JPWO2012090407A1 - 全芳香族液晶ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

構造単位全量に対してハイドロキノン由来の構造単位を2.0〜15.0モル%含有する全芳香族液晶ポリエステルであり、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計が50〜350当量/(g・10-6)であり、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計と、カルボキシ末端基量(c)との比[(a)+(b)]/(c)が1.05〜2.00であることを特徴とする全芳香族液晶ポリエステル。

Description

本発明はフォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れる全芳香族液晶ポリエステルおよびその製造方法、それから得られる樹脂組成物、成形品に関するものである。
近年、液晶ポリエステルは、その耐熱性、流動性、電気特性などを活かし、特に電気・電子分野で用いられ、その需要が拡大している。また、近年、その熱安定性や高熱寸法精度に着目して、発熱部品の支持基材として、OA機器や携帯電話の液晶ディスプレイ支持基材やランプの構造部品などに用いる検討がなされている。これらの分野では金属端子をインサート成形する部品も多く、金属との接着性が要求される。また、これらの用途では発熱する端子などの金属部品と接触して用いる場合が多いために、ポリマーから発生するガスによる曇り発生等の不具合が起こる場合が多く、このような不具合を改良するために、加熱時の酢酸ガス、フェノールガスおよび炭酸ガスを低減した液晶性樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、フォギング性などの実用特性はなお充分とはいえず、また、金属接着性に関しても更なる改良が求められている。
一方、液晶ポリエステルの末端構造制御についての検討が行われており(例えば、特許文献2〜4参照)、反応基による後加工時の熱硬化、耐加水分解性、成形安定性などの効果を発現している。しかしながら、これら検討で製造された液晶ポリエステルにおいても、金属密着性やフォギング性、耐クリープ特性などの特性が充分とはいえず、近年の電気・電子分野で要求される特性を満たしてはいなかった。
特開2006−89714号公報 特開平1−98618号公報 特開平5−271394号公報 特開平11−263829号公報
本発明は、フォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れる全芳香族液晶ポリエステル、それから得られる樹脂組成物および成形品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定末端基を有する全芳香族液晶ポリエステルが、特異的にフォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れることを見出した。さらに本発明の全芳香族液晶ポリエステルを射出成形した場合には金型汚れが特異的に低減できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
(1)構造単位全量に対してハイドロキノン由来の構造単位を2.0〜15.0モル%含有する全芳香族液晶ポリエステルである。この全芳香族液晶ポリエステルは、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計が50〜350当量/(g・10-6)である。この全芳香族液晶ポリエステルは、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計と、カルボキシ末端基量(c)との比[(a)+(b)]/(c)が1.05〜2.00である。
なお、構造単位全量に対して、ハイドロキノン由来の構造単位の含有量は、2.0モル%よりも多いことが好ましい。また、構造単位全量に対して、ハイドロキノン由来の構造単位の含有量は、15.0モル%未満であることが好ましい。
ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計は、50当量/(g・10-6)よりも多いことが好ましい。また、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計は、350当量/(g・10-6)未満であることが好ましい。
上記比[(a)+(b)]/(c)は、1.05よりも大きいことが好ましい。また、上記比[(a)+(b)]/(c)は、2.00未満であることが好ましい。
(2)ヒドロキシ末端基量(a)と、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計との比(a)/[(a)+(b)]が0.30〜1.00である前記(1)に記載の全芳香族液晶ポリエステル。
なお、上記比(a)/[(a)+(b)]は、0.30より大きいことが好ましい。また、上記比(a)/[(a)+(b)]は、1.00未満であることが好ましい。
ただし、上記(1)記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、上記比(a)/[(a)+(b)]は、0.30未満としても良い。また、上記(1)記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、上記比(a)/[(a)+(b)]は、1.00を超えることとしても良い。
(3)ゲル浸透クロマトグラフ/光散乱法により測定した絶対数平均分子量が5000〜25000であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の全芳香族液晶ポリエステル。
なお、上記絶対数平均分子量は、5000よりも大きいことが好ましい。また、上記絶対数平均分子量は、25000未満であることが好ましい。
ただし、上記(1)または(2)記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、上記絶対数平均分子量は、5000未満としても良い。また、上記(1)または(2)記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、上記絶対数平均分子量は、25000を超えることとしても良い。
(4)下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される前記(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルである。この全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%である。この全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%である。この全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%である。この全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計とは、実質的に等モルである。
Figure 2012090407
なお、構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65モル%よりも多いことが好ましい。また、構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して80モル%未満であることが好ましい。
構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して55モル%よりも多いことが好ましい。また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して85モル%未満であることが好ましい。
構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して50モル%よりも多いことが望ましい。また、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して95モル%未満であることが好ましい。
ただし、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65モル%未満としても良い。また、構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して80モル%を超えることとしても良い。
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して55モル%未満としても良い。また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して85モル%を超えることとしても良い。
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルにおいて、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して50モル%未満としても良い。また、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して95モル%を超えることとしても良い。
また、本発明の実施形態において、実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位が等モルであることを示す。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルは、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の少なくとも一部を含まなくてもよい。
(5)全芳香族液晶ポリエステルの原料モノマーのヒドロキシ基を無水酢酸を用いてアセチル化した後、酢酸を留出させながら全芳香族液晶ポリエステルの溶融温度以上に昇温し、脱酢酸重合することにより、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法である。この全芳香族液晶ポリエステルの製造方法では、重合反応液温度が250℃に到達したときの下式[1]で求められる留出率を50〜80%とする。
留出率(%)=留出液量(g)/[(無水酢酸仕込みモル数(mol)−原料モノマー中のヒドロキシ基モル数(mol))×無水酢酸分子量(g/mol)+(原料モノマー中のヒドロキシ基モル数(mol)×2×酢酸分子量(g/mol))]×100 [1]
なお、上記留出率は、50%より大きいことが好ましい。また、上記留出率は、80%未満であることが好ましい。
ただし、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルの製造方法において、上記留出率は、50%未満としても良い。また、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルの製造方法において、上記留出率は、80%を超えることとしても良い。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して、充填材10〜200重量部を配合してなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
