JP2009249536A - 液晶性樹脂射出成形材料およびその製造方法 - Google Patents

液晶性樹脂射出成形材料およびその製造方法 Download PDF

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恵子 大里
Koji Tachikawa
浩司 立川
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秀之 梅津
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Abstract

【課題】剛性、靭性、耐衝撃性に優れ、異方性が低下し、帯電防止を実現した液晶性樹脂射出成形材料とその製造方法が提供できる。
【解決手段】(A)液晶性ポリエステル100重量部に対し、(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム0.1〜200重量部が配合された液晶性樹脂組成物および(A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム0.1〜200重量部を配合し、剪断応力が0.02〜2MPaにおいて溶融混練することを特徴とする液晶性樹脂射出成形材料の製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性ポリエステルに層状のチタン酸カリウムがナノオーダーで分散した液晶性樹脂射出成形材料、およびその製造方法に関するものである。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。
しかし、その一方で液晶性ポリエステルは、弾性率の厚み依存性が大きく、薄肉で高配向した場合には、高弾性率が得られるが、厚肉部や流動方向の変局部などでは、その弾性率は大きく低下してしまうために、製品設計が難しいという課題があった。
これらの課題に対し、機械的強度の向上の観点から、これまでにも無機強化材となるチタン酸金属塩を配合する検討(例えば特許文献1)がなされている。
しかし特許文献1では、無機強化材としてチタン酸金属塩を配合し、はんだ付け後の曲げ強度の向上を検討しているが、曲げ強度の低下は防げているものの、強度の向上効果はほとんど得られていない。
特開2003−213139号公報(第1〜2頁)
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、液晶性樹脂中にチタン酸カリウムが、ナノメートルオーダーで分散した、厚肉部でも強度に優れた液晶性樹脂射出成形材料を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、層状のチタン酸カリウムを用いることにより、上記課題が解決された液晶性樹脂射出成形材料および成形品が得られ、さらには靱性、耐衝撃性が向上し、異方性の低下、帯電防止に効果が発現することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は
(1)(A)液晶性ポリエステル脂100重量部に対して、(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム0.1〜200重量部を配合してなる液晶性樹脂射出成形材料、
(2)(A)液晶性ポリエステル中に(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムが平均長径10〜30000nm、厚み1〜900nmの板状粒子として分散する上記(1)に記載の液晶性樹脂射出成形材料、
(3)(A)液晶性ポリエステル中に分散する(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムの板状粒子間の距離が1000nm未満である上記(2)に記載の液晶性樹脂射出成形材料、
(4)(A)液晶性ポリエステル100重量部に対して、さらに充填剤1〜300重量部を配合してなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性樹脂射出成形材料、
(5)(A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム0.1〜200重量部を配合し、0.02〜2MPaの剪断応力のもとで溶融混練して製造することを特徴とする液晶性樹脂射出成形材料の製造法、
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性樹脂射出成形材料よりなる成形品を提供するものである。
本発明で使用する液晶性ポリエステルは、異方性溶融相を形成し得るポリエステルであり、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルである。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられる。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
特に好ましいのは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性ポリエステルである。
Figure 2009249536
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、より好ましくは68〜75モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、より好ましくは65〜73モル%である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、好ましくは60〜70モル%であり、より好ましくは62〜68モル%である。
特に、構造単位(IV)が構造単位(IV)および(V)の合計に対して62〜68モル%である場合には、本発明の特性である成形加工性がバランス良く発現するため好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましい。
さらに、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルである。無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.15当量以下であることが好ましく、1.10当量以下であることがより好ましく、下限については1.0当量以上であることが好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。
例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。
