JP2009267232A - コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性が高く、かつ、漏れ電流が小さいコンデンサを高い生産性で製造できるコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のコンデンサ10の製造方法、弁金属からなる陽極11の表面を電解酸化して誘電体層12を形成する電解酸化工程と、誘電体層12の表面に、導電体からなる陰極13を対向配置させる陰極配置工程と、誘電体層12と陰極13との間に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性高分子溶液を用いて固体電解質層14を形成する固体電解質形成工程と、陽極11と陰極13との間に直流電圧を印加する処理を施す印加工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどのコンデンサ及びその製造方法に関する。
近年、電子機器のデジタル化に伴い、電子機器に用いられるコンデンサは高周波領域におけるインピーダンス(等価直列抵抗:ESR)を低下させることが要求されている。従来から、この要求に対応すべく、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁金属の酸化皮膜を誘電体層とし、この表面に、ポリピロールやポリチオフェンなどのπ共役系導電性高分子の固体電解質層を形成したコンデンサが使用されている。
このコンデンサの具体的な構造としては、特許文献1に示されるように、弁金属からなり、表面に凹凸が形成された陽極と、陽極の表面を酸化して形成した誘電体層と、導電体からなる陰極と、誘電体層及び陰極の間に形成された固体電解質層とを有するものが一般的である。
π共役系導電性高分子の固体電解質層の形成法としては、電解重合法(特許文献2参照)と化学酸化重合法(特許文献3参照)とが広く知られている。
特開2003−37024号公報 特開昭63−158829号公報 特開昭63−173313号公報
しかし、電解重合法では、陽極表面にマンガン酸化物からなる電解用導電層をあらかじめ形成しておく必要があり、非常に煩雑である上に、マンガン酸化物は導電性が低く、高導電性のπ共役系導電性高分子を使用する効果が薄れるという問題があった。
一方、化学酸化重合法では、得られるコンデンサの導電性が低く、しかも漏れ電流が大きかった。さらに、化学酸化重合法では、重合時間が長く、また、膜の厚みを確保するために繰り返し重合しなければならず、生産性が低かった。
本発明は、導電性が高く、かつ、漏れ電流が小さく、しかも高い生産性で得られるコンデンサを提供することを目的とする。また、導電性が高く、かつ、漏れ電流が小さいコンデンサを高い生産性で製造できるコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1] 弁金属からなる陽極と、該陽極表面が酸化されて形成された誘電体層と、導電体からなる陰極と、誘電体層及び陰極の間に形成され、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する固体電解質層とを有し、
陽極と陰極との間に直流電圧を印加する処理が施されたことを特徴とするコンデンサ。
[2] 固体電解質層が、π共役系導電性高分子及びポリアニオン以外の樹脂成分を含有することを特徴とする[1]に記載のコンデンサ。
[3] 弁金属からなる陽極の表面を電解酸化して誘電体層を形成する電解酸化工程と、
誘電体層の表面に、導電体からなる陰極を対向配置させる陰極配置工程と、
誘電体層と陰極との間に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性高分子溶液を用いて固体電解質層を形成する固体電解質形成工程と、
陽極と陰極との間に直流電圧を印加する処理を施す印加工程とを有することを特徴とするコンデンサの製造方法。
[4] 印加工程における直流電圧を、得られるコンデンサの定格電圧の50%以上にすることを特徴とする[3]に記載のコンデンサの製造方法。
[5] 印加工程を、35℃以上の環境下で行うことを特徴とする[3]または[4]に記載のコンデンサの製造方法。
[6] 印加工程を、有機溶媒及び塩を含む溶液中で行うことを特徴とする[3]〜[5]のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
本発明のコンデンサは、導電性が高く、かつ、漏れ電流が小さく、しかも高い生産性で得られるものである。
本発明のコンデンサの製造方法によれば、導電性が高く、かつ、漏れ電流が小さいコンデンサを高い生産性で製造できる。
「コンデンサ」
以下、本発明のコンデンサの一実施形態例について説明する。
図1は、本実施形態例のコンデンサの構成を示す図である。このコンデンサ10は、弁金属からなる陽極11と、陽極11の表面が酸化されて形成された誘電体層12と、導電体からなる陰極13と、誘電体層12及び陰極13の間に形成された固体電解質層14とを有する。また、誘電体層12と陰極13との間には、セパレータ15が配置されている。
コンデンサ10は、後述するように、陽極11と陰極13との間に直流電圧を印加する処理が施されている。
<陽極>
陽極11をなす弁金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。これらのうち、アルミニウム、タンタル、ニオブが好適である。
陽極11の具体例としては、アルミニウム箔をエッチングして表面積を増加させたものや、タンタル粒子やニオブ粒子の多孔質状焼結体などが挙げられる。このような陽極11は表面に凹凸が形成されている。
<誘電体層>
誘電体層12は、例えば、アジピン酸アンモニウム水溶液などの電解液中にて、陽極11の表面を陽極酸化することで形成されたものである。よって、図1に示すように、誘電体層12は陽極11表面の凹凸に沿って形成されている。
<陰極>
陰極13は、導電体から構成され、例えば、カーボン、銀、アルミニウム等で構成することができる。例えば、アルミニウムで構成された陰極13は、アルミニウム箔から形成することができる。
<セパレータ>
セパレータ15としては、例えば、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの単一または混合不織布、これらを炭化した炭化不織布などが用いられる。
<固体電解質層>
固体電解質層14は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを必須成分として含む層である。
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
