるいは電解液を上記電解質層を有するコンデンサ素子にスプレーなどで塗布する工程を経ることによって電解コンデンサが製造される。
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に例示のもののみに限定されることはない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度や使用量を示す際の%は特にその基準を付記しないかぎり、質量基準のよる%である。
また、実施例に先立ち、実施例の電解コンデンサの電解質を構成するために用いる導電性高分子組成物の製造にあたってドーパントとして用いるスチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基を含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体の合成を合成例1〜16で示し、導電性高分子組成物の分散液の製造を製造例1〜49で示す。
合成例1
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシエチルメタクリレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例1では、使用開始時のモノマーがスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとであって、それらの比率がモル比で9:1の共重合体の合成について説明する。なお、以下の合成例などにおいても、共重合体の組成の表示にあたっては、使用開始時のモノマーのモル比で表示する。
まず、この合成例1で重合体の合成に当って用いるフェノキシエチルメタクリレートについて説明すると、フェノキシエチルメタクリレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、メタクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム110.6g(スチレンスルホン酸として98.8gであって、0.54モル)とフェノキシエチルメタクリレート12.3g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとの共重合体について、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル濾過クロマトグラフィーであるが、以下、「GPC」のみで示す)カラムを用いたHPLC(High Performance Liquid Chromatography:高速液体クロマトグラフィーであるが、以下、「HPLC」のみで示す)システムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、98,000であった。
合成例2
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシエチルアクリレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例2では、スチレンスルホン酸とフェノキシエチルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記フェノキシエチルアクリレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、アクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とフェノキシエチルアクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム111.4g(スチレンスルホン酸として99.6gであって、0.54モル)とフェノキシエチルアクリレート11.5g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシエチルアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシエチルアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、100,000であった。
合成例3
共重合体〔スチレンスルホン酸:ベンジルメタクリレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例3では、スチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記ベンジルメタクリレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、メタクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム112.4g(スチレンスルホン酸として100.4gであって、0.55モル)とベンジルメタクリレート10.7g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、93,000であった。
合成例4
共重合体〔スチレンスルホン酸:ベンジルメタクリレート=7:3(モル%)〕の合成
この合成例4では、スチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が7:3の共重合体の合成について説明する。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム88.2g(スチレンスルホン酸として78.8gであって、0.43モル)とベンジルメタクリレート32.3g(0.18モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、88,000であった。
合成例5
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシジエチレングリコールアクリレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例5では、スチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記フェノキシジエチレングリコールアクリレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、アクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム108.8g(スチレンスルホン酸として97.2gであって、0.53モル)とフェノキシジエチレングリコールアクリレート13.9g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、95,000であった。
合成例6
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシジエチレングリコールアクリレート=7:3(モル比)〕の合成
この合成例6では、スチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が7:3の共重合体の合成について説明する。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム80.2g(スチレンスルホン酸として71.7gであって、0.39モル)とフェノキシジエチレングリコールアクリレート39.4g(0.17モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、85,000であった。
合成例7
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシポリエチレングリコールアクリレート=
9:1(モル比)〕の合成
この合成例7では、スチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記フェノキシポリエチレングリコールアクリレートは、前記一般式(1)において、Rが水素であり、n≒3のものであって、アクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム106.3g(スチレンスルホン酸として95.0gであって、0.52モル)と上記フェノキシポリエチレングリコールアクリレート16.1g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、91,000であった。
合成例8
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシポリエチレングリコールアクリレート=7:3(モル比)〕の合成
この合成例8では、スチレンスルホン酸と前記合成例7で用いたものと同様のフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が7:3の共重合体の合成について説明する。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム75.3g(スチレンスルホン酸として67.3gであって、0.37モル)と上記フェノキシポリエチレングリコールアクリレート43.9g(0.16モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、95,000であった。
合成例9
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシポリエチレングリコールアクリレート=5:5(モル比)〕の合成
この合成例9では、スチレンスルホン酸と前記合成例7で用いたものと同様のフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が5:5の共重合体の合成について説明する。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム49.3g(スチレンスルホン酸として44.1gであって、0.24モル)と上記フェノキシポリエチレングリコールアクリレート67.1g(0.24モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、87,000であった。
合成例10
共重合体〔スチレンスルホン酸:フェノキシトポリエチレングリコールアクリレート=9.5:0.5(モル比)〕の合成
この合成例10では、スチレンスルホン酸と前記合成例7で用いたものと同様のフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9.5:0.5の共重合体の合成について説明する。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム115.1g(スチレンスルホン酸として102.9gであって、0.56モル)と上記フェノキシポリエチレングリコールアクリレート8.2g(0.03モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、99,000であった。
合成例11
