JP5092324B2 - 液晶性ポリエステル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、低ガス性に優れ、高い弾性率と表面硬度を有する成形品を与えうる液晶性ポリエステル組成物に関するものである。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。これらの液晶ポリエステルは単独でも種々の成形品に使用される場合があるが、多くの場合、耐熱性や機械的強度を改善する目的で、様々な強化剤や添加剤を配合することが行われている。
近年、リサイクルや廃棄物処理の観点から、天然鉱物由来の充填材の重要度がましており、例えば、液晶性ポリマーに天然鉱物由来のロックウールを配合することが開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特開昭59−85733号公報 特開平4−248898号公報
上記の特許文献に開示されているように、液晶性樹脂にロックウールを充填した組成物は耐熱性や成形性に優れ、機械的物性の異方性や耐摩耗性、耐ヒートエージング性や耐加水分解性が確かに改善されているが、近年、部品の小型化や薄肉化、金属部品との組み合わせが頻繁に行われるようになり、これらの方法では弾性率や表面硬度などが不十分であった。
よって、本発明はかかる従来技術の背景に鑑み、上述の問題点を解決し、弾性率や表面硬度に優れた成形品を与えうる液晶性ポリエステル組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、これまでにない高弾性率と液晶性ポリマーが苦手とする表面硬度の両立を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
(1)液晶性ポリエステル100重量部に対して、配合前の重量平均繊維長が、0.1〜3.5mmであるバサルト繊維2〜200重量部配合してなる液晶性ポリエステル組成物、
(2)液晶性ポリエステルが、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を含む液晶ポリエステルである上記(1)記載の液晶性ポリエステル組成物、
Figure 0005092324
(3)バサルト繊維の繊維径が2〜15μmであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の液晶性ポリエステル組成物、
(4)バサルト繊維が、酸化ケイ素55〜65%および酸化アルミニウム15〜20%を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物。
)少なくとも2種のバサルト繊維を用いることを特徴とする上記(1)〜()いずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物、
)配合前の重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのバサルト繊維と、1.5〜3.5mmのバサルト繊維を5/95〜95/5(重量比)の比率で用い、配合後の繊維長分布が2峰性になっていることを特徴とする上記()記載の液晶性ポリエステル組成物、
)更にモース硬度が5.5以上、アスペクト比10未満の充填材を1〜200重量部配合してなることを特徴とする上記(1)〜()いずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物、
)モース硬度が5.5以上、アスペクト比10未満の充填材がアルミナ、ホウ酸アルミニウムおよび炭素繊維から選ばれる1種以上であることを特徴とする上記()記載の液晶性ポリエステル組成物、
)上記(1)〜()いずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物からなる成形品
を提供するものである。
本発明の液晶性ポリエステルとは、異方性溶融相を形成し得るポリエステルである。例えば芳香族オキシカルボニル単位(A)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(B)、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位(C)などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルが挙げられる。
芳香族オキシカルボニル単位(A)としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(B)としては、例えば、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メチルヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位(C)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられる。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
なかでも好ましいのは、下記構造(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を構造単位として含む液晶ポリエステルである。
Figure 0005092324
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
一方、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶ポリエステルの場合、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、より好ましくは68〜75モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、より好ましくは65〜73モル%である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜70モル%であり、より好ましくは62〜68モル%である。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
例として、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶ポリエステルについて示す。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましい。
さらに、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルである。無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.15当量以下であることが好ましく、1.12当量以下であることがより好ましく、下限については1.0当量以上であることが好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。
