JP2010174114A - 液晶性樹脂組成物 - Google Patents

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浩司 立川
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Abstract

【課題】流動性に優れ、かつ異方性が低く、ウェルド強度が向上した射出成形品、繊維などに好適な液晶性樹脂組成物が提供する。
【解決手段】2種の液晶性ポリエステル(A)と(B)からなる液晶性樹脂組成物であり、X線回折によって回折角度2θが18〜20°に観測される結晶ピークの半値幅が2°以上である液晶性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、異なる結晶構造、結晶性、結晶生成速度を有する2種類の液晶性ポリエステルをブレンドすることにより新たな結晶構造を生成させる技術およびその技術によって得られた液晶性樹脂組成物に関するものである。
近年、液晶性ポリエステルは、その耐熱性、流動性、寸法安定性、難燃性などを活かし、電気・電子分野で用いられ、その需要が拡大している。その中でも熱変形温度が300℃以上を示すI型と言われる高耐熱液晶性ポリエステルが多く用いられ始めている。
液晶性ポリエステルは、4−ヒドロキシ安息香酸や2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸をメソゲン単位としたものがあり、これら主骨格となる単位に芳香族ジオール/芳香族ジカルボン酸を共重合したものや、ポリアルキレンテレフタレートを共重合したものなどがある。
その中でも、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸をメソゲン単位とした液晶性ポリエステルは、誘電特性や寸法安定性、耐光性に優れていることが知られている(例えば、特許文献1〜9)。
しかし、これらの特許文献に記載の液晶性ポリエステルは、上記したような4−ヒドロキシ安息香酸をメソゲン単位とする液晶性ポリエステルに比べて優れた特性を有する一方、特性の異方性が大きく、ウェルド強度が弱いなど、液晶性樹脂の弱点がより強く発現してしまい、これらの特性を必要とする多点ゲート金型での成形を余儀なくされるコネクターなどの小型精密成形品などへの使用は難しかった。
特開昭56−10562号公報 特開2002−37869号公報 特開2004−196930号公報 特開2004−244452号公報 特開2005−75843号公報 特開2005−213418号公報 特開昭61−285249号公報 特開2006−57005号公報 特開2007−100078号公報
本発明は、特異的に流動性に優れ、かつ異方性が低く、ウェルド強度が向上した射出成形品、繊維などに好適な液晶性樹脂組成物を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶特性の異なる2種の液晶性ポリエステルをブレンドすることで新たな液晶構造が生成することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は
(1)2種の液晶性ポリエステル(A)と(B)からなる液晶性樹脂組成物であり、X線回折によって回折角度2θが18〜20°に観測される結晶ピークの半値幅が2°以上である液晶性樹脂組成物、
(2)X線回折によって観測されるピークの回折角度2θが18°以上19°未満である上記(1)に記載の液晶性樹脂組成物、
(3)液晶性ポリエステル(A)が、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位38〜45モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位27.5〜31モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位27.5〜31モル%からなる液晶性ポリエステルである上記(1)または(2)に記載の液晶性樹脂組成物、
(4)液晶性ポリエステル(B)が、特定の構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなり、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルである液晶性ポリエステルである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物、
(5)液晶性ポリエステル(A)75〜95重量%と、液晶性ポリエステル(B)5〜25重量%の合計100重量%からなる(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物を提供するものである。
本発明によって、特異的に流動性に優れ、かつ異方性が低く、ウェルド強度が向上した射出成形品、繊維などに好適な液晶性樹脂組成物が提供できる。
X線回折チャートの面積法による結晶化度の算出法のモデル図 (a)非晶部の面積 (b)結晶部の面積 X線回折チャートの半値幅の算出のモデル図
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、2種の液晶性ポリエステル(A)と(B)からなる液晶性樹脂組成物であり、X線回折によって回折角度2θが18〜20°に観測される結晶ピークの半値幅が2°以上である。
ここでいう結晶ピークとは、銅管球(波長λ=1.5418Å)を用いたX線装置で、2θが2〜60°の範囲で測定したX線回折チャートの最も大きなピークをいう。従来のネマチック液晶性ポリエステルにおいては、2θが19〜21°に観測される。ただし、最も大きなピークであっても、ピークの面積法によって算出した結晶化度が40%未満である場合には、結晶ピークとは見なさない。以下、図面を用いて、面積法と半値幅を説明する。
面積法とは、図1に示すように、X線回折チャートを平滑化処理し、ベースライン線とピーク裾野の交点(変曲点)から、ピーク裾野の立ち上がりに接線を引き、ピーク両端の変曲点から引いた接線の交点を導く。ベースラインと、この2本の接線とで囲まれた3角形の面積を(a)とし、2本の接線から上のピーク部分の面積を(b)とした際に、結晶化度(%)=(b)/((a)+(b))として求める方法である。
半値幅の求め方は、図2に示したようにX線回折チャートの結晶ピーク強度(I)の半分の強度(I/2)の位置でのピーク幅(β)として求められる。
一般的に知られている液晶性ポリエステルやその組成物は、X線回折によって2θが19〜21°に観測される結晶ピークの半値幅は0.5〜1.8°程度である。これまでどのような組成の液晶性ポリエステルでも、液晶メソゲンの連続性により、その組成物でも半値幅2°以上をとることはなかった。
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、結晶ピークの半値幅が2°以上となり、結晶子が小さくなると、特性バランスが向上し、耐熱性、異方性などが改良され、ウェルド強度保持率が向上する。結晶ピークの半値幅が2°以上であるということは、液晶性ポリエステル組成物が、緻密な結晶子を作っていることを意味する。
結晶ピークの半値幅が、2.5°以上であると、特に、強度と靱性がともに向上する特異的な挙動を示すため好ましい。結晶ピークの半値幅の上限は、3°が好ましい。結晶ピークの半値幅が3°を超えると、液晶性が低下し始め、流動性や寸法安定性などが低下する場合がある。
一般的な結晶性の液晶性ポリエステルまたはその組成物は、X線回折によって観測される結晶ピークの回折角2θが19〜21°に結晶ピークが観測されるが、これは、どのような組成の液晶性ポリエステルであっても、融点を加工できる範囲とするために、メソゲン単位に他の成分を共重合することによって、それらの非メソゲン部位が歪みを受け止めることによりメソゲン構造が極近接した間隔で結晶化しているため、このような2θの範囲に結晶ピークを有するものである。
本発明の液晶性樹脂組成物は、X線回折によって観測される結晶ピークの回折角2θが18〜20°であり、好ましくは、18°以上19°未満である。2θが18〜20°の際に、特異的な流動性やウェルド強度の発現効果が顕著になる。
本発明は、2種の液晶性ポリエステルをブレンドした場合に、結晶ピークの回折角2θが18〜20°、好ましくは、18°以上19°未満になることを見出したものである。
結晶ピークの回折角2θが18〜20°に観測される結晶ピークの半値幅が2°以上ということは、本願の液晶性樹脂組成物の好ましい形態では、4.675Å以上という広い面間隔を有していることを示しており、このように広い結晶面間隔を持つ液晶性樹脂組成物はこれまで知られていない。
X線に対する試料の配向の傾きについては、任意であるが、配向方向が明らかな場合には、配向方向に垂直にX線が照射されるように試料をセットすると強い回折ピーク強度が得られ、算出がしやすい。