共重合体〔スチレンスルホン酸:ネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例11では、スチレンスルホン酸とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記ネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、アクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム107.4g(スチレンスルホン酸として95.9gであって、0.52モル)とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエート15.2g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、87,000であった。
合成例12
共重合体〔スチレンスルホン酸:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例12では、スチレンスルホン酸と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、アクリル基とベンゼン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム109.6g(スチレンスルホン酸として98.0gであって、0.53モル)と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート13.1g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、86,000であった。
合成例13
共重合体〔スチレンスルホン酸:テトラヒドロフルフリルメタクレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例13では、スチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記テトラヒドロフルフリルメタクレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、メタクリル基とテトラヒドロフラン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルメタクレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム112.8g(スチレンスルホン酸として100.8gであって、0.55モル)とテトラヒドロフルフリルメタクリレート10.4g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルメタクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルメタクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、86,000であった。
合成例14
共重合体〔スチレンスルホン酸:テトラヒドロフルフリルアクリレート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例14では、スチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の製造について説明する。
上記テトラヒドロフルフリルアクリレートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、アクリル基とテトラヒドロフラン環とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルアクリレートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム113.6g(スチレンスルホン酸として101.6gであって、0.55モル)とテトラヒドロフルフリルアクリレート9.6g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルアクリレートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルアクリレートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、83,000であった。
合成例15
共重合体〔スチレンスルホン酸:2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例15では、スチレンスルホン酸と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、メタクリル基とリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム109.3g(スチレンスルホン酸として97.7gであって、0.53モル)と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート13.4g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、81,000であった。
合成例16
共重合体〔スチレンスルホン酸:2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート=9:1(モル比)〕の合成
この合成例16では、スチレンスルホン酸と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートとのモル比が9:1の共重合体の合成について説明する。
上記2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートは、下記の化学式
Figure 2017045868
で示され、アクリル基とリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーに該当するものである。そして、スチレンスルホン酸と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートとの共重合体の合成は、以下のように行われる。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム111.2g(スチレンスルホン酸として99.4gであって、0.54モル)と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート11.8g(0.06モル)とを添加した。そして、その溶液に酸化剤として、過硫酸アンモニウムを6g添加して、スチレンスルホン酸と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートとの重合反応を12時間行った。
その後、その反応液にオルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
得られたスチレンスルホン酸と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートとの共重合体について、GPCカラムを用いたHPLCシステムを用いて分析を行った結果、上記共重合体のデキストランを標品として見積もった重量平均分子量は、85,000であった。
次に、実施例の電解コンデンサの電解質を構成するにあたって用いる導電性高分子組成物の分散液の製造を製造例1〜49で示す。
製造例1
合成例1で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液600gを内容積1Lのステンレス鋼製容器に入れ、そこに触媒として硫酸第一鉄・7水和物を0.3g添加して溶解した。その中にエチレンジオキシチオフェンを4mlゆっくり滴下した。ステンレス鋼製の攪拌バネで攪拌し、容器に陽極を取り付け、攪拌バネに陰極を取り付け、1mA/cmの定電流で18時間電解酸化重合して、導電性高分子組成物を製造した。上記電解酸化重合後、水で4倍に希釈した後、超音波ホモジナイザー[日本精機社製、US−T300(商品名)]で30分間分散処理を行った。
その後、オルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライト120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で撹拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
上記処理後の液を孔径が1μmのフィルターに通し、その通過液を限外濾過装置[ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万]で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去した。この処理後の液を水で希釈して導電性高分子組成物の濃度を3%に調整し、その3%液40gに対し、導電性向上剤としてブタンジオールを4g添加して、導電性向上剤としてのブタンジオールを添加した導電性高分子組成物の分散液を得た。次いで、28%アンモニア水溶液でpH4.0に調整した。上記ブタンジオールの添加量は導電性高分子組成物に対して333%であった。
製造例2
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例2で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。なお、この製造例2では、すべて製造例1と同様の操作を行って導電性高分子組成物の分散液を得ていることから、この製造例2の導電性高分子組成物の分散液には、製造例1の場合と同様に、ブタンジオールと28%アンモニア水溶液とが添加されている。そして、このようなブタンジオールと28%アンモニア水溶液との添加は、以下に示す製造例3以降の導電性高分子組成物の分散液に対しても同様に行われる。
製造例3
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例3で得たスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例4
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例4で得たスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が7:3の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例5
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例5で得たスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例6
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例6で得たスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が7:3の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例7
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例7で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例8