なお、上記全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対する充填材の配合量は、10重量部より多いことが好ましい。また、上記全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対する充填材の配合量は、200重量部未満であることが好ましい。
ただし、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物において、上記全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対する充填材の配合量は、10重量部未満としても良い。また、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物において、上記全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対する充填材の配合量は、200重量部を超えることとしても良い。
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルまたは前記(6)に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
ただし、(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルまたは(6)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を用いて、溶融成形とは異なる方法により作製した成形品としても良い。
本発明の実施形態によって、フォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れる全芳香族液晶ポリエステルが得られる。また、本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルまたは全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を射出成形した場合には、金型汚れが少なく、フォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れた成形品が提供できる。
実施例および比較例において作製した金属端子をインサート成形した金属端子抜き強度測定用試験片の概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態としての全芳香族液晶ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、構造単位全量に対して、ハイドロキノン由来の構造単位を2.0〜15.0モル%含有する。ハイドロキノン由来の構造単位含有量が2.0モル%よりも少ない場合には、フォギング性の低下を引き起こす傾向がある。フォギング性をより向上させる観点から、ハイドロキノン由来の構造単位を4.0モル%以上含有することが好ましい。一方、ハイドロキノン由来の構造単位含有量が15.0モル%を超える場合には、金属接着性が低下する傾向がある。金属接着性をより向上させる観点から、ハイドロキノン由来の構造単位を10.0モル%以下含有することが好ましい。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルは、下式に示す構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなることが好ましい。
Figure 2012090407
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位を、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノン由来の構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸由来の構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸由来の構造単位を各々示す。
構造単位(I)の含有量は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計含有量に対して65モル%以上が好ましく、68モル%以上がより好ましい。一方、80モル%以下が好ましく、78モル%以下がより好ましい。
また、構造単位(II)の含有量は、構造単位(II)および(III)の合計含有量に対して55モル%以上が好ましく、58モル%以上がより好ましい。一方、85モル%以下が好ましく、78モル%以下がより好ましく、73モル%以下がより好ましい。
また、構造単位(IV)の含有量は、構造単位(IV)および(V)の合計含有量に対して50モル%以上が好ましく、55モル%以上がより好ましく、60モル%以上がより好ましい。一方、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がより好ましい。
また構造単位(II)および(III)の合計含有量と(IV)および(V)の合計含有量は、実質的に等モルであることが好ましい。ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位が等モルであることを示す。このため、末端を構成する構造単位まで含めた場合には、必ずしも等モルとはならない態様も、「実質的に等モル」の要件を満たしうる。
上記構造単位(I)〜(V)の含有量を上記範囲とすることにより、全芳香族液晶ポリエステルのフォギング性および金属との接着性をより向上させることができる。また、充填材を配合してなる樹脂組成物において充填材との親和性が向上するため、耐クリープ特性をより向上させることができる。また、射出成形時に生じる金型汚れを低減することができる。
なお、本発明の実施形態において、各構造単位の含有量は、全芳香族液晶ポリエステルをNMR試料管に量りとり、全芳香族液晶ポリエステルが可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2混合溶媒)に溶解して、1H−NMR測定を行うことにより、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルの末端基は、ヒドロキシ末端基、アセチル末端基、カルボキシ末端基が挙げられる。そのうちヒドロキシ末端基量(a)〔単位:当量/(g・10-6)〕とアセチル末端基量(b)〔単位:当量/(g・10-6)〕の合計が50〜350当量/(g・10-6)である。ただし、アセチル末端基量(b)は0であってもよい。(a)+(b)の合計が50当量/(g・10-6)よりも少ない場合には、金属接着性の低下、耐クリープ特性の低下を引き起こす傾向がある。金属接着性、耐クリープ特性をより向上させる観点から、(a)+(b)の合計を75当量/(g・10-6)以上とすることが好ましい。一方、(a)+(b)の合計が350当量/(g・10-6)よりも多い場合には、フォギング性が低下する傾向がある。フォギング性をより向上させる観点から、(a)+(b)の合計を200当量/(g・10-6)以下とすることが好ましい。
全芳香族液晶ポリエステルの末端基量は、全芳香族液晶ポリエステルをNMR試料管に量りとり、全芳香族液晶ポリエステルが可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2混合溶媒)に溶解して、ヒドロキシ末端基およびカルボキシ末端基については13C−NMR測定、アセチル末端基については1H−NMR測定を行うことにより、各末端由来のピークとポリマー主鎖骨格由来のピークとの面積比から算出することができる。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルは、ヒドロキシ末端基量(a)〔単位:当量/(g・10-6)〕とアセチル末端基量(b)〔単位:当量/(g・10-6)〕の合計と、カルボキシ末端基量(c)〔単位:当量/(g・10-6)〕との比[(a)+(b)]/(c)が1.05〜2.00である。従来公知のハイドロキノン由来の構造単位を含有する液晶ポリエステルは、モノマーであるハイドロキノンの昇華性が高いことから、[(a)+(b)]/(c)は1以下となり、カルボキシ末端基の分解により炭酸ガスを発生する。これに対して、本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルは、末端基を制御して[(a)+(b)]/(c)を1.05以上とすることにより、カルボキシ末端基由来の炭酸ガスを低減し、フォギング性および金属接着性を向上させることができる。好ましくは1.10以上であり、1.30以上がさらに好ましく、フォギング性、金属密着性をより向上させることができる。また、全芳香族液晶ポリエステルの溶融滞留時の溶融粘度変化を低減することができる。溶融滞留時の溶融粘度変化が小さい、すなわち滞留安定性の良好な全芳香族液晶ポリエステルは、溶融加工時に粘度変化を生じにくいため、精密成形等を行いやすく好適である。一方、[(a)+(b)]/(c)が2.00を超える場合には、全芳香族液晶ポリエステルの重合度を上げることが困難となり、金属接着性が著しく低下する。金属接着性をより向上させる観点から、[(a)+(b)]/(c)は1.60以下がより好ましい。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルは、ヒドロキシ末端基量(a)〔単位:当量/(g・10-6)〕と、ヒドロキシ末端基量(a)〔単位:当量/(g・10-6)〕とアセチル末端基量(b)〔単位:当量/(g・10-6)〕の合計との比(a)/[(a)+(b)]が0.30〜1.00であることが好ましい。ヒドロキシ末端基量を上記の範囲とすることで、アセチル末端基由来の発生ガスを低減し、フォギング性をより向上させることができる。フォギング性をより向上させる観点から、(a)/[(a)+(b)]は0.40以上がより好ましく、0.55以上がさらに好ましく、0.60以上が特に好ましい。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルの絶対数平均分子量は、金属接着性をより向上させる観点から5000以上が好ましく、7000以上がより好ましく、8000以上がより好ましい。一方、全芳香族液晶ポリエステルの末端基を制御してフォギング性を向上させる観点から25000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、18000以下がより好ましい。
なお、絶対数平均分子量は、全芳香族液晶ポリエステルが可溶な溶媒を溶離液として使用してGPC/光散乱法(ゲル浸透クロマトグラフ/光散乱法)により測定することが可能である。全芳香族液晶ポリエステルが可溶な溶媒としては、例えば、ハロゲン化フェノール類、ハロゲン化フェノールと一般有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。好ましくはペンタフルオロフェノール、およびペンタフルオロフェノールとクロロホルムの混合溶媒であり、なかでもハンドリング性の観点からペンタフルオロフェノール/クロロホルム混合溶媒が特に好ましい。
