JP5317357B2 - 導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法に関する。また、本発明は、その導電性高分子懸濁水溶液から得られる導電性高分子材料、電解コンデンサおよび電解コンデンサの製造方法に関する。
導電性高分子材料は、コンデンサの電極、色素増感太陽電池などの電極、エレクトロルミネッセンスディスプレイの電極などに用いられている。このような導電性高分子材料としては、ピロール、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アニリンなどを高分子量化したポリマー材料が知られている。
導電性高分子材料を利用した製品としては、固体電解コンデンサが知られている。導電性高分子材料を用いた固体電解コンデンサは、多孔質の弁作用金属を陽極酸化することで、その表面に酸化皮膜を形成し、その上に導電性高分子層を形成する。導電性高分子層は、一般的には、電解重合または化学重合により形成するが、特許文献1および2に記載されているように、導電性高分子懸濁液に多孔質の弁作用金属陽極体を浸漬して、導電性高分子層の一部または全部を形成する方法も知られている。
導電性高分子懸濁液への浸漬により導電性高分子層を形成する方法は、電解重合や化学重合とは異なり導電性高分子層の形成工程での酸化皮膜へのダメージがないため、固体電解コンデンサの漏れ電流が小さい、破壊電圧が高い、高電圧の製品でのESR(等価直列抵抗)が低いといったコンデンサ特性の優位点がある。また、浸漬と乾燥を繰り返す単純な工程で製造できるため、製造時間が短く、管理が容易であり、使用する部材も少ないことから製造コストが安いなど、多くの利点がある。
導電性高分子懸濁液に多孔質弁作用金属陽極体を浸漬して、導電性高分子層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、固体電解コンデンサの特性を向上させるためには、多孔質弁作用金属陽極体の表面から深部まで導電性高分子懸濁液を均一に浸透させる必要がある。従って、良好な導電性高分子層を形成するためには、導電性高分子懸濁液の浸透性を向上させることが重要と言える。
特許文献1では、捲回型アルミニウム電解コンデンサの実施例が示されている。この実施例では、エッチングで多孔質化したアルミニウム化成箔を陽極酸化し、浸透性向上のためフッ素系界面活性剤を添加した導電性高分子懸濁液に浸漬させて、酸化皮膜上に導電性高分子層を形成し、さらにその上に化学重合により導電性高分子層を形成している。この実施例では、導電性高分子懸濁液の溶媒を除去することで、添加されていたフッ素系界面活性剤が導電性高分子と混合状態で残留し、高い耐電圧を有する導電性組成物の層が形成され、コンデンサの破壊電圧が10V程度上昇している。
特許文献2では、アセチレングリコール系界面活性剤であるダイノール604(商品名、Air Products and Chemicals.Inc.社製)を添加した導電性高分子懸濁液を用いた実施例が記載されている。この実施例では、多孔質弁作用金属陽極体としてタンタル粉末焼結体を用いており、それを導電性高分子懸濁液に浸漬させた後、流水ですすいで表面に付着した余分な導電性高分子懸濁液を除去することが記載されている。
特開2001−283655号公報 特表2009−508341号公報
特許文献1に記載された実施例では、ESRの上昇が起こっている可能性が高い。また、全ての導電性高分子層を導電性高分子懸濁液に浸漬する方法で形成すれば、一部を化学重合で形成した上述の実施例と比べ破壊電圧が高く、ほぼ多孔質弁作用金属陽極体を陽極酸化した電圧となり、浸透性を向上させる目的で添加する界面活性剤に耐電圧の効果を求める必要はない。さらに、フッ素系の界面活性剤は、表面張力を低くする能力は高いが、泡が立ちやすいという欠点があるので、浸漬の際に多孔質弁作用金属陽極体の表面に泡が付着し、その部分の導電性高分子懸濁液の浸透性が低下し、特性にバラツキが出る可能性がある。
更にこのような界面活性剤を使用することによって浸透性は向上するため、微粉末を焼結し、化成したタンタル化成皮膜や、予め弁作用金属上に形成された第一の導電性高分子層のようなポーラス状の下地に含浸できるが、導電性高分子懸濁液を浸漬、乾燥すると中に入った導電性高分子が硬化収縮によって下地と剥離を起こし、結果的にESR上昇や容量低下を引き起こす可能性がある。
特許文献2に記載されているアセチレングリコール系界面活性剤は、水溶解性が低く、単独で使用すると効果を得るのが非常に難しい。従って、添加剤の添加量の設計自由度、導電性高分子懸濁液の安定性、特に量産での管理を考慮すると、アセチレングリコール系界面活性剤を単独で使用することは難しい。
また、流水ですすぐ方法では、導電性高分子懸濁液は十分に除去されていない可能性が高い。十分に除去されない状態で、浸漬、乾燥を繰り返すと、タンタル粉末焼結体表面で導電性高分子の目詰まりが起こり、タンタル粉末焼結体への浸透性が低下し、深部に十分に導電性高分子層が形成されない可能性がある。
更に、このような界面活性剤で浸透性は向上するため、微粉末を焼結し、化成したタンタル化成皮膜や、予め弁作用金属上に形成された第一の導電性高分子層のようなポーラス状の下地に含浸できるが、導電性高分子懸濁液を浸漬、乾燥すると中に入った導電性高分子が硬化収縮によって下地と剥離を起こし、結果的にESR上昇や容量低下を引き起こす可能性がある。
したがって、本発明は、浸透性が高く、下地との密着性を改善した導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法を提供することを目的とする。また、静電容量が高く、ESRが低い固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液は、導電性高分子と、カチオン系界面活性剤とを有し、
前記カチオン系界面活性剤は、下記一般式(a)、(b)で表される第4級アンモニウム塩であり、
(R (CH N) (a)
(R (CH N) (b)
(式中R およびR は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状あるいは分岐状アルキル基を示し、Xは1価の陰イオンを示す)
前記1価の陰イオンは、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン、リン酸イオンから選ばれる1種以上であ
ことを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液は、前記カチオン系界面活性剤の濃度が、0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液は、前記導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体であることを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液の製造方法は、ドーパントとしての有機酸を含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマーを、酸化剤を用いて化学酸化重合させて、前記導電性高分子を含む混合物を得る第一の工程と、前記混合物から前記導電性高分子を回収する第二の工程と、ポリ酸を含む水系溶媒中で、前記導電性高分子に酸化剤を作用させる第三の工程と、前記第三の工程で得られた懸濁水溶液に、カチオン系界面活性剤を混合する第四の工程とを有し、
前記カチオン系界面活性剤は、下記一般式(a)、(b)で表される第4級アンモニウム塩であり、
(R (CH N) (a)
(R (CH N) (b)
(式中R およびR は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状あるいは分岐状アルキル基を示し、Xは1価の陰イオンを示す)
