JP3562122B2 - ガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性、寸法精度、機械的特性に優れ、とりわけ流動性が良好で異方性が極めて改良され、表面外観の優れた成形品を与え得る液晶性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリマーが優れた流動性と機械的性質を有する点で注目されている。
【0003】
これら異方性溶融相を形成するポリマーとしては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタレートを共重合した液晶ポリマー(特開昭49−72393号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリマー(特開昭54−77691号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸に4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、イソフタル酸を共重合した液晶ポリマー(特公昭57−24407号公報)などの液晶性ポリエステル樹脂、また、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、P−アミノフェノ−ルとテレフタル酸から生成した液晶ポリマー(特開昭57−172921号公報)、P−ヒドロキシ安息香酸、4, 4’−ジヒドロキシビフェノ−ルとテレフタル酸、P−アミノ安息香酸およびポリエチレンテレフタレ−トから生成した液晶ポリマー(特開昭64−33123号公報)などの液晶性ポリエステルアミド樹脂が知られている。
【0004】
また、液晶ポリマーの耐熱性と機械的強度、寸法精度を向上させる目的でガラス繊維などの無機フィラーを配合することが知られている。また、無機フィラーの一つであるガラスビーズも同様の目的で液晶ポリマーに配合されることが知られている(特開昭63−16275号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガラス繊維などの無機フィラーを配合した液晶ポリマーとしてこれまで知られているものは液晶ポリマーの耐熱性や機械的強度や異方性はある程度改良されているものの、成形時の流動性や寸法精度、成形品の外観が必ずしも十分でなかった。また、ガラスビーズについてはその粒径には様々なものがあるため、添加しても粒径が不揃いであったり、粒径が不適当な場合は効果が十分発揮しないという問題があった。本発明は上記の問題を解決し、成形時の流動性と寸法精度、機械的異方性、表面外観の優れたガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂および/または液晶性ポリエステルアミド樹脂(A)100重量部および、平均中心粒径が10〜50μmのガラスビーズ(B)5〜200重量部からなる組成物であり、該組成物中の中心粒径が100μm以下のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの80重量%以上(ただし100重量%は除く)であることを特徴とするガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物、さらに該組成物中のガラスビーズの90重量%以上が下記式(1)を満足し、中心粒径が1μm以下のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの5重量%未満であることを特徴とする上記ガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物、(d−20)μm≦D≦(d+20)μm …(1)
(ただし、式中のdはガラズビーズの平均中心粒径、Dはガラスビーズの中心粒径を示し、(d−20)≦1の時は(d−20)=1とする。)
上記ガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品および上記ガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物を含んでなるコネクターである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でいう液晶性ポリエステル樹脂とは、異方性溶融相を形成するポリエステルであり、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成するポリエステルであり、液晶性ポリエステルアミド樹脂とは異方性溶融相を形成するポリエステルアミドであり、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなるポリエステルアミドである。
【0008】
本発明においては、下記構造単位(I) 、(II)、(IV)からなる液晶性ポリエステル樹脂、(I) 、(III) 、(IV)からなる液晶性ポリエステル樹脂および(I) 、(II)、(III) 、(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂から選ばれた一種類以上の液晶性ポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。さらに好ましくは下記構造単位(I) 、(II)、(IV)からなる液晶性ポリエステル樹脂および/または(I) 、(II)、(III) 、(IV)からなる液晶性ポリエステル樹脂である。
【0009】
【化4】
(ただし式中のR1 は
【化5】
から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は
【化6】
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III) ]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