また、本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルの溶融粘度は、1〜200Pa・sが好ましく、10〜100Pa・sがより好ましく、20〜50Pa・sがより好ましい。なお、溶融粘度は、全芳香族液晶ポリエステルの融点+10℃の温度条件で、せん断速度1000/秒の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
ここで、融点とは、示差走査熱量測定において、重合を完了した全芳香族液晶ポリエステルを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルの融点は220〜350℃が好ましく、より好ましくは250〜345℃であり、さらには270〜340℃が特に好ましい。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルの製造方法は、本発明の実施形態の特徴である特定末端基を有する全芳香族液晶ポリエステルが得られる限りは特に制限がなく、公知のポリエステルの重合法に準じて製造できる。公知のポリエステルの重合法としては、例えば、次の製造方法が挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン(ハイドロキノンのジアセチル化物)とテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重合反応によって全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性ヒドロキシ基をアセチル化した後、脱酢酸重合反応によって全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸フェニルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルから脱フェノール重合反応により全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重合反応により全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法。
なかでも(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性ヒドロキシ基をアセチル化した後、脱酢酸重合反応によって全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法が重合反応制御の点から好ましく用いられる。
本発明の実施形態の末端が特定の範囲である全芳香族液晶ポリエステルを安定的に得る好ましい方法としては、重合反応で生成して重合系外に排出される留出液量を特定の範囲となるように制御する方法が挙げられる。なかでも重合反応時に重合系外に排出される酢酸留出量を特定の範囲となるように制御して脱酢酸重合を行う方法がより好ましい。具体的には、全芳香族液晶ポリエステルの原料モノマーのヒドロキシ基を無水酢酸を用いてアセチル化した後、酢酸を留出させながら全芳香族液晶ポリエステルの溶融温度以上に昇温し、脱酢酸重合することにより全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法であって、重合反応液温度が250℃に到達したときの下式[1]で求められる留出率を50〜80%とすることが好ましい。
留出率(%)=留出液量(g)/[(無水酢酸仕込みモル数(mol)−原料モノマー中のヒドロキシ基モル数(mol))×無水酢酸分子量(g/mol)+(原料モノマー中のヒドロキシ基モル数(mol)×2×酢酸分子量(g/mol))]×100 [1]
アセチル化する工程においては、具体的には、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸および無水酢酸を、反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱してヒドロキシ基をアセチル化することが好ましい。上記反応容器は、撹拌翼を備えることとしても良く、また、留出管を備えることとしても良く、また、下部に吐出口を備えることとしても良い。アセチル化する条件は、通常130〜150℃の範囲で1〜3時間である。本発明の実施形態の特徴である(a)+(b)、[(a)+(b)]/(c)、(a)/[(a)+(b)]を前述の範囲に容易に制御するためには、アセチル化反応率向上の観点から143℃以上の温度が好ましい。より好ましくは147℃以上である。
本発明の実施形態の特徴である(a)+(b)、[(a)+(b)]/(c)、(a)/[(a)+(b)]を前述の範囲に容易に制御する観点から、無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性ヒドロキシ基の合計の1.00〜1.15モル当量であることが好ましく、1.03〜1.12モル当量がより好ましく、1.05〜1.10モル当量がさらに好ましい。無水酢酸の使用量をヒドロキシ基の合計に対して1.00モル当量以上とすることにより、ヒドロキシ基のアセチル化が定量的に進行し、重合反応が速やかにおこるため好ましい。一方、無水酢酸の使用量をヒドロキシ基の合計に対して1.15モル当量以下とすることにより、本発明の実施形態の特徴である全芳香族液晶ポリエステルの末端基を前述の範囲により容易に制御することができるため好ましい。
また、従来はテレフタル酸とイソフタル酸の合計モル数と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとハイドロキノンの合計モル数は等モルとなるようにモノマー仕込みを行うことが一般的であったが、得られる全芳香族液晶ポリエステルにおけるヒドロキシ末端基量とアセチル末端基量の合計を所望の範囲に容易に制御する観点から、昇華性の高いハイドロキノンを、等モルの仕込みモノマー量に対して2〜15%の範囲で過剰に添加してもよい。
アセチル化後、酢酸を留去させながら反応を進行させるために全芳香族液晶ポリエステルの溶融温度以上に昇温し、減圧により脱酢酸重合することが好ましい。ここで、昇温工程において、重合反応液温度が250℃に到達した時に前記留出率が50〜80%となるように重合することが好ましい。留出率を50%以上とすることにより、重合反応を反応率よく進行させることができ、組成ずれの少ないポリマーが得られるため好ましく、65%以上がより好ましい。一方、留出率を80%以下とすることにより、留出酢酸とともに重合系外に留出するハイドロキノン量を低減し、全芳香族液晶ポリエステルの末端基を前述の範囲により容易に制御することができるため好ましく、75モル%以下がより好ましい。特に好ましくは73モル%以下である。アセチル化工程の温度を前述の範囲に制御してアセチル化反応率を向上させながら、かつ重合反応液温度が250℃に到達した時の留出率を65〜73モル%に制御して重合反応を行うことにより、[(a)+(b)]/(c)が1.30〜2.00である全芳香族液晶ポリエステルを容易に得ることができる。なお、重合反応液温度が250℃以上であれば留出状態が安定することから、留出率の代表的な指標として、250℃における留出率に着目した。
また、脱酢酸重合する工程としては、全芳香族液晶ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ好ましい。
重合させる温度は、全芳香族液晶ポリエステルの一般的な溶融温度、例えば、250〜365℃の範囲であり、好ましくは全芳香族液晶ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重合させるときの減圧度は、通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。重合撹拌速度は50rpm以下が好ましく、減圧度が665Pa以下になった後、所定トルクが検出されて重合を終了するまでの重合時間は0.5〜1時間が好ましい。なお、アセチル化と重合は同一の反応容器で連続して行ってもよいし、異なる反応容器で行ってもよい。
重合終了後、得られたポリマーを反応容器から取り出す方法としては、ポリマーが溶融する温度で反応容器内を加圧し、反応容器に設けられた吐出口よりポリマーを吐出させ、吐出されたポリマーを冷却水中で冷却する方法を挙げることができる。上記反応容器内の加圧は、例えば、0.02〜0.5MPaとすれば良い。上記吐出口は、反応容器下部に設ければ良い。また、ポリマーは、吐出口からストランド状に吐出させれば良い。冷却液中で冷却したポリマーをペレット状に切断することで、樹脂ペレットを得ることができる。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、加熱し、所望の重合度まで重合し、反応を完了させる方法が挙げられる。上記加熱は、全芳香族液晶ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間行なうこととすれば良い。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルの重合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を触媒として使用することもできる。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルに、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を配合して樹脂組成物を得ることができる。充填材としては、例えば、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を挙げることができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、針状酸化チタンなどの繊維状またはウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明の実施形態に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。
これら充填材のなかで、特にガラス繊維が好ましく、耐クリープ特性をより向上させることができる。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。本発明の実施形態で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で好ましい。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく、より好ましくは酸化ケイ素含有量が65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。また、シラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。また、上記充填材は2種以上を併用してもよい。