これらの中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が抵抗値、反応性の点から好適に用いられる。さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高い上に、耐熱性が向上する点から、より好ましい。
固体電解質層14中のπ共役系導電性高分子の含有量は、コンデンサ10としての機能を充分に発揮できることから、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルから選ばれた単独重合体または共重合体であって、アニオン基を有する構成単位を有し、必要に応じてアニオン基を有さない構成単位を有するものである。
なお、ポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させるだけでなく、π共役系導電性高分子のドーパントとしても機能する。
ここで、ポリアルキレンとは、主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーである。
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和結合(ビニル基)が1個以上含まれる構成単位からなるポリマーである。これらの中でも、不飽和結合とπ共役系導電性高分子との相互作用があること、置換若しくは未置換のブタジエンを出発物質として合成しやすいことから、置換若しくは未置換のブテニレンが好ましい。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の無水物とオキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアニオンが置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシ基、カルボニル基等が挙げられる。溶媒への溶解性、耐熱性及び樹脂への相溶性等を考慮すると、アルキル基、ヒドロキシ基、フェノール基、エステル基が好ましい。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシ基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶剤への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基が好ましい。
前記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等の鎖状アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。有機溶剤への溶解性、樹脂への分散性、立体障害等を考慮すると、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。
前記ヒドロキシ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したヒドロキシ基又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。ヒドロキシ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。これらの中では樹脂への相溶及び有機溶剤への溶解性から、主鎖に結合した炭素数1〜6のアルキル基の末端に結合したヒドロキシ基がより好ましい。
前記エステル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアルキル系エステル基、芳香族系エステル基、他の官能基を介在してなるアルキル系エステル基又は芳香族系エステル基が挙げられる。
シアノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数1〜7のアルキル基の末端に結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数2〜7のアルケニル基の末端に結合したシアノ基等を挙げることができる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらのうち、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸は、熱エネルギーを吸収して自ら分解することにより、π共役系導電性高分子の熱分解を緩和することができる。したがって、耐熱性、耐環境性に優れる。
[樹脂成分]
固体電解質層14には、漏れ電流をより小さくできることから、π共役系導電性高分子及びポリアニオン以外の樹脂成分(以下、樹脂成分と略す。)が含まれることが好ましい。
樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、フッ素樹脂、1つ以上のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル化合物、1つ以上のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル化合物、1つ以上のエポキシ基を有する化合物などが挙げられる。
ポリイミドとしては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の無水物とオキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとから形成されるポリイミドが挙げられる。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、トリエチレングリコールモノクロルヒドリン、ジエチレングリコールモノクロルヒドリン、オリゴエチレングリコールモノクロルヒドリン、トリエチレングリコールモノブロムヒドリン、ジエチレングリコールモノブロムヒドリン、オリゴエチレングリコールモノブロムヒドリン、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、トリエチレングリコール・ジメチルエーテル、テトラエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル、ジエチレングリコール・ジブチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。
1つ以上のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