例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステルは、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+10℃の条件で、ノズル径0.5mmφ×10mm、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
なお、本発明では、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
本発明は液晶性ポリエステル100重量部に対して、バサルト繊維2〜200重量部を配合することを特徴とし、より好ましい配合量としては5〜100重量部であり、更に好ましくは10〜60重量部である。
バサルト繊維の配合量が好ましい範囲である場合には、本発明の特徴である高弾性率や高表面硬度が顕著に発揮され好ましい。
本発明でいうバサルト繊維とは、玄武岩のみを溶解炉で溶かして紡糸した繊維であり、その組成は玄武岩のみからなるため、酸化ケイ素(SiO)55〜65%、酸化アルミニウム(Al)15〜20%を主成分とし、他に酸化鉄(FeO、Fe)などを含有する。溶融紡糸により再結晶化が進み他のロックウールよりも均質な結晶構造を有することを特徴とする。
バサルト繊維の繊維径が2〜15μmであることが好ましく、より好ましくは6〜13μmであり、更に好ましくは9〜13μmである。ここでいう繊維径とは重量平均繊維径であり、繊維径は例えば、組成物を焼成して残った灰分の走査型電子顕微鏡観察によって測定できる。
繊維径が細い程、弾性率は高くなるが、流動性が低下するため、上記範囲が好ましい。
バサルト繊維の配合前の重量平均繊維長は、0.1〜3.5mmであり、好ましくは0.2〜3.0mmである。また、バサルト繊維の組成物中での重量平均繊維長が0.05〜1.2mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0mmである。繊維長は例えば、配合前の繊維もしくは組成物を灰化した残分のレーザー回折流動分析計によって測定できる。
上記繊維長においては、成形流動性と機械特性がバランス良く得られ、好ましい。
本発明では、少なくとも重量平均繊維長などが異なる2種のバサルト繊維を用いることも可能であり、特に、配合前の重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのバサルト繊維と、1.5〜3.5mmのバサルト繊維を5/95〜95/5の比率で用いることが好ましい。
ここで用いる少なくとも2種のバサルト繊維は、繊維径が上記範囲にあれば、同じ繊維径でも異なる繊維径のものを用いても良いが、異なる繊維径のものを用いることが好ましく、配合前の重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのバサルト繊維の繊維径が9〜11μmであり、配合前の重量平均繊維長が1.5〜3.5mmのバサルト繊維の繊維径が11〜15μmであるものを用いることが好ましい。
このように、繊維長の異なる少なくとも2種のバサルト繊維を用いると、配合後の繊維長の分布がピーク繊維長の異なる2つ以上の分布曲線を重ねた2峰性以上の多峰性の分布となっており、このような繊維長分布を有する場合には、特に本発明の効果である表面硬度の高い成形品が得られるため好ましい。
また、本発明の液晶性ポリエステル組成物には、バサルト繊維以外に、更にモース硬度が5.5以上、アスペクト比10未満の充填材を1〜200重量部配合することが好ましく、より好ましくはモース硬度が7以上の充填材を2〜100重量部である。
モース硬度が5.5以上、アスペクト比10未満の充填材としては、Eガラスのミルドファイバー、破砕フレーク、中空ビーズ、ビーズ、ホウ酸アルミニウムのウィスカ粉砕物、粉体粒子、アルミナのウィスカ粉砕物、粉体粒子、ロックウールの粉砕物、炭素繊維の粉砕物などが挙げられ、この内、Eガラスのミルドファイバー、アルミナの粉体粒子、ホウ酸アルミニウムのウィスカ粉砕物、粉体粒子、炭素繊維の粉砕物などが好ましく、より好ましくは、元形状には限定しないがアルミナ、ホウ酸アルミニウムまたは炭素繊維の粉砕物である。
本発明に用いる充填材は、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていても良く、またその表面をカップリング剤、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルアセトキシシランなどのシランカップリング剤や、イソプロピルトリスイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートなどのチタンカップリング剤、またアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウムカップリング剤でカップリング処理していても良い。
本発明の液晶性ポリエステル組成物には、特性を低下したりしない範囲で、更に、上記以外の充填剤を含有させることが可能である。充填材は特に限定されるものでないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には例えば、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を上記の如きカップリング剤やその他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
さらに、本発明の液晶性ポリエステルには、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の液晶性ポリエステル組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、溶融混練によることが好ましく、公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステルの融点(Tm)−30℃以上からTm+30℃以下の温度で溶融混練して液晶性樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい。
二軸押出機の構成としては、噛み合い型、二軸同方向回転スクリューが好ましく、スクリュー長/径比(L/D)は25〜60が好ましく、より好ましくは30〜50であり、もっとも好ましくは40〜45である。また、ベントを一カ所以上有していることが好ましく、より好ましくは2カ所以上に有していることであり、ベントの場所としては、サイドフィーダー後のニーディングブロックの後ろに設置することが好ましく、より好ましくはサイドフィーダー前のニーディングブロックの前にも設置すると樹脂の発生ガスが効率良く除去できるので好ましい。