充填材の配合割合は、全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましく、30重量部以上がより好ましい。また、200重量部以下が好ましく、20〜150重量部以下がより好ましく、100重量部以下がより好ましい。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で更に酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤、離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料または顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてのカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤から選択される通常の添加剤を配合することができる。あるいは、全芳香族液晶ポリエステル以外の重合体を配合しても良い。このような配合により、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルに充填材、添加剤等を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、ドライブレンドや溶液配合法、全芳香族液晶ポリエステルの重合時添加、溶融混練などが用いることができ、なかでも溶融混練が好ましい。溶融混練には公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いることができ、なかでも二軸押出機を用いることが好ましい。溶融混練の温度は、全芳香族液晶ポリエステルの融点以上であって、融点+50℃以下とすることが望ましい。
混練方法としては、1)全芳香族液晶ポリエステル、充填材やその他の添加剤を元込めフィーダーから一括で投入して混練する方法(一括混練法)、2)全芳香族液晶ポリエステルとその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、充填材および必要であればその他の添加剤をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法)、3)全芳香族液晶ポリエステルとその他の添加剤を高濃度に含む全芳香族液晶ポリエステル組成物(マスターペレット)を作製し、次いで規定の濃度になるようにマスターペレットを全芳香族液晶ポリエステル、充填材と混練する方法(マスターペレット法)など、どの方法を用いてもかまわない。
本発明の実施形態の全芳香族液晶ポリエステルおよび充填材等を混練した全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの公知の溶融成形を行うことによって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸などの各種繊維などが挙げられる。特に射出成形品とした場合に本発明の効果が顕著に得られ、さらに金型汚れを大幅に低減できるため好ましい。
このようにして得られる全芳香族液晶ポリエステルまたは全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレーベース、リレー用スプール、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレイ部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭・事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、パワーウインド等の車載用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができ、特にプリント配線板などに有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
全芳香族液晶ポリエステルの組成分析、末端基量測定、絶対数平均分子量測定、融点測定、溶融粘度測定は以下の方法により行った。
(1)全芳香族液晶ポリエステルの組成分析
全芳香族液晶ポリエステルの組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。全芳香族液晶ポリエステルをNMR試料管に50mg秤量し、溶媒ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
(2)全芳香族液晶ポリエステル末端基量測定
全芳香族液晶ポリエステルの末端基について、カルボキシ末端基およびヒドロキシ末端基については13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)により測定した。全芳香族液晶ポリエステルをNMR試料管に50mg秤量し、溶媒ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて、観測周波数126MHz、温度80℃で13C−NMR測定を実施し、164〜165ppm付近に観測されるカルボキシ末端基由来ピーク面積および115〜115.5ppm付近に観測されるヒドロキシ末端基隣接の炭素由来ピーク面積とポリマー主鎖骨格炭素由来のピーク面積との比から末端基量を分析した。
また、アセチル末端基は、全芳香族液晶ポリエステルをNMR試料管に50mg秤量し、溶媒ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて、観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、2.5ppm付近に観測されるアセチル末端基由来のピーク面積とポリマー主鎖骨格由来のピーク面積との比から末端基量を分析した。
(3)全芳香族液晶ポリエステルの絶対数平均分子量測定
全芳香族液晶ポリエステルの絶対数平均分子量測定は、下記条件に示したゲル浸透クロマトグラフ(GPC)/LALLS法により測定した。
(GPC)
GPC装置:Waters製
検出器:示差屈折率検出器RI2410(Waters製)
カラム:Shodex K−806M(2本)、K−802(1本)(昭和電工製)
溶離液:ペンタフルオロフェノール/クロロホルム(35/65w/w%)
測定温度:23℃
流速:0.8mL/min
試料注入量:200μL (濃度:0.1%)
(LALLS)
装置:低角度レーザー光散乱光度計KMX−6(Chromatix製)
検出器波長:633nm(He−Ne)
検出器温度:23℃
(4)全芳香族液晶ポリエステルのTm(融点)の測定
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。以下の製造例においては、融点をTmと記載する。
(5)全芳香族液晶ポリエステルの溶融粘度測定
高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用いて、各製造例に記載の温度においてせん断速度1000/sで測定した。
全芳香族液晶ポリエステルとして、(a−1)〜(a−18)の18種類の全芳香族液晶ポリエステルを、製造例1〜18として作製した。そして、作製した各液晶ポリエステルについて、既述した組成分析、末端基量測定、絶対数平均分子量測定、融点(Tm)と溶融粘度の測定を行なった。以下に、各々の全芳香族液晶ポリエステルの製造方法、および、各々の全芳香族液晶ポリエステルに係る測定結果について説明する。
[製造例1]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸284重量部、イソフタル酸90重量部、さらにハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1262重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、350℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は71%となるようにした。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが15kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして全芳香族液晶ポリエステル(a−1)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−1)のTmは333℃、絶対数平均分子量は9800であり、温度343℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は45Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は8.0モル%であった。p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))と4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対するp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))の割合は75モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対する4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))の割合は60モル%、テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))とイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計に対するテレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))の割合は76モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))およびハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計とテレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))およびイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は60当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は40当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は90当量/(g・10-6)であり、ヒドロキシ末端基量とアセチル末端基量の合計とカルボキシ末端基量の比([(a)+(b)]/(c))は1.11であった。
[製造例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸845重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル375重量部、ハイドロキノン95重量部、テレフタル酸301重量部、イソフタル酸177重量部、ハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1332重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は72%となるようにした。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−2)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−2)のTmは315℃、絶対数平均分子量は10500であり、温度325℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は42Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は7.3モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は68モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は70モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は63モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は60当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は50当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は94当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.17であった。