1つ以上のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、n−ブトキシエチルメタクリレート、n−ブトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n−ブトキシエチルアクリレート、n−ブトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどが挙げられる。
1つ以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
また、樹脂成分として、例えば、トリグリセリン類(グリセリン、ジグリセリン等)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセトアミド、ポリアミド酸や、ポリアクリロニトリル、ポリサイラミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、メラミン樹脂などを使用することもできる。
固体電解質層14中の樹脂成分の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計100質量部に対して5〜10000質量部であることが好ましく、10〜5000質量部であることがより好ましい。樹脂成分の含有量が5質量部未満であると、コンデンサ10の漏れ電流が小さくならないことがあり、10000質量部を超えると、固体電解質層14の導電性が低くなり、コンデンサ10のESRが高くなる傾向にある。
[高導電化剤]
固体電解質層14には、コンデンサ10のESRをより低くできることから、π共役系導電性高分子に作用して固体電解質層14の導電性を向上させる高導電化剤が含まれていることが好ましい。
高導電化剤としては、例えば、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物、シランカップリング剤、水溶性有機溶媒などが挙げられる。
・窒素含有芳香族性環式化合物
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
ピリジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
イミダゾール類及びその誘導体の具体的な例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(N−ヒドロキシエチルイミダゾール)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール等が挙げられる。
ピリミジン類及びその誘導体の具体的な例としては、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール等が挙げられる。
ピラジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン等が挙げられる。
トリアジン類及びその誘導体の具体的な例としては、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
窒素含有芳香族性環式化合物の含有量は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1〜100モルの範囲であることが好ましく、0.5〜30モルの範囲であることがより好ましく、固体電解質層14の物性及び導電性の観点からは、1〜10モルの範囲が特に好ましい。窒素含有芳香族性環式化合物の含有率が0.1モルより少なくなると、窒素含有芳香族性環式化合物とポリアニオン及び共役系導電性高分子との相互作用が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。また、窒素含有芳香族性環式化合物が100モルを超えて含まれると共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、固体電解質層14の物性が変化することがある。
・2個以上のヒドロキシ基を有する化合物
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;
セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;
1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の含有量は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.05〜50モルの範囲であることが好ましく、0.3〜10モルの範囲であることがより好ましい。2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.05モルより少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して50モルより多くなると、固体電解質層14中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、固体電解質層14の物性が変化することがある。
・2個以上のカルボキシ基を有する化合物
2個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マロン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸、クエン酸等の脂肪族カルボン酸類化合物;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の、芳香族性環に少なくとも一つ以上のカルボキシ基が結合している芳香族カルボン酸類化合物;ジグリコール酸、オキシ二酪酸、チオ二酢酸(チオジ酢酸)、チオ二酪酸、イミノ二酢酸、イミノ酪酸等が挙げられる。
2個以上のカルボキシ基を有する化合物は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1〜30モルの範囲であることが好ましく、0.3〜10モルの範囲であることがより好ましい。2個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1モルより少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また2個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して30モルより多くなると、固体電解質層14中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、固体電解質層14の物性が変化することがある。