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例8で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が7:3の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例9
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例9で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が5:5の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例10
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例10で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9.5:0.5の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例11
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例11で得たスチレンスルホン酸とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例12
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例12で得たスチレンスルホン酸と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例13
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例13で得たスチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例14
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例14で得たスチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例15
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例15で得たスチレンスルホン酸と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例16
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例16で得たスチレンスルホン酸と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートとのモル比が9:1の共重合体を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例17
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例3で得たスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェンに代えて、エチル化エチレンジオキシチオフェンを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例18
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例3で得たスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェン4mlに代えて、エチレンジオキシチオフェン2mlとエチル化エチレンジオキシチオフェン2mlとを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例19
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例5で得たスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェンに代えて、エチル化エチレンジオキシチオフェンを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例20
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例5で得たスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェン4mlに代えて、エチレンジオキシチオフェン2mlとエチル化エチレンジオキシチオフェン2mlとを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例21
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例7で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェンに代えて、エチル化エチレンジオキシチオフェンを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例22
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例7で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェン4mlに代えて、エチレンジオキシチオフェン2mlとエチル化エチレンジオキシチオフェン2mlとを用いた以外は、全て製造例1と同様の操作を行って導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例23
合成例1で得た共重合体に代えて、合成例7で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体を用い、かつ、エチレンジオキシチオフェン4mlに代えて、エチレンジオキシチオフェン2mlとブチル化エチレンジオキシチオフェン2mlとを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例24
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例1で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例25
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例2で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例26
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例3で得たスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例27
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例4で得たスチレンスルホン酸とベンジルメタクリレートとのモル比が7:3の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例28
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例5で得たスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例29
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例6で得たスチレンスルホン酸とフェノキシジエチレングリコールアクリレートとのモル比が7:3の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例30
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例7で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例31
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例8で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が7:3の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例32
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例9で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が5:5の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例33
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例10で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9.5:0.5の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例34
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例11で得たスチレンスルホン酸とネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例35
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例12で得たスチレンスルホン酸と2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例36
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例13で得たスチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルメタクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例37
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例14で得たスチレンスルホン酸とテトラヒドロフルフリルアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例38
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例15で得たスチレンスルホン酸と2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例39
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例16で得たスチレンスルホン酸と2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例40