前記1価の陰イオンは、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン、リン酸イオンから選ばれる1種以上であることを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液の製造方法は、前記カチオン系界面活性剤の濃度が、0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液の製造方法は、前記導電性高分子を与えるモノマーが、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体であることを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子懸濁水溶液は、前記製造方法によって得られることを特徴とする。
本発明に係る導電性高分子材料は、前記製造方法によって得られる導電性高分子懸濁水溶液を乾燥して、溶媒を除去したものであることを特徴とする。
本発明に係る電解コンデンサは、前記製造方法によって得られる導電性高分子懸濁水溶液、または前記導電性高分子材料を含む固体電解質層を有することを特徴とする。
本発明に係る電解コンデンサは、弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成されている誘電体層とを有し、前記誘電体層上に、前記固体電解質層が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る電解コンデンサは、前記誘電体層上に形成されている前記固体電解質層を構成する第一の導電性高分子化合物層を有し、前記第一の導電性高分子化合物層の上に、第二の導電性高分子化合物層が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る電解コンデンサは、前記弁作用金属が、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明に係る電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に、前記導電性高分子懸濁水溶液を塗布または含浸し、固体電解質層を形成する工程を有することを特徴とする。
このようにして形成された固体電解質層は上記タンタル酸化皮膜のような下地との密着性が向上する。そのメカニズムとしては、例えばタンタル酸化皮膜のようにマイナスの電荷を持っている下地に対し、上記導電性高分子懸濁水溶液にはカチオン系界面活性剤が添加され、分散された導電性高分子の余剰ドーパントが持っているマイナスの電荷を打ち消し、更に導電性高分子懸濁水溶液中で溶解したカチオン系界面活性剤は疎水基がミセルを形成し、親水基であるカチオンが外側にプラスの電荷を与えるためと考えられる。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に形成する固体電解質層を構成する第一の導電性高分子化合物層を、前記第一の導電性高分子化合物層を与えるモノマーの化学酸化重合または電解重合により形成する工程と、前記第一の導電性高分子化合物層上に、前記導電性高分子懸濁水溶液を塗布または含浸し、第二の導電性高分子化合物層を形成する工程とを有することを特徴とする。
このようにして形成された固体電解質層は例えば下地となる上記第一の導電性高分子化合物層との密着性が向上する。そのメカニズムとしては上記第一の導電性高分子化合物層が持っている余剰なアニオンに対し、上記導電性高分子懸濁水溶液にはカチオン系界面活性剤が添加され、分散された導電性高分子の余剰ドーパントが持っているマイナスの電荷を打ち消し、更に導電性高分子懸濁水溶液中で溶解したカチオン系界面活性剤は疎水基がミセルを形成し、親水基であるカチオンが外側にプラスの電荷を与えるためと考えられる。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、前記第一の導電性高分子化合物が、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含むことを特徴とする。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、前記弁作用金属が、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の導電性高分子懸濁水溶液では、カチオン系界面活性剤を添加することにより、下地との密着性を向上させる作用を持ち、被覆率およびESRを改善することから、カチオン系界面活性剤の濃度が、0.01質量%以上10質量%以下であることであることが好ましい。
本発明によれば、浸透性が高く、下地との密着性に優れた導電性高分子懸濁水溶液を提供することにより、静電容量が高く、ESRが低い固体電解コンデンサを提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法、その懸濁水溶液から得られる導電性高分子材料、電解コンデンサおよび電解コンデンサの製造方法について、詳細に説明する。
<導電性高分子懸濁水溶液>
本発明の実施形態に係る導電性高分子懸濁水溶液は、導電性高分子と、カチオン系界面活性剤とを有する。導電性高分子懸濁水溶液が含有する導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびそれらの誘導体が挙げられる。なかでも、下記式(1)で示される構造単位を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体が好ましい。導電性高分子は、ホモポリマーでもよく、コポリマーでもよく、1種でもよく、2種以上でもよい。
Figure 0005317357
導電性高分子懸濁水溶液における導電性高分子の含有量は、溶媒である水100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。
導電性高分子懸濁水溶液が含有するカチオン系界面活性剤としては、例えば、親水基の構造が長鎖アミン塩(動・植物脂肪酸、トール酸由来の1級アミン、合成の高級アミン類)や長鎖ジアミン、長鎖ポリアミン塩、あるいは4級アンモニウム塩(1鎖および2鎖型テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩)またはポリオキシエチレン長鎖アミン、ポリオキシエチレン長鎖4級アンモニウム塩、あるいは上記カチオン基を有するコポリマーやオリゴマー、ポリマーから選ばれる少なくとも1種類、あるいはその混合物を用いることができるが、中でも下記一般式(a)、(b)で表される第4級アンモニウム塩が好ましい
(R(CHN) (a)
(R(CHN) (b)
(式中R およびRは、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状あるいは分岐状アルキル基を示し、Xは1価の陰イオンを示す)
前記一般式(a)及び(b)におけるR及びRは、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
一般式(a)及び(b)におけるXは、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン、リン酸イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては近年のハロゲンフリー化に伴い、水酸化物イオンやリン酸イオン、硫酸化物イオン、硝酸化物イオンが好まれる。