・1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜5,000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が5,000質量部より多くなると、固体電解質層14中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しい。
・アミド化合物
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタクリルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、アミド化合物として、アクリルアミドを使用することもできる。アクリルアミドとしては、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
アミド化合物の分子量は46〜10,000であることが好ましく、46〜5,000であることがより好ましく、46〜1,000であることが特に好ましい。
アミド化合物の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜5,000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。アミド化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、アミド化合物の含有量が5,000質量部より多くなると、固体電解質層14中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しい。
・イミド化合物
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
また、イミド化合物は両末端の官能基の種類によって、脂肪族イミド、芳香族イミド等に分類されるが、溶解性の観点からは、脂肪族イミドが好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有する飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
イミド化合物の分子量は60〜5,000であることが好ましく、70〜1,000であることがより好ましく、80〜500であることが特に好ましい。
イミド化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。アミド化合物及びイミド化合物の添加量が前記下限値未満であると、アミド化合物及びイミド化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
・ラクタム化合物
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
ラクタム化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。ラクタム化合物の添加量が前記下限値未満であると、ラクタム化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
・グリシジル基を有する化合物
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。グリシジル基を有する化合物の添加量が前記下限値未満であると、グリシジル基を有する化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
・シランカップリング剤
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、必要に応じて任意量を添加することができ、特に限定しない。π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10000質量部であることが好ましい。
・水溶性有機溶媒
水溶性有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、ジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
<電解液>
コンデンサ10においては、必要に応じて、誘電体層12と陰極13との間に、電解液を充填してもよい。電解液としては電気伝導度が高ければ特に限定されず、周知の電解液用溶媒中に周知の電解質を溶解させたものが挙げられる。
電解液用溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等のアルコール系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水等が挙げられる。
電解質としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、りん酸、炭酸、けい酸等の無機酸などをアニオン成分とし、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)、テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)などをカチオン成分とした電解質が挙げられる。
以上説明したコンデンサ10は、陽極11と陰極13との間で直流電圧が印加されていることにより、漏れ電流が小さくなっている。具体的には、コンデンサ10によれば、漏れ電流Iを0.03CVより小さく、さらには0.01CVより小さく、特には0.005CVより小さくできる。ここで、Iは、室温において定格電圧を2分間印加した後の電流値、Cは室温における静電容量値、Vは固体電解コンデンサの定格電圧値である。
また、コンデンサ10は、後述するように、電解重合及び化学酸化重合を適用することなく、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性高分子溶液から形成できる。その結果、コンデンサ10の導電性を高くすることができ、しかも、コンデンサ10は高い生産性で得られる。
さらに、コンデンサ10では、誘電体層12の内部の奥深くまでπ共役系導電性高分子が入り込んでいるため、静電容量が大きくなる。
「コンデンサの製造方法」
次に、本発明のコンデンサの製造方法の一実施形態例について説明する。
<電解酸化工程>
本実施形態例のコンデンサ10の製造方法では、まず、電解酸化工程にて、弁金属からなる陽極11の表面を電解酸化し、化成処理して誘電体層12を形成する。
陽極11表面を電解酸化する方法としては、例えば、アジピン酸アンモニウム水溶液などの電解液中にて、電圧を印加して陽極11表面を陽極酸化する方法などが挙げられる。