上記構造単位(I) はp−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニル、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III) はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸およびジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうち上記構造単位(I) 、(II)、(III) 、(IV)からなる共重合体の場合R1 が、
【化7】
であるものが構造単位(II)の70モル%以上を占め、R2 が
【化8】
であるものが構造単位(IV)の70モル%以上を占めるものが特に好ましい。
【0010】
また、上記構造単位(I) 、(III) 、(IV)からなる共重合体の場合R2 が、
【化9】
であるものが特に好ましい。
【0011】
上記構造単位(I) 、(II)、(IV)からなる共重合体の場合R1 が、
【化10】
および/または
【化11】
R2 が
【化12】
および/または
【化13】
であるものが特に好ましい。
【0012】
上記構造単位(I) 〜(IV)の共重合量は任意である。しかし、流動性の点から次の共重合量であることが好ましい。
【0013】
すなわち、上記構造単位(I) 、(III) 、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I) は[(I) +(III) ]の30〜95モル%が好ましく、40〜95モル%がより好ましい。また、構造単位(IV)は構造単位(III) と実質的に等モルである。
【0014】
上記構造単位(I) 、(II)、(III) 、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位[(I) +(II)]は[(I) +(II)+(III) ]の60〜95モル%が好ましく、80〜92モル%がより好ましい。また、構造単位(III) は[(I) +(II)+(III) ]の40〜5モル%が好ましく、20〜8モル%がより好ましい。また、構造単位(I) /(II)のモル比は耐熱性と流動性のバランスの点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位[(II)+(III) ]と実質的に等モルである。
【0015】
上記構造単位(I) 、(II)、(IV)からなる共重合体の場合は流動性の点から上記構造単位(I) は[(I) +(II)]の40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(II)と実質的に等モルである。
【0016】
なお、本発明で好ましく使用できる上記液晶性ポリエステルを重縮合する際には上記構造単位(I) 〜(IV)を構成する成分以外に3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3、4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0017】
また、好ましい液晶性ポリエステルアミドとしては、上記のような液晶性ポリエステルにおいてp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸等を共重合したものなどが挙げられる。
【0018】
本発明における液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドの反応機構的製造方法は、特に制限がなく、公知の液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドの重縮合法に準じて製造できる。
【0019】
例えば、上記好ましく用いられる液晶性ポリエステルの製造において、上記構造単位(III) を含まない場合は(1)および(2)、構造単位(III) を含む場合は(3)の製造方法が好ましく挙げられる。
【0020】
(1)p−アセトキシ安息香酸、4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0021】
(2)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0022】
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0023】
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましいときもある。
【0024】
また、本発明における液晶性ポリエステル、液晶ポリエステルアミドの溶融粘度は1〜2,000Pa・sが好ましく、特に2〜1,000Pa・sがより好ましい。
【0025】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0026】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0027】
本発明のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物中のガラスビーズは平均中心粒径が10〜50μmであり、12〜35μmが好ましく、15〜20μmがさらに好ましい。また、組成物中の中心粒径が100μm以下のガラスビーズの比率は該ガラスビーズの80重量%以上(ただし100重量%は除く)であり、中心粒径が100μm以上のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの20重量%を越えると、成形性が低下し、表面外観も悪化するので好ましくない。平均中心粒径が50μmを越える場合は成形性が低下し、成形品の表面外観が損なわれるため好ましくない。一方、平均中心粒径が10μmより小さい場合は、異方性が大きくなるので好ましくない。また、該ガラスビーズの90重量%以上が下記式(1)を満足することが成形品間の寸法のばらつきを抑制する点からさらに好ましい。また、組成物中の中心粒径が1μm以下のガラスビーズの比率は該ガラスビーズの5重量%未満であり、3重量%未満が好ましい。
【0028】
(d−20)μm≦D≦(d+20)μm …(1)