重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステルは、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
なお、本発明では、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
次に、本発明の(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムについて説明する。
ここでいう層状とは、薄板状結晶が二層以上に積層している構造をいう。一般的な板状や鱗片状とは、結晶構造が積層しておらず、単層のものであり、本発明の層状とは異なるものである。
(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムは、例えば特開2000−265158号に開示の方法に従い、2−チタン酸カリウムは酸化チタンと炭酸カリウムを反応容器中で水中にスラリーとし、1〜5時間撹拌することにより水洗した後、900℃前後で1〜3時間焼成し、解砕、分級することによりにより、4−チタン酸カリウムは2−チタン酸カリウムを水中にスラリーとし、1〜5時間撹拌することにより水洗した後、900℃前後で1〜3時間焼成し、解砕、分級することにより製造できる。
層状の2−チタン酸カリウムと4−チタン酸カリウムは、それぞれ単独で用いても、混合物でもよいが、層状の4−チタン酸カリウムが好ましい。
(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムの配合量は(A)液晶性ポリエステル100重量部に対し、0.1〜200重量部であり、より好ましくは、1〜100重量部、更に好ましくは2〜50重量部、特に3〜20重量部が好ましい。(B)の配合量が少なすぎると本発明の効果である剛性の向上、異方性の低下が得られず、(B)の配合量が多すぎると、分散する(B)の粒子間距離が近づきすぎて靭性の向上効果が得られにくくなる。
(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムを液晶性樹脂中にナノオーダーで分散するために、場合によっては(B)を前処理することが可能である。前処理の例としては、(B)の層間距離を開いて(A)中への分散性を良くするために、(B)を硝酸もしくは塩酸中で攪拌して層間のカリウム塩をプロトン交換し、水溶液中でプロピルアンモニウムと攪拌して、層間へのプロピルアンモニウムの導入を行うことができる。こうして層間距離を開いた(B)はより(A)中に単層分散しやすく好ましい。
本発明の液晶射出成形材料とは、射出による高剪断応力を加えることにより、(A)液晶性ポリエステル中に(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムを単層分散させたものである。押出機による溶融混練では一旦は単層分散した(B)が再び凝集し、本発明の効果である靭性の向上、異方性の低下および帯電防止への効果が得られない。
本発明の液晶性射出成形材にはさらに、充填材を配合することができ、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。
具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、6−チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。
本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
これら充填材のなかで特にガラス繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく用いられ、より好ましくは65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
充填材の配合量は、液晶性樹脂組成物100重量部に対し、好ましくは1〜300重量部であり、さらに好ましくは10〜100重量部である。充填材の配合量が最適である場合、本発明の強度向上効果が顕著に得られ好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、(A)液晶性ポリエステルと(B)2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムおよびその他の添加剤、充填材を溶融混練することが好ましい。
溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性樹脂の液晶開始温度−50℃〜融点+50℃で溶融混練して液晶性樹脂組成物とすることができるが、特に二軸押出機で溶融混練することが好ましい。
ここで液晶開始温度とは、せん断速度1000(1/秒)の条件下で(A)液晶性ポリエステルが流動を開始する温度であり、例えば剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,000(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を測定することで定められる。
溶融混練においては、(A)液晶性ポリエステルに(B)2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムを単層分散させるために、高剪断応力を加えることが好ましく、剪断応力が0.02〜2MPaが加わることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.5MPaであり、さらに好ましくは0.05〜0.2MPaである。
ここでいう剪断応力(τ)は、例えば樹脂温度における樹脂溶融粘度(μ)とスクリュー回転数(W)、スクリュー直径(R)および吐出量(P)から求められるスクリュー間流路を流れる樹脂流量(Q)およびスクリュー間流路の最小面積(S)を円換算して得られる半径(r=(S/π)1/2)から下式(1)によって算出される剪断速度(Dw)から算出(τ=μ・Dw)できる。
Dw=Q/(πr)=(11.8W/ρ+1.4RP)/πr −(1)。
図1は、スクリュー間のニーディングブロック噛み合い部の一実施態様を示す断面図であり、スクリュー軸左(1)の再近接ニーディングブロック(2)とスクリュー軸右(3)の再近接ニーディングブロック(4)とでスクリュー間樹脂流路の最小断面積(S)が形成される。
このような剪断応力を発生する好ましい方法として、流路の狭いスクリューエレメントを用いたり、高速でスクリューを回転させたり、樹脂温度を液晶性樹脂の液晶開始温度〜液晶開始温度+50℃程度とすることが挙げられる。
このような条件で溶融混練した場合に、(A)中に(B)が平均長径10〜30000nm、厚み1〜900nmの単層として、互いに塊を形成することなく分散している形態が好ましく、さらに好ましくは平均長径20〜5000nm、厚み5〜250nmであり、最も好ましくは平均長径45〜95nm、厚み8〜15nm。ここでいう塊とは、原料である(B)が全く劈開していない状態を指す。さらにここでいう長径とは層粒子の平面部分の最も長い経をいう。