<陰極配置工程>
次いで、誘電体層12の表面に、セパレータ15を介して、アルミニウム箔等の導電体から形成された陰極13を対向配置させる。
<固体電解質形成工程>
次いで、固体電解質層形成工程にて、誘電体層12と陰極13との間に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する固体電解質層14を形成する。
固体電解質層14の形成方法としては、例えば、誘電体層12及び陰極13を有する素子を導電性高分子溶液に浸漬させる方法、誘電体層12の表面に導電性高分子溶液を公知の塗布装置により塗布する方法、誘電体層12の表面に導電性高分子溶液を公知の噴霧装置により噴霧する方法などが挙げられる。また、浸漬または塗布時、必要に応じて、減圧状態にしてもよい。
導電性高分子溶液の浸漬または塗布後には、熱風乾燥など公知の乾燥方法により乾燥することが好ましい。
ここで、導電性高分子溶液は、例えば、ポリアニオンの存在下でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを重合することにより得られる。
ポリアニオンの存在下でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを重合する具体例としては、まず、ポリアニオンを、これを溶解可能な溶媒に溶解し、得られた溶液にπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを添加する。次いで、酸化剤を添加して前駆体モノマーを重合させた後、余剰の酸化剤や前駆体モノマーを分離、精製して導電性高分子溶液を得る。
このような重合によると、ポリアニオンと塩を形成するようにπ共役系導電性高分子が成長する。したがって、得られるπ共役系導電性高分子は、ポリアニオンと複合体を形成する。
π共役系導電性高分子の前駆体モノマーとしては、例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
酸化剤としては、前記前駆体モノマーを酸化させてπ共役系導電性高分子を得ることができるものであればよく、例えば、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)、ぺルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム)等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
π共役系導電性高分子の製造で使用する溶媒としては特に制限されず、前記前駆体モノマーを溶解又は分散しうる溶媒であり、酸化剤の酸化力を維持させることができるものであればよい。
具体的に、溶媒としては、水及び/又は有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の溶媒との混合物としてもよい。
これら溶媒の中でも、環境負荷が小さいことから、水またはアルコール系溶媒が好ましい。
<印加工程>
次いで、印加工程にて、陽極11と陰極13との間に直流電圧を印加する処理を施して、コンデンサ10を得る。
印加する直流電圧は特に制限されないが、漏れ電流をより小さくするという点では、得られるコンデンサ10の定格電圧の30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。ここで、定格電圧は、陽極を電解酸化する際の印加電圧(化成電圧)などによって決まる値である。通常、定格電圧は、化成電圧以下とされる。
また、印加工程にて印加する電圧は、漏れ電流がより小さくなることから、電解酸化工程における化成電圧の20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが特に好ましい。
印加工程を行う環境温度は、漏れ電流をより小さくできることから、30℃以上が好ましく、40〜200℃がより好ましく、80〜180℃が特に好ましく、100〜160℃が最も好ましい。
印加工程の時間は、印加する直流電圧や環境温度に応じて適宜調整される。
例えば、漏れ電流をより小さくするためには、印加する直流電圧が低い程、印加時間を長くすることが好ましい。具体的に、印加する直流電圧がコンデンサの定格電圧の50%未満である場合には、漏れ電流をより小さくするために、印加時間を5分以上にすることが好ましい。
印加する直流電圧が高い場合には、印加時間を短くしても構わない。具体的に、印加する直流電圧がコンデンサの定格電圧の50%以上である場合には、印加時間を5分未満にしても、漏れ電流を小さくできる。
また、漏れ電流をより小さくするためには、環境温度が低い程、印加時間を長くすることが好ましい。環境温度が高ければ、印加時間を短くしても構わない。
印加工程は、有機溶媒及び塩を含む溶液中で行うこともできる。印加工程を有機溶媒及び塩を含む溶液中で行うと、陽極11の修復性が高くなるため、漏れ電流をより小さくできる。
ここで、有機溶媒としては、π共役系導電性高分子の製造で使用できる有機溶剤と同様のものを使用できる。
また、塩を形成するためのカチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンなどが挙げられる。
塩を形成するためのアニオンとしては、例えば、硫酸イオン、亜硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、水酸化物イオン、炭酸イオンなどが挙げられる。
具体的な塩類としては、例えば、硫酸アンモニウム、4−スルホフタル酸アンモニウム、5−スルホイソフタル酸イミダゾリウム、5−スルホイソフタル酸リチウム、安息香酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アジピン酸アンモニウム、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸エチルメチルイミダゾリウム、トリフルオロスルホン酸アンモニウム、フタル酸ジアンモニウム、フタル酸ジテトラエチルメチルアンモニウム、コハク酸アンモニウム、マレイン酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸メチルエチルイミダゾリウム、パラスチレンスルホン酸トリエタノールアンモニウム、イソフタル酸トリエチルメチルアンモニウム、パラトルエンスルホン酸ジエチルエタノールアンモニウム、4−スルホフタル酸メチルエチルイミダゾリウム、ヒドロキノンスルホン酸カリウム、2,4−ジヒドロキシ安息香酸アンモニウムなどが挙げられる。
塩類の中でも、コンデンサの静電容量をより向上させ、ESRをより低くできる点では、窒素含有カチオンとアニオンとの塩が好ましく、特に、アンモニウム塩、イミダゾリウム塩がより好ましい。
アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、4−スルホフタル酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、トリフルオロスルホン酸アンモニウム、フタル酸ジアンモニウム、フタル酸ジテトラエチルメチルアンモニウム、コハク酸アンモニウム、マレイン酸テトラメチルアンモニウム、パラスチレンスルホン酸トリエタノールアンモニウム、イソフタル酸トリエチルメチルアンモニウム、パラトルエンスルホン酸ジエチルエタノールアンモニウム、2,4−ジヒドロキシ安息香酸アンモニウム等が挙げられる。
イミダゾリウム塩としては、5−スルホイソフタル酸イミダゾリウム、トリフルオロメタンスルホン酸エチルメチルイミダゾリウム、4−スルホフタル酸メチルエチルイミダゾリウム等が挙げられる。
印加工程にて陽極11と陰極13との間に直流電圧を印加する上記製造方法によれば、漏れ電流を小さくすることができる。
また、導電性高分子溶液を用いて固体電解質層14を形成する上記製造方法では、電解重合及び化学酸化重合を適用しなくてもよいため、導電性に優れる。したがって、得られるコンデンサ10のESRを低くできる。
また、上記製造方法は、π共役系導電性高分子を含む溶液により固体電解質層14を形成する方法であるから、高い生産性でコンデンサ10を製造できる。
さらに、導電性高分子溶液を用いて誘電体層12と陰極13との間に固体電解質層14を形成する上記製造方法では、誘電体層12の内部の奥深くまでに導電性高分子溶液を浸透させることができる。したがって、固体電解質層14を広い面積で形成できるため、コンデンサ10の静電容量を大きくすることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態例に限定されない。
例えば、本発明において、セパレータ15を省略しても構わない。ただし、コンデンサ10を容易に作製できる点では、セパレータ15を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
(1)導電性高分子溶液の調製
(調製例1)導電性高分子溶液(I)の調製
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、42.6gのポリスチレンスルホン酸(質量平均分子量;約150,000)を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得た混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とを添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を透析して、未反応モノマー、酸化剤を除去して約1.5質量%のポリスチレンスルホン酸ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水溶液を得た。
上記ポリスチレンスルホン酸ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水溶液10gに、6gのポリエチレングリコール400及び0.8gのイミダゾールを添加し、分散して、導電性高分子溶液(I)を得た。
(調製例2)導電性高分子溶液(II)の調製
調製例1で得た導電性高分子溶液(I)10gに0.5gのポリエステル水溶液(固形分濃度25質量%、互応化学社製プラスコート561)を添加し、分散させたこと以外は調製例1と同様にして、導電性高分子溶液(II)を得た。
(調製例3)導電性高分子溶液(III)の調製
調製例1で得た導電性高分子溶液(I)10gに0.3gのヒドロキシエチルアクリルアミドを添加し、分散させたこと以外は調製例1と同様にして、導電性高分子溶液(III)を得た。
(調製例4)導電性高分子溶液(IV)の調製
調製例1で得た導電性高分子溶液(I)10gに0.3gのトリエチレングリコールを添加し、分散させたこと以外は調製例1と同様にして、導電性高分子溶液(IV)を得た。
(調製例5)導電性高分子溶液(V)の調製
調製例1で得た導電性高分子溶液(I)10gに0.5gのポリウレタン水溶液(固形分濃度25質量%、楠本化成社製)を添加し、分散させたこと以外は調製例1と同様にして、導電性高分子溶液(V)を得た。
(調製例6)導電性高分子溶液(VI)の調製
調製例1において、1.5質量%のポリスチレンスルホン酸ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水溶液100gに添加するポリエチレングリコールの量を1.5gに変更したこと以外は調製例1と同様にして、導電性高分子溶液(VI)を得た。
(調製例7)導電性高分子溶液(VII)の調製
2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、6gのp−トルエンスルホン酸鉄(III)と、8gのブタノールとを混合して、導電性高分子溶液(VII)を得た。
(3)コンデンサの製造
(製造例1)
エッチドアルミニウム箔(陽極箔)に陽極リード端子を接続した後、電解酸化工程にて、アジピン酸アンモニウム10質量%水溶液中で電圧を印加し、化成処理(電解酸化処理)して、アルミニウム箔の両面に誘電体層を形成して陽極箔を得た。この電解酸化工程において印加した電圧(化成電圧)は82Vとした。
次に、陽極箔の両面に、陰極リード端子を溶接させた対向アルミニウム陰極箔を、セルロース製のセパレータを介して積層し、これを円筒状に巻き取ってコンデンサ素子を得た。
(製造例2)
化成電圧を102Vに変更したこと以外は製造例1と同様にして、コンデンサ素子を得た。
(製造例3)
化成電圧を63Vに変更したこと以外は製造例1と同様にして、コンデンサ素子を得た。
(実施例1)
調製例1で調製した導電性高分子溶液(I)に、製造例1で得たコンデンサ素子を、減圧下で浸漬した後、120℃の熱風乾燥機により30分間乾燥した。さらに、この導電性高分子溶液(I)への浸漬を2回繰り返して、誘電体層と陰極との間に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を装填し、封口ゴムで封止した。
次いで、印加工程にて、105℃の雰囲気中にて、陽極と陰極との間に35Vの直流電圧を30分間印加して、コンデンサを得た。
作製したコンデンサについて、LCZメータ2345(エヌエフ回路設計ブロック社製)を用いて、120Hzでの静電容量、100kHzでのESRの初期値を測定した。また、安定化電源を用いて、コンデンサの陽極と陰極との間に35Vの直流電圧を2分間印加して、漏れ電流を測定した。それらの結果は表1に示す。なお、ESRはインピーダンスの指標となる。