[製造例3]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸957重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル224重量部、ハイドロキノン96重量部、テレフタル酸241重量部、イソフタル酸103重量部および無水酢酸1232重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は68%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−3)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−3)のTmは336℃、絶対数平均分子量は7800であり、温度346℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は33Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は7.9モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は77モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は58モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は70モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は77.5当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は77.5当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は131当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.18であった。
[製造例4]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸820重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル399重量部、ハイドロキノン101重量部、テレフタル酸447重量部、イソフタル酸61重量部および無水酢酸1342重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、340℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は74%となるようにした。その後、重合温度を340℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−4)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−4)のTmは327℃、絶対数平均分子量は10200であり、温度337℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は42Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は7.6モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は66モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は70モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は88モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は50当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は50当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は85当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.18であった。
[製造例5]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル377重量部、ハイドロキノン74重量部、テレフタル酸413重量部、イソフタル酸36重量部および無水酢酸1302重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は77%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−5)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−5)のTmは345℃、絶対数平均分子量は8800であり、温度355℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は35Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は5.8モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は70モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は75モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は92モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法より末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は54当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は66当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は100当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.20であった。
[製造例6]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル335重量部、ハイドロキノン50重量部、テレフタル酸262重量部、イソフタル酸112重量部および無水酢酸1252重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、350℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は64%となるようにした。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−6)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−6)のTmは325℃、絶対数平均分子量は9500であり、温度335℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は38Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は4.0モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は75モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は80モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は70モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は50当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は60当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は88当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.25であった。
[製造例7]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル218重量部、ハイドロキノン69重量部、テレフタル酸156重量部、イソフタル酸144重量部および無水酢酸1202重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、365℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は65%となるようにした。その後、重合温度を365℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−7)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−7)のTmは350℃、絶対数平均分子量は8900であり、温度360℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は32Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は5.8モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は80モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は65モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は52モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は39当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は71当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は91当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.21であった。