合成例1で得た共重合体の4%水溶液600gに代えて、合成例7で得たスチレンスルホン酸とフェノキシポリエチレングリコールアクリレートとのモル比が9:1の共重合体の4%水溶液300gとテイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100,000)の4%水溶液225gとフェノールスルホン酸ノボラック樹脂[小西化学工業社製、重量平均分子量60,000で、一般式(3)におけるRが水素のもの]の4%水溶液75gとの混合液を用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性高分子組成物の分散液を得た。
製造例41
この製造例41では、まず、製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液と混合するためのスルホン化ポリエステルをドーパントとする導電性高分子組成物の分散液を次に示すようにして得た。
スルホン化ポリエステル[互応化学工業社製プラスコートZ−561(商品名)、重量平均分子量27,000]の4%水溶液200gを内容積1Lの容器に入れ、酸化剤として過硫酸アンモニウムを2g添加した後、攪拌機で攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄の40%水溶液を0.4g添加し、攪拌しながら、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン3mLを滴下し、24時間かけて、3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学酸化重合を行って、導電性高分子組成物を製造した。
上記重合後、水で4倍に希釈した後、超音波ホモジナイザーで30分間分散処理を行った。その後、オルガノ社のカチオン交換樹脂[アンバーライトIR120B(商品名)]を100g添加して、1時間攪拌機で撹拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。
上記処理後の液を孔径が1μmのフィルターに通し、その通過液を限外濾過装置[ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万]で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去した。この処理後の液を水で希釈して導電性高分子組成物の濃度を3%に調整し、その3%液40gに対し、導電性向上剤としてブタンジオールを4g添加して、導電性向上剤としてのブタンジオールを添加した導電性高分子組成物の分散液を得た。上記ブタンジオールの添加量は導電性高分子組成物に対して333%であった。
このスルホン化ポリエステルをドーパントとする導電性高分子組成物の分散液40gと製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gとを混合して、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例42
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例2で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例43
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例3で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例44
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例4で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例45
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例5で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例46
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例6で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例47
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例7で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例48
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例8で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例49
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例9で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例50
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例10で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例51
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例11で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例52
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例12で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例53
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例13で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例54
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例14で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例55
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例38で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例56
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例39で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例57
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例17で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例58
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例18で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例59
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例19で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例60
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例20で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例61
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例21で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例62
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例22で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
製造例63
製造例1で得た導電性高分子組成物の分散液40gに代えて、製造例23で得た導電性高分子組成物の分散液40gを用いた以外は、すべて製造例41と同様の操作を行って、異なるドーパントを用いた導電性高分子組成物の分散液の混合液を得た。
比較製造例1
合成例1で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとのモル比9:1の共重合体の4%水溶液600gに代えて、ポリスチレンスルホン酸(テイカ社製、重量平均分子量100,000)の4%水溶液600gを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性向上剤としてのブタンジオールを添加した導電性高分子組成物の分散液を得た。なお、この比較製造例1やそれに続く比較製造例2〜4は、比較例の電解コンデンサの電解質を構成するにあたって使用する導電性高分子組成物の分散液の製造例を示すものであり、正確には、比較例用製造例というべきであるが、簡略化して、上記のように、比較製造例1、比較製造例2〜4という。
比較製造例2
合成例1で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとの質量比9:1の共重合体の4%水溶液600gに代えて、ポリスチレンスルホン酸(テイカ社製、重量平均分子量100,000)の4%水溶液300gとフェノールスルホン酸ノボラック樹脂[小西化学工業社製、重量平均分子量60,000で、一般式(3)におけるRが水素のもの]の4%水溶液300gとの混合液600gを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性向上剤としてのブタンジオールを添加した導電性高分子組成物の分散液を得た。
比較製造例3
合成例1で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとのモル比9:1の共重合体の4%水溶液600gに代えて、スチレンスルホン酸とメタクリル酸ヒドロキシエチルとのモル比9:1の共重合体(テイカ社製、重量平均分子量100,000)の4%水溶液600gを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性向上剤としてのブタンジオールを添加した導電性高分子組成物の分散液を得た。
比較製造例4
合成例1で得たスチレンスルホン酸とフェノキシエチルメタクリレートとのモル比9:1の共重合体の4%水溶液600gに代えて、スチレンスルホン酸とメタクリル酸ヒドロキシエチルとのモル比4:6の共重合体(テイカ社製、重量平均分子量100,000)の4%水溶液600gを用いた以外は、すべて製造例1と同様の操作を行って、導電性向上剤としてのブタンジオールを添加した導電性高分子組成物の分散液を得た。
次に、実施例を示すが、その実施例のうちの実施例1〜78は巻回型アルミニウム電解コンデンサに関し、実施例79〜102はタンタル電解コンデンサに関し、実施例103〜124は積層型アルミニウム電解コンデンサに関するものである。