(ただし、式中のdはガラズビーズの平均中心粒径、Dはガラスビーズの中心粒径を示し、(d−20)≦1の時は(d−20)=1とする。)
本発明でいうガラスビーズの中心粒径とは、ガラスビーズの中心を通る最大径のことである。
【0029】
本発明のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物中のガラスビーズ(B)は市販のガラスビーズを目開きが10〜50μmのふるいにかけ粒径別に分けることにより、目的とする中心粒径を有するガラスビーズを得ることができる。
【0030】
充填量は液晶性ポリエステル樹脂および/または液晶性ポリエステルアミド樹脂(A)100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜140重量部である。充填量が200重量部を越えると成形時の流動性が低下し好ましくない。
【0031】
なお、ガラスビーズの中心粒径分布と平均中心粒径の測定は次の方法で行なうものとする。組成物のペレット約5gをるつぼ中で灰化した後、残存したガラスビーズのうちから100mgを採取し、100ccの石鹸水中に分散させる。次いで、分散液をスポイトを用いて1〜2滴スライドガラスに置き、顕微鏡下に観察して、写真撮影し、写真に撮影されたガラスビーズの中心粒径を測定する。測定は500〜1000個行い、中心粒径を1μm間隔で重量分布図を作成し平均中心粒径を求めた。この時、破損したガラスビーズは測定しないものとする。
【0032】
本発明の効果はガラスビーズの平均中心粒径が10〜50μmの範囲にあってかつ、中心粒径が100μm以下のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの80重量%以上100重量%未満を満足したときに発現され、さらに好ましくは該組成物中のガラスビーズの90重量%以上が下記式(1)を満足し、中心粒径が1μm以下のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの5重量%未満である条件を同時に満足したときに発現される。それにより成形性、機械的特性、表面外観に優れ、とりわけ流動性、異方性が極めて良好であり、低反りな成形品を与え得るガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物を得ることができる。
【0033】
(d−20)μm≦D≦(d+20)μm …(1)
(ただし、式中のdはガラズビーズの平均中心粒径、Dはガラスビーズの中心粒径を示し、(d−20)≦1の時は(d−20)=1とする。)
また、本発明で使用するガラスビーズ(B)はエポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマーで被覆あるいは集束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系ポリマーが特に好ましい。またシラン系、チタネート系のカップリング剤、その他の表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系カップリング剤が特に好ましい。
【0034】
本発明のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物には、さらに、ガラスビーズ以外の充填剤を含有させることも可能である。
【0035】
本発明に用いることができる充填剤としてはガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、石コウ繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウイスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイイト、酸化チタン、グラファイト等の繊維状、粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーが挙げられる。
【0036】
さらに、本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加して、所定の特性を付与することができる。
【0037】
本発明のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物は溶融混練により製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、250〜370℃の温度で溶融混練して組成物とすることができる。
【0038】
かくしてなる本発明のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物は、優れた溶融流動性、成形性、光学異方性を有し、通常の成形方法により優れた耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性、および機械的性質を有する三次元成形品、シート、容器パイプなどに加工することが可能であり、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケーススイッチコイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品、その他各種用途に有用である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【0040】
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行い、重縮合を完結させポリマ(A−1)を得た。このポリマの融点(Tm)は314℃であり、324℃、ずり速度1000(1/秒)での溶融粘度は400ポイズであった。
【0041】
参考例2
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル222重量部、2,6−ジアセトキシナフタレン147重量部、無水酢酸1078重量部およびテレフタル酸299重量部を攪拌翼、流出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行い、重縮合を完結させポリマ(A−2)を得た。このポリマの融点(Tm)は336℃であり、346℃、ずり速度1000(1/秒)での溶融粘度は520ポイズであった。