[製造例8]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸783重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル465重量部、ハイドロキノン92重量部、テレフタル酸498重量部、イソフタル酸55重量部および無水酢酸1372重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は69%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−8)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−8)のTmは337℃、絶対数平均分子量は8800であり、温度347℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は30Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は6.8モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は63モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は75モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は90モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は56当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は69当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は103当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.21であった。
[製造例9]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸1019重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル241重量部、ハイドロキノン36重量部、テレフタル酸121重量部、イソフタル酸148重量部および無水酢酸1182重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は77%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−9)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−9)のTmは340℃、絶対数平均分子量は9250であり、温度350℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は32Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は3.1モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は82モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は80モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は45モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は30当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は55当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は79当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.08であった。
[製造例10]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル277重量部、ハイドロキノン134重量部、テレフタル酸395重量部、イソフタル酸54重量部および無水酢酸1302重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は63%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−10)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−10)のTmは347℃、絶対数平均分子量は6900であり、温度357℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は23Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は10.4モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は70モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は55モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は88モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は67.5当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は67.5当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は106当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.27であった。
[製造例11]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸845重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル375重量部、ハイドロキノン95重量部、テレフタル酸301重量部、イソフタル酸177重量部、ハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1332重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。このとき反応促進のため反応により生成する酢酸の環流量を抑制し、留出速度を速めて250℃到達時の留出率が84%となるように昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−11)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−11)のTmは314℃、絶対数平均分子量は14600であり、温度324℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は48Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は7.3モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は68モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は70モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は63モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は24当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は24当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は51当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は0.94であった。
[製造例12]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸845重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル375重量部、ハイドロキノン95重量部、テレフタル酸301重量部、イソフタル酸177重量部、ハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1332重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、330℃まで4時間の昇温プログラムで、精留塔の冷却を強化することにより反応により生成する酢酸の環流量を増加、酢酸留出を抑制して250℃到達時の留出率を48%となるように昇温を行ったところ、酢酸の環流量を増加により重合温度の上昇が遅れ、330℃まで5時間の昇温時間がかかった。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−12)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−12)のTmは309℃、絶対数平均分子量は9800であり、温度319℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は37Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は6.7モル%であり、モノマー仕込量から計算されるハイドロキノン組成よりも0.6モル%少なく、重合時に組成ずれを起こしていることがわかった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は67モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は73モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は63モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は43当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は48当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は93当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は0.98であった。