[巻回型アルミニウム電解コンデンサでの評価(1)]
実施例1〜39および比較例1〜4
この実施例1〜39および比較例1〜4では、以下に示すように巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造して、その特性を評価する。
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。
上記コンデンサ素子を実施例1〜39および比較例1〜4用にそれぞれ20個ずつ用意し、それらコンデンサ素子を製造例1〜39および比較製造例1〜4の導電性高分子組成物の分散液にそれぞれ別々に10分間浸漬し、取り出した後、150℃で30分間乾燥した。これらの操作を3回繰り返すことにより導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成した。これを外装材で外装して、実施例1〜39および比較例1〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサを計20個ずつ製造した。
上記のようにして製造した実施例1〜39および比較例1〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、ESRおよび静電容量を測定し、かつ、漏れ電流を測定し、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を使用した導電性高分子組成物の分散液の種類と共に表1および表2に示す。なお、ESR,静電容量および漏れ電流の測定方法ならびに漏れ電流不良の発生の評価方法は次の通りである。
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、100kHzで測定する。
静電容量:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、120Hzで測定する。
漏れ電流:
巻回型アルミニウム電解コンデンサに、25℃で35Vの定格電圧を60秒間印加した後、デジタルオシロスコープにて漏れ電流を測定する。
漏れ電流不良の発生:
上記漏れ電流測定で、漏れ電流が100μA以上のものは、漏れ電流不良が発生していると判断する。
上記の測定は、各試料とも、20個ずつについて行い、ESRに関して表1および表2に示す数値は、それら20個の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものであり、静電容量に関して表1および表2に示す数値は、それら20個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。また、漏れ電流不良の発生の有無を調べた結果の表1および表2への表示にあたっては、試験に供した全コンデンサ個数を分母に示し、漏れ電流不良の発生があったコンデンサ個数を分子に示す態様で「漏れ電流不良発生個数」として表示する。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
また、上記特性評価後の実施例1〜39および比較例1〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(それぞれ10個ずつ)に35Vの定格電圧をかけながら、150℃の恒温槽中に静電状態で貯蔵し、100時間後に、前記と同様に、ESRおよび静電容量の測定を行った。その貯蔵期間中に、漏れ電流が500μAを超えたものに関しては、ショート不良(短絡発生不良)とした。その結果を表3および表4に前記表1の場合と同様の態様で示す。ただし、ショート不良に関しては、試験に供した全コンデンサ個数を分母に示し、ショート不良が発生したコンデンサ個数を分子に示す態様で表示した。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
前記の表1および表2に示すように、実施例1〜39の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、巻回型アルミニウム電解コンデンサを簡略化して、「コンデンサ」と表示する場合がある)は、比較例1〜4のコンデンサに比べて、ESRが低かった(つまり、ESRが小さかった)。また、表3および表4に示すように、150℃の恒温槽中に100時間貯蔵後も、実施例1〜39のコンデンサは、高温での貯蔵によるESRの増加が少なく、高温条件下の使用での信頼性が高いことを示していた。
[巻回型アルミニウム電解コンデンサでの評価(2)]
実施例40〜78および比較例5〜8
この実施例40〜78および比較例5〜8では、導電性高分子組成物からなる電解質と電解液とを併用した巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造して、その特性を評価する。
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。
上記コンデンサ素子を実施例40〜78および比較例5〜8用にそれぞれ20個ずつ用意し、それらコンデンサ素子を製造例1〜39および比較製造例1〜4の導電性高分子組成物の分散液にそれぞれ別々に10分間浸漬し、取り出した後、150℃で30分間乾燥した。これらの操作を2回繰り返すことにより導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成した。その後、電解液としての10%アジピン酸トリメチルアミンのエチレングリコール溶液(アジピン酸トリメチルアミンが10%溶解しているエチレングリコール溶液)に上記コンデンサ素子を10分間浸漬し、取り出した後、これを外装材で外装して、実施例40〜78および比較例5〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサを計20個ずつ製造した。
上記のようにして製造した実施例40〜78および比較例5〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、ESRおよび静電容量を測定し、かつ、漏れ電流を測定し、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表5および表6に前記表1の場合と同様の態様で示す。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
また、上記特性評価後の実施例40〜78および比較例5〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(それぞれ10個ずつ)に35Vの定格電圧をかけながら、150℃の恒温槽中に静電状態で貯蔵し、100時間後に、前記と同様に、ESRおよび静電容量の測定を行った。その貯蔵期間中に、漏れ電流が500μAを超えたものに関しては、ショート不良とした。その結果を表7および表8に前記表3の場合と同様の態様で示す。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
前記の表5および表6に示すように、実施例40〜78の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、巻回型アルミニウム電解コンデンサを簡略化して、「コンデンサ」と表示する場合がある)は、比較例5〜8のコンデンサに比べて、ESRが低かった(つまり、ESRが小さかった)。また、表7および表8に示すように、150℃の恒温槽中に100時間貯蔵後も、実施例40〜78のコンデンサは、高温での貯蔵によるESRの増加が少なく、高温条件下の使用での信頼性が高いことを示していた。
[タンタル電解コンデンサでの評価]
実施例79
この実施例79やそれに続く実施例80〜88および比較例9〜12では、タンタル電解コンデンサを製造して、その特性を評価する。
タンタル焼結体を濃度が1%のリン酸水溶液に浸漬した状態で、35Vの電圧を印加することによって化成処理を行い、タンタル焼結体の表面に酸化被膜を形成して誘電体層を構成して、コンデンサ素子を作製した。
上記コンデンサ素子を濃度が35%のエチレンジオキシチオフェン溶液のエタノール溶液に浸漬し、1分後に取り出し、5分間放置した。その後、あらかじめ用意しておいた濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)と濃度が30%の過硫酸アンモニウム水溶液とを質量比1:1で混合した混合物からなる酸化剤兼ドーパント溶液中に浸漬し、30秒後に取り出し、室温で30分間放置した後、50℃で10分間加熱して、重合を行った。重合後、水中に上記コンデンサ素子を浸漬し、30分間放置した後、取り出して70℃で30分間乾燥した。この操作を6回繰り返して、コンデンサ素子上にエチレンジオキシチオフェンの重合体からなるπ共役系高分子にドーパントのフェノールスルホン酸ブチルアミンがドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成した。
上記のようにして、いわゆる「その場重合」による導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成したコンデンサ素子を製造例40で得た導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返した後、150℃で60分間放置して、本発明に係る導電性高分子組成物からなる電解質の層を形成した。その後、カーボンペースト、銀ペーストで上記電解質層を覆ってタンタル電解コンデンサを製造した。
実施例80
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例41の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを作製した。
実施例81
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例42の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例82
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例43の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例83
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例44の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例84
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例45の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例85
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例46の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例86
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例47の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例87