一般式(a)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、水酸化ブチルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化デシルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ステアリルトリメチルアンモニウム、硝酸化ブチルトリメチルアンモニウム、硝酸化ヘキシルトリメチルアンモニウム、硝酸化オクチルトリメチルアンモニウム、硝酸化デシルトリメチルアンモニウム、硝酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、硝酸化テトラデシルトリメチルアンモニウム、硝酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、硝酸化ステアリルトリメチルアンモニウム、硫酸化ブチルトリメチルアンモニウム、硫酸化ヘキシルトリメチルアンモニウム、硫酸化オクチルトリメチルアンモニウム、硫酸化デシルトリメチルアンモニウム、硫酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、硫酸化テトラデシルトリメチルアンモニウム、硫酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、硫酸化ステアリルトリメチルアンモニウム、リン酸ブチルトリメチルアンモニウム、リン酸ヘキシルトリメチルアンモニウム、リン酸オクチルトリメチルアンモニウム、リン酸デシルトリメチルアンモニウム、リン酸ドデシルトリメチルアンモニウム、リン酸テトラデシルトリメチルアンモニウム、リン酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、リン酸ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
一般式(b)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、水酸化ジブチルジメチルアンモニウム、水酸化ジヘキシルジメチルアンモニウム、水酸化ジオクチルジメチルアンモニウム、硝酸化ジヘキシルジメチルアンモニウム、硝酸化ジオクチルジメチルアンモニウム、硝酸化ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、硝酸化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、硫酸化ジヘキシルジメチルアンモニウム、硫酸化ジオクチルジメチルアンモニウム、硫酸化ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、硫酸化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、リン酸ジヘキシルジメチルアンモニウム、リン酸ジオクチルジメチルアンモニウム、リン酸ジドデシルジメチルアンモニウム、リン酸ジテトラデシルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
導電性高分子懸濁水溶液におけるカチオン系界面活性剤の含有量は、適宜決定されてよいが、密着性を向上させる作用を持ち、ESRの改善することからカチオン系界面活性剤の濃度は0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%〜1.0質量%であることがより好ましい。
導電性高分子懸濁水溶液は、さらに、アセチレンアルコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、サクシネート系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、あるいは自己乳化型アセチレングリコール系界面活性剤等の他の界面活性剤の1種または2種以上を含有していてもよい。
導電性高分子懸濁水溶液は、さらに、ポリ酸を含有することが好ましい。ポリ酸としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸;ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸;およびこれらの構造単位を有する共重合体が挙げられる。なかでも、下記(2)で示される構造単位を有するポリスチレンスルホン酸が好ましい。ポリ酸は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005317357
ポリ酸の重量平均分子量は、2,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜200,000であることがより好ましい。
導電性高分子懸濁水溶液におけるポリ酸の含有量は、導電性高分子100質量部に対して20〜3,000質量部であることが好ましく、30〜1,000質量部であることがより好ましい。
導電性高分子懸濁水溶液は、さらに、結着作用を有する樹脂を含有していてもよい。結着作用を有する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。結着作用を有する樹脂の含有量は、導電性を損なわない観点から、導電性高分子懸濁水溶液100質量%に対して0.01質量%〜20質量%が好ましい。
<導電性高分子懸濁水溶液の製造方法>
本発明の実施形態に係る導電性高分子懸濁水溶液の製造方法は、以下の工程を有する。
(第一の工程)
本実施形態では、まず、ドーパントとしての有機酸またはその塩を含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマーを、酸化剤を用いて化学酸化重合させて、導電性高分子を含む混合物を得る。
ドーパントとしては、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸およびそれらの誘導体等、ならびにそれらの鉄(III)等の塩が挙げられる。これらのスルホン酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。アルキルスルホン酸の誘導体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。ベンゼンスルホン酸の誘導体としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸が挙げられる。アントラキノンスルホン酸の誘導体としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸が挙げられる。
なかでも、重合物の高結晶化への影響が大きいことから、カンファースルホン酸が好ましい。カンファースルホン酸は、光学活性体でもよい。ドーパントは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ドーパントの使用量は、過剰であっても第二の工程で除去することが可能なため、特に制限はないが、モノマー1質量部に対して1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
溶媒は、水でも有機溶媒でも水混和有機溶媒でもよく、モノマーとの相溶性が良好な溶媒を選定することが好ましく、ドーパントおよび酸化剤との相溶性もよい溶媒を選定することが特に好ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の非プロトン性溶媒が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、エタノールまたはエタノールと水との混合溶媒が好ましい。
導電性高分子を与えるモノマーは、目的とする導電性高分子に応じて選択すればよい。モノマーは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリピロールおよびその誘導体は、対応するピロールまたはピロールの誘導体を重合して得られる。ピロールの誘導体としては、3−ヘキシルピロール等の3−アルキルピロール、3,4−ジヘキシルピロール等の3,4−ジアルキルピロール、3−メトキシピロール等の3−アルコキシピロール、3,4−ジメトキシピロール等の3,4−ジメトキシピロールが挙げられる。