なお、結晶性は、冷却状態によって左右されることが一般的に知られているが、液晶性ポリエステルの固化速度は非常に速く、冷却速度の影響をほとんど受けないため、サンプルの溶融固化時の冷却状態は任意である。
本発明の液晶性ポリエステル(A)と(B)からなる液晶性樹脂組成物は、上述したように組成物の結晶ピークの半値幅が2°以上であれば良いが、液晶性ポリエステル(A)の降温結晶化温度(TcA)が液晶性ポリエステル(B)の融点(TmB)よりも高く、(A)の降温結晶化熱量(ΔHcA)が(B)の降温結晶化熱量(ΔHcB)よりも大きいことが好ましい。
具体的には、液晶性ポリエステル(A)の降温結晶化温度(TcA)が液晶性ポリエステル(B)の融点(TmB)よりも2〜10℃高く、(A)の降温結晶化熱量(ΔHcA)が(B)の降温結晶化熱量(ΔHcB)の2〜10倍であることがより好ましい。このような場合には、液晶性樹脂組成物のX線回折による結晶ピークの半値幅が2以上となり、本発明の効果である特異的な流動性向上効果や、ウェルド強度などの向上効果がより一層得られる。
更に好ましくは、液晶性ポリエステル(A)の降温結晶化温度(TcA)が液晶性ポリエステル(B)の融点(TmB)よりも4〜8℃高く、(A)の降温結晶化熱量(ΔHcA)が(B)の降温結晶化熱量(ΔHcB)の4〜8倍であることがより好ましい。このような場合には、本発明の効果である特異的な流動性向上効果や、ウェルド強度、靱性の向上効果がより一層顕著に得られる。
ここでいう降温結晶化温度、融点、降温結晶化熱量は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却する際に観測される発熱ピーク温度が降温結晶化温度(Tc)、そのピーク面積に相当する熱量が降温結晶化熱量(ΔHc)であり、冷却後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度が融点(Tm)である。
本発明の液晶性樹脂組成物のうち、液晶性ポリエステル(A)は、好ましくは、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
液晶性ポリエステル(A)は、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルである。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ4,4’−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
特に好ましいのは、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位からなる液晶性ポリエステルであり、この液晶性ポリエステルでは、融点および降温結晶化温度が高く、降温結晶化熱量が大きいため、本発明の効果が顕著に得られるため好ましい。
より好ましくは、液晶性ポリエステル(A)が、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位38〜45モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位27.5〜31モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位27.5〜31モル%からなる液晶性ポリエステルでは、降温結晶化熱量が特に大きいため、本発明の効果である特異的流動性向上効果が顕著に得られ好ましい。2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位38モル%未満においては、溶融重合が難しくなり、本発明のブレンド効果を発現させるのに必要な樹脂の均質性を得られにくくなる。2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位45モル%超では、融点が低くなり、液晶性ポリエステル(B)の選択の幅が狭くなり、かつ本発明の効果である特異的な結晶構造の構築がし難くなり、強度、靱性のバランス良い向上効果が得られにくい。
上記組成の液晶性ポリエステルにおいては、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長は0.1〜1であることがブレンドした際の相溶性の観点から好ましく、更に好ましくは0.2〜0.8である。2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が上記範囲の場合には、液晶メソゲンが分子鎖方向に均質に分散しているため、1分子鎖当たりの特性変動が少なくなる。またそれによって、分子鎖間相互作用の偏在も解消されるために、結晶部位の偏在がないブレンドに適した液晶性ポリエステルが得られる。
このような2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長を制御するために、ランダム化触媒を重合時に添加することが可能である。
ここでいうランダム化触媒とは、重合後半で2−オキシ−6−ナフトイルの連鎖のエステル結合と2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくは4,4’−ジヒドロキシビフェニルの水酸基もしくはカルボキシル基または、これらが形成するエステル基との交換反応を促進する触媒をいう。
ランダム化触媒は、300℃以上の高温、酸性条件化などでも作用する必要があり、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アルミニウム、酢酸マンガン、酢酸スズ、酢酸鉛、酢酸カルシウムなどの酢酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムなどのリン系化合物の金属塩、塩化ハフニウム、塩化スカンジウムなどのルイス酸性の高い金属ハロゲン化物などが挙げられる。なかでも、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムが好ましく、特に酢酸ナトリウムが好ましい。酢酸ナトリウムを用いた場合には、ランダム化効果とともに重合の促進効果が得られ好ましい。
ランダム化触媒の添加量は0.001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.08重量%、更に好ましくは0.02〜0.05重量%である。ランダム化触媒が上記範囲においてはランダム化が促進され好ましい。ランダム化触媒は少なすぎるとそのランダム化促進効果は得られず、多すぎると残存したランダム化触媒により、耐熱安定性の低下などが起こるため好ましくない。
上記液晶性ポリエステル(A)の溶融重合方法は、例えば以下に示す方法によって行うことができる。
(1)2−アセトキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸から溶融脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、溶融脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸のジフェニルエステルから溶融脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを加え、溶融脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニルに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基の一部をアシル化した後、溶融脱酢酸重縮合によって酢酸を留去し、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを加えて溶融脱メタノール重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(6)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニルに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、発生した酢酸を系内から除去し、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを加え、溶融脱酢酸/酢酸メチル重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
なかでも、液晶性ポリエステル(A)の溶融重合方法は、(2)の製造方法が上記した反応制御の点から好ましい。