[製造例13]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸284重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1252重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、350℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は74%となるようにした。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが5kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして全芳香族液晶ポリエステル(a−13)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−13)のTmは335℃、絶対数平均分子量は4200であり、温度345℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は9Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は8.0モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は75モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は60モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は76モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は103当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は307当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は290当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.41であった。
[製造例14]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸808重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル235重量部、ハイドロキノン208重量部、テレフタル酸419重量部、イソフタル酸105重量部および無水酢酸1352重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は75%となるようにした。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが25kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−14)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−14)のTmは311℃、絶対数平均分子量は8900であり、温度321℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は38Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は15.6モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は65モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は40モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は80モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は38当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は47当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は65当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.31であった。
[製造例15]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル302重量部、ハイドロキノン20重量部、テレフタル酸164重量部、イソフタル酸135重量部および無水酢酸1202重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は78%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−15)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−15)のTmは344℃、絶対数平均分子量は9400であり、温度354℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は42Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は1.7モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は80モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は90モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は55モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は51当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は34当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は78当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.09であった。
[製造例16]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸920重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル268重量部、ハイドロキノン109重量部、テレフタル酸299重量部、イソフタル酸90重量部、ハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1304重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら147℃で1時間反応させた後、350℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は70%となるようにした。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−16)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−16)のTmは328℃、絶対数平均分子量は11200であり、温度338℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は30Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は8.7モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は73モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は59モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は77モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は162当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は18当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は133当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.35であった。
[製造例17]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル335重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部、ハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1324重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら147℃で1時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は69%となるようにした。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−17)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−17)のTmは310℃、絶対数平均分子量は12300であり、温度320℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は33Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は7.7モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は70モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は67モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は65モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は140当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は20当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は103当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.55であった。
[製造例18]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル285重量部、ハイドロキノン129重量部、テレフタル酸388重量部、イソフタル酸60重量部、ハイドロキノンの過剰添加分として更にハイドロキノン5重量部および無水酢酸1324重量部(フェノール性ヒドロキシ基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら147℃で1時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。このとき反応により生成する酢酸の留出量と環流量を制御しながら昇温を行い、250℃到達時の留出率は70%となるようにした。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、全芳香族液晶ポリエステル(a−18)を得た。
この全芳香族液晶ポリエステル(a−18)のTmは345℃、絶対数平均分子量は9800であり、温度355℃、せん断速度1000/sで測定した溶融粘度は28Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行ったところ、構造単位全量に対するハイドロキノン由来の構造単位含有量は10.0モル%であった。構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は70モル%、構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は57モル%、構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)の割合は87モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。