混練方法には特に制限はなく、公知のいかなる方法も用いることができる。例えば、1)液晶性ポリエステル、任意成分である充填材およびその他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルにその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるようにその他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステルとその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの充填材およびその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
本発明により得られる液晶性ポリエステル組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形などの通常の成形方法により優れた機械的特性、寸法安定性、耐熱性を有する繊維、フィルム、成形品などとすることができるが、特に射出成形により得られた射出成形品で本発明の特徴である高い表面硬度および高弾性率が発現しやすいので好ましい。
本発明の液晶性ポリステル組成物成形品は、上記特徴を有する各種ギア、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルホビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発信子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基盤、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、磁気テープカセットリール、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子部品用途に好適に用いられるが、その他の用途即ちVTR部品、VTRカメラ部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、シェーバー、扇風機、ジューサー、炊飯器部品、電子レンジ部品、ヘッドフォンステレオ、ラジカセ、オーディオ、コンパクトディスク等の音響機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、電卓、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用冶具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品などに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパッドウェアセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、エアコンパネルスイッチ基盤、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドホビン、エンジンオイルフィルター、ラジエータードレーンコック、インタンクフュエルポンプ、ダイヤフラム弁、オートアンテナギアケース、ドアロック、ウィンカースイッチ、ワイパーギア、ワイパーピポットベアリング、スピードメーターギア、パーツ、ハウジング、ウインドウガラスボトムチャネル、シートベルトハウジング、シートベルトリトラクターパーツ、ヒーターコントロールレバー、インサイドドアハンドル、レギュレーターハンドル、アウタードアハンドル、サンバイザーブラケット、コラプシブルルームミラーステー、シートフック、フェンダーミラーケース、フューエルキャップ、ウインドウウォッシャーノズル、点火装置等の自動車・車両関連部品、自転車、芝刈機、間仕切りコーナーピース、カーテンライナー、ブラインドギア、戸、オフィス家具パーツ、各種ファスナー、配管システム、ホースジョイント、バルブ、ビンディング、アジャスト、各種止め具、メーター、シューズ部品、玩具、オルゴール、くし等の美容部品、キャスターブラケット、ローラー、キャップ、メジャー部品、ライター、エアゾールボトル、スポーツ用具等、その他各種一般機器部品などに用いることも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(参考例1)液晶性ポリエステルA−1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327重量部(1.89モル)、ハイドロキノン89重量部(0.81モル)、テレフタル酸292重量部(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367重量部(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。この液晶性ポリエステル(A−1)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、4,4’−ジオキシビフェニル単位が4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して65モル%からなり、Tmは314℃で、液晶開始温度は295℃であった。数平均分子量12,000であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
また、分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量を求めた。
(参考例2)液晶性ポリエステルA−2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部(7.20モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部(0.67モル)、テレフタル酸112重量部(0.67モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部(1.12モル)及び無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−2)はp−オキシベンゾエート単位が74.4モル%、4,4’−ジオキシビフェニル単位が7モル%、テレフタレート単位が7モル%、エチレンジオキシ単位が11.6モル%であり、Tmは314℃、液晶開始温度292℃で、数平均分子量11,100であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度325℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が12Pa・sであった。