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例48の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例88
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例49の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例89
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例50の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例90
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例51の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例91
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例52の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例92
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例53の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例93
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例54の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例94
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例55の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例95
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例56の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例96
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例57の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例97
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例58の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例98
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例59の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例99
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例60の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例100
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例61の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例101
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例62の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例102
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例63の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例9
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例1の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例10
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例2の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例11
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例3の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例12
製造例40の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例4の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例79と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
上記のように製造した実施例79〜102および比較例9〜12のタンタル電解コンデンサについて、前記と同様に、そのESRおよび静電容量を測定した。その結果を使用した導電性高分子組成物の分散液の種類と共に表9と表10に示す。なお、ESRおよび静電容量の測定においては、いずれの試料も、10個ずつを用い、表9および表10に示すESR値は、それら10個の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものであり、表9および表10に静電容量値は、それら10個の平均値を求め、小終点以下を四捨五入して示したものである。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
また、上記実施例79〜102および比較例9〜12のタンタル電解コンデンサをそれぞれ10個ずつ、125℃で100時間貯蔵した後、前記と同様に、ESRおよび静電容量を測定した。その結果を表11と表12に前記表9と同様の態様で示す。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
前記の表9および表10に示すように、実施例79〜102のタンタル電解コンデンサ(以下、タンタル電解コンデンサを、簡略化して「コンデンサ」と表示する場合がある)は、比較例9〜12のコンデンサに比べて、ESRが低く、コンデンサとしての特性が優れていた。また、表10に示すように、125℃で100時間貯蔵後も、実施例79〜102のコンデンサは、比較例9〜12のコンデンサに比べて、ESRが低かった。そして、実施例79〜102のコンデンサは、高温での貯蔵によるESRの増加も少なく、高温条件下での使用での信頼性が高いことを示していた。
[積層型アルミニウム電解コンデンサでの評価]
実施例103〜124および比較例13〜16
この実施例103〜124および比較例13〜16では、以下に示すように積層型アルミニウム電解コンデンサを製造して、その特性を評価する。
実施例103
縦10mm×横3.3mmのアルミニウムエッチド箔について、縦方向の一方の端から4mmの部分と、他方の端から5mmの部分とに分けるように、上記箔の横方向に幅1mmでポリイミド溶液を塗布し、乾燥した。次に、上記アルミニウムエッチド箔の縦方向の片端(だだし、前記他方の端)から5mmの部分の、該片端から2mmの箇所に、陽極としての銀線を取り付けた。また、上記箔の縦方向の片端(だだし、前記一方の端)から4mmの部分(4mm×3.3mm)を、濃度が10%のアジピン酸アンモニウム水溶液を用いて化成処理を行って誘電体層を形成し、設定静電容量が25μF以上、設定ESRが10mΩ以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、上記コンデンサ素子を製造例1の導電性高分子組成物の分散液に浸漬し、1分後に取り出し、120℃で10分間乾燥する操作を3回繰り返した。その後、酸化防止剤として販売されているテイカトロンKA100(フェノールスルホン酸塩)をエタノールと水を容量比で等量混合した混合液に濃度5%になるように溶解した溶液に上記コンデンサ素子を浸漬し、1分後に取り出し、120℃で5分間乾燥した。その後、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に上記コンデンサ素子を浸漬し、1分後に取り出し、120℃で30分間乾燥した。その後、カーボンペーストおよび銀ペーストで導電性高分子組成物層からなる電解質層を覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例104
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例3の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例105
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例4の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例106
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例5の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例107
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例7の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例108
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例9の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例109
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例13の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例110
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例15の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例111
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例17の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例112
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例18の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例113