また、前記方法により末端基量を測定した結果、ヒドロキシ末端基量(a)は170当量/(g・10-6)、アセチル末端基量(b)は10当量/(g・10-6)、カルボキシ末端基量(c)は110当量/(g・10-6)であり、[(a)+(b)]/(c)は1.64であった。
各製造例で得られた全芳香族液晶ポリエステルについての組成分析結果と、末端基量測定結果と、絶対数平均分子量測定結果と、各全芳香族液晶ポリエステルの製造のための重合反応温度が250℃に到達したときの留出率とを、表1に示す。
Figure 2012090407
[実施例1〜13、比較例1〜5]
前記製造例で得られた全芳香族液晶ポリエステルのペレットを、熱風乾燥機を用いて、150℃で3時間乾燥した。熱風乾燥後の液晶ポリエステル(a−1)〜(a−10)、(a−16)〜(a−18)を、それぞれ、実施例1〜13の液晶ポリエステルとした。また、熱風乾燥後の液晶ポリエステル(a−11)〜(a−15)を、それぞれ、比較例1〜5の液晶ポリエステルとした。実施例1〜6および比較例1〜5の液晶ポリエステルについて、以下に示す(1)〜(5)の評価を行った。
各製造例で得られた全芳香族液晶ポリエステルに対して、さらに充填材を加えて、実施例14〜33の液晶ポリエステル樹脂組成物、および、比較例6〜15の液晶ポリエステル樹脂組成物を作製した。各実施例および比較例において用いた充填材を次に示す。
充填材(B)
(b−1) 日本電気硝子製 ガラスチョップドストランド(ECS03T747H)
(b−2) 日本電気硝子製 ミルドファイバー(EPG70M−01N)
(b−3) 山口雲母工業製 マイカ(“ミカレット”(登録商標)41PU5)
(b−4) 富士タルク工業製 タルク(NK64)
[実施例14〜33、比較例6〜15]
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)において、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、全芳香族液晶ポリエステル(a−1〜a−18)を表3〜5に示す配合量でホッパーから投入し、場合によって充填材(b−1〜b−4)を全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して表3〜5に示す配合量でサイドフィーダーから投入した。そして、シリンダー温度を全芳香族液晶ポリエステルの融点+20℃に設定して溶融混練し、ダイからストランド状に吐出した全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を水冷バスにより冷却した後、ストランドカッターでペレタイズしてペレットとした。得られたペレットは熱風乾燥機を用いて、150℃で3時間乾燥した後、以下に示す(1)〜(5)の評価を行った。
(1)フォギング性
実施例1〜33および比較例1〜15の全芳香族液晶ポリエステルあるいは全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間予備乾燥した後、試験管(外径18.0mm×高さ75mm)に5g秤量して測定サンプルとした。穴径φ18.5mm×6個、深さ71mmのアルミブロックが2個入ったドライブロックバス(サイニクス社製)にサンプル試験管を挿入し、試験管開口上にスライドガラスを載せ、230℃で10時間加熱処理し、この際に発生したガスをスライドガラス上に付着させた。その後、このスライドガラスを直読ヘイズメーター(東洋精機社製)にてヘイズ値(曇り)を測定した。ヘイズ値は小さいほど曇りが少なくフォギング性に優れており、ヘイズ値が大きいほどガラスが曇り、フォギング性に劣る。
(2)金属接着性
実施例1〜33および比較例1〜15の全芳香族液晶ポリエステルあるいは全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)において、シリンダー温度を全芳香族液晶ポリエステルの融点+20℃の温度に設定し、金型温度90℃、射出速度120mm/s、保圧30MPa、保圧時間2秒の条件で黄銅製の端子(7mm×20mm×2mm)を短冊状試験片金型(10mm×50mm×3.2mm)内に挿入した後、射出成形を行って、図1に示すように金属端子1が5mmの深さで樹脂2に埋め込まれた金属端子抜き強度測定用試験片を作製した。引張試験機テンシロンUTA−2.5T(オリエンテック製)を用いて、金属端子部分と樹脂部分をチャックで固定して2mm/分の歪み速度で金属端子抜き強度を測定した。金属端子抜き強度が大きいほど金属接着性に優れ、金属端子抜き強度が小さいほど金属接着性に劣る。
(3)耐クリープ特性
実施例14〜33および比較例6〜15の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて、SG75H−MIV(住友重機社製)において射出成形したASTM1号ダンベル試験片を、支点間距離114mm、雰囲気温度120℃、引張応力15MPa条件下で、ASTM−D2990に準拠して引張クリープ試験を行い、引張クリープ歪みを測定した。尚、引張クリープ歪みは、変位量を支点間距離で割った値であり、実施例記載の引張クリープ歪みは、試験開始から150時間経過後の値を示し、各5回測定した平均値を用いた。この値が小さいほど、耐クリープ性に優れており、成形品が熱変形しにくいといえる。
(4)モールドデポジット
実施例1〜33および比較例1〜15の全芳香族液晶ポリエステルあるいは全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して、離型剤(LicowaxE、クラリアント製)を0.05重量部添加した後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)を用いて、シリンダー温度を全芳香族液晶ポリエステルの融点+20℃に設定し、金型温度90℃、成形サイクル12秒にて、50mm×50mm×1mm厚の角板状成形品をモールドデポジットが付着するまで最大1000ショット連続成形した。100ショット毎にモールドデポジットの付着状況を確認し、金型キャビティ内への付着が確認されたショット数を100ショット単位で評価しモールドデポジット性とした。金型キャビティ内への付着が確認されたショット数が少ないほど、モールドデポジット性が優れているといえる。
(5)滞留安定性
実施例14〜15、29〜33および比較例6、11、12の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて、高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)において、全芳香族液晶ポリエステルの融点+20℃の温度、装置内で10分間および60分間溶融滞留した後、溶融粘度をせん断速度1000/sで測定し、溶融粘度の変化として(60分間滞留時の溶融粘度)−(10分間滞留時の溶融粘度)を算出した。滞留時間による溶融粘度の差が近いほど滞留安定性に優れることを示す。
実施例1〜33および比較例1〜15の評価結果を表2〜5に示す。
Figure 2012090407
Figure 2012090407
Figure 2012090407
Figure 2012090407
表2から、本発明の実施例の全芳香族液晶ポリエステルが、フォギング性、金属接着性に優れることが明らかである。また、表3〜4から、本発明の実施例の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物が、フォギング性、金属接着性に優れ、高い耐クリープ特性を有しているとともに、射出成形時の金型汚れが少なく、量産性に秀でていることが明らかである。
さらに表2、および5からは、[(a)+(b)]/(c)が1.30〜2.00の全芳香族液晶ポリエステルおよび全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、フォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れるとともに溶融時の滞留安定性が秀でていることが明らかである。
本発明の全芳香族液晶ポリエステルおよびそれから得られる樹脂組成物、成形品はフォギング性、金属接着性、耐クリープ特性に優れ、特に電気・電子分野で有用である。
1.金属端子
2.樹脂

Claims (7)

  1. 構造単位全量に対してハイドロキノン由来の構造単位を2.0〜15.0モル%含有する全芳香族液晶ポリエステルであり、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計が50〜350当量/(g・10-6)であり、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計と、カルボキシ末端基量(c)との比[(a)+(b)]/(c)が1.05〜2.00であることを特徴とする全芳香族液晶ポリエステル。
  2. ヒドロキシ末端基量(a)と、ヒドロキシ末端基量(a)とアセチル末端基量(b)の合計との比(a)/[(a)+(b)]が0.30〜1.00であることを特徴とする請求項1に記載の全芳香族液晶ポリエステル。
  3. ゲル浸透クロマトグラフ/光散乱法により測定した絶対数平均分子量が5000〜25000であることを特徴とする請求項1または2に記載の全芳香族液晶ポリエステル。
  4. 下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成され、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステル。
    Figure 2012090407
  5. 全芳香族液晶ポリエステルの原料モノマーのヒドロキシ基を無水酢酸を用いてアセチル化した後、酢酸を留出させながら全芳香族液晶ポリエステルの溶融温度以上に昇温し、脱酢酸重合することにより全芳香族液晶ポリエステルを製造する方法であって、重合反応液温度が250℃に到達したときの下式[1]で求められる留出率を50〜80%とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルの製造方法。
    留出率(%)=留出液量(g)/[(無水酢酸仕込みモル数(mol)−原料モノマー中のヒドロキシ基モル数(mol))×無水酢酸分子量(g/mol)+(原料モノマー中のヒドロキシ基モル数(mol)×2×酢酸分子量(g/mol))]×100 [1]
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して、充填材10〜200重量部を配合してなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の全芳香族液晶ポリエステルまたは請求項6に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
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