ポリチオフェンおよびその誘導体は、対応するチオフェンまたはチオフェンの誘導体を重合して得られる。チオフェンの誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体、3−ヘキシルチオフェン等の3−アルキルチオフェン、3−メトキシチオフェン等の3−アルコキシチオフェンが挙げられる。3,4−エチレンジオキシチオフェンの誘導体としては、3,4−(1−ヘキシル)エチレンジオキシチオフェン等の3,4−(1−アルキル)エチレンジオキシチオフェンが挙げられる。
ポリアニリンおよびその誘導体は、対応するアニリンまたはアニリンの誘導体を重合して得られる。アニリンの誘導体としては、2−メチルアニリン等の2−アルキルアニリン、2−メトキシアニリン等の2−アルコキシアニリンが挙げられる。
なかでも、下記式(3)で示されるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体が好ましい。
Figure 0005317357
溶媒中のモノマーの濃度は、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
酸化剤としては、特に制限はなく、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和物(n=1,6)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II)塩;テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素;p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩を用いることができる。なかでも、無機酸もしくは有機酸の鉄塩(III)、または過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウムまたはp−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ましく、ドーパントを兼ねる性質を有していることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)がさらに好ましい。
酸化剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化剤の使用量は、過剰であっても第二の工程で除去することが可能なため、特に制限はないが、より穏やかな酸化雰囲気で反応させて高導電率の重合体を得るため、モノマー1質量部に対して0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
化学酸化重合の反応温度は、特に限定されないが、一般的には、使用する溶媒の還流温度付近であり、0〜100℃が好ましく、3〜50℃がより好ましい。反応温度が、適正でないと導電性が損なわれる可能性がある。
化学酸化重合の反応時間は、酸化剤の種類および投入量、反応温度、攪拌条件などに依存するが、5〜100時間程度である。
第一の工程は、界面活性作用を有する物質の存在下で行うことが好ましい。界面活性作用を有する物質としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤を用いることができ、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリエチレングリコールなどが好適である。
界面活性作用を有する物質は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(第二の工程)
本実施形態では、第一の工程で得られた混合物から導電性高分子を回収する。具体的には、化学酸化重合して得られた導電性高分子を含む反応液から、導電性高分子を分離・洗浄することで、ドーパント、未反応モノマー、酸化剤由来の残留金属イオンおよびアニオンを除去する。反応液から導電性高分子を分離する方法としては、ろ過法、遠心分離法などが挙げられる。
洗浄溶媒は、導電性高分子を溶解することなく、モノマーおよび/または酸化剤を溶解可能な溶媒を用いて行うことが好ましい。洗浄溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。洗浄溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。洗浄の程度は、洗浄後の洗浄溶媒のpH測定や比色観察を行うことにより、確認することができる。
さらに、酸化剤由来の金属成分をより高度に除去することができることから、導電性高分子を熱水洗浄および/または熱処理することが好ましい。熱処理の温度は、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃未満で行うことが好ましい。また、イオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を行うことも、酸化剤由来の金属イオンやアニオンを除去する方法として有効である。
導電性高分子に含まれる不純物は、ICP発光分析やイオンクロマトグラフィーなどにより定量可能である。
(第三の工程)
本実施形態では、ポリ酸を含む水系溶媒中で、第二の工程で回収された導電性高分子に酸化剤を作用させる。ポリ酸としては、前述のポリ酸を用いることができる。なかでも、ポリスチレンスルホン酸が好ましい。ポリ酸の重量平均分子量は、2,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜200,000であることがより好ましい。
ポリ酸の使用量は、第二の工程で得られた導電性高分子100質量部に対して20〜3,000質量部であることが好ましく、30〜1,000質量部であることがより好ましい。
酸化剤としては、第一の工程で用いる酸化剤と同様のものを用いることができ、なかでも、過硫酸アンモニウムまたは過酸化水素が好ましい。酸化剤の使用量は、第二の工程で得られた導電性高分子100質量部に対して10〜500質量部が好ましく、50〜300質量部がより好ましい。
水系溶媒としては、水が好ましいが、水溶性の有機溶媒を加えてもなんら問題ない。
第三の工程での反応温度は、特に限定されないが、0〜100℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。反応時間は、特に制限されないが、5〜100時間程度である。また、第三の工程後に、前述したイオン交換処理を施すことが好ましい。
(第四の工程)
本実施形態では、第三の工程で得られた懸濁水溶液に、カチオン系界面活性剤を混合する。カチオン系界面活性剤としては、前述のカチオン系界面活性剤を用いることができる。さらに、アセチレンアルコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、サクシネート系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、自己乳化型アセチレングリコール系界面活性剤等の他の界面活性剤の1種または2種以上を混合してもよい。
第四の工程後、結着作用を有する樹脂を混合してもよい。結着作用を有する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。結着作用を有する樹脂の混合量は、導電性を損なわない観点から、導電性高分子懸濁水溶液100質量%に対して、0.01〜20質量%となる量が好ましい。
<導電性高分子材料>
本実施形態に係る導電性高分子材料は、上記の導電性高分子懸濁水溶液を乾燥して、溶媒を除去したものである。溶媒を除去するための乾燥温度は、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃以下が好ましい。