液晶性ポリエステル(A)の溶融重合方法において、無水酢酸の使用量は、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニルのアセチル化しようとするフェノール性水酸基の合計の1.15当量以下であることが好ましく、1.10当量以下であることがより好ましく、下限については1.02当量以上であることが好ましい。存在するフェノール性水酸基の一部のみをアセチル化する場合にも、同様にアセチル化しようとするフェノール性水酸基に対して1.15当量以下、より好ましくは1.10当量以下、下限については1.02当量以上の無水酢酸を用いることが好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル(A)の製造方法としては、例えば、所定量の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、得られる液晶性ポリエステルの融点+20〜+40℃まで昇温し、減圧下溶融重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。
アセチル化させる条件は、通常130〜150℃の範囲、好ましくは135〜148℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは1.5〜3時間反応させる。
重縮合させる条件は、液晶性ポリエステルの融点+20〜40℃の温度で、より好ましくは融点+25〜35℃の温度で、減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
重合で得られたポリマーは、それが上記温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。
本発明の液晶性樹脂組成物のうち、液晶性ポリエステル(A)を製造する際に、更に、固相重合法により高粘度化することも可能である。例えば、上記得られた本発明の液晶性ポリエステルを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。
液晶性ポリエステル(A)の溶融重縮合反応は無触媒でも進行するが、ランダム化触媒を用いた場合には、溶融重縮合においても触媒効果が得られる場合もある。更に、重合触媒として、第一錫、ジブチル錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。好重合触媒は、好ましくは、ジブチル錫、テトラブチルチタネートであり、より好ましくはジブチル錫である。
重合触媒の配合量は、得られる液晶性ポリエステルに対して、0.001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%、更に好ましくは0.02〜0.05重量%である。
本発明の液晶性樹脂組成物のうち、液晶性ポリエステル(A)は、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明液晶性樹脂組成物のうち、液晶性ポリエステル(A)の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+20℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の液晶性樹脂組成物のうち、液晶性ポリエステル(B)は、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
液晶性ポリエステル(B)は、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルである。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ4,4´−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
液晶性ポリエステル(B)は、特に好ましくは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性ポリエステルである。この液晶性ポリエステルは、降温結晶化熱量が小さいため、本発明の効果が顕著に得られるため好ましい。
Figure 2010174114
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%である場合に液晶性ポリエステル(A)の降温結晶化温度と適度な関係にある融点をもつ液晶性ポリエステルとなり好ましく、より好ましくは68〜75モル%である。構造単位(I)が、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であると、特に本発明のウェルド強度の向上効果が顕著に得られ好ましい。
また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%である場合に、降温結晶化熱量が小さくなり好ましく、65〜73モル%では特に本発明の効果である流動性向上効果や靱性の向上効果が顕著に得られ好ましい。
また、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%である場合に液晶性ポリエステル(A)の降温結晶化温度に対して融点が好ましい範囲になり好ましく、60〜70モル%である場合には、強度の向上効果が顕著になりより好ましく、更に62〜68モル%である場合には、特異的な流動性向上効果が顕著に得られ好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計)は等モルであることが好ましく、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステル(B)の製造方法は、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましい。
さらに、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、等モルであることが好ましい。
無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.15当量以下であることが好ましく、1.10当量以下であることがより好ましく、下限については1.0当量以上であることが好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル(B)を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル(B)を製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステル(B)の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステル(B)は、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性ポリエステル(B)の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の液晶性樹脂組成物では、液晶性ポリエステル(A)と液晶性ポリエステル(B)の配合比率は、(A)と(B)の合計100重量%とした場合に、液晶性ポリエステル(A)75〜95重量%と液晶性ポリエステル(B)5〜25重量%である場合に本発明の効果である特異的流動性、ウェルド強度、強度、靱性の向上効果が顕著に得られ好ましく、(A)80〜90重量%と液晶性ポリエステル(B)10〜20重量%である場合には異方性の低減効果が更に顕著に得られるためより好ましい。
本発明の液晶性樹脂組成物は、溶液配合法、溶融混練などの方法で製造することが用いることができ、溶融混練が好ましい。
溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステル(A)の融点−20℃〜融点+50℃以下の温度範囲で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい。
本発明の液晶性樹脂組成物には任意に充填材を用いることができる。充填材は、例えば繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
これら充填材のなかで特にガラス繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく用いられ、より好ましくは65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
充填材の配合量は、液晶性樹脂組成物100重量部に対し、通常1〜200重量部である場合に充分な補強効果が得られ、5〜150重量部である場合には、本発明の効果である強度と靱性の向上が顕著に得られ好ましい。