(参考例3)液晶性ポリエステルA−3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部(7.20モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を338.7重量部(1.80モル)、および無水酢酸965重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−3)はp−オキシベンゾエート単位が80モル%、6−オキシ−2−ナフタレート単位が20モル%であり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は320℃、液晶開始温度298℃で、数平均分子量10,900であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度330℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が18Pa・sであった。
(参考例4)バサルト繊維など
B−1 酸化ケイ素(SiO)59%、酸化アルミニウム(Al)18%を主成分とする玄武岩から溶融紡糸されたバサルト繊維テクノバサルト製BS13:繊維径13μm、初期繊維長3mm。
B−2 酸化ケイ素(SiO)59%、酸化アルミニウム(Al)18%を主成分とする玄武岩から溶融紡糸されたバサルト繊維 テクノバサルト製BS9の粉砕品:繊維径9μm、初期繊維長0.2mm。
B−3 酸化ケイ素(SiO)45%、酸化アルミニウム(Al)15%、酸化カルシウム35%を主成分とするロックウール繊維:繊維径9μm、初期繊維長3mm。
B−4 Eガラス 日本電気硝子製ECS−03T−790G:繊維径9μm、初期繊維長3mm。
(参考例5)その他充填材
C−1 ホウ酸アルミニウムウィスカ粉砕品 四国化成製アルボレックスYS3の粉砕品(モース硬度7、アスペクト比8.5)
C−2 酸化チタンウィスカー粉砕品 石原産業製FTL300の粉砕品(モース硬度7.5、アスペクト比6.5)
C−3 Eガラス 日本電気硝子製ECS−03T−790DEの粉砕品 (モース硬度6.5、アスペクト比9)
C−4 炭酸カルシウムウィスカ 丸尾カルシウム製ウィスカルA(モース硬度3.5、アスペクト比30)
(実施例1〜10、比較例1〜3)
参考例1〜3で得た、液晶ポリエステル(A1〜A3)およびバサルト繊維(B−1、B−2)もしくはロックウール繊維(B−3)またはEガラス(B−4)、および/またはその他の充填材(C―1〜C−4)を表1の割合でドライブレンドした後、東芝機械製TEM35B型2軸押出機で、樹脂温度が融点+10℃になるようにシリンダーのヒーター設定温度を調整し、スクリュー回転数120rpm、フィーダー回転数25rpmの条件で溶融混練してペレットとした。熱風乾燥後下記評価を行った。測定結果を表に示す。
(1)低ガス性
上記ペレットを融点+10℃空気雰囲気下において30分間保持した際の重量減少率を評価した。
(2)弾性率
ファナック(株)製ロボショットα30c型射出成形機に供し、金型温度90℃、シリンダー温度融点+10℃に設定し、1速1圧の条件(射出速度99%、射出圧力を最低充填圧力+5kgf/cm)で幅12.7mm×長さ127mm×厚み3.2mmの曲げ試験片作製し、ASTM D790に従い測定した。
(3)表面硬度
ファナック(株)製ロボショットα30c型射出成形機に供し、金型温度90℃、シリンダー温度融点+10℃に設定し、1速1圧の条件(射出速度99%、射出圧力を最低充填圧力+5kgf/cm)で幅100mm×長さ100mm×厚み10mmの成形品を射出成形し、JIS K5400鉛筆引っかき試験に従って2Hの鉛筆に対して5回試験を行い、傷がついた回数を判定した。
(4)スキン層剥離性
上記(3)で得た射出成形品の長さ方向を50mmで2等分し、破断面をSUS316鏡面仕上げ鋼板に垂直に当てた状態で、垂直方向に4Nの圧力をかけ、板厚方向にSUS316L鋼板を10cmの移動距離で往復運動させ、スキン層の剥離が起こるまでの往復運動回数を評価した。
(5)流動補助効果
特定のその他の充填材にバサルト繊維を併用した場合の効果について、その他の充填材のみを配合した比較例に対する成形流動性の補助効果を評価した。上記射出成形機を用いて、(3)の成形品を得る際の最低充填圧力を評価した。
Figure 0005092324
表1からも明らかなように、バサルト繊維を配合した液晶性ポリエステル組成物は、ガス量が少なく、高い弾性率を持ち、表面硬度が高い。また、スキン層が剥離しにくく、摩耗耐性が強い。
2種類の特定のバサルト繊維を併用すると、効果がより高くなり、更にその他の充填材としてホウ酸アルミニウムウィスカの粉砕品などを配合すると、特異的な流動補助効果が得られることがわかる。
特定の組み合わせでしか得られない効果であるため、特定範囲の繊維径、アスペクト比の充填材間で起こる物理的相補作用によるものと考えられる。

Claims (9)

  1. 液晶性ポリエステル100重量部に対して、配合前の重量平均繊維長が、0.1〜3.5mmであるバサルト繊維を2〜200重量部合してなる液晶性ポリエステル組成物。
  2. 液晶性ポリエステルが、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を含む液晶ポリエステルである請求項1記載の液晶性ポリエステル組成物。
    Figure 0005092324
  3. バサルト繊維の繊維径が2〜15μmであることを特徴とする請求項1または2記載の液晶性ポリエステル組成物。
  4. バサルト繊維が、酸化ケイ素55〜65%および酸化アルミニウム15〜20%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物。
  5. 少なくとも2種のバサルト繊維を用いることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物。
  6. 配合前の重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのバサルト繊維と、1.5〜3.5mmのバサルト繊維を5/95〜95/5(重量比)の比率で用い、配合後の繊維長分布が2峰性になっていることを特徴とする請求項5記載の液晶性ポリエステル組成物。
  7. 更にモース硬度が5.5以上、アスペクト比10未満の充填材を1〜200重量部配合してなることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物。
  8. モース硬度が5.5以上、アスペクト比10未満の充填材がアルミナ、ホウ酸アルミニウムおよび炭素繊維から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項7記載の液晶性ポリエステル組成物。
  9. 請求項1〜8いずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物からなる成形品。
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