<電解コンデンサおよび電解コンデンサの製造方法>
本実施形態に係る電解コンデンサは、上記の導電性高分子懸濁水溶液または導電性有機材料を含む電解質層を有する。電解質層は固体状であることが好ましく、この場合には固体電解コンデンサとなる。本実施形態に係る固体電解コンデンサは、その固体電解質層と誘電体との密着性が強いため、リフロー工程など加熱冷却工程において上記固体電解質層の収縮による誘電体との剥離が抑制され、固体電解コンデンサの特性のバラツキや劣化が起こり難くなる。
図1に、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を示す模式的断面図を示す。この固体電解コンデンサは、陽極導体1上に、誘電体層2、固体電解質層3および陰極導体層4がこの順に形成された構造を有している。
陽極導体1は、弁作用金属の板、箔または線;弁作用金属の微粒子からなる焼結体;エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成される。弁作用金属としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらの合金などが挙げられる。なかでも、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少なくとも1種の弁作用金属であることが好ましい。
誘電体層2は、陽極導体1の表面を陽極酸化させることで形成することができる層であり、焼結体や多孔質体などの空孔部にも形成される。誘電体層2の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
固体電解質層3は、上記の導電性高分子懸濁水溶液または導電性有機材料を含む。固体電解質層3は、単層構造でもよいが、多層構造でもよい。図1に示す固体電解コンデンサでは、固体電解質層3が、第一の導電性高分子化合物層3Aおよび第二の導電性高分子化合物層3Bからなる。第一の導電性高分子化合物層3Aに含まれる第一の導電性高分子と、第二の導電性高分子化合物層3Bに含まれる第二の導電性高分子は、同一種の重合体であることが好ましい。
固体電解質層3は、さらに、ピロール、チオフェン、アニリンまたはその誘導体を重合して得られる導電性重合体;二酸化マンガン、酸化ルテニウムなどの酸化物誘導体;TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンコンプレックス塩)などの有機物半導体を含んでいてもよい。
固体電解質層3の形成方法としては、誘電体層2上に、前述の導電性高分子懸濁水溶液を塗布または含浸し、その導電性高分子懸濁水溶液から溶媒を除去する方法が挙げられる。また、図1に示す固体電解コンデンサにおける固体電解質層3は、誘電体層上に、第一の導電性高分子化合物を与えるモノマーの化学酸化重合または電解重合により、第一の導電性高分子化合物層3Aを形成し、その第一の導電性高分子化合物層3A上に、上記の導電性高分子懸濁水溶液を塗布または含浸し、第二の導電性高分子化合物層3Bを形成することもできる。
第一の導電性高分子化合物層3Aを与えるモノマーとしては、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。このモノマーを化学酸化重合または電解重合して、第一の導電性高分子化合物を得る際に使用するドーパントとしては、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその誘導体等のスルホン酸系化合物が好ましい。
ドーパントの分子量としては、低分子化合物から高分子量体まで適宜選択して用いることができる。溶媒としては、水のみでもよく、水と水に可溶な有機溶媒とを含む混和溶媒でもよい。
塗布または含浸の方法としては、特に制限はされないが、十分に多孔質細孔内部へ導電性高分子懸濁水溶液を充填させるために、塗布または含浸後に数分〜数10分間放置することが好ましい。浸漬の繰り返しや、減圧方式または加圧方式が好ましい。
第一の導電性高分子化合物層3Aは、上記のような化学酸化重合や電解重合による層を設けず、上記導電性高分子懸濁水溶液の浸漬、乾燥を繰り返して形成される層のみでも良い。
また、表面に誘電体層2が形成された陽極導体1を導電性高分子懸濁水溶液に浸漬させ、引き上げた後、表面に付着した余分な導電性高分子懸濁水溶液を除去することが好ましい。この除去により、表面の目詰まりを抑制することができるので、誘電体層2が形成された陽極導体1の深部まで十分に導電性高分子化合物層を形成することができる。
その結果、得られる固体電解コンデンサの静電容量が高くなり、ESRが低くなる。余分な導電性高分子懸濁水溶液の除去は、筆、刷毛、ゴム、圧縮空気等を用いて行うことができる。
導電性高分子懸濁水溶液からの溶媒の除去は、導電性高分子を乾燥することで行うことができる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、熱による素子劣化防止の観点から、上限温度は300℃未満であることが好ましい。
乾燥時間は、乾燥温度によって適宜最適化する必要があるが、導電性が損なわれない範囲であれば特に制限されない。
陰極導体層4は、導体であれば特に限定されないが、例えば、グラファイトなどのカーボン層(図示せず)と、銀導電性樹脂(図示せず)とからなる2層構造とすることができる。
以下、本実施形態を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
<ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製>
次に、以下の手順で、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を作製した。
(第一の工程)
モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェン(10g)と、ドーパントであるカンファースルホン酸(10g)と、酸化剤およびドーパントとして機能するp−トルエンスルホン酸鉄(III)(90g)とを、溶媒としてのエタノール(300ml)に溶解させた。得られた溶液を室温下で24時間攪拌して、モノマーの酸化重合を行った。このとき、溶液は黄色から濃青色へと変化した。
(第二の工程)
第一の工程で得られた混合液を減圧ろ過装置でろ過して、粉末を回収した。得られた粉末を純水で洗浄して、過剰の酸化剤・ドーパントを除去した。純水による洗浄は、ろ液のpHが6〜7になるまで繰り返し行った。ろ液のpHが6〜7になった後、さらに、エタノールで洗浄して、モノマー、酸化剤および反応後の酸化剤(p−トルエンスルホン酸鉄(II))を除去した。エタノールによる洗浄は、ろ液の色が無色透明になるまで行った。
(第三の工程)
第二の工程で洗浄された粉末(5g)を水(500ml)中に分散させた後、ポリ酸としてのポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:50,000)の20質量%水溶液(33g)を添加した。この混合液に、さらに酸化剤としての過硫酸アンモニウム(15g)を加えて、室温下で24時間攪拌した。得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液は濃青色であった。
(第四の工程)
第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(495g)に、カチオン系界面活性剤(本実施例ではアルキルリン酸ジドデシルジメチルアンモニウムを使用した)を5g、1.0質量%添加した。
<固体電解コンデンサの製造>
次に、第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を用いて、固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子の陰極導体の寸法は縦4.4mm、横3.5mm、厚み0.9mmとし、固体電解コンデンサの製品形状は縦7.3mm、横4.3mm、高さ1.9mmとした。作製個数は30個とした。