本発明の液晶性樹脂組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の液晶性樹脂組成物に任意の充填材、添加剤を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、ドライブレンドや溶液配合法、液晶性ポリエステルの重合時添加、溶融混練などが用いることができ、溶融混練が好ましい。
溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステルの融点以上融点+50℃以下で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい。
混練方法としては、1)液晶性ポリエステル、任意成分である充填材、その他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルにその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性ポリエステル、任意成分である充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステルと任意成分であるその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの任意成分である充填材、その他の添加剤を添加する分割添加法、4)液晶性樹脂組成物を製造した後、液晶性組成物ペレットと任意成分である充填材、その他の添加剤との一括混練方法、5)液晶性樹脂組成物を製造した後、液晶性組成物にその他の添加剤を高濃度に含む液晶性樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性樹脂組成物、任意成分である充填材、その他の添加剤とを添加する方法(マスターペレット法)、6)液晶性樹脂組成物を製造した後、液晶性樹脂組成物と任意成分であるその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの任意成分である充填材、その他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
かくして得られる本発明の液晶性樹脂組成物は、特異的な流動性を有し、ウェルド強度、強度と靱性のバランス、低異方性などに優れている。
本発明の液晶性樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品に加工することが可能である。
ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などが挙げられ、特に射出成形品や繊維とした場合に流動性などの本発明の効果が顕著に得られ好ましい。
このようにして得られた液晶性樹脂組成物からなる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルム、シート用途としては自動車内部天井、ドアトリム、インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイドフレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよびそれらの周辺部品に有用である。
また繊維としては、一般産業用資材、土木・建築資材、スポーツ用途、防護衣、ゴム補強資材、電気材料(特に、テンションメンバーとして)、音響材料等の分野で広く用いられるが、特に織物の形態で使用する用途に適している。特に有効な用途としては、スクリーン紗、コンピュターリボン、プリント基盤用基布、エアーバッグ、飛行船、ドーム用等の基布、ライダースーツ、釣糸、各種ライン(ヨット、パラグライダー、気球、凧糸)、PET用鎖代替糸、ブラインドコード、網戸用支持コード、自動車や航空機内各種コード、電気製品やロボットの力伝達コード等がある。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
液晶性ポリエステル(A)
製造例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸621重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル410重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸476重量部、酢酸ナトリウム0.27重量部および無水酢酸865重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、370℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を370℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−1)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、345℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は318℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は5.8J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12500であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度355℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
製造例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸549重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル444重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸516重量部、酢酸ナトリウム0.27重量部および無水酢酸863重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、370℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を370℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−2)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、350℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は322℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は6.2J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
製造例3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸642重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル389重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸452重量部、酢酸ナトリウム0.27重量部および無水酢酸852重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、365℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を365℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−3)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、345℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は321℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は6.8J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が11800であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度365℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が18Pa・sであった。
製造例4
