JP2000124074A - アルミニウム電解コンデンサ - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波におけるインピーダンス値を低減し、
漏れ電流値の増加を抑えることができる、電気特性の優
れたアルミニウム電解コンデンサを提供する。 【解決手段】 アルミニウムの陽極箔と陰極箔とを所定
寸法に裁断し、セパレータを介して巻回してなるコンデ
ンサ素子を駆動用電解液に含浸し、金属ケースに収納し
てなるアルミニウム電解コンデンサにおいて、上記陽極
箔はその表面の誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層を形
成後、所定寸法に裁断したアルミニウム箔であることを
特徴とするアルミニウム電解コンデンサである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波におけるイ
ンピーダンス値を低減し、かつ漏れ電流値の増加をも抑
えることができる電気特性に優れたアルミニウム電解コ
ンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の巻回型アルミニウム電解コンデン
サには、アルミニウムの陽極箔と陰極箔とをセパレータ
を介して巻回してなるコンデンサ素子に、(イ)駆動用
電解液(以下、電解液という)を含浸し、金属ケースに
収納してなるコンデンサ、(ロ)巻回したコンデンサ素
子に導電性高分子層を形成し、金属ケースに収納してな
る固体コンデンサの2つのタイプがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の巻回形コンデンサにおいては、次のような問題があっ
た。すなわち、 (イ)液体電解質を使用した場合:コンデンサの損失特
性の改善が十分に行われず、高周波におけるインピーダ
ンス値が高い。 (ロ)固体電解質を使用した場合:導電性高分子層形成
処理を十数回繰り返すことから、製造コストが高くなる
上、陽極箔の誘電体酸化皮膜欠損部が完全に修復されな
いため、コンデンサの漏れ電流が増大する。従って、高
周波におけるインピーダンス特性に優れ、製造コストも
低減でき、さらにコンデンサの漏れ電流をも抑えること
ができるコンデンサが要求されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、アルミニウムの陽極箔と陰極箔とを所
定寸法に裁断し、セパレータを介して巻回してなるコン
デンサ素子を駆動用電解液に含浸し、金属ケースに収納
してなるアルミニウム電解コンデンサにおいて、上記陽
極箔は、その表面の誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層
を形成後、所定寸法に裁断したアルミニウム箔であるこ
とを特徴とするアルミニウム電解コンデンサである。
【0005】また、上記の陰極箔に誘電体酸化皮膜を形
成したことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサで
ある。
【0006】さらに、上記の陰極箔、または陽極箔に化
学重合による導電性高分子層を形成したことを特徴とす
るアルミニウム電解コンデンサである。
【0007】そして、上記の駆動用電解液の溶質にイミ
ダゾリニウム塩を用いたことを特徴とするアルミニウム
電解コンデンサである。
【0008】また、上記の導電性高分子層が、ピロー
ル、チオフェン、アニリン、フランまたはそれらの誘導
体であることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ
である。
【0009】さらに、上記の導電性高分子層中に、カー
ボン粒子を混在させることを特徴とするアルミニウム電
解コンデンサである。
【0010】
【発明の実施の形態】巻回型コンデンサの陽極箔の誘電
体酸化皮膜上に、化学重合による導電性高分子層を形成
し、セパレータを介して陰極箔とともに巻回してコンデ
ンサ素子とし、該素子を電解液に含浸し、金属ケースに
収納し、所定の電圧、電流値を設定してエージングを行
い、電解液により陽極箔の誘電体酸化皮膜欠損部を修復
させる。上記の処理により、コンデンサの高周波におけ
るインピーダンスが低減されるとともに、導電性高分子
層形成処理の回数も低減することができ、漏れ電流値を
抑えることができる。
【0011】
【実施例】表1に示す試料箔(陽極箔、陰極箔)を用
い、表1の工程〜に従って、図1のようなコンデン
サ素子を作製し、電解液含浸、ケーシング、エージング
(再化成)を行って、定格電圧25V、静電容量15μ
Fの固体電解コンデンサを完成した。
【0012】
【表1】
【0013】上記の通り作製した電解コンデンサについ
て、静電容量(μF)、tanδ、漏れ電流(μA)、
インピーダンス(Ω)(at 100kHz)を比較し
た。その結果を表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】表2より明らかなように、本発明の実施例
1〜4による電解コンデンサは、従来例に比べ、tan
δ、漏れ電流(μA)が小さくなっており、高周波にお
けるインピーダンスも低減されている。
【0016】なお、上記実施例1〜4では導電性高分子
層を形成するために、ピロールを用いて化学重合を行っ
たが、チオフェン、アニリン、フランまたはそれらの誘
導体を用いても同様の効果が得られる。そして、誘電体
酸化皮膜との密着性と導電性高分子層の嵩密度を向上さ
せるため、導電性高分子層中にカーボン粒子を混在させ
ることもできる。また、上記実施例では、駆動用電解液
の溶質にイミダゾリニウム塩を使用したが、溶質の種類
はこれに限定されるものではない。さらに、陰極箔の処
理として、実施例2では化成処理、実施例3では化学重
合、実施例4では化成処理+化学重合を行ったが、かか
る処理を行うことにより、陰極箔の電解液中の水分との
水和を防止することができ、併せて電解液の漏液をも抑
制することができる。なお、上記実施例ではケーシング
後、エージング(再化成)を行っているが、エージング
時の発生ガスを逃すため、エージング後、ケーシングを
行ってもよい。
【0017】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、陽極
箔の誘電体酸化皮膜上に固体電解質である導電性高分子
層を形成することにより、コンデンサの高周波における
インピーダンスを低減することができる。また、液体の
電解液により、コンデンサ素子内の隅々にまで電解質が
含浸されるので、固体電解質のみで導電性高分子層を形
成する場合に比べ、導電性高分子層形成処理を繰り返し
行う必要がなく、繰り返しの回数が大幅に低減され、製
造コストを低減することができる。そして、上記導電性
高分子層の形成処理時に生じた誘電体酸化皮膜欠損部が
電解液により修復されるので、コンデンサの漏れ電流増
加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるコンデンサ素子の展開図
である。
【符号の説明】 1 陽極箔(導電性高分子層形成) 2 陰極箔 3 セパレータ 4 陽極リード 5 陰極リード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤馬 泉 京都府京都市中京区御池通烏丸東入一筋目 仲保利町191番地の4 上原ビル3階 ニ チコン株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CE001 CM001 DA036 FD116 FD206 GF00 GQ00 GQ02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムの陽極箔と陰極箔とをセパ
    レータを介して巻回してなるコンデンサ素子を駆動用電
    解液に含浸し、金属ケースに収納してなるアルミニウム
    電解コンデンサにおいて、上記陽極箔は、その表面の誘
    電体酸化皮膜上に導電性高分子層を形成後、所定寸法に
    裁断したアルミニウム箔であることを特徴とするアルミ
    ニウム電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の陰極箔に誘電体酸化皮膜
    を形成したことを特徴とするアルミニウム電解コンデン
    サ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の陰極箔、
    または請求項1の陽極箔に化学重合による導電性高分子
    層を形成したことを特徴とするアルミニウム電解コンデ
    ンサ。
  4. 【請求項4】 請求項1の駆動用電解液の溶質にイミダ
    ゾリニウム塩を用いたことを特徴とするアルミニウム電
    解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項3の導電性高分子
    層が、ピロール、チオフェン、アニリン、フラン、また
    はそれらの誘導体であることを特徴とするアルミニウム
    電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】 請求項5の導電性高分子層中に、カーボ
    ン粒子を混在させたことを特徴とするアルミニウム電解
    コンデンサ。
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