まず、弁作用金属からなる陽極導体1として、陽極ワイヤ(図示せず)を金型から突出するように配置し、金型内にタンタル等の弁作用金属の粉末を充填し、加圧成型し、焼結して陽極導体1を形成する。次に、この陽極導体1の周面に誘電体層2を形成する。具体的には、硫酸や硝酸、リン酸、アジピン酸等の酸溶液に陽極引出部が突出した陽極導体1を浸漬し、陽極酸化反応により誘電体層2を形成する。
次いで固体電解質層3を形成する。第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に、上記誘電体層2を形成した陽極導体1を5分間浸漬させ、引き上げた後、上記陽極導体1表面を純水で水洗し、125℃で15分間乾燥することで、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を固化させ、定着させた。この工程を8回繰り返し、その後、本乾燥として180℃で30分間乾燥して、第一の導電性高分子化合物層3Aを形成した。さらに、第一の導電性高分子層3Aの上に、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を塗布し、85℃で30分間乾燥させた後、180℃で30分間の本乾燥を行い、第二の導電性高分子化合物層3Bを形成し、固体電解質層3とした。
そして、固体電解質層3の上に、グラファイト層(図示せず)および銀含有樹脂層(図示せず)を順番に形成して陰極導体層4とし、固体電解コンデンサを製造した。
(実施例2)
固体電解コンデンサの製造において、第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に誘電体層2を形成した陽極導体1を浸漬させ、引き上げた後、陽極導体1表面に付着したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴を筆で除去した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例3)
固体電解コンデンサの製造において、第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に誘電体層2を形成した陽極導体1を浸漬させた後、陽極導体1の陰極部(誘電体層2の表面に固体電解質層3や陰極導体層4が形成される部分)の上部をシリコンゴムで軽くはさみ、シリコンゴムの位置を固定した上で、陽極導体1のみを引き上げることで、陽極導体1の陰極部の表面に付着したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴を除去し、その液滴をポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液が入った浸漬槽に戻したこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例4)
固体電解コンデンサの製造において、第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に誘電体層2を形成した陽極導体1を浸漬させ、引き上げた後、陽極導体1表面に付着したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴を圧縮空気で除去した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例5)
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製における第四の工程で、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(475g)に、カチオン系界面活性剤(25g、5.0質量%)を添加した以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例6)
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製における第四の工程で、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(497.5g)に、カチオン系界面活性剤(2.5g、0.5質量%)を添加した以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例7)
第一の導電性高分子層3Aを以下の方法で形成した以外は、実施例3と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。誘電体層2を形成した陽極導体1を3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと、p−トルエンスルホン酸鉄をエタノール溶媒中に溶解させた酸化剤液に交互に浸漬、乾燥を繰り返して第一の導電性高分子層3Aの一部を形成した。
この処理をした陽極導体1を、実施例1の第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に5分間浸漬させた後、引き上げながら、シリコンゴムで表面に付着したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴を除去し、125℃で15分間熱風乾燥し、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を固化、定着させる工程を4回繰り返し、その後、本乾燥として180℃で30分間乾燥して残部を形成した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例8)
モノマーとしてピロールを用いて第一の導電性高分子層3Aの一部を形成した以外は、実施例7と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例9)
モノマーとしてアニリンを用いて第一の導電性高分子層3Aの一部を形成した以外は、実施例7と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例10)
本実施例では固体電解コンデンサの製造において、陽極導体にアルミニウム化成箔を用いた。エッチング及び酸化皮膜を形成したアルミニウム箔の所定の位置に陽陰極遮断のためのレジストを具備し、陰極部になる部分に実施例7と同様の条件で第一の導電性高分子層3Aを形成し、その後は実施例3と同様にして、アルミ固体電解コンデンサを作成した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例11)
固体電解コンデンサの製造において、実施例10の中で用いるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液が第三の工程で得られたものとし、それ以外は実施例10と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例10と同じとした。
(実施例12)
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製における第四の工程で、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(497.5g)に、カチオン系界面活性剤(0.05g、0.01質量%)を添加した以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例13)