(実施例2)
陽極と陰極との間に印加する直流電圧を20Vに変更したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
陽極と陰極との間に印加する直流電圧を60Vに変更したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
陽極と陰極との間に直流電圧を印加する雰囲気の温度を80℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
陽極と陰極との間に直流電圧を印加する雰囲気の温度を125℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
陽極と陰極との間に直流電圧を印加する雰囲気の温度を150℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
アルミニウム製ケースに、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子と共に、電解液(γ−ブチロラクトンのアジピン酸アンモニウム10質量%溶液)を充填したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例8)
導電性高分子溶液(I)の代わりに、導電性高分子溶液(II)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例9)
導電性高分子溶液(I)の代わりに、導電性高分子溶液(III)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例10)
導電性高分子溶液(I)の代わりに、導電性高分子溶液(IV)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例11)
導電性高分子溶液(I)の代わりに、導電性高分子溶液(V)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例12)
導電性高分子溶液(I)の代わりに、導電性高分子溶液(VI)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例13)
製造例1で得たコンデンサ素子の代わりに、製造例2で得たコンデンサ素子を用い、印加工程における印加電圧を50Vに変更したこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例14)
印加工程における印加電圧を63Vに変更したこと以外は実施例13と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(実施例15)
製造例1で得たコンデンサ素子の代わりに、製造例3で得たコンデンサ素子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1のコンデンサの作製において、陽極と陰極との間に直流電圧を印加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、コンデンサを作製した。また、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
調製例7で調製した導電性高分子溶液(VII)にコンデンサ素子を、減圧下で浸漬した後、60℃の熱風乾燥機により30分間加熱して、化学酸化重合させた。これにより、誘電体層と陰極との間に、π共役系導電性高分子を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を装填し、封口ゴムで封止した。
次いで、105℃の雰囲気中にて、陽極と陰極との間に35Vの直流電圧を30分間印加して、コンデンサを得た。
得られたコンデンサについて、実施例1と同様にして、静電容量、ESR及び漏れ電流を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2009267232
陽極と陰極との間に直流電圧を印加した実施例1〜15のコンデンサは、ESR及び漏れ電流が小さかった。しかも、実施例1〜15のコンデンサは静電容量が大きかった。
これに対し、陽極と陰極との間に直流電圧を印加しなかった比較例1のコンデンサは、ESR及び漏れ電流が大きかった。しかも、比較例1のコンデンサは静電容量が小さかった。
また、化学酸化重合により固体電解質層を形成した比較例2のコンデンサでは、漏れ電流を測定する際に直流電圧を印加したところ、短絡してしまった。
本発明のコンデンサにおける一実施形態例を示す断面図である。
符号の説明
10 コンデンサ
11 陽極
12 誘電体層
13 陰極
14 固体電解質層
15 セパレータ

Claims (6)

  1. 弁金属からなる陽極と、該陽極表面が酸化されて形成された誘電体層と、導電体からなる陰極と、誘電体層及び陰極の間に形成され、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する固体電解質層とを有し、
    陽極と陰極との間に直流電圧を印加する処理が施されたことを特徴とするコンデンサ。
  2. 固体電解質層が、π共役系導電性高分子及びポリアニオン以外の樹脂成分を含有することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
  3. 弁金属からなる陽極の表面を電解酸化して誘電体層を形成する電解酸化工程と、
    誘電体層の表面に、導電体からなる陰極を対向配置させる陰極配置工程と、
    誘電体層と陰極との間に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性高分子溶液を用いて固体電解質層を形成する固体電解質形成工程と、
    陽極と陰極との間に直流電圧を印加する処理を施す印加工程とを有することを特徴とするコンデンサの製造方法。
  4. 印加工程における直流電圧を、得られるコンデンサの定格電圧の50%以上にすることを特徴とする請求項3に記載のコンデンサの製造方法。
  5. 印加工程を、35℃以上の環境下で行うことを特徴とする請求項3または4に記載のコンデンサの製造方法。
  6. 印加工程を、有機溶媒及び塩を含む溶液中で行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
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