【0042】
参考例3
特開昭49−72393号公報に従って、p−ヒドロキシ安息香酸1296重量部と固有粘度が約O.6dl/gのポリエチレンテレフタレート346重量部を攪拌翼、流出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行い、重縮合を完結させポリマ(A−3)を得た。このポリマの融点(Tm)は283℃であり、293℃、ずり速度1000(1/秒)での溶融粘度は1200ポイズであった。
【0043】
参考例4
特開昭54−77691号公報に従って、p−ヒドロキシ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を攪拌翼、流出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行い、重縮合を完結させポリマ(A−4)を得た。このポリマの融点(Tm)は283℃であり、293℃、ずり速度1000(1/秒)での溶融粘度は2000ポイズであった。
【0044】
実施例1〜7、比較例1〜6
原料供給口と中間添加口を有する35mmφの2軸押出機を用い、参考例1〜4で得た液晶性ポリエステル(A−1〜4)を35mmφの2軸押出機の原料供給口に供給し、次いで、中間添加口から平均中心粒径18μm(実施例1〜6)、45μm(実施例7)、13μm(比較例6)、85μm(比較例1)、8μm(比較例2)、58μm(比較例3)のガラスビーズまたは無機フィラーを表1に示した割合になるように供給し、溶融混練し樹脂組成物のペレットとした。ガラスビーズを添加した組成物については、このペレットをるつぼ中で灰化し、残存したガラスビーズの中心粒径と平均中心粒径および中心粒径の分布を前述の方法で求めた。また、下記式(1)の範囲を求め、分布図より(1)式を満たすガラズビーズの重量%を求めた。
【0045】
(d−20)μm≦D≦(d+20)μm …(1)
(ただし、式中のdはガラズビーズの平均中心粒径、Dはガラスビーズの中心粒径を示し、(d−20)≦1の時は(d−20)=1とする。)
これらのペレットを住友ネスタール射出成形機プロマット40/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリンダー温度を融点+10℃、金型温度90℃の条件で、70×70×2mmの角板を成形した。
【0046】
70×70×2mmの角板から樹脂の流動方向(MD)および直角方向(TD)に各々1/2”巾に切り出し、ASTM D790規格に従って曲げ弾性率を測定し、MD/TDの曲げ弾性率の比を機械的異方性として求めた。
【0047】
上記の成形機を用いてシリンダー温度を融点+10℃、金型温度90℃の条件で、1/4”アイゾット衝撃試験片を40本成形した。その中から無作為に10本取り出しその厚みを測定し、ばらつきの最大値と最小値の差を求めた。
【0048】
また、流動性の評価として上記の成形機を用いて、シリンダー温度を融点+10℃、金型温度90℃、射出速度99%、射出圧力500kgf/cm2 の条件で0.5mm厚×12.7mm巾の試験片の流動長さを求めた。
【0049】
反りの評価としては上記ペレットを日精P20E2ASE射出成形機に供し、シリンダー温度を融点+10℃、金型温度130℃の条件で、図1に示す35×35×25mm、厚み2mmの離型小箱を成形し、ピンゲートと反対側の中心部分の反りを観察した。図1は離型小箱2の斜視図であり、離型小箱2はピンゲート1をゲートとして射出成形されている。反りは◎:反り量0.3mm未満、×:0.30mm以上として判定した。
【0050】
成形品外観については目視を行ない◎:滑らかで艶がある、○:滑らか、×:粗く、流れ跡がわかるとして判定した。これらの結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物は、機械的特性、成形性に優れ、特に流動性が良好で異方性が極めて改良され、低反り、低収縮であり、また表面外観も良好のため電機・電子関連機器、精密機械関連機器、事務用機器、自動車などその他各種用途に好適な材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】反り評価をするために実施例で成形した離型小箱の斜視図である。
【符号の説明】
1 ピンゲート
2 反り評価箇所
Claims (5)
- 異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂および/または液晶性ポリエステルアミド樹脂(A)100重量部および、ガラスビーズ(B)5〜200重量部からなる組成物であり、該組成物中のガラスビーズの平均中心粒径が10〜50μmであり、中心粒径が100μm以下のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの80重量%以上(ただし100重量%は除く)であることを特徴とするガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物。
- 該組成物中のガラスビーズの90重量%以上が下記式(1)を満足し、中心粒径が1μm以下のガラスビーズの比率が該ガラスビーズの5重量%未満である請求項1記載のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物。
(d−20)μm≦D≦(d+20)μm …(1)
(ただし、式中のdはガラズビーズの平均中心粒径、Dはガラスビーズの中心粒径を示し、(d−20)≦1の時は(d−20)=1とする。) - 請求項1記載のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 請求項1記載のガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物を含んでなるコネクター。
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