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製における第四の工程で、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(497.5g)に、カチオン系界面活性剤(49.75g、10質量%)を添加した以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(実施例14)
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製における第四の工程で、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(497.5g)に、カチオン系界面活性剤(59.7g、12質量%)を添加した以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(比較例1)
固体電解コンデンサの製造において、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を用いて導電性高分子層3Aを形成した以外は、実施例3と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。したがって、カチオン系界面活性剤は無添加である。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(比較例2)
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の作製における第四の工程で、第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液(499g)に、フッ素系界面活性剤のパ−フルオロアルキルリン酸エステル(1g、0.2質量%)を添加した以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを製造した。尚、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの形状、寸法、作製数は実施例1と同じとした。
(評価)
<フィルムの密着性>
密着性評価試験はJISK6854−1(接着剤―はく離接着強さ試験方法―第1部:90度はく離)に準じて行った。詳細は以下の通りである。
実施例1、5、6、12、13,14及び比較例2では、第四の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を、比較例1では第三の工程で得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を、それぞれ0.1vol%のリン酸水溶液中で50V化成し、酸化皮膜を形成したタンタル板(厚み1.5mm)上に適量(本実験では2mlとした)滴下し、125℃で30分間乾燥してフィルムを作製し、その上面25mm×150mmに100μm厚みの接着剤を形成し、たわみ性被着体(25mm×300mm×0.5mm)接着させ、その後接着していない部分について90°に曲げたたわみ性被着体を毎分50mmにて上昇させ、化成したタンタル板とフィルムの密着性をそれぞれ5個ずつ測定した。得られた実施例1の結果(剥離強度の平均値)を1とし、得られた実施例5、6、12、13,14及び比較例1、2の結果(共に剥離強度の平均値)との比を表1に示した。
カチオン系界面活性剤を添加していないポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液である比較例1とフッ素系界面活性剤を添加したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液である比較例2のフィルムに比べ、カチオン系界面活性剤を添加したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液はタンタル化成皮膜との密着性に優れていることが分かる。
<固体電解コンデンサの評価>
実施例1〜14および比較例1、2において作製していた固体電解コンデンサを使用しLCRメーターを用いて、120Hzの静電容量と100kHzのESRの平均値を算出し、静電容量を理論静電容量で割った被覆率を算出した。被覆率とESRの結果を表1に示す。なお、この被覆率は、誘電体層2となる酸化皮膜上を固体電解質層3が被覆している割合と見なしてよい。
また、実施例1〜4は、タンタル陽極体をポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に浸漬させ、引き上げた後、タンタル陽極体表面に付着している液滴の処理方法の影響を比較したものである。
実施例1では、引き上げ後に純水で水洗したが、表1の結果から分かるように、実施例2〜3と比較して被覆率は低く、ESRは高かった。これは、タンタル陽極体表面に付着しているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴が十分に除去されず、タンタル陽極体表面に導電性高分子化合物の固形成分が残ってしまい、2回目以降の浸漬により、タンタル陽極体深部にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液が染み込み難くなったためと考えられる。
それに対し、実施例2および3では、筆またはシリコンゴムを使用した除去を行ったため、タンタル陽極体表面に付着しているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴を十分に除去でき、実施例1と比較し被覆率は高く、ESRは低くなったと考えられる。
また、圧縮空気を使用した除去を行った実施例4では、実施例1とほぼ、同等であり、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の液滴を除去できているものの、実施例2および3に比べて除去が十分ではなかったと考えられる。
さらに、実施例3の方法は、実施例2の方法と比較して、製造時間が短く、アルミニウム化成箔を引き上げる際に、表面に付着した液滴をポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の浸漬槽に戻すことができ、コストの削減になる。実際に、実施例3の方法では、実施例2の方法と比較して、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の使用量がおおよそ半分であった。
実施例3ならびに比較例1、2は、添加剤の有無と種類の影響を比較したものである。表1の結果から分かるように、比較例1では、被覆率は50%程度と低く、ESRは高く、これは、浸透性及び密着性の向上を図れるカチオン系界面活性剤を添加していないためと考えられる。なお、フッ素系界面活性剤を用いた比較例2では、比較例1に比べて、被覆率は若干高いが、カチオン系界面活性剤を添加した実施例3と比較すると劣っている。これは、フッ素系界面活性剤は、表面張力を低下させる能力は高いものの、タンタル化成皮膜との密着性に乏しく、硬化時に剥離が発生していると考えられる。
実施例1、5、6、12、13,14および比較例1はカチオン系界面活性剤の添加量の影響の比較をしたものである。静電容量の出現の度合いを示す被覆率は実施例12の添加量が0.01質量%から70%を越え、実施例13の10質量%でも70%以上を得ている。また、ESRはカチオン系界面活性剤の添加量が0.5質量%から10質量%では10%台を得ており、0.01質量%と10質量%でも20%台を維持していることが判る。これらよりカチオン系界面活性剤の添加量は0.01〜10質量%が適していると考えられ、0.5〜1.0質量%がより適していると考えられる。
実施例7、8および9では、誘電体層2が具備されたタンタル陽極導体1に、あらかじめ、それぞれポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリンの導電性高分子層を形成しているが、他の実施例および比較例に比べて、被覆率が高く良好であった。