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸697重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル371重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸431重量部、酢酸ナトリウム0.27重量部および無水酢酸864重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、370℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を370℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−4)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、337℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は312℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は4.2J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12800であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度347℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
製造例5
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸621重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル410重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸476重量部および無水酢酸865重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、370℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を370℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−5)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、348℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は308℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は4.3J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12400であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度358℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が22Pa・sであった。
製造例6
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸621重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル410重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸476重量部、酢酸ナトリウム0.27重量部および無水酢酸865重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、280℃まで2時間で昇温し1時間保持後、さらに0.5時間で310℃まで昇温し2.5時間保持し、得られた重合体を抜き出した。抜き出した重合体を粉砕機で粉砕し、得られた粉末を25℃から250℃まで1時間で昇温した後、さらに同温度から320℃まで8時間で昇温し8時間保持して固相重合を行った。
この液晶性ポリエステル(A−6)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、356℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は305℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は3.4J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が13200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度366℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が32Pa・sであった。
製造例7
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸549重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル481重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸559重量部、酢酸ナトリウム0.29重量部および無水酢酸908重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、280℃まで2時間で昇温し1時間保持後、さらに0.5時間で310℃まで昇温し2.5時間保持し、得られた重合体を抜き出した。抜き出した重合体を粉砕機で粉砕し、得られた粉末を25℃から250℃まで1時間で昇温した後、さらに同温度から330℃まで8時間で昇温し5時間保持して固相重合を行った。
この液晶性ポリエステル(A−7)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、372℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は308℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は4.2J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12600であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度382℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が25Pa・sであった。
液晶性ポリエステル(B)
製造例8
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を339重量部、および無水酢酸965重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(B−1)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、335℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は273℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は1.6J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度345℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が21Pa・sであった。
製造例9
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸907重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を457重量部、および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(B−2)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、283℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は235℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は1.9J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が13300であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度293℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が38Pa・sであった。
製造例10