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例19の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例114
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例20の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例115
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例21の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例116
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例22の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例117
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例23の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例118
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例25の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例45の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例119
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例29の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例47の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例120
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例31の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例49の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例121
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例33の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例50の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例122
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例34の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例52の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例123
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例35の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例54の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例124
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例37の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、製造例56の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例13
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例1の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例1の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例14
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例2の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例2の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例15
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例3の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例3の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例16
製造例1の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例4の導電性高分子組成物の分散液を用い、かつ、製造例41の導電性高分子組成物の分散液に代えて、比較製造例4の導電性高分子組成物の分散液を用いた以外は、すべて実施例103と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
上記のように製造した実施例103〜124および比較例13〜16の積層型アルミニウム電解コンデンサについて、前記と同様に、そのESRおよび静電容量を測定した。その結果を使用した導電性高分子組成物の分散液の種類と共に表13と表14に示す。ただし、使用した導電性高分子組成物の分散液の表13および表14への表示にあたっては、スペース上の関係で、「導電性高分子組成物の分散液」を簡略化して「分散液」で表示する。また、ESRおよび静電容量の測定においては、いずれの試料も、10個ずつを用い、表13および表14に示すESR値および静電容量値は、それら10個の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものである。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
また、上記実施例103〜124および比較例13〜16の積層型アルミニウム電解コンデンサをそれぞれ10個ずつ、125℃で100時間貯蔵した後、前記と同様に、ESRおよび静電容量を測定した。その結果を表15と表16に前記表13と同様の態様で示す。
Figure 2017045868
Figure 2017045868
前記の表13および表14に示すように、実施例103〜124の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、積層型アルミニウム電解コンデンサを、簡略化して「コンデンサ」と表示する場合がある)は、比較例14〜16のコンデンサに比べて、ESRが低く、コンデンサとしての特性が優れていた。また、実施例103〜124のコンデンサは、表15および表16に示すように、125℃で100時間貯蔵後も、比較例13〜16のコンデンサに比べて、ESRが低く、かつ、高温貯蔵によるESRの増加が少なく、高温条件下の使用での信頼性が高いことを示していた。









Claims (12)

  1. スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
  2. スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
  4. 下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
  5. 下記(I)と(II)と(III)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物を電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
    (III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
  6. 下記(I)と(II)と(III)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物からなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
    (III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
  7. 下記(I)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とを電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
  8. 下記(I)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とからなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
  9. 下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とを電解質として構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
    (III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
  10. 下記(I)と(II)とが、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物と、下記(III)が、チオフェンおよびその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマー成分とするπ共役系高分子にドーピングしてなる導電性高分子組成物とからなる電解質と、電解液とを併用して構成してなることを特徴とする電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
    (III):スルホン化ポリエステルおよびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーアニオン
  11. 前記共重合体のスチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの比率が、質量比で、1:0.01〜0.1:1であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  12. 下記(I)と(II)との比率が、質量比で、1:0.01〜0.1:1であることを特徴とする請求項3、請求項4、請求項9または請求項10記載の電解コンデンサ。
    (I):スチレンスルホン酸と、メタクリル基またはアクリル基とベンゼン環またはテトラヒドロフラン環またはリン酸基とを含む非スルホン酸系重合性モノマーとの共重合体
    (II):ポリスチレンスルホン酸
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