また、(A)液晶性ポリエステル中に分散する(B)2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムの層粒子間の平均面間距離が1000nm未満であることが好ましく、さらに好ましくは500nm未満であり、より好ましくは250未満nmである。面間距離が離れすぎていると、(B)による異方性低減の効果が得られにくくなる。平均面間距離の下限は1nmであり、好ましくは5nm以上である。
単層粒子の長径、厚み、2つの単層粒子間の平均面間距離の測定は、例えば液晶性樹脂組成物の任意断面をダイヤモンドナイフで切削し、切片を透過型電子顕微鏡観察することによって測定し、粒子100個の数平均値として算出できる。
混練方法としては、1)液晶性ポリエステル、層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム、任意成分である充填材、その他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルに層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムを高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性ポリエステル、層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム、任意成分である充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステルとその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム、任意成分である充填材、その他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
かくして得られる本発明の液晶性樹脂射出成形材料は、剛性、靭性に優れ、異方性が小さく、帯電防止性の良好な組成物である。
本発明の液晶性樹脂射出成形材料は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などに加工することが可能であるが、特に射出成形が好ましく、射出成形による高剪断下で成形することで(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムの凝集を防ぎ、本発明の効果を顕著に発現させることができる。
このようにして得られた液晶性樹脂射出成形材料は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例中の剛性、靱性、耐衝撃性、異方性、帯電防止性は次の方法により測定した。
(1)曲げ弾性率
ペレットをファナック(株)製ロボショットα30c型射出成形機に供し、金型温度90℃、シリンダー温度融点+10℃に設定し、1速1圧の条件(射出速度99%、射出圧力を最低充填圧力+5kgf/cm2)で幅12.7mm×長さ150mm×厚み3.2mmの成形品を射出成形し、曲げ弾性率をASTM D790に従い測定した。
(2)引張り伸び
引張り伸びをASTM D638に従い測定した。
(3)Izod衝撃強度
上記成形機を用いて64mm×12.7mm×3.2mm厚のIzod衝撃試験片を作製し、ノッチ有りでASTM D256に従い測定した。
(4)薄肉異方性
上記成形機を用いて50mm四方×厚み1mmで一辺をフィルムゲートとした角板成形品を作製し、ゲートから流動末端方向をMD、直角方向をTDとし、それぞれの方向に12.7mm幅で切削して、長さ50mm×幅12.7mm×厚み1mmの切削片をそれぞれ得た。このMDおよびTD方向の切削片の曲げ強度をASTM D790に従い測定し、薄肉曲げ強度の異方性を(MD方向の切削片の曲げ強度/TD方向の切削片の曲げ強度)として算出した。算出値の小さい方が低異方性に優れている。
(5)帯電圧及び帯電圧減衰半減期
上記角板型試験片を作製し、スタティックオネストメーター(宍戸製)で測定した。成形品と印加電極との距離を15mm、検出電極との距離を20mmとし、10kVの電圧を5秒間印加し、そのときの初期帯電圧を読みとった。帯電圧減衰半減期は、印加を止め、帯電圧が半減するまでの時間を読みとった。初期帯電圧が低く、かつ帯電圧減衰半減期が短いほど静電気消散性能に優れるといえる。
(6)熱特性
融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
また、液晶開始温度は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,000(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を測定とした。
(7)数平均分子量
また、分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量を求めた。
(8)分散性
(1)で得た成形品のダイヤモンドナイフで任意断面を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。単層粒子の長径、厚み、2つの層粒子間の平均面間距離を、粒子100個の平均値として算出した。
(9)剪断応力
ここでいう剪断応力(τ)は、例えば樹脂温度における樹脂溶融粘度(μ)とスクリュー回転数(Wrpm)、スクリュー直径(Rcm)および吐出量(Pkg/h)から求められるスクリュー間流路を流れる樹脂流量(Q)およびスクリュー間流路の最小面積(Scm)を円換算して得られる半径(rcm)から下式(2)によって算出される剪断速度(Dw)から算出(τ=μ・Dw)できる。
Dw=Q/πr=(11.8W/ρ+1.4RP)/6000000πr −(2)。
液晶性ポリエステル(A)を以下のとおり製造した。
(参考例1)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.300モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル327g(1.890モル)、ハイドロキノン89g(0.810モル)、テレフタル酸292g(1.755モル)、イソフタル酸157g(0.945モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−1)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して65モル%からなり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃、液晶開始温度295℃で、数平均分子量12,000であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