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(B−3)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、314℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は268℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は3.1J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12000であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
製造例11
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル327重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(B−4)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、314℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は264℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は0.9J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が21Pa・sであった。
製造例12
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル419重量部、テレフタル酸344重量部、イソフタル酸30重量部および無水酢酸1240重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2.5時間反応させアセチル化を終了した後、375℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を375℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に12分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(B−5)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、355℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は303℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は1.5J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12300であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度365℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が22Pa・sであった。
製造例13
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸970重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル229重量部、ハイドロキノン83重量部、テレフタル酸303重量部、イソフタル酸26重量部および無水酢酸1211重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2.5時間反応させアセチル化を終了した後、365℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を365℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に50分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(B−6)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、351℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は305℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は2.4J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が11200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度361℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が18Pa・sであった。
製造例14
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸1007重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル223重量部、ハイドロキノン56重量部、テレフタル酸165重量部、イソフタル酸119重量部および無水酢酸1181重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2.5時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に50分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(B−7)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、335℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は271℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は0.5J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12500であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度345℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
製造例15
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸808重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル440重量部、ハイドロキノン87重量部、テレフタル酸366重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1340重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2.5時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に50分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(B−8)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、332℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は274℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は0.9J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12300であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度342℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が21Pa・sであった。
製造例16
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル292重量部、ハイドロキノン125重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1290g(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、335℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を335℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(B−9)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、310℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は258℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は0.6J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度320℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が21Pa・sであった。