一方、ESRは、実施例7では良好であったが、実施例8、9では若干高くなった。実施例8については、化学重合後の漏れ電流を抑制するための導電性高分子の絶縁化処理で、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を使用した場合に比べ、ポリピロールを使用した場合に、ESRが大きくなるためと考えられる。また、実施例9についてはポリアニリンの導電率がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)やポリピロールに比べて低いため、ESRが大きくなったと考えられる。
実施例10、11では、タンタル粉末焼結体の代わりにアルミ化成箔を用いてカチオン系界面活性剤の効果を確認したが、カチオン系界面活性剤により被覆率の向上、ESRの低下が見られた。これはあらかじめ第一の導電性高分子層とポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を浸漬、硬化してできる第一の導電性高分子層残部との密着性が改善され、更に浸透性も向上したためと考えられる。
Figure 0005317357
・カチオン系界面活性剤添加量(質量%)とはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に対するカチオン系界面活性剤の添加量(濃度)である。
・実施例1〜14はカチオン系界面活性剤を添加している。
・比較例1は界面活性剤を添加していない。
・比較例2はフッ素系界面活性剤を添加している。
以上のように、導電性高分子懸濁水溶液にカチオン系界面活性剤を含有させることで、浸透性及び密着性を高めることができる。さらに、陽極酸化により酸化皮膜を形成した多孔質弁作用金属陽極体を上記の導電性高分子懸濁水溶液に浸漬して導電性高分子層を形成することで、静電容量が高く、ESRが低い固体電解コンデンサが得られる。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
1 陽極導体
2 誘電体層
3 固体電解質層
3A 第一の導電性高分子化合物層
3B 第二の導電性高分子化合物層
4 陰極導体層

Claims (16)

  1. 導電性高分子と、カチオン系界面活性剤とを含有し、
    前記カチオン系界面活性剤は、下記一般式(a)、(b)で表される第4級アンモニウム塩であり、
    (R (CH N) (a)
    (R (CH N) (b)
    (式中R およびR は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状あるいは分岐状アルキル基を示し、Xは1価の陰イオンを示す)
    前記1価の陰イオンは、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン、リン酸イオンから選ばれる1種以上であ
    ことを特徴とする導電性高分子懸濁水溶液。
  2. 前記カチオン系界面活性剤の濃度が、0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子懸濁水溶液。
  3. 前記導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性高分子懸濁水溶液。
  4. ドーパントとしての有機酸を含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマーを、酸化剤を用いて化学酸化重合させて、前記導電性高分子を含む混合物を得る第一の工程と、前記混合物から前記導電性高分子を回収する第二の工程と、ポリ酸を含む水系溶媒中で、前記導電性高分子に酸化剤を作用させる第三の工程と、前記第三の工程で得られた懸濁水溶液に、カチオン系界面活性剤を混合する第四の工程とを有し、
    前記カチオン系界面活性剤は、下記一般式(a)、(b)で表される第4級アンモニウム塩であり、
    (R (CH N) (a)
    (R (CH N) (b)
    (式中R およびR は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状あるいは分岐状アルキル基を示し、Xは1価の陰イオンを示す)
    前記1価の陰イオンは、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン、リン酸イオンから選ばれる1種以上であることを特徴とする導電性高分子懸濁水溶液の製造方法。
  5. 前記カチオン系界面活性剤の濃度が、0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項に記載の導電性高分子懸濁水溶液の製造方法。
  6. 前記導電性高分子を与えるモノマーが、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体であることを特徴とする請求項4または5に記載の導電性高分子懸濁水溶液の製造方法。
  7. 請求項のいずれか1項に記載の方法によって得られることを特徴とする導電性高分子懸濁水溶液。
  8. 請求項1〜3、7のいずれか1項に記載の導電性高分子懸濁水溶液を乾燥して、溶媒を除去したものであることを特徴とする導電性高分子材料。
  9. 請求項1〜3、7のいずれか1項に記載の導電性高分子懸濁水溶液、または請求項に記載の導電性高分子材料を固体電解質として含むことを特徴とする電解コンデンサ。
  10. 弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成されている誘電体層とを有し、前記誘電体層上に、固体電解質層が形成されていることを特徴とする請求項に記載の電解コンデンサ。
  11. 前記誘電体層上に形成されている前記固体電解質層を構成する第一の導電性高分子化合物層を有し、前記第一の導電性高分子化合物層の上に、第二の導電性高分子化合物層が形成されていることを特徴とする請求項に記載の電解コンデンサ。
  12. 前記弁作用金属が、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項10または11に記載の電解コンデンサ。
  13. 弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に、請求項1〜3、7のいずれか1項に記載の導電性高分子懸濁水溶液を塗布または含浸し、固体電解質層を形成する工程を有することを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  14. 弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に形成する固体電解質層を構成する第一の導電性高分子化合物層を、前記第一の導電性高分子化合物層を与えるモノマーの化学酸化重合または電解重合により形成する工程と、前記第一の導電性高分子化合物層上に、請求項1〜3、7のいずれか1項に記載の導電性高分子懸濁水溶液を塗布または含浸し、第二の導電性高分子化合物層を形成する工程とを有することを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  15. 前記第一の導電性高分子化合物が、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含むことを特徴とする請求項13に記載の電解コンデンサの製造方法。
  16. 前記弁作用金属が、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1315のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
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