(参考例2)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を338.7g(1.80モル)、および無水酢酸965g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−2)はp−オキシベンゾエート単位が80モル%、6−オキシ−2−ナフタレート単位が20モル%であり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は320℃、液晶開始温度298℃で、数平均分子量11,100であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度330℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
(参考例3)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部(7.20モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部(0.67モル)、テレフタル酸112重量部(0.67モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部(1.12モル)及び無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−3)はp−オキシベンゾエート単位が74.4モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が7モル%、テレフタレート単位が7モル%、エチレンジオキシ単位が11.6モル%であり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃、液晶開始温度292℃で、数平均分子量11,100であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度325℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が12Pa・sであった。
層状の2−チタン酸カリウムおよび/又は4−チタン酸カリウム(B)として以下のものを準備した。
(B−1):酸化チタンと炭酸カリウムを水中にスラリーとし、1〜5時間撹拌することにより水洗した後、900℃前後で3時間焼成し、解砕、分級することによりにより層状の2−チタン酸カリウム(B−1)を製造した。
(B−2):2−チタン酸カリウム(B−1)を水中にスラリーとし、3時間撹拌することにより水洗した後、900℃で3時間焼成し、解砕、分級することにより、4−チタン酸カリウム(B−2)を製造した。
(B−3):大塚化学株式会社製”ティスモD”(8−チタン酸カリウム 針状)。
(B−4):ホーランダイト型チタン酸カリウム(特開平02−92822 実施例1に従い作製した)。
(B−5)板状チタン酸カリウム(特開2001−253712 実施例2に従い作製した)。
充填材として以下のものを準備した。
(C−1)日本電気硝子製”Eガラスチョップドストランド”(ECS−03T790DE)。
実施例1〜11、比較例1〜9
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型異方向回転)に、最小スクリューニーディング間隙面積0.785cmとなるスクリューアレンジを用い、参考例で得た液晶性ポリエステル(A−1〜A−3)100重量部および表1に示す配合量の2−リン酸カリウム(B−1)および/または4−リン酸カリウム(B−2)および充填材(C−1)をサイドから投入し、樹脂温度を液晶性ポリエステルのそれぞれの融点+10℃、吐出量およびスクリュー回転数を剪断応力が表1の値になるように調整し、溶融混練してペレットとした。
得られたペレットを熱風乾燥後、ペレットを”ファナックα30C”射出成形機(ファナック製)に供し上述の評価を行った。結果は表1および表2に示す。
Figure 2009249536
Figure 2009249536
表1および表2からも明らかなように本発明の液晶性樹脂射出成形材料は、剛性、靭性、衝撃強度に優れ、異方性が低下し、さらに帯電防止性に優れている。
また、機械特性の向上効果は、従来の充填材による効果よりも遥かに高く、また充填
材との併用によってもその効果は持続されることがわかる。
また、本発明の効果は、高圧で混練し、分散した場合にその効果が高いことがわかる。
このような本発明の効果は、きわめて分散形態の限定された範囲の層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムでは特異的な効果が得られることがわかる。
スクリュー間のニーディングブロック噛み合い部の一実施態様を示す断面図である。
符号の説明
1 スクリュー軸 左
2 スクリュー軸左の再近接ニーディングブロック
3 スクリュー軸 右
4 スクリュー軸右の再近接ニーディングブロック
S スクリュー間樹脂流路の最小断面積

Claims (6)

  1. (A)液晶性ポリエステル100重量部に対して、(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム0.1〜200重量部を配合してなる液晶性樹脂射出成形材料。
  2. (A)液晶性ポリエステル中に(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムが平均長径10〜30000nm、厚み1〜900nmの板状粒子として分散する請求項1に記載の液晶性樹脂射出成形材料。
  3. (A)液晶性ポリエステル中に分散する(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウムの板状粒子間の距離が1000nm未満である請求項2に記載の液晶性樹脂射出成形材料。
  4. (A)液晶性ポリエステル100重量部に対して、さらに充填剤1〜300重量部を配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性樹脂射出成形材料。
  5. (A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)層状の2−チタン酸カリウムおよび/または4−チタン酸カリウム0.1〜200重量部を配合し、0.02〜2MPaの剪断応力のもとで溶融混練することを特徴とする液晶性樹脂射出成形材料の製造法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性樹脂射出成形材料よりなる成形品。
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