製造例17
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸796重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル465重量部、ハイドロキノン82重量部、テレフタル酸501重量部、イソフタル酸38重量部および無水酢酸1330重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、370℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を370℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(B−10)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は、348℃、Tc(液晶性ポリエステルの降温結晶化温度)は298℃、ΔHc(液晶性ポリエステルの降温結晶化熱量)は2.2J/gで、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12100であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度358℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
充填材(C)
C−1 日本電気硝子製 Eガラスチョップドストランド(ECS−03T747H)。
C−2 山口雲母工業所製 マイカ(ミカレット)
C−3 日本タルク製 タルク(NK64) 。
実施例1〜16、比較例1〜33
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)に、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。
ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、液晶性ポリエステル(A)および(B)を表1〜3に示す配合量でホッパーから投入し、場合によって充填材(C−1〜C−3)を液晶性樹脂組成物の合計100重量部に対して表1に示す配合量でサイドから投入し、シリンダー温度を液晶性ポリエステル(A)の融点+10℃に設定し、溶融混練してペレットとした。
得られた液晶性樹脂組成物のペレットを熱風乾燥後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)に供し成形品を得て、下記(1)〜(5)の評価を行った。また、繊維評価について下記(6)の評価を行った。結果は表1〜3に示す。
(1)X線回折
理学製X線回折装置RINT2000を用い、銅管球で縦制限0.6mm、横制限0.2mmのスリットを用い、成形品を流動方法がX線に対して直角になる方向にセットし、電圧40V、電流20Aで2θ=10〜40°の範囲を測定した。2θ18〜21°に得られる回折ピークについて、ベースライン線とピーク裾野の交点(変曲点)から、ピーク裾野の立ち上がりに接線を引き、ピーク両端の変曲点から引いた接線の交点を導き、ベースラインと、この2本の接線とで囲まれた3角形の面積を(a)とし、2本の接線から上のピーク部分の面積を(b)とした際に、結晶化度(%)=(b)/((a)+(b))として求め、結晶化度40%のピークについて、半値幅とピーク頂点の2θ値を求めた。
半値幅については、ベースラインからピーク頂点までのピーク強度の半分の値におけるピークの幅を算出して求めた。
(2)流動性
ファナック社製ロボショットa30C電動射出成形機を用い、幅12.7mm×長さ150mm×0.3mm厚の金型を用い、シリンダー温度を全芳香族液晶性ポリエステルの融点Tm+10℃、金型温度を80℃に設定して、射出速度100MPa、射出速度300mm/sでの流動長を評価した。流動長が長いものほど流動性に優れることを示している。
(3)引張特性
上記の成形機を用いて、3.2mm厚×テスト部の幅6.4mm×127mm長のダンベル型テストピースを成形し、ASTM D638−08に従い、引張強度、伸びを測定した。
(4)異方性
上記の成形機を用いて、幅70mm×長さ70mm×厚2mmの角板を成形し、角板の流動方向(MD)および流動方向に直角の方向(TD)の成形収縮率を測定し、成形収縮率の比=流動方向(MD)の成形収縮率/直角方向(TD)の成形収縮率を求め,異方性を評価した。
(5)ウェルド強度
上記成形機を用いてJIS4号ウェルド試験片を成形し、曲げ強度をASTMD790−07e1に従い測定し、ウェルド曲げ強度保持率(%)(ウェルドあり/ウェルドなし×100)を評価した。
(6)繊維強度
表1に示す液晶性樹脂組成物をそれぞれ、二軸押出機にサンドパックと紡出装置を備えた紡糸器により、0.1mmφ5mm長の直孔ノズルから液晶性ポリエステル(A)の融点+10℃でドラフト比4倍で紡糸を行った。得た繊維をドラムに巻いた状態で270℃24時間窒素気流下で固相重合処理を行った。繊維強度をJIS L1013−1999に準じオリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて10本について測定し、繊維強度の数平均値を算出した。
Figure 2010174114
Figure 2010174114
Figure 2010174114
表1〜3から、本発明の液晶性樹脂組成物は、半値幅2°以上の特異な結晶構造を有しており、高流動性、引張強度と靱性が共に高い、高ウェルド強度、低異方性といった特性を有していることがわかる。
また、この効果を好ましく発揮させるためには、熱的性質が特定の関係にある液晶性ポリエステル同士をブレンドすることがより重要であることがわかる。
特に、(A−1)と(B−4)の構造の液晶性樹脂組成物においては、本発明の効果が顕著に得られることがわかる。また、その効果は、 液晶性ポリエステル(A)と(B)の配合比率が極狭い特定の範囲にのみ得られる特異的なものであることがわかる。
さらに、本発明の効果は、充填材を配合した系においても得られ、特に異方性の低減などの効果が顕著になることがわかる。
また、本発明の液晶性樹脂組成物は、繊維とした際にこれまでの液晶性樹脂単独の繊維に比べ高強度の繊維が得られることがわかる。
薄肉でウェルド部を有する高寸法安定性を要求される小型コネクターや、高強度繊維として特に有用である。

Claims (5)

  1. 2種の液晶性ポリエステル(A)と(B)からなる液晶性樹脂組成物であり、X線回折によって回折角度2θが18〜20°に観測される結晶ピークの半値幅が2°以上である液晶性樹脂組成物。
  2. X線回折によって観測されるピークの回折角度2θが18°以上19°未満である請求項1に記載の液晶性樹脂組成物。
  3. 液晶性ポリエステル(A)が、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位38〜45モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位27.5〜31モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位27.5〜31モル%からなる液晶性ポリエステルである請求項1または2に記載の液晶性樹脂組成物。
  4. 液晶性ポリエステル(B)が、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなり、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルである液晶性ポリエステルである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物。
    Figure 2010174114
  5. 液晶性ポリエステル(A)75〜95重量%と、液晶性ポリエステル(B)5〜25重量%の合計100重量%からなる請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物。
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